異世界転移して3年……クラスメートがクラス転移してきた!?   作:剣の舞姫

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第9話「国王直々の指名依頼」

異世界転移して3年……クラスメートがクラス転移してきた!?

 

第9話

「国王直々の指名依頼」

 

 ルーンメイル王国国王フィリップス・ルーンメイルより呼び出しを受け、王宮へ登城する事となった剣佑とフィリアは屋敷の料理番となった澄香の作った朝食を食べた後すぐに王宮に向かうため屋敷を出た。

 屋敷を出た段階で急ぎなのか既に門の前に王宮から馬車が迎えに来ており、それに乗り込んでルーン城へ、

 城に到着するとすぐに城内へ案内され、以前も訪れた謁見の間の前まで連れて来られる。そこで同じ様に武器を兵士に預けて中に入れば、当然だがフィリップス国王と、それからティティリア王妃、それと第二王子のレオル殿下、宰相のロードス、騎士団長のスウェンが揃っているではないか。

 

「おお、ケンスケ……来てくれたか」

「はっ、陛下のお呼びとの事でしたので、参上仕りました」

「うむ、よく来てくれたな」

 

 一先ずの礼儀として跪いて挨拶をするとフィリップスも笑顔で迎え入れてくれて、立って良いと許可を出してくれたため、フィリアと共に立ち上がると、早速だが呼び出された本題についてロードス宰相から資料を手渡される。

 

「これは?」

「こちらは大陸各地に確認されているダンジョンの位置を記したものですな」

 

 ロードスに渡されたのは大陸地図と呼ばれるメイアー大陸全域を記したものだ。そこに9個の〇と3個の×が記されている。

 

「フィリア、ダンジョンって確か大陸に12か所あるっていうアレか?」

「ええそうよ、前に教えた事があったわね。ダンジョンモンスターと自然モンスターの違いについて覚えてる?」

「確か……」

 

 自然モンスターとは文字通り、自然界に生息しているモンスターだ。自然界の法則に則っているので親から生まれて成長し、死んだら肉体は大地に還る。人類や普通の動物達と何ら変わりないサイクルを生きる存在。

 ではダンジョンモンスターとは何か? それはダンジョン内で自然発生した現象のような存在であるという点だろう。

 ダンジョンにはダンジョン内の何処かにダンジョンコアと呼ばれる物が存在しており、それが存在し続ける限りダンジョンモンスターは死んでも消滅して再び発生するのだ。

 

「そう、その通りよ。これまでの解析の結果、ダンジョンコアが死んだモンスターの亡骸を回収して再び生命を与えて出現させているっていう報告があるの」

「解析っていうと、死んだダンジョンを解析したって事だよな?」

「そうよ。大陸にあるダンジョンは全部で12か所、その内3か所は既にコアを発見、破壊して機能停止しているから、そこを解析したみたい」

 

 その死んだダンジョンというのが地図上で×の付いている箇所になるのだ。〇と×は合わせて12個、丁度一致している。

 

「それで、そのダンジョンが今回の呼び出しに関係していると」

「左様、まず結論から言うと、そなたを呼んだのは死んだダンジョン含めた全てのダンジョンを巡って欲しいという指名依頼をしたいからという事なのだ」

 

 そこで何故ダンジョン巡りをして欲しいのかという理由の説明が始まった。

 そもそもダンジョンとは何なのか、それは長年不明とされていたが近年になり邪神戦争の資料を解読して判明した事実からダンジョンの正体が判った事にある。

 

「ダンジョンとは邪神戦争における邪神軍の幹部達……邪神軍十二幹部の根城だった場所なのだ」

 

 邪神軍十二幹部、それは8000年前の邪神戦争で猛威を振るった邪神軍最高幹部12人の純魔族の相称。

 一人一人に“将”の称号を与えられた者達で、邪神戦争の折りに勇者によって10人まで倒されたことが確認されている。

 

「今回、そんな邪神軍十二幹部の元根城であるダンジョンを巡って欲しいのは邪神の封印場所の捜索のためだ」

「封印の場所……まだ判明していないんですか?」

「うむ……長い歴史の中で封印場所が何処なのかという情報は失われた。魔界と呼ばれる場所に封じたという事だけは伝わっているのだが、その魔界というのが何処なのか、どこかに魔界へ通じる道があるのか、その情報が失われている」

