戦国BASARA 勘違い天女とバケツ人魚と 作:サボテンダーイオウ
毛利元就side
この女に自室に独りで来いと呼び出された時、我はようやくこの女は我が常人よりも遥かに秀でている事実に気がついたと思ったのだ。
だが、この女はどこまでも我を見ようとしなかった。
眼中にすらされていなかったのだ。
石田や大谷ら側近を近づかせないあの天女の自室は、豪華かと思いきや意外や質素なつくりになっていた。が、しかし調度品はどこか一級品であることを理解させられるほど見事なものばかり。
天女は、我が室内に入り、お付の侍女を下がらせこの静かな空間には、我と天女のみ。
扇とゆらりゆらりと揺らし、鼻筋から口元にかけて今も笑みを浮かべるが
仮面に閉じられた瞳だけは誰にも真実を教えないと言わんばかりに楽しんでいるように見える。
この女と共にいるだけで、我はなぜ動悸が激しくなるのだ?
まるで逃げたいと言っているようで、まるで逃げたくないと叫ぶ我がいるようで、気がおかしくなりそうだ。天女は、含み笑いを扇で隠すように口元を隠すと突如言ってきた。
「毛利、其方隠し事あろう?」
「……何を言われるか、皆目見当がつかないが」
「其方は抱いておる」
我に対する畏怖を、野望をそして、乞うておるのだ。己自身を見て欲しい、とな?
「貴様に何がわかる!?我は……我は…」
どうして否定できない?今声に出せば良いだけではないか?
先ほどの三成と天女とのやり取りを見た時。我の中で激情渦巻いていた。
どうして、そのような奴を褒めるのだ?
どうして、我ではないのだと。貴様に、『認められたい』と……認められたい…?
?我が?認められたいだと?
己で何を言っているのかさえ意味がわからなくなってきた。
混乱など認めるものか!ならば見せてやる、我の力を…その眼に焼き付けてやるのだ。
これもこの女の策か、我は溺れはせぬ、屈したりはせんのだ。
とにかくこの時の我は必死だった、我が一番役に立つと思わせたかったのだ。
「ええい!ではみるがいい、我の力!日輪よ」
我の祈りが日輪に反応し、緑色の輪を作り出す。
それをみた天女は音もなくすすっと立ち上がりそして微笑んだ。極上の笑みを浮かべ
「……面白きものだ…」
と呟くとそのまま日輪の輪の中へ自ら身を投げた。
「なっっ!?貴様」
奴はそのまま日輪に自ら吸い込まれようとしていた。
そして後ろ越しに顔だけ振り返り『ではな』と笑みをつくり口をそう動かして消えた。
「あ、あの天女めっ!」
最後まであの女は我を視ようとせなんだ、ただ利用するためにただこれだけの為に我を、怒らせ日輪を使わせたのか!
このような所一秒でもいられぬと我が襖を開け放った瞬間、殺気と言う名の刃を突きつけられた。
「殿……殿はいずこへ行かれた」
大谷であった奴は我の動揺を見透かすかのように包帯からぎょろりとした目玉で我を見る。
「知らぬ、アヤツなど我は知らぬ!」
声を張り上げ大谷を突き飛ばすように急ぎ足で進みこの場所から離れた。
あんな女など我が知るか、…この胸の痛みはなんだ。我はなぜこんなにも焦燥感にかられねばらなぬのだ。
あんな女など、我は知らぬ…!
