優しい王様のパートナーのヒーローアカデミア   作:三幹七枝

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体力テスト〜

───────────

 

「個性把握テスト?」

 

「ああ、最下位は除籍な」

 

「!?」

 

───────────

 

こんな簡単な流れから始まったいっさい平穏でないテスト。テストとはいうものその内容は個性をフルに使用して行う体力測定であり、必然的に清麿はとてつもなく不利となるのだが、

 

「先生!オレの個性ほとんど使えないんですけど!」

「ん?おお、本当だな。頑張れ」

「ちょ…オイ!いくらなんでも自由すぎだろ!え?これでオレ除籍になるかも知れんのか!?」

 

…と、ほとんど話にならなかった。これから清麿は、ほぼ素の身体能力でドベを回避しなければならないのである…あるのだが…

 

 

 

第一種目:50m走

 

「ウオオオオオ!!」

 

『5秒08!』

 

「…意外と早いな」

 

 

 

 

第二種目:握力

 

「ヌアアアア!!」

 

『79!』

 

 

「…こんな高かったか?」

 

 

 

第三種目:立ち幅跳び

 

「フンッ!!」

 

『5m20!』

 

「中学の頃に比べてだいぶのびたな…4m90だったかな?あの何故かヤケに豪華だった給食を賭けて競った時…」

 

 

 

第四種目:反復横跳び

 

「ダアアアア!!」

 

『67!』

 

「まあこんなもんか…」

 

 

 

第五種目:ボール投げ

 

「オラっ!!」

 

『86m!』

 

「……やっぱ高すぎないか……?」

 

 

 

…そのまま残りの持久走と上体起こしと長座体前屈もなんだかんだでかなりの成績を修めた清麿。無論アンサートーカーはろくに使っていない…というか使うタイミングも無かった。

 

本人の自覚していなかった、いや正確にはここまでだと思っていなかった身体能力。一部に至っては個性を使っている生徒よりも優れた成績な部分すらあった。魔物の王を決める戦いでも清麿は基本的に特訓などをあまりしていなかったにも関わらず、人外の強さを誇るガッシュたちについて行く、サポートするために自然と身についた運動能力はエリートの集まる雄英を基準にした上でお釣りが有り余るほどであった。

 

そして、除籍が懸かっているにも関わらず個性を使わず、それでいて好成績を修める清麿が目立たぬはずもなく、そこについて気になったらしいクラスメイトが一人話しかけてきた。

 

「なあ、お前高嶺だっけ?個性使わねーの?」

 

自分に話しかけてきたツンツンした赤い髪の男子を見て朝確認した名前と当てはめつつ返答を返す。

 

「ん、ああ、使わないというか体力テストに使い用がないというか……んで確かアンタは切島で合ってたか?」

 

「ああ、合ってるぜ。てか高嶺お前すげーな!個性使わずにそんな記録だせんのか!やっぱ鍛えてたのか?」

 

「まあ色々あってな。あと自分でも驚いてる。そんなとてつもなく鍛えた訳でもないんだが……」

 

「ふーん、確かお前雄英筆記一位で首席なんだろ?腕っ節よくて頭もいいとかすげぇなぁ〜、素直に尊敬だわ」

 

少し気恥ずかしいため半ば記憶から消していた雄英首席について触れられ少し億劫に思いつつも、切島からは特に皮肉の意図も感じられないので素直に賛賞を受け取ることにした。

 

「元から頭はかなり良い方だったんだよな、頭のいいモヤシだったのが、少し色々あって腕っ節も付いてきた。まあ良いことばかりでもなかったけどな」

 

「オウ、……それにしてもよ、高嶺。やっぱ最下位除籍って本当なんかな……」

 

「ウウム……まだなんとも言えんが、先生の眼は本気っぽいよなぁ……そして少し観察してたがこのままだと最下位は恐らく……」

 

「ああ、あの緑頭だろうな……アイツ、ボール投げではカッコよかったんだがなぁ……」

 

