黒夜、後に白日~裏ボス転生者、周りを曇らせながら能天気に戦います~   作:せみふぁいなる

23 / 32
初めて使ったけど、多機能フォーム便利そうすぎる。
なんだこれ、創作が趣味な人のオアシスか何か?


特訓の成果 "白光"

「よ、よろしくお願いします! 黒斗さん!」

「うん、よろしくね。白羽さん」

 

 風花ちゃんの特訓の成果は見たので、お次は明華ちゃんの番。

 彼女には魔法メインで鍛えてもらっていたが、だからと言って接近戦の特訓を疎かにしていたという訳ではない。

 

 と、言う事で風花ちゃんの時と形式は変わらずのままでする事にした。

 なんでもいいから一回俺に攻撃を当てる。ただそれだけのルールだ。

 

「あっそうです。始める前に一つ良いですか?」

「ん? どうかした?」

 

 俺に一つ質問があるようで、首を傾げて聞いてくる。

 仕草の一つ一つが可愛い!これ、計画的じゃなくて天然物なんですよ!信じられますか?!

 

 しかし、首を傾げる動作までは良かったのに、段々と明華ちゃんの目から光が無くなっていく。

 

「ふうちゃんに言ってた、二回以上当てたらその数分だけお願いを聞いてくれるっていうやつ……あれ、私にも有効ですか?」

 

 あぁ、ソレですか……。

 

「勿論、じゃないとやる気出ないでしょ?」

「……そうですか、それなら良いんです」

 

 スーッとすぐに目の光が戻ってくる。

 良かったぁ……。

 

 この特訓、実は俺にもメリットはあるので、是非ともやる気マックスで挑んで欲しかったのだ。

 俺にとってのメリットは、『白の特性を見られるかもしれない』という事。

 

 思えば、原作では白の説明はされても、特性までの描写と言う物はあまり無かった。

 あるにはあったのだが、ソレは考察の域を出ず、確証までには至ることが出来なかった。なので、ここで明華ちゃんの力を見られるという事には大いなる価値が存在しているのだ。

 

 唯一の心残りは、相手が推しであるという事だけ。

 推しの力を把握して、あわよくば使えそうなら使おうとか……。普通に自分の頭をぶち抜きたい気分だ。

 だが、よく分からない展開になりつつある今、使える物は使わねばならない。それが俺が決めた事だから。

 

 ………とはいえ、決意は固めても心の問題はそう簡単にはいかないようで……。嫌な物は嫌なのだ。

 はぁ〜、出来る事なら明華ちゃんにはずっと安全圏に居て欲しいんだけどなぁ……。それが一番安心出来るし。

 

 

「(……ん〜、もういっその事、あの白い人に色々言っちゃえばいいのに)」

 

 そんな事したらいよいよ完全に俺の知ってる展開じゃ無くなっちゃう!

 まだ六割くらい知ってる展開だから安心出来てると言うのに!

 

 あと、明華ちゃんもそんな突然伝えられても、色々混乱して訳分からなくなりそうだからね。

 何事も順序が大切ってそれ。

 

「(……ん〜、力はあっても、色々難しい)」

 

 安心してくれ、多分俺がアホな事も関係してると思う。

 

「(……ん、んん……??)」

 

 グレイスが混乱してしまった。

 

 さて、この話は一旦置いておいて、だ。

 

 結局のところ、もう後戻りも出来ない。弱音を吐いてる場合じゃないんだ。明華ちゃんの本気、見せてもらうとしよう。

 

「さて、そろそろ始めるとしようか。草壁さん、開始の合図はよろしく頼むよ」

「ええ。ついでにジャッジもする?」

「……じゃあ、分かる範囲でお願い」

 

 明華ちゃんとお互い離れて、定位置につく。

 始まる前にある程度の準備はしてもいいルールなので、俺はグレイスを構えておく。風花ちゃん相手の時もこうだったしね。

 明華ちゃんは……なんだあれ?見た事ない魔法陣なんだが。

 まぁとにかく、いつでも魔法を出せるように準備しているようだ。

 

 空気が張り詰める。

 いつ来てもいいように、合図に耳を傾け続ける。

 

 

「はじめっ!!」

 

 

 その言葉が聞こえてすぐ、全てを無に帰す白の奔流が、俺の視界を埋め尽くす。

 ……なんか予想以上に凄いの飛んできたっ?!流石黒の反対、イレギュラー枠と言ったところか?!

