評価がオレンジになって若干モチベ下がってました。
やはり、オリジナル要素が強かっただろうか。
まぁ、書きたい内容書くだけなんで気にしても仕方ありませんが。
ちなみにカリュブディスの見た目は、ヴェルザードを基準に、ヴェルドラの見た目に近づけて、ヴェルザードの髪色と胸を搭載している感じです。
身長が低く、胸が大きいのは、長い月日を生きたが故の年長者の部分を胸で表し、自我が反比例して幼いが故の低身長です。
ぶっちゃけますと、低身長の美少女がデカイ武器振り回すのが見たかった。
この作品、転スラのネタバレ結構あるのでご注意ください
「ふははは!外交などハッタリが全てだぞ。あれでは甘く見られても文句は言えぬな」
ぐうの音も出ない……
「…さて、今は大臣らもいない。迂遠な言い回しや腹の探り合いは無しだ。本題に入ろう。貴様の国で高出力の魔法兵器を所有しているというのは事実か?」
…それね。
まぁ確かに魔王とかより兵器の線を疑うよな
「あぁそれについてなんですが……」
エルロックがあの時起こった情報を正確に説明してくれたから助かったよ
「なにぃ?魔王ミリムだと?」
「うん、
「あれは痛かったですね……」
「あの日もそう言っておられましたが…申し訳ないが信じられません。あの場に居たというのですか?。
「俺の違くにツインテールの娘が居ただろ?。あれだよあれ」
「そういえば居ましたね……普通の少女とばかり」
「ある日突然「挨拶に来た」とか言ってさ。そのまま流れで友達になったんだ」
「彼女が住む忘れられた竜の都では生の野菜や果実に、焼いただけの肉しか出ないらしいので、美味しい食べ物が多い
「くっくっく…法螺にしては荒唐無稽がすぎるな!。しかし、生半可な攻撃では
「それに
「どーも」
「ふむ…それにしても土産に貰ったこの酒は美味いな」
「お、流石はガゼル王。お目が高い」
「りんごで作った蒸留酒なんだ。
「ほう?」
「お二人も是非…」
シュナが控えている二人にもりんごの蒸留酒をだした。
俺達の世界でいうアップル・ブランデーを作ったんだけど、ノルマンディー地方のカルヴァドスにあやかって、エルロックが生み出したビックリアップルのレベル10を基準として蒸留したものをカルヴァドスとして作っている。
今回は
カルヴァドスは正直レベル10でもとんでもなく華やかで美味い。
俺達が頑張ってもレベル40しか出来ないし、エルロックの
レベル50はハッキリ言って他者に飲ませるのを躊躇うレベルで美味すぎるからな……。
レベル100は正直想像しただけでちょっと怖い
「ああ、これはどうも」
「ふむ、鼻腔を華突き抜ける華やかな香りが心地よいですな」
「このドワルゴン以外にも、貴様達と国交を結ぼうという者が現れたのか」
「うん、獣王国──」
「ユーラザニアか!?」
「う、うん。知ってたのか」
「当然だ。誇り高き獣王の治める国を知らぬはずがあるまい。…貴様、獣王にも懐かれたのか?」
「いやいやいや、魔王カリオンの部下を助けただけだよ。んで、交易を申し出てみたら了承してくれたってわけ」
「使節団の三獣士のアルビスとスフィアが気に入った、泡盛という酒もあるけど飲むかい?」
「あぁそれも頂こう。しかし…」
「えぇ、
「うむ、確かにな。少なくともこれは我が国がファルムスから輸入するどの酒よりも美味く、泡盛という酒も臓腑が燃える様な素晴らしい酒だ」
「確かにドワーフが好む味わいですな」
ファルムス王国…。
たしかヨウムの出身地だったか。
あいつ、あんまり故郷のこと良く言わないけど…
「ファルムス王国ってどんな国なんだ?」
「まぁ、西方諸国でも一、二を争う大国だがな。ここだけの発言だが、俺はあの国王は好かん」
「確かにファルムス王国の良い話しは聞かないね。この前来た人も伯爵が金を出さず、町を守るという名目で騎士団も動かさないとボヤいていたよ」
