銀河天使な僕と君たち   作:HIGU.V

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エピローグ フラグブレイカー ラクレット・ヴァルター

 

 

 

 

「お姉ちゃん!」

 

 

「リコ!」

 

 

戦闘終了後のルクシオール格納庫。エルシオールからシャトルで一時的に合流したエンジェル隊であるが、最初に響いた声は麗しい姉妹の再会であった。ゲートキーパーという仕事柄なのか、妙にフリフリとレースの付いたドレスのような服を着ているミルフィーユ。そんな彼女の胸に、リコは思い切り飛び込んだのである。

 

「ふえええええええん!! お姉ちゃああぁぁん」

 

「よしよし。もぅ、リコは本当に泣き虫なんだから」

 

 

ずっと心配していた訳であり、圧し掛かっていた心の重しが取れたからなのか、感極まって泣き出してしまうリコ。しっかり者ではあるが、彼女はまだ14歳の少女なのである。

そんな彼女にミルフィーは優しく微笑みながら、何度か髪を愛おし気に撫でる。以前より少しだけ傷んだ髪に心配させたんだなぁと思う彼女であった。

 

 

「ほら、リコ。可愛い顔が台無しじゃない。はい、ハンカチ」

 

「あ、ありがとう」

 

 

受け取ったハンカチを一端広げて顔を包むリコ。その後思い切り鼻をかむ。決して乙女が出して良い音ではない音が響き渡り、苦笑するミルフィー。

尚、先ほどミルフィーが気付いた、リコの髪の痛みの主な原因は、海での初めての恋人とのバカンスが原因である。リコにとって幸いだったのが、カズヤがその音を聞いて苦笑するだけだったことか。

 

 

「ミルフィー!!」

 

「タクトさん!」

 

 

丁度リコが離れたタイミングで、もしくは見計らっていたのか、格納庫の扉が開きタクトが駆け寄って来る。マントは乱れ、息を切らしている事から、シャトルの到着を聞いて必要最低限の事務処理をして駈け出して来たのであろう。ミルフィーもタクトの方へと駆けだした。

 

 

「良かった……本当に……無事で……」

 

「はい……またここに戻ってこれた……信じてましたよ。タクトさん」

 

 

今度は映画のワンシーンのように抱き合う男女。先ほどからその様子を見ていた両エンジェル隊はそれぞれ思い思いの反応を示しているが、目立つのは感動し、もらい泣きで号泣するリリィと、そう言えば司令が既婚者だったと今更ながらに驚くカズヤである。

 

 

「にしても、カズヤ。よくやったね」

 

「あ、君がカズヤ君ね。助けてくれてありがとう」

 

 

ミルフィーはそれこそ今気づいたかのようにカズヤの方へと向き直る。実際今まで二人の世界を作っていたのだから仕方がないが。カズヤは自分と同じほどの────厳密にはヒールを含めると自分より大きい────女性に向き直る。

やはり非常に綺麗な人だと、カズヤは改めてそう思った。こちらに向けられている笑顔は、なるほど司令が銀河1だと豪語するだけはあって、リコと違った趣の良さがある。

 

 

「は、はい!」

 

「うん、指揮の腕も士気高揚の語りも、期待以上だったね」

 

「そうそう、カズヤアンタ本当に悪くなかったわよ?」

 

「ええ。気持ちよく戦える指揮でしたわ」

 

「タクトと比べればまだまだだが、そりゃ酷ってもんさね。成長したね、カズヤ」

 

「見事な指揮でした。自分のできる事をこなせてました」

 

「ええ。流石ミルフィー先輩が選んだだけあります」

 

 

便乗するかのように、口々にカズヤの指揮を褒め称えるムーンエンジェル隊。事実カズヤは良くやっていた。素人に毛が生えた様なものだった彼は、仲間と歩調を合わせて成長し、荒削りながらも操縦しながら指揮をし、さらにパートナーとの同調も高く保った。これは仲間と力を合わせて戦うという、エンジェル隊の流儀においてはベストな行動であった。

逆にカズヤに対して厳しく見るのだとすれば、彼はほぼ手放しに褒められているという事か。それは期待以上であったという事で、最初の期待値が低かった故の評価とも取れる。

彼より2つ下で初陣を済ませた、単騎特攻武力介入旗艦撃墜をしたあの男は、和解後常に高い期待値があったために、厳しい評価が続いていたのだ。少なくとも戦闘においては。

いうなればカズヤは褒めて伸ばし、奴は叩いてのばすという方向だったのである。

 

 

「へへっ、カズヤよかったじゃねーか」

 

「うむ、カズヤは十分頑張っていた。OKだ!」

 

「カズヤはヒコーキも指揮もできて凄いのだ!」

 

「シラナミならもう十分任せられるわ」

 

「カズヤさん。すごかったです!」

 

 

ルーンエンジェル隊からは主にエンジェル隊に認められたという事も後押ししたのか、こちらも高評価だ。全方面が自分を称賛するというのもなかなかやり辛い。彼はどこか居心地の悪さを感じていると、ふと思い出した格好の話題があることに気づく。