 

 合格とか関係無しに当たるとヤバそうだ!

 

「『同化』!」

 

 久々に登場だ、同化さん!

 目の前に簡易的な魔力の盾を貼り、飛んできた魔法を盾に『同化』させる。ただの血液掃除魔法じゃ無いんだよなぁ!

 同化さんったらクソ万能なんだからな!

 

 俺の魔力に同化させているので、吸収した分盾が大きく、強くなるというオマケ付きだ。

 

 五秒ほど盾で耐えていると、徐々に視界が開けてくる。

 飛んできた魔法の先に明華ちゃんの姿は……

 

「当然無い! 予想は出来る!」

 

 すぐに少し体内の魔力を解放し、周りに発散させる。

 簡易探知魔法みたいな物だ。分かりやすく例えるなら……某狩猟ゲームの黒蝕竜的な事が出来る。

 

 魔法が完全に止むと同時に、後ろの探知が引っかかる。

 ……天井、空間拡張で広げておけば良かったか。こういう時に上からって選択肢もあるべきだしな。

 

 そんな事を思いつつも、急ぎグレイスを切り払い下がる。

 風花ちゃんにこそ劣りはしているが、それでも速い。魔剣士としては一級レベルの速さだ。

 風花ちゃん?あぁ、本気の彼女はもう人間単位だと異次元に片足突っ込んでるから例外で。

 

「キャッ!? むぅ、流石にダメですか!」

「探知が無くてもすぐ分かるくらいには分かりやすいかな!」

 

 初手の魔法を防御している間に次の魔法を仕込んでいたようで、間髪入れずに二の矢が飛んでくる。

 これは……あぁ、空から見てた時に撃ってたバカでかい白の柱が出るやつ!

 ……バカでかい白の柱が出るやつ?!

 

「なんてもん撃ってんの?! 俺じゃなかったら死ぬよ!?」

「黒斗さん相手だから撃つんですよ!」

「やる気があってよろしい!『同化』ァ!」

 

 俺を囲うように盾を展開すると、すぐに全方位が白く染まる。

 こうも白いと、神様といた空間を思い出すなぁ!

 

「これ、同化持つか?!」

「(……多分、びみょー。どうする?)」

 

 二枚羽の同化シールドですら怪しいとか、魔法だけなら明華ちゃんもう俺と同じフィールドに上がってきてるだろこれ。

 一応俺の羽って一枚展開したら上位者レベルなんだけどな?

 

 これが主人公パワーと何でもお願いを聞くパワーなのか?!

 

 ……ってそんな事言ってる場合じゃない、いつもの悪い癖が出た。マジでどうする……?

 手加減を止めるべき……か……?いやでもなぁ……。

 

 ()()()()()()()()()()()し……。

 

 ……いや、まだあるな。

 仮面君相手の時に使った、本来なら()にしか使わないと決めている技。

 理由?簡単だ。間違って触れたら、そこから()()するから。

 

 一応、恐らく多分めいびー、グレイスを使えば突破は出来るとは思う。

 ……出来るよね?

