「俺はアンビシャス。エルフのアンビシャス。お前達人間を削除する仮面ライダーだ」
静かなる殺意を滾らせて、仮面ライダーに変身したアンビシャスが戦闘態勢に入る。
対峙しているのはヴァリアブルとマルティプルワーカー達。アンビシャスの放つプレッシャーに気圧される。
「フッ!」
先に動いたのはアンビシャス。右手に装着されたガントレットから赤いエネルギー状のニードルが放たれる。それは一直線にマルティプルワーカーの一人に向かっていく。
「うわあっ!?」
ニードルは左肩に突き刺さった。勢いに負けよろめくマルティプルワーカー。変身が解け、地面を転がる。
「全員、避けろ!」
だが、狼狽えてる暇はない。ニードルは連続で放たれる。そして、次々と周囲の仲間達に突き刺さった。ある者は足に、ある者は肩に。次々と突き刺さっては当たりどころが悪い者から変身が解けていく。
「くっ!」
それはヴァリアブルも例外ではない。避けきれず左腕で庇う。ニードルが装甲に突き刺さると色を失い褪せていく。
「!? 何だこれ?」
疑問に思ったのも束の間。左腕の動きが鈍い。上手く動かせなくなった。
『大変です、ソート! 左腕の機能が低下してます!!』
「
そう呟くヴァリアブルへアンビシャスが目前に迫っていた。勢い良く拳が振るわれる。
「ちっ!」
悪態をつきながら右手で受け止める。だが、続け様に振るわれた蹴りには対応出来なかった。鳩尾に突き刺さる。諸に食らいヴァリアブルが地面を転がる。
「させるか!」
<アンテックライフル!>
これ以上の追撃は許さないとばかりに心護がワークライザーを操作。アンテックライフルを呼び出し射撃する。銃弾がアンビシャスを襲う。
「ふん」
彼は巧みなバックステップでそれを避わすと、心護目掛けてニードルを発射。赤い針が心護の元へ。だが、そこへ人影が割り込む。ヴァリアブルだ。右手でニードルを受け止めた。その途端に色褪せ手がだらりと垂れ下がる。
「伝導!」
『戎さん。防御お願いします』
「!? 分かった!」
<アンテックシールド!>
トワルの呼びかけにアンテックシールドを呼び出して対応。ヴァリアブルを庇うように前に出る。
「一……二……三……」
ヴァリアブルはと言うと片膝立ちの体勢で静かに数を数え始めた。その間にもニードルの射撃は続く。心護はシールドで必死に防ぐ。
「くっ!」
「四……五!」
その瞬間、ヴァリアブルの腕の不調が消える。スムーズに体を動かせるようになった。ゆっくりと立ち上がり、アンビシャスを見据える。
「なるほどな。五秒間限定のスタンって訳か」
「知った所で意味は無い」
アンビシャスのが距離を詰めてきた。最優先はヴァリアブル。心護を無視して迫る。対するヴァリアブルは至って冷静。
「トワル!」
『はい! ルート展開します』
ヴァリアブルの視界に複数のルートが出現。右に回り込んでからの蹴り。左に回り込んで死角から裏拳。跳躍からのヴァリアブラスターでの斬撃。
今回選択したのは右に回り込んでからの蹴り。ヴァリアブルはすぐさま動き出す。
「おりゃぁ!」
「甘い。その動きは予測出来ている」
しかし、アンビシャスはそれを読んでいた。ヴァリアブルの蹴りを片手で受け止める。そのまま足を掴み投げ飛ばした。地面に叩きつけられるヴァリアブル。その隙にアンビシャスがニードルを発射する。
「ぐっ!」
ニードルが右足に着弾。スタンが発動した。ヴァリアブルの動きが鈍る。
「伝導!」
「お前もだ」
駆け寄ろうとする心護の胴にニードルが突き刺さる。たちまち動きが鈍り膝をつく。
