仮面ライダーヴァリアブル   作:puls9

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file16 デジタルカルト・アーシリーコード

祭波市のある場所に人影が足を踏み入れる。その正体はアンビシャス。

 

「ようこそおいでくださいました、アンビシャス様」

 

途端に目の前で無数の人々が跪く。アンビシャスはそれを軽蔑の眼差しで見下ろす。

 

「……」

 

視線を人々の後ろへと移す。そこには豪奢な祭壇が建てられたており、その上にタブレット端末が祀られていた。

 

『どうです? 気に入ってくれましたか?』

 

そう声をかけたのはアイ。タブレットの中から通信で話しかけてくる。律儀なアンビシャスは同じように通信で言葉を返す。

 

『何なんだこれは? こいつらは何なんだ?』

『私の信者(・・)ですよ』

『信者?』

 

困惑するアンビシャスにアイが答える。タブレット越しに話しているからか、表情は伺えないが何処となく楽しそうだ。

 

『えぇ。私の大事な駒。私の許可なく傷付けるならばたとえアンビシャスと言えど許さないのでそのつもりで』

 

気持ちを落ち着かせるようにアンビシャスは一度目を閉じる。要するにアンビシャス達に跪く人間達はこちらに従う存在だと言う事。情報の整理を終えたアンビシャスが目を開いた。

 

『……お前は何がしたい? 何が目的だ?』

『知れたことでしょう。全人類の削除。そしてこの世界の実権を握る事。それ以外に何がありますか?』

『こいつらはそれを了承しているのか?』

 

改めて目の前で跪く人間達を見る。その表情からエルフに心酔しているのが見て取れた。

 

『一部は。他は何も知りません。上手く騙して行きましょう。所詮、人間はエルフに劣る下等生物なのですから』

 

そうしてアイはさらに愉快に嗤うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遂に! 出来たー!!!」

 

D.A.T.Aの研究室に歓喜の声が響き渡る。声の主は玲。小躍りする彼女の手には五つのスロットが付いたバックルがあった。

 

「完成♪ 完成♪ マジ完成♪」

「ふわぁ〜。玲、朝っぱらから何のようだ?」

 

その時、あくびをしながら心護が部屋に入ってくる。時刻は早朝、午前六時。まだ眠いのか目を擦っている。

 

<キマイライザー!>

「は?」

 

彼の腰にバックル――キマイライザーが巻かれた。突然の事に目が点になる。

 

「それじゃ、行ってみよう!!」

<レオ!>

 

とても良い笑顔でメモリアライズバッジを起動させる。

 

「いざ、変身!」

「うわぁぁぁぁ!!!」

 

眩い光に包まれて、心護は絶叫する。彼の悲鳴が部屋に木霊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君達はカルトというものを知っているかね?」

 

開口一番、そう口を開いたのはD.A.T.A長官、平 和明。彼の言葉に創斗とトワルを顔を見合わせる。

 

「あ、えーっと。カルト……て言うと、宗教団体の事ですよね?」

 

と、創斗が頭に疑問符を浮かべながら答えた。

 

「より正確に言うと、今現在では反社会的勢力に使われる事が多いようですね」

 

すかさずトワルが補足する。

 

「そうなのか、知らなかった。平さん。それでそのカルトがどうかしたんですか?」

「実はつい先日、政府がある団体をカルトと認定した。その団体の名はアーシリーコード」

「「アーシリーコード!?」」

 

創斗とトワルが驚愕に目を見開いた。

 

「しかもただのカルトじゃない。SNS等で広がったカルト、デジタルカルトだ」

 

和明から話を引き継いだのは心護。何故か髪がボサボサで焼けたような香ばしい匂いをさせているが本人が真剣な表情をしているので創斗達は触れないで置く。

 

「デジタル……カルト」

「この時期に同名の組織が二つ存在するとは考えにくい」

「つまりおれ達がよく知るアーシリーコードがカルト活動をしているって事ですか?」

「それを探る為に君達を呼んだのだ」

 

再び和明が話を引き継いで言った。

 

「既にアポイントメントを取ってある。君達さえ良ければ、戎隊長達と共に彼らに接触してほしい」

 

