黒夜、後に白日~裏ボス転生者、周りを曇らせながら能天気に戦います~   作:せみふぁいなる

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何故か最後の方だけ少し調子が出た気がする。


フラグはちぎっては投げる物

 皆〜、こーんにーちはー!元気にしてるかなー?お兄さんは〜、元気〜〜!!

 

 現在、俺は空に剣を浮かばせて、その上に座って明華ちゃん達の戦闘を見てまーす!いぇーい!

 …え?剣の上である意味? カッコイイじゃん? ただそれだけ。こういう何ともない所でカッコつけて「俺、カッコよくね?」みたいなのをする事によって満たされるナニカもあると思うんだよね。 知らんけど。

 はいそこ、ナルシストやんとか言わない!

 

 ちなみに、レイゼさんとグレイスは家で留守番中。2人で、どうしたらもっとご飯が美味しくなるのか研究中らしい。うーん、平和だ。

 

 体が鈍らないように日々の訓練を欠かさないようにしつつだったから、あんまりこちら側を見に来れなくて、お二人が今どんな感じなのか分からなかったんだよね。だからこうして見に来てる、って感じ。

 

 とは言っても明日が例の1週間後だから、予想が合ってればだが、某狩猟ゲームでいう緊急クエスト的なのはまだなはずなんだけど。

 

 あのボスって割と大事なイベントだったはずだし、出現するタイミングがズレるような事もしてない…はず。きっと。

 だから、順当に行けば明日なはず。そうに違いない。いや、そうでなくてはならない(過激思想)。

 

 見た感じ、ちゃんとボスにも勝てる程には強くなってて安心である。

 …あっ、やけにでかい白い柱で魔物消し飛んだ。派手にやるなぁ…。

 

 ……ん?魔物はもう倒れたのに、明華ちゃんがキョロキョロしだしたぞ?

 …ひぇっ、こっち見た?! 目合ったんだけど! 気配遮断が切れていたかと確認する、が……うん、切れてないな。

 

 ───怖!!なんでバレてるの?!

 

 早めに退散しておこう、うん。 良かったぁ、レイゼさんに言われて焦りを表にあまり出さない練習しておいて。

 …あくまで"あまり"なので、隠し通せはしないのだが。

 

 何か不都合が起きても怖いので即退散ッ!ヨシ!おら、ゲート開けぇ!

 

 

 

 

「………」

「どうしたの?めいちゃん、何かあった?」

「…いや? 別に何にも無いよ〜」

「そう?それならいいのよ。 …また倒れたりしたら本当に泣く自信あるわよ?」

「ふーん? …じゃあ私、久しぶりに泣いてるふうちゃん見たいからわざと倒れようかな〜」

「わざとでも心配するからやめてちょうだい?!」

「フフッ、冗談、冗談だから怒らないで〜」

 

(…? 気のせい…じゃ無かったよね。 見間違いじゃ無ければ、助けてくれた人だった…。なんで見てたんだろう、見守り?監視?)

 

「ほーら、突っ立ってないで!もう魔物は倒したんだし、帰ろ?」

「あ、うん」

「それにしても、なんで最近帰り道に魔物が湧くのかしら? しかもちょっと強めの。お陰で帰るのも遅くなるし、髪は崩れるしで、いい迷惑だわ!」

「まぁまぁ、ね?魔物は自然発生なんだし…。それでもタイミングよく湧きすぎな気はするけど…」

「…うむむ、やっぱりアイツが関係してるのよ! なんか意味深な事だけ言って去ってったし!怪しすぎるわよ!」

「はいはいふうちゃん、そこまでだよ。 あの人はわざわざ私達を助けてくれたのに、後になって魔物をけしかけて来る意味が無いと思うな。 それならあの時、私達を見捨てれば良かっただけの話でしょ?」

「う〜、それはそうなんだけど〜…あーもう、なんかモヤモヤする!甘い物食べに行こ!甘い物!」

 

(でも、本当になんで私達を見てたんだろ?…また会える的な事を言ってた気がするし、その時に会ったら聞いてみようかな)

 

「早く行くわよ、めいちゃん!スイーツが私を待っている!」

「そんなに急がなくても、スイーツは逃げないと思うよ〜。…あー待って待って、走らないで! 信号赤だから止まって?!」

 

