異世界転移して3年……クラスメートがクラス転移してきた!?   作:剣の舞姫

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今月中に書けるところまで走り抜けたい。


第13話「ダンジョンの闇」

異世界転移して3年……クラスメートがクラス転移してきた!?

 

第13話

「ダンジョンの闇」

 

 ビーストダンジョン地下2階、最初の広場にあった三つの扉の内、右側の扉を進んで数度の敵の襲撃を対処してしばらく、更に地下へ降りる階段を発見して降りた剣佑達は地下2階の探索を行っていた。

 

「せぇあっ!!!」

 

 2階の探索を始めて2時間程が経過した辺りで一行は大広間のような場所で中級モンスターの角の生えた熊“ホーンベアー”と狼男“ワーウルフ”に囲まれる形で戦闘に突入している。

 数にしてホーンベアーが10匹にワーウルフが30匹といった所で、既にホーンベアー2匹とワーウルフ5匹を倒した所に追加で剣佑がワーウルフを1匹斬り捨てた。

 

「ケンスケ! アンナ! 数が多い!! あまり離れすぎるな!」

「了解です!」

「わかった!」

 

 敵の数が多すぎてアンナと剣佑がスウェンとフィリアから少し離れすぎていたようだ。

 幸いにして剣佑がアンナと近い所に居たので互いにカバーしつつ二人の近くまで移動、その間にもフィリアが援護で放った矢がワーウルフ2匹を射貫き、スウェンもホーンベアー1匹を盾で抑えた隙に心臓部を突き刺した。

 

「アンナ! 後ろ!!」

 

 フィリアの叫び声が聞こえてアンナが目の前のワーウルフを斬り捨てて直ぐ背後を振り返ると、丁度襲い掛かろうとしていたホーンベアーの脳天を矢が射貫く所だったらしい。

 

「フィリア殿、申し訳ない!」

「気を付けなさい、迷宮は特に背後にも気を配らないと一瞬よ!」

 

 叱責を受けてアンナは己の首に巻いてあるチョーカーの事を思い出した。そう、これを巻いた理由を改めて思い返し、一瞬の油断が全てを失う事になるのだと気合を入れ直して横から爪を振るってきたワーウルフの攻撃を回避しながら斬り捨てる。

 そんな時だった。今まで地道に敵を斬っていた剣佑が残りの敵の数を凡そで数えて判断を下したのか声を挙げた。

 

「スウェンさん、アンナ! 武装スキルを使うからなるべく敵を一か所に集めてくれ!!」

「了解だ!!」

「任せてください!」

 

 まだ魔剣ルクスリアの武装スキルについて二人には教えていない。ただ、剣佑が一か所に敵を集めて欲しいと言ったからには一網打尽に出来るスキルなのだろうと即座に判断したスウェンとアンナが動いてくれた。

 スウェンは盾で敵を抑えつつ敵を自分の所へ集めるように動き、アンナはそれを見て自身も動き回りながら敵を引き付けつつスウェンの周りまで誘導、フィリアも弓で牽制しながら敵の動きを制限、スウェンの周りに敵が集まるように調節している。

 

「良いぞ!!」

「武装スキル、“色欲の剣”発動!!」

 

 魔剣ルクスリアが赤黒い光を放つと、すぐに変化が現れた。スウェンの周りに居た敵が次々と苦しそうにし始め、次第に血の混じった泡を吹きながら倒れて行く。

 

「こ、これは……」

 

 明らかな毒による中毒症状、それが残った敵全てに起きて全滅してしまった。

 

「色毒抱擁……姿無き毒婦に抱かれて眠れ」

 

 魔剣ルクスリアの武装スキル“色欲の剣”で発生した無色透明無味無臭の猛毒の気体による広範囲殲滅、持ち主である剣佑が操作しているので味方には一切の被害を出さず敵のみを毒殺する切り札だ。

 スケルトンやファントムなどアンデッド系特有の肉体を持たない敵や呼吸をしていない敵、それ意外にも毒に対する耐性を持つ敵などには一切の効果が無いという弱点はあるが、大抵の生物には効果抜群のスキルではあるのだが、剣佑自身は頼りきりになりたくないという理由で、どうしようもない場合を除いて基本的に使わない。