二人は合点がいったのか頷く。そして代表してトワルが和明の言葉に答えた。

 

「なるほど。分かりました。ところで……」

 

そこで言葉を区切るとトワルは部屋の隅に視線を向ける。釣られて創斗達の視線もそちらへと集中した。視線の先、部屋の片隅には体育座りをしている玲がいた。首からはプラカードをぶら下げている。カードには「アタシは心護を無理矢理変身させました」と書かれており、彼女の頭にはたんこぶが出来ていた。

 

「あれは一体……?」

「あぁ。馬鹿がやらかしただけだ。気にするな」

 

冷めた目つきで玲を見下ろす心護。彼の言葉に玲が激しく反応する。

 

「酷い! 確かにかなり……ちょっと……ほんの少しだけやらかしちゃったけど、これは仕方の無い事だったんだよ!! 何せ遂に完成したんだからね、D.A.T.Aのライダーシステムが!!」

 

テンション高めで懐からキマイライザーを取り出し、見せつける玲。とても良い笑顔をしている。彼女の話に食いついたのは創斗。

 

「おぉ! これがD.A.T.Aのライダーシステム……」

 

感嘆の声を上げて、キマイライザーをまじまじと見つめる。

 

「これって誰が使うんですか?」

「当然心護だね。うちの隊員の中でも一番実力があるし」

「まぁ、その結果、こんなざまにされたんだがな」

 

心護はちりちりになった髪をいじる。

 

「もう〜、謝ったんだから許してよ。ちゃんと調整し直して不具合は無くなったんだからさぁ〜」

「はぁ」

 

ふくれっ面の玲を見て、心護は深くため息を吐いた。

 

「まぁいい。そろそろ向かうぞ」

「それなんだが」

 

和明が話に入ってくる。

 

「もう一人連れて行ってもらいたい者がいる。入ってくれたまえ」

「はっ!」

 

彼の呼びかけに会議室の扉が開く。入室してきたのは二十歳前後の若い女性。短く揃えられた髪と小麦色の肌からスポーティーな印象を受ける。

 

「始めまして! 本日からD.A.T.Aに配属となりました望月 仁美(もちづき ひとみ)っす。よろしくお願いしまっす!!」

 

望月 仁美と名乗った女性が敬礼する。

 

「彼女をですか?」

「彼女は半年前に入隊し、研修の際から優秀な成績を叩き出している期待の新人だ。今後の為に実践での経験を積ませたい。よって彼女にも同行してもらう」

「……そうですか。分かりました」

 

仁美を見て困惑した心護だったが、和明の言葉に納得した。D.A.T.Aは命の危険を伴う職場だ。現場は常に人員を求めている。即戦力になり得るならばしっかりと育てなくてはいけない。心護は仁美に歩み寄る。

 

「D.A.T.A隊長の戎 心護だ。これからよろしく頼む」

「こちらこそよろしくお願いしますっす!」

 

心護が差し出した手を彼女が掴む。固い握手が交わされた。

 

「それでは準備ができ次第向かってくれたまえ」

「「了解!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デジタルカルト、アーシリーコードに向かう道すがら。D.A.T.Aのロゴが入ったバンに揺られるのは創斗とトワル、心護と仁美、四人。玲は別件で泣く泣く研究室へと戻っていった。

バンの中で創斗は携帯で連絡を取っていた。相手は錬児だ。

 

「というわけだから店番頼む」

『おう、分かった!』

 

遊園地での一件以来、二人の関係性は少しだけ変わった。錬児がエレクトロ伝導の従業員になったのだ。有事の際、創斗達が店を空ける必要がある時、錬児が店番をして対応する。これにより、錬児が危ない所に遭遇せず、エレクトロ伝導が突然の休業をせずに済む。まさしく一石二鳥。Win-Winの関係だ。

 

『店の方はオレに任せとけ! 大船に乗ったつもりでさ』

「タイタニックじゃ無い事を祈るぜ」

『創斗、気を付けてな』

「おう」

 

親しい友人との会話となれば自然に笑顔が生まれる。創斗は顔を綻ばせながら通話を切った。

 

「友達っすか?」

 

そう尋ねてきたのは仁美だった。助手席から顔だけを後ろに向けて、人懐っこい笑顔で創斗を見る。

 

