黒夜、後に白日~裏ボス転生者、周りを曇らせながら能天気に戦います~ 作:せみふぁいなる
前話までの改稿が終わってなおこんなに時間かかるとか、恥ずかしくないんですか?(自虐)
勘違いで俺を睨んできている風花ちゃんに、なるべく刺激しないように話しかける。
「……お願いだから、一旦落ち着いてみない? 話し合えば分かり合えると思うんだよね」
「これが落ち着いて居られるもんですか! 食べ物の恨みは恐ろしいわよ!」
そう言いながら、軽めだが初級魔法の風弾を放ってくる。
…風弾を放ってくる?! 言うて初級魔法でも普通の人なら怪我待ったナシだが!?
そこまでやるって、冗談とかじゃなく完全に殺意が篭ってるよねコレ!
「あっぶな!? 当たったらどうするんだ!」
「当たらないと思ったから軽く撃ったのよ!」
それはそれでどうかと思うんだ。
いや、まぁ仮に当たっても平気だけどさ。そういう問題では無いな。
「っていうか魔法を人に撃つんじゃない!」
「ケーキの仇は取るわ」
「…いやあの、この惨状は俺のせいじゃなくてね? 撃たれるような事はしてないと言いますか」
「じゃあ誰のせいだってのよ! なんだかんだアンタの事信頼してたのに!」
あちゃ〜…こりゃ完全に俺がやったって思い込んじゃってるなぁ…
どうしたらいいか…。…あっ、すぐ近くに歩く風花ちゃんマニュアルが居るじゃないか!
「───大体いっつも遠回しというか、大事なことを濁しながら話したり、意味深な事を言って何処かに行っちゃったりしてあんまり素を見せないアンタが悪いのよ。 そもそも───」
なんか説教モードに入り始めたな。
何この子、こんな状況じゃなくて俺が第三者だったら笑ってたのに。
「……そこの白羽さん、こんな時どうしたらいい?」
「わ、私ですか? え〜、とですね…」
明華ちゃんが脳内で頑張って対処法を検索しているのか、少しの間フリーズする。
が、すぐに答えが出たのか、目をカッ!と開く。
可愛い。死人が出るぞ?
主に俺。
「ヨシ、黒斗さん!!」
「おっ、対処法が出た感じかな? …それで、どうしたらいい?」
いい笑顔になった明華ちゃんが、肩にポンと手を置いてくる。
嫌な予感がする。
「切腹、しましょう!」
死人が出るぞ?
主に俺。
「いやいやいやいや、本当に俺やってないからね?!」
「犯人は皆そう言うんですよ…」
「ダメだ! もう頭の中では犯人にされてる!」
どうしてそうなった!?
愉快な子なのは知ってたけど、そんな唐突にハラキリを要求する子だったかな?!
「さぁ黒斗さん、覚悟を決めてください!」
「───私達を心配しての事だったのかもしれないけど、コッソリと、しかも怪しさ満点のやり方をされたら信じられる物も信じられなくなるのよ? 私は本心からの言葉だって信じてるけど、人によっては疑いしか持てなくなるレベルの───」
「畜生、状況が混沌としてきた!」
明華ちゃんは切腹要求してくるし、風花ちゃんは延々とお説教モードだし…!
ど、どうしたら信じてくれる…!?
──! そうだ、魔獣の死体を見せればいいじゃない!
本当はこの二人にはそんなグロい者見せたくないけど…、背に腹はかえられん!この状況をなんとかするにはそれしかない!
