「何故付いてくる。お前と一緒に帰る必要はないと言った筈だ。」
「こっちのセリフだっつーの。俺は自分の帰り道を通っているだけだ。」
別々に帰るといった二人が一緒に歩いているこの状況。
理由は簡単。ただ通る道が一緒だったというだけの話である。
周りにはもう生徒は残っておらず、二人は校門に続く道を歩いていた。
「てゆーかお前って寮じゃなかったのかよ。」
「見ず知らずの奴と二人部屋で一緒になって気を遣うのも疲れるだけだ。それなら多少面倒でも一人の方が何かと気が楽だ。」
そう。この学園の寮は二人部屋なのである。
ただし、二人部屋なだけで何処をどう使うかは本人たちの自由だ。
因みにこの二人は学園の外から通っているが、士郎たちは寮に住んでいる。
「まぁ、確かにな。」
「そういうお前こそ何故外から通っている。」
「俺か?俺は……まぁ…なんというか……まぁ色々あるんだよ!」
一度は寮に住むことも考えたが今まで姉と二人暮らしだったから今度は自分の面倒は自分で見るためなのだがどうせ言ってもバカにされるだけだと思い誤魔化した。
と、その時・・・。
「ん?なぁ、なんか煙上がってないか?」
校門に向かう途中にある森へ続く道の向こうから煙が上がっていた。
「…ボヤか?ってオイ!お前何処に行くつもりだ!」
「ちょっと様子見てくる!もしも火事だったら大変だからな!」
そうして将汰は煙の上がっている森の奥へと走って行った。
「なんでお前まで来るんだよ!」
「お前一人で行ったところでどうにもならないかもしれないだろ。だったら俺も一緒に行った方がいいと思っただけた。」
「それもそっか。」
結局、煙の上がっている所へは二人はで行くことになった。
そして、だんだん煙の出ている所へと近付いたところで一人の人影が見えた。
「!誰かいる!あのー!!大丈夫ですかー!!」
誰かいることに気づいた将汰はだんだんその人影に近づき・・・・・・。
「……え?」
その顔を見て言葉を失った。
「ああん?誰か来たのかよ。たくっ…面倒なことになった。」
言葉を発した。間違いなく生物だ。だがそれは確実に人間ではなかった。体は鎧のような物で覆われていて、右手にはかぎ爪のようなものが付いた異形だった。
「まぁ、とりあえず…」
そしてその異形は右手を振り上げ・・・
「消えてくれや。」
無慈悲に破壊の一撃を降り下ろした。
右手のかぎ爪から衝撃波のようなものが出る。
それはまっすぐに将汰へと向かって・・・・・・
ガシィィ!!!
ガァァァンッ!!
将汰がいた場所を通り過ぎて、その先にあった木を抉った。
「ッ…拓摩…。」
「何呆けてるんだこのバカ!早く立て!」
瀬戸に引っ張られて難を逃れた将汰は改めて目の前に佇む異形の者を見た。
「オイオイ、避けてんじゃねぇよ。此方もあまり時間をかけたくないんだよ。はぁ…しょうがねぇ、このまま向かうことにするか。」
そう言いながら1歩ずつこちらに歩いてくる。
「とりあえず逃げるぞ!」
「ッ!…ああ!」
「あ!オイ、待てコラ!」
二人は同時に走り出す。相手も当然走り出す。二人は逃げながら相手について話していた。
「何なんだよ、アイツは!」
「俺が知るか!!アイツの目的は知らないがとりあえず走れ!」
(何だよアレ!?いやそれよりアイツはあそこで何をやってたんだ?…ちょっと待て。アイツは何て言ってた?)
このまま向かう。何処に?その答えに行きついた瞬間、将汰はUターンして引き返した。
「!?オイッ!お前何をやってる!!」
「アイツは多分学園に向かってる!俺が足止めしておくからお前はみんなに伝えてくれ!」
「オイ待て!桜庭!!」
瀬戸の制止を振り切り将汰は来た道を走って行った。
「何だ?逃げんのはもうやめたのか?」
「さあ?どうだろうな。」
将汰は今、あの異形と相対していた。目的はただ一つ、足止めのみ。1分1秒でも長くこいつを引き付けなければならない。将汰はどう足止めするかを考えていた。
(つっても、方法なんて1つしか思い浮かばないけどな。)
そう心の中で呟きながら覚悟を決めて構えた。
「位置について」
「は?」
「よ~~い…どん!!」
そう言うやいなや将汰は全速力で走り出した。
「待てコラ!結局逃げるんじゃねぇか!!」
(とりあえずなんでもいいからアイツの注意を引く!その後は…その後は……どうすんだ俺ッ!?)
