仮面ライダーヴァリアブル   作:puls9

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file23 ビギニング・アンダースタンド

 

「確かここらへんだったはずだが……」

 

息を切らしながら駆けるのは心護。エフェクトを追って工事現場へと辿り着いた。中に入ると先程の騒ぎで避難した後なのか人の姿は無い。きょろきょろと辺りを見回しながら歩く。

 

「!?」

 

そして彼は目撃した。工事現場の広い場所にて対峙するエフェクトとアンビシャスを。慌てて近くの物陰に隠れる。心護は隙間からそっと様子を窺う。キマイライザーを腰に巻きながら。何が起きても良いように。

 

「久しぶりだね、アンビシャス」

 

仮面の奥で笑うエフェクト。その言葉とは裏腹に彼女の表情は固い。アンビシャスはというと無言でシグナライザーに手を伸ばした。そしてベルトを外すと変身が解除される。エフェクトもまたベルトを外して変身を解く。途端にアンビシャスが彼女を抱きしめた。

 

「無事で良かった」

 

彼の声は震えていた。抱きしめられているせいで顔は伺えないが喜んでいる事は分かる。エフェクトの胸に温かいものがじんわりと広がっていった。

 

「さぁ、一緒に帰ろう」

 

やがて離れるとアンビシャスが手を差し伸べる。中々顔に表情が現れない彼にしては珍しく嬉しそうに微笑みを顕にしている。対するエフェクトは悲しげな顔で首を横に振った。

 

「ごめん。ワタシは一緒には行けない」

「何故だ! ……やはり人間に何かされたのか!!」

「違うよ」

 

激昂するアンビシャスにエフェクトは静かに告げる。

 

「ワタシね。ずっと前から疑問に思ってたんだ。本当に人間は滅ぼすべき存在なのかって」

「その通りだ! 奴らは危険な存在! 滅ぼすべき敵だ!!」

 

さらに激するアンビシャス。エフェクトは彼の目を真っ直ぐに見つめる。

 

「ワタシはそうじゃないって思ったんだよ」

 

彼女は哀しげな顔をする。

 

「人間は危険な存在だけじゃない。手を差し伸べてくれる人だっている。でなければワタシはここにいないんだから」

 

エフェクトの言葉にアンビシャスは押し黙った。

 

「だからワタシはアンビシャスとは行けない。ワタシはワタシの望む道を行くよ」

「エフェ……クト……。くっ……」

 

優しく微笑むエフェクト。アンビシャスは歯噛みしながらその場を去っていく。その足取りはとても重く、背中には哀愁が漂っていた。

 

「……そろそろ出てきたら? それと盗み聞きは趣味が悪いと思うよ」

 

彼女の呼びかけに物陰から心護が出てくる。一部始終を見ていた為かその表情はとても複雑だ。エフェクトも心護の腰にキマイライザーが巻かれているのをみて苦笑する。

 

「モッドはどうなった?」

「……逃げられた」

「そっか、残念。見つけたら呼んでよ。駆けつけるからさ」

 

そう言ってエフェクトは歩き出す。その背を見て心護は思う。何故、彼女はこちらに手を貸してくれるのか?と。歩き出せばその意味が分かるかもしれない。心護は一歩踏み出した。

 

 

 

 

 

 

 

「うぇ!? モッドが逃げたぁ!?」

 

D.A.T.A基地の研究室で玲が声を上げる。彼女の言葉に創斗とトワルが反応する。二人の手元にはノートパソコンがあり、画面には設計図が写っている。

 

「モッド!?」

「どこへ逃げたんですか?」

「まだ分かってないんだけど……。その……エフェクトちゃんが合流したみたい」

 

曖昧に笑う玲。

 

「そうなんですか」

「うん。……たださ。心護がエフェクトちゃんの事凄く警戒してるみたいで」

「あー。まぁ、気持ちは分かります」

「伝導君もやっぱりまだ信頼出来ない感じ?」

 

