HERO is mask   作:カレー味を堪能して生きていく

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息抜きで書いたので駄文です。分かりにくかったら私の責任だ。


1話 「灰に塗れた夢の防人」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんだぁ、扉?か」

 

 居酒屋帰りの酔っ払い目の前に建物があるわけがない車道に突然2.5メートルほどの扉が現れる。

 

 「どけぇ〜。ジャマダァ〜」

 

 酒に飲まれ気分が向上していた男性は、進路を妨害されたことにイラ立ち、その扉を蹴る。

 その衝撃で扉が開く。いや、向こう側から開けられる。開いた隙間から考えられないほど太く、鎧のような刺々しい腕が男性を目掛け伸びる。

 

 「ーーガッッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その2014年から、世界各地で何もない空間から扉が出現する不可思議な現象が起きた。

 出現する「だけ」なのであればオカルトを取り扱うテレビ、雑誌の片隅にポンと載せられ一時のお祭りで終わっていた。

 ただ「だけ」ならば…

 

一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一

 

 

 

 「っ眠たい…はぁ…」

 

 ぽつりと、1人オフィスで机に突っ伏しながら女性が呟く。

 ちろりと振り向き、時計を見てはため息をつく。お洒落な木目の時計は、出勤がてらに確認した時から3周目の午前3時を示していた。

 

 「もう20時間以上から数えてな〜ぃ」

 

 現代の日本では法に触れるぐらいの労働時間一一現代ならではでもある一一を口にする。

 視界を元の位置にもどすと、そこには20センチは裕に超えている紙でできた情報の山。

 

 「この令和の時代!まだ紙で情報整理してるトコ、うちぐらいでしょうよ!ネットで晒しあげてやろうか」

 

 愚痴を漏らしながら、乱雑に資料とノートパソコンを鞄に入れ、退社確認名簿に自身の名前「早苗 真理」のプレートを貼り、立ち上がる。 

ようやくの帰宅の支度に頬を緩ませながら自宅で過ごす予定を子供がパズルをするように組み立てていく。

 

ーーーーーーー

 

 

 

 外に出ると、地面と擦れるタイヤ、巨大スクリーンの広告、若めの男女の会話、様々な事柄が入り混じる音が耳に入ってくる。

 

 〝今日〜もまた!みなさんお待ちかねの異生物退治の情報がー!ーーっー〜〃

 

 その雑音の中でも興味を引く、ニュースに意識を向ける。

 

 〝そして今日は、栄誉ある対異生物科の方にコメントしていただきました〜!それでは今回の件について何かコメントを!!″

 

 対異生物科…20年前に突然現れた扉から出る異世界から出る生物、名称「異生物」に対抗する為、結成された国が運営する仕事だ。

 

 (対異生物科?あ〜アレね〜。)

 

 今やこの世界の常識と言われ、子供たちの興味を惹く話題だが興味の無い事にはテキトーな真理。曖昧な記憶を頭から引っ張り出しながら、また意識を向ける。

 

 〝今回の敵は炎の対策さえできていれば、さして問題なく倒す事ができました。冷静に判断出来たことが大きいでしょう。″

 

 〝なるほど!扉はいきなり現れますからねぇ。応用力が必要と…。やはり想像ができないほどの訓練されてきていたのですかね?″

 

 〝何かに負けないように訓練は欠かしませんでしたね。誰かを助けることが出来る人になることが「夢」でしたので!″

 

 〝いや〜素晴らしいですね!かく言う私の娘も対異生物科の助けでーー!〜ーー″

 

 「命張りながら世の中の為に戦える思考が理解できないなぁ。ま、そのおかげで私、今日も残業してまーす」

 

 感謝なのか恨み言なのか。そんなことを口にしながら〝夢″ という言葉に思考が奪われる。

 

 「…夢なんてな〜ぁ〜」

 

 元々の夢、美容師になりたかった昔の自分と金属加工会社に勤める今の自分を見比べてた言葉は街の夜風に溶けていく。

 

 

ーーーーーー

 

 郊外の山の付近にある家に帰るための帰り道を車で走る。いつも通りの光景にあくびをする。だが突然トンネルに入った瞬間に視界が光に包まれる。

 

 「ッー」

 

 目を顰めつつも、幸い距離があったので危険がないようゆっくりブレーキをかける。

 

 「なになに、扉?」

 

 異常がないか近くで確認する為に、車から出て見ると、扉があった。いきなりのことに頭を回す。

 

 (何故扉?さっきまで無かったし、こんな所に建てる?…ていうかどこかで)

 

 扉の向こうから音がする。

 

 〝扉はいきなり現れまからねぇーー″

 

 扉が開く。

 

 〝扉はーーー″

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さっきまで立っていたところは、地面が大きくひび割れ、異形がいた。

 

 「ッぁはッーはぁはぁ」

 

 息を吸う。

 咄嗟に横に飛び込んで難を逃れていたが少しでも遅れていれば、自分の頭があの地面のようになっていた。その恐怖感が危機感に続いて遅れてやってくる。

 なんだアレは?

