何かあるとは、予感していた。
いや、予感というより予想という方が正しいだろう。地面に触れた時に感知した、謎の鼓動。地上では観測されていない事象が起きているのだから、地上では見られない『何か』があると考える方が自然だ。
無論未知故に何が起きるかは予測困難。それでもあらゆる事態に対応出来るよう、様々な状況をシェフィルは想定していた。この星で生きてきた十五年分の経験と知識を総動員し、起こり得る可能性を徹底的に検証した。
――――その上で、こんなものが現れるとは露ほどにも考えていなかった。
「これは……」
「な、なんなのよ、此処ぉ……!?」
呆けた声を漏らすシェフィルの背中に隠れながら、アイシャが腕に抱き着いてくる。
恐らくついさっきまでであれば、シェフィルは胸中穏やかではいられなかっただろう。驚き、心臓が激しく鼓動し、体温が一気に上がったに違いない。しかし今のシェフィルはそのような変調に見舞われない。
それ以上の動揺が、目の前の景色から与えられているからだ。
地面の鼓動を感じてから、更に一時間ほど歩いた先。そこで唐突に、今まで歩いていた道が様変わりした。様変わりと言っても、壁や地面、天井は今も真っ直ぐに伸びている。『枠』に歪みはなく、一部の狂いもなく整った形をしていた。
だが、凹凸がある。
いや、凹凸という表現は正確ではない……
そして特徴的なのは、脈打つように動いている事。
何かが中を流れ、運ばれているような動き方だ。それも極めて規則的に、等量で。中身が見えないので、実際には単に潰れたり膨らんだりしているだけかも知れないが、あまりにも穿った見方だと思わせるぐらいには力強く『脈動』している。
「(これは、流石に人工物でも自然物でもありませんね……)」
確信を得るには、分からない事が多過ぎる。非常識の極みでもあるだろう。だが本能的には理解してしまった。
自分達が辿り着いたこの地は、奇跡的に出来上がった天然の地形でも、かつて栄華を誇った文明の遺物でもない。
なんらかの生命体の体内だ。
「ね、ねぇ、私達、も、もしかして……」
アイシャも同じ考えに至ったらしい。声を震わせながら、考えているであろう事を話そうとする。
シェフィルは一度、その口を片手で抑えた。アイシャの声が止まるやすぐに彼女の前へと移動し、真っ直ぐ、力強くアイシャと顔を向き合う。
「アイシャ、ひとまず落ち着いてください。慌てなくて良い理由を三つ挙げます」
「み、三つ……?」
「一つは、此処は生き物の体内かも知れませんが、消化管ではありません。なので私達がどろどろに溶かされる心配もありません」
直感通り此処がなんらかの生物の体内であったとする。しかし消化管であるとするなら、その内部がこんな『平坦』である筈がない。
惑星シェフィルの生物には二種の消化器官がある。
一つはウゾウゾなど単純な生物が持つ、全身の細胞。単純な生物達は優れた再生能力を持つが、これは細胞が全能性、つまりあらゆる能力を備えているからこそ可能である。当然消化能力も持ち合わせているので、食べ物があれば分解・吸収が可能。この消化器官……というより消化方法と言うべきかも知れないが……は無数の細胞で圧搾するように消化するため、今シェフィル達が歩いているような『筒』は存在しないのが特徴だ。
もう一つの器官はシェフィルなど、ある程度身体能力に優れた生物が持つ消化管だ。再生能力は衰えるが、専門性の高い細胞で臓器を構築する事で、効率的な消化を可能とする。
さて。消化管というのは文字通り管であるが、その内側には無数の凹凸があるものだ。これは少しでも表面積を広げる事で、より多くの栄養を吸収するための仕組み。栄養の吸収というのは栄養素と消化管が接触して行われる(液体を吸うように飲み込んでいる訳ではない)ため、表面積が大きい方が効率的なのだ。そして平坦よりも凹凸の方が接触面積は大きい。
