枯れたココロと【アオハル】を   作:回忌

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銀行

「かかってきなよ」

 

短い言葉、しかしそれだけで宣戦布告の言葉だ

 

「……」

 

ホシノは黙っている

ここで戦闘するのか決めあぐねているのだろう

 

そりゃそうだ、ここで騒ぎを起こせばブラックマーケットガードが来るだろう

それだけじゃない、他の不良やらも湧いてくること間違いなしだ

 

「来ないの?」

「そう思う?」

 

簡単な口でのせめぎ合い

しかし双方口車には乗らないし、乗せられない

片方は別に騒ぎ起こそうともなんにもない、マーケットガードはカイザーと関係があるのだから

 

しかし片方は生徒であり、この場には不釣合いな存在

騒ぎを起こしてしまえば別の問題が発生してしまうだろう

 

 

 

 

 

「「…………」」

 

 

 

 

 

 

長い、沈黙の時間

 

 

 

 

 

 

「……仕方ないなぁ、今回は私が下げてあげるよ」

 

先に折れたのは、小鳥遊ホシノの方だった

その目が腑抜けたものになったのを見て私もまた銃口を下ろした

あの目になってしまえばもうやつに戦闘意欲は無い、その状態での戦闘なんて……価値がない

 

「でも勘違いしないようにね」

「こっちのセリフだよ、私は別に問題を起こそうが君達ほど罰がある訳じゃない」

 

私はそう言ってたい焼きを店長から取りに行った

今の会話中に出来ていたらしい、私はそれを取って食べ始めた

まずはあんこの方から────

 

「あ」

「迷惑料だよ」

 

──食べようとしたが、小鳥遊ホシノに奪われてしまった

彼女を睨むがそ知らぬ顔でたい焼きを食べ始めた

 

「あ、美味しいねーこれ……皆も食べてみなよ〜」

「…ホシノちゃんの言う通りですね♪お腹も空いてきたし♪」

「確かにずっと歩いていてお腹が減ったわ…」

 

ホシノの言葉にノノミが乗っかり、そこから皆がたい焼きを食べる流れになった

私はあんこを食べれないことに不満を持ちながらもクリーム入りたい焼きを食べ始めた

 

……美味しいには美味しいというのに、なんだろうかこの違和感

嫌な奴が居るせいで美味しさが半減している気がする

 

「お前が居るせいで美味しくない」

「そう?私はとても美味しいかな」

 

ギロリと睨むが本人は何処吹く風、簡単に流されてしまった

この場に居るだけでもう気が滅入ってくる…もうとっとと離脱しよう

私はそう思ってさっさと移動しようとするが行き先に小鳥遊ホシノがぬっと立って邪魔してきた

 

「……何?」

「ちょっと、ね?」

「理由になってない、私は先にいかせてもらうよ」

「そんなこと言わずにさぁー、私と君の仲じゃん」

「…は、どの口が」

 

会話してみればアホみたいなことを言ってくる

私はため息をついて彼女を除けようとするがのかない

意地になって押しのけようとするが対抗して手を絡ませてきた

 

「……ぐ」

「無理無理ー、君瞬間的なパワーはあるみたいだけど

ㅤこういう持続的な力は無いでしょ〜」

 

彼女の言う通り私には持続的な力は無い

瞬間的なパワーは義手で出せるが持続的な力は彼女に負ける

だからこそ彼女との近接戦はすれ違いざまなどにしている

 

……で、逃げようとするがホシノに腕を掴まれているから逃げれない

退路も何も無い、多分私が逃げようとしてもアビドス組が止めるだろう

騒いでガードを呼ぼうにも…騒ぐよりホシノに黙らせられる方が早い

 

 

その後にアビドス校舎に連れて行かれる方が面倒だ

 

 

「…何をしたい」

「ちょーっとお宅の考えを知りたいかなーって」

 

考え……カイザーの考え?

そもそもお前らがどこまで知っているかによるが…

私がカイザー所属というのもあって、ホシノの中ではカイザーは真っ黒なのだろうか

 

「私は下っ端、上の考えなんて知ったことじゃない」

「ふーん…じゃ、ヘルメット団とはどうなの?」

 

ヘルメット団…ヘルメット団に援助していた存在か?

それは紛れもなくカイザーなのだが彼女達は知らないだろう

私は他のアビドスメンバーがたい焼きに夢中になっているのを確認してから小さく彼女に言った

 

「私と君の仲だ、少しは教えてあげるよ

ㅤヘルメット団に援助をしていたのも便利屋に依頼したのもカイザー

ㅤ理由は私には分からない…理事は欲しい物がアビドスにあるとは言っていたけど」

「……少なくとも企業が欲しがるものなんてもうアビドスには無い

ㅤ一体どうしてそこまでしてアビドスを……」

「そこは自分が解明してみなよ、私には分からないけれどね」

 

私はそう言うとその場を去った

ホシノは私を止めることなく、その場で顎に手を当て考え始める

少なくともこれ以上のヒントは教えることも出来ない

後は自分たちの手で真実を掴んで行って欲しいものである

 

 

それから少しした後

アビドス組から離れて1時間近くした頃だろうか

ぶらぶらと歩いていると着信音が鳴り響いた

私の電話だ、一体誰だろうか……いやまぁ理事長とミライ以外登録してないし2人のどちらかだろう

 

そう思って見てみれば、カイザー理事長からの電話であった

 

「……もしもし」

『任務…というより仕事だ、何処ぞのバカが銀行強盗をしやがったらしい

ㅤ至急下手人をぶちのめしてこい』

「了解しました」

 

ピッ、と電子音がして通話が切れる

どうやら何処ぞのバカが銀行強盗をしやがったようだ

カイザーの銀行に喧嘩売るとはどんな命知らずな野郎なのだろうか…まぁ見れば分かるだろう

 

追加で送信された監視映像を片目に、現場に急行───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ん、死にたくなかったら手を挙げて』

『うへー、ブルーちゃんは楽しそうだねー』

『動くなって言ったでしょ!?撃つと動くわよ!?』

『あはは……皆さん動かないでくださいね〜怪我しますよー……』

 

「ンヴッ」

 

 

危うくローラーダッシュの操作をミスしてずっこける所であった

…どういうこと?これは一体どういうことなの?

 

「……バカはバカだった…………」

 

目出し帽をしている奴が5人、少なくとも見覚えの無い奴ら

……が、彼女達の変装は顔だけであり服装は何も変わっていなかった

 

つまるところ、アビドスの制服を来たヤツらが目出し帽被っただけで銀行強盗しているのである

そのうちの1人はどうも違う学校のようだが…あの学校でバレたらかなり不味く無いか?

ていうかトリニティの人間がどうしてこんな所にいるんだよおかしいだろ……

 

「いやそれ以前にガード側は正体を察しろや……」

 

どうもマーケットガード側はなんということかアレで騙されているらしい

たかが目出し帽を付けただけのアレ、でだ

 

 

 

真面目に追撃しようとしている自分がバカらしいわ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「申し訳ありません、取り逃しました───」

 

 

 

 

アホらしくなった私はそのあと追撃することなく、見失ったと報告をした

マーケットガード側も見失ったそうだし、何もおかしい所はあるまい

 

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