先のことを考えずに走り出したがもう始めてしまったのだからこのまま逃げるしかない、将汰はそう思っていた。
幸い走ることには自信があった。生まれた町でたくさん体を動かしていたから。多少の障害物があっても大丈夫だ、そう思っていた。
だが、将汰は忘れていた。相手は武器を持っていたことに。
ヒュンッ!
「ッ!?」
ガァンッ!!
風を切る音が聞こえ、咄嗟に身を下げると目の前の木を抉る音が聞こえた。
しまった、と将汰は思った。相手は武器を、飛び道具を持っていた。ならばそれにも注意しなければならなかった。
「オイ。」
ガァンッ!
「ガッ…!」
「何度も同じ手が通じると思うな。」
いつの間にか後ろにいた異形に腹を蹴られ膝をつく。
肺の中の空気を無理矢理出され目眩がする。
体が思うように動かない。
目の前の存在が右手を振り上げる。
「まぁ、よく頑張ったと思うぜ。だが、これで終わりだ。」
(あぁ……俺、死ぬのかな…。まぁ、頑張ったよな…。拓摩はみんなに伝えたかな…。)
思い浮かぶのは新しく出来た友達。
(そういや、アイツら元気かな…どうせまた片方が振り回してるんだろうけど。)
続いて出てきたのは二人の幼馴染み。
(姉さんにも結局迷惑かけてばっかだったな…。)
最後に出てきたのはずっと一緒に暮らしてきた姉。
(これって走馬灯か?確か生き残る方法を探してるんだっけ。いやー初めて見るな。)
そこにいたのは中学生の頃の自分と幼馴染み。
誰かの為に動いていた自分に幼馴染みが注意しているところだった。
『またケガしてる。もぉ~~あんまり無茶しちゃダメだよちゃんと自分のことも考えなきゃ。』
『ごめん、ちゃんと気をつけてるだけどな…。』
そうだ。あの時は小学生がボールを木に引っかけて泣いていて、それで俺が身体中に枝が当たりながらも取ってやったんだ。
『将君はもうちょっと自分を大事にしなきゃダメだよ。私には止めることは出来ないから言うことしか出来ないけど…。』
アイツは運動はあまり得意な方じゃなかったからいつも見ているだけの自分が嫌みたいだった。だから俺はそんなアイツを元気づけたくて・・・
『そんなことないよ。俺、お前の言葉からすっげー元気もらえるんだ。』
それは本当だった。みんなアイツの笑顔から、応援から勇気をもらっていた。
『ええ…そうかなぁ…。』
『ああ。そうだよ。』
『ふ~~ん……じゃあさ、1つだけ約束して。』
『約束?』
『うん。約束。私には言うことしか出来ないから…。あのね、将君はこれからも誰かの為に動くんだよね。だから!……あんまりケガしちゃダメだよ。』
『……分かった。約束するよ。あんまりケガしないように気をつけるよ。』
二人はお互いの小指を絡ませる。
『『指切りげんまん嘘ついたら針千本の~ます♪指切った♪』』
『えへへ、約束だよ、将君。』
『ああ、約束だ、まどか。』
「ああ、約束だ…だから…」
そう呟き、目の前に迫っていた右手を蹴り払い、そのままもう片方の足で蹴りを叩き込んだ。
「あんまりケガしないようにしないとな。」
「ッ……テメェ…!」
「悪いな、約束があるんだ。だから……ここで終わる訳にはいかない…!」
「ああ、そうかよ!!」
異形はもう一度右手を降り下ろそうとする。
が、その時。
ブオォォンッッ!!