もしも吸収出来る栄養が増えれば食事自体を減らせるし、消化器官を小さく出来るのでその維持や格納にも苦労しない。無数のメリットがあり、だからこそ表面積を広げる形質は消化管を持つ生物なら食性に関係なくある筈。
この道も確かに凸凹しているが、こんな小さなものでは然程表面積は広がらない。もっと密に、無数に、突起は必要だ。
よって此処は消化器官の中ではないと推測出来る。あくまでも推測だが、的外れではないだろう。
「二つ目に、仮に此処が生物の体内だとして、私達の生活に何か問題はあるでしょうか?」
「それは! ……………あれ?」
「そうです。生物の体内にいる事自体は、大した問題ではないのです」
シェフィル達が今まで暮らしていた惑星シェフィルの環境は、以下の通り。
まず瞬く間に絶対零度まで冷却する、熱吸収作用。
次にその寒さ故にあらゆる大気物質が固体化し、地面に落ちている。即ち無大気状態だ。
そして苛烈な生存競争。身体をバラバラにしても再生するような生物と、時速数百キロの速さで走り、殴り合う暮らしが絶え間なく続く。
その中でシェフィル達は生きてきた。このような環境に比べて、生物の中というのは過酷な環境だろうか? 否であろう。生物体の中に大気は存在しないが、この星の表面にもない。腸内細菌のように暮らす共生生物に襲われる事はあるかも知れないが、地上にいても色々な生物に襲われるので普段と変わらない。寒さに至っては、生物の体温がある分いくらかマシな可能性すらある。
環境だけで考えれば、生物の体内は決して生存に不適切な場所ではない。
「そして三つ目。私達が歩いていたこの二時間ほどの間、道に大きな動きはありませんでしたよね?」
「え? そ、そうね。動いてはいないわね……」
「つまりこの生物は今、なんらかの理由で活動していない、或いは私達から見ると極めて活動が遅い生物だと思われます。万が一にも此処が消化器官内で、消化が始まったとしても、私達がさっと走れば逃げ切れる可能性が高いです」
三つの理由を話し終え、シェフィルは一旦口を閉じる。
「……そっか。そうよね。生き物の中だとしても、安全なら大した問題じゃないわよね」
沈黙を挟んだ後、話し出したアイシャの口調は落ち着いていた。今の説明である程度納得してくれたようだ。
冷静さを取り戻したところで、シェフィルは再びアイシャの手を握る。
自然と手を繋いだ後、赤らむ頬を隠すようにシェフィルはアイシャから顔を逸らす。視界外側にいるアイシャが不思議そうに小首を傾げていたが、シェフィルはそそくさと歩き出す。
……数秒の高揚感の後、シェフィルは周囲の警戒に意識を集中する。ただちに危険はなくとも、安全とは限らない。チカウゾ達生物の生態も謎のまま。警戒を弛める訳にはいかない。
そんな風にシェフィルが警戒している間、アイシャも思考を巡らせていたらしい。何かの考えに至ったのか、アイシャはふと話し始めた。
「ねぇ、ちょっと思い付いたんだけど」
「はい? なんでしょう?」
「此処が生物の体内だとして、今もその生物は成長しているのかしら」
「ふむ、成長ですか」
シェフィルが聞き返すと、アイシャはこくりと頷く。
無駄話の類だが、今のところ危険はない。シェフィルは歩き続けながらアイシャとの会話を楽しむ。
「うーん、しているんじゃないでしょうか。私的にはまだ幼体のような気がしますからね」
「幼体って、どうしてそう思うの?」
「……なんとなく?」
あまりにも根拠のない理由に、アイシャは「えぇー」とぼやく。シェフィルもアイシャから言われたら同じような反応を示しただろう。
しかし、本当になんとなくそう思うのだ。
ただの直感であり、幼体か成体かの二択を選んだだけ。そこに明確な根拠なんてなく、そういう気持ちだというだけ。
