「BA-01ダウン! BA01ダウン! ……繋がらない……!」
「どうしよう、このままじゃ指揮官が死んじゃう……!」
絶望的な状況の中、1人の少女が深刻な表情で俯いていた。
「AED、チャージ……! ショック!」
少女が1人の男の胸にAEDを使用する。
ドンッ! という音と共に男の身体が跳ね上がった。
「うう……痛ってえ……」
「指揮官! 大丈夫ですか!? 聞こえるなら笑ってみてください!」
「指揮官……? 何の事……? 俺は確か伏黒や釘崎と一緒に任務を……」
指揮官と呼ばれると、彼は何も把握出来ていない様子で、ただひたすらに困惑していた。
「伏黒? 釘崎? 今はそんな知らない人の名前を言ってる場合じゃありません! 自身の所属先は言えますか!?」
「……呪術高専東京校1年、虎杖悠仁?」
「どうやら本当に記憶が混乱してしまっているみたいですね……いいですか指揮官、落ち着いて聞いてください。私たちは作戦区域は移動する途中、対空火器の攻撃を受け、搭乗していた輸送機が墜落しました。ラプチャーたちが爆発音を聞きつけ、続々とこちらへ集まってきています」
「ラプチャー……? それ新しい呪霊の名前?」
「すみませんが今は説明してる暇がありません! 私を指揮してラプチャーと戦ってください!」
「状況が全然分かんねえけど……あの目の前にいる機械をぶっ倒せばいいんだな!?」
「はい、指揮官はそこで身を屈めていてください。何があっても私が貴方をお守りしま──────」
マリアンがそう言った途端、虎杖は目の前に現れたラプチャーを倒さんと向かっていった。
「指揮官!? 何をしてるんですか!? 指揮官!?」
そもそも虎杖悠仁は何故こうなってしまったのか。
発端は数時間前に遡る。
~数時間前~
虎杖と伏黒、釘崎の呪術高専で2年生になった3人は新たに発生した特級呪霊を祓うために戦っていた。
「虎杖、呪霊そっちに行ったぞ!」
「釘崎、援護頼む!」
「あんたらなんかに言われなくても分かってるっつーの!」
「『共鳴り』!」
釘崎の芻霊呪法・共鳴りが炸裂し、呪霊の肉体を内側から破壊した。
そしてそれを見逃さなかった虎杖の渾身の黒い火花が咲き乱れる。
「『黒閃』!」
黒閃をモロに喰らい、特級呪霊は沈黙したままその場に倒れた。
「ヨッシ、これでちゃんと祓えたな!」
「バカ、まだ呪霊が消滅してねえだろ。腐ってもコイツは特級だ、もしかしたらまだ何かするかもしれねえ」
「ねー、そんな事より私寿司とか食べに行きたいんだけど。回らない奴」
「いや俺今日はステーキの気分かなー。寿司も良いけど」
「お前らな……」
舞い上がる虎杖や釘崎を伏黒が溜め息を吐きながら諫める。
チラリ、と呪霊の方を見ても呪霊はいまだ消滅しない。
次の瞬間、ピクリと呪霊の指が動いた瞬間を伏黒恵は見逃さなかった。
「ッ! おい虎杖、釘崎! 気を付けろ、こいつはまだ生きて──────」
釘崎と虎杖が呪霊の動きに気付いた時、呪霊は既に立ち上がり、奇妙な行動を取っていた。
空間をグググ……と捩じ曲げ、何も無かった空間に巨大な孔をこじ開けた。
「伏黒! あいつ何やってんの!?」
「そんな事俺だって知りてえよ! ただあの孔の中に入ったらマズい事だけは確かだ……! 迂闊な行動は取るなよ虎杖! ……虎杖!?」
伏黒が話を終えた途端、虎杖悠仁は呪霊のいる方向へ全速力で駆けていた。
「すまん伏黒! 多分だけどあいつを倒したらこの孔も消えると思うんだ!」
「クソ……! その中にだけは入るなよ! 分かったな!」
「モーマンタイ!」
虎杖は呪霊との距離を10、5、1mと徐々に縮めていく。
この射程距離なら届く。
そう確信した虎杖は、かつて自分の中にいた呪いの王──────両面宿儺によって刻まれた術式を使用する。
「『解』!」
呪霊の身体に触れ、そのまま解で全身を切り裂く。
全身を切り刻まれた呪霊はこれで終わりかと思いきや……
「なっ……!」
「虎杖!?」
このまま道連れにせんとばかりに、虎杖悠仁の腕を掴んで孔の中へと消えていった。
「ちょっと待ちなさいよアンタ!」
「虎杖!」
釘崎と伏黒が虎杖のいる方へ走る。
「悪い伏黒、釘崎、後は頼ん──────」
そう言って虎杖は呪霊と一緒に孔の中へ消えていった。
「「虎杖ー!!!!!」」
孔は消滅し、呪霊も消えた。
大事な仲間と共に……
そして現在の状況に至る。
虎杖悠仁本人はあの孔に引きずりこまれた後の記憶はまるでと言っていいほど無い。
この機械の様なものはなんなのか、あの少女は何者なのか、虎杖悠仁はこの状況を理解出来てなかったものの、目の前にいるラプチャーが自分が祓ってきた呪霊と同じ殺さなきゃいけない存在だという事だけは、しっかりと理解していた。
虎杖の存在に気付いたラプチャーたちは虎杖を殺すために一斉攻撃を開始する。
(あの赤く光ってる部分はなんだ……?)
