事情通系胡散臭お嬢様になりたい転生トリニティ生 作:水野 四十坂Q
書いてて「イオリってそんな強いか?」って思いもしましたが、この世界はアニメ基準の強さ、ということで。ホシノ抜きアビドスを一蹴できる戦闘力+トラップ抜きならまあ準強の一角と言っていいでしょ…
……ぴえんですわ。
ボコボコのボコにされましたわ。もう、フクロですわ、フクロ。イチカ先輩の訓練より辛い経験なんて久しぶりですわよ。……流石に言い過ぎかしら?
これで良かったのでしょうか。
恐らく、アズサさんはシナリオ通り、秤アツコを殺そうとし、失敗したでしょう。ですがそれによって大きなメンタルのダメージを負ったはず。そして、先生も一発は銃弾を食らったでしょうね。今頃は意識不明のガチ重体だと思いますわ。トリニティも、指示系統がめちゃくちゃで混沌の真っ只中でしょうね。
でも、アズサさんは立ち上がります。先生も、起き上がります。トリニティは、浦和が立て直して、先生とコハルさんが騒動を収めます。戦い続けるアズサさんは、ヒフミさんが救ってくれます。私なんぞが関わらなくても、全てが丸く収まって私たちの青春の物語ってやつが始まりますわ。
皆さん強いですわね。つえ〜ですわ。肉体とか、戦闘なら、確実に
体がいて〜ですわ。当然ですわね。あの場において、最弱は
まあでも、休んでいいのではなくて? もう先生は撃たれちゃったでしょうし。賽は投げられた、ってやつですわ。どのみち、エデン条約編において『美奈底シズム』なんてキャラクターの活躍は存在しませんの。原作にいないし。でもエデン条約編はハッピーエンドで終わりますわ。つまり別に
……はあ。
「んぎぎぎぎ……」
けれど、何故でしょうね。
脚が動いてしまいますのよ。
あら、アズサさんにミサキさんにサオリさんにヒヨリさんにアツコさん! みんな何をなさっているのかしら?
「……正義実現委員か」
「ヒナでもツルギでもハスミでもない。雑魚だね」
「はあ〜〜!? これでも
後方にはアズサさん、前方にはフルメンバーのアリウススクワッド。いや〜、壮観ですわね? 『デコ』の要素が全くない武装が物々しすぎますわ。
「し、シズム……!? なんで」
「なんででしょうねえ」
いやほんとなんでですの!?
……まあ。アズサさんが想像よりキツめのリンチにあってたので、これは助けないと、と思いましてよ。それに、時間さえ稼いでいればヒフミさんと先生が来てくださるでしょうし? めっちゃ勝ち試合! 乗るしかないですわね、このビッグ勝ち馬に。
「
「……風見鶏なら、そこで眺めてなよ」
とはミサキ。こういう時に茶々入れてくるイメージなかったので、なんか意外ですわね。曲がりなりにもつい先程戦った仲だからでしょうか?
「あら? 違いますわ。
そう、これが
ですから、脱線しようとした場所に参戦して無事
「もういい」
「おわーッ!? 急に発砲やめてくださいまし!?」
さ、サオリこの野郎……!!
こいつ「もういい」の三文字目あたりで発砲してきやがりましたわ!?!? こいつにはバトル漫画にお約束のレスバパートという概念がありませんの!? 協定違反でレッドカード出しますわよ!? 手札3枚にしますわよ!?
「……おい。こいつはトリニティ生だろう。なんで
「あ〜らあら! 貴女がたったら自分たちの武器についても把握できてませんのね!
ドヤ顔で語ってますが、この辺は賭けでしたけれどもね! ブルアカ、契約とかその辺フワフワですし
なんにせよ、眼の前の光景こそが現実! 事実として、
「じゃあアズサさん、二手に分かれますわよ!」
「そこはシズム一人で戦ってくれるわけじゃないのか」
「
「うん、そうだな。行こう」
「アズサああああッ!!」
ヒスってたらせっかくの美人が台無しですわよサオリさん!
ッシャア行きますわよ!
押せ押せ〜〜!!
というか、ヒフミさんたちが来るまでの時間稼ぎ程度にしか思ってませんでしたけど、案外行けそうではありませんこと、これ? 勝っちゃう? 勝っちゃいます? やっぱりアズサさんとならどこまでも行けちゃいますの?