「こんのぉ!」
ヴァリアブラスターで射撃。しかし、その一撃はあまりにも苦し紛れ。簡単に躱されてしまう。筈だった。
「ちっ……」
アンビシャスはその場を動かず両腕を交差させてガードする。
「!? 動かない?」
『ソート。位置を良く見てください!』
訝しむ創斗へトワルが示す。アンビシャスの後ろにはエフェクトがいた。先程の戦闘の影響か座り込んでいる。アンビシャスが攻撃を躱してしまえば弾丸はエフェクトを射抜くだろう。
「まさかエフェクトを庇ってる?」
『どうやらそのようです。……あまり気乗りはしませんが致し方ありません。ルート展開!』
ヴァリアブルの視界に新たなルートが示される。スタンは既に消えている。ヴァリアブルが駆け出した。
「ハァッ!」
ヴァリアブラスターを連射しながら距離を詰める。その攻撃をアンビシャスは避けられない。射線上にエフェクトがいるのだから。
「人間め!」
憤怒を滾らせ、アンビシャスが忌々しげに言う。ニードルを連射して相殺すると立ち込める黒煙。その中をアンビシャスが突っ切る。両者の距離は既に攻撃圏内にあった。
「それを待っていた!」
<アクセス!>
ベルトを操作して必殺技の準備。エネルギーが足に集約されていく。
「それはこちらの台詞だ」
<フィニッシュ!>
対するアンビシャスも必殺技で応戦。右手に赤いエネルギーを宿していく。
<スパイダー!>
<ヴァリアビリティストライク!!>
<ビー!>
<シャットダウンシグナル!!>
ヴァリアブルの蹴りとアンビシャスの拳が激突。威力は互角。周囲に衝撃波を奔らせながら両者共に後方へ吹っ飛ぶ。
「きゃあ!」
「エフェクト!!」
衝撃波に巻き込まれ、エフェクトの体が地面を転がった。それに気付いたアンビシャスがすぐさま駆け寄る。そして、エフェクトとヴァリアブル達を交互に見る。ヴァリアブルの傍らには体勢を整えたマルティプルワーカー達が控えていた。
「……引くぞ」
アンビシャスが周囲にニードルを発射。ヴァリアブル達は反射的に防御姿勢を取る。
「逃げられたか……」
防御姿勢を解くと目の前には二人の姿は無かった。ヴァリアブルの耳には徐々に近づいてくる救急車のサイレン音が届いていた。
D.A.T.A基地の一階には医療施設が存在する。その規模は一般的な病院と同等のもの。入り口の扉をスライドさせて、トワルと心護、玲が入室する。途端に現れるのは真っ白な病室。ベッドの上には真名子がおり、上体を起こして窓から外を眺めていた。
「真名子、無事か?」
開口一番心護が問う。
「えぇ、軽い打撲です」
「そうか。良かった」
その言葉を聞いて、彼はほっとしたように胸を撫で下ろす。トワルや玲も安心した顔をしている。しかし、真名子の表情は暗い。
「ただ……」
「ただ?」
彼女が取り出したのは携帯。正確には携帯に付けられているホワイトタイガーのストラップ。尻尾の部分が付け根から欠けていた。
「倒れ込んだ拍子に壊しちゃったみたいで……」
「そのストラップは何ですか?」
トワルが尋ねる。
「以前お話したと思いますが、昔に私は大事故に巻き込まれて意識不明の重体になりました」
真名子が自らの頭を撫でた。彼女の瞳はどこか懐かしそうに揺れている。
「いつ目覚めるとも分からない中、兄さん達家族の献身とお医者さんの努力のおかげで奇跡的に目を覚ます事が出来たんです。これは退院後に兄さんがくれた大切な物なんです」
真名子はストラップを両手でしっかりと抱え込む。その様子にトワルは優しく微笑んだ。
