ツンツン頭さんを守護りたいスレ【滞空回線は糞】 作:原石うじゃうじゃ
学園都市全土に流布している『幻想御手』は既に確認がとれている。
昏睡状態に陥った多くの学生たちの解析も同じく進んでいて、結果として『上』は『幻想御手』への警戒を数段引き上げた。
だが、情報の開示は行わない。
中には学生たちに注意を促す案もあったのだが、それは同時に『幻想御手』という名の『都市伝説』を真実であると認め、そして情報の拡散に手を貸してしまう事と同義。
故に『風紀委員』、そして『私軍兵』両者の全面協力体制の下に。
――学園都市、全二十三学区の捜査が始まった。
第二十一学区。
貯水用のダムがいくつもあるこの学区では、一人の暴君による支配体制が敷かれていた。
「私に言わせれば、何故お前たちはそこまで弱い」
自然公園をグループで占拠し、周りを気にせず大騒ぎしていた不良たち。
彼らは全員、身体の半分を全長十数メートルにも及ぶ氷山に呑まれた状態になっていた。
冷気による寒さの痙攣すらも許されない、目の前の少女に対する恐怖。
その身体の強張り。
「何故弱い癖に慎まない、何故無駄にない力を振るおうとする?何故より弱い者を虐げて満足する?お前たちは全員、身の丈に合った生活を送っていればいいのだ」
「オ、えろォ俺、おレたちハ……」
「あぁ?」
白いおかっぱの頭の少女、コテハン名『氷の解体人』こと裏梅の、怪訝な声。
それは目の前で固まっている、突如
だが不良たちは、裏梅の言葉に対し、不可解な反応を示した。
「俺タちはつ。ヨイいける、いけルんダさ、らニ……」
「……意味が分からん」
『幻想御手』という名も、それの『副作用』も知らない彼女は『気色悪い』と吐き捨て、不良の顔を思い切り蹴り上げる。
加減したとはいえ、常識を超えた身体能力で蹴られた不良は呻き声も出せず、一瞬で気絶した。
「……チッ」
「また随分と派手にやったな」
苛立ちを隠せない裏梅に、一人の男が声をかけた。
ローブを纏い、裏梅を見下ろせる程の巨躯を持った彼に、裏梅は面倒臭そうに。
「…………おい、こいつらはお前がどうにかしろ」
「言われずとも。だがそれよりも……彼ら、凍傷の類は大丈夫なんだろうな?」
「知らん」
そう言って雑に手を振ると、数十メートルもの氷山はあっという間に消失した。
ドサッと、地面に落下して倒れる不良たちを、彼は持ち前の巨躯で次々と持ち上げていく。
それに、裏梅は口先だけのねぎらいを向けた。
「ドクターとやらも大変だな?」
「苦悩はある。だがそこに後悔はない」
「理解できん」
これ以上話す事はないとばかりに、裏梅は背を向けて歩いて去っていった。
第十三学区。
「全く、これで何人目ですか?不審者は」
「あ、ガ…………」
幼稚園や小学校が多く設立されているこの学区では一人の少女――否、少女型アンドロイドによって治安が維持されていた。
『これで今月五人目です、ケイ様』
その独り言に反応し、宙に映る青のビジョン。
まるで生きた人間のように、ケイは可憐な顔を歪めた。
「F.R.I.D.A.Y.?これは一体どういう事です?
『学園都市はルール無用ですよ』
「やっぱりクソですね、この世界」
身長約百五十数センチ、足元まで伸びる白髪の彼女は、誰もが思わず二度見をする程の『神秘』を秘めており。
そして、そんな彼女の身長に匹敵する細身の巨大レールガン『ルミナス・ノヴァ』が、倒れている不審者の男の鳩尾をぐりぐりと押し込んでいた。
「また『幻想御手』ですか……それで力を手にして調子に乗るのは分かります。暴れたいという気持ちも行動も、百万歩譲って理解してあげましょう」
「あが、あががっ」
「そ・れ・で・も!わざわざ
ごもっともである。
一分一厘、反論の余地もない正論を超えた正論を前に、不審者の男(幻想御手を使用した不良)は失神した。
「…………ふん」
直後。
『わーっ!ケイちゃんかっこいー!』
「わわっ!?」
雪崩のように襲って来る、幼子による質量の暴力。
不良の存在に怯え、ケイの背後に控えていた幼稚園児たちは、自分たちを守ってくれた彼女に対し、敬愛と友愛の視線を向ける。
「いつもありがとー!」
「すーぱーのばー!ねぇねぇ、触っていい?」
「ほっぺぷにぷに~」
「ちょ、落ち着きなさいあなた達!あと私のこれは『スーパー・ノヴァ』じゃなくてルミナ……ちょま――」
コテハン名『電脳施錠』。
天童ケイはこの学区の守護者というより、もはやアイドルであった。
