わんだふるぷりきゅあ!!~わんだふる♡わーるど~   作:重要大事

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第13話:いらない友達

第13話:いらない友達

あらすじ

 

7月上旬

アニマルタウン 犬飼家

 

 真夏の太陽がじりじりと地面を焼く昼下がり。

 犬飼家の庭では蝉の声が響き、時折吹く風がわずかに暑さを和らげていた。

 けれど、その静かな家の中では、まるで時間が止まったかのような静寂が広がっている。

 いろはの部屋に置かれたニコ専用の住居 「ダイヤモンドリボンキャッスル」。

 その中で、『ニコガオガオーン』へと変貌し、暴走した主が、今は力なくベッドに横たわっていた。

 彼女の咆哮が響いた日は、まだ遠い記憶ではない。

 闇に支配され、アニマルタウンを破壊の限りを尽くしたあの日。

 わんぷりメンバーは決死の覚悟で挑み、土壇場で新たな力――「ミラーストーンスタイル」に覚醒。

 その光がニコを包み込み、暴走する彼女の魂を浄化した。

 しかし、闇に蝕まれた傷跡は、未だ深く彼女の中に残っていた。

「すー……はぁ……」

 寝息は浅く、どこか苦しげな響きを含んでいる。

 額には冷たいタオルが置かれているが、熱はまだ下がりきらず、毛並みも普段より少し乱れている。

 リボンの端には、なお消えきらぬ闇の残滓が微かに漂っていた。

 時折、小さく身じろぎするものの、目を開ける気力もないのか、そのまま再び静かに呼吸を繰り返す。

 鏡石の光は、確かにニコを元に戻した。

 だが、完全に闇の支配から脱しきったわけではない――。

 キャッスルの入り口では、集まったわんぷりメンバーが心配そうに見つめていた。

「……ニコ様、大丈夫かなぁ」

 人の姿でこむぎがぽつりと呟く。

 いつもの元気は影を潜め、自分の手をぎゅっと握りしめていた。

「まだ熱があるし……完全に回復するには、もう少しかかるかもね」

 まゆは客観的な状況から、落ち着いた声で言う。

「ガオガオーン化の影響ね。ミラーストーンスタイルの力で元に戻れたけど、体への負担は相当だったみたい」

 ユキが腕を組みながら、考えるように呟く。

「……わたしたち、ちゃんとニコ様のこと、助けられたのかな?」

 いろはが不安げな声でつぶやいた。

 その言葉には、自問するような迷いが滲んでいる。

「……当たり前だろ。あのまま放っておいたら、もっと大変なことになってたぜ」

 壁にもたれかかったまま、大福が目を閉じてそう言う。

 けれど、その声にはどこか張り詰めたものがあった。

 かなえは静かにキャッスルを見つめたまま、何も言わなかった。

 彼らの間に沈黙が広がる。

 ニコが元に戻ったことは確かだ。

 けれど、それでもなお、彼女の身体には見えないダメージが残っている。

 それがどれほど深刻なのか、今はまだ誰にも分からなかった。

「……これから、どうなっちゃうんだろう」

 ふいに悟がつぶやく。

 その言葉に、皆の視線が彼に集まった。

 悟は腕を組み、眼鏡をくいっと微調整してから静かに口を開く。

「ひとまず、当面の問題はニコ様の回復を待ちつつ、敵の正体が何なのかを突き止める必要があると思う。鷹目さんが遭遇した黒衣の男……それが、九分九厘でフューザーガオガオーンを作り出し、ニコ様をガオガオーンにした張本人であることは、まず間違いない」

 悟は以前にも謎の男を目撃しており、自分の目でその男がフューザーガオガオーンを作り出していたことを知っていた。

「かなえちゃん。実際どんな感じだった?」

 いろはが問いかけると、かなえは一瞬、言葉を選ぶように間を置いた。

「……妖気森然。その目は氷のように冷たく、全身の細胞が瞬時にざわつくような錯覚を抱いた。だが、妙なことに私は以前にどこかで遭っている気がしてならないんだ」

「そうなのか?」

 大福が目を細める。

「仮にそうだったとして、その男がどうしてフューザーガオガオーンを作り出して、このアニマルタウンで騒ぎを起こす必要があるの?」

 ユキが冷静に問いかける。

「ユキ様の言う通りです。第一、ニコガーデンを襲撃した理由もわかりません」

 メエメエが眉を寄せ、じっと考え込む。

「うぅ~……わからないことだらけだよ」

 こむぎが頭を抱えるように言う。

「一難去ってまた一難、だね」

 悟が軽くため息をつきながら眼鏡をくいっと微調整する。

「早くニコ様が元気になって、みんなを元の平和なニコガーデンに戻してあげたいけど……」

 いろはの声には、焦る気持ちが滲んでいた。

「だいじょうぶキラ!」

 しかし、キラリンウサギがぴょんと跳ねるように言う。

「プリキュアのみんなのおかげで、ニコ様が戻ってきてくれたキラ」

 キラリンハムスターが力強く頷く。

「今はそれだけでじゅうぶんですキラ」

 キラリンスワンが落ち着いた声で言うと、場の空気が少し和らいだ。

 そのとき、部屋の扉が開く音がした。

「ねえ、みんな。ちょっといいかしら?」

 穏やかな笑顔を浮かべながら、陽子と剛が部屋へ入ってくる。

「もしよかったら、明日あたりキャンプにでも出かけない?」

「え……?」

 陽子の提案に、いろはが目を瞬かせる。

「ずっと家の中で暗い顔してても、ニコちゃんだって嬉しくないだろ?」

 剛は静かに、しかしはっきりと言った。

「……でも、ニコがこの状態で……」

 いろはの声に、キャッスルの中で寝込んでいるニコを気にかけながらも、メエメエがすかさず言葉を挟んだ。

「ご安心ください! ニコ様はこの執事たるわたくし、メエメエがしっかりと診ておりますから、大丈夫です。なので、いろは様もこの機会に、どうか息抜きをなさってください」

「メエメエの言う通りキラ!」

 直後、キラリンライオンが大きく頷く。

「プリキュアのみんなはよくやってるキラ! 少し休んでも罰は当たらないキラ!」

 キラリンコジカが力強く言い切る。

 彼らの言葉に後押しされ、いろはは少し肩の力を抜いた。

 その優しさが、張り詰めていた空気をわずかに和らげる。

「……そうだね。ずっと張り詰めてても、いいことないし……」

 いろはがそう呟くと、すぐにこむぎがパッと顔を上げた。

「じゃあ決まりだね! わーい、キャンプだー!」

 勢いよく両手を上げ、はしゃぐこむぎに、まゆとユキも微笑んで頷く。

「こういう時こそ、気分転換も必要だよね」

「いいんじゃない。せっかくの機会だし」

 悟は少し考えた後、眼鏡をくいっと微調整しながら言った。

「……今は、一度気持ちを切り替えるのも大事かも」

 壁にもたれかかっていた大福も、腕を組んだまま軽く頷く。

「ま、たまにはこういうのもアリか」

「そうだな。考えるのは少しあとでもいい」

 かなえが静かに言葉を添える。

 こうして、わんぷりメンバーは陽子と剛の提案を受け、キャンプへ向かうことになった。

 

           ◇

 

翌日──

アニマルタウン郊外 オートキャンプ場

 