「……リーダー」
「クソッッッ!! おい、アレを出せ!!」
「……了解」
『アレ』?
アンブロジウスのことかしら? でもアレってユスティナ紐づけの兵器なんじゃないですの? 見た目も似てるし、出せるんならもう出てないとおかしいですし。一体何を……?
「──え」
赤い衣。
金色の光輪。
アンブロジウスとは対になるような、荘厳な衣装の、巨大なバケモノ。
ヒエロ、ニムス……!?!?
なんでなんでなんで!? まだ登場早いですわよ!? 貴方、もうしばらくカタコンベで待機してる予定でしょ!? 一体何が……!?
つーかアズサさんに攻撃が向いてる!!
「アズサさん!!!!」
突き飛ばす。
地面。
空。
衝撃。
……????
めっちゃザラザラしますわね。ん? あれ、あー。これ瓦礫? 顔にめっちゃ石かなんかが当たっていますわ。ていうか前にドデカい壁がありますわね? なにごと? 押してもビクともしませんわ。ビル?
「──!!」
誰かの声。
いや、ああ。これ、地面ですわね。だいたい理解してきましたわ。私、倒れてるんですのね? 何故? ──いや、確かヒエロニムスの攻撃を受けたんでしたっけ?
「シズム!!」
「……ァ、アズサ、さん……」
どうやらアズサさんは無事のようで何より。ていうか追撃しないんですのね。少々
「うぷ。ぅ、うげぇぇ……」
唐突に喉元まで何かがせり上がってくる感覚。たまらず吐き出してしまいましたわ。お下品! グリフィンドールにお嬢様ポイントマイナス5点ですわ! うーわ真っ赤。これ内臓のどっかがイカれてますわね……生徒の肉体って結構頑丈なんじゃなかったんですの?
「シズム!!!!」
「そんなにお焦りにならなくて……平気ですわ……」
「──もうわかっただろう、アズサ。全ては虚しいんだ。これ以上の抵抗はやめろ」
「わかった、わかったから……! もうこれ以上シズムを撃たないでくれ……!」
あ、アズサさん!? なんで銃を置いてますの!?
白州アズサといえばブルアカにおける不屈の代名詞! ベアトリーチェことベアおばによる虐待もとい洗脳教育に浸かり続けても折れなかったメンタルは称賛の一言、多分ですけどユーザー全体でも「メンタルの強い生徒は?」って聞いて票集めたらワンチャン一位取れるまでありますわよ!
そんなアズサさんが!?!? 戦闘不能にもなっていないのに!?!? 諦めるなんて!?!? ありえませんわよね!?!?
「……まだ立つのか」
「し、シズム。ダメだ。それ以上動いちゃ」
「はっ……ペッ。何言ってるんですの、アズサさんらしくないですわよ。こんなの、イチカ先輩の地獄の訓練と比べたら屁でもありませんわ」
「お前ももうやめておけ。ヘイローが砕ける手前だろう」
「それは……ご心配、どうも!」
ヘイローが砕けるぅー?? まだまだ全然そんなライン来てませんわよ!? 言っておきますけど、臨死体験なら
「ダメだシズム! もう降伏しよう!」
あ、アズサさん……あなたから「降伏」なんて言葉が出るなんて……もう銃も捨てて駆け寄ってきてますし……
「アズサさん」
肩を掴む。
「降伏なんて、絶対しませんわ。言いましたわよね、この先にはハッピーエンドが待っているんですわ。だから、戦いましょう。戦って戦って、戦って。絶対、辿り着けますから。保証しますわ」
「ただの妄想だな。現実を見ろ。お前は死にかけでこっちは万全。援軍を期待して時間稼ぎでもしてるんだろうが……無駄だ。お前も言っただろう。個人の喧嘩ならともかく、集団戦ならこちらも
「ハッ……いちいち茶々を入れてきますわね……」
ちょっとしつこいですわよ? どうせ貴女もこれから先生に助けられて幸せになるのに。まんじりともせず受け入れろ! ですわ!
「妄想、なんかじゃ……ありませんわよ! これは事実、確定事項ですわ! いいえ、今から確定事項にしますの! そしてみんなで幸せになりましょう!