「そうだよ! 証拠! 俺にはやっていないと証明出来る物がある! それを見てくれないか?!」
「…証拠ですか。 じゃあ、納得出来るものであれば、仕方ないので切腹は見逃してあげます」
「なんでそんな残念そうなの…?」
「…まぁ、流石に切腹とかは冗談なんですけど。 お店がこんな事になってるのがショックでつい…」
な、なんだ。
流石に冗談だったか。
「じゃあ、この草壁さんの状態も演技?」
「あ、いえ。 それは多分ガチです。 ふうちゃんは冗談とかで魔法を人に向けたりしないので」
「じゃああれはガチ殺意だったのか…」
「多分そうだと思います。 ほ〜ら、ふうちゃん! 一回落ち着いて! 黒斗さんが自分じゃない証拠見せてくれるって!」
話を進めるために、明華ちゃんが風花ちゃんに落ち着くよう話しかける。
「───私だってこのお店をやった犯人はアンタだって疑いたくないけど、状況的にアンタしかいないじゃない? だから自分のせいだって思われたくないなら証拠を出すべきで───」
「その証拠を見せてくれるって!! ふうちゃん戻ってこ〜い!!!」
そこでやっと気付いたか、風花ちゃんの視線が明華ちゃんに移る。
「───へ? めいちゃん、どうかした?」
「黒斗さんがその証拠を見せてくれるんだって! だから一旦落ち着いて?」
「…めいちゃんがそう言うなら…」
明華ちゃんに言われたことによって、なんとか風花ちゃんが落ち着きを取り戻す。
彼女も神様じゃったか……。拝み倒さないと…
「で? その証拠っていうのは何かしら?」
「俺にとって唯一のやっていない事の証明になる物。 それは───”アレ”だ」
そう言って俺は、未だに片付けていないトマト死体を指差す。
自分でやっておいてなんだけど、正直見るのも億劫になるくらいグロい死体になっちゃったんだよね。
怒りのままに踵落としをぶち込んだは良いんだけど、まさかあの程度の出力で、しかも足の長さも足りてないのに、そのまま余波で潰れるなんて思わなかったんです…
なんて言うか…こう、プレス機で容赦なく生き物を潰したらこんな感じになるんだろうなって死に方なんだよね。
「………もしかしなくても、アレ?」
「いや、まぁその…ハイ。 この店をここまで壊したのは俺じゃなくてアレですはい」
流石の風花ちゃんですら、一目見ただけで後は直視しないように目を逸らしている。
明華ちゃんもあんなダークウェブに転がってそうな光景は流石に無理らしく、見えないように死体がある方の目を手で覆って隠している。
「……店に入って来た時は、”アレ”には気付かなかった感じ?」
「ケーキでそれどころじゃなかったから。 あとは多分、体が本能的に見るのを拒んでたんじゃないかしら」
「私もそんな感じじゃないかなぁ…」
「そっかぁ…。 そうなるのも仕方ない殺り方しちゃったしなぁ…」
そんなモノを見せてしまって、罪悪感でいっぱいです。
でも掃除してたら証拠の提示は出来なかったワケでして…。
……いや、待てよ? 今よく考えたら、泡田さんを呼んで説明してもらえば良かったのでは無いか?
あーいや、でもなぁ…。折角お菓子を作ってくれてるのに、その手を煩わせてまでっていう気にはなれないなぁ…。
あの人は神様なんですよ!そんな人の迷惑になるような事は…あっしてた。死体の掃除してないのめちゃめちゃに迷惑じゃん。
「あ、あの…黒斗さん? なにか考え事をしてる最中で申し訳ないんですけど…。 アレをアレにしたのって、黒斗さん…ですよね?」
割とくだらない事を考えていた俺に、明華ちゃんが遠慮がちに声を掛けてくる。
ええ子や……一生推し続けないと…
「あぁ、考え事って言っても別にくだらないことだよ。 あとアレをアレにしたのは俺だね。 …嫌なモノを見せちゃってスミマセン」
「いえ、それは良いんですけど。 つまり、黒斗さんは寧ろ、このお店を助けてくれたって事ですか?」
「う、うーん…? 助けたというか、半分八つ当たりというか…。 まぁ、助けたって事で良いとは思う」
掃除してないって事と、掴まれてた泡田さんの事を考えずに潰したっていうのが引っ掛かるけど。
…ギリ善って事にならない?
「なるほど…。 ふうちゃん。ここまで聞いたんだから、流石にもう誤解だったって事で納得出来るよね? 私は出来るよ!」
明華ちゃんのその言葉を聞いて、風花ちゃんが気まずそうに腕を組む。
「うっ…。 そうね。これでまだ納得出来ないっていうのは違うわね…。 死体が死体だから見たくは無いけど、証拠も見せて貰っちゃったし…」
そう言うと、二人が互いに目を合わせ、なにか意思疎通をすると同時に頭を下げてきた。
「誤解でアンタの事悪く言ったり魔法を撃ったりして、悪かったと思ってるわ。 ごめんなさい」
「私も、恩人なのに信じきれなくて、ごめんなさい」
…余った時間で掃除しなかった俺も大分悪いから、罪悪感ががががが。
「…頭上げて? これに関しては俺も悪いからさ。 むしろ俺が謝罪させて欲しいなって」
「いえ、誤解とかで関係が悪化するのが、私一番嫌なので」
「同じくよ」
「俺そんな怒ってないから! 止めて! 俺が女の子に謝らせてる人になっちゃう! 誤解が解けたんならそれで良いからさ!」
二人といやいや、いやいやと頭を上げる上げない論争をしていると、作り終えたのか、裏から泡田さんが戻ってきた。
「……帰ってきたら、恩人さんがウチのお得意さんに無理やり頭を下げさせてる…?」
「余計にややこしくなりそうだからさ、一回皆で落ち着いて話し合おう!! ね!!」
流石にこの負の連鎖が面倒になってきたよ!!