※
元就は普段らしからぬ顔のまま逃げて行った。
そんな元就の態度に何かしら感じとった刑部はひとつ溜息をつき
「ヤレ、これは困ったことになった」
と零す。とりあえず三成には悟られぬようにせねばいかんのう。あやつは殿の事となると見境がなくなりおってからに、一人で城から飛び出すに決まっておる。ほんに、大人しい人間がいなくて儂の胃が痛くて敵わぬ。
そして案の定、刑部の予想通りに三成は暴れた。以前の殿を徳川に奪われた時以上に悲しみを露わにし、すぐにでも捜しに行くと声を張り上げ数十名の兵が止めるのをおかまいなしに惨殺しようとしたのはさすがにマズイと思い刑部が後ろからどついて気絶させ、縄でぐるぐる巻きにして柱につなげ動けぬように牢に放り込むことに成功した。
そしてとりあえず忍びに捜索させることにしたのだ。勿論、他国の武将たちに絶対知られるわけにいかない。
慎重に慎重を重ね、そして確実に見つけ出せるように。
我らが天女を捜すのだ。
◇◇◇
その頃、天姫はと言うと
「ーーーーーーーーーー!」
目下落下中でした。風がごうごうと耳元ですごい音を立てて唸る。というかすごい音だ。
私死ぬのか!?と走馬灯のようなものが駆け廻ったが山中の地面に叩き落される直前、ふわりと体が舞いなんとか無事に降りることに成功。
命からがらとはまさにこのことだ。しかし、周りは本当に山奥の山奥。首を動かし何かしらの気配を捜す。
「……」(どこやねん、ここ)
「…………」(山の中?しかしこの着物では移動しずらいな…脱ぎ捨てようかな)
意識だけは常に集中させておいて小袖状態にでもなろうかなと思った瞬間、複数の気配を感じ取った。
「おうおう!なんとも珍しい!こんな山ん中にお姫様がおられるとはな?ナァ?弟たちよ」
山賊あーがしゃべった。
「俺たちついてるぜ!あー兄貴!」
山賊いーが喜んでいる。
「俺たちやったぜ!いー兄貴!」
山賊うーが同調して喜んだ。
「いやまて敵の罠かもしれないぜ?うー兄貴?」
山賊えーが冷静に指摘した。
「それもそうだな、少し周り確認してみるか。えー兄貴?」
山賊おーが周りを警戒しだした。
「さすがおーだな?」
あー兄貴が弟を褒めた。
「「「「「俺たち山賊兄弟あいうえおーだ!!」」」」」
戦隊ものらしく彼らはそれぞれが決めポーズをつけ、どどん!と爆音を背後で演出効果している。
「………っ!」(戦隊モノキター!?)
驚きで喉から音だけが漏れる。…あれ声でないな……ワープの一時的な影響だろうか?
とりあえず、できるだけ距離を取って身を守ることにした。一応小刀はいつも持たされているので武器はあると言えばある。5人ぐらいなら軽いもんである。
「しかし兄貴…こんな山奥にこんな身ぎれいな女独りとは怪しくねぇですか?」
「…フム、それはその通りだ。もしや国を追われた亡国の姫という者か…。何と憐れな…親兄弟を亡くし家臣に守られながら生き延びてきたがついに追手が迫り家臣たちは姫を守る為その身を挺して守っていくがついに侍女さえも失い姫独りの身になってしましもはや生きる術なしと胸に潜めた短刀で自害しようとしていたのか…なんと無情な世の中よ…」
「うぉぉぉおおおおおおお!兄者ーーーー!」(感涙)
「うぉぉぉおおおおおおお!兄者ーーーー!」(号泣)
「うぉぉぉおおおおおおお!兄者ーーーー!」(感涙)
「うぉぉぉおおおおおおお!兄者ーーーー!可哀想すぎるぜ!助けてやろうぜー!」(雄叫び)
「…さすが我が弟たちよー!そうだ弱き者を助けてこそ山賊という者!」(感動)
なんか違うこと言ってる気がする。私は袖で口元隠しながら盗み見るしかできない。というか呆気にとられていて何も言う気が起きないのが現状である。
どうやら話は勝手に決まったらしい。
男衆はピタリと一斉に話を止め私に向き直り一番上の…あーさんだっけ?