愛銃のホロサイトを向ける。
「……そこまで死にたいなら、楽にしてやろう」
「──そこまでです!」
戦場の鬱屈とした空気を切り裂く、凛とした声。
ああ、ヒフミさんですわね。
そして、その隣にはコハルさん、浦和、──先生の姿が。
ふん、全く。
「……遅いですわよ」
知ってる天井ですわね?
「あっ、シズムさん! まだ安静にしていないとダメですよ!」
「あ、あの、
「ダ・メ、ですよ! 肋骨が折れて内臓を突き破ってたんです! 絶対安静ですから!」
「ひ、ひぇ……」
本当ならよく生きてますわね
と、
「すみません、
「一週間ですね。みなさんとても心配されてましたよ?」
「い、一週間!?!?」
「あ、ちょっと! 安静ですよ!」
「あぁ、はい……すみません。取り乱しましたわ」
うそ、
そんなことありませんわ。普段なら普通に6〜8時間ですわよ。もしかして、割とマジで生死の狭間彷徨ってましたの……?
というか、もしかして。
「あ、あの。アリウスへの制圧作戦ってもう終わってまして……?」
「え……? はい。もしかして、寝ている間外の声が聞こえていたんですか?」
「ああ、まあはい。そんなところですの」
み、見逃しましたわ〜〜!!!!
結構ガチでビッグイベントでしたのに〜〜!!
わ、
じゃあ、もう、全部終わっちゃったんですのね。
「ありがとうございます……」
「な、なんだか落ち込んでますね……」
「いえ、正実のみなさんが頑張っていた中、眠りこけていた自分が情けなく思いまして……」
「そ、そんなことないですよ! ツルギさんやハスミさんがお見舞いに来ていましたけど、誇らしそうにしていましたから! あっ、ほら! イチカさんが来てくださいましたよ!」
「へ?」
い、イチカ先輩!?!?!?
に、逃げなきゃ……アリウス生に喧嘩売りに行った結果ボコボコにされてて一週間寝込んでたなんて知られたら、何されるか分かりませんわ……!! もうマラソン耐久訓練はコリゴリですの……!!!!
「や。また随分、こっぴどくやられたっすね」
「ひぇ……」
「なんすか、その反応は」
「い、いえ! なんでもありませんわ! お疲れ様です、イチカ先輩!」
「……。ま、いいっす。とりあえず無事目を覚ましたようで何より。これ、お土産っすよ」
「あ、あら。ありがとうございます」
「怪我の方はどうっすか? まだちょっと正実には戻れなさそうっすかね?」
「ああ、えーと。肋骨が内臓に突き刺さってたらしいですわ。それでまだ動いてはいけないと」
「なるほど……じゃあしばらく休んでいてくださいっす。大丈夫、もう騒動はほとんど沈静化したっすよ」
「そうらしいですわね」
お?
き、今日はもしかして優しいイチカ先輩の日ですの!?!? いける、これならいけますわ!! このまま今日一日平穏無事に過ごしますわよ!!
「シズム」
「ひゃい」
無理そうですわ〜〜!!!!
これ絶対怒られるやつじゃないですの〜〜!?!?
「今回は、よく頑張ったっすね」
「……明日は榴弾の雨でも降りますの?」
「訓練メニュー増やして欲しいっすか?」
「く、口が滑っただけですわ……!! 許してくださいまし!!」
ち、違うんですのよ! けして、決して!! 「イチカ先輩が私のこと褒めるなんて珍しいこともあるもんだなあ」なんて、つゆほども思ってませんのよ!?!? こ、この通りですわ!!(絶対安静病人仰向け不動スタイル)
「じゃ、私は行くんで。ゆっくり休んでいってくださいっす」
「ええ、お土産ありがとうございましたわ」
「……そういえば、補習授業部の子に聞いたんですけど、シズムって私のことなんだと思ってるんすか?」
「!?!?!? い、いえ! とても強くて尊敬できる偉大な先輩であるとしか言ってませんわよ!?」
「……。まあ、いいっす」
え!?!?!? どなた!?!?!? どなたが漏らしましたの!?!?!?
