仮面ライダー妖魔 番外編   作:玲音考人

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仮面ライダー妖魔 アフターエピローグ「ランタン・インザ・ダーク」

 

…昔、ある方に言われた。

「お前は優しい」と。

そしてこう言われた。

「お前は無理に俺と同じようにしなくて良い」と。

 

その時は深く考えず、自分を救ってくれたその方に尽くしたい一心で着いていくことを選び、いつしかその言葉を忘れ去っていた。

けれど、その拠り所を失って、失ったことで得た生きる意味すらも果たせなかった今になって、その言葉が脳裏にこだまし続ける。

…僕はどこで、何を間違えてしまったのだろうか。

そんなことを片隅で考えながら、重い身体を引き摺り、アテもなく街を彷徨う。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

──世模継学院高校

 

夢華「…ふっふっふっ、いきなり行ったら都黎、驚くかな〜」

 

「あなたは甘いんですよ!」

 

夢華「!?」

 

 世模継学院高校の廊下を機嫌良さげに歩くのは夢華。

 何やら都黎に会いに行くところのようだが、そんな中生徒会室から響いた大きな声に目を丸くし、そっと様子を覗き込む。

 

都黎「…頭に血が上ってるぞ。少し落ち着け。稲美、竜司」

 

稲美「…っ…どの口でそんなことを言うんですか…。私達を一度見捨てた癖に…!」

 

都黎「…そう言われても仕方ないとは思っているが、だからといってお前達の思想に賛成するというわけにはいかない」

 

竜司「腑抜けたことを言わないでください。…人間とモノノケの共存なんて無理だ。ましてや俺達の世模継学院を人とモノノケが通う学校にするなんて、断固反対だ」

 

稲美「…そ、そうですよ。私達がモノノケにされたこと、都黎先輩とて忘れたわけじゃないでしょう?それとも、自分は卒業して世模継生じゃなくなったからどうでも良いってことですか…?」

 

都黎「…確かに俺達は苦しい目に遭った。けど、それはヌラリヒョン達一部のモノノケ…反人間連合に与する連中のせいだろう。…人間に好意的で、温厚なモノノケの方が圧倒的に多い。一を見て百を知ったようなことを言うものじゃない」

 

竜司「んだと!?」

 

稲美「りゅ、竜司君、落ち着いてください…」

 

竜司「…チッ。わーったよ」

 

 世模継学院高校の今後についての方針で揉めている様子の都黎と、世模継学院高校の生徒の二人。

 

稲美「…その、都黎先輩はどうも頑ななようなので、今日は引き下がらせてもらいますね」

 

竜司「…ふん」

 

夢華「やばっ」

 

稲美「…やっぱり、やるしかなさそうですね……」

 

竜司「だから言っただろ。こうなるって。…あの人とは話すだけ無駄だ」

 

夢華(ピリピリしてるなぁ…)

 

 話を切り上げ、苛立ちを露わにしながら生徒会室を後にする二人に、夢華は隣の空き教室へと咄嗟に転がり込む。

 

都黎「……はぁ。信じてもらうというのは中々に難しいものだな」

 

夢華「やっほ。お疲れだね、都黎」

 

都黎「!夢華…来てたのか。…その、もしかしてさっきの聞いてたか?」

 

夢華「うん。…ごめんね、盗み聞きするつもりはなかったんだけど…」

 

都黎「いや、気にするな。あの二人…夜野稲美と帷竜司…世模継の三年なんだが…反人間連合への恨みが深くてな。寧ろ悪かったな。わざわざ遊びに来てくれたのにあんなとこを見せてしまって」

 

 疲れた様子で溜息を吐く都黎に声を掛ける夢華。

 世模継の生徒である夜野(よるの)稲美(いなみ)(とばり)竜司(りゅうじ)との会話を盗み聞きしてしまったことを詫びる夢華に対して気にする必要はないことを伝えつつ、都黎は寧ろ変なところを見せてしまったと謝る。

 

夢華「いやいや、なんで都黎が謝るのさ」

 

都黎「…そういえば、夢華は何か用でもあったのか?」

 

夢華「ああ、それなんだけどね。これ」

 

都黎「これは…水族館のチケット?」

 

夢華「知り合いに貰ったんだけど、前に水族館に行ってみたいって言ってたよね?」

 

都黎「…そういえばそんな話もしたな。よく覚えてたな」

 

夢華「た、偶々ね!思い出しただけ!…それで、その…今度の日曜空いてたら一緒に行かない?」

 

都黎「……え?」

 

バササッ

 

 夢華は自身の用として都黎が前に水族館に行きたがっていたことや、自身が水族館“アクアパーク布留杜”のチケットを持っていたこともあり、今度の日曜に一緒に行かないかと誘う。

 明らかにデートの誘いと思われるその言葉に動揺した都黎は手に持っていた書類を取り落としてしまう。

 

夢華「ちょっ、都黎書類落としてるって!」

 

都黎「あ、ああ…。日曜なら空いているから、問題ない」

 

夢華「じゃあ、約束ね〜」

 

都黎「…ああ」

 

 書類を拾い集めながら夢華の誘いに返事を出す都黎。

 半ば放心状態の彼を置いて、上機嫌な様子で夢華は去っていくのだった…。

 

真黒「っと…あ、昏時君、丁度いた…って、うわ、何その顔。とても人に見せられないだらけきった顔してるよ。何かあったの?」

 

都黎「!…ハッ、真黒さん。……実は、夢華に水族館に誘われまして…」

 

真黒「へえ、デートか。良いじゃん。青春してるねー」

 

都黎「や、やっぱりこれデートですよね…」

 

真黒「まあ…一般的にはそうなんじゃない?…っと、楽しい気分のところ水を差しちゃって申し訳ないけど、ちょっと大事な話があるんだよね」

 

都黎「あ、ああ…すみません。…あの件ですよね?」

 

真黒「ああ。晴河君を襲い、イバラキドウジを唆した存在についての調査で、進展があったんでしょ?」

 

都黎「ええ。こっちでも調べてましたが、この世模継学院近くの森で最近不審な影を見たという話がちらほら上がってまして…」

 

真黒「…成る程。細かい場所は?」

 

都黎「これに纏めてます」

 

真黒「ありがとう」

 

都黎「…調査に行くなら俺も…」

 

真黒「いや、僕の方で行こうかなって。まだ調査の段階だし」

 

都黎「…分かりました」

 

真黒「じゃ、またねー。ここまで調査してくれてありがとね」

 

 少し前に起きた時雨の襲撃事件、そしてその主犯であるイバラキドウジによる夜刀神の召喚事件。

 一連の事件について追っていた真黒は都黎達世模継学院高校の生徒達の協力を得て動いていた。

 

都黎「真黒さん」

 

真黒「んー?」

 

都黎「そういえば、人間に戻る研究は順調ですか?」

 

真黒「ああ、一応ね。ようやっと目処が立ったところだよ」

 

都黎「…そうだったんですね。良かったです」

 

真黒「まあ、僕としてはモノノケも悪くなかったけど…っと、これはあの二人には内緒ね。それじゃ、折角なんだしデートは楽しんでおいでよ」

 

都黎「……真黒さん」

 

 一度死んでモノノケとして蘇った真黒。そんな真黒の人間に戻るための研究が進んでいるのかを聞いた都黎に、真黒はモノノケでいることも悪くないと答えつつも順調に進んでいることを教え、そのまま蒼炎に身を包んで姿を消す。

 残された蒼炎が虚空に溶け消えていくのを、都黎は何とも言えない面持ちで見届けるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

仮面ライダー妖魔 アフターエピローグ

 

ランタン・インザ・ダーク

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「……」ソワソワ

 

夢華「都黎、もう来てたんだ。結構待たせちゃった感じ?」

 

都黎「…いや、そんなに待っていない。一時間ほどだ」

 

夢華「いやめっちゃ待ってるじゃん!?」

 

 布留杜駅前にてソワソワとした様子で立っていた都黎は夢華と合流するとその表情を綻ばせる。

 

都黎「…行くか」

 

夢華「だね。それにしても、そんなに待つなんてどれだけ水族館が楽しみだったのさ〜」

 

都黎「…まあ、初めて行くところだしな」

 

夢華「よーし、それじゃあ張り切って楽しむよー!」

 

都黎「…ああ」

 

夢華「〜♪」

 

都黎(汰月も賢昇も想い人と結ばれた。…二人や時雨、凪桜の話を聞いて俺の夢華へのこの想いも『恋愛感情』であると分かったが…こんな機会はまたとないかもしれない。…今日決着を付ける…!)

 

 いつもよりテンション高めの夢華に着いていきながら都黎は内心浮ついた決意を固めようとしていた。

 

都黎「これが水族館…凪桜から聞いていたが…凄いな」

 

夢華「ねー。私も好きなんだ」

 

都黎「これは…熱帯魚にイソギンチャク…世界にはこんなカラフルな魚や生き物がいるんだな」

 

夢華「確かに、都黎にとっては魚って精々が川魚くらいしか馴染みないよね」

 

都黎「…そうだな。魚なんてただの食べ物としか思っていなかったが…見ていて楽しいものなんだな。…だが、何だか腹が減る」

 

夢華「なんで熱帯魚見てお腹空くのさー」

 

 熱帯魚やイソギンチャクのコーナーにやって来た都黎は色とりどりの魚が存在することにある種の感動を覚えつつも、これまで魚=食べ物としか思ってなかった弊害か、空腹感を覚えてしまい夢華にツッコまれる。

 

都黎「クラゲ…クラゲってこんなに綺麗だったんだな」

 

夢華「水族館のクラゲは本当に綺麗だよね。…ま、海とかじゃ会いたくないけど」

 

都黎「そういえばクラゲには毒がある種類もいるんだっけか」

 

夢華「そうそう」

 

都黎「…こんな不思議なフォルムで毒を持っていることもあるけど、俺達と同じように生きているんだよな…」

 

夢華「確かに、そう考えると生きてるって凄いよね」

 

都黎「そう、だな…」

 

真黒『はぁっ…はぁっ……ここまでか…!』

 

 クラゲのコーナーにて、都黎はクラゲの展示の美しさを知るが、その中で何もかもがかけ離れているように見えるクラゲも自分と同じようにこの世界に生きる生物であると実感し、感慨を覚える一方で、そんな都黎に同意する夢華の言葉からかつてのクリスマスに真黒が死を迎えた際の出来事を思い出し、その表情を曇らせる。

 

夢華「?…どうかした?」

 

都黎「…いや、何でもない。クラゲを見ていたら何だかプリンが食べたくなっただけだ」

 

夢華「それは本当になんで!?」

 

都黎「プリンと言えばプリンアラモードなるスイーツがあるらしいんだが、いつか食べたいと思っているんだ」

 

夢華「…今度食べにでも行く?」

 

都黎「!良いのか!?」

 

夢華「どんだけ食べたかったのさ…」

 

 表情の曇りを悟られぬよう、都黎は咄嗟にクラゲからプリンを連想したという謎の発言をかまし、夢華を困惑させる。

 そして話の流れでプリンアラモードを食べたいと思っていることを知った夢華は都黎と共に食べに行く約束をする。

 

夢華「わっ、イルカって凄く高く跳べるんだね!」

 

都黎「そうだな…水中からあの高さまで飛び跳ねられるなんて凄いな…」

 

夢華「ってうわあっ!?…水!?」

 

都黎「!」

 

《アヤダマライズ!唐傘御化!》

 

夢華「あれ?濡れてない…って、唐傘御化アヤダマの力で防いでくれたんだ。ありがと」

 

都黎「気にするな。折角お洒落な服を着て来た夢華が濡れるのも忍びないしな」

 

夢華「ふ、ふーん?お洒落って思ってたんだ…」

 

都黎「?ああ。可愛くて似合ってると思う」

 

夢華「そ、そう。なら良いけど…」

 

 イルカショーを見ていた二人だったが、強めの水飛沫がかかりそうになったところを、咄嗟に真黒が唐傘御化アヤダマを電書ドライバーにセットすることで傘状のフィールドを展開して水飛沫を防ぐ。

 その中で都黎が夢華の服装をお洒落、可愛い、似合ってると表したことで夢華も満更でもない雰囲気を出す。

 

都黎「…もうこんな時間か…」

 

夢華「すっかり夜だねー。水族館、楽しかった?」

 

都黎「ああ。新鮮な体験だった。…きっと、一人で行っても楽しかっただろうが、夢華と一緒だったからこそより楽しめたのだと思う。…一緒に来てくれてありがとう」

 

夢華「…どういたしまして」

 

 水族館を満喫した二人が外に出ると、日は暮れてすっかり夜になっていた。

 そんな中、楽しめたかという問いに夢華のお陰でより楽しめたと答える都黎に対し、夢華は顔を赤らめつつ、その感謝の気持ちを受け取る。

 

都黎「…この後だが…夢華さえ良ければ一緒に晩御飯を食べて帰らないか?」

 

夢華「うん、良いね。賛成!何か食べたいものとか決まってるの?」

 

都黎「ああ、行きたい店があってな」

 

夢華「ふーん?じゃあそこにしよっか」(なんだか良い雰囲気…まさか告白されちゃったりするのかな…?…いやいや、相手はあの都黎だよ?恋愛とか分かってるのかも怪しいし。けど…期待しても良いのかな)

 

都黎「ありがとう」(…恋愛ごとには疎いが…今日一日、少なくとも悪くない雰囲気だったはず。今日ここで夢華に告白してみせる…!)