────────────────

 

 さぁ、やって参りました。

 明華ちゃんが主人公として、自分の周りだけでも救うと覚悟を決める大事な日が。

 心做しか、どちらの世界の太陽ともがいつもより輝いているように見える。…あっちょっと曇って隠れた。

 

 そして勿論、俺にとっても今日は大事な日である、失敗は許されない。仮に大きく失敗してしまったら、明華ちゃんと風花ちゃん、そして今後明華ちゃん達の仲間になるはずの人達、そしてその周りの人達。この全員が幸福になれない未来になってしまう、そんなのは俺の望んでいる未来では無い。

 

 手をつけなくていい所が大半だと思うが、やはりイレギュラーが起こる可能性というのを捨てきれない。

 本当に、ほんっとうに原作と同じ流れになりそうな所に手は付けたくないのだが…。

 イレギュラーが起こってしまった場合、主人公補正が仮にあったとしても、厳しくなると予想される。そうなれば、その対処の為に俺が出なければいけないだろう。

 

 頼むから、流れよ乱れないでくれ…。そしたら、最後に俺がチラッとまた出てササーっと助言するだけで良いんです…。

 こればっかりは祈るしかない。ダメだったら、神様を恨もうと思う。…いや、やっぱ神様は恨みたくないので、その上司?の神様を恨む。

 最近やっと気付いたんだ、多分一番性格悪いのその上司の神様だって…。

 

 今日は先日とは違い、レイゼさんとグレイスも一緒に行動する。

 俺が何かやってしまった時、絶対に俺一人だといい方向には転ばないと、そう断言出来るからだ。前世含めた経験から、俺は俺の事を信じていないし、レイゼさんとグレイスを信じている。

 それに、純粋に人手があった方が安定するし、なによりグレイスは俺のメインウェポンである。この子が居なければ色々と大変だ。

 

 良く聞くような杖の役割もこなせるらしく、グレイスは魔力伝導率がなんと驚異の100%。俺が出した魔力や、周りの魔力を吸って、オマケにそれを効率よく、状況に応じて自分で判断して変換・出力してくれると。

 ウチの子優秀すぎ…?

 

 まぁ、何も欠点が無いわけでは無いのだが。例えば、そもそも鎌の時点で扱いがかなり難しいとか、俺の調子が悪いと、俺の魔力を吸った時にグレイスにも影響が出るとか。扱いに関しては、まだまだマスターしたとは言えないので練習あるのみと言ったところか。

 

 さて、ウチの子自慢は置いておいて、だ。

 時間的にそろそろな気がするから、早く出てしまうか。

 遅れた結果何かが起こってた、とか嫌だしね。早めに行っておいて損は無いと思う。

 

「レイゼさん、用意は…」

「はい、既に出来ております。」

 

 用意は出来た?と聞く前に、レイゼさんから返事が帰ってきた。

 いつの間に後ろにッ?!とかそういうのはもう無いよ。 ただ、食い気味に返事が帰ってくるのは実は珍しいパターンだったりして、少し驚いた。

 

「流石、しっかりしてるね」

「恐縮です。…ご主人様、本日は私もお傍におりますが、怪我だけはなさらないでくださいね?」

「しないように頑張るよ。もう心配させたくないしね」

 

 そう言いつつ、一体これから何回心配をかけてしまうのか、皆目見当もつかないね。心配されない程強い自信はあるけど、やっぱり過去が尾を引いてるよな…。

 

「…私も、準備出来た。いつでも行ける」

「ん、おーけー。 …やっぱり2人共可愛いよなぁ…」

 

 もう雪遊びした時の服装だとおかしい季節になったからね。服を二人の意見を聞きながら新しく創った訳ですよ。

 そりゃあもう可愛いよね。思わず口から出るくらいには。

 普段の2人とは違う感じがして、なにか何時もとは違う種類の幸福を感じる。

 

「あ、ありがとうございます」

「…ご主人、もっと褒める」

 

 二人が照れているのか、顔を赤くする。

 うーん、やはり可愛い。

 

「そうしたいのは山々だけど、もう行かないといけないからね、グレイス」

「…分かった。我慢する」

「帰ったらいっぱい褒めるから。…勿論レイゼさんも」

「私もですか?!」

 