ただ、本当に強いて理由を挙げるとすれば――――本能だろう。胸の奥底で、何かが訴えているのだ。此処が幼体であると。
……訴えられても、割と困るが。
「(コイツが幼体か成体かで、何か変わるんですかねぇ)」
確かに巨大生物が更に巨大になれば、とんでもない『強さ』を持つ事になるだろう。
しかし、これは地中深くでの出来事だ。普通ならば地上で暮らすシェフィル達には関係ない話である。加えて此処が生物の体内なら、幼体時点で既にシェフィル達の数千倍はある巨大生物。成体だろうが幼体だろうが、勝ち目どころか逃げる事すら出来ない相手である。わざわざ判断しても無駄というもの。
そもそも何故そんな本能があるのか。この生物と
「まさかとは思うけどこの生物って……生物兵器、だったりしないかしら」
分からない事だらけで思考を放棄しようとしていたシェフィルだったが、アイシャは一つの可能性を閃いたらしい。ぽそりと呟く。
アイシャの声は恐怖に染まっていた。しかしシェフィルには、その恐怖心がよく分からない。何分、『せーぶつへーき』なるものを知らないので。
「せーぶつへーきって、なんですか?」
「武器として使うための生き物、かしら。人間社会にもあって、大昔ならそのまま使う事もあったけど……ある程度文明が発達した頃には、遺伝子操作でより兵器に適した生物が作られるようになったわ」
「遺伝子操作? 遺伝子を弄り回すのですか?」
「そうよ。そうやって戦うのに適した形に、生き物の姿や能力を作り変えたの。まぁ、人類が開発した生物兵器は主に細菌とかウイルスだったけど」
「ほへー」
生き物を自由に作り変えるとは、人類文明は凄いものだとシェフィルは素直に感嘆する。病気を武器にしようという発想も、シェフィルにはなかったものなので驚きだ。
「兎も角、人為的に作った生物ならこの大きさも、整った身体も説明が付くわ」
「と、言いますと?」
「私達が歩いてきた道のりだけで五キロぐらいある訳でしょ? 地球の生物でもキノコの一種が山一つ覆っている例があったけど、あれは菌糸の話で、重量も百トン程度。ここまで巨大な生物が自然発生するとは考え難い」
アイシャは真剣な口調で、自分の考えを語る。
生物が巨大化する『理由』は様々だ。
例えば天敵対策。身体が大きければそれだけで天敵に襲われ難くなる。天敵に襲われなければ生存率が上がり、次世代を残す上で有利だ。
或いは繁殖戦略。身体が大きい方が異性に好まれたり、同性との競争で有利になったりすれば、身体が大きな個体がより多くの子孫を残せる。また一度にたくさんの子供を産めるようになるので、繁殖力も強い。
または寒さへの適応。身体が大きいほど、表面積が体積に比べて小さくなる。体積が体長の三乗に比例するのに対し、表面積は二乗に比例して増えるからだ。そして身体から逃げていく熱は、表面積に比例する。身体が大きくなると体積=細胞数が増加して熱の生産量が増え、体表面から逃げていく熱よりも多くの熱を生み出せる。結果、寒さに強い身体となる。
このように様々な理由で大型化の進化は進む。だがどのような理由にしても、際限なく大きくなる事はない。
大きな身体はコストが掛かるからだ。身体を維持するためのカロリーや、身体を作るための物資がその筆頭。他にも酸素消費量や生活空間も増大していく。しかも大きくなれば自重を支えるにも一工夫必要であり、骨や外骨格を強くするために高品質な……より高コストな物質も必要になるだろう。一説だと巨大化する進化の速さは、小型化する進化の数百分の一しかないと言われている。巨大化というのはそれぐらい面倒なものなのだ。
つまり推定体長五キロ以上の生命体なんてものが自然に誕生するには、途方もない時間と、それを許す環境が必要となる。そんな奇跡を想定するよりも、人為的に作られたと考える方が妥当だろう。