その言葉に創斗は少し顔に影を落とす。

 

「全面的にはまだ無理ですね……。けど信じてみたいとは思ってます」

「ソート……」

「戎さんもきっと、エフェクトの事を知れば同じ気持ちになると思います。だからそこまで心配していません。だって戎さんも根っからのお人好しですから」

「そうだね」

 

笑顔を浮かべる創斗を見て、玲も笑う。創斗は手元のノートパソコンを閉じた。

 

「おれ達も探してきます」

「ええ。行きましょう」

 

二人は頷き合うと部屋を出ていく。

 

「場所が分かったら連絡するね!!」

 

彼らの背へ向けて玲が叫ぶのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ねぇ? 何で着いてくるの?」

「お前が変な事を企んでいないか気になってな」

「信用無いねぇ。ま、しょうがないけど」

 

肩を竦めるエフェクト。やがて二人は公曽区の繁華街を越えて、美湯地区にやって来た。その住宅街のアパートで足を止める。

 

「ここからはワタシ一人で行くから。着いてこないでね。絶対だよ。絶・対・だ・か・ら・ね!」

 

そう言い残してアパートの中に入っていく。あまりに念を押された為、心護は渋々従いアパートの前で待つ。その時だ。彼の耳に怒号が飛び込んでくる。

 

「うるさい! 黙れ!!」

 

相次いで耳をつんざくような重い音が響く。流石に居ても立ってもいられない。心護はアパートの中へと駆ける。音のする方へ向かうとそこにはエフェクトに馬乗りになっている年配の女性の姿があった。彼女の手には包丁が握られている。

 

「あんたさえ! あんたさえいなければ!!」

 

そう言って包丁を何度も振り下ろす。その度にエフェクトの衣服はズタズタに裂かれ、剥き出しになった機械の体に傷がついていく。エフェクトは抵抗する事なくされるがままだ。

 

「何をやっている!」

 

さしもの心護もこれは見ていられない。すぐに女性を羽交い締めして引き剥がす。されど女性も黙ってはいない。必死に抵抗する。

 

「お前のせいだ! お前のせいで息子は逮捕されたんだ! この悪魔め!!」

 

そこで心護は気付く。この女性はかつてモッドになった男の家族であると。とはいえこのままではいけない。エフェクトの手を取ると急いでその場を後にする。

 

「助けてくれてありがとう。嫌だろうけど一応言っておく」

「……別に」

 

やがて二人は歩道の一角で立ち止まる。素直に礼を言うエフェクト。そっぽを向いて感謝を跳ね除ける心護。両者の溝はまだ深い。

 

「何をした? ……いや、お前は何をしているんだ?」

 

彼の言葉にエフェクトは少し気まずい顔をする。

 

「謝罪行脚だよ。ワタシが迷惑をかけた人達に謝罪して回ってるの」

 

エフェクトは心護に背を向ける。そして上を見上げる。そこにはビルの隙間から灰色の曇り空が覗いている。

 

「あれから色々考えたんだよね。自分はこれからどうするべきなのか」

「それが謝罪行脚……」

「うん。何をやるにしても、まずはけじめをしっかりつけないといけないって思ってさ」

 

彼女が振り返り笑う。屈託の無い笑顔で心護の方を見る。

 

「言っておくけど毎回こんな感じじゃないんだよ。割合的にはさっきみたいな事が多いけど中には恐怖で怯える人や許してくれる人、むしろ感謝してくる人までいたんだ」

 

怯える人を見て自らの罪の重さを実感し、許してくれる人を見てほんの少しだけ救われた気分になり、感謝してくる人を見て恐怖を覚えた。そして彼女はまた一つ人間を知ったのだ。

 

「人間って不思議だね」

「……」

「……今だから思うよ。もっと早く仲良く出来れば良かったなってさ」

 

そこで彼女の言葉は終わる。エフェクトの話を聞いて心護の脳裏に様々な思いが浮かぶ。敵として相見えたエフェクト。先程のアンビシャスとの会話。熟考の末に言葉を紡ぎ出した。

