100?いや、101カノだ!オレがアイツに堕ちるなんて有り得ない(完堕済み)   作:メガネズミ

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 河流のAIイラストの方、いかがでしたでしょうか。
 こんな子が距離感爆近で迫ってくるのに耐えられる恋太郎はやっぱりすげぇや。





第15話:変わり果てた姿/変わらぬ愛

 

 

 思えばかつての羽々里さんは凄い人だった。今も凄いけど別ベクトルに凄かった。凛々しく、冷徹という言葉が似合う女性。張り詰めた空気を纏っており、娘である羽香里を守ろうと必死だった姿。

 

 実際にある意味敵として相対したオレ達ですら…恋太郎の誠意がなければどうなっていたか分からないくらいには強く、羽香里を想うかっこいい母親の姿だった。

 

 まぁでも…うん。

 

 

 

「皆にベビー服作ってきたの着て‼︎」

 

 

 

 今?なんかもう…いろいろ爆発したんじゃない?

 

 見てみろよ羽香里の顔。すっごい事になってる。母親のあまりの変わりっぷりに病みかけてるんじゃないのかこれ。

 

 しかしベビー服か。上下で繋がっており、頭になんか花びらみたいなヒラヒラしたやつがついているものもあれば、首元までのやつもある。結局子供が着るための服であり、そのデザインは可愛らしいものが多い。ちょうど今のオレが着ている服みたいに。

 

 勿体ぶるのやめよ。もう皆分かってるだろ?そうですその通り。着てますよ今。ベビー服。しかもなんかオレにサイズピッタリのやつ。

 

 

 別に楠莉先輩の薬で小さくなったとか、赤ちゃんになったとかではない。普通にいつもの姿で着てます。まぁ?屋上だし、見られてるのはファミリーにだけだし。

 

「ぜ…善処しますッ‼︎」

 

「ちぎれちゃうちぎれちゃう!」

 

 待て待て恋太郎。オレが着てるやつでもちっちゃいのに、ガチのベビー用サイズが着れるわけないだろう。足でつっかえてちぎれかけてるって。

 

 

「……ってなんでアンタはもう着てんのよ⁉︎着て当然みたいに平然と立ってんじゃないわよ‼︎」

 

「え?あれとサイズ違うだろ?そんな早着替え出来ねぇって…」

 

「そっちじゃないわよッ‼︎」

 

「そもそもなんで河流はベビー服着てるのだ…⁉︎」

 

「羽々里さんにこれ着てって言われたし…」

 

 そう。結構前にベビー服を着る約束をしてしまったのだ。あと着たら褒められるし…そういうのは貰っておいて損はないし…

 

「あっ河流ちゃん、これ忘れてたわ!」

 

「なんかオプションパーツ付いてきたんだが…⁉︎」

 

 何か羽々里さんから手渡された。これは…おしゃぶりとガラガラ…ッ⁉︎待て待て待て。確かにベビー服だけなら着るって話はしてたけど流石にこのオプションは聞いてない。なんだこのフル装備⁉︎到底まともな精神状態じゃこれを追加で装着なんてとても…!

 

 

 

「残念ねぇ…これを付けたらもっとかわいいのに…恋太郎ちゃんにだってさらに褒められ…」

 

「付けます」

 

「[こいつチョロすぎるぜアニキ!]」

 

 付けます付けました。オレは欲望に正直なやつなんだ。さぁ褒めろ。すぐ褒めろ。もうなんか羞恥とかどこか遠い場所に置いてきてるんだよこっちは。

 

「あびゃびゃびゃびゃ‼︎」

 

「河流…ッ⁉︎」

 

『『キュン…ッ‼︎』』

 

 困惑しながらも『キュン…ッ‼︎』してる恋太郎、もうなんかいつものくらいにあびゃってる羽々里さん。

 

「どう、恋太郎ちゃん!河流ちゃんのあの姿…かわいいとは思わない?」

 

「か…かわいい…ですけど…ッ‼︎」

 

 よせやい…事実だけど。いややっぱよさなくて良いわこのまま褒めててくれ。恋太郎や羽々里さんが褒めてくれた事がこう…グッと来た。特に恋太郎。なんだその恥ずかしそうに褒める感じは。良いぞもっとやれ。

