TS転生者は負けヒロインたちに温水君を攻略させたい 作:あどべんちゃ
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原作各巻の間には、大抵ひと月以上の間が開いている。これまでは特に出来事もなく平穏な時間だったのだが、小鞠さんのアシストを開始する時期となった今はそうも言っていられない。
……しかし、問題があった。僕に恋バナの経験がなさすぎる、という点だ――これまでは楽観視していたのだが、いざ始めようとするとこれが結構致命的に響く。
しょうがない、餅は餅屋だ。ちょっと周りを頼ってみよう。
「恋バナって……周堂君が?」
今僕の前にいるのは、同じクラスの女子生徒である
もはや暴走しているといって差し支えなかった彼女ではあるが、平時はごく一般的な高校生だ。時折、彼女の友人たちと恋バナらしき会話に興じている様子を見かけている。
「どういう風の吹きまわしかしら」
「友人にひどくやきもきする距離感の男女がいまして……この導入だとまるで僕自身の話に聞こえますが、間違いなく友人の話です」
「それで、お節介を?ふぅん……意外、とは言えないかしら。私、そんなに周堂君のことを知っているわけじゃあないもの」
「似合わないのは承知です。コツなどあればご教授いただきたく」
「そうねえ。そのお友達はどの程度のやきもきする距離感なのかしら」
「ああ、情報が足りませんでしたね。女子の方が男子を意識し始めた頃です、最近ファッションやメイクの雑誌をよく読んでいるので」
「……まだ初歩も初歩じゃない。下手に手を出すとかえって良くないわよ」
「む、それはそうかも……まあ、将来的にと言うことで。奥手な子ですから」
「それなら良いんじゃないかしら。奥手と言うなら、直球で言ってやった方が話は早いわよ」
「それは、僕も考えていましたが……良いんですか?」
「そういう子はね、回りくどく聞くとどこまでも逃げて、そのうち自分の想いにも嘘をつきかねないわ。その子から話を聞く時も、その子が動く時も、肝要なのは直球よ」
「……えらく、含蓄があるというか。すごいですね、東さん」
「女子高生の嗜みよ。それから大事なことを一つ。恋愛相談やアドバイスの時は、あくまで相手の意志で―――行動の責任は負えないし、負っちゃいけないわ」
「……と言うと」
「昔、相談に乗ってた子が失恋しちゃって。私も無責任なことばかり言ってたものだから、『あんたのせいよ』なんて言われても反論できなくって。だから、していいのは選択肢の提示や、相手がどうしたいかの分析まで。間違っても『こうすればいい』なんて言っちゃダメよ」
「ははあ……」
実体験から来る言葉は、さすがに重みが違う。肝に銘じておこう。
「ああでも、応援やアドバイスをした相手がフラれたなら、それはきちんと慰めてあげなさい。そのぐらいの責任は負えるし、負うべきよ。……それにしても、まさか周堂君と恋バナが出来るなんて。遅れてやってきたあなたの思春期を祝福するわ」
「その言い方はよしてください」
ありがとうございます、と頭を下げると、手を取られて何かを握らされた。これは……小銭?