「思い出の品なんですね」
「はい。私の宝物です」
笑顔を見せる真名子。傍らで心護が照れくさそうに頬を掻いている。
「それで兄さん? 他の被害はどうだったんですか?」
話を戻して真名子が真剣な顔で聞く。彼女は言葉に一同の表情に陰りが浮かぶ。
「重軽傷合わせて十一名。……殉職者八名」
「っ……そんなに……」
被害の多さに真名子が声を詰まらせる。
「全員狐坂が変身した怪人に殺られた」
「そうですか……」
「だからこそ奴を必ず捕まえる。それをあいつらへの弔いにする」
「心護……」
心護が腕に身に付けたワークライザーを見る。それを玲と真名子が心配そうに見つめていた。心護は怒りを堪えた顔で病室を後にする。そして、しばらく歩くと壁を殴りつける。
「絶対に……俺が……」
捕まえてみせる。壁に打ち付けた拳をさらに握りしめ、心護が覚悟を決めた。
翌日。エレクトロ伝導の店内に創斗はいた。目の前の作業机の上には丸型の横にグリップとスイッチが付いた装置。とは言えまだ試作段階。所々配線が剥き出しになっている。創斗は真剣な表情で黙々と作業を続ける。
「ソート、少し休憩したらどうですか? 働き詰めは体に悪いですよ」
トワルがコーヒーの入ったカップを机に置く。
「そうだな。一区切り付いたし休むか」
軽く伸びをする創斗。首をぐりぐりと回す度に音が鳴る。ずっと作業していたせい体が凝っていた。
「おっす! 元気か、創斗!!」
店内に入ってきたのは錬児だった。彼は真っすぐに向かってくるとカウンターに肘を乗っけて作業机を覗き込んでくる。
「なにそれ? 新しい発明品?」
「……まぁ、似たようなもんだ」
「トワルちゃんも元気だった?」
「えぇ。錬児さんもお変わり無いようで」
錬児はいつも通り元気いっぱいの平常運転の様子。体を起こすと店内を見渡す。
「にしても。久しぶりにここに来たなぁ〜。ここ最近休業続きだったじゃん」
「あー……色々あってな」
まさかD.A.T.Aと手を組んだなんて言うわけにもいかない。創斗は適当に言葉を濁す。
「知ってるか? なんかこの近くで脱獄犯が潜伏してたんだってよ。しかもそいつ爆弾まで持ってたとか」
知っているも何も事件の当事者である。なんなら潜伏先はすぐ向かいだった。だがその事を言うわけにはいかない。我ながら隠し事が多いなと思いながら創斗はごまかす。
「へー。そうだったのかー。知らなかったわー」
「何でそんなに棒読み?」
「まぁそれは置いておいてだ。今日はどうした?」
「あぁ、それな。実はその事件の前にさ、この店に女の子が来てたんだよね。ゴシックドレスの」
(ゴシックドレス? まさか!?)
思い浮かんだのはエフェクトだった。あの時期のアーシリーコードはヴァリアブルの正体を探っていた。ならばここを訪れても不思議では無い。創斗の顔が少し険しくなった。
「その子がヤバい奴らに絡まれて、偶々通りかかったから助けたんだよね〜。いや~、あの子可愛かったなぁ〜」
「助けたってお前戦えたっけ?」
「全然! 生まれて此の方一度も喧嘩したこと無い!」
そう言って貧弱な力こぶを見せつける。何故かドヤ顔だ。
「じゃあどうしたんだよ?」
「あっ、お巡りさん! って言って一緒に逃げた!」
「そうか……。って、一緒に逃げた!?」
「おう! 少し遠くの公園まで。最初ちょっと戸惑ってたけど何か良い感じに別れたぜ。あ、そういや名前聞くの忘れてたな〜」
(円満に別れた……? って事はエフェクトじゃない?)
