怒りを溜め込むタイプ   作:シニゴ

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基本情報

神保カナエ (じんぼうかなえ)

学園  ミレニアムサイエンススクール
部活  セミナー
学年  二年生
年齢  17歳
誕生日 12月10日
身長  168cm
趣味  模型 読書 音楽鑑賞 射撃 銃


固有武器

Penalty (Mauser M1916 Red9)
カナエの拳銃。無骨な外観と実用性を兼ね備えるカナエ好みのピストル。風紀委員時代からいつ如何なる時も、ストックを兼ねる専用の木製ホルスターに収納して携帯している。

Enslave (Erma-Werke MP40/Ⅰ)
カナエのサブマシンガン。無骨な外観と高い精度・信頼性を兼ね備える。風紀委員時代、生徒達の過激化する部活内容に対処する為、カナエが独自に改良を施した短機関銃で、装飾・アクセサリーの類は一切無い。

Faust (TsNIITochMash KS-23)
カナエのショットガン。反省の色も見せぬろくでなし達に忘れ難い苦痛を味わわせるために、彼女が手にした散弾銃。PU scopeを装着しており射程の延長を図っているが、大柄かつ装弾数が少ない他、ミレニアム学園入学後は荒事が少なくなった事もあり普段使いされなくなった。その為、普段は自宅で留守番の任に就いている。



ネルの場合(中編:前半)

 

 ユウカがカナエの顛末を知ったのは、彼女が医務室に運び込まれて、暫く経った頃だった。

 SHRの開始を知らせるチャイムが放送されても、セミナーの部室どころか教室にすら姿を見せないカナエの身に、ユウカは何かよからぬ事が起きたのかと不安を抱き始める。

 

 会計業務を中断し、スマホで彼女と連絡を取ろうとした時、デスクの内線電話が鳴った。そして彼女は駆け出した、医務室へ向かうために。

 

 息を切らすような思いで医務室に着くと、そこにカナエは居た。医学部の生徒に寝かせられ、鼻あたりを弄られているカナエと、別のベッドで治療を受けているネルの二人。ユウカにとって、あまり馴染みのない組み合わせがどうして此処で傷の手当てを受けているのか、理解できないことであった。が、ネルがカナエの負傷に関わっている事を、彼女は自然と察した。

 

 先刻の連絡で、ユウカは医学部の部員からカナエが顔にひどい傷を負っており、治療中だということのみ知らされている。

 

「……ネル先輩」

 

 ガーゼで、頭部の切った部位を押さえる先輩に、彼女は問い詰めた。何があったのだと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────行き辛い、とカナエはため息混じりに言った。何故なら被害者である彼女にとって、ユウカがC&Cの部室に何用で赴いたのか、想像に難くなかったためだ。

 

「……此処に居ても仕方ないか」

 

 気を取り直し、残った気力を両脚に込めて立ち上がる。セミナー室を後にし、待たせていたモモイに帰って良い旨を伝えると、喜びより不安が勝ったのか、微かに怯えた声で何故かと聞いてくる。

 

「貴方を連れて行くと、余計に空気がピリつくかもしれないからです。これ以上誰かを幽霊だと見間違えちゃう前に、さっさと帰っちゃってください」

 

 そこまで言って、やっと彼女は安心してくれた。エレベーターに乗り込み、去り際にモモイに別れの挨拶を送ると、カナエは目的地へと足を速めた。

 

 

 

 そして、目的の部室のドアまで数メートルという所まで近づくと、声が聞こえた。ドアに近づくごとに声は明瞭となり、ユウカのものだと気付く。

 

 ドアノブを回し、ドアと扉枠の間にそっと指を差し込むような形で開ける。僅かに空いた隙間から、片目をねじ込むように覗き込むと、奥でユウカに低い声で糾問されているネル。そして、そんなユウカに気圧されているアスナ、カリン、アカネの姿が目に入る。

 

 ミレニアムに於いて最強クラスの戦闘技術を誇るあのC&Cが、セミナーの会計係に押し負けている。

 この光景は、ある意味で大変貴重なものになるだろう、とカナエは心中に呟く。

 しかしそれが不味かったのかも知れない。何かに気が付いたのか、突然此方に振り向いたアスナ先輩と目線が交わう。

 

「あっ、カナエちゃん!」

 

 難易度選択をミスった、ステルスゲームの主人公の気分だ。アッシュグレーの長髪の中に、第三の目でも隠しているとでもいうのか? 

 

 こんな形で暴露されるなら、来なければ良かった。まるで私が、覗き見でもしていたかのようじゃないか! 

 今からでもワンチャン、全力ダッシュで医務室に駆け戻れば翌日には誤魔化せるかも知れない。が、ユウカさんを初めとする皆が此方を凝視する今、それは許されない。本当の本当に、今日はなんて日だ! 