「ッ!?グオッ!!」
異形の後ろからバイクの音が聞こえたかと思ったら、そのまま異形を弾きとばし、将汰の前で止まった。
「……」
将汰は絶句した。異形をひいたバイクに乗っていた者もまた人ならざる者だった。顔はフェイスで覆われ、首には赤いマフラーのようなものをたなびかせ、手には銀色の手袋をはめ、腰にはベルトのような物をまいていた。
「よく頑張ったな。後は任せろ。」
そう言うと目の前の異形は振り返り、吹き飛ばしたふ異形の方へゆっくりと歩いていく。
「……あれ?今の声……どっかで聞いたような……。」
「チッ…仮面ライダーか。だからあんまり時間をかけたくなかったんだ。」
「そういうお前は……イマジンか…。」
そう言うと仮面ライダーと呼ばれた者は懐から何かを取り出した。イマジンと呼ばれた者はすぐさま構えた。
取り出した物は・・・・・・携帯電話だった。
ピッ、ピッ、ピッ、プルルル・・・・・・
辺りに携帯電話の音が鳴り響く。
「もしもし。」
「ただの携帯電話かよ!!」
イマジンのツッコミを受けながらも仮面ライダーは電話を続ける。
『変身してる上に戦闘中なんで後でにしてくれます?結構シュールなんで。』
「む…それはすまない。こっちは敵と遭遇した。そっちはどうだ?」
『あまり苦戦はしてないけど…一般生徒を三名助けました。』
「そうか…こっちもだ。」
『どうしますか。』
「まずはお互いの敵をなんとかして合流するぞ。」
『分かりました。』
ピッ、と携帯を切ると仮面ライダーはイマジンの方を向いた。
「待たせたな。かかってこい。」
「テメェ…なめるな!!」
「なんなんだよ、あれ…。」
「さあな。」
「ッ!?拓摩!お前いつの間に…て言うかみんなは!?」
「ついさっきだ。そして他の連中には伝えていない。というより、もはや伝える必要はないだろう。見ろ。おそらくもうじき終わる。」
「……」
将汰は目の前の光景にしっかりと目を向ける。
目の前の
イマジンはイライラしていた。自らの攻撃が全く通っていないことに。
腕を薙ぎ払えば足を払われ。
殴りかかれば即座にカウンターを決められ。
腕から衝撃波を放とうとすればすぐに避けられ反撃される。
「ふざけてんじゃねぇぞ…!さっさと死ね!!」
攻撃が放たれる。
だが、冷静さを失った攻撃は歴戦の戦士から見れば致命的なものだ。
そして、イマジンが今、相対している仮面ライダーはその部類に入る。
「なんだ、知らないのか?」
そう呟きながら、薙ぎ払われる腕を避けながら自身の右腕に力を込める。
「1号ライダーは死なん。」
そう言い放ち、自らの技を放つ。
「ライダーパンチ!!」
瞬間、右腕が風を切り、相手の胴を捉える。
パンチ。そう、ただのパンチだ。
だが、ただのパンチではない。
万と打ち、極められた一撃は最早技ではない・・・
必殺技という。
「ガッ…。」
イマジンは自分に起こったことが理解出来なかった。
パンチを受けただけで吹き飛ばされ、意識を失いそうになった。おそらく木にぶつかっていなければもっと飛ばされていただろう。
「この…野郎…!」
勝てない、そう思ったイマジンの行動は早かった。
右腕に溜めた衝撃波を周りの木に向かって放った。
バキッ、バキィ!ガガガガガ!!
ドガァーンッ!!!
「ッ……これは。」
イマジンがいたところは衝撃波によって倒れた木で阻まれていた。
「逃げたか。まぁ、いい。それよりも……。」
そう言うと仮面ライダーは少し離れた所にいた将汰と拓摩に近付いて行った。
「ケガはないか?」
「あ、ああ……。」
将汰は仮面ライダーの声を聞いた時、さっきと同じ違和感を感じていた。
(まただ、この感覚…。どっかで聞いたような気が………。)
「オイ。お前は……誰だ?」
瀬戸が多少警戒しながら聞く。
「ん、俺か?まぁ……隠すのは無理があるか…。」
そう言うと仮面ライダーの姿が変わっていく。
そこにいたのは・・・・・・。
「あ、あぁーーーーー!!??アンタはーーーーー!?」
「さぁ、説明会といこうか。」
将汰達の担任、松岡弘であった。
第3話いかがでしたでしょうか。
今回出てきたのはスコーピオンイマジンです。中の人は青い槍兵やプテラノドンヤミーの声をやっていましたね。
ときどき他の作品と似ていても大丈夫なのかと思ったりもするけど大丈夫かな?
1号が出てきましたが、名前に法則性があることに気付いたでしょうか?
その名前に関係するライダーを出す予定です。
お気に入り登録、感想ありがとうございます。
大学には無事合格しました。これから更新が速く出来るようにしたいです。
感想、誤字、脱字よろしくお願いいたします。