 

『キュン…ッ‼︎』

 

「うへへへ…もっと褒めろ…」

 

「なんかアンタも最近ネジ外れてない?」

 

「明らかに変わって来てるのだ…」

 

 良いだろ別に!昔はここまでではないにせよ、だらだら恋太郎とつるんでたし。最近なんか自分でも感情の抑制がし辛くなってるけど…多分この空気感のせいだな。取り繕わなくて良いというか…解放的な感じ。多分というか間違いなく羽々里さんの影響を受け続けている。

 

 この前の胡桃ちゃんに対する感情…母性的な何か?どっちかっていうとたくさん食べさせてあげたい…おばあちゃん的なやつなのか?とにかくそういう感じの何かだ。これも間違いなく羽々里さんの影響。なんなら羽々里さんは最近はオレがなんでも着るからって色々着せては恋太郎と『『キュン…ッ‼︎』』してる。オレは褒められて嬉しいからwin-winだけど。

 

 ちなみにファミリー順で言うと、恋太郎>>>羽々里さん>静、胡桃ちゃん>羽香里、唐音、凪乃の順に関わっている。

 

 静とは小動物同盟としてちょっとずつトレーニングとかをしており、その成果か少しだけ体力が付きつつある。胡桃ちゃんには料理を作っている。当然全力を尽くしてである。そのおかげで最近はずっと恋太郎におんぶされたままの登校である。最高かよ。

 

 オレが料理を作って胡桃ちゃんが喜んで!疲れたオレが恋太郎におんぶされて喜んで!恋太郎がオレのおんぶと胡桃ちゃんの笑顔で嬉しくなる…!永久機関が完成しちまったなアア〜〜‼︎これでノーベル賞はオレんもんだぜ〜‼︎

 

 

 

「自身の欲求を直接伝える方が効率的」

 

「じゃあ私は恋太郎君とあーんな事やこーんな事が…」

 

「待ちなさいよ羽香里!」

 

「なんですか唐音さん?私はただ河流さんのように自分に正直に…」

 

「静が…居るでしょうが…ッ‼︎」

 

「あっ…」

 

「[はわわわわわ…!]」

 

 

 

 

 

 

 

 

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「という訳で、楠莉は赤ちゃんになる薬を持って来たのだ!」

 

「これで全員、このサイズのベビー服を着れるのよ!」

 

「あと打ち消しの薬で効果は消えるけど、1時間は間を置かないと身体への負荷が大きすぎて死ぬのだ」

 

「赤ちゃんになるリスク高すぎでしょッ⁉︎」

 

「いや着る訳ないでしょ…!そもそもこんなの誰が……なんでもない」

 

「……その判断は偉いぞ胡桃ちゃん。後でベビーカステラ作ってあげるからな?」

 

「胡桃は餌付けされてて河流へのツッコミ役にならないって訳ね‼︎」

 

 まぁベビー服がイカれてるのは理解してるし、誰が着るんだってのも分かる。でもな?人が目の前で着てるんだからオブラートに包んで欲しい。

 

 え?胡桃ちゃん言葉を包む用のオブラート食べちゃったの?なら仕方ないな!

 

 

 

 

 

 

 

「ママごっこしたい‼︎ママごっこしたい‼︎ママごっこしたい‼︎ママごっこ‼︎ママごっこ‼︎ママごっこ‼︎」

 

 とうとう羽々里さんが泣き出しながらジタバタと辺りを転がり始めた。やばいなこれ。なんというか…うん。まだオレがベビー服を等身大とはいえ着ているだけまだマシな気がして来た。これ、オレが着てるのも無かったら空でも飛んでんじゃないの?