 雲ひとつない青空が広がり、陽射しが緑の木々に降り注ぐ。

 オートキャンプ場に到着すると、心地よい風が草木を揺らし、遠くから川のせせらぎが聞こえてきた。

「わーーい!! キャンプだキャンプだーーーっ!!!」

 こむぎが勢いよく両手を上げて飛び跳ねる。

「はしゃぎすぎて転ばないでよね」

 ユキが苦笑しながら言うが、その口元もどこか楽しそうだった。

「こむぎ。着いたら、まずはテントを張るのが先だよ」

 いろはが周囲を見渡しながら言う。

「えぇーっ、遊ぶのが先じゃないの?」

 こむぎが頬を膨らませると、悟が眼鏡をくいっと押し上げながら言った。

「先に拠点を作っておかないと、後で困ることになるよ」

「そうそう。まずは準備だ」

 剛が頷きながら、車から荷物を下ろす。

「こむぎ。終わったら思いっきり遊べるんだ。ちょっとだけの辛抱だぜ」

 大福が軽く肩をすくめて言うと、こむぎは少しむくれながらも渋々頷いた。

「うー……わかった」

 こうして、わんぷりメンバーはキャンプの準備に取り掛かるのだった――。

 テントを張るためにロープを引いたり、ポールを組み立てたりしている最中、まゆがふと周囲を見回しながら口を開いた。

「そういえば、この辺、随分山奥ですよね? キャンプ場というより、ただの山っぽい……」

 確かに、キャンプ場の入り口には案内看板があるものの、整備されている様子はほとんどなく、背の高い木々が生い茂り、さながら未開の森のような雰囲気だった。

「ははは。そう思うのも無理はないよね。でも安心して、まゆちゃん。ここも立派なキャンプ場だよ」

 剛が笑いながら、手を止めずにペグを打ち込む。

「市区町村が管理してる場所で、汲み取り式のトイレはあるけど、水道はないんだよ」

「それはそれで問題がある気がするような……」

 いろはが少し困った顔をする。

「まさか思いますけど、クマなんて出ないですよね?」

 まゆが若干警戒した様子で尋ねると、剛はさらりと言ってのけた。

「いや、たまに出るみたいだよ。そのせいもあって不人気でお客さんが来ないんだ」

「えー! クマ出るんですか!?」

 まゆが声を上げ、周囲の空気がぴしりと固まる。

「クマは駄目です! 爪で引っかかれて、放り投げられて、内臓垂らしながら木にぶら下がることに!」

「ちょ、ちょっとまゆ、落ち着きなさい」

 ユキが苦笑しながら肩をぽんぽんと叩く。

「まゆちゃん、あまりネガティブに考えすぎないで」

 陽子も優しく声をかけるが、まゆの表情はまだ引きつっている。

「猫屋敷さんが思ってるのは、きっとヒグマのほうだよね? 本州にいるのはツキノワグマのほうだから」

 悟が眼鏡をくいっと押し上げながら説明する。

「それでもクマはクマでしょう!」

 まゆは即座に反論。

「ツキノワグマは積極的に人を襲ったりはしないんだよ。だから、クマよけの鈴とか撃退スプレーを使って対応するんだ」

「まゆ、いつも『こわくない、こわくない』って言ってるよ。クマさんともお友だちになれるって!」

 こむぎが天真爛漫な笑顔で言うと、まゆは目を見開いた。

「プリキュアに変身してないときにそれはハードル高いって! 鷹目さんもそうでしょう!?」

 助けを求めるようにかなえに振ると、彼女はいつも通り冷静な声で答えた。

「私は狩人だ。いざというときは、仕留めてやるから安心しろ。そしたら存分にクマの心臓をかぶりつけるぞ」

(そうだった……この人はそういう人だったんだ!)

 まゆは心の中で絶望しつつ、さらに顔を青ざめるのだった――。

 

 しばらくして、全員が協力して設営を進め、ついにテントが完成した。

「やっとできたー!」

 いろはが両手を広げて、ぱっと明るい笑顔を見せる。

「中もひろーい!」

 こむぎも嬉しそうに飛び込むようにしてテントに入る。

 出来立てのテントの中には厚めのグランドシートが敷かれていて、寝転がっても痛くない仕様になっていた。

「ふかふかだね!」

「うん! これならぐっすり眠れそう!」

 二人はごろごろと転がりながら、快適な寝心地を確かめるように笑い合う。

 そんな中、悟がふと大福の方を見て、思わせぶりに声をかけた。

「大福! いいものあるよー!」

「ん?」

 悟が取り出したのは、一つのハンモックだった。

「ほら、これで寝るとすごい気持ちいいんだよ」

「どれどれ……」

 大福は興味深そうにハンモックに近づくと、おもむろに小さな体を滑り込ませる。

 ふわりとした浮遊感が広がり、包み込まれるような感覚に思わず目を細める。

「おう、こりゃなかなかいいんじゃねーか?」

 大福が満足そうに身体を揺らしながら言うと、悟が微笑みながら注意を促した。

「結構揺れるから気を付けてね」

「心配すんな。オレがそんなへま打つわけ……」

 その瞬間、ぐらりとバランスを崩した。

「うわっ!」

 ハンモックが大きく揺れ、大福の小さな体がくるりと回転。

「いでっ!!」

 勢いよく地面に落ち、しばらく仰向けのままピクリとも動かない。

「大福ちゃん!?」

 まゆが慌てて駆け寄る。

「もう、何やってるのよ」

 ユキが呆れたようにため息をつく。

 悟は申し訳なさそうに頭をかきながら、大福を覗き込む。

「……ごめん、大福。ケガしてない?」

「あぁ……もうちょい、気をつけて乗るべきだったな……」

 大福はうめきながら起き上がり、再びハンモックを見上げる。

 それでも、ほんの少し名残惜しそうに視線を向けていた。

 そんな大福を横目に、剛が満足そうに手を叩く。

「さて、テントも張れたし、次は火起こしだな!」

 剛がそう言って取り出したのは、金属製のファイヤースターターだった。

「お父さん、それどうするの?」

 こむぎが興味津々で覗き込む。

「これを使えば簡単に火がつくんだよ。見てなさい、あっという間に火が……」

 剛は得意げにスターターを構え、勢いよくマグネシウム棒を擦る。

 バキッ!!