 

 夕飯を食べることになった二人、両者共に似たようなことを考えながら、妙なドキドキ感と共に店へと向かう。

 

都黎「…ここだ」

 

夢華「えっ?ここ…?」

 

都黎「ああ」

 

夢華「えーっと、ここってよく一緒に来るラーメン屋だよね?」

 

都黎「…ああ」

 

夢華(…私の思い違いだったかな。まあ、都黎とはよく来てるし、悪くはないけど…って、何がっかりしてるのさ。気持ち切り替えないと)

 

都黎(ここは時雨と共に初めて行ったラーメン屋…そして夢華と何度も一緒に行ったラーメン屋でもある。…つまり思い出の場所!告白の場として不足なしのはずだ!)

 

 やって来たのは照羅巣地区の商店街にあるラーメン屋。

 ここに来てズレ始めた両者の想いには互いに気付かぬまま、二人はラーメン屋へと入る。

 

都黎「…夢華」

 

夢華「んー?」

 

 店へと入って暫く、二人ともラーメンを食べ終えて一息吐いたところで、都黎は意を決して口を開く。

 

都黎「…大切な話があるんだ」

 

夢華「え?」

 

都黎「その…夢華、お前のことが好きなんだ。…俺と、付き合ってくれないだろうか?」

 

夢華「えっ…」

 

 ラーメン屋で告白はないだろうと除外していた可能性がまさかの現実となってしまい夢華は動揺し、言葉に詰まってしまう。

 

夢華(え?私今、都黎から告白された?嬉しい…けど待って、ここラーメン屋だよね?…いや、残念がるものじゃない…けどラーメン屋……。凄く嬉しいけど…でも…)

 

都黎「…どうだろうか」

 

夢華「…と」

 

都黎「…と?」

 

夢華「都黎のバカーッ!!」

 

都黎「!?えっ…あ、ちょっと待て…夢華…夢華ー!?」

 

夢華「ご馳走様でしたー!」

 

 あまりに目の前の光景への感情がないまぜになったあまりに脳内容量をオーバーフローしてしまった夢華は子供みたいな悪口を言いつつきっちりお代を置いて店を出て行ってしまう。

 残された都黎は動揺のあまり現実を受け入れられず、少し時間が経ってから状況を理解してその場にくずおれる。

 

都黎「俺は…フラれたのか…?」

 

店主「…ドンマイ、にーちゃん」

 

都黎「……」

 

 フラれたと受け取り落ち込む都黎。先程のやり取りが悪目立ちし過ぎたことで店内の客からの同情ムードが漂う中、店主から肩をポンと叩かれ励まされるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「……さて、ここか…」

 

澄香「…山道、大変だったなぁ…」

 

真黒「…だから僕のワープで行こうって言ったのに」

 

清那「…あれは好きじゃないの」

 

真黒「えー…便利じゃん」

 

清那「…例えどんなに便利でも、一回白石が死んでモノノケになったから手に入れた力には極力頼りたくないの!」

 

澄香「その…私も同意見かな。白石君が人じゃなくなったんだなってまさまざと実感させられるから…」

 

真黒「……なんかごめん」

 

 世模継学院高校近くの森へと調査にやって来た真黒達。

 山道を大変だったと語る澄香を見た真黒は、提案したものの却下されたらしい自身の固有能力のワープを使うべきだったのではと言うが、二人から真黒が一度死んでモノノケになった事実を突き付けられることが受け入れられないらしく、極力その力に頼りたくないのだと返されると申し訳なさそうに謝る。

 

清那「…それに、白石はいつか人間に戻るんだから、そのうち使えなくなる力に頼りたくないし」

 

真黒「あー…そうだね」

 

澄香「私も応援してるから。私に手伝えることがあったら言ってね」

 

真黒「二人ともありがとう。…特に、黄坂さんなんて偶々こっちに帰ってきてたってだけで付き合わせちゃってごめんね」

 

澄香「い、良いの良いの。…こうして三人で調査とか、高校の時ぶりで楽しいし」

 

真黒「…そっか」

 

清那「澄香ちゃん…!」

 

澄香「わわっ、急に抱きつくと危ないよ〜」

 

 山道を歩きながら絆の深さを垣間見せる三人。

 やがて話題は時雨を襲った一件の黒幕についてのものへと移る。

 

真黒「しかし、晴河君を襲った犯人…イバラキドウジを唆したのは一体何者なんだろうか…」

 

澄香「降谷君の話によると謎の力でパワーアップしていたらしいし、そういうことが出来る存在ってことになるよね」

 

清那「それもイバラキドウジから直接聞ければ話も早かったんだけど…一応イバラキドウジの行方自体は探してるんだっけ?」

 

真黒「うん。今は楓山さんが動いてるはず」

 

清那「ああ、あの子が。同じ照羅巣高校の生徒会長経験者同士だけど、あんまり話したことないんだよね。…確かお嬢様なんだっけ」

 

真黒「そう。その家の力をフル活用してるみたいだね」

 

澄香「お金持ちって凄いなぁ…」

 

真黒「…まあ、今回の調査でイバラキドウジから話を聞く必要はなくなるかもしれないけど…どっちみち、彼の存在を放っておくことは出来ないってことで晴河君や降谷君も言ってたしね」

 

清那「…人とモノノケの共存を目指すなら、和解したいもんね」

 

真黒「そういうこと」

 

 イバラキドウジについて考えつつ山道を進む真黒達。

 すると、突然そこに集団が飛び出ると、その道を塞ぐ。

 

真黒「そろそろポイント…っと、熱烈な歓迎だね」

 

清那「やっぱりクロだったわけね…」

 

澄香「…っていうか、この敵って…空亡トルーパー…?」

 

真黒「……成る程、思ったより厄介な連中が絡んでるみたいだなぁ。…取り敢えず、二人は下がってて」

 

清那「…了解」

 

澄香「う、うん…」

 

 三人の行く手に立ちはだかった敵、それは数ヶ月前に弥城市での交換留学の際に事件を起こした狭間の存在、空亡の尖兵たる空亡トルーパーだった。

 真黒は事件の裏にいるのが何者なのか粗方察しつつ、二人を下がらせ、代わりに自身が進み出る。

 

空亡T「仮面ライダー…ここを嗅ぎつけたか。始末してくれる」

 

《着火!》

 

空亡T「ふん…!」

 

真黒「っと…そんなへぼい攻撃で出来るかな?」

 

《八咫烏…!》

《餓者髑髏…!》

 

空亡T「舐めるな…!」

 

《イグニッション!ゼロ!》

 

真黒「ふっ…甘いよ。ふん!」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

《イグニッション!ゼロ!》

 

 真黒は敵を剥き出しにして襲いかかってくる空亡トルーパーの槍の一突きに対し、真黒は炎呪之御札を装着した焚書ドライバーに翳しつつ身を翻して回避し、更に煽りを入れる。

 そして煽りに乗った別の空亡トルーパーが刀で切り掛かったところを左手に持った二つのアヤダマを起動しつつ蒼炎に身を包んで回避し、まず右側のスロットに八咫烏零式アヤダマを装填し、続けて空亡トルーパーを前蹴りで蹴り飛ばしてから左側のスロットに餓者髑髏零式アヤダマを装填する。

 

空亡T「この…っ!」

 

空亡T「ふんっ!」

 

真黒「変身」

 

《焼却装着!ヘンゲ…》

 

「「ぐわあああ!!」」

 

《黒翼!白骨!蒼炎!仮面ライダー禍炎…零!》

 

 向かってくる空亡トルーパー二人を前に、不敵な笑みを浮かべた真黒は炎呪之御札を焚書ドライバーに差し込み、次の瞬間、召喚されて飛び出た八咫烏と餓者髑髏によって二人の空亡トルーパーを吹き飛ばしつつ、仮面ライダー禍炎・零 八咫烏餓者髑髏ヨロイへと変身を遂げる。

 

禍炎「さーて、張り切っていきますか!はあっ!!」

 

空亡T「っぐ…!」

 

空亡T「この…!」

 

禍炎「おっと。はい残念!甘いねー」

 

空亡T「ぐああっ!!」

 

 禍炎は蒼炎を舞い散らせながら空亡トルーパーの一人を蹴り飛ばし、その隙に背後から攻撃しようとする空亡トルーパーの一撃を蒼炎に身を包んでの瞬間移動で回避しつつ、背後に回るといつの間にやら取り出していたオンミョウブラストチェンジャーによる銃撃を浴びせる。

 

空亡T「ふん!」

 

空亡T「はあっ!」

 

禍炎「っと…やれやれ、数が多いな。…ここは」

 

《野槌!》

《イグニッション!武装!野槌!》

 

禍炎「纏めて叩き潰すとしようか。ふんっ!」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

禍炎「よいしょーっ!」

 

空亡T「うぐっ…」

 

禍炎「それっ!」

 

空亡T「うぐあっ!!」

 

《ブースト!》

 

禍炎「これで…どうかな!」

 

《禍炎エクスプロード!》

 

禍炎「ふんっ!!」

 

「「「うぐああああっ!!」」」

 

 禍炎は召喚した土中之鎚による打撃を三人の空亡トルーパーへと連続で叩き込んでいくと、トドメに土の妖力を纏わせた土中之鎚を地面に叩き付けて振動波を発生させ、三人の空亡トルーパーを撃破する。

 

空亡T「ふんっ!」

 

禍炎「おっと…次はこれでいこうかな」

 

《白山坊!》

《鉄鼠!》

《イグニッション!召喚!白山坊!鉄鼠!》

 

空亡T「この…!」

 

禍炎「おっと…まだまだ、ここからが本番さ」

 

《陰摩羅鬼!》

《イグニッション!武装!陰摩羅鬼!》

 

禍炎「はあっ!」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

禍炎「さーて…決めますか」

 

《オーバーブースト!》

 

空亡T「分身しただと…!?」

 

《禍炎インフェルノ!》

 

「「「「「はあーっ!!」」」」」

 

「「「「「うぐああああっ!!」」」」」

 

 禍炎は白山坊の力と鉄鼠の力を憑依させると、向かって来た空亡トルーパーを召喚した魂魄之弓で打ち据える。

 そして五人に分身して複数の空亡トルーパーを取り囲むと、そのまま全方位から蒼炎の矢を発射し、更に矢をねずみ算式に分裂させることで殲滅する。

 

禍炎「ざっとこんなものかな」

 

「流石の実力ですね」

 

禍炎「うん?…君は…世模継の…」

 

竜司「…帷竜司。覚えてるでしょう?」

 

禍炎「…僕が世模継にいた時に何度かお話ししたことがあったよね」

 

竜司「…ええ。…どうしてあなたは…モノノケとの共存なんてぬるい夢を応援出来るんですか?モノノケに人生を踏み躙られて来たのに」

 

禍炎「…確かに、悪しきモノノケに散々な目に遭わされたことは否定しないけどさ、僕を救ってくれた存在の中にもまた、モノノケがいるものでね」

 

竜司「…そうですか。…聞けばモノノケでいるのもそう悪くないと思ってるとか。…まあ、それでも良いです。…あなたを容赦なく潰せるので」

 

禍炎「…!」

 

 突然現れ、その境遇にも関わらず人とモノノケの共存を謳う禍炎…真黒への疑問をぶつけた竜司はその答えを聞くなり翡翠色のアヤダマを取り出し、構える。

 

