凍結惑星シェフィル   作:彼岸花ノ丘

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星の継承者08

 シェフィルが巣穴へと向かう最中も、人間達の攻撃は激しさを増していく。

 地上近くまで降下していた宇宙船(戦闘艦)は、絶え間なく何か……『爆弾』というものらしい。母が教えてくれた……を落としていた。落とされた爆弾は大爆発を起こし、トゲトゲボーとそこに棲まう生き物を吹き飛ばす。

 爆弾により生じた爆炎の半径は約五百メートル。強力な衝撃波は半径数キロにも渡って届く。爆弾の種類は原子の核反応を利用した、『カクバクダン』なるものらしい。

 そのカクバクダンも、かなり特異な核反応を利用しているという。やり方も普通ではない。特定波形の電磁波で水素原子にエネルギーを照射して加速。高速で射出された水素原子同士が衝突し、その勢い(圧力)により融合……つまり核融合を起こす。この核融合反応で生じた熱量で破壊を引き起こす、純粋水爆と呼ばれるものとの事だ。

 

【本来は光学兵器を使用したかったと思われますが、我々には通用しないと研究により理解したのでしょう。また熱波でではなく、爆弾内部に収納されている金属粉を飛ばす物理的攻撃が主体のようです】

 

 何故カクバクダンで攻撃しているのか、母が憶測混じりながら語る。確かにシェフィル達この星の生物にはエネルギー吸収能力がある。レーザー(電磁波)や高熱などは通じない。そこで物理攻撃を行っているのか。

 どうやら人間達は錯乱している訳ではなく、念入りに計画した上で攻撃を始めたらしい。だからこそ攻撃の意図がますます分からない。そこまで極端な敵対関係になる予兆なんてなかったとシェフィルは思う。

 加えて、もう一つ疑問がある。

 

「どうやってこの星に降りてきたのでしょうか……エネルギーを吸われるから、宇宙船は落ちてしまう筈なのに」

 

【どうやら我々が用いていた通信周波数帯から、吸収され難い電磁波を調べ上げたようです。その電磁波帯を基準にし、動力を確保していると思われます】

 

 疑問を言葉にすると、母がその答えを教えてくれた。あくまでも現時点での推測、という前提ではあるが、しかし筋は通っている。

 通信時の電磁波からこちらの『弱点』を見付け出し、対応する――――まさかこんな事が可能だとは。正直なところ、シェフィルは人類文明を見くびっていた。ましてや攻撃なんて、ろくに出来ないと考えていた。

 相手を見下し、実力を甘く見積もる。そんな事をすれば不意をつかれてしまうのは当然であり、シェフィルの体たらくは必然の結果と言えるだろう。

 

【ここまでは、想定通りです】

 

 だが、母の一族――――いや、『シェフィル』は違うらしい。

 

「そ、想定通り、なのですか?」

 

【はい。自分達に出来る事を、敵には出来ないと根拠なく考えるのは愚策です。幼い頃、そのように教えた筈ですが】

 

「うぐっ」

 

 母から指摘され、声を詰まらせる。

 確かに、自分の考えが甘かったのは否めない。最初こそ嫌悪感を露わにしていた癖に、今では「人間も意外と大した事ない」等と思ってしまった。

 その隙をつかれた、という訳ではないが、しかし人間達をもっと警戒していれば……爆弾を落とされてすぐ巣穴に戻る、といった動きぐらいは出来たかも知れない。

 ましてや、逃げ遅れたのが()()()()()となると言い訳すら出来ない。

 

「(外に出てすぐには気付きませんでしたが、生き物の気配がまるでありませんね……)」

 

 何時もなら、五月蝿いぐらいに感じられる周囲の雑多な気配。それが今では殆ど感じ取れなかった。

 ガルルのような身体能力に優れる種は全速力で駆け、ウゾウゾのように動きの鈍い種は地中深くに潜るなどして、やってきた戦闘艦から離れたのだろう。トゲトゲボーなど運動能力自体がない生物もいるが、そういった種は硬い殻に覆われた卵をポロポロと生み出している。爆風など強い衝撃を浴びても、至近距離でなければ問題なく耐え抜き、焦土と化した大地で芽吹く。

