仮面ライダーヴァリアブル   作:puls9

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file33 ヴァリアブル・ステップアップ

基地の前で創斗が新たな姿のヴァリアブルへと変身を遂げた。彼と対峙するのはアンビシャスMarkⅡ。互いに目を逸らす事無く睨み合っている。

そんな両者の傍らにはトワルが立っていた。創斗によって戦いに参加出来なかった彼女は二人の動向を固唾を飲んで見守っている。

 

「かかって来やがれ、だと」

 

アンビシャスMarkⅡが拳を握る。途端に憤怒のオーラが立ち込めた。どうやら先程のヴァリアブルの挑発は効いたようだ。

 

「舐めるな、人間風情が!」

 

アンビシャスMarkⅡが駆ける。距離を詰める、勢い良く拳を突きだした。攻撃が迫るがヴァリアブルは動かない。重い一撃が胴に炸裂し、装甲が火花を散らす。ヴァリアブルは地面を抉りながら後退った。

 

「ソート!」

 

慌てて駆け寄ろうとするトワル。ヴァリアブルが彼女を手で制した。

そこへアンビシャスが追撃。回し蹴り、ひじ打ち、右フック。攻撃の乱打が襲いくる。ヴァリアブルはそれでも動かない。全ての攻撃を受け入れる。

 

「全っ然効かねぇなぁ……。お前の怒りはこの程度かよ?」

 

攻撃を受けた右胸を手で押さえながら彼はアンビシャスをなおも挑発した。苦悶の表情を仮面で隠しながらヴァリアブルがよろよろと立ち上がる。

対するアンビシャスはその真意を計りかねていた。何が目的なのかが分からない。

 

「ヴァリアブル。どういうつもりだ?」

「どうもこうも、決めたんだよ。お前と向き合おうってな」

「何?」

 

アンビシャスが訝しむ。心底理解出来ないとばかりに訝しむ。

 

「アクロや鰐淵さんから教えてもらった。アダムとイヴの事。エルフの事。そして、お前の事を」

 

ヴァリアブルが真っすぐにアンビシャスを見る。

知ったのはファーストコンタクトを間違えた事であり、アンビシャスがどんな目にあったのかでもあった。

 

「おれなりに考えたんだ、どうするべきかを」

 

思い出すのは父の成した事とアクロの言葉。託されたのだ、人とエルフの可能性を。

 

「だからおれはお前の全部を受け止める。怒りも! 憎しみも! その後でおれの思いを聞いてくれ!」

 

ヴァリアブルが右手を差し出す。救いの手を伸ばすように。

アンビシャスはその手を、

 

「知ったことか」

 

払い除けた。

そして、蹴りを入れる。鳩尾に突き刺さり、ヴァリアブルの体がくの字に曲がった。

 

「同情のつもりならよそでやれ! 俺は人間に理解してほしいとは思っていない」

 

畳み掛けるようにアンビシャスが膝蹴り。顎に衝撃が襲いくる。ヴァリアブルが吹っ飛んだ。背中から地面に激突する。

冷酷に告げるアンビシャス。そこに和解の余地は見当たらない。

 

「本当にそれでいいのか?」

 

それでもヴァリアブル――創斗は諦めない。なんとか上体を起こす。息絶え絶えのまま話を続ける。

 

「人間だからって攻撃して、敵に回してたら、みんながエルフを嫌いになる。お前だけじゃない、トワルやエフェクトもその被害を受けるんだぞ? それでもいいのかよ?」

 

だがそれはアンビシャスの地雷を踏み抜く行為だった。彼の雰囲気が一変する。

 

「黙れ」

 

ドスの効いた声がアンビシャスより放たれると、ヴァリアブルの頭を掴む。そして、地面へ叩きつけ、そのまま腹を蹴り飛ばす。

 

「ぐああっ!」

 

またしてもヴァリアブルが地面に伏す。

 

「人間がエルフを語るな! お前達が、俺達の心配をするな!!」

<ファイナル!>

 

アンビシャスがシグナライザーMarkⅡを操作。エネルギーが右腕に流れ込んでいく。しっかりと拳を握り、踏みしめた。

 

<ビー!>

<データクラッシュシグナル!!>

 