《風神!》

 

竜司「白石さん…あなたにはここで退場願おうか」

 

禍炎「…そう来るか」

 

《風神…》

 

 竜司は風神アヤダマによって緑の体躯の鬼のような姿に羽衣を身に付け、全身には黒いヒビのような模様が走ったモノノケの姿…フウジン・(うつろ)へと変える。

 そして風の流れが変わったことを示すように雨が降り始め、周囲の土を濡らしていく。

 

フウジン「はああっ!!」

 

禍炎「くっ…この威力…尋常じゃないね」

 

フウジン「ふん。空亡の力を取り込んでますから…ね!!」

 

禍炎「っと…成る程。そういうカラクリか。中々無茶をする」

 

 フウジン・虚が放った猛烈な威力の疾風を受けた禍炎はその威力の高さに驚き、フウジン・虚はその強さの由来は空亡にあることを明かす。

 

フウジン「ふんっ!!」

 

禍炎「くっ…力勝負は厳しそう…なら」

 

《鎌鼬!》

 

《水虎!》

 

禍炎「こっちも十八番で攻めようか」

 

《イグニッション!武装!鎌鼬!》

 

《イグニッション!召喚!水虎!》

 

禍炎「はああ…はあーっ!!」

 

フウジン「ふ…ふんっ!はあっ!」

 

禍炎「はっ!はあっ!!…く…うああっ!!」

 

清那「!白石が…押されてる…!」

 

 フウジン・虚の疾風を帯びた拳を辛うじて受け止めた禍炎は真っ向勝負は不利と悟ると十八番と称して辻風之鎌を召喚しつつ水虎の力で液状化して連続攻撃を仕掛けるも、フウジン・虚の疾風を放つ攻撃とのぶつかり合いの末に押し負けてしまう。

 

禍炎「厄介だね…」

 

フウジン「セイッ!!」

 

《海坊主!》

《イグニッション!武装!海坊主!》

 

禍炎「っ…危ない危ない。速度でダメなら…敢えて力で勝負してみようか」

 

《天邪鬼!》

《イグニッション!召喚!天邪鬼!》

 

禍炎「はああっ!!」

 

 疾風によって加速しながら迫るその拳を受け止めるべく、禍炎は咄嗟に海原之拳を召喚して触手を用いた防御姿勢を取り、その攻撃力に唸りつつも天邪鬼の力で自身の腕力を強化して殴りかかる。

 

フウジン「フンッ!ハッ!ダアアッ!!」

 

禍炎「っと…はあっ!ふっ!…うあっ!!」

 

フウジン「ふん。…いかにあなたと言えど…俺には勝てない…!」

 

 フウジン・虚と殴打の応酬を重ねた禍炎だったが、その凄まじいまでの力で禍炎を追い込む。

 

禍炎「ふむ…確かに強い。だったら今は…」

 

《蟹坊主!》

 

フウジン「何しようが無駄ですよ!!」

 

禍炎「…!」

 

《塗壁!》

《イグニッション!武装!蟹坊主!塗壁!》

 

禍炎「はっ!」

 

フウジン「受け止め…!?だが…その程度…」

 

禍炎「更に…こうだ!」

 

フウジン「ぐあっ!?顔が…この…!」

 

 禍炎は不利と察すると、フウジン・虚の攻撃を敢えて受け止めるように立ち、その拳が直撃する寸前に鉄壁之盾を召喚して受け止めると、次の瞬間に蒼炎に身を包んでテレポートしてフウジン・虚の眼前に出現すると、甲殻之爪でその顔面を挟み込み、強制的に視界を塞ぎ、更に甲殻之爪から泡を発生させて徹底的に視界を妨害する。

 

禍炎「さあ、今のうちに引こう!」

 

清那「…分かった」

 

澄香「う、うん…!」

 

禍炎「それじゃあ、アディオス」

 

フウジン「舐めやがって…ッ!!」

 

 甲殻之爪のせいで動けなくなっているフウジン・虚の足元に突き刺しておいた鉄壁之盾により壁を生成することで行動の邪魔をすると、そのまま軽く煽りつつ清那と澄香を連れて蒼炎を用いてテレポートし、撤退する。

 残されたフウジン・虚は自らの顔面に拳を入れることで甲殻之爪を引き剥がすと、おちょくられたことに対して怒りを露わにする。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

時雨「それで夢華さんが怒って帰ってしまったんだ…。それは…何というか…うん」

 

都黎「…何がいけなかったんだ…!」

 

時雨「えっと、それは…その…」

 

凪桜「都黎、ほぼ確実にラーメン屋で告白したのが原因だと思うよ」

 

都黎「!?な、何故だ…あそこは俺と夢華にとって思い出の場所で…。二人だって思い出の場所で告白したんだろう…?」

 

 真黒が調査に思いていたその頃、都黎は入院中の時雨の元で昨日の失敗の件を語り、凪桜からばっさりと悪かった部分を告げられる。

 

時雨「…いやまあ、僕達は確かに思い出の場所として部室を選んだけど……」

 

凪桜「…思い出の場所の中にも適した場所とそうでない場所があると思う」

 

都黎「そ、そうなのか…?」

 

時雨「うん。…まあ、説明は難しいけど…多分、夢華さんはムードを大切にしてたんじゃないかな?」

 

都黎「むーど」

 

時雨「例えば、僕達のことを例にするのは恥ずかしいけど…僕達の場合は卒業式という特別な日に、共に活動してきた旧部室棟という場所で告白した。…勿論、凪桜ちゃんからの告白だったら他の場所でも受けたとは思うけど…夢華さんって結構そういう…所謂“女の子らしい”部分が強い人ではあるから」

 

凪桜「時雨先輩の言う通りだよ。少なくとも、幾らラーメン屋が思い出の場所でも、他に人もいて、ガヤガヤとした雰囲気のラーメン屋は告白には向いてないと思う。せめて水族館で告白しておくべきだった」

 

都黎「……な、成る程…」

 

時雨「…まあ、まずは仲直りして、水族館にもう一度行くとかじゃないにしても、もう少し物静かで景色のいい場所とかが良いかもね」

 

凪桜「…夢華先輩も本気で都黎のことを嫌いになったわけじゃないだろうし、ちゃんと謝れば許してくれるよ」

 

都黎「……分かった。夢華に謝って…またちゃんと告白するよ」

 

時雨「うん。頑張って」

 

 時雨と凪桜からのアドバイスを受けて都黎は二人にお礼を言いつつ改めてちゃんと告白することを決意する。

 

雪音『──それで、ついお店を飛び出してきてしまった、と』

 

夢華「…そうなんだよね。……どうしよ…」

 

雪音『全く、何をやってるんですか。一昨日なんてあんな浮かれた長電話をしてきたのに、ほぼフッたも同然の言葉を残して帰ってくるなんて…』

 

夢華「うっ…わ、分かってるよ。自分でもバカなことしたと思ってる。…けど、どうしても納得出来なくて…その…」

 

 一方、夢華も夢華で雪音に電話で事の顛末を語り、軽く呆れられていた。

 

雪音『夢華さんの気持ちも分からないでもないですけれどね。とはいえ…告白されてるだけ、告白してフラれるよりはマシだと思いますが』

 

夢華「急な自虐ネタ!?それツッコミづらいんだけど!?」

 

雪音『冗談ですよ。…まあ、悪いことをしてしまったという自覚があるなら、素直に謝れば良いんじゃないでしょうか』

 

夢華「…そう、だよね。……ありがと、雪ち。私、ちゃんと都黎に謝るよ」

 

雪音『それが良いですね。…では、私はそろそろ切りますね』

 

夢華「ああ、そういえばイバラキドウジの行方を追ってるんだっけ。ごめんね忙しい時に」

 

雪音『良いんですよ。親友の恋路の応援も大切ですから。私みたいにフラれないよう出来るアドバイスはしたいですし』

 

夢華「だからその自虐ネタツッコミにくいんだって!」

 

雪音『ふふ、ではまた。頑張ってくださいね』

 

夢華「…うん。ありがと。雪ちも頑張って」

 

雪音『はい。ありがとうございます』

 

夢華「…よし」

 

 所々自虐ネタを交えながらも夢華の応援のためにアドバイスを送る雪音。

 そんな雪音に心押された夢華は都黎に謝ることを決意する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

夢華「……」

 

都黎「…夢華!」

 

夢華「!都黎…」

 

都黎「その、話が…」

 

夢華「話したいことが…」

 

「対象を発見…」

 

都黎「!?…お前は…?」

 

???「我に名はないが…強いて名乗るのならクウボウ。…またの名は…空亡だ」

 

都黎「空亡…だと…!?」

 

夢華「倒したはずじゃ…!」

 

 都黎と夢華がお互いに話を切り出そうとしたその時、突如として現れたのはボロボロの民族衣装のような服装に身を包んだ青年…クウボウ。

 クウボウが自ら空亡であることを明かすと、二人は警戒感を高める。

 

クウボウ「それは並行世界の我々だ。この世界の我々はまだ残っている」

 

都黎「!…そうか、あの時戦った空亡はもう一人の時雨が来た世界に巣食っていた空亡…こっちの世界の空亡を倒したわけじゃない…!」

 

クウボウ「そういうことだ。…さて、計画のために…お前には来てもらおう」

 

夢華「え、私?」

 

クウボウ「はァァ…!」

 

「「!」」

 

「我が名は… 逢魔空亡(おうまそらなき)…!」

 

 交換留学の一件で倒されたはずの空亡がまだ残っている理由が、そもそもその事件の時に倒したのは飽くまで黄昏妖魔の世界にいる空亡であって、こちらの世界の空亡ではないことを語ると、クウボウはその身に力を込め、姿を変える。

 そうして顕現したのは交換留学時にも出現したクウボウの怪人態の全身が金色の鎧を纏ったようなものに変わり、龍の意匠が加わった姿の怪人。妖魔 無双ヨロイを怪人に変えたかのようなその存在は、自らを逢魔空亡と称する。

 

都黎「…その姿…まるで無双ヨロイ…!?」

 

逢魔空亡「その力を得ているからな…。さあ、行け」

 

都黎「くっ…はあっ!」

 

《ヤギョウ!》

 

都黎「ふんっ!はっ!」

 

《インストール!》

 

都黎「はあああっ!!…変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

常闇Darkness…!ヤギョウヨロイ!》

 

 逢魔空亡は虚空から空亡トルーパーを生み出すと、都黎達に嗾ける。

 対する都黎は咄嗟に取り出した闇夜月によって空亡トルーパー達を斬り捨てつつ、左手でヤギョウ電子アヤダマを起動して電書ドライバーへと装填し、闇夜月を振るって空亡トルーパーを遠ざけたタイミングで電書ドライバーの前面をスライドさせることで仮面ライダー暗夜 ヤギョウヨロイへと変身する。

 

夢華「おっと…私も…!」

 

《キュウビ!》

《インストール!》

 

夢華「変身!」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!