 

「す、げぇ……な」

「こ、これが魔武装のスキル……」

 

 人工スキルとは桁違いのスキルにスウェンもアンナも言葉を失っていた。魔武装自体が珍しい……というか、現在世界でも4種類しか発見されていない武装の為、魔武装のスキルを見るのもこれが初めてなのだろう。

 そもそも。魔剣ルクスリアを含む魔武装について改めて説明すると、魔剣や魔槍など魔の付く武具の相称で、世界のどこかで稀に発生する高濃度の魔素(マナ)が長い時間を掛けて武具の形に結晶化したものを言うのだ。

 魔武装の特徴として挙げられるのは一つ目がとにかく頑丈だという事だ。どれほど雑に扱おうと、どれだけ強い衝撃が加えられようと傷付かず刃こぼれせず、歪まない頑丈さを持つ。

 二つ目の特徴は魔力の通りが普通の武具、それこそ世界最高の魔法金属であるミスリルの武具よりも遥かに高い魔力親和性と頑丈さ、粘り強さを持っていて、それ単体で最高の魔法媒体として運用できるレベルにあるのだ。

 三つ目が必ず特徴的な武装スキルが備わっている点、今回で言うなら魔剣ルクスリアの“色欲の剣”がそれに該当するだろう。

 

「団長、確かルーンメイル王国にはケンスケ殿の魔剣ルクスリアの他にもう一つ魔武装の存在が確認されていますよね?」

「……ああ、魔鎧スロウスだな。他は隣国グラムハイト王国に魔槍イラの、東の大国ヴェルケン帝国に魔弓グラの、それぞれの所有者がいると聞いた事がある」

 

 今スウェンが挙げた名前が現在確認されている魔剣ルクスリア以外の魔武装の名前と、その所有者がいる国名だ。

 4つの魔武装、特に剣佑が持つ魔剣ルクスリアはつい最近発見されたばかりの物で、ルーンメイル王国に2つ目の魔武装があるのは不公平だ、譲ってくれという声がロッテマリン王国やその他の国から寄せられている。

 

「実際来た事あるぞ、ロッテマリン王国の貴族とかの使いが大金を出すから譲ってくれってな」

「でも、ケンスケは譲らなかったんだな」

「貴族に渡したらコレクションで終わりますからね。剣は使ってナンボ、飾る為に存在するのではなく使う為にあるんですから、それに既に俺の愛剣……剣士にとって剣は己の魂そのもの、何故コレクション価値しか見出せない貴族に魂を売らないといけないのか」

 

 この辺りは日本人故の考え方だろうか。日本人にとって刀は武士の魂という考えは遺伝子に刻まれたもの。

 刀と剣という違いはあれど、剣佑にとって己の命を預ける大切な相棒である以上、魔剣ルクスリアは既に剣佑の魂とも言うべき存在なのだ。

 

「剣士にとって剣は己の魂そのもの、ですか……良い言葉ですね」

 

 そんな剣佑の考え方にアンナが共感したらしく、彼女も改めて鞘に納めた剣を見つめて、そのまま抱き締めた。まるで、もうこの剣は己の魂だと、大切な相棒だと言わんばかりに。

 

「さてと、そろそろ移動しましょう?」

 

 いつまでも話してたら探索の時間が無くなるとフィリアが話を遮り雑談タイムは終了、一行は次の場所へ向かう為に大広間の奥にある通路を進んだ。

 通路は一本道になっており、時々扉が左右に見つかるが、どの扉も開けたところで何もない小部屋があるばかり、特に敵が潜んでいるわけでもなく、罠なども無さそうなので更に先へ向けて歩みを進めていると、一つだけ異質な扉が通路の右側に現れた。

 

「随分と、汚れているな」

 

 他の扉も埃などで汚れていたが、この扉だけは違う。埃以外にも何かの染みがあちこちに出来ていて、まるで何度も開けられたかのような形跡があるのだ。

 

「スウェンさん」

「わかっている」

 