その人が一歩ゆっくりと前に出てきて
「ということで亡国の姫よ、我ら俺たち山賊兄弟あいうえおーが其方を助けてやろう」
「……………」
なんで亡国の姫になるのか意味不明である。
しかも山賊ならこんな綺麗な衣、さっさと身ぐるみはぎ取って売ってしまえば金にもなるし、女ならいくらでも高値で売れようというもの。
どうやらこの5人は私が考えている屑の山賊よりも人がいいらしい。
普通、こんな展開ありはしないだろうに。
パチクリと瞬き、何と答えてよいものかどか悩み黙ったままになってしまった。
それをどうとったか知らんが、怯えて声も出ない小娘のようにとられたらしい。
一番上の兄が、痛ましげに眉を下げ気遣うように優しく言ってきた。
「怯えているのか、無理もなかろう。独りでこのような地に参ったこと我らも胸が痛むこと。だが安心しろ。お前に手は出さぬ。我らは山賊と名乗りながら山賊として活動したことは一度もない名ばかりな兄弟なのだ」
堂々と胸張って言えるって相当珍しい人種である。
というかホント希少価値ありすぎだ。
「………」(今時珍しすぎる)
さて、どうしたもんか。人柄は悪くない。私自身この山がどこの国に属している場所なのかもわからない現状。ここは素直に助けてもらうほうが得策かと考え
男の差し出す手を取ろうと、自分の手を動かそうとした。
その時!
「Hey、随分と楽しそうじゃねぇか?俺も混ぜろよ」
なんとも若い男の声がエコーでもかかっているかのように森中に響いたのだ。
「……」(今度はボス級か!)
私は即様気配を感じ取り、山賊兄弟よりも素早く男の居場所を突き止めた。
今現在いる私たちよりも上の方から見下ろすように男は立っていたのだ。
顔がよく見えないが佇まいからして普段から命令するのに慣れている上官クラスであるのは間違いないと判断。
「女独りによってたかって群がるとはな…」
あ、声がハスキーというか女にもてる声とみた。
「何奴!?」
台詞が古臭い!
「この独眼竜の地で好き勝手させると思ってんのかよ……」
眼帯つけたワイルド青年がいきなり乱入してきました。
6本の刀チラつかせてまるで、あっちの青年が山賊のようだと思った。
山賊兄弟あいうえおーはなぜか私を守らんと庇いながら牽制する。
というかどうやって6本も刀持てるのか不思議でならない。
今あの青年『独眼竜』とか言わなかった?
聞き間違いだろうか?
「今助けてやるぜ、princess」
とにかくなんか出会いがあったのは間違いないだろうと思った。
※
伊達政宗side
俺が退屈な城を飛び出だしたのはほんの気まぐれだった。いつも口うるさい小十郎が執務執務とぬかしやがるから嫌気さして逃げたわけじぇねぇ。
そう、たまたまだった。山深く森の奥で山賊に襲われていた一人の娘と出会うまでは。
数人の男たちに囲まれた状態。物見遊山してる気はなかった。暇つぶしにはちょうどいい。
「Hey、随分と楽しそうじゃねぇか?俺も混ぜろよ」
俺の収める地でよく馬鹿らしいことできたもんだぜ。
「……」
女が袖で顔を隠しながら、俺が何処にいるかを必死で捜しているようだ。
そして、助けを求めるように顔を見上げてくる。やっぱ読みは当たったな。山賊か。
「女独りによってたかって群がるとはな…」
「何奴!?」
山賊の一人が叫んできた。
「この独眼竜の地で好き勝手させると思ってんのかよ……今助けてやるぜ、princess」
ここで、俺が動くはずだった。が、娘はあろうことか予想外なことをしてきた。
「………」
「お前、何を…!?」
その女はよりにもよって馬鹿なのかと疑ってしまうぐらいとんちな事をしやがった。
なぜならその女は左手に小刀を構え、俺と対峙したのだ。自分の背で山賊どもを庇いながら。
「おいおい、俺はお前を助けにきてやったんだぜ?」
「………」
娘は俺を牽制しながらじりじりと後退する。男たちに視線で逃げろと目配せしたようだ。
「姫…なんと慈悲深い方じゃ…」
「だが其方だけ残して行くわけにはっ!?」
男の叫びに娘は一瞬だけ振り返り、何かを伝えるように口を動かしす。
「………」『大丈夫だから御行きなさい』
「………すまぬっ!!かならず助けに行くからなっ!」
