呪術の女神:NIKKE   作:ハロチャオ

5 / 10
第5話 部隊結成

 虎杖悠仁が初めての作戦に参加してから丸1日が経過。

 

 この日はシフティーによって虎杖と部下のニケである2人が副指令官のいる部屋の前まで来ていた。

「指揮官、準備はいいですか?」

「ああ、入ろうぜ」

 

 虎杖はドアノブを握って部屋のドアを開く。

 

 部屋の中には、まさにダンディという言葉が似合うハンサムな男が1人。

 

「君たちか……あのブラックスミスを倒したというのは」

「虎杖悠仁っす! よろしくお願いします!」

「ちょっと指揮官様! 声大きいって!」

 大きな声で頭をペコリと下げた虎杖に、チベスナの様な顔で突っ込むアニス。

 

「いや、気にしないでくれ。元気があるというのは素晴らしい事だからな。……改めてようこそ、虎杖悠仁君。私が中央政府司令部の副司令官、アンダーソンだ」

「押忍!」

 

 

「それで副指令、私たちを呼んだ理由はなんですか?」

「特に用があった訳じゃないが……ブラックスミスを倒したというニケと指揮官に一度会ってみたくてね。特に虎杖君、君は生身の状態でラプチャー達やブラックスミスに立ち向かって戦ったとシフティーくんの報告から上がってきたからどうしても話をしてみたかったんだ」

 

 アンダーソンは虎杖の方をチラリと見る。

 

 ラプチャーがこの地球上に出現して以来、ラプチャーを倒す人間などは一度たりとも出て来なかった。

 それもタイラント級を倒した人間なんてはっきり言って前代未聞。

 報告を聞いた者たち全員から本当に人間なのかと疑われるレベルの事を、虎杖悠仁は成し遂げていた。

 

「君に1つ聞きたいんだが……どうだった? ラプチャーと戦った感想は」

「なんつーか……すっごい硬かった。殴ってるだけじゃコアは壊れなかったし」

 

「怖くはなかったのか? 君の目の前には自分より大きなラプチャーがいたはずだ」

 

 怖くはなかったのか、と言われると虎杖は少し悩んだ。

 これまで数えきれないほどの死線を潜り抜けてきても、今も彼の心の中には恐怖心が残っている。

 それはラプチャーでも呪霊でも変わりはしない。

 

「……怖くなかったかって言われると嘘になると思う。それでも、あの時の俺はマリアンを助ける事だけしか考えてなくって、怖いって思う暇もなかったよ」

 

「そうか……ありがとう。良く分かった。……もう少し話していたい所だがそろそろ時間だな。もう用事は済んだ。君たちは行っていいぞ」

 

 ガチャリ、とドアの音を立てて虎杖たち3人は部屋を後にした。

 室内に1人残ったアンダーソンがポツリと呟く。

 

 

「……虎杖悠仁、か」

 

 

