生徒には生徒、ということらしい
便利屋68という生徒が運営する企業…企業?に連絡をしたらしい
どうであれ、そこら子ヘルメット団よりはマシな戦力だろう
少なくとも…そこらの雑魚に負ける程度の技量でないことを祈る
私にはもう関わりのない事だがね
「セツナ、結局どうだったんだ?」
「大敗退、殆ど何も出来ずに撃退されてたね」
「はー、弾もほぼ無いだろうに…よくやるなぁ……何かバックについたのか?」
ミライはやっぱり、勘がいい
殆ど情報を出してないのに当ててきた
会話においてこれ程楽なことはあるまい
「連邦生徒会の【シャーレ】って所、超法的機関だとかなんとか」
「シャーレ、シャーレか……大人の担当してたヤツだろ?」
「うん、どうでもいいけど」
私が吐き捨てるように言うとミライは笑う
「どうでもいいって訳じゃねぇ、【シャーレ】はな…全ての法を無視して介入できるんだよ」
「…そんなことが?」
「バカ言っちゃいけねぇ、どんなに複雑なことでも【シャーレ】はスパッと介入出来るんだ」
何故かミライは得意げに話す
自分がシャーレの部員でもないのに…まぁ、いいか
それほど気にする程でもないからね
「聞く限りじゃそこにいる【先生】ってのは相当お人好しらしい
ㅤ…アビドスからの要請に対して何も調べずに助けに来た、というところか」
「相当お人好しだね、自分のことなんて何も考えてなさそう」
私が冗談交じりにそう言うとミライは笑った
中身のない、影だらけの笑い声だった
「ハハハ、…お前、今まで会ってきた大人を見てそれ本気で言ってんのか?」
そうだ…そうだな、自分の身を省みてまで何かをしてくれる大人なんている訳が無い
そんな聖人を望み…幾度となく裏切られてきたのだ
大人はもう…信じたくは無い
少なくとも、今信じられるのは理事だけだ
〇
「…黒見セリカを攫う?」
『そうだ、ヘルメット団には最後の最後に役に立って貰うことにした』
アビドスのコンビニ
砂漠にある駐屯地から離れたここに来たのは少し味のある物を食べたかったからだ
昔の頃と違い、自分が望み行く気力さえあれば近場(遠い)にそう言った売店がある
駐屯地内にももちろんそう言った売店はあるが、期間限定やそこの売店に無いものもあるのだ
だからこそ、こうして暇を活用して買いに来た訳だが……
「それが出来なければ奴らは終わりと、そういうことでしょうか」
『前金代わりに便利屋に絶滅させる、便利屋は金が貰えて、私たちは気が楽になる…win-winだろう?』
…まぁ、あのボケ共が吹き飛ぶのは見ていて面白いだろう
少なくとも笑いは出る、乾いた笑いか小さい笑いか……
「して、どうして私に?」
『監視を頼みたいのだ、成功と失敗…それだけだ
ㅤ失敗は許さん……と言いたいところだが、ヘルメット団ということもある
ㅤ今回の失敗報告は不問にしといてやろう』
「了解です、ヘルメット団のやり口を見ておきますよ」
私はそう言って電話を切った
どうやら失敗した時の計算も入れているようだ
…にしても、何も知らないとはいえセリカを誘拐してどうするのだろうか
人質にして奴らが大人しく従うか?
いいや、新しく来た大人と共に無理やり取り返しに来る
…ならばどうするか?
「…誘拐して、砂漠に放置しろとでも言ったのか……」
憶測をしていても意味が無い
どうせ観測していれば分かる、すぐにでもな
コンビニで買ったアイスを食べながら、私は私服…は無いからカイザーの戦闘服の上から布を羽織っている姿で歩き始めた
〇
この町、ラーメン屋何てものがあるのか
黒見セリカを追跡していた時のことである
学校に行かず、どこに行くのかとボーっと見ていたが…行先はラーメン屋であった
柴関ラーメンという店で、目に傷のある柴犬が店主のようである
それなりに遠くから入口を見ているはずなのに、美味しそうな匂いがこっちにも来やがる
毎日栄養バーや売店の薄っぺらいパンばかり食べてるからか…とても、その匂いが唆る
「……んんっ」
垂れていた涎を拭う
落ち着け、落ち着くんだ私の腹の虫、そして涎出し機関
先程お前らはアイスを食っただろう、コンビニのアイスという格別のモノを
それなのにお前らはまだ飯を要求するのか?
それだとアイスを食べた後に主食を食うマヌケが爆誕するんだが?
…………我慢だ、我慢するんだ
「あいよっー!柴関ラーメン一丁!」
「…ありがとう」
…我慢、出来なかった
もしセリカを監視する時間が昼から晩までであれば私は耐えきれていたであろう
しかし、早めに駐屯地から出発したせいで監視開始時刻はなんと朝の10時
そこから晩までぶっ続けで監視?無理に決まってんだろ
食べ物を買いに行きたかったが、その間に帰られても困る
…今思えば最初に買えば良かった、畜生
まぁいい、それよりも目の前のご馳走だ
早く食おう、そろそろ腹の虫に殺される
いそいそと箸を割り…片方に偏ったのを見てため息を着きながら麺を掴みあげる
タラタラと液体がたれていくのを勿体ないと思いながら……ズルズルと麺を啜る────!!!
「………」
「た、大将!?お客さんが泣いてます!?」
「ありゃあ……そうとう美味かったんだろうなぁ……」
こ、これは…何だ、この…何だ…ッッ!!
言い知れぬ、もしくはそこのしれぬ旨みの深さッッ
少なくとも、このような美味い物は産まれて初めてだッッッ………!!!!
…嗚呼、幸せだ……良かった……食べてよかった………
最後の麺まで啜り、そして汁すら全部啜る
何にも無くなったお椀をテーブルに置き…私は立ち上がった
代金を払って、セリカの監視に戻ろう…
私がそう思ってレジに行こうとした時だった
「代金は要らねぇぜ、嬢ちゃん」
「どうして」
彼は代金を受け取ることを拒否した
不思議、というより当たり前の事だが私は質問した
大将は笑顔で答えた
「そんな顔見せられちゃあ、金を取るってのも億劫なもんだ!
ㅤそれに、新しい客を得れたからどうってことはないぜ!」
…少なくとも、私には────理解出来ない感情だった
私服(私服じゃない)時のセツナの格好はニケのスノーホワイトみたいな格好