「ミルクティーの気分よ、周堂」
「……仰せの通りに、大奥様」
さて。東さんに咎められてしまったので、まだ時期尚早のようだ。……いや、冷静に考えたらそうだよな。確か、『うんたらかんたらにあなたを意識させる本』みたいなタイトルのものを読んでいたのが4巻中のはずだったから、そこまでは待つとしよう。
という訳で、結局は時間の経過を待つしかない。夏休みぶりに、
風邪を引きました。
今まで触れる機会は無かったが、僕の家は共働きだ。父は仕事で海外に、母も生憎と出張中だ。家を出る前にタッパーに数日分の食事を作っておいてくれているのだが、この体調では食べる気力もない。
せめて腹に何か入れようとインスタントのコーンスープを用意していると、ピンポン、とインターホンが鳴った。重い身体を引きずって、マスクをつけ玄関へ向かう。
覗き穴から来客の正体を確認すると、温水君だった。扉を開ける。
「あれ、周堂か。親御さんは?」
「げほ……父も母も仕事で家を空けています。ぬぐっ、げっほ、ごほ」
「ああごめん、喋らせて悪かった。話はLINEで良いよ、とりあえず家上がらせてもらってもいいか」
頷いて、彼をリビングへ案内する。
『温水君は、何の用でこちらへ?』
LINEを送る。それを確認して、温水君が口を開いた。
「いや……用ってことも無いんだけど。文芸部で見舞いの話が出てさ、全員で連れ立っていくんじゃ迷惑だろ。あと俺部長だし、男同士だしな」
頬を掻いて言う温水君は、どこか照れているように見えた。まだ僕のこと男子だと思ってるんでしたね、そういえば。
『友達だから、ぐらいは言ってくださいよ』
「うぐ。じゃあ、それで……」
『その言い方はズルでは?』
「……はい、友達だから、です」
よし。満足気に頷いていると、温水君が気を取り直した様子で話す。
「と、そういう話をしにきたんじゃなくて……コンビニで適当に必要そうなもの買ってきたから。キッチン借りてもいいか」
指でOKサインを送る。そういえば、温水君は料理できる系男子だったな。しかしわざわざ食材まで買ってきたらしい、後でお礼をせねばなるまい。
しばし待っていると、卵粥が運ばれて来た。優しい匂いがなんとも食欲を沸き立たせる。
「いただきます」
さすがにこれは口頭で。卵粥を口に運ぶと、柔らかい甘みが口の中に広がる。風邪の時は、こういうものが一番嬉しいのだ。
粥を食べ進める僕を、温水君は満足気に見守っていた。
「ごちそうさまでした」
程なくして食べ終わり、手を合わせる。
「お粗末様。片付けもやっとくから、寝てていいぞ。病人なんだし」
客人にそこまでさせられない、とは思ったが、立って洗い物をする気力も体力も今の僕には無い。大人しく従うことにした。
ベッドに潜り込む。まさか、温水君がお見舞いに来てくれるなんて……まあでも、彼の認識上は自然なのか。文芸部の中で、僕だけ彼と同性と思われているわけだし。おかげで温水君はフラットに接してくれている感じがあって、僕としても心地よい。
とはいえ、さすがに家に上げたら気付くかもな……。そんなことをつらつら考えるうち、僕の意識は微睡みに沈んでいった。
洗い物を終えて、そこそこ時間が経つ。帰ろうかとも思ったのだが、病人の看病にはまだやることが残っている、と思い直したのだ。
寝てていいぞ、とは言ったが、さすがに本人の了承を得ないとな……。
そう思って周堂の部屋をノックする。やや間があって、スマホが震えた。
『温水君てすか?はいって大丈夫です』
どうやら起きていたらしい。
「悪い、足音で起こしたかな」
『大丈夫でふ。もうかあったかと思っていたのですか、まだ何か』
所々に誤字がある。寝起きらしい、悪いことしたかな。
「風邪ひくと汗かいて気持ち悪いだろ、良ければ身体拭くぞ。勿論、男同士とはいえ抵抗あるだろうし嫌ならいいんだけど」
『おねがいじす』
「分かった。タオルは買ってきてないから、周堂の家の借りるな」
そう言って、周堂の部屋を後にする。……めちゃめちゃ大きい咳が聞こえたけど、大丈夫だろうか。
さて、タオルタオル……他人の家の脱衣所なんて滅多に入らないから、ちょっと緊張するな。