虎杖がラプチャーの身体に付いたコアに気付く。
それと同時に、頭の中である答えへ行きついた。
(多分あそこが弱点なんだな……! ウ●トラマンのタイマーみたいに!)
虎杖はラプチャーのコアを撃ち抜くために構える。
それはかつて同じ兄弟である呪胎九相図たちを取り込んだ時に覚えた術式。
彼の兄であった脹相が使っていた技。
「『百斂』」
「『穿血』!」
自身の血を固め、限界まで圧縮された血のレーザーはそのままラプチャーのコアを穿ち抜く事に成功する。
その光景を見て少女……もといニケであるマリアンはただひたすらに驚愕していた。
「ニケですらないただの人間がラプチャーを倒す……!? どうなっているの……!?」
そんな彼女の事はいざ知らず、虎杖はラプチャーを全て叩き潰そうと呪力を拳に纏わせていた。
「『黒閃』!!!!!」
黒閃をモロに喰らったラプチャーはコアを破壊され、機能が停止。
残りのラプチャーたちがビームを放つなどの攻撃を仕掛けるも虎杖の身体能力ならそれを躱すのは容易だった。
虎杖はそのまま他のラプチャーたちのコアを御厨子で切り裂いていく。
こうして彼らの周りにいたラプチャーたちはほとんどが1人の呪術師によって壊滅した。
「指揮官ー!」
戦い終わった虎杖の元にマリアンが駆け寄る。
「ハア……ハア……!」
「そんな急いでどうしたんだよ。というか説明して欲しいんだけどここどこなんだよ?」
「そんな事はどうでもいいんです!!」
「そんな事!?」
「私が言いたいのは、なんでラプチャーとの戦いに出てきたのかって言う事です! ニケでもないただの人間がラプチャーに敵うはずもないのに! それになんでたった1人でラプチャーを全滅させてるんですか!? 貴方は一体何者なんですか!」
マリアンは虎杖に対し何故出てきたのかと問い詰める。
その顔は彼に対する怒りからではなく、彼を心の底から心配してのものだった。
「なんでっつーか……あんな化け物がいたらそりゃ戦わないとだろ。他の人間にも危害加えるかもだし」
「他の人間……? この地上に人類なんてもういないじゃないですか……」
「……え?」
衝撃の事実を聞かされた虎杖は、ひたすらに固まるしかなかった。
「……とにかく移動しましょう。指揮官は色々忘れているみたいなので、走りながら教えますから」
「だから俺指揮官じゃないんだけど……」
「……あの、本当に大丈夫ですか……?」
「モーマンタイ!」
本当にこの人は大丈夫なんだろうか……という思いをマリアンは胸の奥底に秘め、2人は進み始めた。
色々な方に見てほしいと思い、原作はとりあえず呪術廻戦にしました。多分大丈夫だよね…?
この作品に登場する虎杖は人外魔境新宿決戦から半年経って現在2年生の設定です。
呪霊を倒す感覚でラプチャーも倒していきます。
お気に入りと高評価を入れてもらえるととても喜びます、何卒よろしくお願いします…!
※2/6追記
原作ジャンルに関してですがやっぱり大丈夫じゃありませんでした
今後はこの様な事が二度とない様気をつけます…