「「「「「「「「「……え?」」」」」」」」」

 皆が目を黒点にして固まる。

 剛が手にしたファイヤースターターは、見事に二つに折れていた。

「あははは……折れちゃった」

 剛がとっさに苦笑いする。

「じゃないでしょう、剛くん!」

 陽子が即座にツッコミを入れ、いろはも思わず声を上げた。

「お父さん、力入れすぎなんだって!」

 陽子といろはは、笑ってごまかそうとする剛に本気で困った様子で抗議する。

「いや、そんなつもりは……」

 剛は額の汗を拭きながら、折れたスターターを呆然と見つめる。

「慌てるな」

 その時、静かにあたりを見渡していたかなえが口を開いた。

 視線の先には、一本の松の木が立っている。

「火種なら、そこにある」

 そう言って、かなえは松の樹皮に滲んだ松脂を指で軽く削り取る。

「松脂?」

 悟が眼鏡をくいっと押し上げる。

「松脂は油分を多く含んでいて、乾燥していればよく燃える。狩人の常識だ」

 かなえはそう言いながら、指先に集めた松脂を細かく割った枯れ枝や乾燥した木屑にこすりつける。

 さらに、その上から杉の葉を乗せ、火がつきやすい炊きつけを作った。

 次に、懐から火打ち石を取り出し、鋭い動きで打ち合わせる。

 パチッ! 火花が散ると、松脂を染み込ませた木屑が赤く燻り始めた。

 かなえがそっと息を吹きかけると、炎はじわじわと炊きつけへ広がり、やがて細い煙を立てながら燃え上がる。

「おぉーっ! ついたぁ!!」

 こむぎが歓声を上げ、いろはも驚いたように目を丸くする。

「すごいよ、かなえちゃん……!」

 いろはが感心しながら微笑む。

「こういう時は本当に頼りになるわね」

 ユキが腕を組みながら頷く。

「本当に助かったわ。剛くん、かなえちゃんに感謝しなさいよ」

 陽子が軽く肩をすくめながら言うと、剛は苦笑いを浮かべた。

「いやー、面目ない……」

 剛が苦笑しながら頭をかく。

 その様子を見ながら、かなえは少し得意げに腕を組んだ。

「山こそ私の本領が発揮できる場所だ。いつでも頼ってくれて構わないぞ」

 悟が「さすがだね!」と感心しながら拍手し、大福も「助かったぜ」と安堵の表情を浮かべる。

 こうして、わんぷりメンバーは無事に火を起こし、キャンプの準備を進めるのだった。

 

「さ! さっきの失敗を挽回するぞー!」

 剛が気を取り直したように釣竿を手に取り、勢いよく宣言する。

 その言葉に、かなえが目を細めた。

「ほう……釣りか。このあたりは何が釣れるんだ?」

 興味を引かれたのか、剛の持つ釣竿に視線を向ける。

「この辺なら、アユ、ヤマメ、ニジマスあたりが狙い目だな」

 剛が胸を張って答えると、かなえは「ふむ」と頷きつつ、考えるように顎に手を添えた。

 その様子を見ていた陽子が、穏やかな笑みを浮かべる。

「いろはたちは下流で川遊びでもしてきたら? 夕飯の準備は私がやっとくから」

「ありがとう、お母さん!」

 いろはが笑顔で答えると、こむぎが「それじゃーさっそくレッツゴー!」と元気いっぱいに叫んだ。

 

           *

 

キャンプ場 川のほとり

 

 剛とかなえが魚釣りに励む一方、わんぷりメンバーは川へと向かい、水着に着替えて川遊びを満喫する。

「わーい!!」

 こむぎが勢いよく川へ飛び込むと、いろはが慌ててその後を追いかける。

「待ってよー、こむぎ!」

 水しぶきを上げながら、二人の笑い声が川辺に響く。

「ユキとまゆも早く!」

 こむぎが振り返りながら、まだ岸辺にいる二人を手招きする。

「まったく、川遊びなんて何がいいのかしら……」

 ユキは腕を組みながら、少し不満げに呟いた。

 水辺に近づくのも躊躇するあたり、やはり猫だから水が苦手なのだろう。

「でも、きっと楽しいよ」

 まゆがニコッと微笑みながらユキの手を取り、一緒に川へと向かう。

「ちょ、ちょっと……!」

 ユキが戸惑いながらも、水の冷たさに顔をしかめる。

 そうして、みんなで水を掛け合いながら遊んでいると、こむぎがふと川辺に目を向けた。

「ねー、大福もいっしょに遊ぼうよ!」

 こむぎが無邪気に問いかけるが、大福は極力水から離れたところでじっと立ち尽くしていた。

「オレはいい……ウサギは水が苦手なんだよ」

「あ、そっか」

 いろはが納得したように頷く。

「えー、こむぎは大福とも遊びたいよー!」

 こむぎが頬を膨らませながら大福を見つめる。

「大福。人間の姿なら大丈夫じゃないかな?」

 悟が優しく提案すると、大福は少し考えた後、渋々頷いた。

「……わかったよ。じゃあ、ちょっとだけだぞ」

 そう言いつつも、いざ水辺に近づくと、大福は悟の肩に飛び乗ったまま、極端に怖がっている。

「お、おおお!! おい悟!! 絶対落とすなよ!!」

「だ、大丈夫だよ。そんなに怖がらなくても……」

 悟が苦笑しながらなだめるが、大福は肩にしがみついたままガチガチに固まっていた。

 普段の勇敢な性格からは考えられないほど怯えている大福の姿に、悟は思わず微笑む。

(なんだかんだ言って、やっぱりかわいいな……)

 そんなことを思いながら、悟は大福を落とさないように慎重に歩みを進めていった。

 