 

 

「そうだ! 織旗中尉……じゃなかった、ラクレット・ヴァルターさんは!? というか、どういうことなのか説明してください!」

 

「あぁそうだったね。先に聞きたいんだけど。ナノナノとリコ、それにカズヤとアニスは楽人が誰だかわからなかったんだよね?」

 

 

カズヤが気になっている事。それは織旗楽人────ではなくラクレット・ヴァルターの事であった。なにせ今まで近くにいた人が、実は変装した姿であったのだ。詳しい説明を希求するのは当然の帰結であろう。

本人はシャトル用通用口から、着艦手続がいる紋章機よりも早く帰艦しているので、あれから未だに顔を合わせていなかったのだ。

 

 

「呼びましたか?」

 

「あ、ラクレット。本当丁度良い所に……ってその手はなんだい? 肩に置かれると痛いんだけどなぁ?」

 

 

そして噂をすれば影なのか、この瞬間最初からいたかのようにラクレットがタクトの後ろに現れた。その神出鬼没ぶりは、思わずリリィは無意識のうちに剣の柄に手を置いているし、アニスも腰を落としてナイフを取り出せるように構える程であった。

 

 

「こちらラクレット。クールダラス司令。被疑者タクト・マイヤーズを確保」

 

「ん、了解した。おい、タクトぉ! お前が投げ出したせいでなぁ! NEUEから今来た援軍の扱いに苦心してるんだ! その位はやれ!」

 

「え、あ~うん。そうだねぇ……うん、祝勝会をしよう!」

 

「ふざけるな!」

 

 

彼がここに来た理由はタクトの確保である。彼も先ほどまで急いで戦後処理をしていたのだが、何とか自分の分を終わらせたら、タクトがいなかった為に判断を仰ぐことができなくなったので来たのだ。

正直彼自身疲労を感じてないこともないので、あとは現在のトップ2に任せる事にした。

 

 

「それで、私……いや僕が誰だったかだね? カズヤ」

 

「は、はい!(口調がころころ変わってて距離感掴みにくいんだけど!)」

 

「ラクレットさん。カズヤさんが口調を統一してほしいと考えておりますわ」

 

「そうですか。じゃあ砕けた感じでいくよ。まず僕は織旗楽人としてこの艦である任務を遂行していた」

 

「あ、ラクレットさん。久しぶりです! 任務ですか?」

 

 

リコも気になっているのか、近くに寄って来る。それに目で返しながらとりあえず説明を急ぐことにする。

 

 

「ああ、大きな目的は2つ。1つはタクト・マイヤーズ准将の護衛。というよりこのルクシオールを非常時に防衛する。と言うのがあった。まぁ、これは多分知ってたと思う。どうやって守るかとかは兎も角ね」

 

「確かに、楽人さんのしていた仕事は、タクトさんのお手伝いと護衛って言ってましたね」

 

「うん。もう一つは君たちの護衛さ。ただこっちは少々特殊で、僕がいることで成長を阻害してしまうのではないかという話が出てね。無いとは思うんだけど、慢心したり頼りきりになられたりしても困ったという訳だ」

 

 

自ら口にして思うのは、絶対自分が変装する意味はなかったという事である。しかし既に終わったことだ。ラクレットは周りを見ながらそう言った。ルーンエンジェル隊の事情を知らなかった4人は目を白黒している。今一呑み込めていないらしい。

 

 

「うむ、カズヤ。中尉を責めないでくれ。私たちの成長を促すのには最適だと上層部が判断したのだ」

 

「そうそう、というかアタシは途中で気づいたわよ?」

 

「い、言われて見ればタクトさんも思わせぶりだったし」

 

「名前もそのまんまなのだぁ……」

 

「EDENの英雄なんだっけか? オレもそれを知ってれば勘付けたかもなぁ」

 

 

カズヤ、ナノナノ、アニスは脱力しながらそう答えた。思い当たりそうな節は沢山あったのだ。それを思考を停止して考えなかったこの現状こそが、タクトからの遠まわしな教訓のような気がする。

エンジェル隊にいる以上全てを疑ってかかりつつ、全てを信じろ! みたいな。なにせ正体を隠していた赤の他人が本気で自分たちの味方だったのだ。

最も赤の他人ではない人物もいるが。

 

 

 

「ら、ラクレットさん。そのこんな時に言うのも変ですけど、お久しぶりです!」

 

「ああ、リコちゃん。久しぶり。写真では何度か見てたけど、大きくなったね。乗艦した時にも思ったけどね」

 

 

その筆頭でもあるリコはラクレットの巨大な肉体の前に物怖じせずに立っていた。少しばかり緊張しているのは、久しぶりに会うからでもある。

 

 

「ラクレットさんも、また大きくなりましたね」

 

「うーん? 上にはもうほとんど伸びてない分、腕周りとか胸板がどんどんね。ってそんな事じゃなかった。リコちゃんよく頑張ったね」

 

 

