「こ、これは、」
「『聖剣』と呼ばれている。聖ペトリウス教会の倉庫で見つかった。剣の内部を音響魔法でスキャンしたところ古代文字で銘が打たれていたよ。【メダジャリバー】とね。」
4人の目は【メダジャリバー】にくぎ付けになっている。それもそのはず、この装飾は【オーズドライバー】の装飾と酷似している。すなわち、この剣とベルトは同じ力を持っている可能性が高いということである。
「解析したところおそらくこの剣には時空をゆがめる能力があると仮説付けられた。もちろん理論上のことで、検証することはできなかったがな。」
「なぜなのですか。」
「エネルギー源を特定できなかったからだ。」
4人の顔はもうがちがちである。今まで勇者として使用してきた神具にまるで人間が作った機械の様な理屈があるということに、何とも言えない不快感を感じてしまっているようだ。
「この前の戦闘をみてピンッと来たよ。この武器のエネルギー源はあのメダルに違いないってね。」
セドリックは恐る恐る【オーズドライバー】と【タカコア】【トラコア】【バッタコア】を取り出し、見比べてみる。見れば見るほど似ている。
「ほう、やはり近くで見ると仮説に説得力が出てくるよ。さぁ、さっそく実験だ!!」
固まっている4人を後目に研一郎は実験室の奥へと消えてゆく。
戻ってきた研一郎の手には工具箱が握られていた。
「どこだぁ?、、、あった、ここだぁ。1号ネジか。」
研一郎なれた手つきでオーズドライバーの穴に金属上の棒を差し込んで回す。どうやら何かを取り外しているようだ。小さな金属片が次々と出てくるにつれ、4人が「これ、戻せるんだよなぁ?」と思い出したその時、
バコォ。
なんとオーズドライバーが二つに割れ、内部構造があらわになる。
「け、研一郎、こっここここれっとっとと、とれっとれっとれっ」
「セセセセドリック様、お、落ち着いてくださいまし。きっと、きっと、きっとわたくしのお父様が最高級の鍛冶師を見つけて、何とかしてくださいますわ。」
「神に祈りましょう。祈るものは救われます。」
「王家の神具が割れたの。」
セドリックとイザベラは貴族とは思えないほど取り乱している。それもそのはず、オーズドライバーは建国の勇者初代オーズから代々受け継がれてきた、いわゆる世界遺産のようなものであり、これが破損するということは国の損失なのである。
対してアナスタシアは先ほどまでのビクつきとは裏腹に聖母のようなことを言っているが、その目に光はない。今、彼女に現実は見えていないようである。
そしてヴィオレッタは現在の状況を正確に実況している。
「君たち、たかが分解しただけでうるさいぞ。」
健一郎は大慌ての面々にうんざりとしたように声をかける。しかし、作業の手は止めずに配線を引き抜き、そこに電極のようなものを差し込んでいく。
「ここからバイパスできそうだなぁ。よし。」
研一郎は実験室の奥からさらに銀色の円柱状の機械を集め、分解して部品を取り出し、改造していく。
そして、みるみるうちにオーズドライバとメダジャリバーが接続されていき、、、
~~~20分後~~~
「ふぅ、完成だぁ」
研究室の中央にはそこらへんに落ちていた本を積み上げて作った台の上に【メダジャリバー】がおかれている。刃の部分は上に向けられており、乱雑に開けられた穴の中からはケーブルが飛び出しており、【オーズドライバー】へとつながっている。
「よし、君たち離れていたまえ。起動するぞ。」
3人は本能的に危険を察知し、セドリックを盾にするように隠れ、セドリックは物陰に隠れる。
研一郎がベルトに【タカコア】をセットすると、装置全体に赤色のエネルギーが伝達していく。
ブゥン!ブゥン!ブゥン!ブン!ブン!ブン!
徐々に装置の振動が大きくなっていき、十分なエネルギーが【メダジャリバー】に蓄えられたその時!!
ブオオオン!!!
ひときわ大きな音ともに装置は埃を舞い上がらせ、そして停止した。
「ど、どうなったんだ。」
困惑したセドリックの疑問を答える人間はいなかった。最大の回答が目の前に広がっていたからだ。
「ずれているのです。」
【メダジャリバー】を中心に机、いす、壁、おそらくこの建物全体が、スパッと切れてずれていたのである。まるで、剣の達人が竹を切ったかのように滑らかな断面をしており、実験装置の一部である金属部品の断面は鏡のようになっている。
「こ、、、これがあたっていたら。。。。」
バタン
アナスタシアは生命の危機に耐えられず、気絶した。
「し、失敗ですわ」
「成功だぁあああああ!!」
イザベラが実験の失敗を宣言しようとした瞬間、目の焦点が合っていない研一郎が叫びだした。
「見たか!!やっぱりだ!!仮説通りだ!!まさにこれが次元断層だ!!俺は天才だぁあああああ!!!」
ごぉががががあん!!
研究棟は半壊した。