転生したら岩だった件   作:ぱのらま

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岩手にクマが出没するので、怖くて用事が済ませられないチキンな作者です。

今回は英雄ヨウムが登場します。
多分原作よりは強くなるけど、胃はお釈迦になります


英雄の代償(胃)

 

魔国連邦(テンペスト)で魔王ミリムが餌付けされていた頃、ある理由から首都リムルを目指す一行が、窮地に陥っていた

 

「なんでこんな目にいいいいいっ!」

 

「お前が槍脚鎧蜘蛛(ナイトスパイダー)の巣を面白半分に突っついたからだろうが!!」

 

「死んだらカバルの枕元に出てやるんだからね〜〜~っ!」

 

「そりゃ無理ってもんだ!ってこのやり取り前にもしたな!」

 

「あっ、あの人は!」

 

ズシンッ、バラバラ

 

「君達は前にも巨大妖蟻(ジャイアントアント)の巣にちょっかいをかけていなかったかい?」

 

「エ、エルロックさん!。何したから分からないけど槍脚鎧蜘蛛(ナイトスパイダー)の無力化ありがとうございます!」

 

「助かったが、貴方は魔物の町の主で間違いないか?」

 

「私は君達の言う町の主であるリムル君の補佐をしているエルロックだ。今は人間の姿だが……」

 

ピシッ、パキッ

 

「この姿であれば魔物だと分かるかな?」

 

「……多分岩魔人(ロックマン)ですよね?。余りにも精巧な造形だから、魔人形 (ゴーレム)と見間違えてしまいそうですが」

 

岩魔人(ロックマン)は自然発生で、魔人形 (ゴーレム)は何かしら手を加えられて生まれた存在だから、あっているよ。ちなみにこの先は町では無く、 魔国連邦(テンペスト)という 樹妖精(ドライアド)や武装国家ドワルゴンに認められた国だね」

 

「なっ、国だと!?エレン、カバル、ギド!お前達の報告には無かったぞ!」

 

「そ、そんなぁ……」

 

「確かにあっし達が来た時は町を作ってる途中だと」

 

「あぁエレン達を責めないで欲しい。私達の国は凄まじい速度で作られたし、 樹妖精(ドライアド)やガゼル王に認可をもらったのもつい最近なんだ」

 

「だよな?俺達が可笑しいんじゃないよな?」

 

「……にわかには信じがたい。しかし、実際に見たエレン達の証言に、話しに聞いたエルロック殿の 固有能力(ユニークスキル)が有れば不思議では無いのか……」

 

「まぁね。…さて、そこにいる彼等を助けようとしていた男前の君。出てきてはくれまいか」

 

「チッ…なんだよ、気づいてたのかよ」

 

「警戒を怠らず様子を見ていたのは素晴らしい。だが、君達の警戒心から伝わってくるよ。君達の目的はジュラの大森林の調査だろう?。エレン達にフューズさんに、ヨウム君や仲間も着いてきたまえ。疑問について話そう」

 

「……あぁわかったぜ(俺は名乗っていないし、俺だけで来たのに他の奴らの事も把握してやがるな。素直に着いていくか)」

 

「よし、じゃあゴブタ君達。槍脚鎧蜘蛛(ナイトスパイダー)の搬送たのむよ」

 

「わかったっす!運びやすい様に雷鬼丸で小分けにしたっすから、そこの人達も無理の無い範囲で頼めるっすか?」

 

「は、はい!」

 

「急展開の連続で訳が分からないが、危機は過ぎ去って用事が済ませれそうだな」

 

 

 

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「リムル君、お客さんだよ」

 

「お、おう。エレン達と他は誰だ?」

 

「ブルムンド王国自由組合支部長(ギルドマスター)のフューズさんと、ファルムス王国の調査団の方々だよ」

 

「先に説明をされてしまいましたが、私の名はフューズ。自由組合支部長(ギルドマスター)をしております。私の目的は貴方に会うことですので、エルロック殿に案内を頼んだのです」

 

「俺に会いに?」

 

「今から十月ほど前になりますが、森の調査を依頼したこいつらから報告を受けました。まずはギルドの英雄を死の淵からお救い頂き、感謝の念に耐えません。お礼が遅くなり申し訳ない」