 それにトゲトゲボーぐらい単純な生物は、身体がバラバラになっても再生は容易。この爆風で拡散・繁殖し、個体数を爆発的に増加させるだろう。爆弾は放射線も発していたが、あの程度のエネルギーと粒子ではこの星の生物は傷付かない。むしろエネルギー源として物足りないぐらいだ。この星の生命は、人間達の攻撃さえも自らの繁殖に利用している。

 対してシェフィルは何をしたか?

 のこのこ外に出てきて、安全な方向を探ろうとしていた。全力で逃げ出す訳でも、繁殖に活かす訳でもない。あまりにも舐め腐っている。

 それに思い返せば、シェフィルも巣内にいた時猛烈な嫌悪感を覚えた。あの時様子を見るなどという冷静な(見くびった)判断をせず、アイシャを連れてさっさと逃げていれば……

 ……もしもを語っても仕方ない。思考を切り替え、シェフィルは母の傍から離れないようにしつつ歩む。

 戦闘艦が落とす爆弾は幾つも地上に到達し、強烈な衝撃波を放つ。それは地上にある全てのものを無差別に襲い、当然シェフィルも対象になるが、母の身体に隠れていれば勢いの大半を防げる。母はこの爆風を平然と受け止めており、まるで気にしていない。カクバクダン自体警戒していないようで、恐らく直撃しても(傍にいるシェフィルは兎も角)難なく耐えられるのだろう。

 母の歩みは一瞬も止まらない。唯一停止したのは、おもむろに触手の一本を地面目掛けて振り下ろした時。

 そしてこの動きにより、トゲトゲボーに埋もれていたシェフィルとアイシャの住処の入口を掘り起こした。

 

【此処です。急いで戻り、避難しなさい】

 

「は、はい! ありがとうございます!」

 

【私はこのままあの船の対処に向かいます。しばし手伝いは出来ませんから、決して油断しないように】

 

 母はそう言うとふわりと浮かび上がり、空へと飛んでいく。人間達の戦闘艦と戦いに行ったのだ。

 果たして母でもあの巨大な『武器』を倒せるのだろうか? 不安がないとは言わない。しかし母は勝てない戦いに挑むほど無謀ではない。

 きっと大丈夫。そう信じてシェフィルは自分の家である巣穴へと入る。

 明かり一つない空間だが、電磁波を捉えられるシェフィルにはちゃんと道が見えている。何よりもう何百時間も生活している場だ。今更道に迷う事はなく、最短最速の時間でアイシャが待つ部屋まで行ける。

 

「アイシャ! すぐに此処から避難しましょう!」

 

 故にシェフィルは巣穴に入ってすぐ、アイシャの下に辿り着く事が出来た。

 それはシェフィルにとって幸運と言わざるを得ない。

 もしも一瞬でも迷い、この場所まで来るのに少なからず時間が掛かれば、()()()()()()()()()()()()姿()()()()()を見る事さえ出来なかっただろうから。

 

「――――ッ!」

 

 目にした瞬間、シェフィルは怒りで身体を震わせる。

 こんな状況、つまり人間による攻撃が始まっているから、ではない。攻撃した人間と此処にいる人間達が無関係である可能性が考え付かないほど、シェフィルは短絡的ではないのだから。

 しかし言い換えれば、情報が揃えば一切迷わず判断を下す。

 そこにいる人間達は五人。いずれも宇宙服を着ていたが、今まで見てきたものより随分と分厚い。甲殻のような装甲が幾つもあり、極めて防御力の高い代物を纏っているようだ。更に人間達の手には銃が握られていた。一体どんな性能であるかはさっぱり分からないが、兎も角何かを攻撃するためのものには違いない。

 一言で言うなら、武装した人間。それが五人も家の中にいる状況は、確かに異様で不気味なものがある。されど今のシェフィルにとって、そんな事は些末な話だ。考慮する必要などない。