「はい。親友兼部下です。と言ってもまだ接客くらいしか任せられないんですけどね」

「ソート。あまり求め過ぎてはいけませんよ。パワハラで訴えられてしまいます」

 

隣に座っているトワルが話に加わってきた。肩を竦め、やれやれと首を振っている。

 

「そうだな。やっぱ、業務資料を事細かに書いて百ページくらいの束にして渡した奴が言うと説得力が違うな」

「なっ!? そ、そんな事無いですよ。あれくらい、普通に覚えられますよ!」

「錬児はお前じゃないんだぞ。普通は覚えられないだろ」

 

創斗は苦笑する。

エルフは情報の塊。一度インプットした事はそうそう忘れない。改めて人間とエルフの違いを認識させられた一件であった。

 

「ははは! こうして見るとエルフって人間とあまり変わらないんすね。言い方は悪いかもしれないっすけど。ちゃんと失敗するみたいっすし」

「……それはそうかもしれませんね。きっと生きてるから失敗するのかも」

 

何かを悟ったようにトワルは儚げに笑う。呆気にとられて、創斗はしばらく彼女の顔を眺めていた。

 

「お前達。そろそろ目的地だ。気を引き締めろよ」

 

運転席に座る心護が声を掛ける。バンは国道を抜けて、左へ曲がる。その先には山へと続いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ようこそおいでくださいました、D.A.T.Aの皆様。私は大神 当郎(おおがみ とうろう)と申します」

 

一行がやってきたのは山奥にある古民家。創斗達を出迎えたのは頭のてっぺんだけが禿げ上がった初老の男性だ。彼はにこやかな笑顔を浮かべている。

 

「ささ、中へどうぞ」

 

進められるがまま建物の中へと誘導され、四人は中へと入っていく。家の中は外観と同じで何の変哲も無い日本の古民家といった感じだった。テーブルがあり、椅子があり、茶の間がある。そして茶の間に入ると一同は目を見張った。部屋に祭壇があり、そこにタブレット端末が鎮座している。あまりにも異質な光景だ。

 

「どうぞお座りください」

 

茶の間に敷かれた座布団を勧められる。茶の間には大神の他に二人の人物がいた。方や大神と同年代の女性。方や年若い青年。四人が座布団に座ると大神も座布団を敷いて座る。両者が向かいあう体勢だ。少し違うのは大神達の後ろには祭壇があり、まるで何らかの加護があるかのように堂々としている。

 

「こちらは家内の蛙子(かこ)。息子の能真(のうま)です。我々一家、全員がアーシリーコードに入信しております」

 

紹介された二人が軽く会釈をする。両者とも真顔だが、よく見ると緊張しているようだった。

 

「そ、そうなんですか」

「さっそくですが、アーシリーコードについて教えていただけますでしょか?」

 

そう切り出したのは心護。表向きはアーシリーコードがカルトか否かの調査と言う事になっている。

 

「お話しいたしましょう。我々、アーシリーコードの理念は電脳生命体、エルフ様による世界の統治。かの方々の手によってこの世界は救われるのです!」

「エルフによる……世界の統治……!?」

 

大神が両手を広げ仰々しく語る。対照的に創斗達は言葉を失っていた。

 

「えぇ、そうですとも。悲しい事ですがこの世界は今なお争い、傷付け合っております。そしてそれは、もはや人間には解決不可能」

 

大神は祭壇の方を振り返る。そこに置かれているタブレット端末を慈しみの眼差しでの見つめていた。

 

「ですがエルフ様ならば違います。人間よりも優れた力を持つかの方々に全てを委ねる事でこの世界は争いの無い素晴らしき世界へと変わるのです」

 

大神はおもむろに立ち上がるとトワルの元へ近づく。そして、彼女の手を両手で包むように握った。

 

「ですからトワル様。どうか我々と共に歩んでは頂けませんか?」

 

彼の言葉に空気が一変した。彼らは既に創斗達の正体に気付いていたのだ。

創斗が手を伸ばそうとするが、手を能真に掴まれる。心護と仁美も動こうとするが、蛙子の手に握られたナイフで動きが止まった。

 

「さぁ、答えをお聞かせください」

 