 

「[とうとう語彙が失われたか]」

 

「もはや精神的な病を疑うべき」

 

「…良い加減にしてくださいッ‼︎」

 

 おっと。これはちょっとマジトーンだ。仕方ないのでベビー服をコソコソと脱ぐ。安心しろ恋太郎。ちゃんと下にジャージ着てるからセーフだって。流石にそんな不用心な事するのは自宅かお前の家だけだって。

 

「なんなんですか…お母様…!そんな風に大勢の前で泣いて転がって…!少しは娘である私の気持ちも…考えてください…ッ‼︎」

 

「…羽香里…ごめんなさい。貴方の気持ちも考えないで…こんな事。けど安心して?私は皆のママである前に…羽香里のママなんだから…!」

 

「嫉妬じゃねーのよ‼︎」

 

「会話が噛み合っていない。非合理的」

 

「やべーのだ…この空気をどうにかしないとなのだ…ッ…!…あっ。」

 

 どうしようか。この流れは非常にまずい。こんな形で険悪になるとはちょっと想定してなかった。流石に想定が甘すぎたか…ッ…‼︎…って待ってくださいよ楠莉先輩。なんですかその手に持ってるやつ。

 

「猫がいるのだ!ほーらこの薬を取ってこいなのだー!」

 

「[猫に犬の戯れを強いても上手くいかぬのでは?]」

 

 楠莉先輩が手に持った薬入りの試験管を、その辺に居た猫に向かって投げた。いやいや…そんな都合よくキャッチする訳…

 

『パリィン‼︎』

 

「…あ。なんでキャッチしてくれないのだーッ‼︎」

 

「[犬ではない故]」

 

 …やっぱりしないんかい‼︎せっかくフラグ建てたのに。ってかやばくないかこれ?なんか薬がボコボコ音立てて反応して…あっこれダメなやつ。

 

『チュドーン‼︎‼︎』

 

 

 

 

 

 

 

 

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 うぅ…なんだこれ。視界がやけに狭くて低い。身体も思うように動かせないし。なんだろうな…この感覚だいぶ覚えがあるんだが。

 

「だ…大丈夫か皆ーッ‼︎」

 

 恋太郎の声。あいつは無事だったか。さっき薬の爆発に巻き込まれる直前、恋太郎が羽香里を庇っているのは見えた。って事は2人は一旦無事か。あの恋太郎が庇ったんだし、まず間違いなく羽香里は大丈夫。となると他の皆だけど…ん?

 

 なんだこれ。煙が晴れたそこには、赤ちゃんになった皆の姿が。えっもしかしてこれ、オレも赤ちゃんになってないか⁉︎

 

「ほに゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛‼︎‼︎」

 

「と…とりあえず羽々里さんのベビー服を着せよう!赤ちゃんとはいえ彼女達の裸を見るなんて不健全だ…ッ‼︎」

 

「紳士…ッ‼︎」

 

 分かるけどおい羽香里。今そこじゃねーだろ。すっごく分かるけど。めちゃくちゃ分かるんだけど、今は違うだろって。

 

 

 

 

 

 

「私と恋太郎君…まるでパパとママみたいですね…なーんて…❤︎」

 

「あらまぁ…子だくさん…❤︎いっぱい子作り…❤︎したのかな…?❤︎」

 

「…えっ?」

 

「なななんでもないですよ、恋太郎君⁉︎」

 

 ちょっと待て羽香里⁉︎全く…唐音というストッパー失った途端に大暴走始めやがって。ふとした瞬間にこうなるとか間違いなく羽々里さんの血ぃ引いてるよ。羽々里さんの遺伝子が強すぎる。さて、ここはしっかり声をかけてやらねば。

 

「おれにはばっちりきこえてんぞ、はかり‼︎からねがつっこめないからって…すきほうだいいえるとおもうなよ…?」

 

「えっ今の聞こえてたんですか河流さん⁉︎…ってあれ?」

 

 左右を見渡して声の主、つまりオレを探す羽香里。違う違う。オレは下だって。

 

「河流お前…喋れるのか⁉︎というか記憶は赤ちゃんに戻ってないのか⁉︎」

 

 そう。戻ってないんだよな、オレの記憶は。確かに肉体は元に戻ったけど、意識とかは全く赤ちゃんには戻らなかった。まぁ多分これは…オレの認識のせいなんだろうけど。

 

 理屈立てて言うなら、この世界に対しての仮説も含まれることになるので長くなりそうだ。聞く?じゃあ頑張ってなるべく簡素にいこう。

 