 

「ご丁寧にどうも、でもわざわざそれを言う為に来た訳じゃないでしょ?」

 

「えぇ、まあ。数ヶ月前のことです。ブルムンド王国の自由組合(ギルド)の中で 豚頭帝(オークロード)出現の噂が流れました。そして調査の結果、それが事実であると判明したのです」

 

「ふむふむ」

 

「対策に追われ浮き足立っていた頃、執務室に突然その男が現れました。彼はこう言いました。「リムル様からの伝言だ。悪い悪い、言い忘れてたわ。 豚頭帝(オークロード)の件は片付いた」と。エレン達の報告でスライムのリムル殿が町を収めているのは知っていましたが、まさか 豚頭帝(オークロード)に対処していたとは知らず、こうして確かめに参ったのです」

 

「それで 豚頭帝(オークロード)を倒したという魔物を新たな脅威と仮定し、この国に来た訳だね?」

 

「そうです。聞いた話しによれば、かの英雄王ガゼル・ドワルゴがこの国に来て、盟約を結んだとか。それにこのジュラの大森林を守護する 樹妖精(ドライアド)にも認められているとか。かの賢王が魔物の町を一国家として認めたのであれば、我々も貴方達を見定めなければなりません」

 

「なるほどな。確かに近隣諸国にとって一大事だもんな」

 

コンコン

 

「失礼します、リムル様。例の回復薬の売り方についてですか───あっ、失礼。来客中でしたか」

 

「悪いなベスター、後で聞くよ」

 

「いえいえ、では後ほど」

 

「ベスター…まさか!ドワルゴンの大臣のあのベスター殿か!?」

 

「そうだよ?元大臣だけどな。今ではカイジンと双璧をなすウチな優秀な研究者兼技術者だ」

 

「あの伝説の鍛冶師まで!?」

 

あ、固まった。

確かに長い間名を轟かせた存在がこんな出来立てホヤホヤの国に居たら、驚くよな。

 

ちょっと時間か必要そうだし、ファルムス王国の調査団に話しを聞くか

 

「で、そっちの兄ちゃん達は何しに来たんだ?。エルロックの話しだと、ファルムス王国の調査団なんだよな?」

 

「……その前に聞かせてくれ。なんでスライムが喋ってるんだよ。そっちの岩魔人(ロックマン)も普通知性の無い魔物で喋ってる事に凄い違和感あるんだよ」

 

そこかよ

 

「だっておかしいだろ!。なんで誰もつっこまないんだよ!?。スライムに岩魔人(ロックマン)だぞ!?。後ろの強そうな奴らを差し置いてなんでこんなぷるっぷるなのが偉そうにしてんだよ!。まだそっちの岩魔人(ロックマン)の方が偉そうな外見しとるわ!」

 

ごもっとも

 

「リムル様に無礼ですよ!。あと確かにエルロック様は素晴らしい造形ですが、リムル様もそれはそれは可愛らしいお姿なのです!」

 

「おっと、ここからは私が話そう。私とリムル君は君達の言う異世界人なんだよ」

 

「異世界人……?」

 

「召喚者や転移者とは違う、死後に魔物に転生したのが私達だ。死に際に思った事を世界が汲み取ってね。リムル君は刺殺されて血が止まらなかったから、血が必要無いスライムの身体になった訳だ」

 

「そんな事があるのかよ……。それじゃあアンタは何を思って岩の身体に?」

 

「私の場合はこの世界にあるかは分からないけど、身体が徐々に石化する病にかかってね。私以外発症した事の無い病気だったのと、当時は103と高齢で身体が持たなかったんだ。そして死に際に書物で読んだ岩の老人を思い浮かべていたら、この身体さ」

 

「身体が岩ぁ?初めて聞くぞそんな病気。ってか103だと?。普通に病気じゃなくてもぽっくり逝くだろ。アンタよく生きてたな。エルフとかドワーフだったのか?」

 

「私達の世界にエルフもドワーフも魔物も存在しないよ。居るのは人間とその他の動植物だけだよ。まぁ様々な怪異や亜人の伝承が世界各地にあるから、もしかしたら知らないだけで居るかも知れないけどね」

