黒夜、後に白日~裏ボス転生者、周りを曇らせながら能天気に戦います~ 作:せみふぁいなる
グレイスたん健気だね……。
…私の名前はグレイス。
……ご主人が付けてくれた、大事な名前。
…突然だけど、私は多分、ご主人の事がすき……なんだと思う。
最初よく分からなくてレイゼに聞いた時、これを読むと良いって私にくれた本にそれっぽい事が書いてた。
レイゼは自分で気付くべきって言ってその後は何もしてくれない。
……ケチ。
……とにかく、多分…すき…なんだと思う。まだイマイチ分かってはいないけれど。
あの私が生まれた日からそれは続いていて、あの日よりもっと気持ちが大きくなってる。
私は多分、ご主人の”黒”の記憶……その一部を受け継いで生まれた。
……だから、生まれてすぐに目の前の人がご主人なんだって、分かったんだと思う。
元々中にあった物だからなのか、ご主人の考えてる事とか、したい事とか……そういうのが、全部私の中にも流れてくる。
……ご主人は分かってないのか、私が読心術か何かで心を読んでるって思ってるけど。そういうご主人もすき。
……そういえば、言い忘れてた。さっきご主人の事がすきなんだと思うって言ったけど……レイゼの事も、勿論すき。
……ご主人と同じで、私の事を尊重しながら歩み寄ってくれたから。あと、私と同じで、レイゼもご主人がすきなんだって伝わったから。
でも、ご主人への『すき』と、レイゼへの『すき』は、何かが違う……ような気がする?
よく分からないけど、これも本を読んでたら分かる事……?なんだと思う。……がんばる。
……そして、そんなすきな人達と一緒に過ごせるこの生活が、私はすごく気に入ってる。
ご主人が私に可愛いって思ってくれて、撫でてくれて……。
レイゼも大変そうなのに私に構ってくれて、お料理まで教えてくれて……。
最近だと、新しいお友達が二人も増えたりして……。
……胸の奥がほわほわして、あったかくなる。
……多分これが、ご主人の言う『幸せ』ってモノなんだと思う。
……武器として生まれた私。
でも、ご主人は私の事を『武器』としてじゃなくて、『人』として扱ってくれている。
勿論、ご主人の武器として戦う事が本命だけど……。でも、甘えたら撫でてくれたり、手も繋いでくれたりするのは、本来武器にはしない事だから……。
……だから私は、ご主人から受けたこの『幸せ』を返す為に、レイゼから色んな事を教えて貰ってる。
……でも最近、ご主人は一人で頑張りすぎな気がする。
遠くからでも、ご主人の思ってる事は全部流れてくるから、ご主人に何かがある度に、心配でモヤモヤする。
私も、自覚はある。心配し過ぎだって。
……ご主人は強いから。自分に起きた事はすぐになんとか出来る位には、強いから。
……でも、ご主人は大丈夫でも、私は大丈夫じゃない。もう、すきな人が傷付くのは見たくない。
……あの、私がまだ生まれたばかりの、レイゼとの特訓の時……。
私はご主人の武器だから……ご主人が傷付くのを、見ていることしか出来なかった……。
私に出来たのは、精々あまり傷付かないようにって、声を掛けることくらい……。
あれ以来、ご主人は反省して、私達に心配をかけないようにと頑張ってるけど……。
……出来ることなら、あまり戦ってほしくない。ご主人が戦ってるだけで、また傷付いてしまうんじゃないかって……そう思ってしまうから。
これは私のワガママで、それは今後も叶う事はないのだろうと思う。
レイゼも、ご主人が戦っている時、あまりいい顔はしていない。
……多分私と、ほとんど同じ。でも、レイゼはあの時ご主人を傷付けてた張本人だから……。きっと、もっと重く捉えてるはず。
最近、レイゼが何か思い付いたような顔をしていたけど……。
……レイゼのスタンス的にご主人に害は無いだろうから、何も言わないけど……一体何を思い付いたんだろう……?
……気になる。帰ったら聞いてみよう。
ご主人、今日は色々と考えてるみたい。
主人公?二人組………あの人達か。あの人達との特訓と、危ない人達の殲滅……。
……ご主人、また危ない事しようとしてる……けど、今回は私もいるから……絶対、ご主人の事は傷付けさせない。
あとは……む、新しい武器の作成……?
私の強化だけじゃ無いの……?
…………新しい子を作る……。
なんだか、ちょっと……いや、かなりモヤモヤする……けど、ワガママ言っちゃったら、ご主人の迷惑になる……。
それに、新しい子が増えたらご主人の事を支える人が増えるから、悪い事はなにも無い……けど……。
……私はいい子だから、我慢出来る。
……それに、私の強化、事前に私に大丈夫か聞いてくれてる。大事にしてくれている証拠……。
………………帰ったらいっぱい甘えよう。
ご主人が無理をしちゃうと、ご主人の周りの人は悲しくなる。
でも、ご主人本人はなんだかんだで楽しんでるっぽいし……それなら、無理をしないように私達が助けてあげればいいって、最近気付いた。
そうやって助けていく中で、この気持ちの事も知れたら良いなって思う。
……私のすきな人達に囲まれている、この日常は……。
……私達自身で、守るしか無いから。
……だから、ご主人。私に黙っての無理だけは絶対しないでね。私の『幸せ』はご主人も居て、やっと『幸せ』足り得るのだから。
良いですか?この小説はキャラクターを曇らせてこそ真価を発揮するのです。
その曇らせはまだちょっと遠いんですけど……。そろそろ散りばめて行ければなって。
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