黒夜、後に白日~裏ボス転生者、周りを曇らせながら能天気に戦います~ 作:せみふぁいなる
3000文字、ポンと出してくれたぜ。
あと幕間だからってちょっとはっちゃけた。後悔はしている。
「…………」
二人を相手にして分かったことがある。
それは、俺って初見の技を相手にする時、ちょっと弱すぎでは無いか?……という事。
「………………」
レイゼさんとの特訓を経て、確かに俺は強くなっただろう。そこは否定したくない。
しかし、斬り合いには強くても、俺はどうにも搦手や初見の技相手に弱いらしい……というのが、二人と戦って出た感想である。
羽は確かに二枚しか出していない。全力では無い。……が、それは言い訳にはならない。俺の力の性能上、二枚も解放していたら普通は勝てるハズだからだ。
「……………………」
一枚ですら世界単位で見て上位、二枚もあれば大抵の敵には負けない。
三ではいよいよ負ける相手は神様くらいしかいないだろう。
四枚から上は…………あぁ、アレだ。店名が……『Sweet carpet』だったよな?
あそこで怒りに身を任せて羽を六枚出して、魔獣にかかと落としをぶち込んだ時。あそこが四より上を出した、最後の時だったハズ。
怒りに身を任せたとは言え、理性はちゃんとあった。あったからこそ、メチャメチャに力を抑えていたはずなのに……うん。
見事に
あの魔獣は『例外魔獣』だった。しかもイレギュラー的な湧き方をした、正真正銘ヤバい奴。
原作では中盤二個手前くらいに相手するボスではあったが、設定上はかなり上澄みのボス。
それを出力2%くらいに抑えたかかと落としであぁしちゃう程のパワーがある。
羽を六枚出すと、それ程に恐ろしいパワーを手に入れる事が出来るのだ。
「…………………………」
おっと、話が逸れてしまっていた。
まぁつまり、そんな羽が二枚も出ていたのに、手加減をしていたとは言え、本来負けないハズの戦いに負けたのだ。
これは間違いなく俺の問題で、少しショックがデカイ。
気持ちを新たにして、改めて鍛え直す必要があるだろう。
こんなんじゃ裏ボス名乗れないよ!!
……え?裏ボスはもっとストーリーに関わらないで静観してる時の方が多い?
それはそう。で、もうダメか?って時に敵の敵は味方理論で助けてくれたりするかもしれない存在でもある。
それなんて
……ふぅ。
さて、考え事はこれくらいにしておこう。
こんな事考えて逃避してないで、いい加減に向き合うべきだ。
「…………ご主人、さっきからずっと考え事。反省してない?」
「いえ、してます。すみませんでした」
…………目の前の、
「……あのー、グレイスさん? 合格と言われたのにそのまま撃っちゃった私も悪いので、そろそろ許してあげては……」
「……白いのは黙ってて」
「はい」
「……めいちゃん……」
明華ちゃんもご覧の有様である。
あの明華ちゃんでも、説得しようにも一瞬で黙らされる。
ちなみに、今ので風花ちゃんは静観するように決め込んだようだ。
巻き込まれたくないのだろう。
さて、何故グレイスが怒っているのか。何故こうなってしまったのか。
先程の明華ちゃんの言葉から推測すると、多分分かりやすい。
……そう。俺が何も防御を張らずに、明華ちゃんの魔法を受け入れた事に、グレイスは大層お怒りなのである。
そりゃあそうもなるだろう。治ってきたとは言え、未だに過保護気味なのは変わらない。そこに俺の防御も正面から砕けるような魔法を正面から、しかも堂々と受けたという情報が頭に入れば、当然心配もするだろう。
で、魔法が止んでみれば、その心配の先にいた人は『まぁ割とボロボロかなー』くらいの傷で突っ立ってると。
しかも『いい火力だ!』とかほざいて。
そりゃ怒りますよね。はい。
いや、違うんです。聞いてください。
「……何が違うの?」
あぁんジト目が怖い!
基本俺が悪いので、大変気まずい。怒られた子供のように、目を逸らしながら言い訳をさせてもらう。
「いや、そのだな? まずそもそも、あんなにダメージを喰らうとは思ってなかったんです」
「……」
「確かに俺の『同化』が破られる火力はあったけど、俺の防御スペックなら耐えられるだろうと、そう踏んでいた訳です」
「…………続けて」
「それに加えて、俺って特訓も兼ねて基本、常に防御障壁を体の周りに貼ってるじゃないですか。だからグレイスもそこまで心配しないかな〜と思いまして……」
「……結果、ご主人はダメージをそこそこ貰ってるけど」
「ヴッ。それはその〜……俺も知らなかった事が一個あって……」
「…………それは?」
いや、ね?
