黒夜、後に白日~裏ボス転生者、周りを曇らせながら能天気に戦います~ 作:せみふぁいなる
お仕事がアホ忙しく、執筆の時間を全然取れませんでした。私個人の遅筆も相まって尚更。
なんで9時間も10時間も拘束されないといけないんでしょうね。世界を恨みそう。
「この魔法は……ふむ、どうやら本当に"戦える場所"を用意するだけの魔法のようじゃな? 出る事は不可能のようだし、拘束魔法と言えない事は無いじゃろうが……」
教祖の眼に魔法陣が浮かぶ。
「なにその眼カッコよ……んんッ、じゃなくて。魔法の解析が出来るのか。しかもほんの数秒で効果の看破まで。それも加護とやらの力?」
……危ない危ない。俺の内なる厨二病君が「そういうのもあったか!!」と顔を半分出してしまった。
油断しないって決めたばかりですよね?反省。
「敵に教える馬鹿がどこにおるか。第一ワシは教祖じゃぞ? これくらい出来なくて務まるものではない。侮ってもらっては困る」
「それはそうだ」
フン、と不機嫌そうに鼻を鳴らす教祖に、おどけて笑い答える。
互いに見合い、相手の動作全てを見逃さないように目を凝らす。
ストーカー君の時に、本気じゃないとはいえ俺のスピードは見られている。対策されているのは間違いないだろうし、何が来ても対応出来るよう神経を研ぎ澄ませる。
まぁ、それはあくまで神相手
ぶっちゃけ教祖には油断しまくりである。
というのも、さっきこのフィールドを展開した時、教祖は俺の魔法に少しの恐れを感じていた。このレベルの魔法、もしくはオリジナルの魔法を見た事が無いのだろう。
この世界の人類の中では、俺が知ってる中では中の上……いや、上の下か?辺りのの実力なのだろうが、そのレベルの相手ということになる。
油断しきっている俺への完全なる不意打ちでも、恐らく教祖は俺を殺せないだろう。むしろ傷一つも付けられないまま、一撃で死ぬ未来すら見える。
強そうな雰囲気は出てた──実際この世界の人間基準だと強い──が、脅威にはなり得ないだろう。
念の為に俺の眼で教祖の魔力を見てみるが、やはりそこまで強くは無い。
それ故に、教祖相手にはそもそも意識を割かなくても良いだろうと、そう判断する。
そして神も未だ手を出してくる気配は無い。
と、なれば。
カッコつけたがりの厨二病たる俺がする事は、たった一つである。
「──まぁ、解析が出来ても結局俺には勝てないんだけど」
背と腰に生えている四対の黒い羽。俺のお気に入りだ。
その羽に、"赤"と"紫"の性質──端的に言えば"炎"と"闇"──を付与した黒を乗せ、
厨二病なら誰しもがが大好きな"闇の炎"が、黒しか見えなかった狂気のような空間を囲み、妖しげに照らす。
俺のしたかった"専用フィールド"は、これで完成する。
防音結界兼やりたい事を出来ちゃう魔法。魔力は偉大だ。
あぁ、いいね。
やりたい事を出来ているこの状況に脳汁が生まれ、体中を激しく流れ、思考を支配する。
初めてこの世界に来て"黒"を暴走させて以来、意識的に力をセーブしてきた俺だが……。
今目の前にいるのは、
久しぶりにマジのガチ、
もうね、さっきも抑えるの大変だったけど、
普段の俺ならこんな事しないが……いいか、俺は厨二病だぞ?
自分の力を遠慮なく発揮できてカッコつけられるとか、夢のシチュなわけで。
テンションがハイになっているが故に、こんな事をしてしまう。
表の世界でリミッターもかけずに羽を過剰に出すと、前も言ったが"周りの建物が圧で壊れる"のだ。
こんな貴重なタイミング、逃す訳が無いだろう。
〘────ふむ、これは……。援護が必要か?〙
「いえ、ご心配には及びませぬ! ──と、言いたいのは山々ですが……しかし……」
〘────クク、よい。我が直に祝福してやっているとはいえ、相手は"アレ"だ。"アレ"は神の領域に片足を突っ込んでしまっている、万全の我でもギリギリだろう。人のみで敵う道理は無かろうて〙
「クッ、
教祖がギリギリと歯を軋ませる。
だからなんなんだ、その
〘────ふむ、それを言うなら我も
「ディネアン様は崇高な目的をお持ちですから良いのです!」
〘────それでよいのかとも昔から思っている……〙
ダブスタじゃねぇか。
ていうかこの神、案外会話が出来そうな性格そうに見える。
……いや、あの神にとっては身内のようなものだからこそなのか?