──────────
あの後、なんとか頭を上げさせる事に成功し、全員で落ち着いて話し合えた。
会話出来るって素晴らしい。人間のいい所出たな。
泡田さんにもこのお店がこうなった経緯を説明して貰い、再び頭を下げそうになった二人を無理やり止めたりとか、泡田さんに作って貰ったお菓子をどうせならと皆で食べたりとか……まぁ、色々あった。
ちなみにお菓子は本当に美味しかった。
レイゼさんにも引けを取らないどころか、なんならあれは超えてる可能性すらあると思う。これは店が直ったら通うしか無いだろう。
店の修復は既に業者さんを呼んでいるとの事なので、近い内に作業に入るらしい。
…あれ?魔獣に踵落としをぶち込んだ時、床にヒビ入らなかったっけ?
あー………
…店の修復代、帰る時にこっそり置いておこう。うん。
「それにしても、例外魔獣、ですか…。 ふうちゃん、今って出てくる時期じゃないよね?」
「えぇ、そのはず。 少なくとも、政府が公表してた時期とは外れているのは確かよ」
「だよねぇ……」
例外魔獣というのは、前の世界で言う自然災害のような物である。
『特定の時期に稀に現れる』の、”特定の時期”の部分。ここが少し厄介なのだ。
というのも、”魔力の濃さ”によって、時期が変わる事があるのだ。
その為、月単位で国が日本全体の魔力の濃さの平均を測り、それを元に「この辺の時期が危ないから警戒してね、この辺は出ないから安心してね」と情報を出す、というシステムになっている。
まぁ、もう一度言うが自然災害のような物なので、完璧に推測する事は難しい。だから今回もそのパターンだと思うかもしれないが、しかし。
これがたまたま自然発生した物ではなく、ストーリーと関係しているという根拠がある。
それは───
「出てくる予兆も無かったので、店内にいきなり出てきた時はただの魔獣だと思っちゃったんですよねぇ…。 どういう事なんでしょうか?」
───そう、”予兆”だ。
例外魔獣達は皆、名前に例外とは付いているが、例外なく”予兆”というのが発生する。
しかも、なんともまぁ例外な割には親切なモノで、この予兆というのは出現する三日前には発生するのだ。
見落としも有り得ない程に分かりやすく出てくるので、『分からなかった』はまず無いと思って良い。
なんせ、某携帯獣の亜空切断よろしく、空中に次元の狭間のような物が出来て、周りの魔力濃度が肌で感じる程に濃くなるのだから。
「……アンタ、ずっと喋らないで紅茶啜ってるけど、まさかまた何か知ってるんじゃないでしょうね?」
「ん? あぁ、ごめんごめん。考え事してただけ。 何か知ってるどころか、今回の事は全然想定外なんだよね。 本当にたまたま居合わせただけで」
「ふーん…? アンタ、嘘ついてる時肩に力入る癖やめた方がいいわよ」
へぁっ?!
まずい、ストーリーには関係してる事がバレるとまた俺の知ってる流れじゃ無くなってしまう!
俺の胃も無くなってしまう!
「えっ嘘?!」
「嘘よ。 大人しく洗いざらい吐きなさい、このスカポンタン」
「スカポンタン?! 初めて言われたんだけど!」
「……私の知らないふうちゃんの言葉遣いが…。 なんか複雑な気分」
俺の扱いが分かってきたじゃあないか、風花ちゃん……!
「もしかして、ウチの店のお得意さんって見てて面白い人達…? 知り合えて良かったような、良くないような…?」
「待った待った、嘘は付いてないから!本当だから!」
「カマかけには引っ掛かったじゃない!そういう所よ! もう観念しなさい!」
「私も、知ってる事があったら教えて欲しいな〜…?」
「その上目遣いヤメテ! もう本当に全力で逃げようかな?!」
───結局、押しに負けて『もっと強くなっとかないとヤベーですよ』とは言ってしまった。
そして、強くなるという事は当然鍛えないといけないという事で。
前に俺が自分で言った『稽古はつける』宣言の元、主人公二人組の強化が始まる事となった。
……まぁ、これで強くなって結果自分達で解決してくれれば、俺が知ってる流れになるからヨシ!!
活動報告の方では言ったのですが、この場を借りて改めて言わせてください。大分前の事にはなるので今更感がありますが、まだ活動報告以外では言ってなかったので。
評価バーに色が付きました!ありがとうございます!!本当の本当に嬉しいです!!こんな駄文しか書けない作者ですが、今後とも是非拙作をよろしくお願いします!!!
風花ちゃんのおもしれー女化は止めない方針で。言葉遣いがまだ安定していないのは、僕の力量不足なので、どこかおかしい所があったらストレートで私の顔にぶちかまして下さい。
ここまで見て下さり、ありがとうございます!宜しければ感想・評価の方もよろしくお願いします!
モチベーションに繋がります!