フェニックス系神美少女と会って人生捨てるまで。 作:ラーのよくしんりょく
なにかに疑問を持ったとき。好奇心のままに行動するとき。この上ない芸術を鑑賞したとき。
誰かを好きになったとき。激しい熱意をもったとき。
ちょっとしたきっかけで、人は変われる。それで人生を捨ててしまった哀れな話だ。
俺は旅人として西の廃墟を巡っていた。4年前の戦争の中で壊されたあとは誰も訪れないような、それくらいには荒廃していた廃墟ばかりをだ。
そのうちの一つであった古城もそうだった。町が近くにないような古城があるところに、一人だけなら1ヶ月いれるような食料を持ってだ。
「修復されたなんて聞いてないんだがな…」
訪れる前の情報では、自軍の大砲によって内側から壊された古城とのこと。しかし見る限りには戦争に使われてそうもない古城であった。ところどころに現代セメントや新しいとわかる石材が使われている。
どんな物好きがこの城を手入れしたのか。好奇心のまま中に入る。
「なんか目的がよくわからないな…いや、そもそも適当に修復したのか?」
城の中は枯れ葉が落ちても手入れがされていないくせに、お金やらの盗賊がいたような形跡もない。あるのは誰かが生活していた跡である生肉などの食料…それらも既に腐っており長い間誰も訪れていなかったようだ。なおさらわけのわからないまま、中に進んでいく。
「…黒魔術か」
俺が見つけたのは燃えた形跡のある巨大な魔法陣だった。…この規模は一人ではできない。魔女狩りやらなんやらがうるさい世の中になっていたが組織だててやる形式もあったのか。となるとここにとどまり続けるのは魔法やらがくるかもしれないしよくないのか?
変に興奮してる自分を抑えつつ、冷静に周囲を観察する。
「いや、わざわざ食料まで放置されてるなら…よかった、資料も残ってたか」
腐った食料の部屋に置いてあった羊皮紙をみる。事細かに儀式の詳細を書いてあるものや何をやろうとしていたのか、更には加担していた人物も書いてあった。処分することもできないくらいにはイレギュラーがでてきたのだろう。
「ふぅん、神の降臨?玉座で…これ失敗してよかったな…」
読み上げたところ、要するに『太陽をファラオに見立てて神を降臨させること』をするために3年も儀式の準備を進めていた。その一巻としてこの城を修復して処女の奴隷を監禁していたらしい。
儀式について詳しく魔法陣との検証をするために片手に持ち、もう一度間違っていないかをみにいく。
「眩しいな…上だけわざと修理してなかったのかよ。…というか大砲をここから撃つバカもいたんだな」
魔法陣が書かれていた城の玉座、だった場所を見上げる。明らかに焦げた跡もあり、天井からは空が見えていた。どう考えても連中は全滅した。このタイプは周囲から魔力を
「だから慎重を期したらしいけれどこのザマじゃあ…」
確認してみたけれど、羊皮紙に書いてある魔法陣と殆ど一致している。魔法陣の外にところどころある黒い灰は魔女たちで間違いないだろう。つまり点の数で死んだ人数がわかるってことか。
一つ一つ確認していくと、おかしなことに気がついた。
「人数が合わない?」
もう一度資料を確認しても人数が合わない。違和感がある以上、しっかりと確認するのも大切だろう。それに生け贄の位置の灰だけが過剰なのもわからない。一人の灰の量はそこにあるし、資料をみてもその位置には一人だけである。
…古城巡りなんてするんじゃなかったな。気味の悪い出来事には会いたくなかったのに。
結局その日に違和感の正体は見つかることもなく、中で寒さを凌ぐことになった。外はもう暗く、綺麗な湧き水がでるところがここしかなかったのも後を押した。
「この季節だし、寒くなってもおかしくないのにな」
この城を改装するぐらいには籠りきりだったのだろうか。そう考えながら異国の茶を飲み、心を落ちつかせる。本音を言えば他の部屋も見てみたいところだったが、城全体に魔法で罠を仕掛けられていたらと考えると怖くて動けない。
なんせ最低でも1年間は機能している魔法があるのだ。他の魔法もそれくらいかかっていてもおかしくはない。
「そういや、城のどこにこんな作動する魔法陣を作ったんだろうか?」
それとも単純に誰かが勝手にしたのだろうか。気になることはどんな小さいことでも知っておいて損はないだろう。ちらりとみた資料に目を通すと、おかしな一文が。
『この城内では一切の乱れをなくすために魔法陣を禁止する』
「でも今は暖かいし…誰か住んでるのかね?」
ううむ、それならあの惨状は片付けるだろうし余計に気になってきたぞ。今からでも見に行きたい衝動をぐっと堪え、明日の為に寝る。
「…お客さん?」
人生を変える少女に見つめられたことには気づけなかった。