魔物被害を食い止める騎士団もビビった伯爵が動かさず、雇った傭兵も伯爵が金をケチって雇っている為か、警戒以上の仕事も請け負わない。
組合もボランティアでは無く、報酬が無ければ動かないし、雑魚が相手ならともかくランクが高い魔物程、同格の冒険者複数名、規定では最低三名で戦わなければならない。格下の冒険者が複数名で討伐に向かった場合、確実に死ぬか、生き残っても何名かは確実に死ぬようだ。
人的資源は畑から取れる訳ではない。
故にギルドとしても確実性が確認されない限り動かせないのだ。
ヨウム君の住む町は辺境ではあるけど、B+冒険者が何名か滞在している。
だけど魔物の出現頻度が多すぎて、手が回らないのだそう。
金を渋った伯爵によって結成された調査団のヨウム君達も、ロンメル君が伯爵の身辺調査をし、金の流れが不自然だと言う点から、伯爵が金を着服しているのは判明している。
ロンメル君は自身を世間知らずの若者と自嘲していたが、伯爵を怪しく思い調査したのだそうだ。
実際に暴風竜対策に当てられた特別対策援助金があれば、有り合わせのならず者で結成された調査団では無く、しっかりした軍隊を保有し、いざという時に力を発揮させる事が出来た筈なのだ。
防衛の強化を怠った伯爵の罪は大きい。
今回はヨウム君達の様な人達だったからこそ、上手く事が運んだから、こちらとしては良いのだけれど。
一応調査団を組織し、ジュラの大森林に派遣した訳だし。
今回は
詳しいことは把握してないけれど、今はニドル伯爵領にある村々の警備をしながら、着々と名声を高めているようだ。
討伐証明報告を自由組合を経由し、ニドル伯爵から支払って貰う契約をしているので、タダ働きでは無い。
通信水晶での通信や、彼等の装備に張り付いている『オブラディ・オブラダ』を起点として、『
「だから是が非でも
「…いや、兄弟子は関係ねーだろ」
「大丈夫です!。リムル様ならきっとユーラザニアとの貿易もぱぱーっと素敵に、纏めて下さいます!!」
おいっ!シオンのヤツ酒をぐびぐび飲んでるじゃないか!。
大丈夫なのかアイツ……
「シオン!?貴女まさか飲んで…っ。外交の場なのですから控えなさい!」
「うっ…し、しかし芯流法で余分な酒気を排出してるので問題ありません!。美味しい料理には美味しいお酒!。私は今回の蒸留酒を味わっていなかったので味見をしたのです!」
ぐびっ、ぐびっ……
「こんな事に芯流法を使うとは……。とりあえずお酒は没収するね」
「あぁ!?」
「秘書を名乗るのであれば、外面を取り繕う事を覚えないといけませんよ?。僕達の行動一つ一つが相手からの印象を決めますからね」
「すみませんでした……」
「あー、すまんな。ウチの秘書が」
「よいよい、はしゃぐほどに貴様達を信頼しているという事だろう。して、エルロックよ。ツマミに出したデーツという果実は輸入出来ないのか?。貴様が品種改良したと聞いておるが」
「量産体制は出来てますし、輸入は問題ありませんね。栄養価も高く、素早くエネルギーに変わりますから軍の携帯食に向いてますよ。傷の治りを促進させる栄養もあるので、軍隊だけでなく美容にも効果的なんですよ」
「なんと!。コク深い甘みが気に入ったから聞いたが、その様な効能があるのか」
「乾燥しているのと含まれる魔素の効果で、2年は余裕でもちますね」
内部の時間の流れを早める転龍壺の時間を観測した所、2年は普通に大丈夫そうだったし、怖い事に10年経過してもカビていなかった。
流石にそこまでいくと粉末状に変化するけど、味わいが強くなり、水にサッと溶けて栄養の吸収効率も桁違いに跳ね上がったんだ。
まぁ10年も待たなければならないから、他国じゃ真似出来ないだろうけどね。
完熟したデーツを水に浸して、発酵させて蒸留し、アニスで香り付けした『アラック』もあるけど、今度来た時にでも渡してみよう