 一方、剛と一緒に釣りをしていたかなえは、釣竿をぐっと引き上げると、銀色のヤマメが勢いよく跳ねた。

「よし、釣れたぞ」

「さすがだね、かなえちゃん! あっという間だ!」

 剛が驚きながら声を上げると、かなえは涼しい顔で答える。

「これくらい朝飯前だ」

 針からヤマメを外しながら、かなえはしっかりと獲物を観察する。

「それにしても、まさかイクラで釣れるとは知らなかったよ」

 剛が感心したように言うと、かなえは釣竿を整えながら答えた。

「兎山の部屋にあった本で読んだ。イクラのアミノ酸とやらに反応するらしい。私も経験として知ってはいたがな」

「へえ、悟くんといい、かなえちゃんは狩猟の知識が豊富だね」

 剛が感心しながら頷くと、かなえはもう一度川の流れを見つめる。

「どうやって食べるのがいいかな?」

 剛が尋ねると、かなえは少し考えてから答えた。

「そうだな……串に刺して焚き火で焼くのが一番うまい。あとは塩焼きもいいが、まずはあと何匹か釣ろう」

「了解! じゃあ、もう少し粘るか!」

 二人が新たな獲物を狙おうとしたそのとき――

「にゃあああああーーー!!!」

 突然、下流からユキの悲鳴が響き渡った。

「今の声は!?」

 剛が驚き、かなえもすぐに顔を上げる。

 二人が慌てて下流へ向かうと――

「へ、へ、へ、へびいやあああああああーーー!!!」

 ユキが川の中で必死に飛び跳ねながら、指を震わせて一点を指し示していた。

 そこには、鮮やかな緑色のヘビがとぐろを巻き、じっとこちらを見ている。

「無理無理無理無理!! ヘビだけは無理!!」

 ユキは半泣きになりながら必死に水を掻き分け、逃げようとしている。

「落ち着いてユキちゃん!」

 いろはが慌てて声をかけるが、ユキは聞く耳を持たない。

「そうだよユキ。こわくないよ」

 まゆが優しく言うが――

「怖いわよ!! 怖くないわけないでしょ!!」

 ユキは悲鳴を上げながら、震える指先でさらにヘビを指差す。

「大福、なんとかしなさい!! あなた勇敢なんでしょう!!」

 必死の形相で、大福に助けを求めるユキ。

「無茶言うな!! オレだってヘビは天敵なんだよ!!」

 大福が悟の肩の上で耳を伏せながら叫ぶ。

 そんな騒ぎの中――

 スッ……。誰かが、躊躇なくヘビをわしづかみにした。

 驚いてそちらを見ると、川岸に立っていたかなえだった。

 片手でしっかりとヘビの胴を掴み、鋭い目つきでじっと観察している。

「ヘビくらいで何をそんなに大騒ぎしている?」

 かなえが淡々とした口調で言いながら、片手でしっかりとヘビの胴を掴んでいる。

「かなえちゃん!」

 いろはが驚いたように声を上げる。

「かなえはヘビ怖くないの?」

 こむぎが怪訝な表情で問いかけた。

「ヘビは貴重なたんぱく源だ。鶏肉みたいで美味いんだぞ」

 かなえはヘビをじっと見つめながら、何気なく言い放つ。

「ユキも食うか?」

 その言葉に、ユキの顔が一瞬で青ざめた。

「た、食べるわけないでしょーーーーーっ!!!」

 悲鳴にも似た叫び声が川辺に響き渡る。

 そんな騒ぎの中――

「絹を裂くような女の悲鳴ィ!! 何事だー!!!」

 突如、時代劇にでも浸っているかのような芝居がかったセリフが響き渡った。

「えっ?」

 わんぷりメンバーが一斉に振り向く。

 そこには、白衣の上から派手なアロハシャツを羽織り、ボサボサ頭の妙にハイテンションなサングラスをかけた中年男が川辺に仁王立ちしていた。

 さらによく見ると、片手には使い込まれたアウトドアチェア、もう片手にはコーヒーの入ったマグカップを持っている。

「ちょ、誰!?」

 ユキが思わず後ずさる。

「なんかすっごく濃いのが来た!!」

 こむぎが驚いたように声を上げる。

「あれ、でもなんか見たことある気が……」

 まゆが目を細めながら呟く。

 そして――

「えっ、まさか……」

 いろはが小声で呟いた瞬間――

「……考古学者の古座野玄武博士!?」

 悟が眼鏡を押し上げながら、はっきりとした口調で言った。

「おおお!? 何ィ!? ワシの名を呼んだのは誰じゃーっ!!!」

 古座野は満面の笑みを浮かべると、オーバーアクションでずかずかと駆け寄ってくる。

 そして ドヤ顔で眼鏡をクイッと上げ、勢いよく指を突きつけながら、最高潮のテンションで自己紹介を始めた。

「そうじゃああああ!! ワシが考古学界の異端児! 神に愛されしトレジャーハンター! この時代に生まれたことを後悔させてやる男!! 古座野玄武とはワシのことじゃあああああ!!!」

「「いや濃いっ!!!」」

 いろはとまゆが、息を揃えて叫ぶ。

「ほんとにテレビのまんまなのね……」

 ユキが呆れたように目を細める。

「ボクもキャラ付けか何かだと思ってたよ……」

 悟が眼鏡を押し上げながら、若干引き気味に呟く。

「まさか、実物がここまで濃いとは……」

 大福も半ば呆れたように腕を組んだ。

「えーと、古座野博士でしたか……テレビでも有名な考古学者さんが、なんでこんな山奥に……?」

 当惑しながら剛が疑問を投げかけると、古座野は フッフッフ…… と不敵に笑う。

「見ての通り、今日は久方ぶりに休みが取れたからのう。ゆ〇キャン△に触発されてワシもソロキャンプデビューじゃ!」

「そ、そうなんですね……」

 剛が微妙な笑みを浮かべながら相槌を打つ。

「ちなみに、ワシの一番の推しは……志〇リ〇ちゃんじゃ!! 忙しい合間にも、アニメ全部視聴しとるんじゃ!! なーっはははは!!」

 古座野が満面の笑みで胸を張る。

 その場にいた全員が、一瞬無言になる。

 そして――

(考古学者でも、漫画やアニメを嗜んで、しかもそれに触発されるんだ……)

 全員の頭の中で、同じ考えがよぎった。

 しかし、よく見ると 古座野が持っているマグカップには、鮮やかなブルーの髪の少女―― 「志〇リ〇」 がプリントされている。

「え、ちょ、博士……そのマグカップ……」

 悟が眼鏡を押し上げながら、恐る恐る指をさす。

「むっ!? おお、よくぞ気付いた響カイトくん!! これは公式グッズの限定マグカップじゃ!! ワシの愛用品よ!!」

 誇らしげにマグを掲げる古座野。

「へー……そうなんですね。あと、ボクはアイドルの響カイトさんじゃなくて、兎山悟です」

 悟が冷静に訂正すると――

「……む? あっ、すまんすまん! いやぁ、ちょうど昨晩彼の出演してるドラマを見とったもんでな!! つい混同してしもうたわ!!」

 古座野はバツが悪そうに頭を掻く。

「間違えられた悟くんの気持ちはさておき……博士、ひょっとしてオタクですか?」

 いろはが 遠回しに配慮しつつも、鋭い視線を送る。

 しかし、古座野は 「ふははは!」 と豪快に笑い飛ばした。

「ワシは学問に生きる男じゃが、文化の研究にオタク趣味は欠かせんのじゃ!! アニメ、特撮、アイドル!! すべては人類の歩みと歴史の結晶!! つまり――ワシの研究対象と言っても過言ではない!!」

「いや、それってただのオタクでしょ???」

 ユキが 冷静なトーン でバッサリとツッコむ。

 だが古座野は ドヤ顔のまま微動だにしない。

(……この人、すごいけど、いろんな意味ですごい……)