 当然である。仲間外れいくない!それに本心からの言葉だし。

 

「はいはい、この話は置いておいて早く出るよー」

「…レイゼ、褒められる為にも頑張る」

「うっ…はい。頑張りましょう」

 

 前回見つかってしまった反省を活かして、今回は羽を出さずに外へ出て飛行する。これで見つかったら、もう多分羽とか関係無いと思う。

 …なに?ゲートで行かないのかって? …それでは風情が無いという物だろう。 いや、ゲートにはゲートのかっこよさがあるとは思うけどね。

 

 飛ぶのに別に羽は必要無いからね。魔力の出力機構なだけで、後は見た目の飾りだ。

 …あ、嘘。俺の魔力回路は主に羽に集中して通ってるから、割と大事な部分ではあった。そのせいで、俺の抜けた羽根を持つと鬼のように強くなるらしい。 そんな詳しくは知らないが、言ってもそこまで強くならんだろ、多分。

 

 さて、そんな事を考えてる間にもう明華ちゃん達を見つけた。

 ……気配を探ってみた感じ、そこそこ近い所に今回お目当ての奴も居るっぽいな。とりあえずここまでは流石に順調か。

 

 俺の記憶が正しければだが、アイツと遭遇する所は結構衝撃シーンというか、そこそこ記憶に残るような感じだったんだよな…

 …ゲームの方だと耐えてたけど、明華ちゃんと風花ちゃんはアレを見てトラウマになったりしないだろうか? …余計なお世話か?

 

 近さ的にそろそろ、だろうか。俺の方も準備しようか。

 

「レイゼさん、ここに居ながらで良いから、ここら一帯に隠蔽魔法貼れる?」

「はい、お任せください」

 

 そう言ってすぐ、レイゼさんは範囲外から範囲内で何が起こっているのかを認識出来なくなる魔法、隠蔽魔法を一帯に貼ってくれた。

 

「このまま合図が出るまで維持でお願い出来る?」

「ご要望通りに」

「ありがとう、助かるよ」

 

 後はちょっとした下拵えみたいな物だ。

 緊急時にいつでも起動出来るよう、アイツに向けて魔法陣を空に展開しておくだけ。

 ちょっと魔法陣に細工をするだけであら不思議、気付かれないようになるんですね。う〜ん、これは天才。…調子こきました。すんません。

 

 準備も終わったので、後は明華ちゃん達が遭遇するのを待つだけだ。

 ぶっちゃけ嫌な予感はずっとしてるし、第六感的なヤツがずっと警報鳴らしてるんだけど。…切実に、気のせいであってくれと思う。

 手を合わせて祈っていると、グレイスが話しかけてくる。

 

「…ご主人、私は武器になっておいた方が良い?」

「……うん? あぁ、そうだな。出来ればそうしておいてくれると、何かあった時にすぐ行けるから助かる」

「…分かった」

「あぁ、別に人型のままがいいなら、それでも良いからね? 強制は絶対にしないよ」

「…ん、大丈夫。 まだ話すの怖いし…」

 

 ええ子や…あと可愛い。

 あ、そんな事してたらもう遭遇するっぽいな。備えねば!

 

──────────────────

 

「今日は珍しく平和な日ね〜」

「そうだね〜」

「もうアイツが言ってた日なのに、結局会わないし…何がしたいのかしら?」

「私も分からないけど…でも、警戒はしておいて良いと思うな。 この間の魔物退治の時、遠くから見てたっぽいんだ、あの人」

「えぇ?! アイツ居たの?! めいちゃん、そういうのは早く言ってよ!」

「ごめんごめん、私も考え事してたから、ふうちゃんに言うの忘れてて…」

「もー、ちゃんと次はちゃんと言ってよね?」

 

 あの人が言っていた"次に会う日"である今日、私達は珍しく平和な帰り道を楽しんでいた。

 そこまで悪い人には見えなかったけど、遠くから見ていた理由が分からないので、良い人とも判断しづらいのがどうにもモヤモヤする。

 

「めいちゃん、どうかした? もしかして、アイツの事考えてた!?」

「あ〜、まぁそうかな…?」

「もー、今はあんな奴の事なんて考えないで、この平和をじっくりと味わいましょ?」

「それもそう、なのかな…?」

 