そして人為的に生み出された存在ならば、単身で宇宙を旅する事も可能かも知れない。
この巨大生物は何処かの文明により作り出され、長い宇宙の旅をしてきたのではないか。旅路の中で偶々惑星シェフィルに接近し、なんらかの理由で墜落。原因は分からないが、休眠状態になっている……
「というのが、私の考えね」
「ほへー」
アイシャの説明を聞き、シェフィルは感嘆の声を出す。確かにアイシャが言うように、巨大化が生き残る上で有利だとしても限度がある。生物進化はあくまでもより多くの遺伝子を残す方に進むものだ。巨大化により多くの子孫を残せるならそうなるが、あまりに大きくて成長にコストが掛かり、次世代を残せないならその形質は淘汰される。
シェフィル達が暮らしていた地域の場合、最も巨大な生物は体長十数メートルのデカポンだ。これより巨大な種がいないのは、デカポンより大きな身体では利点よりも不都合が多いのだろう。もっと温暖な地域なら餌も豊富なので、もう少し大きな種もいるかも知れないが……甘く見積もっても三十メートルが限度か。
地下と地上では環境が異なるとはいえ、惑星シェフィルで全長数キロの生命体が生存出来るとは考え難い。全長一キロ以下でも無理だろう。だとするとこの種の祖先自体が生存不可能となる。突然変異による一足飛びの進化にしても、体長が数倍も膨れ上がるものではない。
自然な
「あと、この生物が人為的な種であるなら、この星の生物の起源にも関わるかも」
「? 起源、ですか?」
「そう。もしかしてこの生物が原種って奴なんじゃないかしら? そう考えると色々辻褄が合うもの」
惑星シェフィルの生物は、他の星の生物と比べても異質だ――――とアイシャは語り出す。
曰く、人間はこれまで様々な星に移住し、その過程で多種多様な異星生態系を見てきた。地球のものとは起源もルートも異なる、独自にして奇怪な生物が数多くいた。
だが、いずれも『人智』を超えるものではない。
当然である。生物の形質は環境により定まり、環境は物理法則の複雑な組み合わせで形成される。この宇宙に存在する物理法則は地球だろうが宇宙外縁部だろうが変わらない。生命体……タンパク質が様々な働きを持ち、水が液体として存在する惑星の生態系は、どう足掻いても地球と似通っているのだ。そして今のところ、地球と似たような環境の惑星でしか高等生物は見付かっていない。高温の星では、精々単純かつ原始的な単細胞生物(或いは自活するタンパク質)がいるだけ。低温環境ではエネルギー不足から化学反応すら殆ど起きず、その集合体である生物自体発見されていない。
ところが惑星シェフィルの生物は違う。絶対零度よりも遥かに寒いという物理法則に喧嘩を売る環境で、太陽光も地熱もないのにわらわらと繁殖し、出鱈目な身体能力と再生力を振るう。この星の環境に適応した結果とはいえ、『一般的』な生物と比べてあまりにも異質だ。もっと言うなら、全く異なる星の生物の身体に注入すると相手を蝕んだ挙句、死体さえも復活させる細胞なんて異質を通り越して異常。悪魔的と表現しても良いだろう。
しかしそれはあくまでも、自然発生した生物として見ればの話である。
「この星の生物の起源が何処かの文明で作られた生物兵器なら、これらの特徴も説明が付く。極端な環境適応力も、桁違いの身体能力も、自然淘汰ではなく叡智により授けたものなら納得出来るわ」
「おー。そんな可能性もあるんですねー」
自分では(考えた事もなかったとはいえ)思い付きもしなかった、この星の生命の起源。推測とはいえ一つの説を考え出したアイシャに、シェフィルは素直に感嘆する。
シェフィルが心から尊敬した事を感じ取れたのか、アイシャは自慢気に鼻を鳴らす。誇らしげに笑う彼女はとても可愛らしくて、シェフィルも思わず笑みが溢れる。
ただ、一つ疑問もあって。
