仮面ライダーヴァリアブル   作:puls9

6 / 35
file6 ホーク・セービングスカイ

「お前みたいな奴が! 仮面ライダーを名乗ってんじゃねぇ!!」

 

ヴァリアブルが激高と共に拳を下ろす。それを軽々とステップを踏むように避わすエフェクト。そのままターンを決めて死角へ回り込むと裏拳を繰り出した。

 

「くっ!」

 

咄嗟に手でガードするヴァリアブル。しかし、彼女の華奢な体型とは裏腹にその一撃は重い。地面を抉りながら後退する。

 

『ソート、落ち着いてください。頭に血が昇った状態では勝てるものも勝てません』

「……あぁ、わかってる」

 

仮面の奥で深呼吸。息を整えるとたちまち冷静さを取り戻した。

 

「お前に聞きたい事がある。伝導 想助。その名前に聞き覚えはあるか?」

「デン……? ソー……? 誰それ、知らな〜い」

 

興味無いとばかりにエフェクトは肩を竦める。

 

「そうか、ならいい。お前には他にも聞きたい事が山程ある。ぶっ倒して尋問してやるから覚悟しろ」

「へへんだ! 出来るものならやってみろ〜!」

 

ヴァリアブルが駆け出す。対するエフェクトは腰のホルスターから二丁の拳銃、エフェクタールガンを引き抜き連射。

 

「ふっ!」

 

ヴァリアブルは近くの壁を使って銃撃を躱し、着地とともに回し蹴り。

 

「とぉっ!」

 

その攻撃を体を反らす事で回避するエフェクト。そこに追撃。ヴァリアブルの肘打ちだ。

 

「あまいあまい!」

 

瞬間、エフェクトの背中から蝶を模した羽が展開する。地面を蹴るとエフェクトが空中を滑空してヴァリアブルの攻撃を躱した。そのまま距離を取るとヴァリアブルへ向けて引き金を引く。

 

『?』

 

その攻撃に違和感を覚えたのはトワル。すぐさま周囲をサーチするとヴァリアブルの周りには目に見えない程極小の粒子が漂っていた。それはまるで蝶の鱗粉のよう。

 

『ソート、逃げて!!』

「え?」

 

慌てて叫ぶがもう遅い。銃弾が粒子に触れたその刹那、爆発が起きた。その爆発が粒子に触れ、さらなる爆発の連鎖を生む。

 

「がああああああっ!?」

 

たちまち爆発の嵐がヴァリアブルを包む。やがて爆発が晴れるとそこには地面に這いつくばるヴァリアブルの姿。

 

「誘……爆……」

「そろそろおしまいにしてあげるね!」

 

エフェクトがシグナライザーのレバーを上げる。隠されていたバッジが顕になると、上部のスイッチを押した。

 

<フィニッシュ オン!>

 

そのまま勢い良くレバーを下ろす。エフェクトの全身にエネルギーが充填された。羽を広げ舞い上がると、ヴァリアブルへと急降下。突き出した足にエネルギーが迸る。

 

<バタフライ!>

<シャットダウンシグナル!!>

 

体を起こしたヴァリアブルがヴァリアブラスターで受け止める。だがしかし、その威力は凄まじい。いとも簡単に押し切られ、ヴァリアブルが吹っ飛んだ。

 

「ぐあっ!!」

 

柱に叩きつけられ、轟音と振動が駐車場内に響く。

 

「う……うあ……」

 

苦悶の声を上げながらヴァリアブルは柱にもたれかかりながら尻もちをついた。手は力なくだらりと垂れ下がり、装甲には傷と亀裂が入っている。だがそれでも変身はまだ解けていない。

 

「うええ。まだ生きてるの? 頑丈過ぎ〜」

 

引いたような声でエフェクトが近づいて来る。

 

「まぁいいか。取り敢えずアイの指示を果たそ〜っと」

「し……じ……?」

「うん、そだよ。ヴァリアブルのドライバーを取ってこいってさ」

 

エフェクトの手がヴァリアブルの腰へと伸びる。止めようと必死に体を動かすがダメージの影響か動きが鈍い。このままでは間に合わない。

 

『させません!』

 

エフェクトが触れるその刹那、ドライバー内のトワルが力を発揮する。バチンッとヴァリアブルドライバーに電流が迸り、エフェクトの手が弾かれた。

 