……しまった、どこに入ってるかまで聞けば良かったな。男同士とはいえ、さすがに下着を見ちゃうのは気まずいぞ――いや、別にLINEで聞けばいいか。
「ぬぐっ、みずくん、待っ――」
「え?」
どだどたと走ってやってきた周堂が、俺に制止の声をかける。それに驚いて、振り返り、後ずさる。肩に棚の扉がぶつかって、開く。
それに気づいて、視線を前に戻した俺の目に飛び込んで来たのは。
グレーの、女性用のパンティだった。
もう一度、振り返る。周堂の顔は、真っ赤に染まっていて。
さすがの俺でも――周堂に女装趣味がとか、そんな馬鹿な勘違いをする余地は無かった。
海で、男子更衣室にいなかったことも。
合宿の時も焼塩の祖母の家の時も、男子部屋に周堂の姿は無かったことも。
焼塩の着替えに同席していたことも。
八奈見を引き上げられないくらい、男子にしては力が無かったことも――全部、当たり前だ。
だって、周堂は。
「お、お前―――女だったのか!?」
「いいから棚を閉めっ、げっほ、ごほ!」
こんなラノベめいた台詞を、俺の人生で放つ機会があろうとは、と。頭のどこかの冷静な部分が、そう考えていた。
「大変申し訳ありませんでした」
俺は誠心誠意、土下座をしていた。こんな機会、多分人生でそうそうないぞ。
「……LINE、見て」
喉に気を使った様子で、周堂が小声で言う。
見れば、周堂からメッセージが届いていた。
『寝起きで返答をしていた僕にも、多少の責はあります。とはいえ、下着を見られた以上、相応の責任は取っていただく必要があるかと』
「はい……」
まさしく、沙汰を待つ罪人の心地だ。周堂の入力を待つ。
『なんかもう風邪で頭が回りません。詳細は後日』
……どうやら、この場で処刑ということにはならないらしい。
「えと、なんか、本当にすまなかった。さっきのことだけじゃなく、ずっと勘違いしてたことにも……」
『全くです。天然にもほどがあります、そういうところですよ』
普段散々別の奴らから言われている台詞だが、今回ばかりは甘んじて受け入れるしかなかった。
『とはいえ、それと看病とは話が別です。ありがとうございます、助かりました』
「……力になれたなら良かったよ」
『さて、今日はもう遅いですから、どうぞお気をつけてお帰りください』
言われるがまま、最後に周堂にもう一度頭を下げてから部屋を出、家を出る。
まだ、頭の中が混乱している感じがあった。何より……。
「……早く忘れないと」
そう思えば思うほど、脳裏に周堂の下着が焼き付いて離れなかった。
あ~……ちょっと、風邪もあったとはいえ油断しすぎた。
そろそろ気付くかなとは思ったけど、そういう気付き方は望んでなかったんですけど。
というか、恥ずかしすぎる……!異性に下着を見られる機会は(悲しいことに)前世含めて一度も無かったので、こんなに多大な羞恥が襲ってくるとは思ってもいなかった。
温水君という人の目があったからなんとか平静を保てたし、喉に悪いのでやらないが、本当は今すぐにでも叫び出したい気分だ。
……待てよ、おかしくないか。僕が男装をしているのは、自分が女性の装いをすることにしっくり来ていないからだ。女性用の下着は母との話し合いで妥協したラインにあるもので……渋々つけているものを見られて、こんなに恥ずかしいのは変だ。
うーん……思ったより、女性であることに馴染んできているのだろうか。とは言っても、スカートを着る気にはならないけど。
温水君がお見舞いに来たのが金曜で、そこから土日を挟んで月曜日。すっかり体調は元通りになったが。
「気まずいなあ」
足取り重く学校へ向かうと、校門がやけに込み合っていた。どうやら、4巻冒頭の持ち物検査の日は今日らしい。
とはいえ、僕は一切やましいところなどない。カバンの中身を見せながら通り過ぎる――通り過ぎようとして、呼び止められた。
「すいません、ちょっと待ってください」
声の主は桜井弘人、生徒会の苦労人である。
「文芸部、過去に何度も問題を起こしていたらしくて。特に注意せよと言いつけられてるんです、すいません」
申し訳なさそうにカバンの中身を検分する桜井君。
