魔法少女まどか☆マギカ~漆黒に染まりし最強の魔法少年~   作:釣菊

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残り二ヶ月

『何を考えているかまるで分からない不気味な子供』というのが、二度目の人生における周囲の評価だった。

 

何しろ生まれた直後に目を見開き、産声も上げず、咳をするように羊水を吐き出して眠りはじめるような子供である。笑いもせず、泣きもせず。いつも仮面のような無表情。俺を不気味がった両親は、早々に俺を保育園に放り込んでしまった。

 

そこでも俺は爪弾きにされた。当たり前だ。生みの親ですら受け入れられないのに、赤の他人が受け入れられるわけがない。最低限の世話だけされて、後は放っておかれた。話しかけてくる人もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

自分が招いた孤独ではあったものの、含まれていた『子供』の部分は相当に傷ついていたらしい。いつしか俺は、人の殻を被った亡霊のようなモノに成り果てていた。

 

 

 

 

 

 

 

__が、小学校に入ってしばらく経ったとき、状況は一変した。

 

__は、はじめまして……あの、一緒に遊んでくれたらうれしいなって。

 

 

__……いいよ。

 

 

 

 

俺を『人』に戻してくれたのは、桃色髪の似合う、内気で優しい女の子だった。

 

 

・                 ・                    ・

 

 

けたたましいアラーム音によって、夢の中から現実に引き戻される。枕元に置いた携帯電話に手を伸ばし、アラームを解除する。

 

 

酷く懐かしい夢を見ていた気がするが……何の夢だったのか全く思い出せない。気にしないことにして、ベッドから起き上がる。

 

 

時刻は8時ジャスト。今すぐ準備すれば学校には間に合うかもしれないが……恐ろしく眠い。今日は寝ていたい気分だ。

 

 

頭の中で出席日数を計算する。まだ日数には余裕があるし、重要なテストもないはずだ。ここは生理的欲求に従っておくことにしよう。

 

 

再びうとうとと微睡み始めた途端__ぴんぽーん、と玄関のチャイムが間抜けな音を立てた。

 

 

……無視しよう。眠いんだ。

 

 

ぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽんぴんぽん__

 

 

「近所迷惑だから止めろ!」

 

 

仕方なくベッドから飛び出し、玄関のドアを開ける。予想通り、幼馴染の鹿目まどかがそこにいた。

 

 

「まだ着替えてもなかったの!?もう学校始まっちゃうよ!?」

 

 

目をまん丸にして驚いている。このやり取り何回目になるか分からないのに、なんで毎回毎回驚くんだこいつは。

 

 

「今日は休むからいいんだよ!」

 

 

「ずる休みは良くないよ!ほら早く着替えて!」

 

 

そう言うとまどかは靴を脱ぎ、勝手に上がってきた。

 

 

「ちょ、勝手に上がりこむな!タンスとクローゼットを漁るな!」

 

 

「いいからご飯食べるか顔洗うかしてて!制服は準備しといてあげるから!」

 

 

「何でお前は俺に対してだけそんなにアグレッシブなんだよ!」

 

 

「そんなことどうでもいいから早く!」

 

 

ええいもう畜生。また昼まで惰眠を貪る予定がご破算だ。やけくそのようにカロリーメイトを口に投げ込み、顔を洗ってまどかが出した制服に着替える。

 

 

「ほら走って!」

 

 

言い終わるが早いかまどかは駆け出してしまった。

 

 

「……ったく、ホントなんであんなに性格が原作と乖離(・・・・・)しちゃったかね?それに走れとか__

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__余命二ヶ月の病人(・・・・・・・・)になんつー無茶を。まあ、魔法少年だし関係ないか(・・・・・・・・・・・)

 

 

まあ知らないのだし仕方ないか、などと思いつつ、まどかを追って玄関から飛び出した。




その男、転生者。







その男、魔法少年。






その男__余命僅か。
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