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異世界オーズ!前回までの3つの出来ごと
一つ、勇者オーズこと第二王子セドリックとパーティメンバーのアナスタシア、イザベラ、ヴィオレッタは王立アカデミーに入学した!
二つ、4人は入学早々一人の男によってさんざんな目にあってしまう!!
そして三つ、無茶苦茶な行動をとる男は自分を天才研究者鴻上研一朗であると自称した!!!
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「一体どういう了見で、わたくしたちを呼び出せるのかしら。」
ここは、学園の片隅の物置小屋。研一郎の新たな研究室である。先日の一件で研一郎の研究室は校舎から離れた場所に移されていた。あんな大事件を起こしていながら学園を追放されないのは、彼の功績のおかげである。
ドラゴンの人工孵化。その技術は研究者の間では長年不可能であるとされていた。その理由は大きく2つある。
一つ目は温度である。ドラゴンの生息地は活火山の火口付近であり、孵化に必要とされている温度は500℃~800℃とされている。
二つ目は魔力である。ドラゴンは鳥の様に卵を温める必要はないが、孵化中の卵の近くに常に居座り、魔力を供給し続ける。人間でいうところのへその緒にあたるものである。
研一郎はドラゴンの皮膚サンプルを解析し、母ドラゴンの皮膚から卵に魔力を伝達するメカニズムを解明し、それを応用した魔力伝達シートを開発した。そして、魔力伝達シートで卵を包み、さらに炎魔法で加熱しその状態を8か月維持し、あの事件が発生してしまったというわけだ。
彼の人格はともかく、研究者としての能力と価値は一級品といえる。よって少々問題が発生しようとも研究室を取り上げられることはない。そのほうが全体的には国益に寄与すると考えられているのだ。
「まぁまぁ、イザベラ。怒る気持ちもわかるけど。彼にはすでに処分が下っているんだ。きっと心中穏やかではないだろうから、そっとしておいてあげよう。ね。」
キラッと、見せられた前歯にイザベラは何も言えなくなってしまう。
「まぁ、セドリック様がそこまでおっしゃるなら、話の一つでも、聞いてもよくってよ。///」
「そ、そうですよね。ちょっと実験に夢中になってしまったということですよね。ねっ。」
「貴重な体験ができたともいえる。」
さっきまで、怪訝な表情を研一郎に向けていた三人アナスタシア、イザベラ、ヴィオレッタの三人であるが、セドリックの発言に手のひら返しで態度を変える。
三人ともセドリックにお熱ということらしい。
「勝手に話を進めているようだが、まったくもって私は無傷だぁあああ!!」
先ほどまで彼らの話を黙って聞いていた研一郎の爆弾が爆発した。
「私はただ研究室を移しただけだ!研究設備は何一つダウングレードしていないし、使える空間も広くなったのだ。むしろアップグレードしているといえる!私は決して干されてなどいない!!!」
「でも、研究費は減らされたんですわよね。」
「シャーラップ!!!不思議ちゃん!!」
「不思議ちゃんではありませんのっ!!!」
イザベラは研一郎と出会って以来若干キャラ崩壊気味であるが、本人はとりつくろえていると思っているらしい。
「イ、イザベラさん、こ、この紅茶、お、おいしいですよぉ~。」
「しゃらっぷ?」
アナスタシアは研一郎に苦手意識を持っているようである。それでも怒鳴られたイザベラのフォローをしようとする姿に世の男性はきっとメロメロになってしまうだろう。
ヴィオレッタは聞きなじみのない言葉にクエスチョンマークを浮かべている。
「ま、まぁまぁ、それで研一郎さん、僕たちに一体何のようでしょうか。」
そう、4人を呼び出しこのカオスな状況を作り上げたのは何を隠そう研一郎なのである。
「君たちには用はない。用があるのは【ベルト】と【メダル】だ。」
研一郎の言葉に場の空気が引き締まる。
「そこの君、君が変身している【オーズ】、使用している【メダル】が一体何なのか知っているか?」
王国の第二王子を"君"呼ばわりである。
「このベルト【オーズドライバー】と【コアメダル】は王家に伝わる神具です。先代勇者であるおじい様から僕が引き継ぎました。」
「ちがぁう!そうじゃない!私が言っているのはドライバーはどのような原理で動いているか、エネルギー源が何か、作成者は誰か。応用は可能か。そういうことを言っているのだ!!」
「話が見えてきましたわよ。つまりあなたは王国の神具の研究がしたいということですわね。」
「ちぃがう!!研究して"やる"と言っているのだ。研究によってメダルへの理解が進めば魔力に代わる新たなエネルギー源として利用できるかもしれない!だぁかぁら、私が!わざわざ!直々に!研究して"やぁる"!と言っているのだ。感謝したまえ!このちんちくりんの縦ロール!!!」
「ちんちくりんとはなんですのぉおおおおお!!」
「まぁまぁ、二人とも落ち着いて、これは双方にとって利益のある話みたいだし、いいんじゃないか?イザベラ。」
「第二王子は話ができるようだ。」
研一郎はふん、と鼻を鳴らしながら、少し乱れた白衣の襟を直す。
「オーズの強化にもつながるということ?」
「武器への転用は解析してみてからだが、これが修復できればオーズの強化につながるだろう。」
健一郎は山積みになっているガラクタの中から布に包まれたものを引っ張り出してきて、面々の目の前にドンッと置いた。白い布をするりと取り除くと黒を基調とした片刃の剣が現れる。現在の人類の技術や文化レベルでは到底再現できないであろう近未来的な装飾にただの剣ではないことが誰の目にも明らかであった。
「こ、これは、」
「『聖剣』と呼ばれている。」