「ところで一つ分からないのですけど、そんな物騒な生き物を作るより、ふつーに強い武器を作った方が良くないですか? なんでその文明の方々はせーぶつへーきなんて作ったのでしょう?」
生き物は勝手に動き回るし、勝手に食べるし、勝手に増えるものだ。
武器が勝手に増えたら嬉しいだろうか? 狩りに使う槍が増えたら……シェフィルが思うに、かなり困る。しまう場所がどんどん大きくなって、住処が手狭になっていく。おまけに増えるからには何かを食べている筈だ。備蓄していた食べ物を勝手に漁られたら、時期によってはこちらの生存を脅かす。
だからといって余った分を外に捨てれば、餌を食べて勝手に増えていき、それはそれでもっと迷惑な状況になる。しかし破壊しようとすれば、槍が生き物ならきっと抵抗するだろう。それを倒すというのは、中々骨が折れそうだ。曲がりなりにも武器であるなら強さも相当なものの筈。数が多くなればこちらが負けるかも知れない。
大体……勝手に動き回る槍とは、そこまで便利だろうか? 槍というのは狙った場所に投げるもので、狙ってもいない獲物に飛んでいっても困る。勝手に判断されるより、自分でちゃんと狙って投げた方が便利だ。
『せーぶつへーき』だとその辺りの事情が違うのかも知れないし、人間文明だと上手くやれる方法があるのかも知れない。なので純粋に疑問だったのだが――――答えてくれる筈のアイシャは、目を逸らしていた。
「……うん。地球でも生物兵器は専らウイルスや細菌で、巨大生物なんて作らなかったし」
「え? 作らなかった?」
「だって割に合わないもん! どんなに強い生物でもミサイルで吹き飛ぶし! 餌をあげなきゃ死ぬし暴走したら殺されるし! というか細菌兵器だって細菌じゃなくてその毒素とかを撒くもんだし! あと何百年か前に万能ワクチンが開発されてからはほぼオワコンだし!」
「おわ?」
「要するに巨大生物兵器なんて浪漫でしかないのぉ! 惑星の地下に眠る巨大生物兵器とかちょっとカッコいいから考えてみただけよ!」
ややあって叫ぶように話してくれたが、その意味はシェフィルには分からない。
ただ、どうやら非現実的な話だったらしい。
知らなかった事を知れたと少し嬉しくなっていたが、夢物語と思えば途端に感動は引いていく。とはいえ可能性がゼロになった訳ではない。非現実的かも知れないが不可能ではなく、理由があれば誰かが作るかも知れないのだ。或いは、単なる『趣味』もあり得るかも知れない。シェフィルが生存上無意味なペットを飼っていたように、知的生命体は利にならない行動をする事がある。
だったら否定するのは、『答え合わせ』をしてからでも遅くはないだろう。
「この考えが合ってるかどうかは、今度母さまに聞いてみましょう。母さまならきっと知っていますよ」
「まぁ、それで良いか。知ってるなら教わる方が早いし。しっかしアンタのお母さん、ほんとなんでも知ってるわよね。なんであんなにこの星の歴史に詳しいのかしら」
「さぁ? それだけ長く生きてるからじゃないですか?」
「確かに長生きも博識になる理由だけどー。具体的には何歳なのよ」
「知らないです。一族の中でも古参らしいので、かなり長生きな方だとは思いますが」
他愛ない会話をしながら、シェフィルとアイシャは淡々と歩く。笑顔と笑いを交わしながら、前向きに。
……警戒を怠ったつもりはない。
しかしアイシャとの話に意識の殆どが向いてしまった。今までの道中、出会った生物がどれも非敵対的だったため、アイシャの事ばかり考えていても問題ないと心の奥底で思ってしまったのだ。
これでも正面から、強い気配を伴えば姿が見えずとも危険は察知出来ただろう。ところが『それ』は気配を消したまま、シェフィル達の側面――――
此処に母の一族が現れるなんて、思いもしなかったのだから……