 

「なるほどな……、スライムと岩魔人のアンタ達に知性が有るのも、元人間だったら理解出来るし、確か異世界人は世界を渡る際に能力(スキル)を得るって話しだから、アンタ達が強い理由にもなるか」

 

「分かって貰えて嬉しいよ」

 

「さて、話しが脱線しちまったな。なんでか分からねぇけど、お察しの通り俺達はファルムス王国の調査団だ。俺は団長のヨウム。でこっちは」

 

「私はお目付け役のロンメルといいます。ここからはヨウムに変わってお話ししますね。こちらに来たのは成り行きですが、調査対象の 豚頭帝(オークロード)が既に居ないと知れたのはラッキーでした。目に見えて危険な調査ですのに、領主は強欲で、寄せ集め集団にまともな装備など揃えてくれませんでした…」

 

ははぁ…正規の軍隊じゃないのか。

通りでガラの悪い連中が多いと思ったよ

 

「よく逃げ出さなかったよな」

 

「その為に私が同行を命ぜられました。契約魔法という強制的に従わせる術がありますので、それで縛るのです」

 

うわぁ…ブラック

 

「ま、その魔法はもう解いちゃったんですけどね」

 

「それは大丈夫なのかい?。君は領主の命で同行しているのだし、彼等から恨みをぶつけられたり、逃亡を許すのではないかね?」

 

「…そうですね。ですが私はこのヨウムについて行くと決めたのです。それに、他の調査団の面々も行儀は悪いですが、誰ひとりとして問題は起こしていないでしょう?」

 

「確かに飲み食いして騒いでいるけど、それぐらいだな」

 

「私も彼等もヨウムを中心として、この任務についているのです」

 

憧れの選手を見る少年の目をしているな……。

しかし、それなら尚更…

 

「どうして逃げようとしなかったんだ?」

 

「ああ?」

 

「危険な調査に安い装備で送り出されたんだろ?。聞く限りじゃ雇い主は成功報酬を奮発するタイプとも思えないけどな」

 

「んなこた分かってるよ。 豚頭帝(オークロード)の情報を教えてやらねぇと、街の人が危ねぇじゃねーか」

 

あれ、コイツ…

 

「あの町にゃ説教くせぇジジイや酒場のお節介なババアや、あとを着いて回るうぜぇガキ共だって居るんだ。勘違いすんなよ?。あいつらが死んだら目覚めが悪いと思っただけだ」

 

言葉遣いや態度はすこぶる悪いが、実は結構良い奴なんじゃないか?

 

「ま、あのタヌキ伯爵が困る姿は見てみたいけどな。ロンメルから聞いた話しじゃ、防衛の強化に充てるべき国の援助金も着服してたってんだぞ?」

 

「つまり何の対策もしていなかったところへ 豚頭帝(オークロード)出現の話しが出て、慌てて我々が編成されたんです」

 

「そもそもだな…。危険極まりない調査にこんな若造使うか?。もっと熟練の魔法使いの1人や2人抱えてんだろうが。結果だけ分かれば良いって魂胆が丸見えなんだよ」

 

「なるほどね。あまりにもわかりやすい愚物なんだね。君達の上司は。ロンメル君や他のメンバーが君を慕い、従う理由はわかったよ。済まなかったね」

 

「ん?なんでアンタか謝るんだ?」

 

「いやね?今は国として成り立ち、森の見回りを徹底しているけど、君達の様な何も知らなかったからこそ割を食う者たちが居ることを失念していたからさ」

 

「しかし、お言葉ですがエルロック様。我々 豚頭族(オーク)…いえ、オレが起こした騒動を解決した事を各国に正直に宣伝しては、要らぬ厄介事が押し寄せてしまいます」

 

「それはそうだね。今だって彼等を能力(スキル)で調査したからこそ話しているのだから」

 

「待てよ、お前が起こした騒動ってのはなんだ?。お前は見た感じ人間にしか見えねぇが……」

 