 オレの仮説。それは、『この世界では人の意思が物理法則を超越し得る』ということだ。普段の恋太郎とか、この前のフードファイトの時の皆もそうだ。愛の力で、意思で本来不可能なものを乗り越えている。例にするなら普段の恋太郎が1番分かりやすいと思うけど。

 

 この小説を読んでいる皆なら誰でも分かる、恋太郎の凄さ。異常性と言い換えても良いかもしれない。その根源は、『愛』。つまり意志の力だ。これを念頭に置いて考えると、オレの意識が残った事にも説明がつけられる…はず。

 

 オレは一度転生し、その際に記憶や性格を保持した経験がある。加えて、この前の入れ替わり。これらの経験によって、『記憶や意識は魂に宿る』という解釈がオレの中で生まれた。多分皆にそういう解釈がないのは、転生したことが無いからだろう。

 

 楠莉先輩の薬がいかに強力だとしても、魂に影響を与える事はない。そう考えているオレの強烈なイメージが…つまりオレの意思が。本来は身体に引きずられて赤ちゃんになるはずの意識や記憶を残した…そういうことなんじゃないのだろうか。

 

 まぁ結局のところ、仮説に仮説を重ねた推論でしか無い。つまり大事なのは…

 

「こまかいりくつはいいんだよ!とりあえず…おれのいしきもきおくもいつもどおり!あかちゃんにもどったからねにかわって、いまはおれがつっこみやくだ‼︎」

 

 『暴走する羽香里へのツッコミ役はまだここに居る』という事だ。任されたぞ唐音。お前がツッコめない分はオレがやってやる。

 

「そんな…ッ‼︎」

 

「とりあえず河流だけでも意識が戻ってないのは助かるけど…それにしても…ッ‼︎」

 

 …ん?どうしたんだ恋太郎。羽々里さんを抱えて…ハッ⁉︎

 

「かっ…かわいすぎる…ッ‼︎え…天使…⁉︎」

 

 確かに‼︎‼︎オレは視点が低いせいもあって、おそらく恋太郎と同じような光景ではないものの…確かに皆がかわいすぎる…ッ‼︎

 

「ここにも…ここにも!」

 

「こっちにも…ここにもいますよ!」

 

「おれのまえにも、てんしがふたりいるな…!」

 

「ここにも…!」

 

「本家!本家出てますよ‼︎」

 

「いまのおれじゃつれもどせないからじりきでもどってこいよー?……っていつものおれでもむりだったわ」

 

 なんとか戻って来た恋太郎。あー良かった。皆より一足先に天国観光するのは良いけどさ…どうせお土産買って帰ってくるし。でも今行かれると赤ちゃん状態の皆をあやすのが無理だから後にしてくれ。

 

「とりあえず…1時間は皆のお世話をしないと…!」

 

「そうですねあなた…❤︎」

 

「えっ?」

 

「おいまてやはかりぃ‼︎ふんいきでながそうったってそうはいかねぇぞ⁉︎」

 

「えー?なんのことでしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 さて、とんだハプニングで始まってしまった6人のお守り。まぁキツいなんてもんじゃない。

 

「静ちゃーん⁉︎」

 

 トップバッター、好本静。普段の身体能力がウソのようにハイハイで高速移動し、屋上を駆け回り始めた。ヒョイっと持ち上げた恋太郎だったが、涙を浮かべて『食べないで…』と言わんばかりの表情を見せる静に四苦八苦。初手とはいえ、普段大人しい静でこれだ。赤ちゃんやべぇ。

 

 続いて動き出したのは胡桃ちゃん。お腹をくるくると可愛らしく鳴らし…かわいい…ッ…‼︎かわいすぎる…ッ‼︎誰かオレがさっき取ったノーベル賞を胡桃ちゃんに…ッ‼︎…え?譲渡不可?そもそも取ってない?良いんだよそういうのは‼︎

 

 さて、気を取り直してもう一度。目の前でゆらゆらと揺れる羽香里の巨大な胸に、胡桃ちゃんが小さくて大きなお口を開けてかぶりつく。

 