 

「俺は……お前を信用出来ない」

「ソートくんも同じ事言ってた」

「だろうな。だから俺はお前にこれからも警戒の目を向ける。その上で人間と仲良くしたいなら信じさせてみろ。お前の行動で」

 

エフェクトは目を見開いて驚く。

 

「もちろん、お前のした事を許すつもりは無い。だが、お前の思いを否定するつもりも無い。……それだけだ」

「うん。必ず信じさせてみせる。シンゴもD.A.T.Aの皆も、絶対に!」

 

その時。心護の携帯が鳴る。出ると相手は自分の部下。

 

「居場所が!? わかった。すぐに向かう」

 

携帯を仕舞うとエフェクトを見る。

 

「行くぞ」

「オッケー!」

 

標的はホース・モッドMarkⅡ。二人は共に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祭波市目蟹区にある細い裏道。陸馬 駿――ホース・モッドMarkⅡはそこにいた。

 

「チィ! シツコイ!!」

 

顔を出して様子を伺うとD.A.T.Aの隊員達がひっきりなしに行き交っている。いくら速度を出せようとも絶え間なく追いかけられるこの現状には流石に辟易しているようだ。だがそれももう少しの辛抱。間もなくこの状況は終わる。

 

「オイ。ソッチハドウダ?」

「首尾は順調です。間もなく出せます」

 

通信から聞こえて来たのは男の声。D.A.T.Aとの争いで逃げ延びた部下からだ。それを聞いてホース・モッドMarkⅡはほくそ笑んだ。

 

「スグニ向カウ」

 

裏道を物凄いスピードで駆けるホース・モッドMarkⅡ。目的地は西部にある海岸。そこの港に所有してあるクルーザーが置かれているのだ。それを使って国外へと逃げる算段だ。そうこうしている間に裏道を抜ける。そして港が見えてきた。

 

「!?」

 

視界に飛び込んで来た光景を見てホース・モッドMarkⅡは驚愕した。そこには既に心護達D.A.T.Aのメンバーが待ち構えていたからだ。傍らには拘束された部下達の姿もある。

 

「よぉ、待ってたぜ」

「クソッ!」

 

踵を返さんと体を反転させるホース・モッドMarkⅡ。しかし、そこに人影が立ち塞がった。

 

「おっと。ここは通さないよ」

 

エフェクトだ。彼女が逃げ道を絶つ。ホース・モッドMarkⅡを挟んで二人がベルトを腰に巻く。

 

<シグナライザー改!>

<キマイライザー!>

 

メモリアライズバッジを取り出し起動させる。

<バタフライ!>

<レオ!>

 

バッジをドライバーにセット。すると二人の周りで蝶が羽ばたき、獅子が雄たけびを上げる。

 

「「変身!!」」

<Wake Up Date! バタフライ・エフェクト!!>

<シグナライザー、カスタマイズ!>

<覇王! 魔王! 百獣の王!!>

<データベース:レオ! ガオー!!>

 

蝶と獅子を装甲として纏い、仮面ライダーへと変身を果たす。エフェクタールガン改を引き抜くエフェクト改。拳を握り構えるマルティプル。ホース・モッドMarkⅡも臨戦態勢だ。

 

「「はあっ!」」

 

静寂の後に動いたのはエフェクト改とマルティプル。同時に駆け出し、距離を詰める。

 

「舐メルナ!」

 

ホース・モッドMarkⅡが両手からブレードを出現させた。そしてそのまま振り回す。鋭利な刃が迫りくる。

 

「おっと」

 

エフェクト改は急停止の後に空へ飛翔。上から射撃する。その一撃はホース・モッドMarkⅡの背中に着弾。バランスが崩れた。

 

「おらぁ!」

 

すかさずマルティプルが胴へ拳を叩き込む。体をくの字に曲げて後退るホース・モッドMarkⅡ。

 