 

 大陸北部には嘗て邪神の領地だった危険地帯と呼ばれる広大な土地がある。

 最上級モンスターや上級モンスターばかりが生息しており、今まで立ち入った者は誰一人帰っって来なかったという危険極まりない場所、そこに魔界への入口があるのではないかと言われていて、これまで各国が調査隊を派遣したものの、やはり誰も帰って来なかった。

 

「危険地帯の調査が一行に進まない現状、もう一つの候補がダンジョンなのだ。ダンジョンは嘗ては邪神軍十二幹部の根城だった場所、もしかしたら魔界に通じる道がダンジョンの何処かにあるのかもしれない」

 

 勇者は旅立ったばかりで力も弱い。ならば今のうちに力ある者にダンジョンを調査して貰い、先に邪神の封印地を見つけて貰おうという事になったのだ。

 そして、国王が指名したのは剣佑。ゴールドランクへ僅か3年で辿り着いた才能ある強者として、是非とも指名したいとなったらしい。

 

「そういう事でしたか……因みに、期限は? それと依頼中に他の依頼を受けても良いかどうかです」

「期限は特に定めていないが……そうだな、1年以内にある程度の進捗状況を報告して貰えると助かる。それから別の依頼を受けるのは構わんよ。そなたも生活があるだろうし、ゴールドランク上級に昇級するのに依頼数は稼がねばならんだろうからな」

 

 それと、ギルドには特別にダンジョン調査に限り行きの際にもトランスポーター使用許可を出すよう通達しておいたとの事だ。

 ダンジョンは大陸各地に散らばっている為、移動だけで数か月掛かる事もある。なので調査の際にはダンジョンに一番近いギルドへ転移して向かう事が出来る。

 

「それは助かります。下手したら年単位で王都に戻れなくなるのかと思いましたから」

「ハハハハ! そこまで鬼畜な事は言わんよ」

 

 屋敷にクラスメートを住まわせている都合上、年単位で王都に戻れないというのは良くない。引き取った責任というものが剣佑にはあるのだから。

 

「ああ、それから、ダンジョン調査の際はそなたとフィリア嬢だけではなく、騎士団長のスウェンと、スウェンが指名した騎士アンナも一緒に連れて行って貰いたい。ダンジョンは昔よりダンジョンモンスターの数が増えているから何が起きるか判らん。幸いにしてスウェン団長は盾を使う騎士、壁役として十分役に立つだろう」

 

 なんと、ダンジョン巡り限定だが、スウェンとアンナが剣佑とフィリアのパーティーに参加してくれる事になった。

 スウェンの方を見れば、彼はすっと剣佑の方へ歩み寄り、右手を差し出してくる。

 

「よろしく頼む、ケンスケ、フィリア殿」

「こちらこそ、騎士団長とアンナが一緒なら心強い」

「よろしくお願いしますね、団長」

「ああ、それと……せっかくパーティーを組むのだ、スウェンで良い」

 

 ならばスウェンさん、と呼ぶことになり、フィリアも呼び捨てで構わないとなって親交を深めた。

 

「では、さっそくで申し訳ないがケンスケよ。最初のダンジョン巡りはいつにするか、どこへ行くか今から決めて貰いたい」

「今からですか? ……フィリア、どこからが良いと思う?」

「ちょっと地図見せて」

 

 剣佑が手渡した地図を広げて思案するフィリア、ルーンメイル王国から一番近い所が無難だろうと思っているのは間違いないが、ではどこが良いのかと考えているはず。

 やがて此処だろうという目星が付いたのか顔を上げたフィリアは地図上の〇が記されている箇所を指さした。

 

「ここ、ルーンメイル王国の北、ロッテマリン王国との国境沿いの山脈にあるダンジョンが良いと思うわ。寒くなる季節にはまだ早いこの時期なら、そこまで苦にもならないでしょう?」

「成程、確かに寒い時期に北には行きたくないからな……ケンスケ、どうだ?」

「賛成かな、俺も寒い中で剣を振るのは勘弁したいところだし」

 