「え?」

 

駐車場内にエフェクトの間の抜けた声が響く。

 

「何で……? 何で、ヴァリアブルの中にエルフがいるの?」

 

あからさまに狼狽えるエフェクト。そしてそれは紛れもなく大きな隙。

 

『ソート。今です!』

「ああ!!」

 

ヴァリアブルが最後の力を振り絞る。

 

<アクセス!>

<スパイダー!>

<ヴァリアビリティストライク!!>

 

ドライバーを操作したヴァリアブルはエフェクトへ向けて糸を発射。絡め取った糸を巻き取り、ヴァリアブルが床に引き摺られながら移動する。そしてエネルギーが迸る足で蹴りを放った。

 

「きゃあっ!?」

 

諸に攻撃を食らい、エフェクトが吹っ飛ぶ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

最早立つこともままならず、肩で息をしながら砂埃が晴れるのを待つ。砂埃が晴れるとそこには胸を抑えて苦しむエフェクトの姿。

 

「ああもう! 訳わかんない!! 帰る!!」

 

悪態をつくとエフェクトは羽を広げ踵を返す。そのまま飛び去り駐車場から姿を消した。ヴァリアブルが崩れ落ちる。

 

『ソート!』

 

ヴァリアブルの変身が解ける。創斗は力無く床に倒れ伏し意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

廃工場の中に戻ったエフェクトが乱暴に扉を開ける。その音にアンビシャスが振り返る。

 

「エフェクト、無事か? 怪我はしてないか?」

 

歩み寄って来たアンビシャスがエフェクトの様子を入念に見る。彼女の左腕が変な方向に曲がっていた。

 

「痛みはあるか? すぐに予備のパーツを出す。待っていろ」

「大丈夫、だいじょーぶ。相変わらず過保護なんだから……。じゃなくて! 大変なんだよ!」

「何があった?」

「ヴァリアブルの中にエルフがいたの!!」

「何だと!?」

 

エフェクトの言葉にアンビシャスの眉間が動く。その表情はそのままに近くの棚の引き出しを開ける。引き出しの中には腕や足のパーツが均等に並んでいた。アンビシャスはその中から腕パーツを取り出しエフェクトに渡す。

 

「それは本当なのか?」

「本当だよ! ワタシ、ウソつかない!!」

「つまり、ヴァリアブルはエルフを利用している……」

 

アンビシャスの顔が険しくなる。エフェクトは曲がった左腕を外すとアンビシャスから予備パーツを受け取り、取り付けた。

 

「そうみたい。どうすればいい?」

「……。ヴァリアブルについて何か気付いた事はあるか?」

 

取り付けた左腕をぐるぐる回し、不具合が無いか確認しながらエフェクトは言う。

 

「うーん。そう言えば、デンドーソースケを知っているかとか何とか言ってた」

「デンドー……ソースケ……。分かった調べてみよう。だが作戦は継続する。ヴァリアブルを倒した後にエルフごとドライバーを回収する」

「うん分かった! あ、そうだ。ねぇ、アンインストールモード使っていい? 今回のモッド。必要そうだから」

「アンインストールモードを? かまわん、遠慮なく使え」

「了解。じゃ、行ってくるね!!」

 

異常が無い事を確認したエフェクトが元気良く廃工場を後にした。

 

「あぁ頼んだぞ」

 

アンビシャスが服を捲る。そこにはシグナライザーが巻き付いていた。

 

 

 

 

 

 

 

「う……うぅん……」

 

創斗の沈んでいた意識が浮上する。重たい瞼を開けるとそこにはトワルの顔。こちらを心配そうに見つめていた。

 

「気が付きましたか」

 

トワルの口元が綻び、安堵の表情を作る。まだぼんやりする頭で創斗は自分の状況を探る。周囲を見るとどうやら大学の中庭らしい。トワルが治療してくれたのだろう顔や腕に絆創膏が貼られている。それとは別に背中から尻、そして足にかけて硬い感触。しかし頭には少しだけ柔らかい感触がする。上を向くとトワルの顔、自分は寝そべるような体勢。

 

「!?」

 

何かに気付いた創斗が飛び跳ねるように起き上がる。ばっと振り返ると不思議そうに小首を傾げるトワル。創斗は確信する。自分はトワルに膝枕されていたのだと。

 