希望の灯った熱い目線をトワルへ送る大神。全員に視線がトワルへと集中する。彼女は覚悟を決める為に小さく深呼吸をした。

 

「申し訳ありませんが、お断りします」

 

トワルはそっと手を振りほどくと大神を真剣な表情で見る。

 

「貴方が思うほどエルフは凄い存在ではありません。ちゃんと間違えて、ちゃんと失敗するんです。だからきっとエルフだけでは世界は良くなんてなりません。そう、エルフだけでは」

 

トワルはそっと目線を横へ向けた。彼女の瞳に創斗が映る。微かな笑みを浮かべ、言葉を続ける。

 

「だから一緒に歩くんです。肩を並べて、同じ目線で。それこそが世界を良くする方法だとわたしは思います」

 

そう締め括ったトワルを見て、大神は小さくため息を吐いた。その目には失望の色が見える。

 

「やはりアイ様の言う通りでしたか」

 

ゆっくりと立ち上がると懐からモッドライザーを取り出した。傍らの能真と蛙子も同様に立ち上がり、モッドライザーを腰に巻く。

 

「トワル様、手荒な真似になる事をお許しください。貴女様は邪悪な人間達により汚されてしまっている。私達がお救いいたします」

 

大神達がメモリアライズバッジを取り出し起動させた。

 

<マンティス!>

<ホース!>

<フロッグ!>

 

そして、モッドライザーへとセット。ボタンを押し込む。

 

「「「電令!!」」」

<ハック! クラック! バーサーク!!>

<アーシリーコード:マンティス! ダウンロード!!>

<アーシリーコード:ホース! ダウンロード!!>

<アーシリーコード:フロッグ! ダウンロード!!>

 

彼らら三体のモッドへと姿を変えた。

創斗達が勢い良く立ち上がる。

 

「トワル!」

 

創斗が彼女の腰のヴァリアブルドライバーへと手を伸ばした、その時。

 

<ビー!>

<シャットダウンシグナル!!>

 

天井が破壊され人影が降ってくる。創斗は咄嗟に横っ飛びで回避。彼がいた場所に降り立ったのはアンビシャスだった。既に変身を終えて、戦闘態勢だ。

 

「ヴァリアブル。エフェクトの仇を取らせてもらうぞ」

 

そう言うと創斗の襟首を引っ掴み、窓の外へと投げ飛ばした。ガラスを突き破り、創斗の体が庭へと吹っ飛んでいく。

 

「創斗!?」

「イカセマセン!!」

 

慌てて駆け出すトワル。彼女を三体のモッドが阻む。

 

「いや通らせてもらう」

<キマイライザー!>

 

キマイライザーを腰に巻いた心護がモッド達を見据える。つづけて取り出したのはメタリックゴールドのメモリアライズバッジ。獅子のレリーフが刻まれたそれを起動させた。

 

<レオ!>

 

キマイライザーの中央スロットにセット。途端にゴールドをベースにした獅子が出現。雄たけびを上げながら、モッド達を攻撃。

 

「今だ! 行け!」

 

攻撃によって空いた隙間をトワルと仁美が駆け抜けていく。そして心護が構えを取り、ベルト上部のボタンを鉄槌で押し込んだ。

 

「変身!」

<覇王! 魔王! 百獣の王!!>

<データベース:レオ! ガオー!!>

 

心護が灰色のアンダースーツに身を包む。獅子がバラバラになり、装甲となって装着される。最後にクラウンの付いた仮面が顔に、獅子の顔が胸に張り付き、変身が完了した。

 

「仮面ライダーマルティプル。お前らの野望を噛み砕く!!」

 

ファイティングポーズを取りながら、マルティプルがモッド達へと向かっていく。

 

「コノ!!」

 

大神が変身するマンティス・モッドが両腕の鎌を振り回して応戦。マルティプルは攻撃を潜り抜けると彼の胸に掌底を食らわせた。

 

「ガァッ!?」

 

いとも簡単にマンティス・モッドが吹っ飛んだ。

 

「アナタ!?」

「ダイジョウブカトウサン?」

 

蛙子が変身するフロッグ・モッドと能真が変身するホース・モッドが駆け寄る。

 