「携帯食は保管と携帯のしやすさが大事だからな…。貴様達の様に、保管するスキル持ちは滅多におらんのだ。これであれば、細かくちぎってスープに入れても良い味になろう」
「喜んでもらえて良かったです」
「……して、そこな秘書達は分かるが、部屋の端に突っ立っておる者は何者だ?。気の所為かもしれんが、魔王ミリムの攻撃の話しの際に、痛かったとしきりに頷いておったが……」
「彼女ですか?。彼女は空岩魔人のカリュブディスです。普段は愛称のリディスと呼んでいますよ」
「あ、その、どうも。ご紹介にあずかりました。空岩魔人のカリュブディスと申します。此度はガゼル王にお会いしたく、同行の許可を頂きました!」
「……なに?カリュブディスだと?。それは真か、リムルよ」
「おう、正真正銘本物のカリュブディスだよ。肉体をエルロックが作って、カリュブディスの魂を移植し、転生させた存在だな」
「今回どうしてもガゼル王に会って話したい事があるらしいんだよ」
「ふむ、よかろう。色々気になるが話してみよ」
「あ、はい。実はこの国が建国されるよりも昔、ガゼル王の祖父のグラン・ドワルゴさんの祖父にあたるヴァルカ・ドワルゴさんという方がおりまして。この方の弟のペトラ・ドワルゴさんの肉体を、拙が素体として受肉してしまった事を話しておかなければ、いけないかと此度来たんです」
「……俺の
「はい。ペトラ・ドワルゴさんは戦闘能力と演算能力に秀でている反面、肉体が弱く様々な武器や防具を鍛え上げ、残り少ない寿命を拙の封印に使ったお方です。最近まで自我を持たなかったので、謝罪にきた次第です」
「名は残されていなかったが、そうか、ペトラと言うのだな。……俺が生まれるより昔の事とはいえ、俺に話しに来るとはな。覚悟は出来ているのか?」
「拙の命は余すこと無く、エルロック様に捧げています。ですが、拙に出来ることであれば何でもいたしましょう」
「ふむ、よく言った。では、カリュブディスよ。俺と手合わせ願おう。我が高祖叔父、いやペトラ・ドワルゴの犠牲の上に成り立つ者よ。この俺が見極めてやるわ」
「かしこまりました。拙もこの力と技術を貴方様にお伝えしたかったのです」
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「して、カリュブディスよ。貴様は武器を使わぬのか?。本来の姿を思えば、武器を使った事がないのかもしれぬがな」
「拙のユニークスキル『
リディスは一挺の戦斧を生み出す。
しかし、いつもの深海の様な蒼い武器と違い、鉄錆色の柄に、鈍く光る赤熱した刃が備えられた戦斧だ。
刺突用に尖った部分も赤熱しており、何処か溶岩の様にも思えるその輝きは、無骨なデザインとは裏腹に妖しき色気を放っていた
「
「余計な装飾を省いた戦斧だ。しかし、濃密な地のエネルギーが俺の皮膚を震わせる。嘘偽りなく
「では、ガゼル王の胸を借りて、初撃を叩きこむとしましょう!」
リディスは姿勢を低くし、飛び上がる様に前に直進する。
左斜めに切り上げる様にしてガゼルに切りかかるが、剣によって受け流された。
すかさず振り下ろすも、ガゼルは瞬時に回避する。
地面に残された蜘蛛の巣状に広がる罅が威力を物語っていた
「ふはははは!。手が痺れる程の剛力に、これほどまでの扱いで胸を借りるとはな。謙遜が過ぎるのでは無いか?」
「現に防がれているではありませんか。それにペトラ様は卵は保有されていませんでしたが、覚醒勇者級の力をお持ちでした。その力を引き出せぬ己の未熟を思えば、謙虚にもなるでしょう?。相手が聖人であるからこそ、拙も力を存分に振るえるのです」
「ふむ、俺が聖人に至っている事に気がついておるのだな」
「拙が
「ほう、興味深い話しだ。なんという名だ?」
「“放浪の勇者”サリオンですね。フルネームはサリオン・グリムワルトで、確か……シルビア・エル・リュの夫だったと思います。サリオンと