「……そうだ。先程言った言葉は失言でも無く、誤りでも無く、事実だ。お前達がオレのせいで来たのであれば語らなければならない。オレの名はオリガ。かつて 豚頭帝(オークロード)であった王ゲルドが転生した存在だ」

 

「なんですと!?どういう事ですか!。リムル殿、エルロック殿!」

 

「彼等は飢饉による飢餓により、 豚頭族(オーク)の王であるゲルドが、自らの再生力を宛に自身の身体を文字通り切り売りして、 豚頭族(オーク)達に与えていた。しかし、それだけでは持つ訳もなく、豊かな実りのあるジュラの大森林へと向かう事を決意した」

 

「つまりジュラの大森林を荒らしにやって来た訳か?」

 

「それは違う。森の恵を分けて貰えるように交渉に行こうとしていたんだ。しかし、力尽き倒れたゲルドは名のある魔人の悪意により、ゲルドの名を与えられ、恐るべき 固有能力(ユニークスキル) 飢餓者(ウエルモノ)を獲得した。それにより尽きぬ飢えと食欲に支配されたゲルドと配下であるオーク達は、肉体や精神の疲弊により、 飢餓者(ウエルモノ)に抗えずに森を食い荒らす様に進行していたんだ」

 

「つまり、悪いのは 豚頭帝(オークロード)や配下であるオークでは無く、その魔人であると言いたいのですか?」

 

「魔人は確かに発端ではあるけど、実際に森を荒らした罪は消えはしない。故にオーク達はこの国で重労働をしているし、オリガには一年間週2日の休憩以外寝食を禁止して働いてもらっている。今日は仕事だったけど、この場に居る時間は追加で後で働いてもらう予定だよ」

 

「いやいや、待てよ。飲まず食わずでどうやって活動してんだよ!」

 

「彼は人間に見えるが岩魔人の一種である軍岩魔人という種族だ。故に食事も不要だし、寝ずの仕事が可能で、精神苦痛耐性もあるから狂わない」

 

「……被害にあったのはジュラの大森林だし、俺達人間は被害にあってないけどよ。アンタは良いのか?」

 

「構わぬさ。オレが不甲斐ないばかりに民達を苦しめ、悪意に踊らされる形で、森を荒らしたのだ。寧ろこれからの生を飲まず食わずで働き続けても足りないと思うくらいなのだ。故にオレの命はこの国と共に在り、この国の為に身を粉にするつもりだ」

 

「……確かにアンタは森を荒らした罪人かも知れねぇけどよ、俺達を派遣した伯爵よりも出来た王サマだと思うぜ?。…正直ファルムス王よりも出来た王サマだよ

 

……ファルムスの国王はあんまり良い王じゃなさそうだな。

警戒しておくか

 

「しかし……何度観ても人間にしか見えませんが、これがシズ殿を救った能力(スキル)なのですか?」

 

「私は生前に彫刻家として名を馳せた結果、 固有能力(ユニークスキル)彫刻家(ホリダスモノ)を獲得したんだ。彫り出した彫刻の出来が良ければ良いほど、魂が宿りやすいんだ。シズは私の妹だし、生前に何度も彫っていたからかなり楽につくれたよ」

 

「確かにエルロック殿の人間の姿はシズ殿と似た容姿をしておられましたな。兄妹でこの世界に居るのはかなり珍しいですが、シズ殿も80年ぶりに会えて嬉しいと喜んでおられましたよ」

 

「はぁ!?ギルドの英雄とアンタが兄妹?。どんな確率だよそれ」

 

それはそう。これに西方聖教会の聖騎士団長のヒナタ・サカグチも加わるから、なんかやばいよな。

まぁ言わないけどさ

 

「私が20代の頃に此方に召喚されたんだ。当時は戦時中だったし、まだ幼かったから結果的には良かったのかもしれない。まぁ知らなかった当時は精神的に追い詰められて、何度も探し、忘れぬ様に絵や彫刻を作っていたんだけどね」

 

「……そういやアンタは妹と長い間離れ離れだったんだな。一緒に生活しなくて良かったのか?」

 

「まぁシズにも生活があるし、教え子とか居るらしいからね。あと私の能力(スキル)でいつでもシズと会話出来るし、召喚出来るから大丈夫かな」

 

