戦国BASARA 勘違い天女とバケツ人魚と   作:サボテンダーイオウ

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降り注ぐは憎しみの雨だけ

日の本。この時代、己が力を示すのは刀であった。世は諸大名が極める戦国時代である。

第六天魔王織田信長亡き後、豊臣が築き上げた大阪城が聳えていた。

だが、それも徳川家康率いる東軍によって攻め込まれ、豊臣家滅亡へと追い込まれた。

数多の死人を出したその戦。

その中で血の涙を流すほどの悲しみを背負い込んだものがいた。

天が怒りを表現するかのように雷が頭上で轟き、風が血の匂いを運び、死を蔓延させる。

戦場という命のやり取りの中、秀吉の腹心石田三成は自分に無謀にも襲い掛かってくる雑魚を斬っていく。そこには慈悲の欠片もありはしない。

なぜなら彼にとって豊臣秀吉という大器ある男に全てを捧げているからだ。

彼が秀吉にとって神なる存在。自身の腕にはかつて息をし多大なる敬愛を送り続けた御方。

 

だが、その人物はすでにこの世を発った後だった。

目の前に事実に耐え切れず信じれずただ己が主を呼び続けるしかできない。

 

「秀吉様………秀吉様ぁぁぁああああああ!!」

 

どれだけ必死に叫ぼうがこの御方は私をみてはくれない。

私を認識してはくれない。私を必要としてくれない。

もう……戻っては来ないのだ。我が目の前に。

 

「ぁ……ああぁあああっ、ひ、秀吉さまぁ……!!」

 

名を何度も呼ぼうとも。目の前の現実は変わらない。

 

『いえやす』

 

文字が浮かぶ。

 

『イエヤス』

 

次第にそれは自分の中に、木霊し、浸透していく。『家康』、と。

 

「徳川、家康……」

 

彼はばっと顔をあげると、

 

「いえやすぅぅうぅううう!!」

 

喉を張り裂けんばかりに絶叫を迸らせる。この声よ、天に届けとばかりに。

誰かが、呟く。三成が絶叫する場で。

 

「ぬしは不幸を選ぶか・・・」

 

大谷吉継がそこでにやりとひとり嗤う。この世など皆不幸になればいいと。

そして三成の心の空隙が棲みつきかかる。絶望の雨は降りしきった。

いつまでも、この日の雨は。

 

 

私の……私の眠りを妨げるのは誰だ……。どこかで、誰かが泣き叫んでいる。

 

悲しみの雨で己を奮い立たせ復讐という火花を散らす。可哀想な人間。

愚かなほどに純粋な男。そんな男の残像をみた。

これは、夢か、幻か。この時点で私に知る術はない。

今私が漂うこの場所。そう此処は前と同じ、感覚だ。あえて名前で呼ぶなら『神男空間』。

 

「お前のネーミングセンス、いっつも最悪だよな?」

 

「出たなっ!?疫病神!」

 

無許可に人の心を読むなんて最低な男だ。

 

「おまっ、こんなサイコーにイカス神に向かって疫病神だとっ!?」

 

眉毛をピクピクさせながら私に凄い形相で彼は文句を言ってきた。

だが、私とて今までの神男からの行いを我慢してきたのだ。

文句の一つや二つぐらい我慢してほしいぐらいだ。だから、私の口が閉じることはない。

 

「すまない、疫病神以下だ」

 

「真顔で訂正!?しかも更にランクダウン!」

 

ランクアップすると思ったか?馬鹿めっ!

 

「本当はお前の神そのものを抹消したいがそれをすると、話が無くなるのでそれはやめておこう」

 

「マジ俺自信なくすわ。そこまで嫌われてたとは。……転職すっかな…」

 

ボソッと呟き、いじけだしたのでそろそろかもるのはやめた。

 

「嘘だっーの。さっさと呼び出した用件吐きやがれ」

 

「おまえね、一応女なんだから、そんな汚い言葉遣いやめなさいよ?」

 

「お前相手に使ってられるか。面倒だし」

 

「…なんか、ムカつくわ」

 

「あ?何か言ったか」

 

「いいえ、何にも。………お前を呼び出したのは他でもない…」

 

そこで奴はなぜか言葉を濁す。視線は宙を彷徨う。はっきりしない奴だな。私はイライラと感じながら神男を急かす。

 

「………言えよ…」

 

「…いいんだな?後悔しないよな?後で八つ当たりとかすんなよ?」

 

「しないから言えってば」

 

「よしっ言ったな。その台詞後で撤回するわとか言っても受け付けないから」

「は?」

 

「よし、言うぞ『行ってこい!』

 

「ハァ?」

 

視界が一気に塞がれた。お決まりのパターンと理解したのは、これも慣れたはずの落ちていく浮遊感。やっぱりシバけばよかったと後悔した。目をゆっくりと開いて一言。

 

「……此処、地獄也(なり)」

 

なんとか意識が回復した時目の前に広がるのは、血と、泥と、死の世界一色。

その中で私は立っていた。目の前に広がる死体畑についつい顔を顰めてしまう。見渡す先は山ばかりで都会なんてもんじゃない。

それどころか時代すら古めかしい印象を受ける。

なんとなく死体が装備しているのは昔の侍が合戦で着る鎧っぽいと判断。泥まみれになっている動かなくなった死体達。

頭上には鳶やらなにやらと鳥の軍団がその死体に我先にと食いついている。なんとも地獄絵図じゃないか。折れた槍やボロボロになった刀などが打ち捨てられている。

戦場のあとの虚しさというのは何処へいっても同じだ。

今私が何処の世界の戦場跡にいるのかはわからないが。

しかしこんなところでずっと立っているわけにもいかずとりあえず生きている人間を探すことにした。

 

「生者は、無、か…」

 

問いかけたところで返事が返ってくることはない。

 

うぅ、狗楽、おねーちゃんは淋しいです。狗楽のハリセンが恋しいよぉ~。

 

こうやって天姫は戦場を彷徨い歩きいつしか天姫の脳みそは狗楽一色に染まり、狗楽はここにいるものと勝手に妄想してそれが狗楽の現実と化す。

つまり自分の妄想で狗楽を捜しているのだとすり替わってしまったのだ。

実際居るかどうかもわからないのに。でもこの天姫の妄想は正解でまさかそれですでに自分の運命が決定されていることにも気がつかずに彼女はただ愛しい妹を捜し迷うのだ。そして自分の言葉使いがなんか普段と違う事に気がつかなかった。

 




神崎 天姫
15歳
自分の妹を溺愛するちょっとお馬鹿なヒロイン姉。
サラストな黒髪質で見た目クール系美女で女王サマで残虐な面も持ち合わせている。
今回は自分にある『呪い』がかけられている事にまったく気がついていない。

神崎 狗楽
12歳
やたら暑苦しい愛情を姉から与えられつつも正直者な子に育ったくるくるカールな髪型ヒロイン妹。今回はバケツが彼女の相棒。

曹 影動 (固定)
32歳
武将で妖艶ただようフェロモン義親父。武芸に天賦でその剣技は三国で一、二を争うと恐れられている。三人のパパで露出狂。

曹 揚羽(固定)
18歳
天姫と狗楽の義理のにーちゃん。父親譲りの美を持ちながら戦場では主に軍師として出陣し潔い決断力とずば抜けた計算力で魏を勝利へと導く。天姫に関してはドス黒い感情むき出し。
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