 

幻影Illusion!キュウビヨロイ!》

 

夢幻「はああっ!!」

 

 夢華は空亡トルーパーの攻撃から何とか逃れつつ、仮面ライダー夢幻 キュウビヨロイへと変身して立ち向かう。

 

暗夜「はあっ!…ふん!」

 

空亡T「ぐっ…」

 

空亡T「うぐあっ!」

 

夢幻「ふっ!たああっ!!」

 

空亡T「ぐ…うああっ!」

 

暗夜「…さっさと倒す…!」

 

《夜行流奥義!》

 

《魔剣・宵闇乱舞!》

 

暗夜「はっ…はあーっ!」

 

「「「「うぐああああっ!!」」」」

 

 暗夜と夢幻は空亡トルーパーの攻撃をそれぞれの得物で受け止め、反撃の斬撃を浴びせる。

 そして暗夜は逆手に持ち替えた闇夜月を振るって闇の斬撃を飛ばすことで空亡トルーパーを纏めて倒す。

 

《ガン!レーザータイム!》

 

夢幻「私も…!」

 

《チャージ!》

 

夢幻「はあっ!!」

 

《チャージシュート!》

 

「「「「ぐうあああっ!!」」」」

 

 夢幻は幻を生み出して空亡トルーパーの攻撃を回避すると、レーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーから桃色のレーザービームを放つことで空亡トルーパーを一掃する。

 

暗夜「ふっ…。これで…終わりだ」

 

《提灯御化!》

《インストール!》

 

《アヤダマライズ!提灯御化!》

 

暗夜「はああっ!!」

 

空亡T「ぐっ…!」

 

空亡T「うああっ!」

 

 暗夜は空亡トルーパーの刀による斬撃を闇夜月でいなすと、提灯御化アヤダマを電書ドライバーに装填し、提灯型の炎を拳に纏わせて連続で打撃を繰り出していく。

 

《チャージタイム!》

 

暗夜「ふっ…これで終わりだ!」

 

《アヤダマバースト!》

 

「「「ぐぬああああっ!!」」」

 

 空亡トルーパーの攻撃を提灯型の炎を纏った拳で弾くと、暗夜は火炎弾を発射して残る空亡トルーパー達を焼き尽くす。

 

逢魔空亡「…ふむ、空亡トルーパーを退けたか。…では、私自ら相手するとしよう」

 

暗夜「…倒すだけだ!はあっ!」

 

夢幻「…そうだね。たああっ!」

 

逢魔空亡「他愛もないな…」

 

暗夜「攻撃が…通じてない…!?」

 

夢幻「押し切れない…!」

 

逢魔空亡「もう終わりか?…ならばこっちからだ。…ふん!」

 

夢幻「消えた…っ!?」

 

暗夜「何!?…くっ…」

 

「「うああああっ!!」」

 

 空亡トルーパーが全滅したのを見た逢魔空亡は自ら歩み出る。

 そんな逢魔空亡に対し、暗夜と夢幻は連携して斬撃を叩き込もうとするが、全て燻んだ黄金の障壁に阻まれてしまい、攻撃は通じない。

 そして瞬間移動で二人の背後に現れた逢魔空亡はその手を翳すと、強烈な金色の光線を軽く放って暗夜と夢幻の二人を吹き飛ばし、夢幻に至っては変身解除されてしまう。

 

暗夜「夢華!」

 

逢魔空亡「…ふん。こんなものか。さあ、半人半妖の者…私と共に来てもらうぞ」

 

暗夜「…?何を言ってるんだかよく分からんが…夢華をどうする気だ…!」

 

逢魔空亡「決まっている。コイツを使って…我々は究極になる」

 

夢華「うう…都黎…っ…逃げ…て…」

 

暗夜「…夢華は…俺の大切な人は離してもらう!はああっ!!」

 

逢魔空亡「ふん。…やれ」

 

稲美「……都黎先輩。あなたの相手は私です」

 

暗夜「稲美…!?」

 

逢魔空亡「お前に用はない。じゃあな」

 

 逢魔空亡は倒れた夢華を連れ去ろうとし、それを見た暗夜は阻止しようとダメージを押して立ち上がるが、逢魔空亡が呼び出した稲美に道を阻まれてしまう。

 そして、その間に逢魔空亡は姿を消す。

 

暗夜「…道を開けてもらうぞ」

 

稲美「…あなたを倒して…私達の正しさを…証明するんだ…!」

 

《雷神!》

 

暗夜「なんだ…そのアヤダマは…!?」

 

稲美「…これが私の…力…!」

 

《雷神…》

 

暗夜「…!」

 

 稲美は暗夜への敵意に取り憑かれ、周りが見えていないような様相を見せると、そのまま蜂蜜色の雷神アヤダマを取り出し、それによって全身に黒いヒビの模様が入った黄色の体躯の鬼のような外見で背中に太鼓を背負ったモノノケの姿…ライジン・虚へと変貌し、同時にポツリポツリと雨が降り始める。

 

ライジン「この力で…証明する!」

 

暗夜「くっ…うぐああっ!!…なんだ、このメチャクチャな力は…!」

 

 ライジン・虚は手を翳すと、凄まじい雷を放ち、それを受けた暗夜はその威力に驚愕する。

 

ライジン「はああっ!!」

 

暗夜「くっ…。この火力…まともにやり合うのは得策じゃないか…!」

 

 暗夜はライジン・虚の放つ雷をなんとか闇夜月で防ごうとするが、その威力に正面戦闘は不利と悟る。

 

暗夜「ふん…はああっ!!」

 

ライジン「遅いです…ね!」

 

暗夜「ぐあっ!…これでもダメか…!」

 

 暗夜は闇を伝って背後を取り、斬撃を叩き込もうとするが、ライジン・虚は脅威的な反応速度でそれを回避し、稲妻を帯びた高速の体当たりで暗夜を弾き飛ばす。

 

ライジン「…消えてください…!はああああっ!!」

 

暗夜「…!」

 

《唐傘御化!》

《アヤダマ装填!》

 

暗夜「マズい…!」

 

《アヤダマ一閃!》

 

暗夜「っ…くっ…ぐあっ!!」

 

 ライジン・虚は優勢であると確信すると、より出力を高めた雷を放出し、咄嗟に唐傘御化アヤダマを用いて唐傘状のバリアを展開した暗夜に、その防御を貫いて大きなダメージを与える。

 

ライジン「…や、やった…!都黎先輩に勝った…!」

 

《アヤダマ装填!》

 

《アヤダマ一閃!》

 

暗夜「ふんっ!!」

 

ライジン「!?ぐっ…避けられていた…!?」

 

暗夜「油断するとは…まだまだ甘いな」

 

ライジン「はああっ!…っ…!」

 

 激しい攻撃だったことを窺わせる土煙に消えた暗夜を見て勝利を確信したライジン・虚。しかし、その油断の隙を突くように闇を通じて背後から現れた暗夜はヤギョウ電子アヤダマを装填し、闇を揺蕩わせた闇夜月による斬撃を叩き込むことでライジン・虚を闇で捕らえて動きを封じ、その隙に自身は完全に闇に消えて撤退する。

 まんまと暗夜に出し抜かれたことを悟ったライジン・虚は全身から雷を発して闇を振り払うと、悔しさを露わにする。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

イバラキドウジ「っ…はぁ…はぁ…くそ…」

 

 降りしきる雨の中、イバラキドウジは俯いたまま這々の体で歩き、容赦なく体温を奪い、動きをますます鈍らせる雨に悪態をつく。

 しかし、そうしていたイバラキドウジの身体に、突然雨粒が当たらなくなり、そして同時に高級そうな靴と上品な茶色のスカートがその目に映る。

 

イバラキドウジ「…!お前は…」

 

雪音「ご機嫌よう」

 

イバラキドウジ「…氷雪…!何の用だ」

 

雪音「あなたと…お話ししに来ました」

 

イバラキドウジ「はぁ…?」

 

 イバラキドウジに傘を差し出したのは雪音だった。

 敵意を剥き出しにするイバラキドウジに対し、雪音は特に動じることもなく傘を渡すと、イバラキドウジと話をしにきたと告げる。

 

雪音「しかし…こんな所で、雨に濡れながらというのはいただけませんね。…なので、私の家までお越しください。暖かいお茶もありますよ」

 

イバラキドウジ「そんなの…」

 

雪音「まあまあ、遠慮なさらず。…さ、彼を乗せてください」

 

イバラキドウジ「いつの間に…!?って、おい…!僕は行くなんて…!ちょっ…やめっ…!?」

 

 雪音はイバラキドウジを家へと招くと、断ろうとするイバラキドウジをいつの間にやら現れた使用人に強引に高級そうな車へ押し込ませるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

イバラキドウジ「…どういうつもりなのさ」

 

雪音「雨に濡れてる方をそのまま放置する趣味はないものでして。…服はお気に召しませんでしたか?生憎、今ある中であなたが着れそうなのは使用人の服しかなかったものでして…」

 

イバラキドウジ「そういう意味じゃない!分かってんだろ…僕は君達とは敵だ!僕なんか…もう放っておいてくれよ!!……君のお仲間の妖魔のことだって…」

 

雪音「そうですね。…あなたが時雨君にしたことを許したわけじゃありません」

 

イバラキドウジ「なら──」

 

雪音「ですが…私達の志は一つです」

 

イバラキドウジ「…?」

 

雪音「人とモノノケの共存。そんな未来を実現するために…今の世界を変えていくために、一つずつやっていくしかありませんから。ですから…私にあなたを見捨てる選択肢も、ましてや攻撃して迫害する選択肢もありません」

 

 雪音の家である屋敷にて、風呂に入れられ、執事服を着せられたイバラキドウジは、何故敵のはずの自分を助けたのかと問う。

 そんなイバラキドウジに、雪音は自身の夢を明かし、その一環であると説明するが、イバラキドウジは納得出来ない様子を見せる。

 

イバラキドウジ「またそれか…お人好しなんだな。君等は」

 

雪音「まさか。時雨君はともかく…私はお人好しではありませんよ。そもそも、この夢だって私に利があるものですし」

 

イバラキドウジ「…?」

 

雪音「私は半人半妖…人とモノノケの血を引いているんです」

 

イバラキドウジ「はあ!?」

 

 時雨と同じ理想を聞いたイバラキドウジは「お人好し」と呼ぶが、雪音は自分はお人好しなどではなく、半人半妖の存在であるということを明かし、それ故に人とモノノケの共存を目指していると説明する。

 

雪音「…私は人でもなければモノノケでもありません。そして同時に、人であり、モノノケでもあります。だから、人とモノノケには共存してもらいたい。…私はこの世界にいても良いんだと、そう証明したいんです」

 

イバラキドウジ「……」

 

雪音「…それに、敵とは言いますが…私は今のあなたを敵とは思っていません」

 

イバラキドウジ「何?そんなわけ──」

 

雪音「…なら何故、さっき車に乗せられるとき、お風呂に入れられるとき、そして今…私達を攻撃しようとしなかったのでしょうか。いくら降谷君に負けてダメージを負ったとて、ただの人間相手に全く抵抗出来ないほどではないと思いますが」

 

イバラキドウジ「…!それは…」

 

雪音「…身を滅ぼしてでも復讐を成し遂げる意思があるなら、戦うことは出来たはず。…あなた自身、迷っているのではないですか?自分の慕う相手を倒した時雨君…ひいては私達仮面ライダーのことを憎む気持ちはあるのでしょうが…それと同時に、戦いたくないと思う気持ちもある…違いますか?」

 

イバラキドウジ「…それは…。君には関係ないことだ」

 

雪音「…まあ、答えたくないなら無理に答えなくて結構です。…話したくなったらいつでもどうぞ。…そうそう、暫くこの家にいてもいいですよ。行く宛もないでしょうし」

 

イバラキドウジ「……ふん」

 

 雪音の言葉に反抗的な態度を貫くイバラキドウジ。

 それでも出て行こうとはしない、そんなイバラキドウジの様子に苦笑いしつつ、雪音は空になったティーカップを下げるのだった。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「…立ち止まってる時間はない…。動かないと…!」

 

「君も、諦めが悪いねぇ」

 

都黎「!…ヌラリヒョン…!?なんでお前が…!」

 

雹介「おっと、いいのかい?今戦っても君じゃ勝ち目ないと思うけど」

 

 少なくないダメージを負いながらも夢華を助けるために行動する都黎。

 その前に現れたのは時雨と凪桜に敗れ、消えたはずのヌラリヒョン…布田雹介だった。

 

都黎「…っ!」

 

雹介「安心したまえ。君と戦うつもりなんてないよ。結果なんて分かりきってるし、興味も湧かない。…なんで私が復活したか、知りたげだな」

 

都黎「……どうせ空亡の仕業だろう」

 

雹介「その通り。…しかし、私があれほどに焦がれていた裏側の存在…まさかこうして実際に見ることが出来るとはね。感動だよ」

 

都黎「ふざけるな…!」

 

 闇夜月を構えて警戒する都黎をおちょくるように話し続ける雹介に対し、都黎は苛立つ様子を見せる。

 

雹介「ふざけてなんてないさ。実に心外だね。私は君の“育ての親”として…忠告しにきてあげたんだよ。罪人である君が幸せを掴むことは出来ないってね」

 

都黎「…!」

 

雹介「いいかい?桃原夢華があんな目に遭ったのも、全部君の側にいたからだ。君の罪はどうやったって消えない。分かったかい?」

 

都黎「……」

 

雹介「何も言い返せなくなってしまったか。つまらないものだね。…まあ良い」

 

都黎「お前…何が目的だ…!」

 

雹介「…私は私のやりたいようにやるだけさ」

 

都黎「……行かねば…」

 