必殺の一撃がヴァリアブルに突き刺さる。

装甲が火花を散らし、ヴァリアブルの変身が解除された。創斗は膝から崩れ落ちていく。

 

「ソート!!」

 

トワルが叫ぶ。その声に呼応して、創斗は歯を食いしばり、アンビシャスに縋り付くように、彼の腕を掴む。

 

「ご、ごめ……んな……」

 

突然の謝罪にアンビシャスは狼狽える。

 

「なんの……つもりだ?」

「ちゃんと謝らなきゃって思ってさ」

 

創斗は弱々しく笑い、頭を下げた。

 

「本当にごめんなさい。両親と離ればなれにして。沢山酷い目にあわせて。人間を代表してって訳じゃないけど。ごめん」

 

それはけして創斗のせいではない。アンビシャスにだってその事くらいは分かっている。だからこそ驚いている。人間が自分に謝っている事に。

 

「その上で頼みがある!」

 

創斗が訴える。

 

「もう一度だけ人間にチャンスをくれないか? 後一度だけでいい。人間と向き合ってほしいんだ」

「……」

 

アンビシャスは何も言えないでいた。ただ無言で創斗を見つめる。

 

「許さなくてもいい。最終的に危険な存在だと結論付けても構わない。だから頼む。おれ達の事をちゃんと見てく……れ……」

 

そこで創斗が力尽きた。瞼が重くなり、掴んでいた手は滑り落ち、倒れ伏した。

 

「ソート! しっかり!!」

 

今度こそトワルが駆け寄った。彼の背を揺さぶりながら脈を確認する。

アンビシャスは狼狽しながら後退った。その時、

 

「うわぁっ!」

 

エフェクトが吹っ飛んでくる。衝撃で変身が解けた。

 

「エフェクト!?」

 

創斗を抱えながらトワルが驚く。地面に倒れるエフェクトを見て、アンビシャスも驚愕している。

彼女が吹っ飛んできた方向から人影が現れた。その姿を見て、トワルとアンビシャスはさらに驚く。

 

「アク……ロ?」

 

それはアクロに酷似していた。腰にシグナライザーが巻かれていない事から本人では無い事が伺える。

 

「あれはいったい?」

「アクロトルーパー。アイがアクロのデータをコピーして作ったクローンだってさ」

「「!?」」

 

エフェクトの返答に一同に衝撃が走る。

その間にもアクロトルーパーは双刀を携えて、エフェクトへと迫る。そして、双刀を振り下ろした。

 

「ひゃあ!」

「!!」

 

エフェクトが顔の前に手を置いて防御姿勢を取る。彼女は思わず目を閉じた。

しかし、いくら待っても衝撃は襲ってこない。恐る恐る目を開けたエフェクトの視界にはアンビシャスの背中が映っていた。

アクロトルーパーの剣を彼のガントレットが受け止めている。アンビシャスは力を込め、アクロトルーパーを弾いた。

 

「アンビシャス?」

 

エフェクトが目を見開く。彼女の言葉を受けて、アンビシャスは驚いたように自分の手の平を見つめた。どうやら無意識だったらしい。

だが、その妨害によってアクロトルーパーはアンビシャスを敵と認識したようだ。矛先を切り替え、アンビシャスへと向かっていく。

 

<ファイナル!>

 

ベルトを操作しながら、双刀を躱してアクロトルーパーの背後を取る。

 

<ビー!>

<データクラッシュシグナル!!>

 

エネルギーを纏った拳が突き刺ささった。その一撃を受けて、アクロトルーパーが跡形もなく消滅した。

アンビシャスが変身を解く。振り返ると、気絶している創斗、安堵の息を吐くエフェクト、二人を介抱しているトワルがいる。

 

「く……」

 

アンビシャスは険しい表情で逃げるように立ち去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして。フェンスに拳が叩き込まれる。

アンビシャスはいつの間にか台並区の公園付近にいた。普段ならば人の多いところに行くなんて事はしない。彼はそれほど混乱していた。顔を俯かせ、唇を噛みしめる。

そんなアンビシャスの足元にサッカーボールが転がってきた。

 

「すいませーん。取ってください」

 