山賊どもは庇われたことにより涙ながら逃げていく。どういう事だ?襲われていたんじゃねぇのかよ、この娘。
「………」
娘は山賊どもを逃がした。俺は呆気にとられ言葉さえ失ってしまう。
「………」
が、固まっていては話にならん。
俺は、妙な娘に近づき華奢な腕を無理やり引っ張り、小刀を取り上げた。
簡単な事、この娘は素人だ。腕を震えさせていた所見ると、初めて小刀を抜いたのだろう。
娘は俺から逃れようと抵抗するが、所詮女の力。叶うはずもない。
高価な着物をまとった女を真正面から直視した。
鮮やかな着物を幾恵にも着こなしさながら絵巻物から飛び出たような衣装。
そして間近で見たその、娘の容姿に俺は見惚れて言葉を奪われた。
不思議な娘だ、まず何よりこの紫の瞳に引き付けられた。
吸い込まれそうなほど深い色。そしてその強き瞳に相応しく雪のように白い肌、触ってしまいたいほど熟れている果実のように甘さを放つ紅い唇。髪は闇のように黒く黒く、だが日の光を受ければその艶やかさが肉眼に見て取れるであろう美しさは明白。
「気に入ったぜ」
俺の胸は戦場にいるよりも高揚感に溢れていた。
「娘、拾ってやる。俺の城に招待してやるよ」
知らず知らずに、喉が鳴った。
逃してたまるか、と己の中の獣が言う。
無論、逃がすつもりは、毛頭なかった。
(狙った獲物は小物?大物?)
※
天姫side
男に誘拐されて無理やり馬に乗せられたまでは覚えている。
が、今考えればあれが悪夢への始まりだったのだ。この男危険すぎる。
色々と危険すぎると思っていたが、まさかここまでとは。
この私に恐れを抱かせる男がこの世界に存在していたとは余裕があれば感心したい所だが今はその気さえ消滅していた。せりあがってくる吐き気と今は精一杯闘っている。
着物の裾で何とか口元を抑え我慢しているがいつまで持つか…。
「………っ…」
まず言いたい。
これは何だ?!この、男の運転は!?
馬に騎乗するのは初めてではない。だって三国の移動手段って馬かシロから象だもん。
いつもパカランパカランと風を切ってお馬さんと一体となって走っていたからこのスピードはわかる。わかるが納得いかん!違うのだ!常識から言えるであろう手綱に一切触れずに馬に乗ると言う異常行動ともいうべきこの事態。これは違う違うと脳が拒否しまくっている。いや、…躰全体が頑なに拒んでいるのだ。この現実を。
この男よりにもよって、正しい騎乗の仕方習わなかったんかい!?
お前はどこぞの暴走族か!?なんで腕組んだ状態で馬乗ってやがる。何ですか?この世界じゃ常識で私が普段やっているのは嘘なんですか?
いやいや時代が違えどこの常識が覆られるようなことはあるまい。
ならば、皆馬に乗っている人は、かならず落馬上等!と叫びながらこの動作を行っているということになる。思えば疑問ばかりだ、この世界。
ここは本当に戦国時代なのか?最初からアリエナイ人物ばっかりと出会っていた私。
疑問を抱くのも当然である。
例に出すと最初から寒い場所なのに腹出してる腹筋ムキムキな徳川家康とか、
なんか闇っぽいオーラ出しまくって最近じゃ狂犬っていうか純情なわんこな印象を与えまくる三成さんとか、
全身包帯巻いてるけどお茶の御点前は最高なぷりちー吉継さんとか、
日輪とか言いつつ結局ワープ機能じゃんサイコー!な毛利さんとか、
元の衣装を聞いてみたらいきなり脱ぎ出して上半身裸になって三成さんが発狂しながら斬りかかるという事件にまで発展させた変態度MAXな長曾我部さんとかアリエナイ、アリエナイ。絶対ここは私の世界の歴史上の人物とは違うすぎるような…。
いや絶対そうだわ。って今どうでもいいんだよそんなの……。
クソっこの眼帯男め、ちょっとイイ声だからってなんでも許されると思ったら大間違いだぞ…。えらそうに踏ん反りかえやがって。
私の中でこの男は嫌いな部類に入った。
っていうか、気持ち悪い……。私ってジェットコースターとか絶叫系苦手なんだよ…。
うぅ、駄目だ。私一応ヒロインなのにヒロインだけど胃からイケナイもの大量に吐き出しそうなんだけど。こう色的にいうと、黄色っぽいものが出そうなんだけど。
うげぇぇ。だ、駄目だ…
胃が、胃が破裂するぅぅううううううう!