 雹介は軽い態度のまま都黎を罪人と謗ると、否定出来ず黙り込む都黎を煽り、そのままぬらりと姿を消す。

 その様に苦々しげな表情を浮かべながらも、都黎は再び歩み出す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「……力を貸してくれ」

 

真黒「!昏時君!?…どうしたんだい?」

 

清那「というか、その怪我…何かあったの?」

 

都黎「それが…というか、真黒さんも怪我を…どうしたんですか?」

 

真黒「ああ、これ?…実はちょっと厄介なことになってね。…君達にも調査を依頼してた件、さっき僕達で調べに行ったんだけど、思ったよりも危険な相手が絡んでてね」

 

都黎「…空亡、ですよね」

 

澄香「えっ!?なんでそれを…!?」

 

 傷を負いながらも助力を求めて貴真賀中央大学の理工学部特別研究室を訪れた都黎の様子に、手当を受けていた真黒は、清那や澄香共々ただ事じゃないと悟る。

 そして自分達を襲った脅威についての話をしようとしたところで、都黎は状況を察して先に答えを述べる。

 

真黒「…成る程。君の方にも出たわけか」

 

都黎「…はい。…空亡…逢魔空亡と名乗った奴に負けて…一緒にいた夢華が攫われたんです」

 

真黒「!…思ったより状況は深刻そうだね。詳しく話してくれるかい?」

 

都黎「…それが、俺にもよく分かっていないんです。…いきなり空亡が襲ってきて…それと、世模継の後輩である稲美…夜野稲美が空亡の力を持ったモノノケになって襲ってきたんです」

 

真黒「…そっちもか。実はこっちでも似たようなことがあってね。僕の方は交換留学の時と同じ空亡の手下が襲ってきた後、世模継の帷竜司君が同じく空亡の力を持つモノノケとなって襲ってきた」

 

 都黎から夢華が攫われたことを聞いた真黒は事態をより重く受け止め、情報交換を行う。

 

都黎「…竜司も…でしたか」

 

真黒「彼の発言を察するに、二人の目的はモノノケとの共存への反対ってとこかな?…ま、それで自分達もモノノケの力を使って、モノノケよりも余程危険な相手に利用されてるんじゃ本末転倒だと思うけど」

 

都黎「…そうですね。…俺がもっとしっかりしてれば…」

 

真黒「昏時君のせいじゃないさ。…人の心を変えるっていうのは難しいものだし。…他に何か気になる点とかはなかったかい?」

 

 稲美と竜司が空亡側に回ってしまったのは自分の不甲斐なさのせいだと落ち込む都黎に、真黒は励ましの言葉を掛けつつ、他に情報がないか探る。

 

都黎「……そういえば、奴は夢華を攫う時に“半人半妖の者”って言ってました」

 

真黒「…ふむ。朱井さん、多分これって…」

 

清那「…うん。推理通りだと思うよ。…恐らく、空亡は楓山さんと桃原さんを誤って攫ったんだと思う」

 

都黎「…誤る?…随分と間抜けな話ですが…そんなこと、ありえるんですか?」

 

真黒「そりゃ、僕達人間やモノノケは取り違えたりしないだろうけど…空亡は違う。奴は僕達に興味がないんだよ」

 

都黎「興味がない…?」

 

真黒「例えば…最近水族館に行ったなら分かると思うけど、僕達だって魚の顔の見分けなんてつかないだろう?」

 

都黎「それは…確かに」

 

真黒「魚の一匹一匹に興味がある人なら見分けられるかもしれないけどね。…さて、そんな普通なら見分けのつかない魚の中から、ある特徴を持つ一匹を見分けようと思ったら、当然その特徴を探すだろう?」

 

都黎「まあ…そうですね」

 

真黒「例えば色が他と違う、とかね。…けど、もしその色に似た色の別の魚がもう一匹いたとしたら?」

 

都黎「……見分けるのが難しくなる?」

 

真黒「そういうこと。…そして、空亡が特別な一人として楓山さんを選んだ理由は…空亡の言葉に答えがあるとみていいだろうね」

 

都黎「…半人半妖の存在、か」

 

真黒「うん。…半人半妖っていうのは凄く珍しい存在だし、ましてやその中でも仮面ライダーに至るほどの強い力を持つ存在というのは楓山さん以外に存在しない。…だから、普通なら間違われることはない。けど、桃原さんには普通じゃない要素があるよね。楓山さんと間違われてもおかしくないような、そんな要素が」

 

都黎「モノノケとの…融合経験…」

 

真黒「そう。桃原さんはモノノケと融合したことがある。…勿論、それだけなら霞流さんとかも該当するけど、それに加えて桃原さんはそもそもが仮面ライダーになれるほど妖力への適性が高く、強い人物…故に、空亡が指標としているであろう“気配”が性質も、強さも、半人半妖である楓山さんと似たものになっている。…実際、モノノケになった身としては、確かにあの二人の気配は似ているんだよ」

 

清那「…そうね。私もあの二人の気配は似ていると思う。勿論、私達は気配以外の要素で人を見るから、あの二人を間違えたりはしないけど…」

 

都黎「そういう、ことだったのか…」

 

 夢華が攫われたのは雪音と間違われてのことだろうという推理の根拠を魚に例えて説明する真黒。そしてその根拠を後押しする清那に、都黎は納得した様子を見せる。

 

澄香「でも、そもそもどうして空亡は楓山さん…半人半妖の存在を必要としたんだろう?」

 

真黒「それについては僕より朱井さんの方が詳しいかな」

 

清那「うん。そっちも見当は付いてる。…知ってると思うけど、空亡というのは現世と幽世の狭間にいる存在なの」

 

都黎「…交換留学の一件の時に聞きました」

 

清那「うん。…で、要は空亡は狭間の存在ってことが肝心で、人とモノノケの狭間に立つ存在なんだよ、空亡は」

 

都黎「…まさか」

 

清那「お察しの通り、恐らくその狭間の存在であるが故に、人とモノノケ両方の血を引き、その狭間にいる存在である楓山さんには何らかのシナジーがあるんじゃないかな」

 

都黎「つまり、それが理由で雪音を…成る程」

 

 空亡の目的については真黒とバトンタッチした清那から説明が行われ、“半人半妖”という雪音の特殊性こそが空亡の特性と何らかのシナジーがあるのだろうと結論付ける。

 

真黒「問題は…空亡にどうやって対抗するか…だよね」

 

都黎「…夢華が囚われた以上、悠長には動けません。…絶対に助けないと」

 

真黒「そうだね。…取り敢えず、皆に連絡しつつやれることをやっていくしかないかな」

 

都黎「…はい。…それと、実はもう一つ共有したいといけないことがありまして…」

 

真黒「?」

 

都黎「…ヌラリヒョンが復活したんです」

 

真黒「!……そっか」

 

都黎「驚かないんですか?」

 

真黒「まあ…弥城市の一件の時も五行が復活したからね。ヌラリヒョンが復活してもおかしくはないだろうさ。…厄介な敵が増えたのは確かだから、当然いい状況ではないけど」

 

都黎「はい…」

 

 都黎から共通の因縁の相手であるヌラリヒョンの復活を知った真黒は一瞬だけ動揺するが、すぐに冷静に戻り、状況を分析する。

 

都黎「…今のままじゃ、奴等に勝てない。どうすれば…」

 

夜御哉「…対抗策ならあるぞ」

 

都黎「田貫教授」

 

夜御哉「これを使えれば…君も新たな力を得られるはずだ」

 

都黎「これは…妖之書…!?それにこっちは…アヤダマ…?」

 

夜御哉「そうとも。この妖之書は君用に作っていた新造したものなんだ」

 

都黎「そんなことが…」

 

 どうにかして新たな力を得なければと焦る都黎。

 そんな都黎に、部屋に入ってきた夜御哉が表紙に「暗夜」の文字が刻まれた新たな妖之書と、激怒アヤダマと同形状をした紫色の“百鬼夜行アヤダマ”を見せる。

 

夜御哉「そして、こっちのアヤダマは妖之書で使う用のアヤダマ…夜行アヤダマの力をベースに、我々の手元にあるアヤダマの力を集約させた新たなアヤダマ…“百鬼夜行アヤダマ”だ」

 

都黎「……これが…新しい力…」

 

夜御哉「…なのだが、一つ問題がある。このアヤダマを起動するには強い覚悟が必要なんだ」

 

都黎「覚悟…」

 

夜御哉「アヤダマの力を集約するというのは、そのアヤダマに込められたモノノケの想いを背負い立つということ…故に、その想いに呑まれず、力を扱うだけの強い覚悟が必要になる」

 

都黎「…分かりました。ありがとうございます。ゆっくりはしてられない…すぐに行かなきゃ…!」

 

真黒「あー、落ち着いて落ち着いて。君はまず休むのが先決。調べるのは僕達がやるよ」

 

都黎「ですが…」

 

真黒「助っ人も来るから、大人しくしててね」

 

都黎「……助っ人?」

 

「私のことです」

 

 夜御哉から渡された新たなアヤダマの力を使えれば夢華を助けられるかもしれないと都黎は焦りそうになる。しかし、そんな様子を真黒が嗜め、それと同時に理工学部特別研究室に「助っ人」がやってくる。

 

都黎「柚木智由…何故ここに…」

 

智由「学部も違うのでお久しぶりですね、昏時さん。…先程、霞流さんから連絡がありまして。偶々大学にいたのですぐに来れました」

 

 助っ人の正体…それは照羅巣高校の元保健委員長で、かつてモノノケ絡みの事件で度々時雨達歴史研究部と関わってきた柚木智由だった。

 

都黎「そういえば…照羅巣では保健委員だったな」

 

智由「…ええ。私の方であなたの手当をさせていただきます。…が、私は体力までは回復させられませんので…」

 

都黎「だから休んでいろということか」

 

智由「はい」

 

真黒「そういうこと。じゃあ柚木さん、悪いけどよろしくね」

 

智由「いえ、私も桃原さんとは友人ですし…力になれるのなら幾らでも手を貸します」

 

都黎「その…ありがとう。よろしく頼む」

 

智由「お任せください」

 

 都黎の手当を智由が引き受け、流石の都黎も諦めたか、その手当を受けることにする。

 

真黒「さて…僕も動きますか」

 

 そんな様子を横目に、真黒は理工学部特別研究室を出ると、そのまま蒼炎に身を包んで姿を消す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「やあ」

 

調「うわああっ!?…って、白石さん…びっくりした…」

 

真黒「相変わらずいい反応するね。霧宮君」

 

調「いや、だって…」

 

咲穂「ふふ、それも調君のいいところですから」

 

調「咲穂さんまでそんなこと!…まあ、そんなこと言ってる場合じゃないか」

 

 蒼炎と共に調の背後に現れた真黒に、調は大きく驚き、そんなリアクションに真黒は楽しそうに笑う。

 

真黒「ごめんごめん。で、手掛かりについては何か掴めたかい?」

 

咲穂「残念ながら私達の方ではまだですね…。皆に動いてもらってはいますが」

 

真黒「こっちでも朱井さんと黄坂さんが手伝ってるはず。…とはいえ、中々手強そうだね」

 

 調を驚かせたことを謝りつつ、真黒は二人に情報を掴めたか尋ねる。

 

調「あっ、でも麗那さんも手伝ってくれてるし、そっちも当たってみるといいかもです」

 

真黒「そういえば麗那ちゃん、今は歴史研究部の一員だもんね」

 

咲穂「ええ。元々朱井さんの妹さんだけあってモノノケに詳しいですし、頼もしい限りですよ」

 

真黒「そっか。…じゃあ麗那ちゃんの所にも行ってみるよ」

 

調「今は多分部室にいるかと思います」

 

真黒「分かった。ありがとうね」

 

 調から清那の妹であり、真黒とも旧知の中である麗那もまた協力していることを知った真黒は麗那が照羅巣高校に進学してから歴史研究部に入部していたことを思い出すと麗那の方も話を聞いてみることを決める。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「っと…いきなり出てきたら麗那ちゃんを脅かしちゃうか。…麗那ちゃんもモノノケの力使うと怒るからなぁ…」

 

雹介「君もすっかりモノノケだね」

 

真黒「!…ヌラリヒョン。何の用だ」

 

雹介「おや、案外驚かないのだね」

 

真黒「昏時君から聞いてたからね。…今この場であの世に送り返してやる」

 

雹介「怖いなぁ。まあ待ちたまえよ」

 