「ま、これで 豚頭帝(オークロード)の件は片付いたし、気が楽でいい」

 

「そういえばフューズさん」

 

「はい、なんでしょうか」

 

豚頭帝(オークロード)が倒された件は、ブルムンド王国では広まっているのかい?」

 

「いえ、使者殿が来た時にその場に居合わせたのは、私とこの3人だけです。知らせたのはブルムンドの国王と、一部の大臣のみで、一般に発表はされていません。確かな情報を得る前に発表しては混乱を招きますので…」

 

「なるほどな、それなら好都合だ。よし決めたぞヨウム君」

 

「あ?なんだよ」

 

「君、英雄になる気はないかね?」

 

「英雄になれだって?。この俺に…?なに言ってんだアンタ…」

 

「別に強制じゃない。これはお願いだよ」

 

「つったって……」

 

「そこのフューズさんが言ってたろ?。 豚頭帝(オークロード)倒したのが魔物じゃ脅威が去ったとは言えないって。ヨウムとその仲間達が 豚頭帝(オークロード)を倒したってことにしてもらいたいんだよ」

 

「はあ……!?」

 

豚頭帝(オークロード)に挑もうとする勇敢な若者達を支援し、武器、防具、食料を提供した魔物達の国」

 

「私達は人間や魔物が仲良く暮らす人魔共栄を望んでいる。 豚頭帝(オークロード)程の強大な魔物を倒す魔物よりも、 豚頭帝(オークロード)という強大な魔物を討ち果たした英雄の方が良いのさ」

 

「……その計画、ブルムンド王国も協力できるかもしれません」

 

「え?ホントか?」

 

「知り合いの大臣に掛け合えば、周辺諸国へ噂を流すことくらいは出来るでしょう」

 

「…っ、アンタまでなにその気になってんだ!」

 

「君の困惑も理解出来る。だが、彼等との友誼を得ることは人心の混乱を避ける以上の意味がある」

 

「どういうことだよ」

 

「君も先程見ただろうが、軍岩魔人のオリガの様なおそらく 豚頭帝(オークロード)としての力を保有する強大な魔物。そしてこの国の一万余は一人残らず全て 名持ちの魔物(ネームドモンスター)という無視出来ぬ現実がある。彼等かその気になれば、この場に居る我々はおろか、国が一つ滅びてもおかしくない」

 

「……それは」

 

「先程の計画、私としては前向きに検討したい。もちろん貴方達が本当に人間の敵では無いことが大前提ですがね。シズ殿の兄君であるエルロック殿が所属し、同じく元人間のリムル殿が治める国である以上、おふた方のことは信用出来ますが、他の方々は分かりませんので」

 

「それは当然だな。なんならしばらくここに滞在するといい。この国の事をもっと知ってもらいたいし」

 

「ああ、それは助かります」

 

「君もなヨウム君、この計画の要は君だ。良い返事をもらえたら嬉しいが無理強いする気は無い」

 

「…ガラじゃねえよ。俺に勇者の真似事でもしろってのかよ」

 

「“勇者”は駄目だぞ」

 

おや、ずっとお菓子を食べてジッとしていたミリムが口を挟む案件なのか?

 

「あれは魔王と同じで特別な存在なのだ。勇者を自称すれば因果が巡る。長生きしたければせいぜい“英雄”を名乗ることだ」

 

そんなルールがあんの!?。

っていうか魔王も勝手に名乗ったら駄目なのか。

 

ミリムに乗せられてうっかり名乗ってたらどうなっていたことやら……

 

「勇者を自称するとどうなるんだい?」

 

「む?いずれ魔王と戦うことになるだろうな。魔王と勇者は対の存在故に、必ず対となる魔王と勇者で戦う運命にあるのだ。ワタシの対となる勇者は知らぬが、確かギィとルドラがそれにあたるな」

 

「……私は何も聞かなかったことにします。東の帝国の皇帝と同じ名前な気がするが、多分きっと気の所為だな。はは……

 

「ガ、じゃないアンタは魔王なのか?」

 