 全員の頭の中で、同じ考えが弾けた。

 そして、何とも言えない表情で視線を交わす――。

 しかし、メンバーが古座野の勢いに圧倒されている中、ふと彼の視線が かなえ に向けられた。

「む!?」

 その瞬間、古座野の表情が一変 する。

 彼はサングラスをクイッと上げ、じっとかなえを見つめた。

 ―― 先ほどまでのハイテンションが嘘のように消え去る。

 そこにいたのは、ふざけた考古学者ではなく、鋭い洞察力を持つ学者の顔だった。

「……君は……」

 一瞬の静寂。

 かなえは 無言で古座野を見つめ返す。

 彼の目が、一瞬だけ 鋭く光る。

「まさか……いや、そんなはずは……」

 古座野は小声で呟く。

 しかし、かなえは「……?」と首をかしげるだけで、特に反応を示さない。

「……えっと、博士?」

 いろはが 恐る恐る 声をかけると――

「……あっ!? いや、何でもない! さーて、ワシもメシの支度じゃ!」

 突然 テンションを戻し、古座野はバタバタと動き始める。

 そして、そのままいろはたちの前から足早に立ち去った。

「さっきまであんなにテンション高かったのに……」

 ユキが呆れたようにつぶやく。

「なんか、急に態度変わらなかった?」

 まゆが眉をひそめる。

「……気のせい、じゃないよな」

 大福が小さく呟く。

 一瞬、微妙な空気が流れたが、剛がふっと息をつき、場を収めるように言った。

「ま、まぁ……とにかく、ユキちゃんに怪我がなくて何よりだ」

「ですね……」

 悟が眼鏡を押し上げながら頷きかけたが――

 ふと、ヘビに目を向け、顔をしかめる。

「? このヘビは……」

 悟がそう呟くと、眼鏡を押し上げながらじっくりと観察を始める。

 鮮やかなエメラルドグリーンの体、樹上生活に適した細長い体型、鋭い黄金色の目――。

「……やっぱり! これ、グリーンパイソンだよ!」

「グリーンパイソン?」

 いろはが首をかしげる。

「日本にはいないヘビだよ。ペットショップとかで売られてるのを見たことあるけど、性格が荒っぽくて噛みつくこともあるから、飼うにはあまり適していないんだ」

 悟が静かに説明すると、かなえが興味深そうにヘビを鋭い目で見つめる。

「そうなのか?」

 すると――ヘビはまるで天敵に睨まれたかのように、ピタリと動きを止めた。

 その様子を見ていた剛が、険しい表情を浮かべながら言う。

「となると、誰かがこっそりこの山に捨てたんだろうな」

 一瞬、空気が張り詰める。

 こむぎがヘビを見つめながら、小さな声で呟いた。

「……どうして捨てちゃうの?」

 こむぎの小さな問いかけは、静かに響き、しかし確かにみんなの心に刺さった。

「えっと……なんていうかな……」

 剛が答えに詰まり、口ごもる。

 簡単に説明できるようでいて、決して軽々しく答えられる問いではない。

 すると、隣で腕を組んでいた大福が、剛の代わりに口を開いた。

「まぁ、なんつーか……最初は珍しくて飼ってみたけど、思ったより世話が大変だったとか、手に負えなくなったとか、そんな感じじゃねーか?」

 大福は淡々としながらも、どこか嫌悪を滲ませた口調で言った。

「特にこいつみたいに、気性が荒いヤツはな。飼い主が『もういらねぇ』って勝手に決めて捨てることもあるんだよ」

 こむぎは大福の言葉を聞きながら、じっとかなえに鷲掴みにされているヘビを見つめた。

 そして、ふと、瞳を見開く。

 ――聞こえる。

 静かに、しかし確かに、ヘビが発している言葉が。

「……帰りたい……暗くて寒い……怖い……」

 こむぎはハッとして、思わず口を開いた。

「……この子……怖がってる」

 その言葉に、いろはが驚いたように顔を上げる。

「こむぎ、もしかして……?」

「うん。言ってるよ……『ここじゃない、帰りたい』って……」

 こむぎの言葉に、場の空気が一変する。

 ただの「捨てられたヘビ」ではなく、「帰りたかったのに捨てられた命」であることが、彼女たちに突きつけられたのだった。

 

           *

 

キャンプ場 ベースキャンプ

 

 夕暮れ時のキャンプ場。

 赤く染まった空の下、わんぷりメンバーはベースキャンプへと戻ってきた。

 焚き火の炎がパチパチと音を立て、辺りに漂う香ばしい匂いが空腹を刺激する。

 剛が釣ってきた魚を串に刺し、じっくりと焼いていた。

 その横では、陽子がバーベキューの準備を進め、鉄板の上で肉や野菜を焼き始める。

「わぁ~! いい匂い!!」

 こむぎが目を輝かせながら肉の焼ける音に耳を傾ける。

「魚もいい感じに焼けてきたぞ」

 剛が串をひっくり返しながら言うと、かなえが香ばしく焼けたヤマメをじっと見つめる。

「……ほう、悪くないな」

「さっき釣ったヤマメ、かなえちゃんの言う通りに串焼きに仕上げたよ!」

「ふむ、火の通し方も上々だ。ならば、ありがたくいただこう」

 かなえが串を掴み、豪快にかぶりつく。

「うーん、こっちのバーベキューも美味しいよ!」

 悟がジュワッと焼けたステーキを口に運びながら満足げに頷く。

「アヒージョもいい感じだね」

 まゆが、ぐつぐつと煮えたオリーブオイルの中の海老やキノコを見て、トングでパンにのせる。

「パスタも茹で上がったよー!」

 いろはが鍋の蓋を開けると、 食欲をそそるガーリックの香りが広がった。

「ん~、いい香りね」

 ユキが満足げに鼻をくんくんさせる。

「みんな、たくさん食べなさいね」

 陽子が優しく微笑みながら、手際よく取り分ける。

「こいつは……最高のディナーだな」

 大福が口いっぱいに頬張りながら、嬉しそうに微笑む。

 

