次に目が覚めると、そこは見慣れたベッドの上だった。
「夢……か、そりゃそうだよな、なんかおかしなことばっか起きてたし」
冷静に考えてみればおかしな話である。人と人が空を飛びながら争ってたし、俺の心臓に何か突き刺さって死んだはずなのに今こうやって生きているし。もし俺が死んでいるならこうやって生きているはずがない。
「残念ながら夢ではありません」
急に聞こえる第三者の声。振り返るとそこには俺が気を失う前に争っていた黒い翼を生やしていた方の女性が俺のベッドの近くに正座していた。
「おわっ!?」
「失礼、勝手ながらに部屋とベッドを使わせていただいております」
よく見ると部屋の窓が勝手に開いており、よく見るとこの女性は土足のまま俺の部屋にいる。なんつー常識破りな……
「自己紹介が遅れましたね。私の名前はミリファー・ルシフェル、お好きなようにお呼びください」
そういうと女性――ミリファーは透き通るような金髪をなびかせながら自己紹介を済ましていく。
「そうですか、ところで本題なんですが事態の説明をしてくれませんかね?」
俺の疑問ももっともだ。通常では有り得ない事態が起こっているのだから説明を要求するのは当然だ。
「まずは簡単に私たちのことを説明しましょうか、実は私は悪魔なのです」
は? 開いた口が塞がらないとはこのことだ。この女今さっきなんて言った? 悪魔? 俺はまずここから理解できずにいた。
「この世界には人間以外にも存在しているのですが、悪魔、天使、人間の3種類とその上層に存在する神という存在に別れています」
最初からぶっ飛ばしてるな……あくま、てんし? 俺はなんとか理解しようと話に喰いついていく。
「そんで? 悪魔や天使は翼が生えていてアンタは黒い翼が生えてるから悪魔ってこ……と、あれ?」
俺はこれまでの情報を整理して推理をしようとしたが、彼女の背中には先ほど生えていた黒い翼は消えてなくなっていた。
「さすがの理解力ですね、御見それいたしました。ちなみに翼は自由に出したり出来ますので」
そういうと彼女は背中から黒い翼を出す。
「んで、俺がその天使とやらに心臓を撃ち抜かれたのはなんでですか? やっぱり秘密だったからやられちゃった訳ですか?」
俺は先刻の出来事を思い出しながら問いかける。自分が死んだ時のことだから思い出すだけで正直気分が悪い。
「恐らくそうかと」
えらくあっさりとした返答に俺は疑問を覚える。
「なんでそんな含みのある言い方なんですか? なんか他に理由があったりするんですか?」
俺の疑問にミリファーは少し考えた後に、言葉を発する。
「そうですね、今更隠していても仕方ないですから正直にお答えしましょう。斉藤託摩様、あなたは我が勢力、悪魔を統べるべき存在、魔王様なのです」
は? 突然の告白に俺は再び頭の中が真っ白になった。魔王、俺が、どういうこと?
その日、俺は魔王に選ばれたみたいだ。