「お、おまっ!? 何やって!?」

「何って……膝枕ですけど……」

 

みるみる頬を紅潮していく創斗。対称的にトワルはキョトンとした表情だ。彼女にそこまでの情緒はまだ育っていなかったようだ。照れを隠すように創斗は強く咳払いをした。

 

「大学の様子はどうなってる?」

「D.A.T.Aの人達がいたのが幸いしたみたいです。ひとまずは落ち着きました。軽度の怪我人は出たようですけど……」

「そうか。……取り敢えず、兎羽さんの所に行こう」

「兎羽さんの所に?」

「あぁ。前回は事の成り行きで情報が集まったから良かったけど今回は違う。D.A.T.Aの人達が情報提供してくれるとは思えない。だから、兎羽さんに直接聞くんだ」

「なるほど」

 

創斗とトワルはベンチから立ち上がると校舎へ向けて出発。校舎に入ると目的の人物はすぐに見つかった。ちょうど部屋から出てくる所だったからだ。

 

「兎羽さん」

「創斗くん。どうしたんだいその怪我!?」

「あー……ちょっと巻き込まれて?」

 

誤魔化す様に頬を掻く創斗。

 

「それよりあの怪人に襲われてましたよね? 何があったんですか?」

「ここだとなんだし、場所を変えようか」

 

兎羽に案内され、研究室に入る二人。兎羽は創斗達に椅子に座るよう促すとカップを二つ出し、コーヒーを淹れ始めた。暫くしてコーヒーの入ったカップが創斗の前に置かれた。

 

「怪人になったのは宇佐見 哲平(うさみ てっぺい)。僕の教え子だ」

「え……」

「創斗くんが出ていった後、入れ違いで入ってきたんだ。だけどすぐに部屋から出ていってしまって。その時の彼は挙動不審だったから心配になって後を追ったんだ。そしたら哲平くんが怪人に変身して……ね。その後は創斗くん達も知っての通りさ」

「そうだったんですね」

 

創斗はカップに口をつける。コーヒーの苦味が口に広がり、若干眉を寄せた。そんな彼を見ながら兎羽が真剣な表情を作る。

 

「哲平くん、なにやら思い詰めた顔をしていたんだ。まるで脅されてるみたいに。創斗くん、彼を助けてあげてくれないかい?」

「何でおれに?」

「ヴァリアブルの正体は君なんだろう?」

 

その言葉に創斗は目を見開いた。

 

「何で……それを!?」

「一目見れば分かるよ。だってあれは想助さんと僕、あの研究所にいた仲間達が開発を進めていたパワードスーツ、ライダーシステムなんだから」

「そりゃ、そうか……」

 

柔和な笑みを浮かべる兎羽を見て、創斗は自嘲気味に言う。

 

「どうして言ってくれなかったんだい? 相談してくれれば力になったのに」

「……そのせいでまた誰かに死んでほしくなかったからです」

 

創斗が俯く。

 

「父さんが死んだ原因の一つはおれが父さんに頼み事をしたからなんです。怖いんですよ。おれが誰かを頼ったせいでその人が死んだらって思うと……。だから」

「だから自分で調べる事にしたんだね?」

 

創斗の言葉を引き継ぎ兎羽が言う。彼の瞳には悲しみの色が見える。創斗が無言で頷く。

 

「あ、あの!」

 

見かねたトワルが声を上げる。

 

「ソートにはわたしがいます。だから心配しないでください。ソートは必ず死なせません!!」

 

自分の胸の前で拳を作り、トワルが力強く兎羽を見つめる。

 

「そうか……。分かったよ。色々ごめんね」

「いえ。怪人にされた人の事は任せてください」

 

創斗は椅子から立ち上がるとトワルの隣に並ぶ。

 

「おれ達が必ず解決してみせますから」

 

二人が不敵に笑う。その時、甲高い悲鳴が聞こえた。

 

「怪人が出たみたいです」

 

トワルが言うと、創斗はトワルの腰からヴァリアブルドライバーを外して自分の腰に巻き付ける。そしてスパイダーメモリアライズバッジを起動させた。

 

<スパイダー!>

「『変身!」』

<世界を守るライダー! 我らを繋げるスパイダー!!>

<メモリアライズ! バッチグー!>

 