真黒「!瞬間移動…」

 

 麗那を脅かさないために照羅巣高校の旧部室棟の前で蒼炎から出てきた真黒はそこで因縁の敵である雹介と出くわす。

 懐に手を入れながら臨戦体勢に入る真黒に、雹介はぬらりと姿を消して別の箇所に現れることで距離を置きつつ、それを制止する。

 

雹介「君だけの専売特許じゃないからねえ。…さて、白石君。私は君に問いたいんだ」

 

真黒「問う?」

 

雹介「…何故君は戦う?」

 

真黒「そんなの──」

 

雹介「君は晴河時雨とは違う」

 

真黒「!」

 

雹介「あのまっすぐな正義は君にはない。目的を果たすために、我々を潰すために…君は闇の道を進むことを選んだ」

 

真黒「…何が言いたい」

 

雹介「簡単さ。君は反人間連合の一員として悪事を重ねてきただろう?時には人の命を奪わんとするモノノケにすら手を貸した。君が情報を提供したことで学園紛争は悪化した。そんな君に…今更正義の味方ぶって戦う権利があるとでも?」

 

真黒「…別に、正義の味方なんて大層なものになれるつもりはないよ。…ただ、僕は僕の守りたいものを守るために…そのために戦うって決めた…それだけ」

 

雹介「そうかい。…その覚悟も、どこまで続くか見ものだねえ」

 

真黒「……っ」

 

雹介「私は親切だからねえ。最後に忠告してあげよう。君が使おうとしているその力は…君には重荷だよ?分の悪い賭けになるだろう」

 

 真黒の過去の行いを非難する雹介。

 そして全てを見透かしたようなことを告げ、その姿を消す。

 

真黒「…そんなこと…言われるまでもない。……分が悪かろうが…賭けに勝つだけ…!」

 

麗那「真黒兄さん?」

 

真黒「!麗那ちゃん」

 

麗那「えっと、空亡の件ですよね」

 

真黒「ああ、うん。…霧宮君と霞流さんから麗那ちゃんにも話を聞いてみてと言われてね」

 

麗那「ごめんなさい、私の方でも大した情報は掴めていなくて…」

 

真黒「…そっか。一筋縄じゃいかないものだね」

 

 雹介の最後の言葉に、真黒は一人対抗心を燃やして呟く。

 すると、いつの間にやら後ろまで来ていた麗那が心配そうに声を掛ける。

 

真黒「…なら、僕も他の手掛かりを探すことにするよ。手伝ってくれてありがとね」

 

麗那「その…真黒兄さん」

 

真黒「ん?」

 

麗那「何かありましたか…?その、落ち込んでいるように見えたので…」

 

真黒「え?ああ…まあ。ちょっとね。…ごめん、心配かけちゃって」

 

麗那「…私でよければ、話聞きましょうか?」

 

真黒「…それは……」

 

麗那「あ、ごめんなさい。私じゃ頼りになんてならないですよね…」

 

真黒「……そんなことないよ」

 

 真黒の様子をおかしく思った麗那は去ろうとする真黒に声を掛ける。

 しかし、かつて自分を頼ってくれなかったこともあってか自分は頼りにならないとなかったことにしようとするが、それを感じ取った真黒はそれを否定する。

 

真黒「…ホントは、麗那ちゃんにはあんまり聞かせたくない。…これは、麗那ちゃんが頼りないからとかじゃなくて、僕の我儘なんだ。…麗那ちゃんの前では、頼れる“真黒兄さん”でいたいっていう、ね」

 

麗那「!真黒兄さんがどんな話をしたとしても、私にとって真黒兄さんは変わらずいつでも頼りになって、カッコいい、そんな存在ですよ」

 

真黒「…そっか、ありがとう。麗那ちゃんがそう言ってくれるなら、話さないわけにもいかないよね。…それに、こうやって隠してきたりしたから、皆を沢山悲しませちゃったわけだし」

 

 麗那に本心を吐露した真黒に、麗那は幻滅などしないと示し、それを聞いた真黒も素直に話すことを決める。

 

真黒「…知っての通り、僕は反人間連合にいただろう?」

 

麗那「ええ…反人間連合に潜り込んで姉さんを救う手立てや、計画を挫く鍵を探していたのですよね」

 

真黒「…うん。…勿論、連中のやり方に賛同なんてしてないし、こうしたからこそ得られたものもあったと思う。…それでも」

 

麗那「…加担したことを、悔やんでいるのですか?」

 

真黒「…うん。本当に、あんなことする必要あったのかなって。…僕はただ、楽な方に逃げただけなんじゃないかって」

 

麗那「そんなことないって、私は思ってます」

 

真黒「……僕は…朱井さんを助けるために…連中の計画を挫くために…多くのものを見殺しにしかけた」

 

麗那「!」

 

真黒「モノノケによって苦しむ人を、命を奪われるかもしれなかった人を見殺しにしようとしていた。その苦しみが、誰よりも分かるはずだったのに」

 

麗那「……」

 

真黒「……せめて命だけでも助けるつもりではあったけど…そんなの上手くいくかも分からないし。自分でもそんなこと自分の中で納得して理由付けするために言い訳に過ぎないって分かってる」

 

麗那「真黒兄さん…」

 

真黒「…僕が被害を出さないで済んだのは…見殺しにしないで済んだのは全部晴河君達が…皆が凄かったからなんだ」

 

麗那「…私はそれだけじゃ、ないと思います」

 

真黒「!麗那ちゃん…?」

 

 自嘲気味な様子で己の罪を悔いる様子を見せる真黒に、麗那は真黒の行動にあるのは罪だけじゃないと告げる。

 

麗那「確かに、結果論かもしれません。真黒兄さんがどんな考えであれ悪事に加担した事実も消えないかもしれません。ですが…真黒兄さんがそうしたからこそ起こせた良いことだって消えないはずです」

 

真黒「それは…」

 

麗那「分かってます。そう言われたって、真黒兄さんの中では整理はついてないし、自分で自分を許せてないんだって。…だからこそ、私は伝えなければいけないと思うんです」

 

真黒「伝える?」

 

麗那「…私、真黒兄さんのこと、色んな人に尋ねてみてたんです。どんな人だったとか、どんなことがあったとか。…皆おっしゃってました。沢山助けてもらったとか、頼りになる人だって」

 

真黒「…皆がそんなことを……」

 

麗那「暁先輩は『真黒さんがいたから、私は大切なことは心の強さと知れた。だから時雨先輩を妖魔に選ぶことが出来た』と、霞流先輩や霧宮先輩も真黒兄さんのお陰で学園紛争の事件の解決やイザナミからの暁先輩の救出を成し得たって」

 

真黒「…そっか」

 

麗那「それに、晴河先輩もおっしゃってました。『真黒さんが敵として僕達の前に立ち塞がってくれたからこそ、強くなれたし、汰月君や賢昇君と仲間として一致団結出来た』って」

 

真黒「……晴河君も、そんなことを…」

 

麗那「私だってそうです。姉さんがいなくなった時も、真黒兄さんが消えてしまった時も、街がおかしくなってしまった時も、イザナミが暴れたり、ヌラリヒョンのせいで世界が終わりそうになったり、空亡が侵攻してきたり、色々な危機があった中で、何も出来ない自分の無力さが許せませんでした」

 

真黒「無力なんてそんな…」

 

麗那「だからこそ、真黒兄さんがどれほどの覚悟で戦いに身を投じていたかと思う度に、凄いと思うんです。自分の身を犠牲にしたのは許せませんけど、それでも…皆の笑顔のために戦える真黒兄さんは…いつも優しくてカッコいい真黒兄さんは…私の大好きな最高のヒーローです。……あっ、えっと今のはその深い意味はなきにしもあらずっていうかその…」

 

真黒「……ふふっ、うん。ありがとね。麗那ちゃん。お陰で元気出たよ。……どんな理由があったにせよ…僕は奴等に手を貸してしまった。…その罪は背負い続けるよ。でも、それで立ち止まってちゃダメだよね。罪を背負うからこそ、前に進まないと」

 

 真黒に自分が聞いてきた真黒の評価を伝える麗那は、勢い余って真黒に「大好き」とまで伝えてしまう。

 その結果ワタワタとしている様子に、真黒は微笑ましげに笑い、同時に元気を貰う。

 

麗那「…なら、良かったです」

 

真黒「…まずはやるべきことをやらなきゃ。落ち込んでる場合じゃないよね」

 

麗那「無理とか無茶はしないでくださいね」

 

真黒「善処するよ。…じゃ、そろそろ僕も動くかな」

 

麗那「…いってらっしゃい」

 

真黒「うん。いってきます」

 

 麗那のお陰で元気を貰えたという真黒は改めて今やるべきことを果たすべく、動き出し、そんな真黒を麗那は嬉しそうに見送るのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雪音「…はい。はい、分かりました。……空亡が、分かりました」

 

イバラキドウジ「!…空亡……」

 

 電話に出ていた雪音の話で漏れ聞こえてきた「空亡」というワードに、イバラキドウジは思わず苦々しげに顔を顰める。

 

雪音「ええ。…私も手伝うようにします」

 

イバラキドウジ「……」

 

雪音「イバラキドウジさん」

 

イバラキドウジ「……何」

 

雪音「申し訳ありませんが、私は少々外します。…何かご要望があれば使用人にお声がけいただければ」

 

イバラキドウジ「そう。……空亡が動き出したんでしょ?」

 

雪音「!…ええ。夢華さん…私の幼馴染が私と間違われて連れ去られたそうでして…」

 

イバラキドウジ「それで…助けに行くと」

 

雪音「…勿論。夢華さんとも色々ありましたが…ずっと支えてくれた親友で…幼馴染で、仲間で、相棒ですから。その夢華さんが危機に晒されてるというのなら…助けないわけにはいきません」

 

イバラキドウジ「……それ、僕も手を貸してあげるよ」

 

雪音「!…良いのですか?」

 

 思ってもみないイバラキドウジの提案に、雪音は驚きを隠せず聞き返してしまう。

 

イバラキドウジ「べっ、別に…絆されたとかじゃないし!…まあ一応、一宿一飯の恩が出来ちゃったし……借りを作ったままなのは嫌なだけってか…僕を利用したアイツに一泡吹かせてやりたいっていうか…」

 

雪音「…そうですか。ではお言葉に甘えて、力をお貸しくださると助かります」

 

イバラキドウジ「…ふん」

 

 力を貸すと決めた理由を話しつつも素直になりきれない様子を見せるイバラキドウジに、その心が少しずつ解け始めていることを悟った雪音は微笑みつつ、素直にイバラキドウジの申し出を受けることにする。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「……寝ていたか」

 

智由「それはもうぐっすりと。とはいえ、意外とお早いお目覚めでしたが」

 

都黎「……流石にのんびりと寝ている暇は…ないからな」

 

智由「…そうですね。それにしても、以前から思っていましたが、あなた…しぶといですね」

 

都黎「…伊達に鍛えていないからな」

 

智由「それ、理由になってますか…?…まあ、あんまり無茶はしてほしくありませんが…晴河君といい、あなた達には言うだけ無駄でしょうから」

 

都黎「……無茶、か。…そんなもので罪が消えるというのなら…幾らでもするさ。…実際の所、俺の罪は消えたりはしないが……」

 

 疲れもあってか眠っていた都黎だったが、目を覚ますと一通り手当をしていた智由からそう長くは寝ていないことを告げられる。

 そしてその生命力の高さに智由が呆れ半分関心半分といった様子を見せていると、話の中で都黎は罪の意識に苦しんでいることを明かす。

 

智由「…罪?……反人間連合の手先として使われていた頃の話ですか?」

 

都黎「……ああ。…反人間連合に加担してしまったことは…俺の人生で最大の…消えない罪だ」

 

智由「……」

 

都黎「別に、そのことを忘れていたつもりはないが…改めて突き付けられてな。……今思えば、こんな俺が幸せなんて掴もうとしたのが間違いだったのかもしれないが……だから、夢華も…」

 

智由「…そんなことはないと思いますよ。……確かに、あなたは罪を犯したかもしれませんが…客観的に見て、情状酌量の余地がある状況ですし。…何より、あなた自身がその罪を悔いて償っているじゃありませんか」

 

都黎「……そんなに褒められたことじゃない」

 

智由「そうでしょうか?……何にせよ、罪を犯したからといって幸せになっていけないということはないと思いますよ。…それを言い出したら、あなたの大切な桃原さんも幸せになる資格はないことになりますし」

