我だ。
ヴェルドラ=テンペストである。
リムルとエルロックは洞窟を出る道中に人間の言うAランクの魔物である嵐蛇や、力の有無も分からぬ雑魚が襲いかかって来たが、『捕食』や『吸収』等をしてその
味を感じない事に感謝しつつ『魔力感知』を切って目を閉じて、嫌そうに食べたリムルと、淡々としながら死んだ魔物の魂を回収し、吸収するエルロックの対比は愉快過ぎて笑いが止まらんかったわ!。
そもそも『捕食』の
残念ながら我はリムルの感覚を通して見聞きする事しか出来ぬので、この勘違いを正してやれぬのだ。
見ていて面白いし、元々は人間であったのだから感覚が違うのも無理はないからな。
……そう考えるとエルロックが淡々と吸収しているのに疑問が出るが、曾孫程歳の離れておるようだし、年季の違いというヤツかもしれぬな。
そして、また。
ランクCのジャイアントバットを『捕食』した際、面白い事を始めおった。
いつものように
敵を惑わす『超音波』を、用途外使用しおったのだ。
具体的に言うと、音波発生器官だけを再現し、声を出せるように改良しおったのよ。
エルロックの方は見えないが内部の辺りが人間の口のように変形し、内部の音声を拡張して喋っておった。
エルロックが言うにはすぴーかー?なるものと似たようにしたらしいな。
器用な真似をすると関心した。
そんな真似が出来るのなら、食事する魔物の舌を再現し味覚も手に入れれば良いと思うのだが、それには発想が思い至っていない様子。
多分だが、腹が減らぬ事と人間であった頃の忌避感から、無意識に排除しておるのだろうな。
まぁ我も生肉を齧る人間をあまり見た事が無いから理由も察せるものよ。
そうこうしている内に自分達の力を確かめ、洞窟を出たようだな。
エルロックは我と出会った時のように
途中狼の魔物、おそらく牙狼族と出会い、リムルの
それはそうだろうよ。我の
更にいえばAランクの魔物を容易に倒す魔物の
しかし、エルロックに気づいた筈なのだがエルロックを見向きもしなかったのには気になるな。
何処かに隠れているか偽装しているのならば、
……いや、最初はエルロックを見て目を見開いたか。
つまり、エルロックは自分自身を認識出来なくする
その後はエルロックも
……ううむ、仕方がないとは思うがここら辺ではEからCランクが普通だと思うのだがな。
先程の牙狼族もCランクの魔物であるし。
そこら辺の説明もしてやるべきだったか。
む?思考している間に矮小なゴブリンなぞに囲まれ、戸惑っておる。
我なら既に皆殺しにしておるが、リムル達の判断は違うようだな。
少しの交渉の後、リムル達は
ほんの僅かに漏れ出てはいるようだが、これならば低級の魔物レベル、具体的にはFランクくらいだろうな。
このゴブリン共にも舐められる……と思ったら話しは変な方向に。
ゴブリン共に忠誠を誓われ、助ける事になった様子。
なんでそんな事になるのから我にはさっぱりわからない。
我の前にも立てぬ……いや、そもそもの話しこの世の覇者たる我に相応しい振る舞いと思えなかったからこそ、考えもつかなかったのだな。
しかし、力あるリムル達は、迷わずそれを選択した。
その結果我と違って孤高ではなくなっておる。
我は自分の生き様を後悔してはおらぬが、人間達の様に交流などをしていたら、もしかしたら違う
このリムルとエルロックの行動は、そんな事を我に思わせたのだった。
✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎
さてさて、村の護衛を請け負ったリムルとエルロックだが、最初に行ったのは傷ついた者共の治療と柵の設置だった。
我の
こやつ、この世界に転生したばかりであろうに、どこでそんな知識を身に付けたのであろう?。
我と話しておった時も誰かと相談している風であったし、ひょっとして……。