変身を遂げるとヴァリアブルは外へと飛び出していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇佐見 哲平は大学の裏手にある物置き小屋で踞っていた。頭を抱え、青い顔をしている。

 

「なんで……どうして……」

 

こうなったんだ。それはすべてが自業自得という訳では無い。確かに未成年である彼が煙草を吸ったのは悪い事ではある。だが、それによってここまで取り返しがつかない事になるとは思っても見なかったのだ。

 

「あ~、こんな所にいたんだ〜」

 

物置き小屋にエフェクトが顔を出す。彼女の表情は楽しげな笑顔。

 

「ひぃ!?」

 

エフェクトの姿を見るなり、哲平は怯えた顔で後退る。

 

「ひっど〜い! そんな反応するならバラしちゃおっか? モッドの正体が君だって」

「や、やめてくれ!」

「ならそんな反応してないで、さっさと破壊活動再開してよ」

「くっ……くそっ!!」

 

哲平が今にも泣き出しそうな表情で腰にモッドライザーを巻く。

 

<モッドライザー!>

 

続けて兎のレリーフが刻まれたクリアグレーのメモリアライズバッジを取り出し、起動する。

 

<ラビット!>

 

モッドライザーにバッジをセット。哲平の背後にエネルギー状の兎が出現する。アンダースーツを纏った哲平の頭にチューブが突き刺さり、怪しいエネルギーが流れ込む。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」

「それじゃあ、でんれ〜い!」

 

悲鳴を上げる哲平の元に歩み寄り、モッドライザーを代わりに操作しながらエフェクトが楽しげに言った。

 

<ハック! クラック! バーサーク!!>

<アーシリーコード:ラビット! ダウンロード!!>

 

エネルギー状の兎がバラバラとなって哲平に張り付き、ラビット・モッドへ変貌する。

 

「ハァ……ハァ……」

「ほら行った行った」

 

エフェクトに促されラビット・モッドが物置き小屋から出ていく。

 

「キャァァァッ!?」

 

するとすぐに人目に付き悲鳴が上がる。

 

「出たな怪人!」

 

駆けつけたのは心護らD.A.T.Aの隊員達。アサルトライフル型の特殊な銃を構える。

 

「撃て!」

 

心護の号令の元、次々と発砲。銃弾がヒットするもラビット・モッドに効果は薄い。

 

「コノォ!」

 

ラビット・モッドが心護達へ向かっていく。

 

「あらよっと!」

 

そこに割って入ったのはヴァリアブル。ラビット・モッドの拳、いなすとカウンターパンチを鳩尾へ叩き込む。その攻撃でラビット・モッドが後退した。

 

「ヴァリアブル!」

「やっぱり来た。お前の相手はワタシだよ」

 

ラビット・モッドの後ろからエフェクトが現れる。彼女の腰には既にシグナライザーが巻き付いていた。

 

<バタフライ!>

 

メモリアライズバッジを起動するとすかさずシグナライザーにセット。エフェクトの背後から無数の蝶が出現し、纏わりつく。

 

「変身」

<Wake Up! バタフライ・エフェクト!!>

<アーシリーコード、シグナライズ!>

 

その姿を仮面ライダーへと変身させたエフェクトがホルスターからエフェクタールガンを引き抜いた。

 

「なんだあいつは!?」

 

エフェクトの姿を見て、心護が驚きの声を上げる。

 

「初めまして、役立たずのD.A.T.A諸君。ワタシは仮面ライダーエフェクト。よろしくね〜♪」

「仮面ライダー!?」

 

心護がヴァリアブルとエフェクトを交互に見る。そんな彼へエフェクトが銃口を向けた。

 

「まぁ、生きてたらだけどね……」

「させるか!」

 

銃撃音がなる。ヴァリアブラスターを取り出したヴァリアブルが放たれた銃弾を斬った。

 

「もう少し離れろ! 守りきれない!!」

「あ、あぁ……」

 

心護達が後退する。

 

「おい、宇佐見 哲平!」

 

ヴァリアブルに呼びかけられ、ラビット・モッドがビクリと肩を強張らせた。

 

「お前の事は兎羽さんから頼まれてる。何で暴れてるのかは知らないけど助けてやってくれって」

「エ?」

「だから言え。助けてくれって! 安心しろ必ずおれ達が助けるから!!」

 

