「まずは自己紹介からさせてください」
そうして、來斗達を部室から出した男子生徒は前へ出た。
「部活動紹介で見たと思いますが、
深々とした綺麗なお辞儀。スッと頭を上げると、隠れていた前髪が一瞬見えた。青髪とにこやかな表情の上に乗っているそばかすが特徴的だ。
「まずは部員の紹介です。3年生から簡単に」
そう言って一歩下がった彩雲に代わって、隣に居た儚げな少女が前へ出る。
「マネージャーの
ショートカットで大人な雰囲気を感じるが、顔のパーツだけを比べるのであれば知夏よりも幼く感じる。
「
金色の垂れ下がった長い前髪と、首にかけた赤いヘッドバンドが印象的。來斗と同じ切長の目とギザ歯が、標的を噛みちぎる荒々しい野生動物を彷彿とさせる。彩雲と花氷の丁度間くらいの身長が、少し小柄な肉食獣にも結びつけられそうだ。
「……
麻呂眉とうなじが隠れるまで伸びた長髪。何を考えているのか分からないこの仏頂面は、まるでチベットスナギツネだ。
「
パーマのかかった青髪センターパート。他の3年生選手と比べると細身に見える。大きい瞳と遠目でも分かる睫毛の長さは女子が羨むこと間違い無し。
「
首の後ろで纏めるほど長く伸びた緑髪と猫背が特徴的。欠伸混じりのお辞儀で3年生の自己紹介は終了となった。
「ちょっと細かい話をするね。他校からの評判……というか異名? なんだけど、まず、この枕狐はウチのエースストライカーで、東海の炎のエースストライカーなんて呼ばれてます」
炎のエースストライカーという単語に小金と來斗は強く反応するが、当の本人は全く気にも留めていない。炎のエースストライカーと言えば、フットボールフロンティア前年度、前前年度優勝の雷門中サッカー部のエースストライカーの豪炎寺修也の異名だ。
「そして
「俺のは風神サマのお零れだけどな」
焦心混じりの溜息が鳴上から零れる。
「まあまあ……じゃあ次は2年生、こんな感じでよろしく」
そうして彩雲は右手で芦賀に振った。
「はい!
「拙者、
「
「
一見すると不良かのような二人組。來斗は入学式の日に出会った二人組を重ねていた。しかし彼らからを見ていても悪辣なんて言葉は出てこない。寧ろバカ。サッカーバカという言葉の方がお似合いだ。
「ホントはあと1人いるんだけど、今はケガで入院中なのでまた復帰してからで……今いる4人は中学からサッカーを始めて、ルールを覚えたのも入部してからなんだよね」
さて、と一息ついた彩雲は正面にいる新入生に目を向けた。
「それでは新入生諸君。名前、クラス、サッカー経験の有無と有った人はポジション、あと入部を決めてるのか、とりあえず体験入部に来たのかを教えてください。姫ちゃんがメモを録るけど気にしないで」
その言葉を待っていたかのように、花氷は鳴上に持たせていたバインダーと筆記用具を預かりメモを録る体勢に入った。
「まずはメガネの君から」
「はい!
「DF希望か。日車、角威、優しく指導してやってくれ」
「「押忍!!!」」
音圧に知夏は驚くが、小金は気にせず頭を深々と下げる。
「姫ちゃん、何かある?」
花氷からの目線に気付いた彩雲は、彼女に話を振った。
「うん。小金君、筋トレ等の基礎トレは練習以外でもやってる?」
「はい、部活でやってた基礎トレは家で毎日やってます」
「ふぅん……わかった。ありがとう」
質問を終えた花氷は再度メモ用紙と向き合う。
「うん。それじゃあ次」
「うい。
「なるほど、体幹は強そうだね。体格もいいし、獅子丸よりも背が高そうだ。ルールはこれから覚えてこう。それじゃあ次」
「はい! 1年B組
「マネージャーは丁度人手が足りてなかったからね」
「そうね。入部してくれるとウチとしては助かる。知夏ちゃん、待ってるよ」
仄かに上がった口角は、まさしく美少女というのだろう。自分の頬が熱くなってることを知夏は自覚していた。
「それじゃあ次」
「はい!!
「穂焔君、有名だよね。テレビで見たことあるよ。まさか名久里藍に来るとは思ってなかった。期待してます」
「あざっす!!」
「元気があってよろしい。それじゃあ最後」
「はい。1年A組の
「マネージャーが入ってきてくれるなら助かるよ。ぜひ入部してほしいな」
花氷のペンを動かす手が止まり、彩雲に目をやる。
「じゃあここからは名久里藍中の
「……はい。それではここからはウチが仕切らせてもらいます」
雰囲気が一変。朗らかだった花氷の雰囲気が、豪雪の過ぎ去った夜明けのような艶やかさを出す。
「まずはマネージャー希望の2人、知夏ちゃんには申し訳ないけど、マニュアルがあるので読み込んでおいてほしいです。不明点は彩雲に聞いたら教えてくれます」
ふうっと一息ついて、そして、と続ける。
「そして選手希望の3人。一年生でチームを組んで、入部後を見越した4vs4の簡単なミニゲームをしてもらいます」