分からん。
もうちょっと分かりやすく邪神っぽくしてくれません?やろうとしてる事はマジの邪神そのものだっていうのに、なんでこう人間味に溢れてるというか……邪悪さが足りないんだ……?
〘────復活前の我では勝てはしないだろうが……我神ぞ? なに、負けもしないだろう。なんとかなろうて〙
「ディネアン様に勝てる者が居るはずがございません! そのお力を是非あの身の程知らずに体で教えてやってくだされ!」
〘────うるさいぞ老いぼれ〙
「梯子外されてて草」
「黙れぃ! 身の程知らずのクソ上位者め!」
口悪っ。
仮にも敵の目の前なのに、なんか唐突にコント始めるのが悪いだろ。俺は感想を言ったに過ぎない。
〘────期待しているぞ?〙
「お任せ下さい!」
〘────戦闘面以外でな〙
「お任せ下さい!」
やっぱ狂信者レベルにならないと教祖は務まらないんだな。
「はぁ……。ほら、コントを待ってやったんだ。そろそろ始めよう。──世界が消えるか否かを決める、大事な大事な戦いをな?」
〘────力を手にしただけの人間が、意気揚々と吼えておるわ。──復活前とはいえ、神は神。身の程を弁えろ、人類〙
「ワシとて教祖。解析だけでは無いぞ? 敵対上位者よ」
なんか肩書きに増えてんな。
まぁ、それはいい。
グレイス、そろそろだ。準備はいいな?
「(……とーぜん、いつでもいいよ)」
頼もしい。
こういう戦いに、戦闘開始の合図なんて物は存在しない。あるのはゲームの中だけ。
開始の合図となったのは、俺の足元から鳴った、ドガァン!!という爆発音にも似た音。一般の人は鼓膜がイカれるんじゃないかってくらい大きい音だ。
力のセーブ無しだと、適当に踏み込んだだけでこんな音が鳴る。
踏み込みのスピードを乗せて教祖に斬り掛かる。
教祖は俺の速さに既に着いて来れていないようだが───。
俺の接近に反応してか、教祖の手が光る。それと同時に、電撃を纏った結界が教祖の周りに貼られた。
やっぱりな!
貼られた結界。これも加護付きなのか、少し嫌な予感がする。
予め予測していた事もあり、難なく離れられた。
しかし、何だろうか。あの"加護"、俺の魔力と──"黒"と、似た気配を感じた。
教徒や教祖本人からは感じなかったのに、何故?
「……なんか嫌な予感がしたから離れたが、やっぱ対策してたか。自動反応の結界か、考えたね」
「…なっ?! いつの間にか結界魔法が発動している?! 一体いつ接近した貴様!」
一拍遅れて教祖が反応する。
ふむ、強さだと教祖はやっぱりそんなものか。
〘────我がついさっき加護を強化しておいた。離れて正解だったな? 触っていたら存在ごと消えて無くなっていたぞ〙
「そら物騒な加護で。……触っちゃダメなら魔法を使えばいいじゃない!」
手を払い、魔法陣を後ろに展開する。後ろの理由はカッコイイからというだけでなく、魔法陣が大きい為に、手からだと前が見えなくなるからだ。
このタイミングでの魔法は、普通なら隙が出来るだけの愚かな選択だが……俺は日々の特訓により、もはやノータイムで発動出来るようになってきていた。
デメリットを無くしてこその"裏ボス"だと思う。
「"極黒槍【廻】"」
俺の周りに六本の黒い槍が展開される。
名前に廻と付いている通り、槍は目にも止まらぬ速さで廻っており、一見ドリルと勘違いしそうになるレベルだ。
そのまま槍を教祖へ飛ばし、更に三発ほど追加で魔法を発動する。
俺の魔力量はほぼ無尽蔵。強みは理解した上で活かしてこそ。
「魔法戦って面白いよなぁ、絨毯爆撃を連発出来るから。……"
尚、俺が考えた魔法では無い。
この三つの魔法、その全て──攻撃魔法は二つだが──が教祖へと襲い掛かり、その身を貫き、黒炎にて身を焼き焦がさんと迫り行く。
しかし、そう上手くは行かない物だ。
相手が別次元の者であればなおさら。
〘────ふむ、気配の割にはこんな物なのか? ──"消えろ"〙
ふよふよと浮かんでいる玉から吐かれたその一言で、教祖へと飛んでいた魔法が全て跡形もなく消える。
最初からその全てが幻だったかのように、煙が吹かれるかの如く消えた。
えぇ……?