「モンダイナイ。コンドハサンニンガカリデイクゾ!」

 

マンティス・モッドが体を起こしながら言う。残る二人も頷いた。三人はマルティプルを囲むように動いた。マンティスの斬撃が、ホースの蹴りが、フロッグの舌が四方八方からマルティプルを襲う。

 

「ちっ! 確か……こうだったな」

 

マルティプルはレオメモリアライズバッジを外すとベルト右のスロットに再度取り付けた。そして再び鉄槌でボタンを押し込む。

 

<キマイライズ・レオ! ライトアーム!!>

 

次の瞬間、胴体に集中していた装甲が外れ、右腕へと再装着される。獅子の顔をガントレットのように右手に装備した。

 

「おらよっ!!」

 

ガントレットをタイミング良く振り回す。その一撃はホース・モッドを捉えた。

 

「ぐあっ!!」

 

地面を転がるホース・モッド。すかさずマルティプルがベルトのボタンを押す。

 

<デリート!>

 

エネルギーが右手に集約されていく。

 

<レオ!>

<エリミネーションファング・シングル!!>

 

勢いよく右手を振り抜くと、ガントレットから放たれたエネルギーが獅子を象ってホース・モッドを飲み込んだ。

爆発が晴れると地面に倒れ伏す能真。戦闘不能になり、近くにはモッドライザーの残骸が転がっていた。

 

「ノウマ!」

「オノレ! ヨクモムスコヲ!!」

 

息子が倒され怒りに燃える二人。これまで以上の苛烈な攻撃が繰り出された。

 

「今度は……こうだ!!」

 

攻撃をガントレットで弾きながらマルティプルが次の一手を繰り出した。蛇のレリーフが刻まれた新たなメモリアライズバッジを起動させると左手のスロットに取り付ける。

 

<キマイライズ・レオ、スネーク! ライトアーム&レフトアーム!!>

 

出現したのは紫色の蛇。蛇がバラバラとなって左手に装着された。

 

「ハッ!」

 

左手を振るうと紫色の一閃が奔る。蛇の装甲は鞭のように撓り、フロッグの舌を相殺した。すかさず距離を詰め、ガントレットで殴りつける。

 

「ウワァッ!?」

 

そのままマンティス・モッドを巻き込んで地面を転がった。

 

「これで終わりだ!」

 

<キマイライズ・レオ、スネーク! ライトアーム&レフトレッグ!!>

<デリート!>

 

蛇の装甲が左足に装着される。そして金色と紫色のエネルギーが片手片足へと集約していく。

 

「ラアッ!!」

 

左足から伸びる鞭が蛇を象ったエネルギーと共にモッド達に巻き付く。そしてそのまま空中へと放り投げる。

 

<レオ!><スネーク!>

<エリミネーションファング・デュアル!!>

 

ガントレットから獅子が一直線にモッド達を貫いた。空中で爆発が起きる。マルティプルは爆煙の中から落ちてきた大神と蛙子を抱きとめる。彼らの後方にモッドライザーの残骸が転がり落ちた。

 

「初陣完了だな」

 

二人を地面に下ろすと手早く拘束して、創斗達の元へと駆けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

心護が三体のモッドと戦い始めた頃。創斗はアンビシャスの猛攻に苦戦していた。絶え間なく続く攻撃に変身どころかトワルと合流する隙すら貰えない。

 

「くそっ!」

「変身さえ出来なければお前など所詮敵ではない」

 

なんとか攻撃を躱せてはいるがそろそろ限界も近い。このままではジリ貧だ。

 

「ソート!」

 

そこへトワルと仁美が駆けつけた。しかし、彼らの間に割って入る術がトワルには無い。

 

「どうすれば……」

「うちに任せてくださいっす!」

 

拳銃を引き抜き、仁美が駆ける。スライディングで二人の間に割って入るとアンビシャスの装甲の隙間へと発砲した。

 

「何!?」

 

想定外の攻撃にアンビシャスの動きが止まった。

 

「今っす!」

「トワル!」

「ソート! 受け取って!!」

 

トワルがヴァリアブルドライバーを外し創斗へと投げる。そして自らの意識もベルトの中へと飛ばした。

 

<ヴァリアブルドライバー!>

 