 そのトンネルの濃いオレンジ色の光に照らされはっきりと見えた姿は、全身が灰色で羽毛のようなものが見え、鳥類の特にフクロウに似ている。ここまでの特徴はいい、が膨らんだガスや放射線から身を守るための防具服に身を包む人型であり、まさに異常な姿だ。

 

 「もしかして、に人、間、だったり、はぁはぁしなぃーーー

 

 言葉の途中で異形が静かに獲物を狙う鳥のように低空飛行でこちらに向かって突進してくる。

 ここまで見せつけられた、真理の頭の中には先程までの考えは無くなってしまった。

 

 (どうしよう!どうしよう!どうしようーー)

 

 頭には別に恐怖と混乱が残る。

  逃げる。その選択肢に行き着くのは、異形が真理の頬を切りながら通り過ぎた後だった。

 

 走る。トンネル内から出る。走る。草むらがガサガサとズボンに当たる。走る。走る。

 

 振り向くと少し離れた所に異形が静かに飛んでいる。

 その口は、嗤っているように見える。

 ここまで追いつかれないのは遊ばれているから、そう理解する。

 異形の驕りに感謝することしか真理は出来ない。

 

 異形の姿が見えなくなるまで逃げ続けた先に不良の溜まり場にされてそうなボロ屋を見つける。

 もう、体力の限界がきていた真理はそこへ駆け込む。ただでさえ高校生の体力テストではビリケツの真理にしては頑張った方である。

 

 入ってすぐに角っこに蹲る。咳が出そうになる。心臓が恐怖を語りかけるように大きく鳴る。それらを全て我慢する。

 

 悪い夢であれ。そう真理は、願う。

 

 いきなり視界が黒くなる。疲れて眠ったわけではない。黒煙が周りに充満している。

 

 (さっきからもう、眩しかったり、暗くなったりなんなんのよッ!!)

 

 そんな超次元的な体験に恐怖が怒りに変わりイラつきを感じる。

 

 灰色の手が後ろから伸びてくる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 もの凄いエンジン音をバックに壁が突き破れ、異形を巻き込んで弾き飛ばす。

 振り向くと、バイクに乗った青年。黒いコートにジーパン、動きにくそうなベルトに、首から銀色のネックレスを付けた、少し長めの茶髪の青年がいた。

 

 「おい!!何やってんだ!こんな所で!」

 

 男性に怒声に近い調子で言葉が投げかけられた。それに対して真理は、さっきまでの出来事で動けない。

 バイクから降りて近づいてくる。もう、異形の次はヤンキーか?諦めの感情で身体が動かない。

 

 「お前は隠れてろ!」

 

 そんな自分を見かねた男は、真理の腕を掴み、バイクのそばに投げるように置く。

 

 「ぁあ、ま、真理」

 

 オーバーフローした真理は、感謝などではなくお前と言われたことに名前を返す的外れな回答をする。

 

 「真理?……」

 

 男の身体が少し固まる。

 がすぐに、草むらから先程の異形が男を目掛けて飛んでくる。

 舌打ちをしながら男は避け、蹴り飛ばす。

 

 「ガラケー?」

 

 コートの中から今の時代レトロの代表と名高いのガラケーと呼ばれる携帯型のモノを出す。

 乱雑に開き、ボタンを押す。

 

 5、機械音が鳴り響く。

 

 5、異形が立ち上がる。

 

 5、男が異形を睨みつける。

 

 Enter、「Standing By」深みのある男性の声が響く。

 

 携帯を天に掲げるように突き上げる。

 

 「変身ッ!!」

 「Complete」

 

 ベルトに挿し込み、倒す。

 

 赤き光が鎧になり、新たな姿を作り出す。

 どこか鮫に似た覆面の近代的でスタイリッシュな見た目へと男は変身した。

 邪魔な袖を下ろす様な動きで腕を伸ばす。

 

 「オラッア!」

 

 男は、走り出し形は綺麗ではないむしろゴロつきのような拳を相手に食い込ませる。

 その威力に、異形はよろつく。

 負けじと羽毛を飛ばし攻撃するが、全て躱しきり、もう一度拳を振り下ろし、首に腕を巻き付けて、ボロ屋に叩きつける。

 ボロ屋に入った2つの影が1つになった。

 男が周りを見渡すと後ろから飛びつかれ羽毛の攻撃を近くで受けてしまう。

 退かそうとしたその時、男の目の前が見えなくなる。

 