ラクレットの主観的にリコは尊敬する先輩の妹といった所か。大したことは出来ていないが月一での文通をしていた仲でもある。たまに添付される写真でどんどん大きくなっていき、10歳の少女だった彼女は今、立派な恋する乙女になっているのだ。

実際スタイルも十分立派である。何の順番という訳ではないが、リコ14歳>アニス16歳>ナノナノ(推定)10歳である。

 

 

「あ、ありがとうございます。ってあれ? わぁ!」

 

「ああ、頭を撫でるような年でもなかったかな?」

 

「って、中尉! リコに触ってる!」

 

 

カズヤはラクレットが、リコにとって『何時も頼りになるお兄ちゃん』だと前に聞かせてくれたのを思い出して、少々複雑だが静観していた。ちなみに義兄の方は『頼りになることもあるお義兄ちゃん』である。

しかしラクレットの行動には複数の意味で思う所があったので割り込んだ。その言葉と同時に、自分の背後にいる両エンジェル隊数名の視線が冷えた気もするが、気のせいであろうと自分に言い聞かせながら。

 

 

「やはり、これなら平気かな? リコちゃん」

 

「は、はい! 少しびっくりしましたけど。だってラクレットさんだし、触ってませんから!」

 

「え、えーと……」

 

「ああ、カズヤすまないね。君の彼女だというのを失念してた。撫でているように見えるかもだが、1マイクロメートル程浮かしている。まだナノのレベルには行けない。修行が必要だな」

 

 

ただ絶句するカズヤ。要するにギリギリの所で触ってないから大丈夫だよ。と言う事である。リコも手が近くにある事はプレッシャーになるが、長い付き合いがある。もし仮に投げちゃったとしても絶対無傷である。と言う確信もある事により心の余裕があるのか何時もの様な体の強張りもない。

ちなみにラクレットはリコに投げられそうになっても、それに力を合わせて無効化できるのではないかと考えているが、特に意味もないので試してはいない。

 

 

「な、何なんだこの人……」

 

「ラクレットに驚いてたら、幾つ心があっても足りないよ」

 

「あ、タクトさん。お仕事は?」

 

「レスターが全部やってくれるって」

 

 

全く悪びれることなくそう言うタクト。もはや慣れているのだが周囲の生温い視線が彼に集まるのは仕方がないであろう。まあ、今までやり取りをしていたレスターとは、叫び声とともに通信が切れたのではなかったために、本当に最低限をしたのであろう。それと

 

 

「祝勝会をしないとね!」

 

「まあ、レスターさんが許可したことでわかりましたけどね」

 

 

この祝勝会はルクシオールで行われるものだが、きちんと意味のある行為だ。今回の騒動は2つの銀河とその中継地であるAbsoluteまでをも巻き込む大きな物であった。それが終わった直後に、大した戦いではなかったけど解決したということを示すために、そう言った事を行うのは大事だ。

なによりもエンジェルたちのテンションを高く保つためにも。そしてそういった仕事はレスターの苦手とするものでもある。勿論できない訳ではないのだが、故にお互いの合意で分担したのである。

 

 

「皆、改めて言うよ。お疲れ様。各々昇進なりボーナス成り色々あると思うから、それに関しては期待しておいて」

 

「そ、そんな。僕たちは出来る事をしただけです、司令!」

 

 

カズヤが代表する様にそう言うのだが、実際これだけの活躍をした彼女達に何もないというのは、外集団が黙っていないのである。最も流石に任官半年程のルーンエンジェル隊は昇格させるのが難しいものがあるので別の形になるであろうが。

 

 

「それでラクレット。流石にオレの方でもこのままじゃ限界みたいなんだ」

 

「そうですか……まあ、いずれはそうなるとは思っていましたが」

 

「えと、どうしたんですか?」

 

「ああ、ラクレットは中尉なんだけど。それは昇進を無理矢理蹴り続けているからなんだよね」

 

 

タクトが説明したのはラクレットの階級の事だ。彼は本来既に大尉どころか佐官になっているはずの人物なのだ。一部では大佐にして空母の艦長にしようという声も上がっていた。勿論補佐官が必要ではあるが、彼のネームヴァリューと功績と能力は多方からラブコールを受けているのは純然たる事実である。

しかし、彼を旗印に新たな派閥を作る動きがあるというのを耳に挟んだことにより、彼は所謂女皇派の人間であることを強調しつつ、下に入る人間が少ないように中尉でいる事を選んだのだ。

彼の上はガッチリ英雄、宰相兼将軍、女皇が固めているが、彼の下に着きたい人間は多かったのだから。それだけならばまだいいのだが、ヴァル・ファスクの急進派や反貴族軍人を掲げる一般家庭出身者達などの、希望の星や旗印扱いされてしまう可能性もあったのだ。

しかし流石に常識に照らし合わせると今回の功績も加えれば昇進しないというのはあり得ないのである。士官学校を卒業していないという理由だけではもう相殺しきれない。ちなみに、そういった意味では実はミルフィーとランファが学歴という面では優れているのだ。

 

 

