戦国BASARA 勘違い天女とバケツ人魚と   作:サボテンダーイオウ

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海とお宝と黒い魔手と熱い炎

とある鬼ヶ島。そこに海賊の集団が居た。

そこはいつものようにゆっくりとした時間が流れていた。

今の海はいつも以上に穏やかだった。穏やか過ぎて心配になるほど。波はゆっくり寄せては返してを繰り返す。

さて、今日も海賊は獲物から金品を巻き上げ本拠地の穴蔵へと戻ってきた。

お宝をさっそく本拠地の一番隠しへ。

それから船へ戻り皆々各自勝手に動いてく。

その海賊らを束ねる存在の御頭、長曾我部元親(ちょうそかべもとちか)はある噂を部下から聞いて声をはりあげました。

 

「海岸端に人魚が出たぁ?何フザケタことを抜かしてやがる。人魚なんぞ伝説の生き物だろうが。こんなくそ暑い日に出るわけないだろ馬鹿クセェ」

 

「いやいや、アニキ嘘じゃないでさぁ。あの第五天魔王が人魚を連れて歩いていると噂でっせ」

 

「人魚が歩くぅ?人魚は尾ひれだから歩くわけないだろ。お前この暑さに頭やられて馬鹿になったのか?」

 

「いやいやいやいや、アニキ頭がカテェなぁ。なんとその人魚、人間の足を持っていてそれで歩いていると噂なんですよ」

 

「気持ち悪すぎるだろ。胴体は魚で足は人間で顔は女ってか。どんな怪物だよそれ!」

 

「まぁ、第五天魔王が連れているくらいですからきっと愛玩動物なんでしょうよ」

 

「はん。大体噂だろ。野郎どもよぉ、少し鵜呑みにし過ぎだぜ」

 

「いやいや、アニキィ。曰く、俺の仲間がその人魚見たとか見てないとか」

 

そう噂を持ってきた奴が、面白そうにまた新たな噂を言いだすと周りの者がもっと聞きてぇみたいな雰囲気を出す。

元親は部下共がその話に盛り上がって今行っている作業がおろそかになり、

 

「野郎ども!いい加減に人魚の話やめねぇと碇をテメェらにぶっ刺すぞ!さっさと仕事に戻れ!」

 

腹からの怒声が響く。本当に碇を片手に今すぐぶっ刺そうとする体勢をとっている。部下たちは一斉に姿勢を正し、

 

『合点承知でぃアニキィィイイイ!』

 

と叫んで散り散りに持ち場へ戻った。というか逃げた。

 

「たく、人魚なんかいるわきゃないだろ」

 

そう碇を担ぎなおして自分も戻ろうかとした時、

 

「アニキィイィイイイイ、賊が賊が俺らの本拠地に侵入しやがやったぁっぁああああ!」

 

仲間の一人が真っ青になって飛び込んできたのだった。

さて、賊が侵入したという海賊が住む鬼ヶ島。しかし賊と言っても実は二人しかいなかった。

その二人と言うのはあるくるくる茶髪の十二歳くらいのバケツを手にした女の子と、影がある日本人形みたいな綺麗な女性である。女の子の名は狗楽。噂の人魚。

女性はお市。噂の第五天魔王。そうこの二人が鬼ヶ島にいたのだ。

 

どうやってここまで来たかと言うとお市の黒い魔手にグワシッ!と握りしめられて運ばれてきた。

お市が途中疲れたと言うのでたまたま通りかかった島がありただそこへ居合わせただけ。休憩に来ただけ。

それがここに着いてひとまず休んでいたところぐるりと見渡してなんか鮫かクジラみたいなでっかい剥製がかかる穴蔵みたいな汚いものを発見したので、狗楽とお市と共に探検のノリで入ったのだ。二人の探検は順調だった。

 

変な魚みたいなキモくでっかいからくりを魔手が破壊し中をくぐればトゲトゲしくぐるぐるまわる変な仕掛けをお市の魔手が難なく破壊し尽くし、まどろっこしいくらいに入り組む道を、「ファイガ」で狗楽が爆破させながら道なき道をつくって進み、変なモグラみたいな狂暴なからくりを狗楽の「フレアッ!」という一声で燃やし尽くし奥へ奥へどんどん進んで進んで。

最後にでっかい黒い扉みたいな難攻不落の扉を「ブリザガ!」と凍らせてから、「ファイガ!」と爆破し開けた。そして開けた先に金ぴか財宝ざくっざっくたんまりの宝の山が!