 

 

 

 

 

 コンコンコン

 

 失礼しま〜す。

 え──……こんばんは、ユウカさん、ネル先輩、アスナ先輩、カリンさん、アカネさん。

 少し誤解あるようなので訂正しますけども、決して、そう決して覗き見していたわけではないですからね? 

 

「誰もカナエちゃんがそんな事してたー、なんて言ってないよ?」

 

 ……そうですか?そうかもしれませんね、そういう事にしときましょうアスナ先輩。ユウカさんに会いに来たら、取り込み中のようだったので、中々入り辛かったからといいますか……まあ、そんな感じです。

 

 ところでユウカさん、ちょっと良いですか?実は問題が起きましてね、モモイさんが何を気違えたのか私を「◯子だあぁ」とか言って手当たり次第に銃をぶっ放した結果、一階の廊下が悲惨な事になりました。

 

「えぇ⁉︎……あの子ったらまた……!」

 

 まあ、暗かったですし、私もこんな出で立ちでしたし……ゲンコツ一発……いや三発で許してあげてください。

 

「流石に暴力は振るえないわよ……ってカナエ、貴方よく見たらボロボロじゃない?!それもモモイにやられたっていうの?」

 

 ……そうですね。本当に手当たり次第に銃弾をばら撒かれましたから、鼻に一発、体に五発ぐらい喰らいましたよ……痛かった……さて、閑話休題です。

 

 

 

 

 

 そう言うとカナエはおもむろに歩き出し、ネルと正対する形で、ユウカと彼女の間に割って入った。

 

 

 

 

 

「私に言うべき事がありますよね、ネル先輩」

 

 

「……ああ」と言うと、彼女は姿勢を正した。着崩していたスカジャンを着直し、カナエの目を見上げて言う。

 

 

「今朝は、その……私の不注意で大怪我を負わせた。本当にすまな

 

 

「違います」

 

 

「……あ?」

 美甘ネルが、そう疑問符を上げるのは無理からぬことであった。何故ならユウカも含め、その場にいた全員がネルと同じ感想を抱いていたからだ。

 

 

 んんっ、とカナエが咳払いする。

 

 

「ネル先輩、何か勘違いしているようなので言わせて貰いますが、私は別に謝罪が欲しい訳ではないんですよ」

 

「先輩が部活柄、呼んでもいない輩にちょっかいを受ける事があるのは知っています。困っている人を放って置けなくて、その都度、助けに入るせいで遅刻しがちなのも知っています」

 

 今朝もそんな理由があったのでしょう?と、カナエ。

 

 それを、ネルは肯定も否定もすることなく聴き続けている。彼女の中で、神保カナエという存在は些か特殊だ。

 学年も部活も異なるというのに、妙な形で接点が多い。互いのファーストコンタクトは、お世辞にも良好なものとは言えなかったが、片やC&Cの部長、片やセミナーの一員である。互いに学園の中で相応に責任を負っている役職柄、彼女達の間には何かしら通じるものがあった。それが発端となって、今日まで、ユウカの知らぬ所で交流を成立させてきたのだろう。

 

 

「とはいえ、それとこれは別。ネル先輩にはきっちり罰を受けて貰います。尋常じゃない、屈辱的なものを」

 

 

 カナエの一言で、皆に緊張が走る。ユウカが恐る恐る、「ぼ、暴力はダメよ?」と言う。カナエとコユキの一件は、皆の記憶に新しい。ましてや、当時のカナエを相手にしたのは、他でもないC&Cなのだ。普段のカナエからは想像もつかないフィジカルと凶暴性がどれ程のものなのかを、彼女達はこのミレニアムにおいて誰よりも知っている。

 

 

 ネルは覚悟を決めた。自分が蒔いた種だ、と。相応の罰であれば甘んじて受容れる思いであった。

 

 

「明日より一週間、私の専属メイドになってください」

 

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………は?」

 

 ユウカもアスナ達も、カナエが何を言ったのか、思考が処理しきれなかった。間近で聴いたネルのみが、かろうじて声を上げれた。

 

「だから、私の専・属・メ・イ・ドになってください」

 

「……はあぁっ?!」

 

 凪となった部室に、響き渡るはネルの声。響き渡らせた原因は、そんな彼女を愉快気に見下ろし、説明し始めた。

 

 

「まず、謝罪は要りません。私の鼻がこんなになったとはいえ、ネル先輩にもやむを得ない事情があったのですから。罪悪感がある、と言うのならそれだけで十分です」

 

 

 ですが、とカナエは一旦区切る

 

 