全人間の削除を目論んでいるエルフが人間を見逃すとは思えない。と言う事は野生のゴシックドレス女子だったのかも知れない。創斗はそう結論付けるのだった。
「ってヤバ! もうこんな時間じゃん! バイト行かなきゃ!!」
時計を見た錬児が叫ぶ。バックからスマートウォッチを取り出すと創斗に手渡す。
「お金は後で払うから直しといて! アディオス!!」
そう言い残して勢い良く店内から出ていった。店の中は嵐が過ぎ去ったように静まり返る。二人はほぼ同時に見つめ合う。何故か気まずい雰囲気が漂い始める。
「そろそろ休憩終了でいいか?」
「良いと思いますよ?」
「だよな! そう……だよな!!」
気を取り直すとスマートウォッチの修復に取り掛かる創斗。
その時、入り口の扉が開く。
「いらっしゃ……」
そう言おうとした口が途中で止まる。入店してきたのは狐目の男。
「狐坂……周……!?」
創斗は思わず立ち上がる。そして警戒するように険しい顔付きで睨む。トワルも創斗の隣に立ち、ヴァリアブルドライバーに触れる。
「そんな怖い顔せんでもええんちゃう? まぁ、安心してええよ。今日は取引しに来ただけやから」
「取引?」
「せやせや」
そう言って狐坂は店内を物色し始めた。家電のボタンを押してみたり、キーホルダー等のアクセサリーを物珍しそうに見つめたりしている。
「うち、アーシリーコードを抜けたいねん。全人類削除とか普通に怖いやん」
「はぁ!?」
「せやから手を貸してくれへん? 県外に逃がしてくれるだけでええから」
そしてこれが本命とばかりに身を乗り出し、創斗の耳元で囁くように口を開く。
「勿論。タダでとは言わへんよ。もし引き受けてくれるんなら、アーシリーコードのアジトの場所を教えたる」
「なっ!?」
目を見開き狐坂を見る。正直に言えば喉から手が出る程欲しい。だが、
「一つ聞かせろ。お前は何で人を殺す」
「おもろいからや」
ニヤリと口元に弧を描き狐坂は笑う。狐目を限界まで見開くその形相は狂気そのもの。ゾッと創斗の背に寒気が走る。
「何故うちが!? って感じで絶望して死んでいく。その顔を見るのがたまらなくおもろいねん」
仰々しく両手を広げ、踊るように一回転。遂には鼻歌を歌い始める狐坂。
「せやから殺す。……最近はエルフにも興味があってな。そこの娘も殺したらおもろい顔してくれるんかな?」
舐めるような視線をトワルに送る。創斗は彼女を庇うように前に出た。そして、言う。
「そうか。よく分かったよ」
鋭い目付きで狐坂を睨む創斗。唇を噛み締め怒りを露わにした。
「なら取引は無しだ。たとえどんなに欲しい情報だったとしてもお前みたいな奴を野放しになんか出来ない! だから絶対にお前と取引なんてしない!!」
創斗は力強く言い切る。対する狐坂は笑みを消すと深くため息を吐いた。
「さよか……。せやったら仕方あらへんな。プランBと行こか」
<モッドライザー!>
狐坂はモッドライザーを腰に巻く。続いて懐からメモリアライズバッジを取り出した。それは狐のレリーフが刻まれたクリアライトブラウンのメモリアライズバッジ。
<フォックス!>
起動したそれをモッドライザーにセット。途端、ベルトのチューブが頭部と接続され、狐坂の背後にエネルギー状の狐が出現した。妖しいエネルギーが流れ込む。
「うはははは! 電令!!」
痛みすら愉しむように狂気じみた笑みと共に、彼はモッドライザーの横ボタンを押した。
<ハック! クラック! バーサーク!!>
<アーシリーコード:フォックス! ダウンロード!!>
黒のアンダースーツに身を包んだ狐坂の元へバラバラに散らばった狐が装甲となって纏わりつく。後ろには九つの尻尾、前には狐の顔が装着された。七つの青い球体が衛星軌道を描いて彼の周囲を漂う。狐坂がフォックス・モッドへと変身を遂げた。
「トワル!」
「はい!」
<ヴァリアブルドライバー!>
トワルの腰からベルトを外すと自分の腰に巻き付ける。そして取り出したのはスパイダーメモリアライズバッジ。
<スパイダー!>
<スタートアップ・ローディング!>
<スタートアップ・ローディング!>
ベルトにセットした途端、エネルギー状の蜘蛛が出現。ゆっくりと構えを取り、創斗はベルトのグリップを押し込んだ。