 

「あ、お宝だ。ならこれ当分資金困らなくね?やったねラッキー」

 

「人魚さん喜んでくれた……。市、嬉しい」

 

互いに喜びを共有しあいながら換金できそうな金目の物を物色しつつ荷を纏めていると、

 

「ああ、頭が自慢していた難攻不落の門がねぇぇぇぇええええええ!」

 

「なんだ、俺らの住まいが滅茶苦茶じゃねーか!どうなってやがる!」

 

「おい、からくりが全部粉砕されてんぞ!」

 

「俺の俺のからくりちゃんがぁぁぁああああああ!」

 

「泣くな俺だって昨日手入れしたばっかりの物が跡形もなく破壊されたんだぞ!っくそ人でなしがぁぁぁあああああ!」

 

がやがやと煩い男の野太い声がそれは近づいてくる。狗楽は動かした手を止めた。

 

「人魚さん、どうしたの?」

 

「え、よくわかんないけど暑苦しい集団がこっちに接近中。キモ警報発令中発令中!」

 

「人魚さん顔色悪いし何いってるかわからない……市どうしたらいい?どうしたらいいの……」

 

お市は頭を抱えて蹲ってしまった。

 

「ああ、市さん泣かないでよ。大丈夫だよ、キモ警報発令はあくまで発令だから。ムサ男共拒絶反応がでただけだから。倒せばいいから」

 

そんなことを言っている間に集団がやってきた。

 

「あ、俺らのお宝が!」

 

「このくそ餓鬼、何このどさくさに紛れて盗み働いてやがる!お前の両親なくぞ!わめくぞ!?家出てけって追い出されるぞっ!?」

 

「家の親父は馬鹿だから逆にお前らが殺されるぞ、なんせ戦闘狂だから。それに家出ていくなんて言った日には大泣きして足元に縋りつかれたわ。俺を置いて出ていくなって。まるでヒモ男の発言ぽいなって思ったよ」(狗楽)

 

「くっそ俺らの住まいをめちゃくちゃにして、あげくにその隙にこんな子供と女に盗みさせるなんて、卑劣な賊め!」

 

「わたしが賊ならお前は下等生物だ」(狗楽)

 

「おい、頭をいないが子供と女だ!仲間が戻ってこないうちに人質として捕獲しろ!」

 

「逆にお前ら人質にして金巻き上げてやる、アレ?さっきからわたしの方が賊っぽい?」(狗楽)

 

なんていう間に囲まれた。狗楽は困った顔で、

 

「あー、乱暴したくないんだけど……」

 

と言いつつも応戦するつもりの狗楽の前に市がズズッと出た。

 

「人魚さんに卑猥なことしないで!」

 

と、黒い魔手を発動させる。

 

『は?』

 

と集団が言う間にあたりは闇に覆われ覆われ覆われ覆われ、

 

『ギャァアアアアアアアアアア!!』

 

集団は足元からずぶずぶと黒い手に次々とひっ掴まれ沈んでいった。

 

「はれ?」

 

そして鬼ヶ島にいた鬼は誰もいなくなった。お宝をごっそり黒い布に入れ背負い鬼ヶ島を後にした。狗楽は海で魔手に握られる中、移動する最中にこう聞いた。

 

「市さん」

 

「何?人魚さん」

 

「消えたあの人たちってもう出てこないの?」

 

「人魚さんに酷い事をしようとした鬼?どうして?」

 

「いや、気になるじゃん。もしかしてずっと闇の中で蠢いてるの?」

 

「ううん、市にはわかる。アレは天から降るの」

 

そう言ってお市は頭上を見上げた。狗楽もつられて青い空を見上げる。

うん、快晴ですね。

 

「天、から?」

 

「天から」

 

「天、から……」

 

「そう、天から」

 

