転生したら岩だった件   作:ぱのらま

34 / 42
結構時間空きましたが私は元気です。

今回はヴェルドラ観察日記です。


ヴェルドラ観察日記〜5

 

やぁ、我だ。ヴェルドラ=テンペストである。

 

エレン達とシズはブルムンド王国へ向かった。

自由組合(ギルド)で説明をした後、イングラシア王国に向かうようだ。

シズは肉体は無事でも、精神が苦手な思い出や、自身のトラウマである炎に関連する上位精霊・イフリートを宿している忌避感から摩耗していた。

 

それにより、イフリートを抑えきれずにリムルとエルロックが納める街で、暴走したのだ。

後にリムル達が聞いた話では、限界がきた自身の最後の場所を求め、エレン達に同行していたという。

 

しばらくは大丈夫だと踏んでいたようだが、突発的にイフリートが暴走し、イフリートに身体の支配権を奪われ暴れていた。

それを解決したエルロックにより、陽岩魔人として転生したシズは、心残りだった教え子たちを導く為にイングラシア王国へ向い、教師としてまた働くようになったようだ。

 

自身の寿命の終わりを自覚したシズは、遺言として自身に関わりのある者達に別れを告げていたようだし、耳を真っ赤にしながら、イングラシア王国に戻っていったがな。

 

……まぁ確かに恥ずかしいとは思うが、命が助かり、一生会えぬと覚悟していた兄に出会えたのだし、恥ずかしい思いくらいで済んだのだから、良いとは思うがな?。

 

この空間にもイフリートという新たな住人が住むようになり、気晴らしにはちょうど良い。

 

あの、ヴェルドラ様。

 

なんだイフリートよ。我が気分良く語っているというに。

 

 

いえ、独り言を喋るのは構わないのですが、その話しは大分前の話しですよね?。

 

む、確かに。大鬼族 (オーガ)が加わり 鬼人(キジン)に進化し、 豚頭帝(オークロード)との戦いで、 豚頭魔王(オーク・ディザスター)に進化したゲルドとやらを捕食しリムルはエルロックと同じく、魔王種を獲得し、ガゼルとトレイニーから認められ国を興した話しは何度もイフリートに話しておったな……。

 

暇なのは分かりますが、何度も話されては飽きてしまいます。今はヴェルドラ様の姪がテンペストに住んでいる所を観察している筈では?。

正直言うと聞き飽きました。

 

……随分はっきり言うではないか。

しかし何回も話すのは確かに駄目であるな。

それにしても兄上の一粒種であるミリムは、元気そうでなによりだよ。

 

我は直接の面識は無いし、以前の我は思うがままに世界を飛び回っておった。

今思えば兄上と義姉上を救う事も、兄上が残した精霊竜(エレメンタルドラゴン)を救う事も、世界を飛び回っていた我ならば出来たであろうしな……。

 

だが、ミリムはあの様に前を向いて生きておるし、リムルやエルロックと親交を深めているようだしな。

同情の感情なぞアヤツにとって侮辱となろう。

我が封印から解き放たれた時、ミリムと今まで関わらなかった分以上に仲良くしようではないか!。

 

……今はこうして冷静に思考する事が出来るが、封印される前の我はやりたい放題に暴れまわるだけの存在であった。

前と同じだとは思っておるのだが、姉上に消滅された際に変わったのか、或いは仮面の勇者に倒され封印の洞窟に縛られる様になって300年もの間、暇つぶしに自問自答や究明者(シリタガリ)で知っている情報に関連する情報を片っ端から調べた結果か。

 