「ボス!!」

 

別の方向から聞こえる声。見ると遅れてやって来た陸馬会の組員二人が狼狽していた。だが彼らは直ぐに気を取り直すとモッドライザーを巻いた。

 

<モッドライザー!>

<アント!>

 

「電令!」

 

<ハック! クラック! バーサーク!!>

<アーシリーコード:アント! ダウンロード!!>

 

二体のアント・モッドに変わった。

 

「うわ、新手」

「!? これが伝導達が言ってたアントメモリアライズバッジを使ったモッド!」

 

面倒くさそうに言うエフェクト改。マルティプルは仮面の奥で険しい顔だ。

 

「ボス、カセイシマス!」

 

戦線に加わらんと駆け寄ろうとしたその時。両者の間に人影が割り込んだ。ヴァリアルストライカーに乗った創斗とトワルだ。

 

「ナイスタイミングってやつか? これ?」

「どうやら、そうみたいですね」

 

二人はバイクから降りる。創斗はトワルの腰からヴァリアブルドライバーを外し、自分の腰に巻く。

 

<ヴァリアブルドライバー!>

 

「今回はこれで行こう」

 

取り出したのはホークメモリアライズバッジ。

 

<ホーク! パワーアップ!!>

 

パワーアップスイッチと合体させて、メモリアライズバッジをベルトに取り付ける。

 

<パワーアップ・ローディング! パワーアップ・ローディング!>

 

二体の鷹が周囲を旋回する。

 

「『変身!!」』

 

掛け声と共にグリップを押し込んだ。

 

<空から決めろアタック! 獲物を狙うホーク!!>

<メモリアライズ! スーパー・バッチグー!>

 

装甲を纏い、四枚の翼を展開し、仮面ライダーヴァリアブルへと変身を遂げた。

 

「こっちはおれ達が引き受けます」

「ああ。頼む」

 

マルティプルがホース・モッドMarkⅡに向き直った。隣に着地したエフェクト改が並ぶ。二人が構えを取る。

 

「チッ!」

 

対するホース・モッドMarkⅡはというととても苦々しい様子。ただでさえ劣勢にも関わらず頼みの綱であった人数の差も潰された。陸馬 駿という男は引き際をよく弁えていた。ならば次の一手は決まっている。

 

「アバヨ!」

 

そう言うと逃げ出した。

 

「げ! また逃げるの!?」

「伝導! 借りるぞ!!」

 

マルティプルがヴァリアルストライカーに跨る。アクセルを踏み込み、追いかけた。エフェクト改も空を飛び、後に続く。

 

「ならこっちはおれ達で倒すぞ」

『もちろんです。ルートを展開します』

 

ヴァリアブルの複眼に無数のルートが出現する。ヴァリアブラスターを手に取り、低空飛行で翔ける。

 

「コノォ!」

 

銃を構え、迎え撃つアント・モッド二体。されど最早彼らの敵では無い。銃弾を掻い潜り、ブレードモードのヴァリアブラスターで横薙ぎ一閃。地面を転がるアント・モッド達。

 

<アクセス! 倍プッシュ!!>

 

ゆっくり着地するとパワーアップスイッチの付いたメモリアライズバッジをヴァリアブラスターにセット。ガンモードに変形させ構えを取る。

 

<ホーク!>

<ヴァリアビリティショット!!>

 

放たれたのは二体の鷹。一直線にアント・モッド達に着弾。爆発を引き起こした。爆発が晴れるとそこには陸馬会のメンバーが気絶していた。

 

『やりましたね、ソート』

「こっちは終わりました」

 

そう通信越しに心護達に呼びかける。

 

「あぁ分かった。こっちも直ぐに片付ける」

 

スピードを上げるマルティプル。されど前を進むホース・モッドMarkⅡには中々追いつけない。戦いの舞台は高速道路に移る。既に交通規制を手配済みだ。

 

「おりゃー!」

 

