枯れたココロと【アオハル】を   作:回忌

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便利屋

便利屋に会う前に柴関ラーメンに行く事にした

何を隠そう、初めて私は【楽しみ】という物を得てしまった

それは私にとって【美味しい物を食べる】ということであり…

 

その美味しい物は、柴関ラーメンであった

 

…昔の私なら恥ずべき事だと吐き捨てるだろうな

少なくともそうだろう…しかし私はあの時の自分とは違う、違うのだ

 

 

 

邪な考えに蓋をしながら、私は柴関ラーメンの前に立った

時間は真昼間、つまり12時…期限は晩までだから時間はたっぷり存在する

 

飯を食べる程度で晩にはならないだろうと思いながら私は扉を開けて中に入った

 

「いらっしゃいませー!」

「お、この前の子か…いらっしゃい」

「お邪魔する」

 

カウンター席に座り、私はコップに水を入れた

次いでに割り箸も取って置いておく

その後に私は注文をすることにした

 

「細麺の硬い麺の柴関ラーメンで、大将」

「おう、分かったぜ」

 

前に食べた柴関ラーメンは美味しかった

…とはいえ麺の硬さや太さが何となく気に入らなかった

ちょうどいい硬さを知りたくて…今回は細くて硬い麺にしてみたのだ

 

 

食感はいい感じにはなるとは思うけど…

 

 

「…大将、ちょっと銃の整備していい?」

「油は使わんでくれよ」

「ちょっとした点検だよ」

 

M16A1と…中折式に改造したTHUNDER50.BMGを取り出す

どちらもカイザー正式採用の物では無い、ハンドガンはブラックマーケットから取り寄せた物だ

 

M16A1は…昔から持っている物である

これだけはどうしても最新式の物に変える気にはなれなかった

 

サイドアームがこの使えないハンドガンであるのは、サブを使う時点でかなり追い詰められている状況だ

そこから生きて帰れる可能性は低い、だからこれを使う

 

 

 

…まぁ、そこまで行くなら武器を奪う、うん

 

 

 

 

 

そう思いながら、大体の点検を終えたふたつを元に戻した

布も必要無いレベルの点検だった…ホルスターにTHUNDERを戻しM16A1を横に立てかけた

 

「はい!ご注文の柴関ラーメンです!」

「ありがとう」

 

その時丁度柴関ラーメンが完成したらしくバイトの黒見セリカが私の前に置いてくれた

礼を言って私は箸を割って食べ始める

離れていても分かるこの美味しそうな匂い、…とても良い

 

 

 

私はあの味を思い出してしまい、涎を少し垂らしながら食べ始めるのであった

 

 

 

 

 

 

 

…勿論、箸は片方に寄って割れた

 

 

 

 

「……ん」

 

柴関ラーメンを食べている至福の時間

その時、店に入ってくる客が現れた

…時間はお昼時だし来ない方がおかしいだろう

 

 

ガラガラと開けて現れた客は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうして…!どうして皆まともな案が無いんですか!!!」

「はい口元拭きましょうねー♣︎」

「私は赤ちゃんじゃありません!」

 

…うるさい

私は麺を追加してもらいながらそう思う

 

見てみれば、赤い眼鏡をした子がノノミにあやされている

どういうことか分からないだろうが文字通りである、意味がわからん

 

何があったか知らないが、どうせ面倒事だ

関わりたくないし関わることは無い、気にしないでおこう

 

 

 

 

 

 

 

 

あの子達、はな

 

 

 

 

 

 

 

「…あの輪に戻りなよ」

「いやだね、君がここにいる理由を知りたい」

 

私が目を向けるべきはこちらであり、最大の問題点だろう

小鳥遊ホシノが何故か知らんが私の横の席にスタリと座ってきたのだ

あちらのメンバーに断りを入れたのかと見てみれば、狼耳から手を振られる始末

 

…少し、意味が分からなかった

 

確かに私とお前は何回銃口を向けあったことだろうか

だと言って私に付きっきりになるほど警戒しているのかよ

 

 

とはいえ今回は偵察でも攻撃でもない…ただの配達人だ

 

 

「今の私はただの受け渡し人、…それ以上でもそれ以下でもない」

「…"例の組織"からの受け渡し人、ねぇ…何の受け渡しかな?」

「報酬」

 

ズルズルと麺をすする、やはり美味しい

私の横でホシノが目を細めた気がするが気にする程でもない

 

「…なんの?」

「依頼完了への報酬、君がやってる指名手配犯退治と同じ」

「…"例の組織"からの露払い…ねぇ、何を"退治"したのか教えてよ」

「さぁ?私の知ったことじゃない」

 

一旦、私は麺をすする手を止めた

ちょっと…会話に花が咲いてしまっている

 

「君、忘れているようだけれど…私はただの下っ端

ㅤ君に食いついているだけで…何もかも知ってる訳じゃ無いんだよ」

「そう?下っ端にしては知ってることが多いように思うけど」

「君の思い込みって奴だね」

 

私はそう言って、麺を啜り初めて

もう麺は少ない…さっさと食べて汁も飲んでここから離れよう

さっさと受け渡しを終わらせてしまおうでは無いか

 

「……そんな組織辞めてウチ来なよ、少なくともそっちより楽しいよ?」

「借金取りから借金を負う者にはなりたくないね」

「そっか」

 

私はそう言って席を立った

これ以上長居することも、話すことも無い…そう思っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

その時"見覚えのある"4人組が入ってきた

えんじ色のコートを着た生徒を筆頭に入ってくる4人組

 

資料で見た事のある…"便利屋68"の人間だ

 

どうやら…昼ご飯を食べに来たようである

とてもタイミングが良いこった

 

「便利屋」

「あら…?どうしてウチの会社の名前を?」

 

カウンター席に座った彼女達に話しかける

話しかけた瞬間白い髪に黒が混じった女が警戒し始めたが気にする事はない

敵では無いのだから、何を気にするというのか

 

私は社長に対してスーツケースを渡した

 

「"例の依頼"の報酬だ」

「…!例の……」

 

彼女はスーツケースを受け取り中身を確認する

…一瞬で目が輝いたことを私は見なかったことにした

他の仲間もスーツケースの中身を見て驚いている様子だ

 

「これでお昼ご飯は4人分払えそうだね、社長?」

「そ、そうね…ええ計算通りよ、ここに受け渡し人が来ると予想していたの!」

「えー?"あの襲撃依頼"の前金でほぼ使い尽くしたのにー?

ㅤさっきまで一杯だけでみんなのお腹満たす気だったじゃーん」

「ちょっ、言っちゃだめよそんなこと!」

 

中々計算性のない奴だな…

黙っていればなかなかにオーラはあるのだが…まぁ気にする事はない

 

アルは息を吸って深く吐き、スーツケースを閉じる

 

「…依頼人は何か言っていたかしら?」

「強いて言うなら、成功を願っているそうだよ」

 

 

 

社長の顔が少し青くなるのを眉1つ動かさずに見ながら、私は柴関ラーメンを立ち去ったのであった




「…ん、あれって先輩の知り合い?」
「……うへー、ある意味知り合いかもね〜」
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