……おそらく後者であろうな。

我も言ってて悲しくなるが、姉上の言葉も聞かずにただだだ暴れまわっていた我は、人間種における我儘な子供と同義であろうよ。

実際に我は明確な自我を最初から持って生まれたが、普通の生物の様に、自我を形成する過程や自我を成長させる経験は乏しかった。

付け加えるなら、この世界における最上位聖魔霊-竜種という肩書きが我はこの世界でもっとも自由で強い存在だという考えを補強していたのだろう。

実際、竜種はこの世界でもっとも格上の存在。

故に暴れまわっていた時は格下の事なぞ気にする必要は無いと思っていた。

……だが、リムルとエルロックが格下と思っていたゴブリンと語らい、群れを形成したのを見て、我もまた対話をしていれば別の可能性が有り得たのでは無いかと思ったのだ。

 

実際に姉上のヴェルグリンドは帝国で普通に暮らしておるようだし……。

ルミナスの国を滅ぼした際も大した感情を抱いてはおらんかった。

だが、リムル達が作り上げた町や国を見て、考えが変わった。

ルミナスが作り上げた国もまた、ルミナスとその国民の血と汗と涙の結晶なのだとな。

聖典にも似た話しはあったし、我は知ろうという努力をしなかった。

 

封印される前の我では兄上達の事を助ける事は出来なかったであろうよ……。

 

ヴェルドラ様。

 

む?なんだイフリートよ。

 

……それを言うならば私は今の様にリムル様の視界を通して、周りを見るまで自我が希薄でした。

私は魔王レオンを崇拝してました。故に、あの女とは相性が良くなかった。そして魔王レオンを恨むシズに対して敵意も抱いていました。

今思えば獣の様に上下関係を明確にして、従っていたのかもしれません。

実際私は魔王レオンが勇者レオンである頃から一緒にいたにもかかわらず、彼の事を知ろうとも思っていなかった。

それゆえにシズが何故、魔王レオンを恨むのか。

私を嫌うのかもわかっていませんでした。

 

……彼女の固有能力(ユニークスキル)である変質者(ウツロウモノ)で同化していた私は、彼女の過去も見知っていたのにです。

彼女が火を嫌う理由もわかっていた。

彼女が炎で崩壊した場所から、炎に包まれる形で召喚されたこと、私が……彼女が仲良くなったピリノという少女とその使い魔のピズを焼き殺した事が決定的でした。

あの時下位の魔物であるピズが魔王という強者に怯え、それでも尚、2人を守るべく威嚇したのは当たり前であり、立ち向かったのは賞賛すべき勇気ある行動でした。

 

それを魔王レオンに敵意を向けたという事実に反応し、反射的にピリノとピズを焼き殺した私は罪深く、よりによってシズの肉体を使って大切な友を焼き殺させたのです。

 

私は死とは自然の摂理であり、当たり前だと思っていた。

私の罪を自分のものと考え、その贖罪に心を痛めていたなどと……ヴェルドラ様と一緒にリムル様やエルロック様の観察をしていなければ、何百年かかっても理解出来なかったでしょう。

 

今、シズは私という呪いから解き放たれ、陽岩魔人として第二の生を受け生活しています。

許される事ではありませんし、許されようとは思っていませんが、いずれシズに謝りたいと思っています。

 

そして魔王レオンにリムル様達の元で力を振るいたいと願いでたいと思っています。

 

……そうか。お前と我は案外似た者同士であったのだな。

よかろう。その時は我も頭を下げてやろうではないか。

まぁ我はあまりへりくだった態度をとれば舐められるし、謝るのはルミナスと仮面の勇者。そしてお前と共にシズに謝るだけだがな!。

 

ヴェルドラ様、ありがとうございます!。

 

 

 

✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎

 

 

 

しかし、ミリムは自身の国では生野菜ばかりなのか……。

リムル達の世界の様に美味しくする為に品種を改良した訳でも無いこの世界の野菜はそこまで美味くは無い。

まぁあくまでもリムル達の世界程美味くないくらいだろうがな。

我の究明者(シリタガリ)で甘味や旨味等の成分を見比べた感じでは、この世界の物とエルロックが能力(スキル)で再現した地球の物ではかなりの違いがあった。

見た感じでは雑味なども無くなる様にしたり、繁殖力や病気にかかりにくい等と、様々な品種改良が施されていた。

 