受け取ったそれをすかさず腰に巻く。続けてメモリアライズバッジとパワーアップスイッチを取り出す。

 

「行くぞトワル」

『はい。準備万端です』

<ドルフィン! パワーアップ!!>

 

ドライバーにバッジとスイッチをセット。創斗の背後から二つの設計図が現れ、二体のイルカを象る。

 

「『変身!!」』

 

グリップを押し込みながら二人が叫ぶ。

 

<電子の海をサーフィン! 音波で探るドルフィン!!>

<メモリアライズ! スーパー・バッチグー!>

 

二体のイルカが装甲となって装着される。両肩の砲門に加え両脇から新たに二つの砲門が追加されたヴァリアブルの新形態。仮面ライダーヴァリアブル スーパードルフィン。

 

「『たった今、勝利の道は繋がった!!」』

 

四つの砲門の照準をアンビシャスへ合わせながらヴァリアブルが宣言する。

 

「それがどうした? 俺は負けん!!」

 

怒りに燃えるアンビシャスが羽を広げ飛び込んでくる。牽制とばかりにニードルを連射しながら。

 

「それは効かない」

 

四つの砲門から放たれた超音波がニードルを次々と撃墜する。そして、拳を振り下ろすアンビシャスへヴァリアブラスターで迎撃。拳とブレードがぶつかり合い互いに後退。されどアンビシャスが果敢に攻める。再び距離を詰めて、近接戦闘に持ち込んでくる。両者を間で激しい鍔迫り合いが繰り広げられた。

 

「負ける訳にはいかない。エフェクトの仇を取るまでは!」

「!?」

「お前にも味わらせてやる。エフェクトが食らった苦しみを!」

 

激しい感情の力は凄まじい。徐々にヴァリアブルが押し込まれていく。だがそれは、激情がアンビシャスのみにあった場合の話。

 

「ならお前も味わいやがれ!」

 

ヴァリアブルがアンビシャスの拳を弾く。すかさず蹴りを繰り出し、アンビシャスが地面を転がった。

 

『貴方達のせいで傷付いた人達の苦しみを』

 

<アクセス! 倍プッシュ!!>

 

青いエネルギーが砲門へと凝縮されていく。

 

「こっちも終わる所か」

 

モッドを倒し終えたマルティプルがヴァリアブルの背後から現れた。

 

「お前達が引き起こした自業自得! 因果応報を!!」

 

グリップを再度押し込むと四つの砲門から光線が発射された。

 

<ドルフィン!>

<スーパーヴァリアビリティストライク!!>

 

光線は一直線にアンビシャスへ放たれた。

 

「ぐあああっ!!!」

 

爆発を起こし、アンビシャスの変身が解除された。立ち上がろうとするがボロボロになった体が言うことを聞かない。苦虫を噛みつぶしたような顔でヴァリアブルを睨む。

 

「よし! 拘束するぞ」

『!? 待ってください! 何か来ます!!』

 

ヴァリアブルが一歩踏み出したその時、上空から何かが勢い良く降ってくる。衝撃で黒煙が立ち上る。そこでヴァリアブルは見た。黒煙の中に赤い複眼を輝かせる人影を。

 

<バット!>

<データクラッシュシグナル!!>

 

瞬間、二つの斬撃がヴァリアブルとマルティプルを襲う。咄嗟に腕を回して二人は防御。しかしその衝撃で両者は後ろへ仰け反った。

 

『大丈夫ですか!?』

「あ、あぁ」

 

攻撃を耐えきったヴァリアブルとマルティプル。いつの間にか黒煙が晴れている。だが、目の前には誰もいない。アンビシャスの姿も無い。

 

「消えた!? 今のは一体……」

「まさか!?」

 

何かに気づいたマルティプルが踵を返す。向かうのは先程までモッドになった三人と戦っていた場所。

 

「こっちもいないだと!」

 

そこには確かに拘束していたであろう三人の姿が消えていた。地面に落ちているロープの残骸が彼らを拘束していた事を証明している。だがそれでもそこは無人になっていた。

新たなアーシリーコード。正体不明の敵。

得体のしれない脅威にヴァリアブルはしばらく呆然としていたのだった。

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