原作での言及が無かったから、多分大丈夫だろ!と思ってた事なんだけど……
「……白が黒に対して、特効を持ってたっぽくて……ハイ」
「……具体的には」
「完全防御無視とダメージ増加、ですかね……ハイ……。俺の慢心でした、スミマセン……」
心の底からすみません。
俺の謝罪を聞いて、グレイスが呆れたように口を開く。
「…………ご主人、慢心癖と焦り癖、やめた方がいい」
「グハァッッッッ!!!」
かいしんのいちげき!
レイゼさんにも言われてた事なのに、未だに直っていないという事実を突き付けられ、ショックのあまりアクション漫画のように壁へ吹き飛んでいく。
「く、黒斗さーん?!」
吹き飛んだ俺を追い掛けるように、明華ちゃんが走って来る。
こ、言葉は時に、人を傷つける武器になる……。実際の武器としても、言葉の武器の使い手としても優秀だね、ウチの子は……。
「……貴女って、結構ズバズバ行くのね……。初めて会った時とイメージが違うわね……」
「……ご主人相手だから。……私は、緑の方がズバズバ言うタイプだと思ってた」
「多分貴女とはベクトルが違うんじゃないかしら……?」
「……そう?」
グレイスさ〜ん、『ご主人相手だから』ってどういう……?
──────────
ご主人が白いの相手に負けを認めた時。
ご主人は自分の身に迫ってきている魔法を、目を瞑り正面から受け止めた。
…………かなり心配した。
……私は自覚していながらも、まだこんなにもご主人に対して、過剰な程心配してしまうのかと、自分を責めてしまう。
……別に、ご主人が弱いとは思っていない。逆に強いが故に、手加減の仕方を色々と探っているご主人を知っている。
実際ご主人は、あの魔法を受けた上で、白いのを褒める余裕まであった。
……でも、それとこれとは話が別。
何回だって思うし、ご主人に伝わるように何回だって言う。
……もうご主人には、傷付いて欲しくないって。
しかも今回に関しては、別にそんな堂々と受けなくて良かったはず。
なのにご主人は負けを認めたからって、潔く全てを受けきったのだ。防御も無しで。
……正確に言えば、防御はあるけれど。結果的に見るなら、その防御も意味を成していなかった。
ご主人にはどこか、危うさを感じる。
自分が物理的に傷付く可能性があってもそれを問題無しと結論付けて、その選択肢を取ってしまう。
精神的な負担には敏感でも、ご主人は押しに弱いから……。
……だから勢いに任せて、もしくは『仕方ない』と考えて、その選択も取ってしまう。
……自分を含めてのハッピーエンドとご主人は言うが、その過程で自分が傷付くのは構わないと、ご主人は思っているのだろう。
…………ご主人には、そんな危うさがある。
……ご主人は、二人に合格を出した。
今後も特訓はしていくのだろうけど、一先ずの合格。
……そして、二人の特訓時間がもうすぐ終わると言うことは、これからご主人はもっと危ない所に行くと言う事。
……むかい、教?への襲撃に。
……さっきは、ご主人も流石に防御するだろうという私の甘い考えが邪魔して、ご主人に少しでも障壁等を張ることが出来なかった。
……どうやら、張っていてもダメージは免れなかったらしいけれど。ご主人のばか。油断し過ぎのダメダメご主人。
…………むぅ。自分で言っておいて、ご主人の悪口を言う自分に少し腹が立った。こころって難しい。
…………とにかく、次なにか危ない事が起きたら、迷わず私も行動する。今決めた。
……ぜったい……痛い思いはさせない。物理的にも、精神的にも。
……ご主人の思ってる事がある程度分かる、私だからこそ。
見ながら書いていると言うのに、それでも自分で作った設定を忘れてしまう事が割と高頻度であって辛い。
頭壊れちゃうのぉぉぉぉビクンビクン
ここまで見て頂き、ありがとうございます!よろしければ是非、感想・評価の方をお願いします……!
申し上げた通り、高頻度で設定を忘れてしまうアホ作者です。
「なんで設定が矛盾してんだよ……?教えはどうなってんだ教えは!」と思ったら遠慮無くビンタと共に教えてください……!
誤字報告も大変助かっております、いつもありがとうございます!