 

 ~~~~~

 

 

 虎杖、ラピ、そしてアニスは副司令官との対面を終え、現在はシミュレーションルームに向かっていた。

 

「なあ、シミュレーションルームで何するんだ? 訓練みたいなの?」

「分かりませんが、おそらく私たちの実力を測るテストかと思われます」

「ラプチャーを生身で倒した指揮官様が現れたからどれくらいの強さなのか見てみたいのかもねー、でもなんで私たちも?」

「分からないわ……普通は投入前に実施する事なんだけど」

 

 3人がヒソヒソと話していると、カツカツと足音を立てて1人の女性が3人を待っていた。

 

「本日諸君らの戦闘力テストを行うイングリッドだ、よろしく頼む」

 虎杖がヒソヒソとアニスの耳に顔を近付ける。

 

「なあアニス、あのお姉さん誰だ?」

「指揮官様知らないの? あの人3大企業の1つ、エリシオンのCEOよ。……なんでこんな場所にいるの?」

 

「そこの2人! 私語は慎め!」

「「すみません!」」

 

「……まあいい。話を戻そう。諸君にはこのシミュレーションルームで模擬戦闘を行ってもらう。ルーム内ではラプチャーとの戦闘も完璧に再現されている、諸君らにはこれらを受けてもらい本来の実力を測る。では始め!」

 

 

 

 3時間後。

 彼らの実力テストを計測し終えたイングリッドがアンダーソンの所にやってきた。

 

「どうだった? テストの結果は」

 

「……正直、驚いているよ。ニケ達の方は悪い意味でな。あれが実戦なら確実に死んでいたはずだ。本当にあれでブラックスミスを倒したのか?」

「そうか……ニケ達の実力は理解出来た。彼の実力はどうだった? 測ったんだろう?」

 

「あの指揮官に関しては、どこから言えばいいのか分からないんだが……まずラプチャーを倒したという報告は間違いなく事実だった。拳1つでサーヴァント級複数を殴り倒し、挙句の果てには赤いレーザーまで出す始末だ。おかげでシミュレーションルームは一部故障したよ」

「そこまでの存在だったか……」

「身体能力と肉体の頑丈さなら、虎杖悠仁はそこらのニケにも劣らないスペックだ、なんなら一部のニケより高い可能性さえある」

 

 虎杖悠仁はシミュレーションルームに入ってから3分ほどで現れたラプチャーを一網打尽に。

 あるラプチャーは黒い火花を散らしながら殴り壊され、あるラプチャーは穿血でコアごと射貫かれ、またあるラプチャーは御廚子によってありとあらゆる所を切り刻まれていた。

 内心虎杖の実力に関して半信半疑だったイングリッドだが、テストの結果を目の当たりにした彼女は彼の力を認める他なかった。

 

「そこまで言うのなら彼らに実戦を任せてみよう。最高に難しい奴を頼む」

「それなら……」

 

 

 

「……発電所の調査? 私たちが?」

 

「俺もさっき副指令のおじさんから聞かされたんだけどさ、海の近くの都市にある所まで調査に行って欲しいんだって」

 

「……それで、指揮官は誰がやるんですか?」

「はい! 今回指揮するのは俺、虎杖悠仁でーす!」

「……は?」

 

 虎杖がビシッと手を挙げる。

 そんな虎杖をよそに、ラピとアニスはどこか冷めた態度だった。

 

「……指揮官。同一のニケと指揮官が連続して同じ作戦に行く事は通常ほとんどありません、同じペアでやる場合最低三回のインターバルが必要となります」

「ああ、これアレね。処分よ、処分されるんだわ。地上に送って処分するつもりなのよきっと」

 

『それは違います!』

 3人の会話を聞いていたシフティーが、食い気味にアニスの発言を否定する。

 

『ニケを始末する場合はすぐにその場で処分が可能です! 地上に送る必要はありません! つまり、これはごく普通の作戦という事です!』

 

「ああ、いたのねシフティー……まあいいわ、指揮官様が命令するんなら私たちも行くしかないんだし」

「同感です」

 

「へへっ、そんじゃ行くか皆!」

 

 虎杖が作戦に向かうと決めたその時、後ろから誰かが彼の方へ向かって走ってきていた。

 ダダダダダ……

 そんな足音を立てながら、”彼女”は虎杖悠仁に接近する。

 

「あの──────ー! すみませ────ーん!」

「「「え?」」」

 

 気付いた時には既に遅く、猛スピードで突っ込んできた1人のニケが、指揮官である虎杖に衝突した。

 ドンッ!!! 

 

「っでぇ!?」

「きゃっ!?」

 大きな音を立てて虎杖が2,3m先まで吹っ飛ぶ。

 

「す、すみません……止まろうと思っても止まれなくって……」

「痛っつ~……頭痛え……これ以上俺の頭がバカになったらどうすんだよ……」

 

 頭を痛そうにさすっている虎杖をラピとアニスは心配そうな目で見ていた。

 

「指揮官、ご無事ですか?」

「モーマンタイ!」

「……で、貴女は?」

 

「はい! 本日付けでこちらの作戦に参加となりました、ネオンと申します!」

 

 アニスの問いに対し、メガネをかけたニケはズレたメガネをくいっと直してネオンと名乗った。

 彼女の帽子のマークにはアルファベットでエリシオンと刻まれている。

 

「社長……イングリッドさんからの命令でここに来たんですけど……そちらの方が指揮官ですか?」

 

「ちょっと待って? 私たちそんなの聞いてないんだけど? シフティー?」

 

『現在確認中です! ……!? ついさっき、人事異動が発令されました!』

 

「……指揮官、何か聞いていませんか?」

「いや、俺は何も……」

 

 虎杖やアニス、シフティーが困惑する中、ラピはネオンに対して尋ねた。

「率直に答えて。貴女の正体は何?」

 

 

「私ですか? 私の正体は……」

 

「多分、スパイだと思います!」

 

 

「「「!?」」」

 スパイという単語に3人が反応する。

 ラピは警戒し、アニスは状況を理解できず、虎杖はスパイという単語にどこか興奮を覚えていた。

 

「なあなあ、スパイってアレかな? キング●マンとかミッ●ョン・インポッシブルみたいな!」

「指揮官様が何を言ってるかはさておき……どういう意味か説明してもらえる?」

 

「はい、私はイングリッド社長に全力で手伝ってこいと言われてここに来ました! これってスパイですよね?」

 

「……どう思いますか? 指揮官」

「俺は良いと思う、スパイってかっこいいし」

 

「やったぁ! これからスパイとして頑張るのでよろしくお願いしますね、皆さん!」 

「「……」」

『あはは……』

 

 嬉しそうな顔をするネオン、虎杖と無表情のラピ、アニス、苦笑いのシフティーで場の雰囲気は分かれる。

「ところでここの部隊名って何て言うんですか? 一応、そういうのってあった方がいいと思うんですが」

「「「部隊名……?」」」

 

 そう、彼らは部隊名を決めていなかった。

 この3日間の間に色々な事が起こり過ぎてそんなものを決めている場合ではなかった。

 流石に決めていない、とは言い辛かったアニスが裏で虎杖とこっそり名前を決めようとする。

 

(ねえ、指揮官様。どうする? なんか良い名前ある?)

(うーん、オッパッピー……?)

 

(何よその名前! ふざけてると思われちゃうじゃない!)

(じゃあアニスはなんか良い案あるか?)

(いや、無いけど……)

 

「……カウンターズ」

「「え?」」

 ああでもないこうでもないと2人が言い争ってる最中、ラピがそう呟いた。

 

「カウンターズ。それがこの部隊の名前よ。……指揮官、よろしいですか?」

「すげえ~! 本当になんか特殊部隊っぽい!」

 

 

『ではこれより、カウンターズの初作戦を開始します! 行きましょう!』

 

 虎杖、ラピ、アニス、そして新しく加わったネオン。

 カウンターズにとって初めての作戦が始まる。




地の文が上手く書けなくてセリフ多めになってしまうのが最近の悩みです。
それはそうとお気に入り登録や感想が続々と増えてきてとても嬉しいです!今後も入れてもらえたらモチベ爆上がりするのでよろしくお願いします!頑張ります!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。