 

「(……出来る。ご主人の武器なので。……ぶい)」

 

 ウチの子、本当に凄い優秀だな……。

 仮にも相手は"黒"と対等の"白"で、羽二枚の同化シールドも耐えれない魔法だと言うのに。

 

 でも、グレイスは使わない。

 これも予想でしか無いが……多分明華ちゃん、グレイスで魔法を斬って突破してくる事を読んで対策してくるぞ。

 風花ちゃんの時に、あれだけ目立って活躍したのだから。

 

 

 あまり使いたくは無いが……。

 俺が最大限気を付ければ良いだろう。

 

「……ふぅ。落ち着け。どうせ俺の願いを叶える為には、終盤もっと苦しい思いをするんだ。決意したんだろ? 今の内に慣れておけ、俺……」

 

 もう本当に同化も持たないだろう。

 盾にヒビが入り、ミシミシと音を立て始めた。

 

 そんな同化が砕け散ると同時に、俺は解決策となる魔法を口に出す。

 仮面君相手の時を思い出せば、もう分かるだろう?

 使う魔法は……

 

「……『夜界』」

 

 俺の周りに、薄暗い膜が現れる。

 それに触れた白い柱は、膜に触れて衝撃波を残すでも無く、その膜の先から()()しているかのように、無くなっている。

 

 

 『夜界』。

 あの時、仮面君にキレながら明華ちゃん達に貼った結界の一種だ。

 この魔法、貼った対象には何も害はない。内側から膜に触れても、何も起きないのだ。結界だからね。

 

 だが、外側からの干渉は違う。

 外側からこの膜に触れた物は、例外なく消える。……そう。()()するのだ。文字通りに。

 

 だから、何かの間違いで明華ちゃんや風花ちゃんが触れてしまった時、そこから先が無くなってしまうのだ。

 指先なら、触れて前に出た分だけ無くなる。第一関節まで押し込めば、指先から第一関節までが消える。

 それが怖くて、本来敵にしか使う予定は無かった。

 

 ……が、使った。

 ……まぁなんだ、心変わりと言うか。俺の決意の現れみたいな物だ。

 

 何がなんでも、必ず願いを叶えるという決意の。

 

 膜の先で、明華ちゃんが動揺しているのが見える。

 グレイスで断ち切ってくると思っていたからだろう。対策用の魔法陣も見える。

 ……よし、いつもの調子に戻ろう。こんなのは俺らしくない。そうだろう?

 

「白羽さん、どうしたんだい? 予想外ですと顔に書いてあるよ? 戦闘中は、あまり表情には出さない方がいいよ! 俺は出るけど!」

「なら人の事言えないじゃないですか!」

 

 そうそう、これこれ。

 暗い雰囲気は俺には似合ってない!明るく行こう、明るく!

 

「よし、じゃあそろそろ見させて貰いたいな。白羽さんの"本気"ってヤツ」

「グレイスさん以外で対処されたのが、なんかモヤモヤするので! 言われなくても行きますよ!」

 

 そう言うと、明華ちゃんが少しの間詠唱を始める。

 いつの間にか柱の魔法が終わっていたので、今の間に夜界を閉ざしておく。

 

 詠唱が終わったのか、出来た魔法陣を剣にかざすと……明華ちゃんの持っている剣が光り出す。

 

 光が収まると、そこに持っていたのは元々持っていた剣ではなく……

 

「……えぇっと……聖剣か何か?」

 

 神々しい見た目とオーラを放つ、如何にも「聖剣です」と言ってそうな剣になっていた。

 

「ふふんっ! グレイスさんにインスピレーションを受けて作りました! ()()()()()()()()()です!」

 

 この子も俺の知らない間に凄いことしてる?!

 オリジナル魔法って……えぇ……?俺でも中々作れない高度な事してるよこの子……。

 

「ゼクス・カリバルドと名付けました! 私の愛剣です!」

 

 厨二病も患い始めてませんか?

 

「準備はオッケーです! 覚悟は良いですか?! 行きますっ!」

 

 有無を言わさず斬りかかってくる。

 魔剣士らしく、魔法を撃ちながら剣を振るってくる為、避けようにも逃げ場が制限されて戦いづらい。

 

 ……あの剣、グレイスにインスピレーションを受けたと言っていたな。

 

 好奇心のまま、俺は試しに剣に向かって簡単な飛び道具を撃つ。

 すると……

 

「やっぱりそうなるのか! これは危ないなっ!」

 

 そのまま魔力の塊が斬れ、白い魔力となって空気中に霧散していく。

 ()()()()()()()()

 

「その剣、グレイスと違って吸収はしていないけど……()()()()()()()()()()()()()()()()いるな?」

「ご名答です! 黒斗さんにはすぐにバレちゃいますか!」

 

 中々凶悪な剣のようだ。

 やりようによっては、夜界も斬っていたかもしれない。……俺の心配は杞憂だったのか……?