「……うん、問題ないですね。すいません、女性の荷物をじろじろと」
おお、初対面なのに女性と分かるとは。……でも文芸部は要警戒対象だし、部員のプロフィールは把握していてもおかしくないか。
「いえいえ。生徒会業務お疲れ様です。では」
カバンのチャックを閉じて下駄箱へ向かう。その背中から、温水君と女の子……恐らくは馬剃さんの声が聞こえた。原作に違わず、検査に引っ掛かったのだろう。南無、温水君。
昼休み。周堂から呼び出しを受けた俺は、例の非常階段へとやって来ていた。
「こんにちは、温水君。……君はこの場所で散々他の部員の皆さんとイチャイチャしていましたが、ついに僕もここを使う時が来ました。なんだか感慨深いです」
「そ、そうか……いや、イチャついてはないぞ」
本当に感慨深げだったので思わず流しそうになったが、そこは大事だ。
「ま、それはともかく。君にどう責任を取っていただくか、まだ決めていませんでしたね」
「……」
思わず、唾を飲み込む。妖しく光る眼差しが俺を見ている。果たして、周堂は何を告げるのか。
「温水君に一つ、僕の言うことを聞いていただきます。ただし、それは今ではありません」
「……えっと、つまり」
「色々考えたのですが、『今ではないな』と思いまして。何を頼むかも決められませんし、いずれ相応しい頼み事が見つかった時まで取っておこうかと」
「一つ借りだってことだな……周堂がそれでいいなら、俺から言うことは何もないよ」
「では、契約成立ということで。僕の尊厳は高くつきますよ」
ひとまず命は助かったが、あんまり穏やかではないな……。
そう思いながらカレーパンをかじる。
「せっかく二人ですし、何か聞きたいことがあるなら答えますけど。気になるでしょう、色々」
「え……聞いていいのか、逆に。じゃあ……」
なんで男装してるんだ、は、さすがに直截的すぎるだろう。
「俺、何度か周堂のこと男子扱いしてたけど、なんでその時言ってくれなかったんだ?」
「自力で気付いてくれた方が面白いと思ってしまったんですよ。結果、あんなことになってしまったわけですが」
こいつ、俺が思うより良い性格してるな。
「ま、全然気づかないので腹立つこともありましたが……なんだかんだ、男友達として接してくれるのは楽しかったですよ。これまで通りにとは、温水君の性格上出来ないでしょうが」
……やっぱり、周堂は身体と精神にギャップがあるのだろうか。春から今までずっと男子制服で登校している訳で、そうした理由が無いのでなければ余程筋金入りの男装趣味ということになるが……口ぶりからは、前者のように思われた。
「どうしました?」
そんなことを考えていると、周堂が俺の顔を覗き込んでくる。先週までなら『イケメンめ』と思うだけだったが、女子と気づいた今では周堂の顔立ちの整い具合が別の意味を伴ってきて、なんだかむずがゆい。また良い匂いもするし。
「……ひょっとして照れてます?」
「……別に」
「はは、良いんですよ温水君。女性扱いされるのが嫌というほどでもありませんし。ちゃん付けよりは君付けの方がしっくりきますけど、そのぐらいの話なんです」
そう言って周堂は笑う。無理した様子もないので、本心なのだろう。
「ま、これからも友達付き合いをよろしくお願いしますよ」
笑顔で、周堂はサンドイッチを頬張るのだった。
放課後、温水君と共に八奈見さんの愚痴を聞いていると、小鞠さんが部室に駆け込んで来た。
ひどく怯えた表情の彼女は、
「わ、私はいないって、言って!」
とだけ言い残し、テーブルの下に潜りこむ。と同時、小抜先生が姿を現した。
「あら。小鞠ちゃんがこっちに来たと思ったのだけれど、見てない?」
僕たちはこっそりと目配せして、温水君が代表して答えた。
「いえ、見てません。なにかあったんですか?」
「追いかけたのだけど逃げられちゃって」
「追いかけたからだと思います」
「追いかけたって、小鞠ちゃんに何か用事があったんですか?」
八奈見さんがそう尋ねると、小抜先生は懐から一冊の本を取り出した。タイトルは、『友達どまりの彼に、あなたを死ぬほど意識させる本』――来た!小鞠さんが温水君を意識している証しとなる本が!