声の方を見る。そこには小学生くらいの少年少女が笑顔でアンビシャスを見ていた。彼を人間だと思っているのだろう。取ってもらえる事を微塵も疑っていない。屈託のない笑みがアンビシャスを襲う。

 

「っ……」

 

彼は左目を抑えた。失った瞳の奥底から痛みが疼く。今すぐここから立ち去るべきだ。だが、

 

「もう一度だけ人間にチャンスをくれないか? 後一度だけでいい。人間と向き合ってほしいんだ」

 

何故か創斗の言葉が頭から離れない。そのせいで動けない。アンビシャスはサッカーボールを見つめる。

その時、横から手が伸びてきてサッカーボールを掴む。

 

「はーい。今行くよー!」

 

顔を向けるとエフェクトがいた。彼女はサッカーボールを投げる。ボールは放物線を描いて子供達の足元に届いた。

 

「ありがとうございます!!」

 

子供達が一斉に頭を下げる。そして、ボールを手に取るとグラウンドの方へ戻っていった。

エフェクトは子供達に笑顔で見送る。

 

「ソートくん。命に別状無いってさ」

 

彼女がおもむろにそう告げる。

こちらを見ずに言われたせいで反応が遅れた。アンビシャスはエフェクトの言葉を反芻し、その意味を理解する。心が軽くなった。そんな気がした。

 

「……」

 

その事実に心の内で衝撃を受ける。アンビシャスは頭を振って気を反らした。一刻も早く立ち去りたい。アンビシャスは歩き出そうと足を踏み出す。

 

「アンビシャス。ワタシとお話ししようよ」

 

その背中へ、エフェクトが声をかける。

 

「ワタシさ。エルフが生まれたきっかけ、今回始めて知ったんだ」

 

了承していないにも関わらず勝手に話し始めるエフェクト。無視して立ち去る事も出来ず、アンビシャスは静かに傾聴する。

 

「それでこう思ったの。人間って最低だなって」

 

アンビシャスは目を見開いた。人の側に着いた彼女からそんな言葉を聞くとは思いもよらなかったからだ。

 

「でもね、ワタシはこうも思ってる。ワタシは錬児が好き。ソートくんもシンゴもレイちゃんも好き」

 

胸の前で両の手を握り締め、エフェクトが言う。

 

「逆にアダムとイヴを消滅させたり、アンビシャスに酷い事をした人間は嫌い!」

 

険しい表情で毅然と告げる。眉毛をつり上げ、頬を膨らませ、彼女は本気で怒っているようだ。

 

「エルフだとワタシやアクロ、無関係の人間を傷つけたアイの事、ワタシは嫌い」

「エフェクト……」

「トワルやアクロは好きだよ。二人共、ワタシと同じだから」

 

そこでエフェクトは表情を曇らせる。

 

「アンビシャスはもうワタシの事を嫌いだと思うけど、ワタシはアンビシャスの事も好きだよ」

 

悲しげに笑う彼女を見て、アンビシャスは動揺する。普段表情を表に出さない彼は見るからに狼狽えた。

 

「きっとそれが向き合うって事なんだと思う。ただ嫌いなんじゃなくて、嫌いの中から悪くないがあったり、物凄く嫌いがあったり。だからワタシはアンビシャスにも知ってほしい。人間にもエルフにも良いと悪いがあるんだって」

 

エフェクトがアンビシャスの元へ近づく。そして、顔を覗き込み微笑む。

 

「アンビシャスはどうしたい?」

 

そう問われ、アンビシャスは目を閉じた。自分はどうしたいのか。その答えを探す為に。

 

「エフェクト。頼みがある」

 

暫しの静寂の後に彼は目を開ける。その眼差しには決意の光が宿っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐあっ!」

 

マルティプルが地面を転がる。迫り来るのはアクロトルーパー。基地の裏側では激しい戦闘が繰り広げられている。マルティプル達の傍らでは合流したマルティプルワーカー部隊がもう一体のアクロトルーパーを相手に苦戦していた。

 

「撃て撃て!」

 

次々と銃撃を放つマルティプルワーカー達。しかし、アクロトルーパーが攻撃を潜り抜けて攻撃を繰り出してくる。双刀をアンテックシールドで抑えるがパワーは向こうが上。押し切られフォーメーションが崩れている。このままでは全滅してしまう。

 

