恋人の宝多六花にじ~っくり見とれたい!   作:前野へーた

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結婚式、純白の六花とかわす誓いのキス

 俺は祭壇へと続くヴァージンロードに立ち、ひそかな興奮と緊張の入り混じった気持ちを抑えきれないまま、大きく呼吸を整えた。六月のやわらかな日差しがステンドグラスを透かし、チャペルの白い壁を淡い虹色に染め上げている。

 

 今日、この場所で、俺は正式に宝多六花……いいや、ただの六花と夫婦となる。すでに入籍は済ませているものの、改めて皆の前で誓いを立てることで、「新しい家族を作っていくんだ」という現実がさらに重みを増してのしかかってくる。

 だが、その重圧は不思議と苦ではない。むしろ、未来への期待と、彼女への絶対的な信頼が混ざって、心の奥から力を湧き立たせてくれるのだ。

 

 俺たちが卒業後、早々に入籍を決めてから数ヶ月。少し早いとも言われたが、互いの意思は固く、周囲の祝福を得てこの日を迎えた。小さめのチャペルだが、陽の光が十分に差し込む設計で、六月らしい清涼感と神聖な空気が同居している。ごく近しい家族や友人だけが列席し、(おごそ)かというよりは、温もりのある雰囲気に包まれている。

 

 俺は祭壇の手前で待ち構え、遠目に見える入口に意識を向ける。ドアが開かれた瞬間、そこに立つ彼女を思い浮かべるだけで、喉元が熱くなる。長い黒髪をどうまとめているのか、ドレスの裾はどんな風に広がるのか──そんな想像をしているうちに、司式者の合図で扉がゆっくり開いた。

 

 そこにいたのは、純白のマーメイドラインのウエディングドレスをまとった六花。高校時代、「高嶺の花」や「手の届かない無理め女子」と呼ばれていた面影が残る、(りん)とした姿が目を引く。そして今や、俺だけの妻になろうとしている──そう思うと、胸の奥からこみ上げる幸福に、思わず背筋が伸びる。

 

 彼女の体を形作る曲線が、マーメイドドレスによって限りなく強調されている。身長155cmと小柄でありながら、腰回りからヒップ、そして太ももにかけての豊満さが際立つ体型は、もともとコンプレックスだったはずだ。けれど今、彼女はその「武器」を惜しみなく活かしている。

 

 まず目を奪われるのは、ウエストの細さとヒップの丸みとの対比だ。上半身は華奢(きゃしゃ)で、肩や二の腕がほっそりと見え、一見すると清楚で(はかな)げな印象すら受ける。だが、マーメイドラインのタイトなシルエットが下半身を包みこむにつれ、腰から太ももへとなだれ込む起伏が、否応なく視線を引き寄せる。

 

 膝上あたりまでは身体にぴったり沿うように仕立てられており、彼女が歩を進めるたびに、ドレスの生地が(もも)に張り付き、柔らかそうな肉づきがかすかに輪郭を主張する。

 

 その姿を見ていると、互いの体を深く知り尽くしてきた日々が頭をよぎる。あの柔らかさと、そこに込められた体温。何度重ねても飽き足りないほど、官能的で愛おしい感触を、今はこうして全世界にアピールするかのように見せつけているのだから、正直、誇らしいような、落ち着かないような妙な気分になる。

 

 膝下から裾にかけてはふんわりとフレアが広がり、白いフリルがまるで花弁のように連なっている。歩行するたびにドレスの先端が小さく揺れ、彼女の脚が動いていることを繊細に告げる。

 

 足元はヒールがやや高く、身長を上乗せすると同時に、足首からふくらはぎをシャープに見せる効果を出している。そうして見ると、下半身のボリュームと、ヒールによる引き締まった足首とのコントラストがいっそう強調され、視覚的な魅力を極限まで高めているのだ。

 

 彼女の肌はどこまでも白く、真珠のようなツヤを(たた)えている。首から肩甲骨(けんこうこつ)にかけては、シンプルなデザインのためほとんど覆われておらず、その範囲で透き通る肌が惜しみなく露出している。

 

 腕を動かすとき、ふと浮かぶ鎖骨や二の腕の細さが「クールビューティー」と呼ばれた由来を思い出させる一方で、腰下のグラマラスさが同居するアンバランスさに、見る者は否が応でも心を揺さぶられるだろう。

 

 長い黒髪は後ろで軽くまとめ、少しだけウェーブがかった毛先が背中に沿って流れている。白いヴェールがその上に重なり、淡い光を受けて輝く黒と白のコントラストが生まれる。まるで夜明け前の空と朝日のかすかな境界線を想起させるようで、彼女の奥底に潜む好奇心や刺激への欲求を連想させる。

 

 これまで何度も互いを求め合い、肌を合わせ、心も体も深い部分で通じ合ってきた。結婚後はさらに新しい家族を築いていく──それは責任重大なことだが、彼女の肢体が生む圧倒的な美しさと魅力を思えば、幸せを噛み締めずにはいられない。こうして正面から見つめているだけで、まるで自分の存在ごと抱擁されているような、そんな安心感を覚えるのだ。

 

 彼女のドレスは純白を基調としつつ、胸元と裾にかけて繊細なレースや刺繍が施されている。特にヒップ付近から膝上までは、ラインをはっきりと見せるためか装飾を控えめにし、生地の光沢感が彼女の曲線をなぞるように浮き上がっている。

 

 ブーケはブルーの薔薇をメインに、白や淡い黄色の小花を合わせたもので、金と青のリボンが長く垂れ下がっている。ドレスの下半身が目を引くぶん、ブーケは上半身を彩る役割を果たしており、視線を自然に行き来させるように考え抜かれたデザインと言える。