正確にはリムル達の世界ほど品種改良の詳しい知見が足りないというべきか。

シュナの解析者(サトルモノ)や我の究明者(シリタガリ)の様な能力(スキル)があれば話しは別であろうがな。

 

それにこの世界は農業の文化あれど、品種を改良する事は少ない。

調理や加工で大体のものは美味く出来るからな。

更に言えば動物も魔物も豊富に存在しているが故に、冒険者等が倒し、市場にある程度は流通する。

 

階級(ランク)の高い魔物でも無ければ、ある程度の人間は狩る事が出来るしな。

 

それよりも回復薬(ポーション)等の研究等を進めた方が有意義なのだろう。

 

そもそも、エルロックが生み出した調理器具で出来る事は、一定の実力者であれば可能なのだ。

圧力鍋や電子レンジも能力(スキル)を使えば再現は出来るしな。

 

更に言えば能力(スキル)は個人の生き様が如実に反映される。

故に料理人は料理に使える能力(スキル)を獲得する事が多く。

故に調理技術に関しては一部を除き、能力(スキル)や魔法を使った技術面がリムル達の世界より発達しているのだ。

 

だからこそ、貧富の差はあれど一定の旨さの料理は出来るのだが、ミリムの国ではそうではなかったようだな。

 

おそらく兄上であるヴェルダナーヴァがこの世界で初めて生まれた存在であり、原始的な生の野菜や果実に、火を通した肉や魚を食す事を大切にした結果なのであろうな。

 

それ故に兄上の娘であるミリムもそれを喜ぶと信じ、ミリムもまた、民の言葉を否定しなかった結果がミリムの生野菜や味付け無しの肉や魚ばかり出される状況なのだろう。

 

これが1週間や1年であれば、ワタシは美味い物が食べたいと言い出せば問題なかっただろうが、長命な龍人族(ドラゴニュート)も世代交代を繰り返すほど長く言い出さなかった結果、ある種の文化として定着してしまっている。

 

それでも崇める存在のミリムが言えば変わるだろうが、長年言わなかった結果、ミリムも言い出しづらい状況になっておる。

 

それ故にリムルが食べさせた蜂蜜はとてつもない衝撃だったであろうな。

翌日はこれまた贅沢な香辛料をふんだんに使ったカレーという料理を食っておるようだ。

シチューに似てはおるが、茶色くとろみのついた汁を米にかけておるな。

何でもエルロックが種子変換装置で生み出した香辛料を使ったカレーをシュナの解析者(サトルモノ)で解析し、この世界の香辛料で同じ味を再現したようだ。

 

確かにリムル達の世界の食材は美味いが、リムル達の料理を広く普及するのであれば、一般に流通する食材を使ったレシピを用意せんことには再現も厳しかろう。

 

しかし、エルロックが生み出した岩魔人の中でも木岩魔人は凄まじい活躍をしておるな。

ストロングとその眷属であるボクレーやオーロットという岩魔獣(ロックモン)が、エルロックの知識から空気中の情報子から魂を形成し、種子を創り出して射出するというのは、生命創造の御業である。

 

はっきり言ってヤバイの一言に尽きるな!。

だが、それによって生産の難しかった甘味料の元となる植物を植えれたのは大きいだろう。

料理は基本的に甘味と塩味が重要だと言う。

リムル達の国では“さしすせそ”と呼ばれるそうだが、我は何故この調味料をさしすせそと読むのか良くわからん。

醤油で“せ”は強引にも程があろうよ。

 

む?いつの間にか魔王の話しになっておるな。

 

魔王か……。我が知っておるのは、ギィとミリムに、ラミリスの第一世代と、ダグリュール、ルミナス、ディーノの第二世代に、リムル達に因縁のあるレオン・クロムウェルの計7名だな。

 

あと3人は……あぁ、そういえばやけに偉ぶった獣人が魔王カリオンとか言うておったか。

獣王国ユーラザニアと言っておったし、獣人の魔王なのだろうな。

 