 ルーンメイル王国から見て北にある隣国ロッテマリン王国は冬場は雪が降る程の寒冷国、当然だがそんな寒い国との国境付近はルーンメイル王国でも冬に雪が降る程度の寒さになる。

 なので、今のまだ暖かい季節に行った方が調査もしやすいし、戦いやすいだろうという判断だった。

 

「ここだと近場のギルドがある町はどこだ?」

「ここからなら……確か、ホルダー辺境伯領のジェミニオンって街があった筈だ」

 

 流石に地方の事に詳しくない剣佑を補うようにスウェンが捕捉してくれた。なるほどリーデンバーク子爵家の現当主の弟というだけあって、他の貴族の事も頭に入れているスウェンならではの知識というわけだ。

 

「冒険者ギルド、ジェミニオン支部……あったよな?」

「ええ、トランスポーターの転移可能場所の一覧に載っていたと思う」

「なら、そこで決まりだな。スウェンさん、アンナにも伝えて貰えますか? 最初のダンジョンはロッテマリン王国との国境沿い、ジェミニオンへの転移予定日は……そうですね、準備なんかの時間も考えて1週間後で」

「うむ、アンナにも1週間の間に準備させておこう」

 

 これで詳細が決まった。改めて剣佑達はフィリップスの方を向けば、話を聞いていたフィリップスも頷いて返す。

 

「ではケンスケ、フィリア、スウェン、それからここには居ないがアンナ、以上4名は1週間後、ホルダー辺境伯領ジェミニオンへ向かって貰う……無理だけはするなよ? 死なれては困る」

「重々承知しています」

「勿論です」

「この身は王家に剣を捧げた身、陛下が死ぬなと仰るのなら必ず生きて帰って見せましょう」

 

 こうして、ダンジョン巡りに行くことが決まった剣佑とフィリアは話し合いが全て終わってから王宮を出て、まずは武器・防具屋へ向かう事にした。

 フィリアの矢の補充もあるが、ダンジョン巡りに向けて注文したい物があるのだ。そこで訪れたのは二人にとって馴染みの店、バルト武具店というドワーフの店主が経営する店だった。

 そこでフィリアの矢の補充を済ませ、剣佑は以前討伐したブラックワーウルフの皮とミスリル鉱石を持ち込んで特注防具の製作依頼を出す。

 4~5日で注文の品は出来上がるという事なので、出発までの1週間は他の準備に当てられるだろう。

 

「しかし、ダンジョンか……」

「どうしたの?」

「いや……そういえば3年もこの世界に居るのに、ダンジョンは初めてだなと」

 

 剣佑が何を思っているのかとフィリアが気になって聞いてみれば、確かにそうだった。フィリア自身は何度か入った経験があるらしいが、剣佑は今まで一度もダンジョンに入った事が無い。

 単純に行く機会が無かったというのが主な原因だが、実はフィリアがゴールドランクになるまでダンジョンに行くのは止めた方が良いと最初の頃に教えてくれていたというのも大きいだろう。

 

「そういえば、そんな事も言ったかしら」

「ダンジョンは危険な場所だから少なくともシルバーランク以上が推奨されているって教えてくれただろ? それで、大事を取るならゴールドになってからの方が良いって」

「そうね、実際に私がシルバーランクになってから初めてダンジョンに入った感想がそれだったのよ」

 

 だからゴールドランクになるまではダンジョンには入らない。そう決めていた剣佑は、気が付けばゴールドランクの中級になっていた。

 流石にゴールドランク中級にもなればダンジョンに入るには十分な実力があると認められる筈だ。

 

「明日は買い物に行きましょう。ダンジョンに潜るなら必須のアイテムもあるから、その辺も買っておかないと」

「ああ、その辺の事は教えてくれ。何が必要なのかとか、色々と手持ちに無い道具とかもあるだろうしな」

「そうね、アンナも誘って3人で行きましょうか」

 

 忙しいスウェンは中々買い物に誘えないだろうから、アンナを誘って3人で買い物に行き、必要な物をアンナからスウェンに伝えて貰うのが一番効率が良いとなった。

 近くを見回っていた兵士にアンナへの伝言を頼んだ後、二人は屋敷への帰路に着く。これから始まるダンジョン巡りで、どんな冒険が待ち受けているのかを楽しみにしながら。




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