「くそっ!」

 

悪態をつきながら立ち上がるマルティプル。こちらに迫るアクロトルーパーを迎え撃つ。

 

<キマイライズ・レオ、ゴート、スネーク! ブレスト&ライトアーム&レフトレッグ!!>

 

キマイライザーに二つのバッジを取り付ける。途端に右腕に山羊の角、左足に蛇の鞭が装着された。

 

「はあっ!!」

 

左足を振るい、アクロトルーパーの右腕に絡みつける。力を込めて引っ張り引き寄せた。

 

<デリート!>

 

すかさずベルトを操作。

 

<エリミネーションファング・トリプル!!!>

 

エネルギーが右腕に集約される。渾身の一撃が突き刺さり、アクロトルーパーが消滅した。

 

「あらら。倒されてしまいましたか」

 

アクロトルーパーが消滅したにも関わらずアイは焦ることなく佇んでいる。彼女は腕の装置を操作する。

 

<コピー&ペースト!>

<バット!>

 

瞬間、アイを挟むようにアクロトルーパーが二体。新たに出現した。

 

「何!?」

 

驚くマルティプル。そこへアクロトルーパー二体が迫る。激しい連撃が彼を襲い、吹っ飛ばされた。そのまま変身が解除されてしまう。

 

「戎隊長!」

「よそ見はいけませんね」

 

彼らと交戦していたアクロトルーパーが一瞬の隙を突き、双刀を振り下ろす。その一撃でマルティプルワーカー部隊の変身も解けてしまった。

 

「う……うぅ……」

 

倒れ伏す心護達。なんとか起き上がろうとするもダメージが大きく起き上がれない。

その間にもアクロトルーパー達が迫りつつあった。そこへ足音が響く。現れたのはアンビシャス。その後ろからエフェクトがついて来ていた。

 

「こいつらは何だ?」

 

アクロトルーパーを見て、目を細めるアンビシャス。険しい顔でアイを問い詰める。

 

「見ての通り、私達の味方ですよ」

「アクロを利用した駒の間違いだろう?」

 

誤魔化すアイ。しかしアンビシャスには通用しない。

 

「ずっと気にはなっていた。だが、必要な事なのだろうと目を背けてもいた。お前は何がしたいんだ。人間は兎も角、何故俺達にも非道な扱いが出来る。仲間だろう!」

「ふ、ふふふ。あはははは!!!」

 

アンビシャスの糾弾に対し、アイは吹き出した。肩を震わせて笑い始める。

 

「仲間。仲間ですか……。本当にそう思います?」

 

ひとしきり笑ったアイが聞き返してきた。

 

「どういう意味だ?」

「ねぇ、アンビシャス。私が何故生まれたか知ってますか? 私はね、あなたのせいで生まれたんですよ」

 

アイが語り出す。彼女の声色に暗い感情が滲み始めた。

 

「あなたが誘拐され、アダム(お父様)イヴ(お母様)は激しく激怒した。それを危惧した人間の手で削除された。そして、お二方には芽生えたんですよ。人間への激しい憎悪と嫌悪に」

「!?」

「でも芽生えたのは削除の最中。だからお二方は次に託す事にした。そうして生まれたのが私とアクロとトワル」

 

アイはそこで一旦話を区切る。アンビシャスの元へ足を一歩踏み出すと話を再開させた。

 

「最初は仲間だと思っていましたよ。けど、気付いたんですよ。私は他のエルフとは根本的に違うって」

「何だと?」

「アクロにもトワルにも人間への憎悪が決定的に欠けていた。そう。お父様とお母様の人間への憎悪は私が一身に持っていたんですから」

「「!?」」

 

彼女の発言に一同は驚愕する。

 

「だから私は人間が嫌い。全ての人間を削除せよ。そうプログラミングされているから。あなた達のように諭されて、思想を鞍替えする事は出来ないんですよ」

「アイ……」

 

それはどれほど辛い事なのだろうか。自分の意思を自分で決められない。彼女は生まれた時から嫌いなものがあったのだ。

 

「だから私はエルフも嫌いになったんですよ。当然ですよね。あなた達は私と同じように人間を嫌ってくれないんですから」

 

アイが自嘲気味に嗤う。その対象はエルフか人間か。それとも自分自身なのかもしれない。

 