「……グリムワルトにシルビア・エル・リュだと?。確かサリオンの天帝エルメシアは」
「はい。エルメシア・エル・リュ・サリオンですね。生憎拙の記憶は寄生先から得るしかないので、イマイチ分からないのですが、サリオンは戦いの最中に自身を鼓舞する為か、『娘の誕生に間に合う為にも、勝たんといけんのや!』とか言ってましたし。恐らくその娘がエルメシアなのでしょう。母であるシルビアからエル・リュ、父であるサリオンからサリオンを受け継いだのでしょうね」
「二千年…いや、それ以上昔の話しを聞く事になるとはな……。この話しはあまり言いふらしてはならぬと思うが?」
「確かにそうですね。しかし、貴方は何れ完全な精神生命体に至るでしょう。そして、同じ師を仰ぐ者という点と、長い付き合いになると思ったので共通の秘密があれば、結束力が強まるかなと」
「……リムルよ、貴様はどのような教育をしたのだ。この様な腹黒が、自我の無かった
「俺に振られても……。リディスの教育はエルロックがやったから、俺にもわかんねぇよ!?」
「……左様か」
「色々情報を浴びせてしまったのは謝りますが、そろそろ戦いを再開しませんか?」
「誰がこうしたと…。まぁよい。であれば俺から行かせてもらおう。朧・流水斬!!」
流水の様な滑らかな動きでガゼルが斬りこんで来る。
気がつけばリディスの目前に現れ、その刃を振り抜いた。
しかし……
「『
リディスの腕を斬りぬこうとした刃が止まる。
いや、何かに当たってそれ以上振り抜く事が出来ないのだ
「皮膚に当たっている筈だが…。スキルか?」
「いえ、
「これは……」
コツン。
ガゼルの剣に軽い斬撃が当たる。
リディスが戦斧の刃先から不可視の斬撃を放ったのである。
しかし、リディスは戦斧を一切動かしておらず、ノーモーションでの攻撃に、ガゼルは咄嗟に剣を軌道に構える事で対処したのだ
「斥力とは反発する力。刃から射出する事で不可視の斬撃を放つ事が可能です。『
「ほう、俺ならば出来ると?」
「この『
ガゼルに刃を当てる様に促すリディス。
刃を軽く触れさせたつもりが、軽く振り抜くと同等の威力が、ガゼルの剣とリディスの戦斧から生じたのだ
「これは……、軽く当てただけでこれ程の威力とはな」
「『
「この様な技術を教えて、俺が配下に伝授するとは思わなかったのか?」
「そもそも、拙が話す全ての内容はリムル様とエルロック様からの検問を受けています。というよりも、この
寄生先の技術を再現出来るリディスと、私の『
故にリディスは
他にも様々な種族の特徴が再現されている為に、その種族固有の能力を使えてしまうのだ。
まぁ、私も地の精霊を宿した岩魔人だから一応使えるのだが。
あくまでも地の精霊に由来する
「ふははは!。ただの外交のつもりだったが、非常に有意義なものとなった!。よかろう、伝授されたからにはこの技術を極め、更なる力を得よう!」
「あ、あと……、今のガゼル王は精神生命体に至る途中。つまり、蛹から蝶へと羽化する段階です。故に、世継ぎが残せなくなる前に、やることを済ませた方が良いかもしれません……。す、すみません。余計なお世話だと思ってはいたのですが……」
「……精神生命体に至ると子を成せぬのか?」
「精神生命体にも子を成した例もございますが、大体神と謳われた存在が多く、殆どは精神生命体に変化した時点で失われると思います」
「……うむ。肝に銘じておこう」
こうして初日の会談は終わりを迎えたのだ
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一夜明けて、今日は二国間の友好宣言の式典だ。
既に書面の上では友好国なわけだが、国民に向けて「俺たち仲良し」をアピールする場という訳だ。
つまり俺は今、
「えー、初めましてドワルゴンの皆さん。ジュラ・テンペスト連邦国、略して