「ワタシは魔王ミリム・ナーヴァなのだ。お前は運が良いな!滅多に会えぬのだぞ?」

 

「彼女は最近テンペストに住む様になったんですよ。暴風竜ヴェルドラさんの姪っ子さんですね」

 

「暴風ッ!?わ、わかった。色々情報が押し寄せて頭がおかしくなりそうだ……」

 

「今日は色々あって疲れたろ?。ゆっくりでいいからちょっと考えてみてくれ」

 

「…外に出てもいいか?」

 

「もちろんだ」

 

 

 

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「── 豚頭帝(オークロード)の軍勢に見つかり、調査団は全員死亡…。伯爵にはそう伝えろとヨウムさんに言われました」

 

「なるほどな、死んだことにすれば追手もかからないか」

 

「はい、私は報酬を貰ったうえで彼等と合流する手筈でした。団員達を前にヨウムさんは言ったんです。ファルムスに戻っても、元の強制労働が待ってるだけだ。それが嫌なら俺に着いてこいと」

 

「なかなか言える言葉では無いね。元々誰かを率いるリーダーシップ溢れる人のようだ」

 

「な、男前だよな」

 

「でも、不思議と説得力を感じたんです。その時にはもう、彼が仲間を大事にする男だと知っていたからでしょうか」

 

 

 

 

 

 

 

「お兄さん、これどーぞ。エルロック様考案のフィレオフィッシュって料理です。良かったら感想聞かせてくれると嬉しーです!」

 

「お、おう。パンで揚げ物を挟んだ料理か。初めて見たな」

 

ふわ、ザクッ、トロリ……

 

「うっっっめぇ!!。初めて食べるソースだけどコクがあってまろやかだし、この魚のフライも絶品だな!」

 

「でしょ?リムル様も絶賛した料理なんだから!。良かったわねミガルーサ!」

 

ミガルーサ! (ワイの自慢の白身は美味いか?)

 

「……なんだ?空中を泳ぐ魚の魔物か?。あとお前の白身って言ったか?。ってかなんで言葉が分かるんだよ!?」

 

「この子はミガルーサといってエルロック様が生み出した岩魔獣(ロックモン)という種族の魔物よ。まぁ説明するよりも見せた方が早いわね。ミガルーサ!」

 

ミガルーサ! (みをけずる!)

 

バラバラ……

 

「っとナイスキャッチよ!ゴブイチ」

 

「お、おい?大丈夫か。骨見えてるが…」

 

「この子は贅肉を切り離して、精神を研ぎ澄まして戦う生体なのよ。魔力も高まるしね。それに」

 

ミガルーサ!(安心せいや、あんちゃん。じこさいせい!)

 

「うおっ、急に身体が治ったぞ!?。だ、大丈夫なんだよな?」

 

ミガ(あんちゃん以外と優しいんやな。) ミガルーサ?(でも大丈夫や!治ったやろ?)

 

「ちなみに言葉が分かるのは思念伝達って能力(スキル)の応用らしいわ。詳しい事はエルロック様に聞けばわかると思うわ」

 

「そ、そうか。……なぁリムルさんやエルロックさんてどんな人なんだ?」

 

「そうねー、なんて言うのかなー。あ!とっても大きなお方かな。リムル様は見た目は小さくて可愛らしいんだけど、私達を救ってこんな豊かな暮らしを与えてくれたし、エルロック様は様々な脅威からこの国を守り、敵対する者にも慈悲をかけてくれるのよ?」

 

「まぁ確かにまんまるしてて…可愛いのか?」

 

ドン!

 

「いってーな!なんっ…」

 

「すまない。周りをよく見て歩くべきだったな。パンからフライが落ちてしまったな…。申し訳ない事をした」

 

ミガルーサ!(ほんまやで!ワイの白身やぞ!)