 ふうちゃんに言われて考える事を一旦やめ、のんびりと歩く。

 そして、曲がり角を曲がった時に"ソレ"は見えた。

 

 

 

「ン〜、魔物とはいえ、負の感情はなにが対象でも美味デスね…。 デスが、人間に比べるとやはり味わい深さは欠けマスか…。 ホラホラ、もっと苦しんで、その苦痛に塗れた美しい顔を見せてクダさい?」

 

 そこには、ピエロのような黒い仮面を被った、人に似たナニカが、人とも魔物ともとれる様な不気味な形の魔物を拷問している姿があった。

 魔物は既に満身創痍といった様子であり、四肢がもがれ、顔も原型が分からない程にズタズタにされている。

 足元には血溜まりが出来ており、ドス黒い血が辺りを染めている。

 

 今まで仕方なく魔物退治をしていたが、全て死体も残らないような大技で片付けてきた為、ほぼ死体と言ってもいい様な目の前の惨状を目にし、胸の奥から嘔吐感が込み上げてくる。

 

 仮面のナニカはまだコチラには気付いていないようで、嬉々として拷問を続けている。

 意地で嘔吐感を下し、親友であるふうちゃんの事が心配になりすぐ隣に目をやる。

 

 ふうちゃんの方は、一度修羅場を助けありとはいえ潜り抜けた為か、私よりも少しだけ余裕がありそうに見える。

 しかし、あくまで少しだけであり、その心は見てはいけない物を見てしまったような恐怖や、早く逃げなければという焦燥など、様々な感情がごちゃ混ぜになった、なんとも言えない状態になっているだろう。

 

 足がすくんで逃げ出せない中、とうとう仮面のナニカが、気配を察知してコチラに気付いてしまった。

 

「おや?…これはこれは、やっとお目当ての人達が来たようデスね。ワタクシとした事が、暇すぎて部下で遊んでしまってイテスグに気付けませんでシタ」

 

 仮面のナニカが、こちらに歩いてくる。私の経験が、戦えばきっと勝てると伝えてくるが、心が恐怖に支配されてしまい、体が思うように動かない。

 

「どうシタんデスか?お得意の"白"とやらは、使わないのでショウか。…ふむ、この美味な負の感情は…。 なるほどデスね、貴方達はあの玩具の惨状を見て、恐怖を感じているのデスね?」

 

 思考すらも、思うようにままならなくなってきた。死への恐怖が、私達の全てを拘束している。今はとにかく、コレを克服しなければいけない。

 動いて、動いて、動いて、動いて、動け、動け、動け!

 

「ここで殺してしまうにしては、少し勿体ないような気もしマスが…。 あのお方の命令デス、仕方ないデスね」

 

 仮面のナニカは、気付けばもう既に目の前に立っていた。

 その不気味な言葉遣いも、その執事服も、手に付いている長い爪も。全てに"死"を感じる。

 目の前のナニカは、ふうちゃんにその鋭い爪を突き立てる。

 

 私達は、ここで死ぬのだろうか?

 私は、何も出来ないまま、ふうちゃんにあの人に恩を返せないまま、永遠の眠りについてしまうのか?

 

「デハ、出会って早々ですみませんが…」

 

 まだ、したいことだっていっぱいあるのに……

 

「"オヤスミナサイ"」

 

 ここで大事な人を、大切な思い出を捨てるなんて…

 

 

 

  「そんなの、嫌だ!!!」

 

 

 

「よく言った、それでこそ"白"だよ」

 

 

 体に纏わりついていたイヤなモノを吹き飛ばし、ふうちゃんを助けようと急いで手を出した、そこには。

 

 そこには、あの人が。

 

 

 余裕そうに、巨大な鎌で爪からふうちゃんを完全に守り、背中に1枚だけ生えている羽でふうちゃんを包んでいる"あの人"が。

 

 

 そこに、居た。 居てくれたんだ。

 

 





ここまで見てくださり、ありがとうございます!
私事ではあるのですが、学校を無事卒業致しました。

これからも妄想の続く限り、書いていこうと思います。
是非気が向いたら、感想・評価お願いします!

-追記-
6/4、見やすくなるように誤字修正や文の見直しなど、調整をしました。少しでも見やすくなってれば嬉しいとです。
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