「まぁ、そんな訳でさ。一気に中佐ぐらいまでなるかい?」

 

「いや……それは……できればお断りしたいですけどね」

 

「ふふ、実はその方法が無い事もないとしたら?」

 

 

先ほどの言葉と合わせるとしたら、特別な方法であろうが、これ以上偉くなって余計な気苦労を背負いたくないし、なにより階級差がありすぎる恋愛は面倒だなぁ。と目の前にいる尊敬する上司を見ながら思うので、一も二も無く同意するラクレット。そして次の言葉で絶句することになった。

 

 

 

「ルーンエンジェル隊に入る」

 

「…………」

 

「あ、固まったね。というかね、カズヤを入れた時点で、男でもいいならラクレットも入れろよ。って保守派のお偉いさんがせっついたからね。君もう非公式だけどエンジェル隊なんだよね。所属」

 

 

ラクレット・ヴァルターを変装させながら、EDEN銀河の影響の及ばない地域に離すというのは、それだけの事なのだ。単純な任務だけで、そんな超法規的な措置を取ることはできない。ではどうしたか? 簡単だルーンエンジェル隊に入れたのだ。カズヤの入隊が内定した時点でなので、非公式だが、ラクレットの方が早い。

また、これによるメリットはもう1つある。いくら殆どがNEUE製の兵器を用いる部隊だとしても、その搭乗者の多くをNEUEの者で構成しているが、実際はEDEN軍なのだ。

EDEN軍を良く知るものが1人はいないと、軍としての帰属意識がNEUE側に行きすぎても困る。アプリコット・桜葉はEDEN側の人間ではあるが、新兵でありEDEN軍がどういったものかを体感では知らない存在だ。

そういった意味でまさにすべての条件を満たすラクレットは、渡りに『艦』だったのだ。要するに過剰戦力。

 

 

「…………」

 

「アンタエンジェル隊に成りたかったんでしょ? よかったじゃない、ね? ミント」

 

「ものすごく複雑に考えてますが、どうやら名誉ムーンエンジェル隊に入れないことのショックが大きいようですわね」

 

「全く、何時までも姉離れできない弟かい?」

 

「私にとっては年上です。後輩ですけれど」

 

「あはは、確かにラクレット君って弟だよねー」

 

「ミルフィー先輩、弟とは雑用を押し付けるものではないですよ」

 

 

ムーンエンジェル隊は一応このことを知っていた。そしてどちらかというと背中を押す側に回っていた。

彼女達はお気楽極楽を地で行く部隊だが、決して馬鹿でも無能でも鈍感でもない。ラクレットから向けられる。本気の尊敬と敬愛の念が最後まで消えなかった事を、きちんと理解していた。

なんども対等な立場に来いと呼んでも、口だけは並んだと言って、心の中では一歩引いていた男。本当の意味で仲間になったファーゴが落ちた日。結局あの中で変わったようで変わっていない部分が彼の芯の部分にあったのだ。

 

 

「ラクレット君、あのねヴァル・ヴァロスで言った事覚えてる?」

 

「アタシたちは7人で1つのチームだってことよ? 懐かしいわね」

 

「アンタは男だからアタシたちと一緒のエンジェル隊では無かっただろ?」

 

「心では1つのチームでしたが、貴方は名前とおっしゃいますか、肩書を気にする人でしたから」

 

「名前を考えていました。私達のチームの」

 

「先輩たちも私もラクレットさんも。皆入ったチームです」

 

 

そこまで順々に口した彼女たちは一度顔を見合わせて、同じタイミングで口を開いて言葉を形にした。

 

 

 

 

 

 

 

────ギャラクシーエンジェル

 

 

 

 

その名前は、偶然なのか彼が心の底から愛した物。彼が最高に欲して、そして自分を知り、彼女たちの為に動くことを決めてから、最も手の届かないものだと気が付いた名前。

ラクレット・ヴァルターという人間を構成する上で、最も外すことができない最高の名前だった。

 

何せ彼は何処まで行っても銀河最強のギャラクシーエンジェル馬鹿なのだから。

 

 

硬直しているラクレットの瞳が大きく開き、そこからはらりと一筋の涙が流れ落ちた。その様子を見た6人は満足げにほほ笑んだ。どうやら伝わったようだ。

しかし、次の反応を待っているのだが、全く反応を起こさない。不審に思ってランファが一歩近づいて気づいた。

 

 

「こいつ、感極まって気絶したわ」

 

「ええ、思考が先ほど混乱と歓喜に満たされて、オーバーフローしましたわ」

 

 

立ったまま気絶した。人は嬉しすぎても意識を飛ばせるのだ。『天使にお迎えされて昇天する』という彼の伝説に一筆加えるとして、普段は意識的に思考を読むという事をしなかったミントが、今能力を使おうと意識したために、とある思念が彼女たちに向けられている事を受信したのだ。

それは『熱くて冷たい』とある感情だった。それを理解した瞬間に彼女も満面の笑みを浮かべて口を開いた。

 

 