その言葉にラビット・モッド――哲平から戦意が失われ、両手を下げる。

 

「タ、タスケテ……タスケテクダサイ!」

 

哲平が叫ぶ。その様子にエフェクトが大きなため息を吐いた。

 

「はぁ〜。そーゆの要らないんだけど。アンインストールモード」

 

面倒くさそうに嫌そうに投げやりにエフェクトが言葉を放つ。瞬間、ラビット・モッドの目が赤く輝き、ベルトから頭部へ繋がるチューブにこれまで以上のエネルギーが流れ込む。

 

「アガガ!? ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛!!!!!」

 

途端に頭を押さえて苦しむラビット・モッド。

 

「ココココ、コロスコロスコロスコワスコロスコワスコロスコロスコワス!!!!!!」

 

挙動不審な動きをしたと思えば突然大きく動き出すと高く跳躍。空中で脚を振り回し、エネルギー状の一撃が放たれた。その攻撃は大学の校舎を破壊。今まで以上の悲鳴が響き渡る。

 

「なっ!? おい、何をした!」

「これがアンインストールモード。モッドに与えてる闘争本能を限界以上まで付与する事でこれまでよりも更に上の戦闘力を発揮出来るようになるのだ」

 

エフェクトが自慢げに胸を張る。

 

『待ってください! そんな事をしたら哲平さんは!!』

 

ハッとしてヴァリアブルがラビット・モッドを見る。悲鳴を上げながら暴れるその姿は人間離れした動きをしている。

 

「このままだと……死ぬ……」

 

仮面の奥で唇を噛み、創斗は険しい表情をした。

 

「何で! 何でこんな事をするんだ! お前の目的はなんだ!!」

「全人類の削除だよ」

「削……除……?」

「うん、そうだよ。ワタシ達アーシリーコードの目的はね、全ての人間を削除してこの星の覇権を手に入れる事なんだ!」

 

楽しそうにエフェクトが笑う。

 

「そんな事はさせない。宇佐見 哲平もおれ達が助ける!」

 

ヴァリアブルがクリアオレンジのメモリアライズバッジを取り出す。

 

<ホーク!>

「おっと、そうはさせないよ!」

 

ベルトへセットしようとするヴァリアブルへエフェクトが発砲。攻撃が邪魔でフォームチェンジが出来ない。

 

「くそっ!」

 

悪態を付くヴァリアブル。見かねた心護が覚悟を決めた顔で動く。銃口をエフェクトへ向けると引き金を引いた。銃弾はエフェクトの装甲に阻まれる。彼女には傷一つ付いていない。

 

「うっざ〜い」

 

すかさず反撃。エフェクトの放った弾丸が心護の肩を掠める。だがそれだけでも生身の人間にはかなりのダメージ。心護は肩を押さえて苦悶の表情をする。

 

「ヴァリアブル、今だ!」

 

彼の目的はエフェクトを引き付ける事。そうすればヴァリアブルの手が空く。

 

<スタートアップ・ローディング!>

<スタートアップ・ローディング!>

「ありがとう、戎さん」

 

ホークメモリアライズバッジをドライバーにセット。ヴァリアブルの背後から設計図が出現。設計図はバラバラになり鷹の姿を形成してヴァリアブルの周りを旋回する。

 

<空から決めろアタック! 獲物を狙えホーク!!>

<メモリアライズ! バッチグー!>

 

グリップを押し込み、バッジがドライバーの中央へスライドした。鷹は再びバラバラになるとヴァリアブルの装甲となって纏わりつく。

 

「『たった今、勝利の道は繋がった!!」』

 

ヴァリアブルの背中が展開し、エネルギー状の翼が広がる。そして飛翔した。

 

「うえっ!?」

「ハァッ!!」

 

驚くエフェクトへ急接近。ブレードモードのヴァリアブラスターを振り下ろす。斬撃がエフェクトの装甲を火花散らす。

 

「こんにゃろう!」

 

エフェクトが羽を出現させるの放たれるのは誘爆性を持つ粒子。

 

『それはもう対策済みです』

「おれ達に二度目は効かない」

 

ヴァリアブルが翼を羽ばたかせる。風に乗って粒子が霧散していく。その間に再び距離を詰め渾身の一撃を叩き込んだ。

 