 食事を終え、片付けをしながらも、こむぎたちの心の片隅には、先ほどのヘビのことが引っかかっていた。

 焚き火のそば、陽子が用意した動物用のキャリーケースの中で、ヘビは静かに丸くなっている。

 体をわずかに動かしながら、じっと外の様子をうかがっているようだった。

「さて……このヘビ、どうするかな?」

 剛がキャリーケースを指さしながら口を開くと、皆の動きがふと止まる。

「ここで放したら、もう元の環境には戻れないわね……」

 獣医師としての観点から陽子がヘビを見つめながら、小さく呟く。

「それに、この子はさっき『ここじゃない、帰りたい』って言ってたんだよね?」

 いろはが小さな声で言うと、全員の表情が曇った。

「だけど、野生には戻せない……だったらどうすれば?」

 ユキが腕を組み、真剣な顔になる。

「誰かが引き取るしかないよね……」

 悟が考え込みながら言う。

「だけど、飼える人なんて、そう簡単には……」

 まゆが心配そうに口を挟む。

 そのとき、かなえが静かにヘビを見つめながら口を開いた。

「……元の飼い主に戻すことはできないのか?」

 その言葉に、一瞬、場が静まる。

 すると、こむぎがふとヘビをじっと見つめた。

 まるで、何かを感じ取るかのように耳をすませる。

「この子もね、元のおうちに帰りたいって、言ってるよ」

 こむぎの言葉に、再び静寂が訪れた。

 焚き火の炎が静かに揺れ、パチパチと薪が爆ぜる音だけが響く。

 誰もすぐには返事ができなかった。

「……そりゃあ、そうだよな」

 ぽつりと呟いたのは、大福だった。

 腕を組み、焚き火の方を見つめながら、小さく息をつく。

「けどよ……」

 その声は、どこか複雑だった。

「それができりゃ、一番いいさ。けどな、こういうのって、そう簡単な話じゃねえんだ」

 全員が黙って、大福の言葉を待つ。

「飼い主が、どんな理由でこいつを捨てたかなんて、オレたちには分からねえ。だけど、はっきりしてんのは――」

 大福がヘビをじっと見つめる。

 その瞳には、いつもの飄々とした雰囲気はなかった。

「もう要らない、って判断されたってことだ」

 重い言葉だった。

 それは誰もが考えていたけれど、口に出せなかった事実。

「……じゃあ、この子はどうなるの?」

 こむぎが 少し寂しそうに ぽつりと呟いた。

「それを今、オレたちが決めなきゃならねえってことだ」

 大福は深く息をつくと、真剣な眼差しでみんなを見渡した。

「元の場所に戻せるのか、それとも別の道を探すのか――オレたちが考えねえと、こいつはこのまま独りぼっちになっちまう」

 焚き火の炎が、またパチパチと音を立てる。

 メンバーはそれぞれ、静かに思案し始めた――。

「……そんなの、やだよ」

 沈黙を破ったのは、こむぎだった。

 小さな両手をぎゅっと握りしめながら、焚き火の炎を見つめる。

「ひとりぼっちは、さびしいよ」

 その言葉は、どこか震えていた。

「こむぎ……」

 いろはが、そっとこむぎの肩に手を添える。

「わたし、わかるもん。ひとりぼっちだとね、ちっともわんだふるじゃなくなるんだよ」

 こむぎは寂しげに笑いながら、続けた。

「周りにあるものが、全部敵に見えてね……」

 彼女の小さな肩が、かすかに震える。

「気持ちがどんどんガルガルしてきて、いいことなんて、ひとつもなかった」

 焚き火の明かりに照らされるこむぎの横顔は、どこか遠い記憶を思い出しているようだった。

 誰もすぐには言葉を返せなかった。

 焚き火がパチパチと音を立て、夜の静寂が辺りを包み込む。

 やがて、剛が薪をくべながら、ゆっくりと口を開いた。

「……結論は急がなくてもいい。ひとまず、この子はうちで預かろう」

「そうね。うちは動物専門の病院だし、環境としては悪くないしね」

 陽子も穏やかに頷く。

「それなら……少しずつ、この子にとっての最善を考えてあげようよ」

 いろはが優しく微笑む。

「……そうだね」

 悟が眼鏡を押し上げながら、皆の意見をまとめるように言った。

 こむぎはそっとキャリーケースを見つめると、少し安心したように微笑んだ。

「さて、そろそろ寝る時間だな」

 剛が腕を組みながら立ち上がる。

「そうね。夜更かししてたら、明日の朝ごはん作るのも大変になっちゃうし」

 陽子も片付けをしながら言う。

 こうして、ヘビの行く末についての結論は一旦持ち越しとなり、わんぷりメンバーは静かにテントへと戻っていった。

 

 テントの中は、ひんやりとした夜の空気に包まれていた。

 ユキとまゆはすでに寝息を立てている。

 しかし、いろはの隣では、犬の姿に戻ったこむぎが、もぞもぞと落ち着きなく寝袋の中で動いていた。

「こむぎ、まだ寝てないの?」

 いろはが小さな声で囁くと、こむぎはくるりと丸まりながら、耳を伏せる。

「なんか、いろいろ考えちゃって……」

「ヘビのこと?」

 こむぎはコクリと頷く。

「『帰りたい』って言ってたのに、本当に帰れるのかな……? もし、もうおうちの人がいなかったら……」

 か細い声に、不安がにじむ。

 いろははそっと手を伸ばし、こむぎのふわふわの頭を優しく撫でた。

「大丈夫だよ。こむぎはちゃんと、その子の気持ちを聞いてあげられるんだから」

 こむぎは目を瞬かせ、じっといろはを見つめる。

「……本当に、そう思う?」

「うん。わたしも一緒に考えるよ。だから、今はゆっくり休もう?」

 しばらく迷うように鼻をひくつかせていたこむぎだったが、やがていろはの腕にそっと頭を預け、ようやく小さく息を吐いた。

「……うん。おやすみ、いろは」

「おやすみ、こむぎ」

 夜の静寂の中、こむぎの不安が少しずつ和らいでいくように、いろはの温もりが寄り添っていた――。

 

 夜の静寂がキャンプ場を包んでいた。

 テントの中では、わんぷりメンバーが穏やかな寝息を立てている。

 焚き火の残り火が微かに揺らめく中、闇の中から静かな足音が近づいてきた。

 黒衣の男――。

 彼はテントの傍らに置かれたキャリーケースへと音もなく忍び寄った。

 その中には、昼間こむぎたちが保護したグリーンパイソンが入っている。

 男は冷笑を浮かべながら、キャリーケースを手に取った。

「……なんとも哀れなものですね。己が手に余ると、容易く『いらないもの』と切り捨てられる……」

 男の身体から、禍々しい闇が滲みだす。静かな夜の空気が歪み、ざわめきはじめる。

「さあ、今こそ我々があなたに新たな役割を与えてあげます。もはや誰にも捨てられぬ、強く禍々しき力を――」

 黒衣の男の手が不気味な黒いもやを放ち、グリーンパイソンの身体に浸透するように広がっていく。

「闇に潜みし怨念よ、形を成せ」

 直後、キャリーケースが激しく震えだし、その蓋が勢いよく弾け飛んだ。

「ガオガオーン!!」

 不気味な咆哮が、夜の静寂を引き裂く。

 その瞬間――

「ワン!?」

 こむぎが飛び起きた。

「ニャン!?」

 ユキも同時に目を見開き、毛を逆立てる。

 二人の本能が、尋常ではない異変を察知していた。

 テントの中、すやすやと寝息を立てる仲間たちを、こむぎは前足で揺すり、ユキは鋭い爪を軽く食い込ませながら揺さぶる。

「いろは! まゆ! 起きてワン!!」

「え、こむぎ、どうしたの……?」

 寝ぼけまなこで体を起こしたいろはだったが、外から響く不気味なうねり声に、すぐに意識が覚醒した。

「……これって……!」

「フューザーガオガオーンよ……!!」

 ユキがテントの入口に飛びつくように駆け寄り、鋭く爪を立てて幕をかき開く。

 月明かりに照らされたキャンプ場の風景が、恐怖へと一変していた――。 

 

「ガオガオーン!!」

 咆哮を発するフューザーガオガオーン。

 静寂を打ち破るその雄叫びには、ただならぬ憎しみと怨念が込められていた。

 安らかな睡眠を妨げられたわんぷりメンバーがこぞって駆けつけると、そこには異様な敵の姿があった。

 コブラの頭を持つ首が空高く伸び、巨大なフードが威嚇するように広がる。鋭い毒牙が月明かりを反射して妖しく煌めいた。

 背中にはワニガメの硬く無骨な甲羅が重厚に鎮座し、地面を踏みしめる四肢はコモドオオトカゲのごとく筋骨隆々としている。尾は長くしなやかにうねり、叩きつける鞭のように闇を切り裂く。

 漆黒に染まった鱗は、禍々しい瘴気をまとい、禍根そのものを具現化したかのようだった。

「ちょ、ちょっと……あれなに!?」

 まゆの声がわずかに震える。

「頭はコブラで、背中はワニガメ、そして両手足はコモドオオトカゲ……! まさか、三体融合のフューザーガオガオーン!?」

 悟が息を呑みながら、眼鏡をくいっと押し上げる。

「んなのありかよ!」

 大福が驚愕の声を上げる。

 その間にも、フューザーガオガオーンの尾が不気味に揺れ、地を這うように低い唸り声を響かせていた。

「夢現一如。いよいよ私たちの戦いは次の段階へ移行しようとしているらしい」

 かなえが静かに呟く。

 月明かりの下、禍々しき融合獣が、今まさに襲い掛かろうとしていた。

「みんな、いくよ!」

 こむぎが力強く叫び、ワンダフルパクトを握りしめる。

 それに呼応するように、残りのメンバーも気を引き締め、戦闘態勢へと移行した。

 そして――

 煌めく光が夜の闇を切り裂き、七人の戦士たちが鮮やかに変身を遂げる。

 