「あら? 大変面白いものを見つけましたわ。本人が口を割らなかったことがわかりそうですわね」

 

 

その言葉を理解したムーンエンジェル隊は、ミントを先頭にその女性の元へと仲良く『お話』しようと向かう。

 

その結果どうなったかはまた後で記すとしよう。一番とばっちりを受けたのは,巧く躱して盾にされた、カズヤとリコであったとだけ今は綴って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん? ここは……あれ?」

 

 

僕が今いるのは満天の星空が映し出される部屋。水の流れる音が聞こえる事から艦内のどこかであることがわかる。どうしてこの場にいるのか先ほどまでの記憶が全く思い出せない。

 

そうだ、確か物凄い嬉しい事があって、それでものすごく体が緊張することがあったんだ。そんな曖昧な感覚にふわふわと支配される身体。動かないことはないが、妙に重い、感覚とずれているような感じがするのは現実感が無いからかもしれない。

 

 

「って、あれは……カルーア?」

 

 

ふと目の前に人が立っている事に気づく。星明かりしかないから表情までは見えないけれど、体つきと髪型でわかる。あれはカルーアだ。いつの間にいたんだろう? 全く分からなかった。

 

 

「あ、あのカルーア、ここは」

 

「────ラクトさん。私に言いたいことがあるって」

 

 

その言葉を言われて、僕は急に頭に情報が入って来るような感覚が来た。そして思い出したのは、あの夜隣りのベッドの上にいる彼女に伝えた言葉。この戦いが終わったら────僕は────

 

 

「うん、カルーア。君に言いたいことがあるんだ……僕は……」

 

「首輪を……」

 

「ああ、うん。もう首輪が無い、この僕の姿でね」

 

 

そうだった、軍規の、確かトランスバール皇国特別規律その40にある「オレ、この戦争が終わったらあの娘に告白するぜ」といってはいけない。に抵触しそうな事を伝えたんだ。それでも伝えたいことがあったから。

 

 

「その……なんて言うか……僕は……あー」

 

 

しかし、やっぱりいざ伝えようとするとこう、難しい。なんで僕はもっと深く言葉を考えて準備しておかなかったんだ! もどかしい感覚があるけど、どうしても言葉が出てこない。

歯がゆくて仕方がない。どんな強い敵からだって、こんなプレッシャーを受けなかった。体中が重くてうまく動かないし頭もまわらない。まるで重病に侵された気分だ。

 

 

「僕は……ラクレット・ヴァルターは……首輪のない、僕は……君を……君の事が……」

 

 

それでも今までと同じ。僕ができるのは一歩ずつ前へ。恐怖を強く覚える方向にこそ、ひたすらに進むだけ。鼓舞する言葉を今は用意できない? 体が上手く動かない? 上等じゃないか! ここで逃げたら僕はずっと後悔する。

前に、あの人から身を引いた時の思いを振り切るのに3年かかったんだ。ここで引いたら一生引きずる。倒れるならせめて彼女の手によって止めを刺されなきゃいけないんだ!

 

 

 

 

勇気を出せ僕! 僕は誰だ?

銀河最強のラクレット・ヴァルターだ!

 

ギャラクシーエンジェルの一員に『成』れたんだ。

そんな僕が怯えるなんて可笑しい!

 

こんなにも体が重いし、もうなにもかもが怖くて震えているけど

それ以上の勇気をぶつけるのが僕だろ!?

 

 

「僕は君が……君が……」

 

「ラクレットさん、言い難いのなら……私から……」

 

 

きっとその言葉が最後に背中を押したのだろう。冗談じゃない! ふざけるな! っていう強い気持ちが何よりも僕の力になったんだ。

 

 

「首輪の無いこの姿の僕は、君が好きだ! カルーアのが、カルーアのテキーラのが好きだ!」

 

「……私もですわぁ~。ラクレットさん」

 

 

その言葉を聞いた途端僕の膝が折れた。安心感からだと思う。もう力が入らなくて跪く形になっちゃった。格好悪いけど仕方がない。本当今日はいろいろあったんだから。

 

 

「だから……私用意しましたの……」

 

「え?」

 

だから全然反応できなかった。

 

 

 

 

「ラクレットさんは……首輪がお好きなのでしょう?」

 

「────え?」

 

 

僕の首には、ゴツゴツとした無骨な首輪があった。何かしらの魔法がかかっているのか、薄く光っているように見える。しかも正面から太い鎖が伸びている。

 

あれ? これって?

 

 

 

「私も大好きですわ……ラクレットさんの首輪が……」

 

「え? いやその僕は……確かにどっちかと言ったら、そちら寄りだとは思うけど!」

 

 

否定ができないのは辛いけれど、かといって僕がなりたかったのは将来的にはそういう関係ではある。

あれ? 問題ないんじゃないか? なんて一瞬思ってしまうけれど、だまされてはいけない。ペットと飼い主になりに来たんじゃないんだ!