 重要なのは、この人間達がアイシャを取り囲み、彼女の腕を乱雑に掴んでいる事。そしてアイシャがぐったりと、力なく項垂れている事。

 この人間達が『敵』だと判断するのに、これ以上の情報は必要ない。

 

「アイシャに何をしたんですかっ!」

 

 問い詰める言葉を吐きながら、シェフィルは即座に攻撃体勢を取る。鋭い爪を備えた手を、人間達目掛けて振るう。

 人間達はシェフィルの動きを見ても、冷静なまま。

 彼等は唐突に、自分達が掴んでいたアイシャを後ろへと放り投げた。投げた先には、今まで人間達の身体で隠れていたが、四角い機械がある。機械は蓋が左右に開かれた状態で、中の空洞が露わとなっていた。

 そして機械はとても大きく、空洞内にアイシャの身体がすっぽりと入ってしまうほど。

 アイシャが入るや蓋は固く閉じ、急に『移動』を始める。箱の向こう側には長い道があり、箱はそこを滑るように駆け抜けていく。箱が遠くまで行くとガシャンと(シェフィルは知らないがシャッターと呼ばれる)壁が降り、入口を塞いでしまう。

 すぐにでも後を追わねば。しかしそれには行く手を遮る人間達が邪魔だ。いや、わざわざシェフィルの前に立ち塞がるように移動してきたからには、間違いなく邪魔している。同じ人間だから攻撃されないと、こちらを見くびっているのだろうか。だとすればとんだ見込み違いだ。

 シェフィルは『人間』を攻撃する事はおろか、殺す事にも躊躇いなどない。野生の獣が、必要であれば同種を殺す事に罪悪感など抱かないのと同じように。

 

「邪魔です!」

 

 シェフィルが振るった腕を受け、人間の一人が突き飛ばされる。人間は身体を強張らせ、シェフィルの攻撃に対抗しようとしたが……シェフィルの方が力は上。

 人間は呆気なく薙ぎ払われ、激しく壁に叩き付けられた。銃を手放し、呻きを漏らしながら痛みで藻掻く。

 お前達もこうなりたくなければ退け――――その意思を込めてシェフィルは人間達を睨む。殺人を避けるための警告ではなく、こんな奴等に時間を掛けるのが惜しいだけ。邪魔するのであれば全員の息の根を止める。

 そのつもりでいたシェフィルだったが、ここでまた遅れを取ってしまう。

 人間達がその手に持っていた銃の引き金を引き、何かをシェフィルに撃ち込んできたのだ。

 

「ぐっ!? これ、は……!」

 

 何かが胸を打つ、いや、貫く。その感覚の正体を探ろうと、シェフィルは自身の胸を見遣る。

 そこには深々と突き刺さる、一本の『針』があった。

 針は太さ二センチほどもあり、杭と呼んだ方が良いかも知れない。金属製だと思われ、シェフィルの肌を易々と貫くほど頑強かつ鋭利だ。正確に胸の中心を貫いており、間違いなく心臓に穴が空いている。引き抜けば多量の血が外に噴き出すだろう。

 この星の生物に中性子ビームは効かない。そこで針による物理攻撃を仕掛けてきたのか。

 人間達の作戦は適切だ。事実シェフィルはこの一撃により、生命にとって重要な器官が傷付いた。しかも人間達は攻撃の手を緩めない。他二名が更に二本の針を撃つ。今度は片目と胸……肺の辺りに命中。いずれも貫通し、血が飛び散る。

 身体で受けた衝撃のままに、シェフィルはぱたりと仰向けに倒れた。

 

「……目標沈黙。サンプルBを確保」

 

「そのサンプルは攻撃性が高い。幸い生体サンプルは確保出来たから、それは標本にしよう」

 

 倒れたシェフィルに、二人の人間が歩み寄る。銃口を向けたまま距離を詰め、シェフィルの身体を蹴って動かす。

 それでもシェフィルが動かないのを確かめると、シェフィルの頭に銃口を向けた

 

「ちぃっ!」

 

 瞬間、シェフィルは起き上がり、二人の人間達の顔面にそれぞれ手を伸ばす!