「ガオガオーン!!」

 刹那。空気を震わせるような低い唸り声とともに、コブラの毒とコモドオオトカゲの細菌感染を組み合わせた、強烈な毒ブレスが敵の口腔内から吐き出される。

「……!? みんな、避けて!」

 フレンディの警告と同時に、プリキュアたちは一斉に回避行動を取る。

 毒ブレスが地面に落ちた瞬間、草が黒く枯れ、岩すらも蝕まれていく。

「なんて強力なの……!」

 リリアンが思わず眉をひそめる。

 しかし、それを追うようにブラカトカガオガオーンが素早く動き出した。

 水辺に後退し、ワニガメの硬い甲羅を見せつけるように低姿勢を取る。

「ワニガメの甲羅を利用した防御態勢か……! これはそう簡単にはこちらの攻撃が通らなさそうだ」

 悟が眉間にしわを寄せながら冷静に分析する。

「なら、横から狙う!」

 大福が勢いよく飛び出そうとするが――

「いや……!」

 シャスールが静かに制止する。

「慎重に動け。あれはただの防御ではない」

 シャスールの警告が響く。しかし、その言葉の意味を理解する間もなく、ブラカトカガオガオーンのコブラの首がしなやかに伸びた。

「ひぃぃぃ!」

 ニャミーへと変身したユキが悲鳴を上げ、思わず後ずさる。

 プリキュアの力を持っていても、天敵であるヘビの姿は本能的に恐ろしい。

 鋭い毒牙が、まるで獲物を捕らえるかのようにしなる。

 標的を見極めたかのように、ニャミーへ一直線に迫ってきた。

「ニャミー、危ない!」

 ワンダフルがすかさず飛び出し、ニャミーを抱えるようにして横へ転がる。

 直後、毒牙が噛みついた地面がズブリとえぐれ、土が焼けるような音を立てて蒸発した。

「っ……! なんて威力!」

 ワンダフルが顔をしかめる。

「し、しししし死ぬかと思った……!」

 ニャミーが震えながら、ワンダフルの腕の中で縮こまる。

「ニャミー、大丈夫!?」

 リリアンが駆け寄ると、ニャミーはなんとか頷いたものの、まだ恐怖から解放されていない様子だった。

 さらに、獣のような俊敏な動きが続く。

 水の中ではワニガメのように静かに潜伏し、地上ではコモドオオトカゲのように素早く走る。

「変則移動……!」

 悟が思わず息を呑む。

 そんな中、再びブラカトカガオガオーンが動いた。

 長大な尾を大きく振りかぶり、鋭く振り下ろす。

 強烈な衝撃波が周囲の地面を吹き飛ばし、砂利や水飛沫が四方に散る。

「うっ……!!」

 フレンディが反射的に身を低くする。隣では大福も警戒を解かず、額に一筋の汗を浮かべていた。

「これ……相当やべーぞ」

 低く呟く大福に、誰もが頷く。

 ブラカトカガオガオーンは獲物を狩る捕食者のように、ジリジリと間合いを詰めてくる。

 巨大なコブラの頭部が不気味に揺れ、フードが広がる。

「威嚇してる……!」

 リリアンが息を呑む。

「それだけじゃないよ。こっちの動きを探ってる」

 悟が鋭く視線を向ける。

「守ってばかりいるのは性に合わん。ここらで攻勢に転じる」

 シャスールが身構え、タロンボウガン片手に一歩踏み出そうとしたそのとき――

「待って! なんか、あの動き、どこかで……」

 ワンダフルがじっとブラカトカガオガオーンを見つめる。

 鋭い毒牙、しなやかに伸びる首、俊敏な動き――そのすべてが、さっきまで一緒にいたあのヘビと重なった。

「……もしかして……!」

 脳裏に浮かんだ可能性に、ワンダフルの表情が変わる。

「みんな! あのフューザーガオガオーンの正体……きっと、あのヘビだよ!」

 その言葉に、全員の動きが止まる。

「……な、なんだと?!」

 シャスールが目を細め、ブラカトカガオガオーンの挙動をもう一度見極める。

「ガオガオーン!!」

 轟く咆哮が、夜の森に響き渡った。低く唸るような響きが大気を震わせ、あたかも彼の怒りと苦しみをそのまま吐き出しているようだった。威圧的に広がるフード、翻る長い尾、鋭い毒牙が月光に照らされ、不吉な影を地面に刻む。

「じゃあ、本当にあのヘビが……?」

 ニャミーの声が震える。

「どうして……!? あの子、帰りたいって言ってたのに……!」

 フレンディの目が揺れる。

「よくわかんねーが、あいつをあんな姿にしちまう性根の腐ったやつがいるってことだ!」

 大福が悔しさをにじませ、拳を握りしめる。

「だけど、正体がわかったなら話は早い。あのヘビが変えられたのなら……」

 悟が真剣な表情で続ける。

 ――元に戻せるはずだ。

 全員の視線が、強い決意に染まる。

 

「シャスール、あの子を元に戻すの、手伝ってくれるよね?」

 ワンダフルが期待を込めた視線を向ける。

「……やれやれ。私も随分信用されたものだな」

 一瞬、シャスールは肩をすくめるように息をついたが、口元には微かに笑みが浮かんでいた。

「だがまぁ、それもいいだろう」

 誰かに頼られることを、まんざらでもないと思っている――そんな表情だった。

 静かに弓を構え、矢を番える。その動きは迷いなく、どこか楽しげですらある。

「視界を潰す」

 刹那、矢が一直線に飛び、ブラカトカガオガオーンの大きく広がったフードに突き刺さる。衝撃でバランスを崩し、首を振って咆哮を上げた。

「今だ!」

 気を見計らい、ワンダフルがフレンドリータクト片手にキラリンアニマルの力を発動させる。

「ヘルプ! キラリンアニマル! ハムスター!」

 瞬時に小さくなるや、すばやく地を蹴り、ブラカトカガオガオーンの口の隙間から体内へと滑り込んだ。

「えぇぇ!? ワンダフル!?」

「お、おい、口ん中に入っちまったぞ!?」

 フレンディと大福がともに驚愕する。

 内部はぬめり気のある筋肉に覆われ、蠢いていた。ワンダフルはその隙間に潜り込むと、思い切りくすぐり攻撃を仕掛けた。

「ふふ♪ いっくよー……こちょこちょこちょ!」

「ガ、ガオオオオオン!?」

 直後。フューザーガオガオーンが悶絶し、暴れ回る。

「動きが鈍った……!」

 悟がすかさず声を上げる。

「今だ! 一気に拘束するぞ!」

 シャスールが鋭く指示を飛ばすと、フレンディとニャミー、悟と大福が即座に動いた。

 それぞれが防御技を展開し、暴れるブラカトカガオガオーンの動きを封じ込める。

「リリアンネット!!」

 リリアンが一気に腕を振り下ろし、細かく巨大に編み込まれたリリアンネットを頭上からかぶせるように落とし込んだ。

「やったわ! 成功よ!」

 ニャミーが確信を持って叫ぶ。

「ワンダフル、もう出てきていいよ!」

 フレンディの声に応じるように、ワンダフルが勢いよく飛び出した。

 一回転しながら着地すると、瞬時に元のサイズへと戻る。

「みんな、決めるよ!」

 ワンダフルが拳を握りしめ、仲間たちに声をかけた。

 

「「「「「「ミラーストーン、エボリューション!」」」」」」

 鏡石の光が映し出す、新たな可能性。

 白銀を基調とした衣装が光の中で形を成し、六人の姿を包み込んでいく。

 ワンダフルは流れるアシンメトリーのスカート、フレンディのフリルは氷の結晶のように輝き、ニャミーの袖口には鏡の欠片が浮かぶ。

 リリアンの衣装は優雅な曲線を描き、悟と大福の戦闘服も鏡石の光沢を帯び、柔らかな虹色の輝きを放つ。

「「「「「「ミラーストーンスタイル!」」」」」」

 その声が空に響き渡ると、六人の周囲に光の輪が広がり、鏡石の力が宿る。

「「「「「「プリキュア——!」」」」」」

 六人が手を繋ぎ、円陣を組む。

「「「「「「サークルオブライフ!!」」」」」」

 六色の光が弧を描き、巨大な光の輪となって広がっていった。

 全員の力を込めた浄化技が放たれ、ブラカトカガオガオーンの体を光が包み込んでいった――。

「ガオガオーン……」

 怨念に支配された咆哮は、次第にか細くなり、その姿はみるみるうちに縮んでいく。

 やがて光が収束し、そこに横たわっていたのは、元の姿に戻ったグリーンパイソンだった。

 ワンダフルがそっとヘビに近づく。

 ぐったりとしてはいるものの、呼吸は落ち着いている。

 ワンダフルは優しくその身体を撫で、フレンディやニャミーも安堵した表情で見守る。

「よかった……助けられて」

 フレンディが静かに呟く。

「けど、いったい誰がこんなことを……?」

 リリアンが顔を上げた、その瞬間――。

「……ッ」

 シャスールがピクリと肩を動かす。

(今……何かの気配が……!?)