 

 

「ふふ、犬が何か言っても分かりませんわ~」

 

「………………わ、わん」

 

「ふふ、よくできましたわ~」

 

 

だめだった。欲望には勝てなかったよ。ゾクゾクと来た。僕を見るとろんとした顔が恍惚に歪んでいる彼女に、僕は自分の中の新たな扉が開き、次のステージへと覚醒したのを理解した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「してたまるかああああああああ!!!」

 

「あ、起きた。ほら、ラクレットもグラスもって、乾杯するよ」

 

 

良かった。どうやら歓喜のあまりに意識を飛ばしていただけの様だ。場所は食堂。既に飾りつけも料理も終わっている事からそれなりの時間がたっていることがわかる。ぼんやりとある記憶をたどると、言われるがままに会場の設営をしていたようだ。

すごいな無意識の僕、どこまで下ッ端根性が染みついているんだろうか。自分でも恐怖を覚える。

 

何とか乾杯に合わせる事が出来たので、軽くタクトさんに話を聞いてみると。やっぱり気絶していたみたいだ。

 

 

「それでさっきの話の続きになるけどさ。ルーンエンジェル隊に入ってるんだ。君はもう」

 

「決定事項を通達した形でしかないと。まぁ、いいですけどね」

 

 

すこしばかり胸に突っかかるものがあったのも事実だ。何せ僕の至上目標はムーンエンジェル隊というか厳密にはエンジェル隊と共に戦い、彼女達と同じ存在に昇華することだったのだから。

そう『だった』だ。既に僕は満足してしまった。確かにもう二度と彼女達と至高の天使達と同じ場所に着けないのは心苦しいけれど、7人で1つのチームの名前を貰えたんだ。きっと卒業記念というか、手切れ金の様な名前だと思う。立派過ぎる『姉』たちからの、自分の道を行けという事なんだと思う。

なにより、僕には今やりたいことがある。というか、そうルーンエンジェル隊にいるという事は僕にとって大きな意味になる。決して悪い話ではないどころか嬉しい話だ。

 

 

「対外的なリーダーは君になるけど」

 

「はい、カズヤ君ですね。いやカズヤと言ったほうがいいのかな? 同じチームだし」

 

「そこは任せるよ。ブレイブハートは指揮官機としては最適だからね。何より君に指揮は任せられない。そしてたぶん」

 

「ええ、そろそろ例の計画が動く時期ですから」

 

まだまだ宴は始まったばかりだけど、僕は少しずつ気配を消していく。この後にこそ僕のやりたいことはあるのだから。

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ、やっと抜け出せましたわぁ」

 

「うん。先輩たちからの追及もあったみたいで、なんかごめんね」

 

「いえー大体はあの人がカズヤさんに擦り付けましたからぁ」

 

 

呼び出した場所は、魔法研究室。厳密には入れてもらったという形になるけどね。ここならお互いに変な意識をする可能性も低いし、確実に2人きりになれる。恐らく最適の場所だと思う。さて、気合を入れよう。

何が幸いをするのかわからないけれど、さっきの夢のおかげでどうにか冷静でいられる。すでに告白をしきった感覚すらある。多分直前で一気に緊張が来ると思うけど。

 

 

「えと。言いたいことがあるんだけどさ。その前に」

 

「なんでしょう?」

 

「自己紹介していいかな?」

 

 

顔を前に見られているけれど、僕の正体までは教えてない。いやもう『彼女』には公然の秘密になっていた感じはあるけど、それでもけじめとしてね。

 

 

「僕の名前はラクレット。ラクレット・ヴァルター。職業は軍人で、階級は中尉。今日の2400付けでルーンエンジェル隊に正式配属になる予定。年は18歳です」

 

「まぁ~! それはご丁寧にどうもですわ~。ラクレットさんとお呼びしても?」

 

「うん、そうしてくれると嬉しい。僕もカルーアさんって呼んでいいかな?」

 

「さんはいりませんわ。あ、でも私の方がお姉さんでしたわ~」

 

何が面白いのか、カルーアは胸の前で手を合わせて、ニコニコ微笑んでいる。確かに僕が年下と言うのは違和感があるかもしれない。僕も忘れそうになることが多いけど確か前世があったような気もする。でも自分の年齢はかなりしっくりきてる。18歳というのはかなり。

 

 

「うん。カルーア聞いて欲しい事なんだけど……」

 

「あのぉ~その前に1ついいでしょうか?」

 

「あ、うん」

 

 

出鼻を挫かれてしまった。けどまだ問題はないだろう。嫌な予感センサーが反応してないんだから。く、首輪じゃないよね、たぶん。

 

 

「ミモちゃーん、ボンボンを1つくださいな」

 

「了解ですに!」

 

「ありがとうございますわぁ~それじゃあ、少し眠っていてくださいね~」

 

「にゃんですとぉ! そんなカルーア様殺生な!」

 

「ふふ、独り占めにしたい言葉もありますの」

 

 

そう言ってミモレットさんの額に人差し指を当てると、一瞬だけ光ってミモレットさんは安らかな眠りについた。れすといんぴーすかな? あれそれじゃあ死んでる気がする。

 

 