 

オーク…?。あのオリガってやつも理性的だったし、オークってこんな魔物だったっけ!?。

 

逆に体格と相まってすげー強そう……

 

「詫びだ。フィレオフィッシュだけでなく、ミガルーサのフライの入ったのり弁と、スモークサンドイッチを食べるといい」

 

「いやいや、多すぎだろ!!」

 

「客人を空腹にさせる訳にはいかない」

 

「ぐっ…アンタが言うと凄い説得力があるな……」

 

そういやオークは飢餓で苦しんでたんだったな。

…そういうことなら仕方ねぇか

 

「ゲルドさん町にいるの珍しいね」

 

「リムル様とオリガ様に休めと言われてな。工事の進捗が気になって落ち着かないが、前に王であるオレが休まねば民達が休みにくいと言われたのでな。オレが見本として示さねばなるまい」

 

「ゲルドだったよな。ありがとうな。でも量が多いから、仲間達と分けて食うわ」

 

「む?ならばもっと…」

 

「いやいや大丈夫だって!。少しずつ分けて皆で食べにくるからよ」

 

「そうか、存分に楽しんでくれ」

 

……まったく、この町の奴らは本当にリムル様、エルロック様と口々に話す。

 

こんな暮らしが出来る国を作れるヤツなら……

 

 

 

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「────心は決まったか?」

 

「…俺は調査団の頭だ。野郎共を守ってやらなきゃならねぇ。どっか余所の国で自由組合(ギルド)に入りゃ…食うのには困らねぇだろう。30人もいりゃ、大きな討伐依頼も受けられるしな。…俺にはビジョンがあったんだ。なのに英雄になれだぁ?話しかデカ過ぎて、胡散臭いことこの上ねぇよ」

 

「……」

 

「よし!決めたぜリムルさん、エルロックさん。あんたらはあの伯爵とは違う。仲間に慕われるヤツの言葉には力がある。俺はアンタ達を信用することにした」

 

ニィと頬を緩めてヨウムは宣言する

 

「英雄でもなんでもなってやろうじゃねぇか」

 

「…ああ、引き受けてくれて嬉しいよ」

 

フォォォ……

 

「よろしくな」

 

「え?え?え?」

 

「私もだ。君達の道行に幸ある様に、尽力しよう」

 

ピシッパシュン!

 

「期待しているぞ、ヨウム君」

 

「これからが忙しくなる。私達がサポートするから頑張ろう!」

 

「……アンタ人になれるのかよ!?」

 

 

 

 

こうしてヨウム英雄化計画が決定した。

 

といってもすぐに決行出来るわけじゃない。

“英雄”に相応しくなってもらう為に、それなりの体裁を整える必要がある。

 

これからが忙しくなるぞ!




ステータス
名前:エルロック=テンペスト(クニオ・イザワ)
種族:岩魔人(ロックマン)
称号:暴風の紋章
魔法:なし
ユニークスキル:『探索者(タンサクスルモノ)』『彫刻家(ホリダスモノ)』『忘却者(ワスレルモノ)』『撃退者(ゲキタイスルモノ)』『追撃者(オイハラウモノ)』『希望者(ノゾムモノ)』『傷病者(ウムモノ)』『 変質者(ウツロウモノ)』『集合者 (ツドウモノ)』『隣人者 (トナリアウモノ)』『 飢餓者(ウエルモノ)
エクストラスキル:『毒霧吐息』『麻痺吐息』『超音波』『威圧』『嵐装天鎧』『木装天鎧』『土壌固定』『氷零弾』『陽装天鎧』「炎熱操作」『 炎化爆獄陣(フレアサークル)』『 火炎蜥蜴召喚(サラマンダーしょうかん)』『溶装天鎧』『縮小玉』『魔塊転生』『超速再生』『武装具現』『妖血操糸』『技能発動』『種子改良』『軍装天鎧』『氷装天鎧』『電装天鎧』『記録複製』
コモンスキル:『念話』
耐性:痛覚無効、耐熱耐性、刺突耐性、物理攻撃耐性、電流耐性、麻痺耐性、腐食耐性、土耐性、熱変動無効、病毒無効、精神苦痛耐性
技術(アーツ)『握撃』『芯流法』『朧流』


ポケモンZAは面白いですが、操作が今までのポケモンと違うので慣れませんね。

今月はジャンケン大会に勝って、黒毛和牛1キロを900円で買えたのですき焼き食べ放題しました。

今年もあと1ヶ月ちょいで終わりですが、これからも投稿するのでよろしくお願いします!
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