もたない絶対もたない…お馬さんの上から噴射しちゃうよ…!
でもでもなんかこんな男の前で吐きたくないっ!なんか負けた気がして嫌だ絶対!
だが体はすでに限界。すでに視界はおぼろげ、意識がヤバい…。
そうだ逃げ道一つだけあった。私は最終手段に出た。
それはこの危機的状況を打破する唯一の手段。普段は禁じ手であるが故にもっとも効果的であると言われるあの技を使う時だ。…私は必死に気を落ち着かせそして実行するとしよう。起きたらこの状態よりはまともな事を願って。
「きゅう~」(白目むいた状態で気絶)
『秘儀!現実逃避』
気絶するという高度な技を。
どうか、次に目覚める頃にはマシな環境でありますように。
(絵図ら的に最悪だと思った自分の気絶した顔)
※
そして、天姫が気絶してる間に城主がすっからかん状態となってしまった伊達城。
ここにかの有名な伊達政宗の腹心、片倉小十郎がおりました。
彼は目下不機嫌です。丸わかりなほど不機嫌です。
だから門番は近づきたくなくてめっちゃ離れた所で門番をしておりました。
彼の負のオーラにあてられた日にゃ、生きた心地さえ奪われてしまいそうだから。
先ほどまでいい天気であったと言うのに、今は曇り空。どんよりと薄暗く光がまったく隙いることを許さぬ様に、政宗の身を心配している小十郎の心は荒れ模様。
城主がいなくなって大慌て…なんてことはなくいつもいつも眉間に皺寄せまくりな片倉小十郎がさらに眉間に皺寄せて城門の前で仁王立ちしておりました。そこに馬で疾走してくる己が仕える殿の御姿発見。彼がまず言いたいことは
『毎度毎度同じことを申さなければわからぬ無能な頭を御持ちでしたか?ならばこの小十郎日中夜徹して再度教育させていただきます。よろしいですね。拒否は受け取りませぬから』
でした。が、政宗が「I'm back now! !『今帰ったぜ!』」とまったく反省の色さえないあっけらかんとした態度である物体を馬から抱き下ろす様を見て実際言葉に出てきたのは
「……政宗様、その娘を何処で拾われたのですか…?まさか政宗様に限って誘拐などと賊まがいなことは…!?」
拉致?られ連れてこられたのが気絶する前の本人が言っていた『白目向いた私』なのだが実際はどうであろうか?小十郎はその政宗の腕に抱きかかえられた娘の着ている着物からして貴族の姫の類かと思ったようです。
顔は政宗の胸に寄りかかるようにしているため長い艶やかな黒髪と白い肌と紅い唇しか見えない様子。が、年若い娘であるのは間違いないと判断。
「俺がそんな下らないことすると思ってんのかよ?コイツは山賊に襲われたいたところ助けに入ってやったんだが…Ahー、説明は後だ。喜多を呼べ、世話を任す」
「しかし政宗様っ!」
全て突然起こった変化に小十郎は何か言いようのない不安を感じた。
がそんなもの政宗の知った所ではないとはねつけるかのようにズカズカとその娘を抱いたまま城内へ入っていく。
「……何も、起こらぬと良いのだが…」
誰に言うべくもなく呟き、そしてすぐに政宗の後を追う為足を動かす。
外は、ぽつり、ぽつりと実りに恵みをもたらす雨が降り出した。
が、素直に喜べぬのだ。まるで何かがの予兆を危惧しているかのように。
(これはただの偶然か、それとも仕組まれたことなのか。真意はわからない)