「極上の流れ星ぃ!!」
「ごぶっ!?」
第六学区の路地裏で行われたバトル。
その開幕は少女によるバットのフルスイングだった。
予備動作もなく、突如として放たれたそれが不良の顔面ど真ん中を穿ち、吹っ飛んだ不良は壁と衝突する。
「ぐっ……テメェ……!」
上背は無駄にある不良の男と相対するは、棘のついたヘルメットを頭に付けた金髪の小柄な少女。
体躯の差はシンプルな要素ながら、局所で勝敗を定める重要な要素。
では、その差を覆すものとは一体何か?それは『超能力』に他ならない。
男にもうプライドはなく、すぐに『幻想御手』で強化した自身の力を躊躇なく発動した。
その力が狙う先は――急所である首。
「しゃあっ!喰らえっ我が乾坤一擲の一撃をっ!」
力を手にし、鍛えて間もないのだろう。
増強された自分の『肉体強化』に踊らされた結果、男は大して意味のない、格闘家視点からしても恥としか言えない無謀なハイキックを少女に放つ。
ブアッ!と、足が空気を裂く音が聞こえるが、少女にとってそれは余計、目の前の男を情けなくする要因にしか過ぎない。
真の格闘家は、強者は音が『出る時』にはもう、相手を穿って当たり前である故に。
「おっそいんですわ……!」
男のハイキックが首に届く寸前。
既にバットを構えて迎撃の姿勢をとっていた少女は、動く――。
「ずぇりゃあ!!」
「ひでぶ!?」
決して乙女から出してはいけない濁声の叫び。
その勇ましさに比例した、無慈悲なるバットの一撃が再び男の顔面を穿ち。
そして、男は一発で心が折れた。
1800:電脳施錠
子供たちがくっついてきます
1801:名無しの転生者
微笑ましい
1802:名無しの転生者
良かったねケイちゃん
1803:名無しの転生者
かわいい~いやされる~
1804:名無しの転生者
へいわだなぁ~
1805:電脳施錠
あと、幼稚園児相手に悪巧みをしていたこの不審者(不良)はどうします?
1806:名無しの転生者
殺せ
1807:名無しの転生者
潰せ
1808:名無しの転生者
慈悲はない
1809:名無しの転生者
1810:名無しの転生者
とっつかまえて牢にぶち込め
1811:名無しの転生者
凄いな、>>1810しかまともな意見がないよ
1812:名無しの転生者
ライン超えた相手なら多少はね?
1813:名無しの転生者
こんなクソ共ばっかなら鉄装綴里が闇落ちするのも分かる
1814:名無しの転生者
でもまぁあんなのでも『学生』だし……
1815:名無しの転生者
マジで更生の余地がない訳じゃないしね……『超電磁砲』序盤の強盗犯とかそうだし
1816:電脳金曜
報告です、第二十一学区にて騒ぎを起こしていた不良が幻想御手を使用していた事が確定しました
1817:名無しの転生者
知ってた
1818:名無しの転生者
まぁだろうな
1819:名無しの転生者
むしろ使ってて当然だろ、不良だし
1820:名無しの転生者
不良だしなぁ……
1821:SDK
裏梅が全員即座に無力化したのもあり、周りに被害は出ていない
これから近くの病院に彼らを運ぶ
1822:名無しの転生者
KAZUYA先生はいつも通り
1823:名無しの転生者
てか裏梅さんも手伝ってくれていいんすよ?
1824:名無しの転生者
無理無理、あの方天上天下唯我独尊だから
1825:名無しの転生者
これもう裏梅じゃなくて宿儺だろ……
1826:ぐるみらみん
冥土帰しのところから逃げ……コホン
出張して来たはいいものの、何故か仕事量が減らないのは何故だろうか?何故何故何故……
1827:名無しの転生者
ゲシュタルト崩壊しててワロタ、インセンはさぁ……
1828:名無しの転生者
こいつしれっと逃げたって言おうとしたぞ
家入ちゃんにチクったろ
1829:おバット
インセン博士?悪いんですけど、また怪我人が増えましてよ
1830:ぐるみらみん
笑っちゃうよね
1831:ヤニ医者
罰が当たったんだろ
1832:名無しの転生者
お嬢はもう少し手加減を覚えてもろて
1833:名無しの転生者
『私軍兵』特性棘付きバット!
一定の衝撃を吸収し、全力でぶん殴っても『気絶』で済ませる便利グッズ!
お値段は現在四万二千円ですわ!
1834:名無しの転生者
ちょっと買ってもいいかなって迷う絶妙な値段
1835:名無しの転生者
*『私軍兵』関係者しか買えません
1836:名無しの転生者
こんなのが不良共に渡ったら絶対面倒だから多少はね?