「ふふ、お待たせしました。どうぞー」

 

「う、うん」

 

一度深呼吸。大丈夫、少なくとも悪くは思われていない。こっぴどく振られることはないはず。

 

落ち着け、可能性を想定するんだ。

 

今は恋愛に興味が無いと言われたらそれまで待つというんだ。まずはお友達からと言われたら、それ以上に成れるように努力するというんだ。

交渉事だと思え、最初の一手は強く、そこから妥協点を探すんだ。一歩目から妥協してたらまともな成果を得る事は出来ない。

 

 

「その、着任してもう3か月ちょっと経つんだけど。もしかしたらその期間って短いかもしれないんだけど……色々あったよね」

 

「はい~ラクレットさんには驚かされてばかりでしたわ」

 

「はは、少しオーバースペックなところがあるからね、僕。うん、そんな中でさ、その僕は。あぁー結構一緒に行動したよね?」

 

「そうですわねぇ。マジークではお世話になりましたわ」

 

 

来た! その言葉を待っていた!! 心の中で覚悟を決めた。もう走り切るしかない。自分の中で時間が加速していくような錯覚の中、僕は言おうと決めていた言葉を形にする決意を固めた。

 

 

「いや、あれは任務の一環だったし。その格好つけたかったんだ。君の前でさ」

 

「まぁ!」

 

「最初はその、綺麗な人だなぁって思っただけなんだけど、偶にここに荷物持ってきたりする時に、色々な面がある人だなぁって思ってさ……なによりその、テキーラが中にいるっていうのが、すごい個性的でなんか、格好良くてさ。その憧れてさ、彼女にも言われたんだけど、僕にとっては、テキーラもカルーアなんだ。だからその、すごく不誠実に思われちゃうかもしれないんだけどさ」

 

 

 

 

そして僕は────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

義姉さんからもらった『盗聴、思考検閲能力妨害パルス発生装置』を作動させた。ドアの向こうでたぶん、僕だけにぎゃーとかいう悲鳴が聞こえたのを苦笑しながら、先を続ける。

 

 

 

 

 

 

 

「カルーアが好きなんだ。だから、僕と結婚を前提とした御付き合いをして下さい」

 

「────はいっ! 喜んで! 二人合わせてよろしくお願いされますわ」

 

 

あれ。婚約までOKされた? あはは。なんか現実感が無い。

 

無意識に僕は彼女の両手をとっていたらしく、その手を包んでいる部分から伝わる体温だけが、僕の5感が正しく作用しているって伝えて来る。目の前にいるのは天使だから、幻覚かも知れないと疑ったけど、たぶん天使だから仕方がない。そう天使だからね。

 

 

「あ、えと、その、あの。えーと。本当に?」

 

「はいー。私達もお慕い申し上げていますわ! あの呪いのおかげで確信しましたの」

 

「の、呪い? 」

 

 

どういう事だ? あれは確か、僕の割と身勝手な告白で、テキーラが悩んで弱ったから発動した、原因不明の物だったはず。

 

 

「あの呪いの解析をあの後きちんとしたのですが、すごくシンプルなものでしたの」

 

「どんなのですか?」

 

 

思わず敬語になってしまう。と言うか僕は年上の女性と話すときの素はこちらなのだから仕方ないのかもしれない、

 

 

「ふふっ。『私』の恋が成就した時に、『私』がその人を殺す。ですわ」

 

「え、えーっと……」

 

 

考えよう。今の言葉を。まず恋の成就だ、成就と言うのだから、たぶんこうお互いの気持ちが通じ合っているという確信を、少なくとも呪いを受けた側が誤解でもいいから持つ理由があるであろう。

そして行動として出た対象の殺害。それがその恋が成就した対象を殺害するという物だった。つまり

 

 

「ぼ、僕がテキーラに告白したのって、知ってました?」

 

「いえー。ですが、その……ラクレットさんは結構前から私の事ずっと見てましたわ」

 

 

ば、ばれていた? ってそうじゃない。この呪いはテキーラをベースに掛けられたものだったはず。つまり、あれ?

 

 

「ふふ、それじゃあ、そろそろあの人の番ですわね。ラクレットさん」

 

「は、はい」

 

手を外されて、そしてそのまま頬をなぞられる。指の通った跡がかぁっと熱くなる。

 

 

「私、かわいいものが好きですの。あの人もそれは同じですわ」

 

「え、えと」

 

「ラクレットさんは、とても可愛らしいですわ、意地悪したくなるくらい」

 

 

その言葉を最後にカルーアはボンボンを口に含んだ。その蠱惑的な笑みとセリフで僕は背筋がゾクゾク来た。あ、やばい、もう覚醒してるわこれ。

光が収まると同時にテキーラが出て来る。何やらぶつぶつつぶやいて、少しばかり不貞腐れた顔をしている。少し不機嫌……なのかな?