 

都黎「!…アイツは、俺と違ってヌラリヒョンのせいで感情を操られていたから…俺と同罪には出来ないだろう」

 

智由「…かもしれませんが、その扱いを一番嫌がるのは桃原さん自身でしょう?……犯した罪に向き合って、その上で自分も周りも幸せに、そういう風に考えてるのが彼女です」

 

都黎「……そう、だな。…随分と詳しいな、アイツのこと」

 

智由「これでも三年以上の付き合いですから。……それに、私から見てもあなたといる桃原さんは幸せに見えましたよ」

 

都黎「!……そう、か」

 

智由「少なくとも、あなたも誰かを幸せに出来るということです」

 

都黎「……俺も、時雨みたいに出来るのかな」

 

智由「さあ。晴河君は晴河君、昏時君は昏時君ですから。…ですが、形は違ったとしても、きっとあなたも誰かを幸せに出来るって、私は信じてみることにします。なので…あなたも信じてみませんか?自分自身のことを」

 

都黎「自分を…信じる、か。……そういえば、時雨もそうして強くなったんだよな。……なら、俺もいつまでもウジウジはしてられないか」

 

智由「その意気です」

 

都黎「…ありがとう。柚木と話せたお陰でどうするべきかが見えてきた気がする。…ん?あいつ等から……俺だ」

 

 智由との問答を経て罪に囚われるのではなく、自分も前を向いて進むべきと悟った都黎の元に世模継正屠会メンバーから連絡が入る。

 

双葉「あっ、都黎先輩。具合は大丈夫ですか…?」

 

都黎『少し休んで回復した。問題ない』

 

玲「……まあ、都黎先輩の回復力が凄いのは今に始まった話じゃないけど…」

 

瑠璃子「それも大事だけど、今は本題に入ろう」

 

双葉「あっ、そうでした!…その、都黎先輩、空亡の拠点を見つけました!」

 

都黎『本当か!?』

 

玲「本当。場所はこれから送るから、近くで合流しよう」

 

都黎『…了解。……その、ありがとう。助かる』

 

瑠璃子「ま、夢華ちゃんはもうお友達だし。助けたいのは都黎だけじゃないってこと」

 

都黎『……そうか』

 

 空亡の拠点を突き止めたという瑠璃子達に感謝の意を伝えつつ、通話を切ると都黎は動き出す。

 

智由「…行くのでしょう?」

 

都黎「…ああ。手当してくれて助かった」

 

智由「お気になさらず。…桃原さんのこと、お願いしますね」

 

都黎「……ああ、任せておけ」

 

 都黎は手当をしてくれた智由にも礼を告げ、卓上の妖書ドライバーとアヤダマを引っ掴むと、そのまま外へ飛び出す。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

夢華「……何が目的なの」

 

クウボウ「…まさか、人違いを起こすとはなぁ…。生き物というのは見分けが付きにくくて好かない。…とはいえ、丁度良い。半人半妖に近しい存在が他にもいるとは、悪くない誤算だ。…本物の方も捕まえて、二人まとめて使ってやるとしよう」

 

夢華(半人半妖…?……雪ちのことかな。…となると私と雪ちを間違えたってこと?…あーもうっ、結局何が目的なのさ!……私、ここで死ぬのかな。……都黎にちゃんと、謝れてないのにな…)

 

 アジトにてクウボウを睨み問いかける夢華だったが、その問いを無視してクウボウはブツブツと独り言を続ける。

 その内容から夢華は自分が何故狙われたのかを悟り始めるが、その一方でどうしようもない恐怖がその胸に広がり始める。

 

夢華「……都黎……雪ち……」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雪音「そういえば…イバラキドウジさんは空亡と協力していたのではないのですか?」

 

イバラキドウジ「…アイツが一方的に僕の前に現れて、力を与えてきたんだよ。それで…妖魔を襲って力を奪えば…復讐を果たす手伝いをするって…」

 

雪音「…そうでしたか。……空亡に加担してしまったこと、後悔しているのですか?」

 

イバラキドウジ「!……そりゃあ、世界滅ぼされるのは…嫌だし。…ホントは、分かってた。シュテンドウジ様が力を貸してたヌラリヒョンの思想だって、間違ってるなんてこと。……別に僕は…人間が嫌いだったわけじゃないし。シュテンドウジ様もアレで案外、人間のことは評価してた」

 

雪音「…そうだったのですね」

 

 都黎からの情報を得て空亡のアジトに向かう最中、雪音との会話の中で空亡に手を貸してしまったことを後悔していると、イバラキドウジは肯定する。

 そしてそんな中で明かされたかつての敵…シュテンドウジの意外な一面に、雪音は素直に驚く。

 

イバラキドウジ「あの方は人間の文化を評価してたから。……元々、僕は人間だったしね。…病で長く生きれなかった僕に血を分け与えてモノノケにすることで、シュテンドウジ様は僕に未来をくれた」

 

雪音「……私達にとっては強敵でしたが…あなたにとっては大切な方ですものね」

 

イバラキドウジ「……別に、気遣われたいわけじゃない。…さっきも言ったでしょ。分かってるんだ。本当は…間違った道を行ってるのがどっちだったかなんて。あの方だって、信念はあったけど、自分が正しいなんて思っていなかった」

 

雪音「…!」

 

イバラキドウジ「……けど、それでも許せなかった。今だって許せたわけじゃない」

 

雪音「…それで良いと思いますよ。…私達だって許されたいからこうしているわけではありませんから。……あの時の選択を後悔はしませんが…それでも、あなたから大切な存在を奪ってしまったこともまた事実…故に、あなたからの恨みは受け止めて然るべき、というのが私や時雨君達の出した結論です」

 

イバラキドウジ「…なんていうか、本当にお人好しだよね、君達」

 

 少しずつではあるが心を開きつつあるイバラキドウジは、本当はどちらが悪かったかなんてことは分かっていて、それでも納得出来ない想いがあることを雪音に伝えるが、雪音はそんなイバラキドウジの心の内を認め、受け入れるつもりだと返し、それを聞いたイバラキドウジは「お人好し」と呼ぶが、その言葉に侮蔑の色はもはや欠片も含まれてはいなかった。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「皆!」

 

瑠李子「都黎」

 

双葉「…やっぱり、大丈夫ですか?その怪我…」

 

都黎「…問題ない。やるべきことをやるだけだ」

 

玲「……取り敢えず、時間もないしさっさと向かおうか」

 

都黎「……ああ。案内を頼む」

 

 三人と合流した都黎は話もそこそこに空亡のアジトへと向かう。

 

都黎「…それにしても、思ったより早く見付かったな。……流石の捜索力だ。ありがとう」

 

玲「ま、俺達の得意分野だしね」

 

瑠璃子「……桃原さんは私達にとっても大切な仲間だし、都黎にとっても特別な人。全力で探すよ」

 

双葉「……そ、そういう意味では、反人連から教わったことも……無駄ではないですね」

 

都黎「……そうだな」

 

玲「まあ、なんだかんだ言っても、俺達を構成する要素の一つだしね。…こんなスキル、役に立たない方が平和で良いけど」

 

都黎「……どんな過去も、無駄なんかじゃない…ということかもな」

 

 かつて反人間連合によって手に入れた技術があったからこそ、空亡のアジトを素早く割り出せたことを複雑に思いつつも、都黎はそうした経験も含めて無駄なものなどないと前向きに捉える。

 

空亡T「…ここから先へは行かせんぞ」

 

瑠李子「……どうやら敵さんも気付いたみたい」

 

都黎「…だな。さっさと蹴散らそう」

 

双葉「…こ、ここは私達にお任せください!」

 

玲「……そういうこと。モタモタしてる暇はなさそうだしね」

 

都黎「……恩に着る」

 

空亡T「行かせるか…!」

 

瑠璃子「邪魔はさせないよ」

 

 目の前に現れた空亡トルーパーの一団を迎え撃とうと闇夜月を構える都黎。

 しかし、そんな都黎を先に進ませるため、瑠璃子、玲、双葉の三人はオンミョウブラストチェンジャーを構えてその場を引き受ける。

 

《アヤダマ!》

 

「「「変身!!!」」」

 

《陰陽変化!オンミョウトルーパー!》

 

オンミョウP1「はああっ…!」

 

オンミョウP2「ふっ!!」

 

オンミョウP3「やああっ!」

 

 都黎は空亡トルーパーを避けて先に進み、追おうとする空亡トルーパーを瑠璃子、玲、双葉の三人が変身したオンミョウトルーパー(紫)が銃撃を仕掛けて相手取る。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「……っ!……お前は…空亡…!」

 

クウボウ「ふん。邪魔をしに来たのだろうが…ここで消してくれる。はああああ…!」

 

都黎「……!」

 

 先を急ぐ都黎。その目の前に衝撃波を放ちながら現れたのはクウボウだった。

 思わぬ先制攻撃ながらも紙一重で回避し、臨戦体勢を取る都黎に対し、クウボウは逢魔空亡の姿に変貌して襲いかからんとする。

 

《鳳凰!》

《アヤダマブラスト!》

 

「はあっ!!」

 

逢魔空亡「ふん!…なんだ?」

 

都黎「!…身体が癒える……これは……」

 

時雨「少しは楽になったかな?」

 

都黎「時雨…どうしてここに?入院中だったんじゃ……」

 

 逢魔空亡が都黎に向かって一歩踏み出さんとした、その瞬間。

 聖なる炎が鳥の形を成した弾丸が放たれ、逢魔空亡を牽制した後、都黎の身を包んで残っていた傷を癒していく。

 それと同時に都黎の元に駆け付けたのは重傷を負って入院していたはずの時雨だった。

 

時雨「実はこっそり鳳凰アヤダマの力を使って傷を治してたんだ。だから大丈夫。…まあ、凪桜ちゃんには反対されたけど……皆頑張ってるのに僕だけ何もしないってわけにもいかないからね」

 

都黎「時雨…」

 

時雨「…都黎君、ここは僕が引き受けるから、先に行って!……夢華さん、助けるんでしょ?」

 

都黎「!…ああ。…俺が言えたことじゃないが…無理するなよ」

 

時雨「あはは…凪桜ちゃんにも同じこと言われたよ」

 

 駆け付けた時雨は鳳凰アヤダマを見せつつ、自分がどのように回復したのかを説明し、そして都黎の代わりに逢魔空亡と戦うことを申し出る。

 そんな時雨の様子に、都黎は無茶しないように釘を刺しつつ先を急ぐ。

 

逢魔空亡「……妖魔か…。まあ良い。お前の力は既にいただいている。本調子でない妖魔など、敵ではない…!」

 

時雨「都黎君には夢華さんと話す時間が必要なんです。……確かに万全ではありませんが…それでも、二人の邪魔はさせない…!」

 

汰月「なら、俺も加わったらどうだ?」

 

逢魔空亡「!」

 

時雨「汰月君!」

 

汰月「……イバラキドウジを誑かして星海をあんな目に遭わせたり、時雨を傷付けたり、仲間攫ったり、散々好き勝手やってくれたみたいだからね。お返しさせてもらうよ」

 

 現在の状況を鑑みて、時雨に勝ち目はないと勝ち誇る逢魔空亡だったが、そこに静かながらも怒りを燃やした汰月が加勢する。

 

逢魔空亡「次から次へと何なんだお前達は…!」

 

時雨「僕達は…皆一緒のハッピーエンドを目指す…仮面ライダーです!」

 

汰月「そういうことだ。……俺達仮面ライダーを舐めるなよ」

 

時雨「いこう!汰月君!」

 

汰月「いくよ、時雨!」

 

《無双!》

 

《無尽!》

 

《装填!無双!》

 

《装填!無尽!》

 

「「変身!!」」

 

《憑依装着!超変化!》

 

《超絶最強!無双ヨロイ!オォー!》

 

《永遠不滅!無尽ヨロイ!》

 

逢魔空亡「無双と同等の存在が…もう一人だと…!?」

 

霊魂「お前が余計なことしてくれたお陰で、俺もこの力を使えるようになった。…それが巡り巡ってお前を倒す…因果応報ってやつだね。……ここでお前の悪事を終わらせる!」

 

妖魔「僕達仮面ライダーがいる限り…結末はハッピーエンドで決まりです!」

 

 同時に仮面ライダー妖魔 無双ヨロイと仮面ライダー霊魂 無尽ヨロイに変身した時雨と汰月。

 想定外の力を持つ霊魂に驚く逢魔空亡に対し、二人は強い闘志を見せる。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「ここか…昏時君も来ているようだし…早いところ合流したいけど。…!」

 

フウジン「……さっきの借り、返させてもらいましょうか…!」

 

真黒「おっと…君か。……仕方ない。温存したかったんだけどなぁ」

 

フウジン「強がっても無駄です。……今度は逃しませんから」

 

真黒「逃げるつもりはないよ。……ここで君を止める」

 

フウジン「!そのドライバーは…!?」

 

 妖魔と霊魂が逢魔空亡と激突を開始したのと同じ頃、アジトに侵入しようとしていた真黒の前に現れたのはフウジン・虚だった。

 今度こそ真黒を倒すと息巻くフウジン・虚に対し、真黒は禁書ドライバーを取り出して装着してみせ、そして白色を基調として赤色の差し色が入った“不知火アヤダマ”を取り出す。

 

真黒「……あいつの遺した物を使うのは癪だけど…背に腹は変えられないからね」

 

フウジン「なんだ、そのアヤダマは…!?」

 

真黒「モノノケとなった僕の力を集めて作り出した…新しいアヤダマ、かな」

 

《不知火!》

 

《装填…》

 

真黒「変身!」

 

《支配装着…変化…!