「ここドワルゴンは、まさに共存共栄が成された国であり私の目標です。こうして友誼を得る事が出来、ガゼル王には感謝の念が堪えません。我が国には多数の魔物が所属しています。ですがその心根は皆様となんら変わる所はないのです」
「出来れば恐れるのでは無く、新たなる友として受け入れて欲しい。この言葉が本心であることをここに誓い、私の挨拶に代えさせていただきます」
パチパチパチ……。
…うん、まぁまぁのスピーチだったんじゃなかろうか
「短すぎる、謙りすぎる、情に訴えかけすぎる。ハッキリ言って零点だ。国を治める者が国民に謙るものでは無い。ましてや他国の住民に下手に出れば舐められるだけだぞ」
「こうなったら良いなどと甘えた統治は厳禁だ。素晴らしいものとは、自然にやってくるものではなく自ら掴みに行くものだからな」
厳しい…。でも、心からの忠言であるのは間違いない
「…肝に銘じて今後の課題にするよ」
「せいぜい励め。危うくて見ておれんわ」
本当、俺は縁に恵まれてるな
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時は少し遡る。そこは、ファルムス王国のニドル・マイガム伯爵領。
ヨウムが到着し、ロンメルの無双劇を見た後である
「ニドル伯爵、ヨウムをお連れしました」
「わかった、君は下がりなさい。ヨウムと話したい事があるのでな」
「しかし、伯爵は先日倒れたではありませんか。傍に控えていた方が良いのではないでしょうか」
「大丈夫だ。ロンメルが持っていたポーションが効いたのか、すこぶる調子が良いのだ。だからお前も職務に戻りなさい」
「かしこまりました」
……誰だ?コイツ。
いや、ニドル伯爵ってのは分かる。
けど、あの余裕の無く、自分の保身に走る伯爵と一致しねぇな。
俺達を派遣してからの間、コイツに何があったんだ?
「さて、不思議そうな顔をしているな。さしずめ「あの強欲な伯爵が何故」といった所か?」
「……なんでわかんだよ」
「お前の事はよく
「あぁそうだ」
「
「なっ」
「……ふむ、やはりお前は腹芸に向いておらぬな。いや、これから鍛えれば良いのか?」
「あんたは一体何を知ってる!」
「静かにせんか。先程も言ったがな。ワシは
「……俺の感情を相手に送る力だ。相手の気持ちを下げて鈍らせたり、仲間の気持ちを高揚させてパフォーマンスを上げるスキルだ」
「そうだ。そして、お前はスキルを暴発させ、ワシに
「追体験…?」
「……ワシは金に不自由する事なく育った。親に厳しく躾られはしたものの、いつかワシがこの家の頂点に立つのだと、父を軽んじていた。当主となり、領地の運営を続ける内に父の教育の有難みを知ったが、領地経営の負担に、妻とのそりの合わない生活。そして嫌気がさしたのだ。強欲にこの領地の金はワシのものだと着服もした。必要最低限の領地経営や防衛だけをしてな。言い訳ばかりの悪徳貴族だ」
「ワシはこの生活しか知らなんだ。だが、先日お前の記憶が一気に流れ込んできた。お前の苦悩、喜び、悲しみ、怒り全てがな。ワシがどんなに恨まれているかも知ったし、お前がどれほど頑張ったのかも知ってしまった。……正直、お前の派遣前までの人生なら死の淵を彷徨うくらいですんだのだがな。『過労死役満・酷使無双』だったか?。あれでワシは
「いや、生きてるだろ!?」
「先程、兵士が言ったであろう?。先日倒れたと。人間は脳や心臓が損傷すれば死ぬ。ワシはお前の記憶で脳死したのだ。すぐにロンメルが
「あんた、俺をどうしたいんだ」
「ワシはな。ワシの50年をお前の25年と、過酷な修行の記憶によって塗り替えられたのだ。正直な話し、お前はよく平然と立って居られると感心している所だ。あの修行はお前の人生を超えた、あまりにも過密なものだった。ワシとお前の人生を合わせても足りないといえる時間だ。実の所、ワシも何故話せているのか疑問に思う」