なるほどな。ミリムの民は正確にはミリムを信奉するあまり集まった者達で、ミリム子飼いの配下では無いがミリムの言う事は聞くし、トップのミッドレイという龍人族(ドラゴニュート)はミリムとある程度戦う事が出来る実力者なのだな。

そこに、ジュラの大森林で建国をしたテンペストという国とミリムが結んだと、他の魔王共が警戒するという事か。

 

我にとって一部の魔王を覗いて大した脅威では無いが、今のリムル達では厳しいであろう。

究極能力(アルティメットスキル)かそれに通用するくらい能力(スキル)の練度を高めるくらいしか手立てはないだろうな。

早急に力を高め、いざというときに戦えるようにならねばならん。

 

 

んなッ!?ミリムが裸で現れよった!。

エルロックが妙に目に優しい光を出しておらんかったら、素肌が顕になっておったぞ?。

乳飲み子という訳でも無いし、あの見た目ではあるが、数千を優に超える訳だが、女子があけっぴろげに男の前で素肌を見せるのは、例え既婚者であろうともまずいぞ!?。

兄上の一粒種であり、皇女の娘たるお前がそんな……。

 

いかんな、取り乱してしまったな。

幸いにもエルロックが隠したし、あの感じであればシュナ達が注意するであろうし。

 

色々考えておったら、リムルと女性型の狼岩魔人と岩魔獣(ロックモン)がミリムの世話を担当する様だな。

 

うーむ、まぁリムルは元男性とはいえ無性で、シズの見た目だからギリ良いとして、エルロックも風呂に付き合うのか?。

 

エルロックは娘や孫も居て、おしめの世話など様々な父親としての経験もあるし、妻一筋で自身の見た目を女子に変えるというし、ありなのか?。

それに()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

しかしびにく?というのもあるのか。

我は無理だが、精神生命体であればそこら辺は調整が効くな。

エルロックは元々中性的な見た目だったがどういう見た目になるのだろうな?。

 

 

 

✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎ ✦︎✦︎

 

 

 

む、エルロックがエレン達と……だれだ?。

 

ふむふむ、ブルムンド王国の自由組合支部長(ギルドマスター)のフューズに、ファルムス王国の調査団か。

 

なんでも豚頭帝(オークロード)の件に危機感を抱いた為に、調査しに来たようだな。

フューズはその場に居合わせたエレン達と共に、豚頭帝(オークロード)の件がもう終わった事だと知らされたようだが、調査団の……ヨウムか。

ヨウムはなんにも知らされずに、それこそ捨て駒の扱いされ、この森に来たようだな。

 

なんと哀れな……。リムル達が倒していなかったらコヤツらは豚頭帝(オークロード)に貪り喰われる運命だったのだな。

覚悟を持って来た勇ましき者ではあるし、なんだかんだ言いながら街の者達の為に、他の荒くれ者共を率いて、戦場にやってきた。

更には心を掌握し慕われる存在か。

 

良いな。

 

その姿に触発されたのか、オリガ自身の事を話しおったわ。

そして話しを聞いてオリガを認めるヨウムか。

素晴らしいな。コヤツの実力は並だが心構えで言えば英雄の素養を感じられる。

 

現にリムルが英雄にならないかと聞いておるしな。

しかし、豚頭帝(オークロード)を討伐した英雄か。

確かに強大な力を持つ魔物や魔人は恐れられるが、人間種の力を持つ戦士や魔法使いであれば、英雄と讃えられよう。

 

後日、ヨウムは仮初とはいえ英雄となる決断をしたようだな。

そして、英雄に相応しき実力を身につける様だ。

 

……なんだか分からんがエルロックが真顔でヨウムを見ておるようだが、寒気を感じるな。

 

ヨウムは大丈夫なのか?

 





転スラのネタバレはしませんが、エルロック関係が結構以外な感じになりそうでびっくりしてます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。