彼女が口を開くまで黙っていようと、観察してるとこっちを睨んできた。

 

 

「アンタさ、全部わかってて、惚けてるわけじゃないわよね?」

 

「え、うん。勿論」

 

「はぁ……まぁいいわ。それであの娘から返事はもらったのよね」

 

「うん。告白したらOKして貰えたよ」

 

 

自分でも今一実感ないけどね。だって僕だよ? おかしいでしょ? 確かにこのルクシオールという閉鎖環境において、競争率はかなり下がっていたと言えるけど、彼女程の女性が、古巣に恋人や婚約者の一人もいないなんて驚きだし。いないとしてもわざわざ僕を選ぶなんて相当趣味が特殊だと思う。

なにせお金に釣られるような性格じゃないのは知ってるし、筋肉が好きなのだとしたら、確かに僕は好みだと思うが、それ以外はあり得ないだろう。それにテキーラはかわいいものが好きだって豪語してた。リコちゃんやカズヤにちょっかいを出してたし。僕はちょっかい出されたことないし。ついさっきまでは。

あれ? でもデパートシップでのあれは、もしかしたらそうなのか?

 

 

「そ、よかったじゃない」

 

「うん」

 

「……」

 

「……」

 

えーと、この沈黙は何だろう。というかテキーラに対してはどう接していいかわからない。客観的に見て僕は告白して返事待ちの状況で、さらに別の女性に告白したようなものだ。最低の屑じゃないか。

まあ、僕的にはカルーアもテキーラも同じ女の人であるから、意思が2つあるだけで。でももう一回告白するべきなのだろうか?

 

 

「ア、アタシも……その」

 

「え?」

 

「アタシもアンタのこと、好きよ。あの子と同じでね」

 

「あ、その……それってこの前の」

 

「そうよ。やるじゃない。二人とも盲目にしてくれちゃって」

 

 

別に大したことはした自覚はないんだけど。それでも彼女が僕の事を見てくれるのならば嬉しい。というか、本当に現実感がわかない。全部夢だとしてもおかしくない。

 

 

「あはは……うん。僕はただ好きだって言っただけだよ」

 

「まったく……その余裕がむかつくわ」

 

 

 

内心苦笑する。余裕なんてない。もしテキーラに先払いで告白してなかったら、もう1回告白しなきゃいけないとしたら、僕はエネルギー切れを起こしていたと思う。

 

 

「ラクレット、アンタ今日はもう仕事ないのよね?」

 

「あ、うん流石に今日は休めって言われてるよ。明日から後処理で忙しいけどね」

 

 

手伝おうと思って、レスターさんに先ほど尋ねたけど、パイロットはパイロットの仕事をしろ。と短く切られた。やっぱり格好いいよね。ああいう人。アルモさんには悪いけどさ。

 

 

「そう……それじゃあ、今夜は空いてるのよね」

 

「あ、え、ちょっと……」

 

 

僕ももう子供じゃないし、でも流石に速すぎるだろ。とか言いたかったけど、そんな余裕はなかった。ぐいっと懐に入って来るテキーラを跳ね除ける事なんて無理だ。鎖骨の下当たりを指でなぞられると、それでもう何も考えられなくなる。

 

 

「ふふっ……何を想像したのかしら? 一緒にお酒でもどうかしらって言おうとしただけなのに」

 

「あ! うん。そうだね、う、うん。是非お付きあいさせてもらうよ」

 

「アタシの部屋でね」

 

「……え、え?」

 

「ふふ、ムーンエンジェル隊のものじゃなくて、アタシたちのものにしてあげる」

 

 

テキーラに言いたいことがあるとすれば、僕は既にこうやって振り回されることが楽しくなりつつあることか。そんな自分に苦笑してる。

きっと、少なくともこの方向では未熟な僕だし、いろいろ迷惑をかけるだろうけど

 

 

「ああ、僕はカルーアとテキーラのものだよ。ずっとね」

 

「いい心がけね。それじゃ行きましょ」

 

 

 

 

 

 

 

このあと無茶苦茶ドアの前で待ってる人達を蹴散らすのに苦労したけど楽しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え? 僕が代表してエンジェル隊に配属ですか?」

 

「ええ、ホーリーブラッドのコンバットプルーフの最終段階でね。頼んだわ────ロゼル」

 




 彼は大変なフラグをブレイクしていきました。それは彼自身のブレイクフラグです。

 ということで残念ながらヒロインゲットです。
 Mは最強だし、主人公は最強厨だし、Mに覚醒。これでもう無敵。あと12話でラクレットが飲んでたのがテキーラで、テキーラはカルーア。つまりそういうこと。
 余裕があったらデートとかも書きたい。書くって決めると筆が止まるから
願望だけにしておく。

あともう没にしたので言いたい事(Ⅱをやった人向け)
ラクレットを鍵に置けるロゼルの立ち位置にして
ESVの改修の時点でVチップ故の外部からの操作の惰弱性を改修させておいて
パルフェ戦でのロゼルのそれを再現させ
刻におけるラスボスにしてロゼルに倒させる。

没理由
ヒロインが泣く。不在で話を書くのが難しい。勝てるビジョンが見えない。
それはそれで面白そうなんですけどね。
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