「……さて、お前をどうしたいかだったな。ワシは何れ罪を暴かれ失脚するだろう。故に、今の内にお前に貴族としての知識や、領地経営のやり方を学ばせようと思ってな」
「まてよ、そりゃつまり、俺に領地を経営しろってことか!?」
「違う。ワシに見切りを付け、冒険者となった息子が居る。アヤツは勉学に真面目に取り組んでおったが、ワシの醜さに嫌気がさし、家出し冒険者となった。ワシを反面教師とした責任感の強い子だ。故に何れこの家の当主となるべく来るだろう。しかし、ワシはお前が怖い。ヨウムよ、ワシはロンメルが近くに居なければ、五体満足で動けていたかも怪しいのだぞ?。植物の様に動けずに、介護をされて延命処置の人生だ。わかるか?」
「……」
「故にお前の『
「俺の『
「考えてもみよ、いきなり辛い記憶が流れ込めば精神に負担がかかる。お前も怒られれば辛いだろう?。あの過酷な修行の一部を追体験させるだけでも、十分な拷問となる。お前に隷属の首輪や、召喚者に刻まれるような呪言が刻めるかは分からぬが、大切な者を人質にされるやもしれん。その力を制御し、肝心要な時に使えるようになれば、素晴らしい切り札となる。付け加えるとな。『
「つまりあんたは、俺にこの先生きやすくする為の知識を教えてくれるってことか?。でも、なんで……。俺を他の貴族や、王に伝えて甘い汁を吸うことだって出来た筈だろ!?。少なくとも以前のあんたはそうした!」
「……さぁな。貴族としての責務の為に、政略結婚をし、若くして妻を娶り、子を成した。娘は他家に嫁ぎ、息子は世を知るべく冒険者となった。愛も無くただの義務としての在り方に嫌気がさし、この様に落ちぶれた。そこにお前の人生が流れた。幸せと不幸の価値観は、人それぞれだ。ワシは通信水晶などでは無く、お前の人生を
「だからな、ヨウムよ。ワシを利用し、お前の未来を掴み取れ。お前はきっと大きな何かを成し遂げる筈だ。この身に蓄えた知識を全て教えよう。ワシは悪徳貴族だからな。金の悪用の仕方は心得ておる。実の所な?。お前が活躍すればこの領地は活気が溢れるという算段あるのだ。今の王や前王は、辺境であるニドル・マイガム伯爵領を軽んじておる事に、前々から腹が立っておったしな」
「なるほどな、伯爵の考えはわかった。俺のスキルで伯爵を殺しかけた…、いや、ロンメルがいなけりゃ殺してたんだよな。その償いとして伯爵の提案を受けようと思う。今のあんたなら従うのに異論はねぇよ」
「そうか。お前の記憶は知っておるから、
「警戒してたのに、最低限の対策しかしてなかったのかよ……」
「言い訳になってしまうがな。この領地は中央とジュラの大森林に面している以外は、他国の侵略に備える必要も無く、軍隊を常備する必要性が薄かった。魔物戦に特化した騎士を常備するくらいで良かったのだ。使わないならば、貯めれば良かったのだが、欲に眩んだワシが全面的に悪い。警戒任務だけであれば良かったのだが、本格的に魔物が暴走した時の備えを用意してなかったからな。故にお前達には、ニドル・マイガム伯爵領内の村々を周り、魔物に対処して欲しい。その間に騎士団の増強を行う。
「なぁ、聞いても良いか?。援助金ってどれくらい着服してたんだ?」
「む?そうだな。ワシの遊興資金に当てたのと、妻の遊興資金に渡した金で、援助金の全額から3割くらいだな。後で妻に事情は説明をする。告発されるだろうが、致し方あるまい」
「あぁ、それは問題ありませんよ」
ガチャリ
ニドル伯爵と違い、細っそりとした女性が部屋に入ってくる。
目つきの鋭い40代後半の美しい女性だ。
入ってくるやいなや、彼女は話しかけてきた
「2人きりで話すのは悪くありませんが、盗聴の魔法道具を警戒しないのはいけませんね。それとも私の渡したブローチだから、警戒してませんでしたか?」
「……マーチ、鍵をかけていた筈だが?」