「シズムちゃん! 目を覚ましたんですね!」
「おかげ様で無事ですわ。あの時は助けに来てくださってありがとうございました」
とはヒフミさん。
「本当に良かったです、あの時のシズムちゃん、本当にボロボロで……気絶してからうんともすんとも言わなくなるし、このままずっと目を覚まさないんじゃないかって不安で……」
「ご、ご心配おかけしましたわ……」
ミサイル被弾してから
「そういえば、アズサさんはお元気で?」
「はい、もちろん! そろそろ来るはず……あっ」
「──シズム!!」
「あら、アズサさん──おわああ!?!?」
「良かった……本当に、良かった。あのまま目を覚まさなかったら、どうすればって、ずっと考えてたんだ……」
「……あら、それはそれは、随分と心配をさせてしまったみたいですわね。申し訳ありませんわ」
ハグ!? ユリユリ展開キタコレなのですわ!?!?
なんてそんなこと、ありませんわよ? ブルアカは健全な青春の物語ですから。NL方針でお送りいたしますわ。でも、本当に、随分とご迷惑をかけてしまったみたいで。心苦しい限りですわね。
「……よしよし。ごめんなさいね。助けに行った側が倒れて心配されてちゃ、お笑い草ですわよね」
「そんなことない! あの時シズムが来てくれて、私は嬉しかったんだ! 一緒に戦ってくれて、力になってくれたんだ! だから、絶対笑ったりなんかしない!」
「……あらあら」
また随分な言われようですこと。
ぶっちゃけ
でも、なんででしょうね。
胸が、あったけえですわ。
「シズムちゃん……あらあら♪ お邪魔でしたか?」
「!? え、エッチなのは駄目! 死刑!」
「いや別にそういう仲ではないのは見たら分かるでしょう……?」
コハルさん、貴女本当に判定広いんですのね……
まあ、ともかく。
若干一名動けませんけれども、補習授業部が揃ってしまいましたわね。
「──皆さん。その、
「シズムちゃん」
「あら、なんですの? 浦和」
皆さんが帰って。
動けない
「なんだか、変わりましたね」
「あら、貴女の目も偶には空っぽになるんですのね。
別に何も変わっていないと思いますけれども。口調も一緒ですし、浦和に対する態度も一緒。ついに目ん玉腐りましたの?
もしかして、適当にそういう言葉投げてればいい雰囲気作れると思ってたりしてませんわよね? 美談をベースにコミュニケーションを取ろうとするなって、含蓄のある言葉ばかり吐く猟奇的殺人鬼がそれっぽいこと言ってましたわよ?
「いいえ。変わりました。それも、とってもいい方向に。私は嬉しいです」
「な、なんですの貴女……気持ち悪いですわね」
「ふふふ」
「なんでそこで嬉しそうにしますの!? 今日の貴女、本当に気色悪いですわよ!?」
あんまり得体の知れない反応しないでくださる!? 怖いんですけれども!?
「シズムちゃん、ずっと、私達に対して距離を取ってたじゃないですか。でも、今はそれが少しだけ縮まりました。ちゃんと私達のこと、友達だって認めてくれたんだなあって。それが嬉しいです」
「と、友達……? あの三人はともかく、
「はい♪」
「……早急に救護騎士団に診てもらうことをおすすめしますわ」
「そうやって遠慮のない悪口を言ってくれるところですよ?」
「貴女、コミュニケーション法をヤンキー漫画か何かで学んできましたの……?」
……
はあ。
なんか、今日の浦和にはとても勝てる気がしませんわ。いえ、いつも負けてますけれども。直接的な戦闘以外でコイツに対して秀でているところありませんから。
「ところで、いい加減私のことは名前で呼んでくれないんですか?」
「まーたそれですの? ……ないですわね。浦和。貴女なんて名字呼びで十分ですわ。貴女のことハナコ呼びする
「……。はい♪ それもそうですね♪」
「クッソ眩しい笑顔で同意されるとそれはそれでムカつきますわね……?」
とまれ。
エデン条約調印式は終わり。
補習授業部は全員、退学を免れ。
恐らく、アリウススクワッドは救出され、ベアトリーチェの儀式も失敗し。
辿り着けましたわね。エデン条約編のハッピーエンド、ってやつに。
……ここを乗り越えても、この先、トリニティには、キヴォトスには、いくつもの試練が降りかかります。これは所詮、いくつもの災厄のうち、たった一つを乗り越えただけの話に過ぎませんわ。
でも、まあ。
今日はこれで満足。
戻りましょうか。
日常に。
正義実現委員会と、補習授業部のみんなと共に過ごす、青春の物語に。
2話しかありませんが、これにて一区切りとなります。それでは。
また、誤字報告ありがとうございました。