1837:名無しの転生者
それはそれとしてルーシーさん?道具のとは別にもうちょい手加減を……
1838:おバット
最終的に治しゃあいいんですわ
1839:名無しの転生者
駄目だろ(マジレス)
第七学区。
改修中のビルが並ぶその場所の、人の気配のない入り組んだ道の奥に広がるそれは、案の定とも言うべきものであった。
そこでは二人の大柄な男が、一人の少年を甚振っていて。
そして、そんな二人のリーダーであろう金髪の男は、そんな少年よりも幼い少女の髪を乱暴に掴み、脅している。
言い訳の余地のない、糞のような行動と光景だ。
故に、次の行動も決まっている。
「『風紀委員』ですの、暴行傷害の現行犯で拘束します」
「『私軍兵』。と言っても、やる事はこの人と変わらないんですがね」
常盤台中学の制服を纏った、茶色の髪をツインテールにした『風紀委員』の少女。
その隣に立つのは、白色の剣道着に重ねて、茶色のローブとグローブを身に纏う、和洋折衷の独特な服装をした『私軍兵』の青年。
彼、そして彼女の目は冷たく、不良を睨むその目には一寸の隙も無い。
「大人しく連行される事をおすすめしますわ。
この都市で、その光景はもはや当たり前のもの。
力なき者であるレベル0が、それ以上の
そして、そんな彼らに次に襲い掛かるのは、より上の力による制圧――即ち『風紀委員』と『私軍兵』。
何度も繰り返されてきた、終わりのない正義と悪の螺旋構造。
だが。
「ハッ、なんだたった二人かよ?」
現在進行形で、恐らくレベル0であろう肥えた少年を甚振り笑っていた男は。
警戒心など、それこそ恐れの一つもないように。
「『風紀委員』はガキだし、
「…………」
男がこれ見よがしに手を上にあげ、そこに持つものを見せびらかす。
それは案の定、一見するとただの古い機種の音楽プレーヤー。即ち『幻想御手』の現物。
「で?そこのガキは能力者で確定だろうが、そっちのテメェはどうなんだよ?」
男が蔑むように視線を下に向ける。
その先は、『私軍兵』の青年が持っていた
「抵抗したらどうなるんだ?それで俺らを斬るってか?おーっ怖いこわ……」
「勘弁してくださいよ」
男の言葉を遮り、青年は笑った。
「あなたを殺して刑務所なんかに入りたくないですよ。私を産んでくれた父や母が悲しむじゃないですか?」
「…………」
「私はねぇ。この先結婚だってしたいし子供だって欲しい。ちょっと恥ずかしいけど、明るい家庭ってやつを築きたいと思ってるんですよ?」
「ハッ、ささやかな望みじゃねぇか?」
「現実的と言って欲しいですね。だからこそ……」
青年は、先ほどまでの爽やかな笑みとは正反対の。
「あなた達みたいに、度し難いカスみたいな男を斬って人生を棒に振りたくないんですよ」
相手を見下し。
侮辱し、唾を吐きかけるような。
悪く歪んだ笑みを向けながら、言った。
「――テメェ」
「おや?カスの分際で、侮られて憤る最低限のプライドはあったんですね」
男たちの怒りに呼応し、辺りに鉄筋が浮かび上がる。
「いいんですか?地獄へ行っても」
が、それでも彼は。
コテハン名『セイバーローズ』――九条薔薇丸は笑って言った。
電脳金曜
『私軍兵』専属の高性能AI転生者。
他の電子生命体がネットの海を漂う→拾われるという経緯なのに対し、彼女は『科学部』がたまたま作ったAIに魂が吹きこまれたというイレギュラー。
『ボス』と呼ぶ相手はまだ決まっていない、今の最有力候補は錦木千束。
見た目はアイアンマンのF.R.I.D.A.Y.
電脳施錠
第十三学区に居を構える、守護者兼偶像系アンドロイド転生者。
片割れ(アリス)の存在を確認できず、最初は落ち込んでいたが今は治まった。
あすなろ園の子供たちが可愛くて仕方ない。
見た目はブルーアーカイブの天童ケイ
SDK
学園都市をふらりと彷徨う医者。
余程の事がない限り表舞台には出てこない為、一般の知名度はそこそこ。
だが都市伝説好きからはある種のレアモンスター。
見た目はスーパードクターKの西城KAZUYA
おバット
『私軍兵』所属のお嬢様転生者。
最初は常盤台中学に入学しようか迷っていたが、休日でも制服の着用が義務付けられているのを知って直前でやめた過去がある。
下手な武術経験者よりも力があり、脳筋極まれり。
見た目はゼンレスゾーンゼロのルーシー
セイバーローズ
学園都市にて剣術道場を開いている転生者。
場所が場所(学園都市)、本人がレベル0、道場破りに来る不良どものせいで道場の人気は皆無。
面接用に雇った精神系能力者への報酬で、本人の『私軍兵』としての給料はほとんどが消し飛んでいるという悲しみがある。
見た目はTOUGHの九条薔薇丸