 スウェンが盾を構えて、その後ろで剣佑とアンナが剣を構えた。フィリアも弓を構えて準備が整ったのを確認したスウェンはゆっくり扉を開き、途中から蹴破る勢いで中へ飛び込む。

 

「むっ」

 

 中に敵は居なかった。その代わり、あまり見ていて気持ちのいいものではないモノが広くも狭くもない中途半端な広さの部屋の床に転がっている。

 

「入って良いぞ」

 

 スウェンに言われ中に入ると、床に転がるソレが全員の視界に映った。

 

「人骨ですか」

「ああ、人間族や獣人族の物が多いな」

 

 剣佑の言葉にスウェンが回答する。そう、床に転がっていたのは無数の人骨だったのだ。年代は様々で古い物から新しい物だと2~30年は経過しているであろう物まで。

 

「女性の骨だな」

 

 転がっている骨の内、人間族の骨を見ていた剣佑が、全て女性の骨だと判断を下した。

 

「判るのですか?」

「大腿骨の付け根が長い、それに仙骨が短く幅広い。これは女性の骨の特徴なんだ」

 

 日本に居た頃、保健体育の授業だったかで男性と女性の骨の違いについて学んだ事がある。

 更に言うなら剣佑が通っていた道場では人体を効率よく破壊する術も教えていたので、ある程度の人体構造や骨の構造は学ばされたのだ。

 北辰一刀流のどこにそんな知識を必要とする技があるのかと、当時は師範に小一時間ほど問い詰めたくなったが、今はその知識が役に立った。

 

「ここは、女性冒険者が捕らえられてモンスターを産まされていた場所なのでしょうね」

 

 部屋の中を隈なく調べていたフィリアが床に落ちていた冒険者カードや黒いチョーカーを拾い上げながら呟いた。

 

「チョーカーに使用された形跡がある。捕らわれて自害したのは良いけど、死後も辱められたのね」

 

 そのチョーカーの持ち主は恐らくフィリアの足元にある骨の人物で間違いないだろう。比較的近年……チョーカーが使われ出した年代の物なので間違いない。

 

「こういった冒険者カードなんかの遺留品は見つけたらギルドへ依頼報告をする時に一緒に渡すのがマナーなの。場合によっては遺族の方から謝礼金が出る場合もあるけど、これは余談ね」

 

 冒険者カードを腰のポシェットに入れるフィリアを見て、それから周囲の骨を見渡したアンナは、ブルっと一瞬だが震えた。

 ここにある骨は、場合によっては自分の未来の姿を現している可能性すらあるのだ。万が一、ダンジョン内で捕らわれでもしたら、この骨の中に己も追加されるのだと。

 

「埋葬は、出来そうにないか?」

「無理でしょう。俺達がダンジョンコアを破壊しない限り、この遺骨たちを安全に運び出す手段がありません」

 

 もっとも、そのダンジョンコアがどこにあるのかは不明だ。ダンジョン最下層の最奥にあるとは限らない、ダンジョンの何処かにあるという事しか分からない上に、見つけるのも容易ではないのだ。

 8000年掛けて12カ所あるダンジョンの内、3カ所しかダンジョンコアを破壊出来なかったという事実が、ダンジョンコア発見が如何に困難なのかを物語っている。

 

「因みに、こういう部屋はここ一か所だけじゃない筈よ。もっと奥や下の階層まで進めばまだまだ同じような部屋があるはず」

「それは、当然でしょうね」

 

 ここ一か所の筈が無い。まだまだ捕らわれた女性を監禁していた部屋がどこかにあるのだろうが、わざわざ見つけるつもりは無い。

 そして、この日の探索はこれで終了だ。このままダンジョンに泊まるのも可能ではあるが4人パーティーでは朝まで交代での見張りも不十分なので、一度ダンジョンを出てジェミニオンまで戻る事に。

 ジェミニオンの宿で一晩泊まり、翌朝再びダンジョンに潜る事として一行は地上へ向けて歩き出すのだった。




次回はジェミニオンの宿での一コマの予定です。
剣佑とスウェンの語らいやフィリアとアンナのガールズトークなど。




因みにジェミニオンの宿には、温泉があります。
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