「大怪我は大怪我ですから、私生活に支障をきたします。ですので、ネル先輩にはそのサポートをお願いしたいんです。あっ、私の自宅に毎日通うのが面倒なら、日用品とか纏めて持ち込んで泊まり込みで奉仕していただいても大丈夫ですよ? 私の家、まあまあ広いですから」

 と、カナエは一方的に話し続ける。

 

「あと、期間中はなるべく私のことを名前ではなく「ご主人様」と呼んでくださいね。折角の機会ですし、暴言もなるべく無しでお願いします。食事は朝昼晩、バランスの良い構成で三食キッチリ用意してください。できれば肉類多めで。加えて掃除と洗濯も。それから──」

 

 遠慮も躊躇もなく、思いつく限りの要望を言い放つカナエに、ネルは辛抱できなかった。ネルへの要求が一つ一つ詳細な説明とともに積み重なるごとに、彼女は表情筋を一つ、また一つ引き攣らせた。

 

 一方で、カナエは終始愉快気な口元のまま話し続けた。ネルに遮られるまで。

 

 

「ふっざけんなァァァア!?」

 

 

 再び、部室にネルの叫びが響き渡る。

 

「何でだよ!? なんか、こう……他にあんだろうがぁあっっ!!!」

 

 乱暴な口調で抗議するネルに、カナエは不快な感情を抱かなかった。それどころか、そんなネルの反応を楽しんでいるかのように、傍からは見えた。

 

「他? ……他って、例えば何ですか」

 

「例えば……治療費とか慰謝料とかあんだろうがっ!」

 

「別に私は、お金に拘るような人間じゃありませんよ? 骨折といえど、この程度のものならそこまで費用はかかりませんし。問題なのは、私生活に不便が生じる事だと考えているので」

 

 

 とても加害者とは思えない口調で言い放たれたネルの声明を、カナエは一蹴する。

 

 

 ネル自身、カナエに対する罪悪感は確かに持ち合わせている。他でもないネル自身が、曲がったことや不義理を許さぬ真っ直ぐな性格の持ち主だからだ。

 

 ただ問題なのは、被害者であるカナエの要求である。……趣味が勝利、戦闘に於いては破壊衝動を激らせ、敵を蹂躙することに悦を覚えてすらいるネルとって、お淑やかに物静かな所作を要求されるメイドとしての振る舞いは、本人曰く柄じゃなく、とても受け入れ難いことなのだ。

 相手がシャーレの先生であっても、今や行方知らずの連邦生徒会長であったとしても、彼女は同じように荒れ狂って反抗していただろう。

 

 

 そんな彼女に、カナエは目線を合わせるように膝を曲げた。

 

 一拍置いて、おもむろに話し始める。

 

「そうですか。遅刻してでも誰かを助けようとするのに、怪我させた私には……何も無しですか?」

 

「そうじゃねえよっ! ただ」

 

「そもそも」と、カナエが遮る。

 

「私に要求できる立場ですか?」

 

 ネルとカナエ、両者のやりとりを側から見ていたアスナ達は、カナエの横顔から溢れる、肌が凍りつくような何かを感じた。喧騒の源であったネルも、カナエの低い声に孕んだ怒気を感じ取り、冷静になり始める。

 

「正直、話すのも辛いんです。口を動かすたびに、鼻が歪むので。なのに……何ですか、その態度は? 仮にも三年生ですか? 仮にも部長ですか? 確かに今朝の事に関しては、私も不注意だったかも知れません。普段通り、もっと早く登校すべきでした……すべきでしたけども……普通は起こり得ないんですよ。ミレニアムの最高戦力たるC&Cの00(ダブルオー)が、ミサイルの如く飛翔し、セミナーの会計補佐の顔面に突き刺さるなんてこと。どう気を付けてたら避けれたっていうんです? 挙げ句の果てに、モモイには鼻を撃たれる、貴方は好き勝手喚き散らかす。誰も彼も、まるで幼児のように。ネル先輩、貴方……()()()()()()()と、本当に思ってますか?」

 

 

 聴く者の喉元を握りしめるような感情が、言葉には込められていた。ネルを始め、任務の度に、請求書や後始末でユウカと揉めるC&Cの皆は、改めて思い知った

 

 

 カナエに比べれば、ユウカは優しい方だと。




アンケートを見て思った。読者の方々は絶対カナエにホルスの面影を見たなと。
ハンドガンとショットガンが似合うキヴォトス人ってもう絶対動いてないのに暑いおじさんの事じゃん。

貴方は不慮の事故で、とあるC&Cの部員に鼻をへし折られた!事故後、賠償として、一週間自宅に住み込みで働いてくれるとしたら、どのメイドにへし折られたい?

  • ネル
  • アスナ
  • アカネ
  • カリン
  • 最強のパーフェクトメイド、トキです。
  • エッチなのはダメ!極刑!
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