 「なんだよこれ!!」

 

 黒煙を充満させ、いつの間にか空にいた異形は、男を目掛けて突進することを繰り返して攻撃する。

 

 「この、舐めんなよ!」

 

 口ではそう言うが辺りが見えず攻撃は当てられないのに喰らう状況になっている。 

 

 「ぐっ!」

 

 痛みと衝撃に耐えながら携帯にとあるパスワードを入れ込む。

 

 異形は、少し体勢を整えて、一段とスピードを上げて突っ込む。

 

 「うがぁ」

 

 先ほどの痛みより大きな痛みを感じるが男はイラつくことなく、むしろ喜んでいた。

 

 もう一度。異形は、体勢を整える。

 コレで終わり、ほそくそと微笑む。

 そして、スピードを二段と上げ、突っ込むが途中で銃撃に遭い撃ち落とされる。

 

 「バーカ!ザマーみろ!」

 

 先の攻撃が当たらないイラつきから煽りながら立ち上がり、大振りのパンチを2回繰り出し、3度目で異形は抜け出し、空に舞おうとする。

 

 「逃すか!」

 

 それを許さず、足を掴む。

 

 「うっこのヤロー!」

 

 その手を退かす為に足で異形が手を蹴るが力任せに地面に放り投げられる。

 男は、邪魔な木片を蹴り倒し、異形を見つめる。

 トドメだ。そんな気を感じ取った異形は、激昂して男に向かう。

 

 右腰にセットしてあるポインターに携帯型の道具のチップを移し替えるとポインターが伸びる。

 

 「Ready」

 

 右足に捻り装着する。

 携帯を開き、Enterを押す。

 

 「Exceed Charge」

 

 大股で腰を下ろし、太腿に手を置く少しダル目に見える体勢をとりながらポインターに光を集める。

 

「はっ!」

 

 甲高い音と同時に飛び上がり空中で回転する。そして脚を伸ばして、ポインターから光を出し、相手を捕捉する様に円錐状のプログラムが広がる。

 

 「だぁああぁあああああああああ」

 

 キックをすると円錐が穴をこじ開ける様に高速で回転する。

 為す術無い異形を貫通し、着地する。

 大きく赤色でΦが描き出される。

 対象に異形からは青い炎が燃え上がり、やがて灰になる。

 

 「おい!ま、お前!今時危ねぇんだよ1人で出歩くなよ!」

 

 変身を解いて元の姿になった男が放心状態の真理に話しかける。

 

 「あなたも1人じゃない!」

 

 戦いが収まり恐怖から解放された真理は言い返す。

 

 「あんだけ、怖がっておいて言い返せるなんてな。俺は倒せるからいいんだよ!」

 

 「何を言うーッー!」

 

 「こんのビビリが!どうなっても知らないからな!」

 

 戦いが終わっても静かさはない。だが、先のうるささとは違う温かい雰囲気が漂う。

 

 ひと段落ついた後、何処か突っぱねる様な言い方で男はバイクに跨がり、去る。

 

 「ねぇ!ちょっと、待ってよ!ッ」

 

 急いで引き留めようとしたからか気の根っこに脚を取られ、持っていたバッグの中身が飛び出しながら転んでしまう。

 それに男が釣られて少しだけ立ち止まる。

 

 「大丈夫かよ…」

 

 バイクから降りて来て、散乱したものを片付けている真理を手伝う。そして、そのものの中の雑誌を見て少し動きを止める。

 

 「……」

 

 「それ、私が大事にしてる美容師の本。ちっちゃな頃に憧れて、夢を見て、昔なりたくて、なんか捨てられないから今も持ってる」

 

 「なりたかった、か今は違うのか?」

 

 「大人になるほど現実見ちゃってさ。諦めちゃった」

 

 少し悲しげに語る真理に男は言う。

 

 「夢を持つとな、時々すっごい切なくなるが、時々すっげぇ熱くなる……らしいぜ」

 

 「俺には夢が無かった。今もイマイチ分かってねぇ。けど、そんな顔できんなら諦めちゃいねーだろ」

 

 「なんだよ」

 

 「私は、真理、早苗 真理」

 

 ゆっくりとできなかった名乗りをする。

 

 「だから、なんだよ」

 

 「察しが悪いわねぇあんた。名前よ。

 な•ま•え」

 

 「知るかよ、勝手にそっちが名乗ったんだろ。」

 

 「………巧、乾巧だ」

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