狗楽はいまいち理解できずにいたがあっさりと納得した。

 

「……まぁ、無事ならいいや」

 

「よくわからないけど人魚さんが喜んでくれてる。市、嬉しい」

 

そんなこんな会話をしながらお市と狗楽は海上を魔手によって移動するのだった。

シュールである。もし島民が目にしたのなら三日三晩魘されるであろう。

そして当の鬼ヶ島に元親が駆けつけると、

 

「なんだこれ、滅茶苦茶じゃねーか!」

 

そう文字通り滅茶苦茶。皆粉砕されたり破壊され爆破したようなすすけた後などとりあえず悲惨だった。そして、仲間がいないか捜し回り、

 

「どういうことだ……?!仲間までいないぞ!」

 

そう確かに先ほどまでいた形跡はあるのに誰ひとりとしていないのだ。

 

そこに、

 

「人魚だ!人魚の仕業だ!人魚の怒りだ!!噂の通りだ!」

 

と悲鳴を上げてがたがたと隅に震える部下の一人が。わっとその人物に振り返れば、

 

「俺が、今日海に食った魚の骨を捨てちまったから!噂なんて信じなかったから、こうなったんだ!そんなことで人魚の怒りを買うなんて!」

 

と青い顔してむせび泣き出した。そうすると一人が、

 

「お、俺だって。俺だって今日……食い終わった骨付きの肉の骨を海に投げ捨てちまったよ……」

 

と言いだし次々に俺も。それがしも。いや、実は……。と爆発的に広がりそのうち集団で泣き出した。男たちの暑苦しく仲間を想って自分を責め悔んでむせび泣く。

その光景、暑苦しいったらありゃしねぇ。元親はいつもの事なので気にしないどころか彼も、

 

「くそ、俺だって……駄目になった道具を海に……。なんで人魚を信じなかったんだ。信じていればこうなことには!」

 

とくっといって男泣き。部下たちは、うわぁぁぁあああああ!と肩を組んで大合唱で泣いていた時、頭上に黒い闇が出現。

 

「?」

 

元親が気づいて上を見上げた時。

 

どさどさどっさ!

 

と鬼ヶ島を留守にしていたあの消えた仲間たちが降ってきた。

 

「はあ?!」

 

驚く元親をよそに闇は仲間を降らせに降らして最後ブッと吐き出すように一人を飛ばし壁に叩きつけてから消えた。跡形もないように仲間は全員もとに戻った。

唖然とする元親、以下仲間一同。ただこの理解不能な光景に立ち尽くしたという。

 

さて人魚さんと第五天魔王は何処を目指すのか?それは今の所誰にもわからない…。

かの天女さえも予想できないのだ。なぜなら人魚の事さえ知らないんだから。

 

 

天姫side

 

いかついおっさんから『殿』、三成さんの部下の人からも『殿!』私の世話をしてくれてる城仕えしてるおねーさんにも『殿、せっかく女子(おなご)になりあそばしたなら女子の格好をせなばいけませんわ!』とずしっと重くなるようなごっつ高そうな着物を何度も

着せ替えさせられ途中で嫌になって三成さんの名前を小声で口にしてみれば駿足の速さで襖がバッと開き

 

「天姫様ァァァァアアア!ご無事にございますかァァァアアアアアアア!」

 

とメッチャ怖い顔して叫びながら刀もって現れた時はアンタ、どんだけ耳がいいんだよと思った。

別に呼んだだけだから、となんとかごまかしたけど本人の目が獲物を求める狩人みたいな感じがして私、着いていく人間違えたかなと後悔したわ。

着替え手伝ってくれたおねーさんを斬り殺しテェ!と言わんばかりに睨んで殺気を放ってました。

 

何が貴方の中で駆り立てられてるんだ!?

 

さて、そんなハチャメチャな日々を数回繰り返し、どうにも胡散臭い大谷さんと和やかな会話をしてお茶一緒に飲んでまったりとした時間を過ごしていたんだけど、いい加減愛しの狗楽を捜しにいきたいなと不満たらたら言うたら三成さんが超絶にイイ顔していかにも『待ってました!』って感じに無理やり連れてこられたのが今の場所。

 

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