 シェフィルとしては、本来ここで動くつもりはなかった。死んだふりをすれば、アイシャのように自分も連れて行かれると判断しての行動だった。連れ去られたアイシャを助けるなら、まずは相手の懐に入り込まねばならない。

 だが銃を頭に突き付けられた。目や心臓なら問題なかったが、流石に脳を傷付けられるのは不味い。貫通程度なら再生可能だが、記憶に欠損が生じる可能性があるからだ。アイシャとの思い出を、一秒でも失うなど我慢出来なかった。

 そして死んだふりが失敗した以上、最早攻撃を控える理由はない。

 手を伸ばしたシェフィルは、二つの頭をヘルメット越し掴む。そのまま突き飛ばすように力を込めれば、人間達は簡単に転倒した。ここでようやく彼等は自分達が攻撃されたと理解したようで、銃を握り締めながら起き上がろうとする。しかしシェフィルの方が速い。

 倒れた人間の一人にシェフィルは跳び掛かる。至近距離にシェフィルが迫った事で、その人間は大層驚いたのか。ほんの一瞬だけだが身体が硬直した。

 ――――きっと、人間同士であれば彼等は優秀な戦士なのだろう。何故なら幼い頃のアイシャよりも、ずっと判断が早く、的確なのだから。これで弱い筈がない。

 しかしこの星の生物からすれば、致命的にすっとろい。無論、今やこの星の生態系に適応したシェフィルにとっても。

 硬直した人間達の前で、シェフィルは自分の目に突き刺さった針を引き抜く。眼球と視神経ごと引っこ抜けたが問題はない。大事なのは『先端』が十分に鋭いかどうかだけ。

 鋭くなければ、人間達が被っているヘルメットを貫く事が出来ないのだから。

 

「ふんっ!」

 

 シェフィルが渾身の力で叩き込めば、針はヘルメットを貫通する!

 黒いヘルメットの中身は見えないが、相手が人間なのは間違いない。ならば頭の位置や大きさは、自分達と大差ない筈。

 シェフィルの狙いは的中。突き刺した針は正確ではないものの、人間の目を貫いた。

 

「ぎ、ぎぁ――――」

 

 針が目を貫いてから、一瞬間を開けてから人間は叫ぶ。しかしその声はすぐに途絶えた。

 ヘルメットに穴が空いた事で、中の空気が漏れ出したのだ。『声』で会話をする人間達は、空気がなくなれば言葉を発せられない。そして呼吸さえも出来なくなる。

 とはいえ穴は小さい。すぐに応急処置を施せば、この人間は助かる可能性がある。だからかもう一人の人間は、シェフィルに襲われた仲間へと手を伸ばす。

 シェフィルにも人間の気持ちは理解する。もしも襲われたのがアイシャであれば、シェフィルはすぐに助けようとしただろう。

 生憎、この人間達に同情するつもりは一切ないが。

 

「はっ!」

 

 シェフィルは心臓に刺さった針を引き抜き、助けに来た人間目掛けて投げ付けた!

 針は人間の胸に刺さる。シェフィル自身が受けたのと同じく、心臓を狙ったもの。シェフィルにとっては貫かれても再生可能な掠り傷だが、普通の人間からすれば致命的なダメージだ。針を受けた人間は悲鳴を上げながら倒れる。

 それでも即死はせず、反撃として銃を撃ってきたが……見くびられたものだとシェフィルは思う。

 最初の一発を受けたのは、攻撃内容や速度が分からなかったからだ。あの時銃をじっと観察していたシェフィルは、何時、どのタイミングで銃から針が出てくるのかを『観測』した。

 勿論タイミングを把握しただけで、全ての攻撃が避けられる訳ではない。攻撃自体が速ければ、タイミングが分かっても身体の動きが間に合わないのだから。それにどんな軌道で来るか分からなければ、どう回避するかの判断も出来ない。戦いというのは非常に複雑なものだ。