 ……まぁ、いい。俺の気持ちの問題は何とか出来たし。

 それに、出来るともまだ限らないし……。

 

「私もっ! 努力してるって事っ! です、よ!」

 

 風花ちゃんの戦闘を見て学んだのか、目線や手、足の動きでフェイントをかけてくる。

 風花ちゃんとはまた違った戦闘センスがあるっ!やっぱり主人公だよ、君は!

 

「ッそろそろ! 当たってください!」

「そう簡単には! 当たってあげられない、かな!」

 

 レイゼさんとあれだけ特訓したのだ、純粋な接近戦では流石に負けない自信がある。

 疲れてきたのか、明華ちゃんの少し動きにブレが生じるようになってきた。自分でもその事に気付いているのか、少し焦っているようにも見える。

 

「もう、限界が近いッ……! なら! 次の一撃に賭けます!」

「イイね! 明華ちゃんの接近戦の戦い方も分かったし、そろそろ終わろうか!」

 

 ガキィン!とお互いに武器を弾き合い、距離を取る。

 俺はいつ、何が来ても対応出来るように構え、明華ちゃんは次の一撃の為に力を溜め、ベストなタイミングを計っている。

 

 まるでガンマンの早撃ち勝負のように、一瞬の静寂が生まれる。

 タイミングは、明華ちゃん次第。

 

 

 溜めて、溜めて、溜めて、溜めて………。

 

 ………………………

 

「「今っ!」」

 

 両方ほとんど同じタイミングで叫ぶ。

 明華ちゃんは溜めに溜めた魔力を足元で爆発させ、恐ろしいスピードで突進してくる。

 が、レイゼさんで見慣れた超スピードと比べると、まだ遅いっ!

 

 突き出された剣をグレイスで弾く。

 体勢を崩された明華ちゃんは……。

 ッ! 口元が笑っているッ!

 

 魔力の気配を感じ急いで振り返ると、そこには先程剣で斬って霧散させていたはずの魔力の塊があった。

 

 これが本命か!

 

 グレイスを振る時間は無い!完全に油断していたからだ!

 急ぎ魔力を出しながら手を振り払い、相殺させる。

 

 なんとか間に合ったかと安堵していると、更に魔力の気配を感じる事に気付く。

 三段構えッ!?

 

 見るとそこには、弾いたはずの明華ちゃんの愛剣が。その先端で、あからさまにレーザーが出てきそうなチャージをしている。

 体勢を崩し、そのまま疲れて倒れている明華ちゃん自身も、何か魔法を構えている。

 

 ……あー、うん。

 これは、これ以上抵抗するのは逆にかっこ悪いなぁ……。

 いるかは分からないが、強者相手ならこの三段構えは決着モノだ。

 

「……白羽さん、文句無しの合格だよ」

 

 痛みを覚悟して目を瞑ると次の瞬間、風花ちゃんの掛け声と共に、瞼を閉じているにも関わらず俺の視界が白く染まっていった。




黒斗君→実は合格不合格関係無しにお願いは聞く予定だった。あくまでやる気を出す為。

我らが主人公ちゃん→地の文で出ていたが、ゼクスはマジで夜界を斬れる。……が、様々な要因が重なっての事なので、今の所は明華ちゃんしか切れない。

風花ちゃん→ウソ……私の親友、強すぎ……?

多機能フォームの使い方を覚えたら、近々また過去のお話の改稿をするかもしれない。

ここまで見て下さりありがとうございます!!
よろしければ是非、評価・感想の方お願いします!作者のモチベーションに繋がります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。