「わっ胡桃さ…んあぁ…ん…❤︎」

 

「そういうこえはきょういくにわるいからな⁉︎」

 

「わ…私はこうして胡桃さんを抑えておきますから…ッ❤︎」

 

 急に声をあげた羽香里を心配した恋太郎だったが、非常口まで最高率でハイハイしていく凪乃を発見。捕まえようとするも両目を潰されゴロゴロと転がっている。なるほど…赤ちゃんでも出来るとは。確かにこれは痴漢撃退には効率的…ってまずい‼︎

 

 楠莉先輩が打ち消しの薬を飲みかけてる‼︎これはオレが行かねば。高速ハイハイ(当人比)で接近し、薬を傾けて地面に流す。油断も隙もないな全く。

 

 ようやく目が復活した恋太郎が追いついて、凪乃と楠莉先輩を両手に抱えるが…構うのを辞めていた静がハイハイでどこかへ行きそうに。

 

「…せーふッ‼︎」

 

 オレが見てて良かった。なんとか静の目の前に横たわり、進路を妨害する事でハイハイを封印。

 

「はぁん…!唐音さんまでぇ…ッ❤︎だめ…ですよ…ッ❤︎私達…友達でいましょうって…夢で…!」

 

「よくぼうにまけかけてんじゃねーか‼︎ってかどんなゆめみてんだいつも⁉︎」

 

 胡桃ちゃんに片側を吸わせていたところ、唐音にも食いつかれた(物理)という事か。しかしこれなら羽香里が耐えさえすれば2人を釘付けに出来る良い作戦…って。

 

 

 

「あややっ!」

 

「やや!」

 

「ぁうーっ‼︎」

 

「あだだーッ‼︎」

 

「駄目ですって…!」

 

 まずい。喧嘩し始めた。止めようと羽香里が間に入るが、次第に声が大きくなっていく。あれ。確か赤ちゃんに大きな声とか大きな音ってよくないんじゃ…?

 

「…仲良くしてくださいッ‼︎」

 

「あ…ぅあ…!」

 

「やぁ…う…!」

 

「「あ゛ーーーっ‼︎‼︎」」

 

 泣き出しちゃったか…‼︎しかしどうしたものか。なんとか手伝ってやりたいけど、この体では静を見張ることが限界。

 

「ちょっ…はやいって…しずか…っ‼︎」

 

 前言撤回。赤ちゃん状態ですらスタミナがないオレでは到底追い続けられない。屋上から落ちたりといった最悪の事態だけは防げそうだが、一緒にハイハイは出来ねぇ…ッ…‼︎オレが貧弱すぎる…ッ‼︎

 

 

 そうこうしているうちに羽々里さんが羽香里の元へ。体をよじ登って髪を引っ張っている。泣き止むどころか勢いを増した唐音と胡桃ちゃんに手一杯の今の羽香里じゃ、羽々里さんの世話なんて無理だ。恋太郎は凪乃と楠莉先輩をあやしている。一体どうしたら…!

 

 

 

 

 

 

「よちよち…」

 

「……お母様…?」

 

 なんだ…羽々里さんが羽香里の頭を撫でた…?見間違いじゃない。間違いなくやっている。しかも、言葉足らずとはいえ『よしよし』と言いながら。羽々里さん…!貴方という人は本当に…!本当にカッコいい母親なんですね…!オレと違って、記憶も意識も赤ちゃんに戻っているはずなのに。それでも貴方は…母親であろうと…ッ‼︎

 

「ははり…さん…‼︎」

 

『キュン…ッ‼︎』

 

 その後。唐音と胡桃が羽香里の腕の中で暴れ出し、抜け出してしまったものの。空中に飛び出した2人が地面に落下しそうなタイミングで、ギリギリでスライディングして来た恋太郎がキャッチ。なんとか無事に済んだ。

 

 さらに、それを見ていた赤ちゃん達が一斉に笑い出したのを見た恋太郎は、文字通り身を削りに削ってひたすらスライディングを続け、血まみれでモザイクかかるくらいになりながらも皆をあやしきったのだった。お疲れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