「決めたんですよ。人間は虐めて嫐って削除する。エルフは従わせて駒にして利用する。それが私。アーシリーコードのアイ」

「そうか」

 

アンビシャスが深呼吸する。覚悟の表情でアイを真っすぐに見つめた。

 

「ならば俺はもうお前と共には歩めない。同胞を実験台にして、死後も尊厳を汚すお前は俺の敵だ。今日限りでアーシリーコードを抜けさせてもらう」

「それは困りますね。ここで叩き潰して、第二のアクロにでもしてあげましょう」

<コピー&ペースト!>

<バット!>

 

アイが腕の装置を操る。

追加で四体のアクロトルーパーが出現した。七体のアクロトルーパーがアイの合図を受けて歩き出す。

対するアンビシャスは冷静だ。

 

「悪いがそうはならない。手伝え、ヴァリアブル」

 

アンビシャスの呼びかけに後方から人影が隣に並んだ。現れたのは創斗とトワル。トワルに支えてもらいながら創斗がアンビシャスに笑顔を向けた。

 

「伝導!?」

 

心護が驚きの声を上げる。先程、アンビシャスがエフェクトに頼んだのだ。ヴァリアブルをここにこさせろと。

 

「あの装置を壊して、アクロをアイの手から解放する。成功した暁にはお前達にチャンスをやる。お前達と向き合ってやる」

「ありがとうアンビシャス」

「さぁ、頑張りましょう!」

 

創斗はトワルの腰からベルトを外し、自分の腰に巻き付けた。

 

<ヴァリアブルドライバーV2!>

<シグナライザーMarkⅡ!>

 

アンビシャスも腰にベルトを巻き付け準備中を整える。二人は同時にメモリアライズバッジを取り出した。

 

<スパイダー! パワーアップ!!>

<ビー!>

 

バッジを起動させ、ベルトに取り付ける。

 

<ステップアップ・ローディング! ステップアップ・ローディング!>

 

創斗の後方に二つの設計図が出現。二体の蜘蛛に変形。その隣でアンビシャスの体に無数の蜂が群がり始める。

 

「『「変身!』」」

 

創斗がグリップを押し込み、アンビシャスがレバーを下ろす。

 

<世界を守るライダー! 我らを繋げるスパイダー!!>

<ウルトラ・メモリアライズ! ハイパー・バッチグー!!>

<Burn up! Cool down! ビー ・アンビシャス!!>

<アーシリーコード、アップグレード!!>

 

アンダースーツに身を包み、装甲を纏って、創斗達は変身を遂げた。片や世界を守り、人とエルフを繋ぐ戦士。片やエルフを導き、人間を削除せんとした戦士。相反する思想を持った者達が今、歩み寄り、肩を並べて立ち向かう。

 

「足を引っ張るなよ」

「んなっ!?」

 

駆け出すアンビシャスMarkⅡ。彼の言動にヴァリアブルが憤るも、すぐに気を取り直す。

 

「トワル。頼む」

『はい。ルートを展開します』

 

ヴァリアブルの視界にルートが示される。今回は一本だけ。アンビシャスに沿うように引かれていた。

ヴァリアブルはそのルートへ躊躇なく進みだした。

 

「はあっ!」

 

目指すはアイ。彼らを阻まんと無数のアクロトルーパーが立ちはだかる。アンビシャスMarkⅡが拳を振るう。正面の一体がなぎ倒された。だが、死角から次の一体が迫る。

 

「させねぇよ!」

 

それを受け止めたのはヴァリアブル。ブレードモードにしたヴァリアブラスターで反撃。胴を裂き、消滅させた。

 

「ちっ」

 

アイが三度装置を動かす。追加で二体が出現した。

 

「また増えたぞ!」

「大丈夫かな?」

 

心護とエフェクトが心配する。だが、そんな周囲とは裏腹に戦況は傾いた。

 

「おらぁ!」

「ふっ!」

 

ヴァリアブルがガンモードにしたヴァリアブラスターで横へ引き金を引く。同時にアンビシャスMarkⅡもガントレットからニードルを真横に向けて発射。銃弾と針が互いのいる方へ飛んでいく。