 しかし人間達の動きは、指を動かすだけと極めて単純。おまけに極めて遅い。更に針は銃口を向けた方に、多少自由落下する程度でほぼ真っ直ぐ飛ぶ。こんなもの、シェフィルからすれば当たる方が難しい。

 

「(遅い)」

 

 シェフィルは発射される寸前に上体を傾け、遅れて飛んできた針を避ける。

 

「がっ!?」

 

 外れた針は、射線上にいた別の人間に命中。撃った方の人間は驚いたように身体を一瞬強張らせた後、ここで力尽きたのかばたりと倒れた。

 対して撃たれた方の人間は、負傷しながらも銃をシェフィルに向ける。ダメージは小さくないが致命傷には程遠いだろう。避けるために上体を傾けた事が災いし、今のシェフィルには回避が出来ない。

 しかし避ける事だけが戦いの全てではない。

 飛んできた針を構えた腕で受け止める。躊躇いなく腕で防いだ事に驚いたのか、人間から連続した射撃は行われず。

 その前に腕から抜いた針を、シェフィルは素早く射手に返す。顔面を真正面から撃ち抜く形になり、衝撃で人間は大きく飛んでいった。壁に打ち付けられた後は動かない。

 これで三人は片付けた。残りは二人。

 

「た、退却しろ!」

 

「クソッ! まさか本当に不死なのか!?」

 

 その二人は驚愕を露わにし、後退りしていた。

 恐らく、逃げようとしている。

 何時もの狩りであれば、これだけ『獲物』を殺した後なら見逃す事は構わない。しかし今回は許さない。アイシャ(愛する人)を連れ去っておきながら、生きて帰れるなどという『前例』を作るつもりはないのだ。

 シェフィルは近くに倒れている人間の足を掴むや、渾身の力で生きている二人目掛けて投げ飛ばす! 宇宙服込みで百キロ以上の物体が、銃弾ほどではないが高速で飛んでいく!

 逃げるため背を向けた人間達に、この巨大な物体は避けられない。二人揃って背中にこれを受け、耐えられず転倒。仲間の身体の下敷きになる。

 そうして身動きが取れなくなった人間二人の上に、シェフィルは踏み付けるようにして乗った。呻きを上げる人間の一人のヘルメットに、今まで肺に刺さっていた針を握り締めながら叩き込む。

 ヘルメットは呆気なく砕け散り、中と外の境界が失われた。酸素さえも凍る寒さが顔面に流れ込み、眼球や口内など湿った部分が一瞬で凍り付く。動かなくなった人間の頭を、シェフィルは容赦なく踏み付けて『粉砕』した。

 仲間の悲惨な死を前に、最後の一人は恐怖に支配されたらしい。

 

「た、たす」

 

 命乞いを叫び出す。されど元よりそんなものに耳を傾けるつもりなど、今のシェフィルには一片もない。

 足で乱雑にヘルメットを蹴り飛ばして粉砕。残る一人の顔が凍り付き、生命活動が止まるのにさして時間は掛からなかった。

 

「……………」

 

 五人の人間を殺したシェフィル。だがそこに後悔も罪悪感もない。

 抱く必要がない。同種だろうがなんだろうが、『敵』を殺す事なんて自然界ではあり触れている。

 何より、こんな場所で遊んでいる暇なんてない。アイシャは未だ連れ去られたまま。この人間達五人を片付けても帰ってはこない。

 取り戻しに行かねばならない。そして何処に攫われたか、大体見当は付く。行く手を遮るシャッターの破壊に時間を費やすつもりもない。

 目指すは、この星に建てられた研究所。

 

「皆殺しにしてやります……!」

 

 そこにいる人間全員と戦う事になろうとも、アイシャを必ず取り戻す。

 かつてないほど全身に力を滾らせながら、シェフィルは再び地上へと出るべく走り出すのだった。

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