元親友の両腕欠損盲目TSっ娘がめちゃめちゃ依存してくる話   作:うしみつ

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過去回


再開

 

 

「はあっ……はあっ……!」

人通りの多いと通りを、必死で走る。

すれ違う人と体がぶつかる度に

嫌な顔をされるが、そんなものはどうでもいい。

 

「ハルっ…ハルっ…!やっと…やっと見つけたんだ!早く助けねぇと…!」

異世界に飛ばされて数年、色々な場所を訪ね、必死でハルを探してきた。

そして今日、やっとハルの居場所と思しき情報を手に入れることが出来た。

 

一刻も早く、その一心で、必死に走っている。

 

 

通りを離れ、裏路地に入ると目的の場所が見えてきた。

血と泥の匂い、生々しい会話の音が、神経を逆撫でする。

 

「…奴隷市…。ここに、ハルがいんだよな……」

 

市を歩き、その店を見つけた。

いかにも愛想が悪そうな店主に、ハルの特徴を伝える。

 

目が見えず、両腕がない女の奴隷。

 

 

信じたくなかったが、ハルを探し回っているときに得た情報だった。

 

しかし、現実は残忍だ。

店主が鎖を引っ張り連れてきた奴隷は、紛れもなくハルだった。

 

「っ……!」

「ホントにコレが欲しいのかい?お客さんよぉ」

「……はい。そうです」

「物好きだな。こんなクソの役にも立たない醜いブツを欲しがるなんて」

「……っ!そんないい方をするな「あー!うるさいうるさい、とっとと代金払ったら出てってくれ」

「…………」

 

 

 

店を出て、路地を歩いて家に帰る。

 

ハルは、俺の腕の中でぐったりとしていた。

助け出せて良かったという気持ちと、ハルが両目両腕を失ったという事実が俺の中で渦を巻き、感情がぐちゃぐちゃになりそうだった。

 

「う……ぅぅ………」

ハルがうめき声をあげた。

「おい!?聞こえるか…?ハル……!」

慌てて声をかける。

「あ……う……だ、れ……?」

「っ…!!ハル!俺だよ、ユータ!池田優太!お前と一緒に異世界に飛ばされた、親友の!!」

「え……?ユー、タ?ほんと、に?」

「本当だよ!!…今は、ハルからは目で確認出来ないけどさ」

「たすけ、きて、くれたの……?」

「そうだよ。こんなに時間かかっちまったけど…!」

「……………」

「…ハル?」

「う、うぅ…うわぁぁぁ……!ユータ、ユータぁ……!」

「っハル…!」

「ああああああああああ!!!」

 

ハルはそのまま、俺の腕の中で泣いていた。

そして、泣き疲れて眠り始めていた。

 

 

 

 

 

 

▲▲▲

 

家に帰り、眠っているハルをベッドにそっと下ろす。

 

「なんて事してくれてんだよ…!」

流石に怒りを抑えきれなかった。

ハルの両目と両腕を奪い、服で隠れている部分には鞭で叩かれたような傷跡や大量の青痣を残し、あげくの果てには使えなくなったからと奴隷商に売り払う。

 

人として終わっているな、と思った。

「俺が、もっと早くハルの事を見つけてれば………クソッ!」

 

心なしか、静かな寝息を立てるハルの表情は何かに怯えているように見えた。

 

「ん……うぅ…っ……や、だ……や、め…っ!」

「おい!?ハル?大丈夫か…!?」

「…………あ

ごめんなさいごめんなさいごめんなさいご主人様許して許して許して許して…っ」

「ハル!ここには怖いご主人様なんていない!!落ち着け!

抵抗しなくていいから!」

ハルが突然ベッドの上で暴れ出し、うわ言を繰り返し出した。

慌ててハルを抱き寄せ、必死になだめる。

 

「はあっ……はあっ……はあっ……やめてくださいお願いしますお願いします…………

痛い……痛い…い、やだ、……やだぁ……うぅ………」

 

ハルはしばらく腕の中でじたばたしていたが、やがて疲れたのか大人しくなってくれた。

 

「ハル…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局、ハルはそのまま、毎日泣き叫んだり暴れ出したりして、必死で俺がなだめる、という生活が続いていた。

 

前の《クソ野郎》|ご主人様|は、ハルの体だけではなく、心までズタズタにした。

その事実が受け入れがたく、やり場のない怒りが、日々溜まって行く一方だった。

 

この生活がずっと続くと考えると、暗い絶望に突き落とされたような感触がした。

 

 

でも、ハルはちゃんと戻ってきてくれた。

 

 

 

▲▲▲

 

ある日の朝、いつも通り目を覚ました。

横を見ると、ハルがかすかに動いているの分かった。

また同じように怯えられるのか、と思いながら声をかける。

「…ハル、起きてるか?おはよう」

「…………ぁ、ユー……タ…?」

「っ…!?は、ハル……?分かるか?俺、ユータだよ…」

「……う、ん。分かる…よ。ずっと……僕のこと、世話してくれてたん…だよね?ユータ」

「っ…!そうだよ。ハル…やっとちゃんと名前呼んでくれたな…!」

ハルが、ちゃんとした意識を取り戻してくれた、まともに会話出来る様になった。

それが、どうしようもなく嬉しくて、気付けば涙が出ていた。

「ハルっ…!」

「…んっ…ユータ………!」

ハルのか細くて小さい体を、ぎゅっと抱き締める。

ハルの心臓の鼓動や、呼吸の音が鮮明に聞こえて、そこにハルが生きているということを証明していた。

 

「ユー、タ…ちょっと…くる、しいよ、ぎゅって……しすぎ」

「いいだろ。やっと戻ってきてくれたんだ。……もう絶対、離さないから」

「っ…………!!!………ユータ!!ほんとに、ありがとう。助けてくれて…。もう、離さないでね……?」

 

俺達はそのまま、ずっと抱き合っていた。

 

 

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