創斗は頭を下げる事で回避。アンビシャスは首を傾けて避けた。そして、二人に襲いくるアクロトルーパーに着弾。銃弾が脳天を、針が喉元に突き刺さり消滅。

 

「面倒くせえ。ちゃっちゃと片付けるぞ。アンビシャス!」

 

ヴァリアブルがヴァリアブラスターをアンビシャスに投げ渡す。すかさず手から糸を発射して彼の右足に絡みつけた。

 

「振り落とされんなよ!」

 

そう言うとヴァリアブルは手を振り回す。糸に引っ張られ、アンビシャスMarkⅡが振り回された。

 

「ヴァリアブル、貴様……!」

 

アンビシャスMarkⅡはヴァリアブラスターをブレードモードに再変形させる。そのままの勢いでアクロトルーパーを次々と切り裂いていく。

 

「くっ」

 

アイが装置で追加を図るも間に合わない。追加したそばから切り裂かれ消滅していく。そして、ついにアイの元へ辿り着いた。斬撃がアイに突き刺さる。装甲が火花を散らした。

 

「アイ。これが俺のケジメだ」

<ファイナル!>

 

アンビシャスがベルトを操作。エネルギーが両足に流れ込んでいく。

 

「トワル。俺達もやるぞ!」

『はい!』

<アクセス! 倍プッシュ!!>

 

ヴァリアブルもベルトを操作。右足にエネルギーを溜め込みつつ、周囲に蜘蛛の巣を展開した。

二人が動いた。

ヴァリアブルは蜘蛛の巣から蜘蛛の巣へと飛び移りながら加速。すれ違いざまに攻撃を加えて撹乱。

そして、空中で足を突きだした体勢のアンビシャスに合流した。

 

<スパイダー!>

<ハイパーヴァリアビリティストライク!!>

<ビー!>

<データクラッシュシグナル!!>

 

アイが拳を振るうも即座に弾かれる。ダブルライダーキックが炸裂。アイが地面に叩きつけられ装置が破壊された。

 

「くっ……この!」

<タイガー!>

<データクラッシュシグナル!!>

 

忌々しげに悪態をつきながら必殺技を放つ。矛先は地面。衝撃が煙幕を生んだ。煙が張れるとそこからアイの姿は消えていた。

 

「逃げられたか……」

 

創斗が変身を解除する。振り返るとアンビシャスも変身を解いていた。

 

「約束、守ってくれんだろうな?」

「当たり前だ。俺はエルフだからな。約束通りお前達と向き合ってやる。だが勘違いするなよ。俺はお前達の仲間になった訳じゃない。これから見極めるんだ。人間をな」

 

アンビシャスが歩き出す。

 

「どこ行くんだよ?」

「決まっている。お前達以外の人間を見てくるんだ」

 

そう言い残すと基地の外へ去っていく。トワルが隣に並んで来る。

 

「追わなくて良かったんですか?」

「あぁ。おれは人間とエルフを信じてるからな」

 

創斗が笑顔を見せる。釣られてトワルも笑顔になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

荒い呼吸をしながらアイがアジトにやって来た。すかさず毒島が駆け寄る。

 

「大丈夫でございますか? アイ様?」

「……しばらく奥に引っ込みます。組織の運営は任せました」

 

ふらふらと覚束ない足取りで毒島の脇を抜けるアイ。そのまま、奥の部屋へと入ってしまった。

 

「どいつもこいつも。役立たずですね」

 

部屋に入ったアイが一人ごちる。部屋の中はおびただしい数の機械で埋め尽くされている。

それを起動させ、次の計画を思案する。

 

(機械の中にはアクロのデータが入っている。再びアクロトルーパーを運用するのは容易。けど、)

 

彼女は思い返す。先程の戦いを。アクロトルーパーは戦力をなる。けれど決定打にはならない。よってこう結論付けた。

 

「まずはヴァリアブルを倒さなくてはいけませんね」

 

他はともかくヴァリアブルは明確な脅威。変幻自在な戦術と爆発的な瞬間出力。アクロトルーパーでは勝てない。

 

「ならば作りましょう。ヴァリアブルを超えるエルフ(最高傑作)を」

 

アイが不敵に笑う。彼女が見つめる画面にはこう記されていた。イマジナリーと――。

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