エフェクタールガン改を発砲するエフェクト改。しかし、その攻撃は簡単に躱される。

ホース・モッドMarkⅡはどんどん市街地方面へと向かっていく。このままでは市民への被害が出てしまう。マルティプルは仮面の奥で焦りを募らせる。

 

「こうなったら、一か八か!」

 

ヴァリアルストライカーを巧みに操り、脇へと突っ込んでいく。そしてガードレールを足場に高く跳躍した。そのままホース・モッドMarkⅡの前に着地する。

 

「はあああああっ!!」

 

バイクを回転させ、後輪で殴りつける。

 

「ガハァッ!?」

 

つんのめるホース・モッドMarkⅡ。その隙にエフェクト改も追いついた。

 

「決めるよシンゴ!」

「ああ!」

 

二人がベルトを操作する。

 

<フィニッシュ オン!>

<デリート!>

 

二人の足にエネルギーが集約されていく。そして両者同時に飛んだ。

 

<バタフライ!>

<データストームエフェクト!!>

<レオ!>

<エリミネーションファング・シングル!!>

 

足を突き出し、ダブルライダーキックが炸裂。

 

「グアァァ!!!」

 

悲鳴を上げてホース・モッドMarkⅡが爆発した。

 

「勝ちー!!」

「こっちも終わった。総員、後片付けに入るぞ」

 

体全体で勝利を表現するエフェクト改。傍らでマルティプルが通信を入れる。そんな彼の前にエフェクト改が拳を突き出す。

 

「はぁ……」

 

 

その意図を察したマルティプルは渋々といった形で拳を合わせるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後。エレクトロ伝導の店内に創斗とトワル、錬児。そしてエフェクトがいた。時刻は夕方。夕日のオレンジが店の中に入り込んでいる。

 

「エフェクト。それは向こうの棚だ」

「ありゃりゃ。ごめんごめん」

 

四人は明日に向けて新商品の品出しをしていた。エフェクトが仲間に加わった後、D.A.T.Aとの協議の末にエフェクトは創斗達の預かりとなった。その為、エフェクトは今現在、エレクトロ伝導の従業員として在籍している。

その時、店の扉が開く。

 

「すいません。今日はもう閉店で……って、戎さんに夢崎さん!?」

 

入ってきたのは心護と玲。

 

「急にすまないな。……少し話がある」

「……なら、奥に来てください」

 

店の奥を指差し促す。

六人は階段を下りて、地下の部屋へと移動した。

 

「それで話って何ですか?」

 

開口一番創斗が聞く。心護が懐から取り出したのは透明な袋に入ったアントメモリアライズバッジだった。

 

「これはアーシリーコードが使っていたバッジだ。これを夢崎達に解析してもらった」

 

彼の言葉を玲が引き継いだ。

 

「その結果。これ、D.A.T.A(うちら)で使用しているアントメモリアライズバッジと同じ物だったんだよ」

「!?」

 

衝撃の発言に一同に動揺が走る。

 

「これが意味する事はただ一つ。……D.A.T.Aの中に内通者がいる」

 

心護が険しい表現でそう言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同時刻。アーシリーコードの拠点にて毒島がアイの前に立っていた。

 

「そうですか。陸馬会が捕まりましたか……」

「はい。それと……」

 

言いづらいのか毒島が口ごもる。

 

「かまいません。話してください」

「組織内でのアイ様への忠誠が揺らぎつつあります」

「まぁ、そうでしょうね」

 

度重なるヴァリアブル達による作戦阻止。相次ぐ信者達の逮捕。アーシリーコードにとって逆風が続けざまに起きている。そうなればエルフに懐疑的になる者も出てくる。しかしそれはアイにとって想定内の事。

 

「ではそろそろ飴を与えましょうか。毒島、皆様に準備をさせてください」

 

タブレットの中でアイが嗤う。

 

「こちらも打って出ますよ」

 

間もなく試練の時がやって来る。

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