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 その後の事は実は記憶にない。というか寝てしまった。皆が笑い始め、もう大丈夫だと安心した途端にプツンと意識が途切れていたのだ。次の瞬間には元に戻った皆が目の前に居て、オレの身体も元に戻っていた。

 

「ちょっと心配したぞ河流…気絶したかと思ったら寝てただけで良かったよ」

 

「突然電池が切れたおもちゃみたいに動かなくなりましたからね…」

 

「そっか…2人とも心配かけたな…」

 

 赤ちゃん状態であれだけ静の動きを食い止めたんだ。文字通り限界だったんだろうな、オレの身体。安心した瞬間にすぐだったし。まぁ何はともあれ一件落着。…っていきたいんだけどなぁ。

 

 

 

「嘘よォオオオーッ‼︎私まで赤ちゃんになっちゃうだなんて‼︎皆の赤ちゃん姿が見たかったのにィイイイッ‼︎」

 

「羽々里の精神年齢だけ戻ってないのだ…‼︎」

 

「[元々こんなもんじゃろ]」

 

「事件の前後で比較するまでもないレベル。言動に変化は一切見られない」

 

 あれぇ?結局振り出しに戻ったんだが⁉︎一体どうしたら…!でもあの時の羽々里さんの姿を見ていると…これくらいはまぁ許容範囲に見えて来てしまう。ダメだ。今のオレは多分毒されてるか洗脳されてる…ッ‼︎

 

 あんな風に泣き喚く羽々里さんを見てもなお、母親として在る姿をカッコいいと思ってしまう…ッ‼︎

 

「やっぱり羽々里さんは…『母親』…だなぁ…!」

 

「目ぇ腐ってんの⁉︎」

 

「この姿が母親に見えるのはだいぶおかしいと思うのだ」

 

 何言ってるんだ。これ以上なく母親…母親かこれ?うーん…母親だな‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

「…お母様。さっきのことは…ごめんなさい…」

 

「羽香里…私の方もハメを外しすぎてた…反省するわ…」

 

「反省した姿だったか今の⁉︎」

 

「じゃあさっき泣き喚いてたのはなんだったのよッ‼︎」

 

 しかし胡桃ちゃんも唐音もいいツッコミ具合だ。多分ツッコミ仲間になるんじゃないだろうか。ってかある意味もうなってるか。

 

「いえ…どんなお母様であっても…お母様だけが、私の尊敬するお母様ですから。今までのように我慢なんかせず…本当のお母様らしくいて欲しいです…!」

 

「羽香里…」

 

 羽香里…。そっか。なるほどな。本来は今のような性格なのが羽々里さんだ。けど、羽香里を育て上げるために、ずっと堪えてきていた。羽々里さんが恋太郎の彼女になったあの日。そこでようやく、羽々里さんは自分を解き放つことが出来たのだろう。

 

 初見からの豹変っぷりに誤魔化されていたけれど、この人がどれだけ自分を押し殺してきていたのか…そりゃあずっと間近で見てきた羽香里なら、痛いほどよく分かってしまったんだろう。

 

 …羽香里は凄いな。オレだったらどんな理由があっても、実の母親がああも自由に動く姿は耐えられないかもしれない。それに羽々里さんも凄い。これだけの感情を秘めながら…今まで耐え続けてきたのだから。

 

 …2人とも、本当に凄い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっ。赤ちゃんになる薬の予備持ってきてたのだ」

 

「今すぐ皆に使いましょうッ‼︎私、皆のおしめ替えたいわおしめ‼︎」

 

「おしめーーッッ‼︎‼︎」

 

 

「…やっぱ自粛コースでッ‼︎」

 

「残念‼︎対象外のママにクーリングオフは適用されませんッ‼︎」

 

 

 ………………母親だな‼︎‼︎うんッ‼︎

 

 





 何故だ…あれだけ悩んで長くなった大食い編と違って、何故大体ギャグだとあっさり書けるんだ…ッ‼︎

話の優先度はどっちがいいか教えてくれよな!

  • 本編を進めてほしいのだ!
  • 掲示板回を一区切りつける方が効率的
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