仮にもセーブ無しで八枚羽の魔法ですよ……?
そりゃ本気の攻撃魔法じゃないにしても、一言って……。
「(……流石かみさま。……一応もう少し撃ってみたら?)」
そう提案してくるグレイス。
無駄にはなるかも知れんが、まぁ情報は大切か。
間髪入れずに、同じような(俺基準で)簡単な魔法を教祖に撃ち続けてみる。
しかし、結果は同様──その全てを、ただ一言"消えろ"と、そう言われるだけで全てが消滅した。
あ〜……これは、とうとう頭を使う必要が出てきたか?
今まで脳筋で解決してきた罰が当たったらしい。
「(……ご主人、突っ込んで斬伏せるが大抵の相手に通るもんね)」
ほんとに。
グレイスがかなり強い性能なのも相まって、今まで頭なんてほとんど使ってこなかった。
この神と対面する前なら、恐らくレイゼさんとの特訓が一番頭を使っていた瞬間だろう。俺のしていた事は結局力の押し付けだったからな。
「(……ここでレイゼとの特訓が光ると考えよう)」
確かに、いい事を言うなぁグレイスは。
「ディネアン様、誠に感謝致します!」
〘────ふむ、流石にこれで終わりでは無いだろう? これだけだとしたら、些か拍子抜けが過ぎる〙
「そりゃ勿論」
〘────であろうな。だとするなら……おい、老いぼれ〙
ディネアンが教祖へと声を掛ける。教祖からの感謝は無視されたようだ。
「はっ、なんで御座いましょう」
〘────足手纏いだ。我の力をそこそこ消費して、この結界から出してやる。帰れ〙
「御心のままに!」
教祖はそれでいいのか……。
……いや、ていうか結界から出るて。
「させる訳がないだろ、普通に」
〘────中々器が狭いのだな? そんな事では神にはなれぬぞ?〙
「なるつもり微塵も無いからお気になさらず」
〘────つれないな? 貴様は神域に半分足を突っ込んでいるんだ、なろうと思えばなれるだろうに〙
「それで俺も含めた皆が幸せになるならなってやるよ」
〘────それはお前次第だろう〙
「ならなれないな!! ヨシこの話終わり! 解散! あと何してんだお前!」
会話していた隙にコソコソと脱出の機会を伺っていた教祖へ
しかし、当然神が横槍を入れてくる。
〘────"消えろ"。早急に去ね、老いぼれ〙
「感謝致します!
「あっクソ、待ておい!」
神の一言で、やはり魔法は消えてしまった。
逃がすまいと急いで地を蹴り追い掛けるが、いつの間にかディネアンに空けられていた穴へと教祖が逃げ、寸での所で穴が閉じられてしまった。
クソ、いつ空けた?全く気付かなかった。
かなり強固な仕組みの結界に組んだので、空けられるとも思っていなかった。
……これもまた油断か、あークソ。ダメだな。
「(……私からレイゼに念話しておくから、ご主人は目の前にしゅーちゅー)」
グレイスのカバーが心に染みる。
そうだな、今は目前にいるこの会話だけやけに出来る邪神っぽく見えない邪神を相手取るべきだ。
頭を使うのは苦手だから、少々億劫だが……そうも言ってられない。やるしか無いらしい。
〘────2人っきりだな? クク、人間風に言うなら、このまま"デート"とでも洒落込むか?〙
「あーはいはい。喜んで"デート"とやらに付き合いますよ。まぁ、最も帰る頃には一人ぼっちだろうけど」
〘────お前が消えるという意味でか?〙
「当然お前が消える方だよ、クソ神」
〘────喜べ、我の初デートだ。──折角の"デート"だ、我がエスコートしてやろう。天の国へとだがな?〙
さて、どうコイツを突破するか。
恐らく、このままだとお互い負けも勝ちもしない。しかし、それでは駄目なのだ。
原作の最黒をしていた時の、あの時の勘を思い出せ、俺。
見直しはかなりしているつもりですが、それでも誤字があったら申し訳ないです。
正直久々な投稿なので色々と忘れてます。文ってどうやって書くんだっけ?前書きと後書きってどうやって書くんだっけ?状態。
なので矛盾点とか違和感とかあったら遠慮無しに言って欲しいです。
ちなみにマジ本気版黒斗君はマジで神に片足突っ込んでます。ヤッタネクロトクン!
ここまで読んでくださり、ありがとうございます!
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