エルロックも何かしら話しをしていたし、彼奴等もしや似たような
なにせ、我が囚われている『
何かもう一つの隠し玉を持っていると考えるべきなのだ。
何かしらの情報を解析し提示する……それこそがリムルの持つ
流石に
となるとエルロックもリムルと似たような解析して提示するので無く、何かしらの情報を提示する
何かを考えてはいたが、雑音が酷く聞き取れなかったしな。
やはり、エルロックもリムルと同じく不用心なようでいて、思った以上に用心深いようだ。
やはり面白いヤツらだな。
我が考え込んでおる内にエルロックは敵意や意思を感知する
リムルの指示でBランクの魔物ブラックスパイダーから奪った『粘糸』を網の様に張り巡らせ、『鋼糸』も用いて補強と罠を仕掛けておる。
思わず感心する仕掛けだが……。
どうやら生前に読んだ漫画や小説で得た知識らしいな。
表層心理を読んでも、盗み聞きを感知され妨害されてしまったわ。
エルロックも同様に雑音しか聞こえんし、やはり何か隠している
仲良くなったというのにつれない親友達だ。
まぁそれは置いといて、漫画や小説?。こっちの方が気になるぞ。
他にも映画やアニメなんていう言葉もあり、我の知的好奇心をバシバシと刺激しておる。
……そういえばエルロックの姿も漫画のらすぼすなるものと瓜二つだと話しておったな。
これは調査が必要である。
我は『
これも抵抗があったが、知的好奇心を満たす為に我は必死に頑張ったのだ。
その甲斐あってか、深層記憶野の一部情報が解禁され、情報共有もより円滑化されたのだが、それはまぁ好都合。
いずれはエルロックの深層記憶野へも接続すると野心を燃やしたのだよ。
そして得た情報の宝庫は素晴らしかった!。
この世界は娯楽文化に乏しい故に、この感動は衝撃的だったのだよ。
このようにして得た知識をリムルとエルロックは活かしておるのだろうな。
今のような状況にも役立つ素晴らしい知識よな。
戦闘状況を見てみれば、エルロックの
……
しかし、長の発言でわかったな。
エルロックは自身の情報の隠蔽……いや、自身の存在を記憶から無くす
それを持っているのは間違いない。
そして麻痺から動けるようになった数頭の狼は鋼糸に切り裂かれ、エルロックの放った玉に魂が収納された。
恐ろしい
何かしらの魔物に転生させるのだろうか。
そうこうしている間に長はリムルに討ち取られ、魂もエルロックに回収されておった。
その後は狼共……いや、牙狼族は仲間になり、かなりの大所帯となったな。
んん?エルロックが何やら凄まじい速度で石材を彫っておるな。
狼の獣人の石像?。
もしや!死んだ牙狼族を転生させるつもりか!。
話しを聞く限り、リムル達の読んだ漫画の登場人物を元に彫った新たな
狼岩魔人か。なかなか強そうな魔物ではないか。
狼岩魔人の特徴を観察しておったら、急激な脱力感。
何が起きた!?と慌てて意識をリムルに向けると、何やらゴブリンや牙狼族を並べて一人一人に名前を授けておったのだ!。
アホーーーッ!?と誰に聞かれるまでもなく絶叫したのは、言うまでもなかろう。
この名付けという行為、魔物と人では異なる。
一種の契約の様なもので、親子よりも強い絆で両者を繋ぐのだ。
だがこの行為は、よっぽどの信頼関係が無ければ行わぬ。
我がリムルやエルロックと名付けあった様に相互の力を交換しあうようにせねば危険が大きいからだ。
何しろ力を分け与える行為であり、当然与えた側は力を相応に低下するので、我のような上位者でも滅多に行わないのだ。
それをこのリムルのアホは……ってエルロックも狼岩魔人に名付けを行っておるわ!
リムルは自身だけでは無く、我の
思わずリムルへの怒りが吹っ飛んでしまったわ!。
自身の
しかし、微かに得られた情報にはエルロックもまた、
それがリムルが
あ、ちなみにエルロックが嵐装天鎧などの