「キャア!!」

「次はお前だ! トワル、ルート展開!!」

 

標的をラビット・モッドへ変更して、ヴァリアブルが空を駆ける。

 

『了解です。ルートを展開します。ソート、決めてください』

「あぁ!!」

 

ヴァリアブルの視界に複数の道筋が表示される。その中から一つを選び、不規則に暴れるラビット・モッドの攻撃を躱してヴァリアブラスターを叩き込む。

 

「ギャァァァァ!!!」

 

更に一撃。今度は回し蹴り。胴に炸裂してラビット・モッドがもん通りを打つ。

 

「終わらせる」

<アクセス!>

 

エネルギーがヴァリアブルの足へ集約される。ラビット・モッドの周囲を旋回すると勢いをつけてキック。

 

<ホーク!>

<ヴァリアビリティストライク!!>

 

必殺技がラビット・モッドを捉えた。ラビット・モッドが爆発。煙が晴れると生身の哲平が気絶している。

 

「ちぇ〜。また負けちゃったか〜。じゃあね〜」

 

羽を広げるとエフェクトが飛び去る。だがそれを許すヴァリアブルでは無い。

 

「待てよ。どこへ行くつもりだ」

 

ドスの利いた声を出しながらヴァリアブルが翼を広げて追いかける。空中で激しくぶつかる両者。

 

「んな!? 追ってこないでよ! このストーカー!!」

「ふざけんな。お前のせいで色んな人が傷ついてるんだぞ!!」

 

エフェクタールガンを躱しながら斬りつけるヴァリアブル。彼の激しい怒りが重い一撃となって放たれる。

 

<ホーク!>

<ヴァリアビリティスラッシュ!!>

「うわぁぁぁ!?!!」

 

胴に炸裂。エフェクトが空中から落下していく。追いかけんとしようとしたその時、

 

『ソート! 警戒!!』

 

左翼に何かが触れた。刹那、左の翼が機能を失った。

 

「!?」

 

バランスが崩れ、重力に従って墜落を始めた。不規則に落ちる中、顔だけを動かしヴァリアブルは攻撃が来た方角に目を向ける。そこでヴァリアブルは見た。ビルの屋上で踵を返す赤い装甲を纏った戦士の姿を。その姿は、

 

「仮面……ライダー……」

 

その姿はエフェクトによく似ていた。規格が一緒なのだろうがだとすればそれは間違いなくアーシリーコードのエルフ。

 

『ソート!』

 

トワルの言葉にヴァリアブルは現在の状況を思い出す。スパイダーメモリアライズバッジを取り出すとフォームチェンジ。スパイダーになると近くの看板に糸を発射。

 

「ぐおっ!!」

 

重力と巻き取り機能がせめぎ合う。ヴァリアブルは歯を食いしばり耐える。そして、地面スレスレで墜落の停止した。

 

「ふぅ~」

 

地に足をつけ安堵の息を吐くヴァリアブル。彼らが空を見上げると遠くへ飛び去っていくエフェクトの姿が見えた。今から追いかけてもおそらく無理だろう。追跡を諦めたヴァリアブルは今度は大学の方角を見る。そちらの空には黒煙が立ち昇り、被害の大きさを物語っている。

 

「……なぁトワル。相談があるんだけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大学では心護達D.A.T.Aの隊員達が引っ切り無しに動いている。瓦礫を退かし下敷きになった者の救出や逃げ遅れた人の探索等を行なっている。D.A.T.Aの隊員達だけでなく救急車も沢山来ていた。そして、最後の一人、宇佐見 哲平が搬送されるとようやく一段落着いた。

 

「にしても、今回はかなりの被害だったな……」

 

大学の校舎を見て、心護は思わず顔を顰める。校舎は大部分が破損しておりしばらく授業を行うのは難しいだろう。と、そこに人影が現れた。居たのはヴァリアブル。

 

「お前……」

 

心護は訝しむ。いつもの流れならヴァリアブルは人知れずいなくなるのだから。そんな心護の前でヴァリアブルは徐ろにドライバーを外した。そしてそ創斗の姿が露わになる。

 

「お前は!?」

 

心護が目を剥く。創斗は真っすぐな視線を心護に向けると口を開いた。

 

「D.A.T.A。あんた達と取引がしたい。一番偉い人に取り次いでくれ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。