「『変身!!」』
<世界を守るライダー! 我らを繋げるスパイダー!!>
<メモリアライズ! バッチグー!>
バラバラになった蜘蛛が装甲として張り付き、二人はヴァリアブルへと変身した。
「取り敢えず外に行くぞ!」
勢い良く駆け出し、フォックス・モッドを連れて店の外へと出る。店の前の駐車場で両者は対峙した。
「ここなら心置きなく戦えるって訳やな」
フォックス・モッドが右手を翳す。呼応するように球体が動き出し、ビームを掃射。ヴァリアブルは横っ飛びで避わす。放たれた攻撃はアスファルトの床を抉り、焦げ後を残した。
「危ねぇ。事前に知ってて良かったな」
以前の戦いでフォックス・モッドと合間見えたD.A.T.A隊員達が残した記録。その情報を受け取っていたのが功を奏した。
「フッ!」
今度はこちらの番。ヴァリアブルは手を翳すとフォックス・モッドへ向けて蜘蛛の巣を発射する。しかし、フォックス・モッドは落ち着いてる。翳した右手から人差し指だけを伸ばし、指揮棒のように躍らせる。呼応した球体がビームで繋がり、透明な障壁となった。蜘蛛の巣は障壁に阻まれ届かない。
「マジか!?」
『どうやらそんな事も出来るみたいですね』
事前に得た情報には無かった。手の内を隠していたか。あるいは使うまでも無かったか。どちらにせよ厄介な防御機能に変わりはない。創斗は仮面の奥で舌打ちをする。
「球体がメインなら攻めるぞ。防御に使ってる間は攻撃に使えない筈だ!」
『了解です。ルートを展開します』
視界に現れる複数の道標。ヴァリアブラスターをブレードモードに変形させて、ヴァリアブルは最適の道を迷わず進む。
「おりゃ!」
死角に潜り込み、剣を振るう。しかし、その一撃は障壁に阻まれた。
「効かへんで?」
「それはどうかな?」
次の瞬間、フォックス・モッドのバランスが崩れた。勢い良く地面に倒される。慌てて足元を見る。すると左足に糸が巻きついてる。
「なるほど。ブレード攻撃は目眩ましか……」
本命はその隙に糸を足に繋ぎ意表を突く事。ヴァリアブルが糸を引っ張る。勢いを付けてジャイアントスイングをする算段だ。だがフォックス・モッドも負けてはいない。球体を巧みに操作してビームを発射。糸を焼き切った。
「ちっ!」
「残念やったな。次はこっちが驚かせる番や」
球体がヴァリアブルを取り囲むように動く。銃口が彼らを捉えた。このままでは四方八方からの攻撃で敗北は必至。しかし、一つだけ抜け道がある。
『ソート。飛んで!』
「おう!」
ビームが発射される寸前、ヴァリアブルが高く跳躍。ビームを回避する。これで危機は免れた。
「と思うやん」
まだ空中にいるはずのヴァリアブルの足が地面に触れる感触を味わう。足元を見ると、ヴァリアブルの足が障壁の上に立っていた。
「まずい!」
「もう遅いで」
慌てて逃げようとするも間に合わなかった。障壁が解除され、ヴァリアブルが空中に投げ出された。そこへ球体が襲いかかる。
<ホーク!>
<空から決めろアタック! 獲物を狙うホーク!!>
<メモリアライズ! バッチグー!>
フォームチェンジを終え、ヴァリアブルが空を飛ぶ。既の所でビームを避わした。
「ふぅ~」
『ソート、後ろ!』
「えっ?」
安堵するも束の間。背中に鈍い衝撃が奔る。フォックス・モッドがナイフを突き立ててきたのだ。そのままヴァリアブルが墜落。地面に叩きつけられた。
「く、くそっ……」
なんとか体を起こすも装甲には傷が入りボロボロの状態。
「こうなったら新作で行く」
取り出したのはクリアグレーのメモリアライズバッジ。それを起動しようとした瞬間、ビームに撃ち抜かれ、バッジが跳ね飛んだ。そして、フォックス・モッドの足元へ転がる。
「しまった!」
フォックス・モッドはバッジを拾い上げると見せつけるように手の中で弄ぶ。
「まぁ、今日はここでお開きにしよか。また明日……せやな、美湯地区の公園で落ち合おうや。それまで改めて良く考えといてな」
そう言ってフォックス・モッドは踵を返す。そして姿が見えなくなると、ヴァリアブルは悔しそうに拳をアスファルトに叩きつけた。
「次は……負けない!」
創斗は仮面の奥で改めて決意を固めるのだった。