 

 腕には、半透明のレースグローブが肘下あたりまでを包んでいて、指先には小さなビジューがアクセントとして付いている。動くたびにキラリと光が反射し、純白の世界に繊細なきらめきを与えている。

 

 イヤリングは、ブルーの小石を配したシンプルなデザイン。首まわりが大きく開いている分、ネックレスを付けずにイヤリングだけでさりげなく色を添えている。下ろされた黒髪とのコントラストによって、その青が神秘的な印象を(かも)し出していた。ヴェールは長めで、彼女が歩くたびに後ろでふわりと流れる。この動きだけでも、見ている者に花嫁としての神聖な輝きを感じさせるに十分だ。

 

 ◇

 

 チャペルの正面に続くヴァージンロードを、ゆっくりと進む六花の姿に息を飲む。心なしか、あのクールな表情の奥に緊張と喜びが入り混じった火照(ほて)りを感じる。かつて「高嶺の花」「手が届かない無理め女子」と呼ばれていた面影は残っているけれど、今はもう、俺の妻として新しい家族を築こうとしている。

 

 高校の頃から「お人好し」なんて言われるくらい優しい彼女だけど、心の奥には常に刺激を求める冒険心があった。下半身のグラマラスさにコンプレックスを抱きながらも、それを「私だけの武器」に変えるまでに至った強さ。まるで今日の純白のマーメイドドレスが、その決意を形にしてくれているかのようだ。

 

 天井の高いチャペルに、六月の柔らかな日差しが差し込む。ステンドグラスを透過した光が、白い壁やヴァージンロードに淡い虹色を落とし、来客たちを優しく包み込んでいる。背後では小さなパイプオルガンが静かに奏でられ、列席した家族や友人が笑顔で彼女の登場を見守っている。

 

 誰もが目を見張るほど美しい花嫁。その姿を、この先の人生で何度も思い出すだろうと直感的にわかる。遠くから聞こえるカメラのシャッター音すら、祝福の拍手のように感じられるほど、穏やかな空気が流れている。

 

 俺は祭壇の正面で待ち受ける形になっていて、彼女をほぼ真っ直ぐに見る格好だ。歩み寄る六花を目で追うと、マーメイドドレスが映し出す体のラインがいや応なく視界を奪う。光沢のある生地が、腰から太ももへかけての丸みを吸い上げるように浮き立たせ、膝下にかけて広がるフリルが優雅に揺れる。

 

 それでも、肩や二の腕は華奢(きゃしゃ)で、首元から(のぞ)く肌は真珠のように(うるお)い、ヴェール越しに見える黒髪が(つや)めいている。クールビューティーと誤解されがちな彼女の一面と、女性らしい柔らかさが同居しているのが、視線を外させてくれない理由なのかもしれない。

 

 胸元は飾りすぎず、シンプルなレースで繊細に縁取られている。レースの切れ目から覗く白い肌には、健康的な艶があって、やや上気(じょうき)しているのかほんのりピンクが差しているようにも見える。

 

 対して腰回りからヒップへの流れは、生地の陰影だけでも彼女の肉づきを感じ取れてしまうほどタイトだ。何度もお互いの体を知り合い、触れ合ってきたからこそ、あのラインの下にある柔らかさまでリアルに想像できてしまう。少し強く抱き寄せたらどんな感触がするのか──そんな妄想を、今はぐっと(こら)えて背筋を伸ばす。ここは大勢の前、誓いの場なのだ。

 

 彼女がここまで自信を深めたのは、きっと一緒に過ごすうちに、俺が「その体のどこが好きか」を口にしてきたからだと思う。「グラマラスな下半身がコンプレックス」という彼女の言葉を、「それこそが俺の大好物だ」と真顔で返した日から、彼女の目は少しずつ変わっていった。

 

 結婚してからも、刺激的な体験をもっと重ねていく意欲を隠そうとしない彼女は、ある意味、俺にとっても新しい冒険だ。ふたりで家庭を築きながら、どんな未来を作り出せるのか──その可能性に胸を高鳴らせているのは、彼女だけではなく俺自身でもある。

 

 コンプレックスも含めてまるごと互いを受け入れ合うことで、新しい一歩を踏み出せる。そう気づかせてくれたのが、このウェディングドレス姿だと思う。周囲の祝福を全身に浴びながら、自分の一番の魅力を惜しみなく見せる六花。そして、その姿を見つめる俺は、幸福の絶頂とともに大きな責任を感じている。

 

 新しい家族を作り上げていく決意を固めた今、彼女のしなやかな体は「一緒に生きていくんだ」という現実を改めて突きつけてくる。愛おしく、そして覚悟を問われる存在。それが今の六花そのものだ。

 

 ついに指輪の交換を迎えるときが来た。神父の厳か《おごそか》な問いかけを聞きながら、俺は小さく息を呑む。指輪を差し出す手がわずかに震えそうになるのを必死で堪え、彼女の薬指に慎重に通していく。その金属のひんやりとした感触が、どこか現実味を帯びた安心を与えてくれる。

 続いて、彼女が俺の指へ静かに指輪をはめると、()き上がる祝福の拍手とともに、六花がかすかに笑みを浮かべる。

 

「幸せになろうね」

 

 その言葉を聞いた瞬間、チャペルの空気が一気に甘く弾けたような錯覚に陥る。(いざな)われるまま、彼女のヴェールをそっと上げ、唇を重ね合わせる。

 

 祭壇の前で交わす誓いのキスに、背筋が伸びるほどの決意と、胸を満たす極上の幸福感が同時に押し寄せてきた。まるでこれから始まる長い物語を象徴するように、二人の未来が祝福の光に包まれていく。

 

(終わり》

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