受け取ろうとする温水君に先んじて、テーブルの下から小鞠さんが飛び出し本を奪い取る。
「あ、ありがとございます!」
そのまま、小鞠さんは部室を飛び出していった――よし、僕の初仕事だ。
「あ、ちょっと小鞠さん、僕話が」
それらしいことを言いながら、小鞠さんの後を追う。
「お゛わ、周堂!?な、なんで追いかけてくるんだ!」
僕の声に振り返った小鞠さんが奇声をあげる。
「ちょっとっ、話があるんです、止まってください!」
「わ、分かったから追いかけるな!」
「追いかけないと、追いつけない、でしょう!」
数十秒後、僕たちの追いかけっこは階段の踊り場で終結した。
「……で、話ってなんなんだ」
「その本についてですよ」
僕の言葉を聞いた瞬間、小鞠さんはさっと僕の脇を通り抜けて逃げようとする。ので、腕を伸ばして捕まえた。
恋バナの導入としては全くもって不適格な気はするが、逃げられてしまうので仕方がない。さて、直球勝負ね。
「おっと逃げないでください」
「ぐ、は、離せ!」
「『友達どまりの彼に、あなたを死ぬほど意識させる本』……なんともいじらしいタイトルじゃないですか」
「み、耳元で囁くな、キモイ!」
「お相手は温水君ですか?」
「ひぅ゛」
じたばたと暴れまわっていた小鞠さんだが、温水君の名前を聞いた瞬間に固まった。いやあいいですね、生の恋する乙女の反応。
「おや、図星ですか」
「かっ、かまかけたのか!?」
まあ分かっていて聞いたんだけど、そういうことにしておく。
「いいじゃないですか、応援しますよ僕」
他の人も応援するけど、嘘は言っていないし。
「べっ、別にちょっとからかってやろうと、お、思っただけで、ぬ、温水のことなんか、ぜ、全然好きじゃないんだからな!」
おお、小鞠さんがツンデレみたいな台詞を。恋の病は重篤のようだ。最高だね。
「どうどう、落ち着いてください。悪いのはあんな言葉をさらりと言ってのけてしまう温水君です」
「そ、そうだな。温水が悪い」
正直自分でも何を言ってるのかよく分からないが、ともかく温水君が悪いということで落ち着いた。
「で、ですよ。温水君はあんな感じなので、結構ぐいぐい行かないといけないと思います。小鞠さんの場合は特に」
「ぐ、ぐいぐい、って、私がか」
「そうです。僕の見立てでは、温水君を巡るライバルは結構増えていくと思うんです」
「い、いや、温水だぞ?あ、あいつを好きになるやつとか、い、いるわけ」
「そういう温水君が好きなんでしょう?」
「ピ」
小鞠さんは茹で蛸のように真っ赤になってしまった。めっちゃ可愛い……。やっぱりぬくこまだよ。まあ全方位推すんですけど。
「おーい、小鞠さーん。他の人も、そのうち温水君の良さに気付くと思うんです。僕の見る限り、小鞠さんは小動物として認識されています。その認識を覆さないかぎり、同じ土俵には立てませんよ」
「う……な、なんで」
「?」
「なんで周堂は、そんなに、応援してくれるんだ」
「……正直に話せばですね、恋する女の子ってすっごい可愛いと思うんです」
「お、おう」
「僕はこんななので、これまで恋バナの経験はありませんでしたが……友達の小鞠さんが恋をしたと言うなら、応援せずにはいられないんです。可愛い小鞠さんを見ていたいので」
「あ、あんま可愛い可愛い言うな。……ん、待て周堂。そ、その理屈だと、他の奴が、ぬ、ぬく……ライバルになっても、お、応援するのか」
「……」
目を逸らす。しかしまわりこまれてしまった。
「周堂」
「……バレましたか。いえ、ずっと秘密にするつもりでは――」
「し、死ねっ」
もったいなきお言葉!
折角キャラの濃いモブを出したので再登場。色々便利に喋らせ過ぎた気がします。
ちなみに、新選組男子が“西”川なのでその反対の東、という安直な名付け。
感想、高評価頂けると励みになります。気が向いたらよろしくお願いします。