切島と話しながら、今話題となっている緑谷に目線を向ける。

 

(切島の言う通り使うと高パワーな代わりに自傷してしまう個性を指先で発動は素直に感心したものだが……いかんせん他がなぁ……確実に光るところはありそうなんだが……)

 

試験で関わった者でもあるため除籍にはなって欲しくないが、かといって緑谷が最下位なのは既におおよそ計算してしまったため、なかば諦めの混じった感情でいると、招集がかかる。どうやら結果がでたようだ。

 

「んじゃパパっと結果発表な、トータルは単純に各項目の評点を足した数だ」

 

(やはりそうか……なら本格的に緑谷は除籍に……)

 

「ちなみに除籍はウソな」

 

『……え?』

 

「君らの最大限を引き出す、合理的虚偽」

 

『……えええ!?』

 

「あんなのウソに決まってるじゃない……少し考えればわかりますわ」

 

 

「…………イヤイヤ、どう見ても本気だった……」

 

 

「……?何か申しました?」

 

「……なんでもない」

 

 

「よしそれじゃガイダンスとかの書類は教室で──」

 

 

 

 

───────────

 

 

「相澤先生、質問いいですか」

 

放課後の生徒が帰り始めた時間帯、清麿は先の体力テストで疑問に思ったことを質問することにした。

 

「ん……高嶺か、手短にな」

 

「さっきの体力テスト、先生は本気で最下位を除籍しようとしていたハズです。なんで急にあんなウソついたんですか?」

 

「……だったらどうした、お前の個性で答えでも出したか?」

 

質問をした途端、相澤先生の視線が鋭くなる。威圧はすごいがどちらかというと何故そう思ったかが気になっているようだ。

 

「答えなんかだしてませんよ。ただ、どう見ても先生の眼は本気で除籍にしようと考えていた眼でした。経験上そういうのはある程度見分けられる自負はあります……聞いてどう、ということはないです。本当にただ気になっただけなので」

 

「……俺は成績最下位の奴は見込みゼロ、よって除籍にすると言ったな」

 

「……ハイ、そしてそれなら緑谷になったハズです」

 

「そこまでわかっていて理由がわからないのか?まぁいい、緑谷は見込みがゼロではなかった……それだけだよ」

 

そこまで言ってようやく、相澤先生の纏う威圧が少し、ほんの少しだけ緩くなった気がした。

 

「……!そうでしたか、ありがとうございました」

 

 

もしかしてクセが強いだけでそこまで悪い人でもないのか、なんて思いながら会話を終え、帰路につく。

先程少し話した切島が近くに居たので話しながら帰っていると、少し遠くに麗日と飯田と一緒に帰る緑谷の姿を見てホッとする。楽しそうで何よりである。

 

 

───────────

 

 

「ふう…」

 

高嶺との会話を終えて職員室の自分の席に座る相澤。大したことない質問だと思っていたらかなり重めの質問を出されて疲労していたためため息をついてから席に座ると、そこをめざとくオールマイトに見られてしまう。

 

「あれっ、どうかした?相澤クン。いつもより眉間のシワが濃くなってるけど」

 

「……疲れてるんですよ。気づいたのならそっとしてください………ウチのクラスの高嶺がですね、あなたと同じことを言いましたよオールマイト。本当は除籍をするつもりだったんでしょうって」

 

「エッ!?それでそれで?何て言ったの?」

 

「あなたの時と同じですよ、見込みゼロではなかっただけだって言いました……いやあ、面倒くさそうな生徒が何人も来たもんだ……」

 

明らかに体に合っていない個性を持つ緑谷に、彼に異常なほど食ってかかる爆豪、そして高嶺清麿。他の面々もかなり元来の意味での”個性“が豊かなことを考えて再度大きくため息をつく相澤。

 

 

「いやあ……本当に面倒だ」

 

その顔は本当に少し、本当に本当に少しだけ笑っていた……かも




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