 彼女は素早く振り返り、物陰を睨みつける。

 そして、暗闇の奥から、おもむろに一歩、また一歩と影が歩み寄ってくる。

 月明かりの下、その輪郭がゆっくりと浮かび上がる。

 黒衣を纏い、静かにこちらを見据える男――。

「……誰だ!」

 シャスールが矢を番える。

 だが、黒衣の男は怯むこともなく、薄く冷たい笑みを浮かべたまま、ゆっくりと近づいてくる――。

「お前は……」

 シャスールが低く呟く。

「あの時の……!」

 悟の表情が険しくなる。

「ひょっとして、二人が見たっていう黒ずくめの人って?」

 リリアンが警戒しながら視線を向ける。

「こいつか」

 大福が拳を握りしめ、いつでも飛びかかれる態勢を取る。

 男はそんな彼らの反応を楽しむように、静かに目を細めた。

「……やはり生きている動物を素体にすると、本来の力が半減されてしまいましたか」

 彼は独り言のように呟くと、僅かに肩をすくめる。

「ですが、さしあたっての目的は十分に達成できたのでよしとしましょう」

「あなたなの!? フューザーガオガオーンを作り出しているのは? ニコ様やニコガーデンのみんなを襲ってるのは?」

 フレンディが鋭く問いただす。

「いかにも」

 すると、男はあっさりと認めた。

「どうしてそんなことをするの? 目的は何?」

 ニャミーが一歩前に出る。

「直にわかります」

 男は穏やかに微笑むも、その目の奥には底知れぬ悪意が内包されていた。

「今日は挨拶程度にあなたたちの顔を見に来たまでです」

 そう言うと、男は余裕を漂わせながら、ゆっくりと口角を上げる。

 そして、踵を返して立ち去ろうとした――。

「待ちやがれ! テメーは何者だ!?」

 大福が怒りを滲ませ、強く声を張り上げる。

 その言葉に、男は歩みを止めた。

 わずかに顔を傾け、冷めた微笑を浮かべながら視線を向ける。

「……ナギリ、と名乗っておきましょう」

「ナギリ……」

 ワンダフルがその名を繰り返す。

 場の空気が、ほんの一瞬沈んだ。

 ふと、ナギリの目が、じわりとシャスールへ向かう。

「キュアシャスール……でしたね」

 その口調には抑揚がない。

 だが、含まれた意味だけが鋭く胸を抉る。

 わずかに唇を吊り上げると、静かに言葉を紡いだ。

「あなたにひとつ忠告しておきましょう」

 夜気に溶け込むような低く抑えた声が響く。

「我々がそうであるように、勝った者は常に負けた者たちの恨みと怨念を背負って生き続けているのです。それを自覚していますか?」

「……!」

 シャスールの眼差しが微かに揺らぐ。

 ナギリはその変化を捉え、唇の端をわずかに持ち上げると、愉悦を噛みしめるように目を細めた。

 そして、彼女に反応に満足した様子で一歩足を引くと、淡々と言い放つ。

「では、ごきげんよう。プリキュアの皆さん」

 おもむろに闇の奥へと歩を進め、ノイズのように輪郭が滲み――

 ナギリは、そのまま夜の中へと消えていった。

 

 

 

 

 

 




登場ガオガオーン
ブラカトカガオガオーン
声:高橋伸也
身長:450cm
体重:不明(推定数トン)
・特色/力
毒と防御を兼ね備えた高耐久型のフューザーガオガオーン。鋭い毒牙、堅牢な甲羅、俊敏な動きを駆使し、持久戦を得意とする。
・特徴
コブラの頭部を持ち、巨大なフードが威嚇するように広がる異形の姿が特徴的。首は異様に長く、敵を遠距離からも噛み砕くことが可能。背中にはワニガメの硬い甲羅があり、尋常ではない防御力を誇る。四肢はコモドオオトカゲのごとく筋肉質で、地上では俊敏かつ獰猛な捕食者のような動きを見せる。尾は異常に長く、ムチのようにしなやかにしなり、攻撃の手数を増やしている。全身に漆黒の鱗を纏い、瘴気のような禍々しいオーラを放つ。
・能力
猛毒の咆哮
コブラの強力な神経毒と、コモドオオトカゲの細菌感染能力を組み合わせた猛毒ブレスを吐き、命を削るダメージを与える。
鉄壁の甲殻
ワニガメの硬質な甲羅によって、あらゆる攻撃を弾く。単純な打撃や魔法攻撃ではダメージを与えられず、特定の攻撃手段が必要となる。
猛襲の蛇牙
首をしなやかに伸ばし、遠距離からでも鋭い毒牙での噛みつきを狙う。一度捕らえた獲物は逃がさない。
変則移動
水中ではワニガメのように静かに潜伏し、地上ではコモドオオトカゲの俊敏な動きで相手を翻弄する。地形を問わず高い適応能力を持つ。
捕食者の尾撃
長大な尾を鞭のように振るい、相手を叩きつけることで大きな衝撃波を生む。戦場を荒らし、敵の陣形を崩す役割も果たす。
・行動
防御と攻撃の両面に優れた持久戦型のフューザーガオガオーンであり、敵を長期戦に持ち込むことを得意とする。戦闘時は相手の出方を見極めつつ、隙を突いて一撃必殺の猛毒攻撃を仕掛ける知性も持つ。自身の頑強な甲羅に絶対の自信を持っており、相手の攻撃を受けながら耐え、次第に追い詰めていく戦法を取る。
・戦闘記録
深夜のキャンプ場で、黒衣の男の手によって生み出されたフューザーガオガオーン。突如としてわんぷりメンバーに襲い掛かり、猛毒のブレスや鋭い牙、強固な防御力を駆使して応戦。ワニガメの甲羅の防御力とコモドオオトカゲの機動力の組み合わせによって、正攻法の攻撃では決定打を与えられず、苦戦を強いられる。
戦況を打開するため、ワンダフルがキラリンハムスターの能力で小さくなり、敵の体内に侵入。内部からのくすぐり攻撃によって防御を崩し、動きを鈍らせることに成功。隙を突いたメンバーが一斉に捕縛し、最終的に「サークルオブライフ」の一撃によって完全浄化される。
戦闘後、元の姿に戻ったヘビはぐったりと横たわり、わんぷりメンバーによって保護された。その直後、黒衣の男が現れ、ナギリと名乗る。ナギリは意味深な言葉を残し、闇の中へと姿を消した。
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