「そんなもの、だいぶ前から専用の鍵で開くようにしてますわ。それよりもだいたいの内容は把握しております。愚かなときであればいざ知らず、若き頃の貴方に戻られたのであれば、渡しても良いかもしれませんね」
マーチ夫人は懐から袋を取り出した
「貴方から頂いた金貨をお返し致しますわ。これを領地の強化に充てるのが宜しいかと。愚かな父に嫁がされた身ではあれど、領地を護るのは貴族の務め。大切な心を取り戻したなら安心出来ます。まぁ、早めに見限って金を貯蓄していた私が、偉そうに高説を垂れるのはお門違いでしょうけどね」
「マーチ、ワシの事など気にしてないものだとばかり……」
「政略結婚とはいえ、20年以上連れ添っているんですよ?。多少なりとも情は湧きます。貴方は必要最低限とは言いますが、税は重くしても必要以上に虐げはしませんでしたからね。父なら平気でやりますし。ヨウム達にだって、下働きや模擬戦なども強制しましたけれど、食事や寝床も与えていましたし。三食、運動、十分な睡眠があるのですから」
「……まぁ、確かに色々やらされたが、飯も寝床も用意されてたな」
「調査団として、使い潰そうとしているのを知った時は、そろそろ隠居して貰い、まだ若いですが息子に継がせようと思っていたのですが、まさかこんなふうに変わるとは思いませんわ」
「うん、今思い出して腹が立ってきたな。伯爵!今度からちゃんと任務内容伝えろよ!?。わざわざ組合で情報収集してなかったら、ただただ死にに行く様なもんだったんだぞ!」
「うぐっ、わかった。包み隠さずに話そう。流石に国の機密などは話せんがな。それをすれば、ワシは人ですらなくなる」
「では、3人で情報共有をしましょうか。ヨウム、後で
「そうだな、ワシからもリムル=テンペストとエルロック=テンペストとの話し合いをしたい」
「あぁ、わかったぜ。流石に今は遅いし、あっちの都合いい時にでも聞いてみるよ」
こうして、スキルの暴発が原因ではあるものの、得難い協力者が出来た。
これから忙しくなるな!。
ロンメル達と協力して、成り上がってやるぜ!
《確認しました。ユニークスキル『
ん?
ステータス
名前:
種族:
称号:暴風の紋章
魔法:なし
ユニークスキル:『
エクストラスキル:『毒霧吐息』『麻痺吐息』『超音波』『威圧』『嵐装天鎧』『木装天鎧』『土壌固定』『氷零弾』『陽装天鎧』「炎熱操作」『
コモンスキル:『念話』
耐性:痛覚無効、耐熱耐性、刺突耐性、物理攻撃耐性、電流耐性、麻痺耐性、腐食耐性、土耐性、熱変動無効、病毒無効、精神苦痛耐性
ペトラ・ドワルゴはオリジナルキャラで、神祖が生み出した演算特化と戦闘能力特化させたキャラで、故人です。
ペトラなのは、神祖が女性寄りに作ったからで、ペトラの性自認は男性という感じ。
肉体のバランスが歪な為、寿命が短かったという設定。
基本的に本編にはオリジナルキャラは、転生体以外基本的に登場しませんが、過去に存在した系のオリキャラはこれからも出ます。
オリジナルの魔物や魔法は登場すると思います。
ヨウムが『
あと、ニドル伯爵って書籍版見ても着服したり、ヨウム達を使い潰そうとしたりしてるんですけど、
着服した金額だって、自分が遊ぶ為に使ってはいたものの、領地経営が逼迫する程使ってませんし、中央政府に金が集中して、ニドル伯爵領は負わされた責務に反して、大した扱いされてないんですよね。
これ、ストレスが酷すぎて着服しちゃっただけで、中央政府がマトモな対応してれば、普通の貴族だったと思いました。
私は頭が悪いので、詳しい情勢は分かりませんが、内容を見る感じでは、エドマリス王よりマトモに見えたので救済しました。
ちなみに奥さんや子供たちはオリジナルで、ニドル伯爵の一人称も分からなかったので、ワシにしました。
漫画でも慌てふためく描写だけで、書籍版も一人称出なかったので……