 

白炎懸命(はくえんけんめい)…不知火ヨロイ!》

 

フウジン「禍炎の…新しい姿…!」

 

 真黒は不知火アヤダマを起動し、禁書ドライバーに装填し、降臨栞を引き下げる。

 すると白い炎の塊が放たれ、背後に留まり、真黒は右手を広げて掲げた後、ゆっくりと胸の前まで下ろして祈るように拳を握り締め、そして左手で表紙を閉じる。

 同時に展開された黒色の陣が真黒の身を通過し、黄泉や伏魔と同じ金色の模様が刻まれた黒色の素体を形作る。

 そこに白炎が集まるようにして装甲を形成し、そうして現れたのは禍炎の形の装甲となった所々に赤色の混じった白い炎を身に纏ったような姿で、その複眼は真紅の焔を宿した仮面ライダー禍炎 不知火ヨロイだった。

 

禍炎「さて…いくよ…!」

 

フウジン「ふん…!」

 

禍炎「通用しない…かな!はあっ!!」

 

フウジン「!?くっ…ぐああっ!!」

 

 禍炎が駆け出すと、対するフウジン・虚は疾風を纏わせた拳を突き出して迎撃を試みる。

 しかし、その拳が当たる寸前に禍炎は陽炎のように溶け消え、次の瞬間背後から現れて超高温の白炎を帯びた拳を叩き込む。

 

フウジン「この…っ…!?透かされているだと…!」

 

禍炎「そういう…こと!はあっ!」

 

フウジン「ぐっ…うああっ!!」

 

 フウジン・虚は今度こそ逃すまいと風を纏った拳と蹴りの連打を浴びせようとするが、禍炎の身は白炎そのものと化してその打撃をすり抜け、逆に禍炎が白炎を用いて作り出した剣の一閃を受けてフウジン・虚はダメージを負う。

 

禍炎「さあ!熱くなってきたねえ!!」

 

フウジン「くっ…!火力がこれまでとは桁違い…っ!!ぐあっ!」

 

禍炎「からの…はあっ!!」

 

フウジン「うぐあっ!!」

 

 禍炎はオンミョウブラストチェンジャーを取り出すと、白い炎を集めて凝縮させた弾丸を連続で打ち出し、フウジン・虚を撃ち抜く。

 そして大きく隙を晒したフウジン・虚に、白炎を帯びた右脚で横蹴りを叩き込み、地面を転がす。

 

禍炎「こういうのも、いってみようか」

 

《アヤダマ!》

 

禍炎「はあっ!!」

 

《アヤダマバレット!》

 

フウジン「くっ…この……っ……っあああ!!」

 

 禍炎はオンミョウブラストチェンジャーに不知火アヤダマを読み込ませると、白炎による火炎放射を放ってフウジン・虚を焼き焦がす。

 

禍炎「……そろそろゲームセットといこうか」

 

《一撃…必殺!》

 

フウジン「……!」

 

《白炎滅撃…!》

 

禍炎「はああ…はあーっ!!」

 

フウジン「っく…うぐ…あああああっ!!!」

 

 禍炎は禁書ドライバーを操作すると、左脚に白い炎を集めて飛び上がり、白い炎を翼のように背中から噴き出させながら急降下して跳び蹴りを叩き込んでフウジン・虚を蹴り抜く。

 

竜司「っく……負けた……!」

 

真黒「……君達もモノノケ…反人間連合に人生を弄ばれたわけだし、納得出来ない思いがあるのも分かる。けどさ、だからって何もかも拒絶してたら、それこそ反人間連合と同じになっちゃうよ。……あんな悲劇を繰り返さないために、僕達を信じてくれないかい?」

 

竜司「……」

 

真黒「それと…こんな力に手を出しちゃダメだよ。君の身体にどんな悪影響があるか分からないんだから」

 

竜司「どうして……どうしてあなたはそんなに強いんですか?……俺には、そんな風に強くなれない…」

 

真黒「…僕だって、強いわけじゃないよ。……言ったでしょ。僕を救ってくれたのもまた、モノノケなんだ。……出会いに恵まれてただけだよ。だからきっと…君達にも良い出会いさえあれば、少しは見え方も変わるかなって。そう思ってる」

 

竜司「……出会い……」

 

真黒「さて…そろそろ行くかな。…これ、もう必要ないよね?」

 

竜司「……はい」

 

真黒「いい返事。今日は取り敢えず、帰って休みな。それで…また今度この話をゆっくりしよう」

 

竜司「……っ」

 

 自分の経験に即して竜司を諭す真黒。

 そんな真黒の言葉を聞いた竜司は弱音を零しつつも、毒気を抜かれた様子を見せ、そんな竜司に今は帰って休むよう促しつつ、真黒は風神アヤダマを回収する。

 

真黒「さて……もう一仕事、しないとね」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

都黎「っ…やはり一筋縄ではいかないか。……稲美」

 

ライジン「空亡の力を利用して…モノノケを全て消し去る……その目的を果たすためにも…都黎先輩、あなたには…消えてもらいます…!」

 

都黎「……俺も負けるわけにはいかない。助けたい人がいるからな。それに……仲間として、先輩として…お前を止める。その責任も…果たしてみせる…!」

 

 都黎の行手を阻むようにして電撃を放ちつつ現れたライジン・虚。

 そんなライジン・虚に対し、都黎は咄嗟に身を翻して電撃を避けつつ、夢華を救うため、そして先輩として後輩たる稲美を止めるために戦うという決意を見せると、妖書ドライバーを装着し、百鬼夜行アヤダマを取り出してみせる。

 

ライジン「!…妖書ドライバーと…新たなアヤダマ……!?」

 

都黎「……これが、俺の覚悟だ」

 

《百鬼夜行!》

 

《装填!》

 

 都黎は想定外の装備に狼狽えるライジン・虚を前に、強い覚悟を以て左手で持った百鬼夜行アヤダマを起動し、妖書ドライバーへと装填すると、右手で解放栞を押し下げて表紙を展開する。

 すると、黒い闇が飛び出して都黎の背後に広がり、その中で都黎は剣を大きく振るうように右手を左から右へ振り抜くと、その勢いのまま表紙を閉じる。

 

都黎「……変身!」

 

《憑依装着!変化!

 

月華祭典(げっかさいてん)!百鬼夜行ヨロイ!》

 

 次の瞬間、黒い闇が都黎の身体を包み込み、その中に無数の人魂が浮かび上がると、紫色の陣が通過して都黎の身を妖魔と同じ黒い素体が覆う。

 闇を切り裂くように斬撃のエフェクトが幾重にも亘って走ると闇が分割され、変化した紫色と金色を基調として、殿様や将軍を思わせる装甲が装着される。

 そして舞っていた人魂が装甲の上から各所に装着されると、最後に背中から黒色、紫色、紺色のグラデーションのかかった配色のマントが出現し、新たな戦士の誕生を報せる。

 

暗夜「…いくぞ」

 

ライジン「っ……はああっ!!」

 

暗夜「…成る程、こういう力か」

 

ライジン「!闇に飲み込まれた…!?」

 

 顕現した仮面ライダー暗夜 百鬼夜行ヨロイは左の複眼は黒色の眼帯のようなものになっているため、右の複眼のみを緑色に輝かせると、ライジン・虚に向けて威圧感を発しながら向かっていく。

 そしてライジン・虚が放った雷撃に対し、手を前に突き出すことで闇のバリアを展開してそれを飲み込んでみせる。

 

暗夜「…はあっ!」

 

ライジン「うああっ!!」

 

暗夜「モノノケを統べる力…見せてやる!」

 

《猫又!》

 

暗夜「はあっ!」

 

《天狗!》

《鎌鼬!》

 

ライジン「早──っあああ!!」

 

 動揺するライジン・虚に、暗夜は闇夜月を振り抜いての斬撃を叩き込むと、更に猫又アヤダマの力を発揮して高速で背後に回り込み、更には天狗アヤダマと鎌鼬アヤダマの力を発動して風を帯びた一太刀を浴びせる。

 

ライジン「な、なんでこんな力が…いや、負けるわけには…いかないんです…!はああっ!!」

 

暗夜「…ならば」

 

《雲外鏡!》

《塗壁!》

《唐傘御化!》

 

ライジン「なっ…!」

 

《夜行流奥義!》

《魔剣・宵闇乱舞!》

 

暗夜「はっ…はあーっ!!」

 

ライジン「くっ…うああっ!!」

 

 ライジン・虚の放つ連続電撃を雲外鏡アヤダマ、塗壁アヤダマ、唐傘御化アヤダマの力を同時に発動することで防ぐと、暗夜は闇夜月を逆手に持ち替え、闇を帯びた回転斬撃を飛ばしてライジン・虚を斬り裂く。

 

ライジン「だったら…!はああっ!!」

 

暗夜「…見切った」

 

《雷獣!》

 

暗夜「ふっ…ふん!」

 

ライジン「追いついて…!?っああ!!」

 

 ライジン・虚は稲妻を帯びて高速移動することで暗夜を翻弄しようとするも、暗夜は動きを見切ると、雷獣アヤダマの力を発揮して追いつき、雷を帯びた斬撃を叩き込む。

 

暗夜「…畳み掛ける」

 

《火車!》

《提灯御化!》

 

暗夜「ふんっ!!」

 

ライジン「はああっ…!きゃああっ!!」

 

 暗夜は闇夜月に火車アヤダマの力と提灯御化アヤダマの力を集めて巨大な炎の刃を飛ばしてライジン・虚の電磁バリアを打ち破って吹き飛ばす。

 

ライジン「なんで…勝てないんですか…!」

 

暗夜「……憎しみじゃ、強くはなれない。罪は憎んでも、人は憎まない。そういう考え方が必要なんだ」

 

ライジン「……そんなこと、今更言われたって…!はああっ!!」

 

《アヤダマ!》

 

暗夜「…仕方ない」

 

《アヤダマ一閃!》

 

暗夜「はあっ!!」

 

ライジン「罪を押し付けられた私達には…これしかないんです…っ!」

 

暗夜「そんなことは…ない!!」

 

ライジン「っあああ!!」

 

 問答しつつ、暗夜は闇夜月に百鬼夜行アヤダマを装填して、刀身に深い闇を揺蕩わせて斬撃を放ち、ライジン・虚はその手に集めた強力な雷霆を解き放つ。

 拮抗していた二つの攻撃だったが、やがて暗夜の斬撃が押し切り、ライジン・虚を退ける。

 

暗夜「これで…全て終わりにする」

 

《一・撃・必・殺!》

 

ライジン「…身動きが…!」

 

《月華剛撃!》

 

暗夜「はああっ!!!」

 

ライジン「きゃああああッ!!!!」

 

 暗夜は妖書ドライバーを操作すると、闇夜月を地面に突き立て、跳躍する。

 そして闇によって拘束したライジン・虚に対し、闇の斬撃状のエフェクトを発生させながら跳び回し蹴りを放ち、その一撃でライジン・虚を撃破する。

 

都黎「……俺達は、被害者であり、加害者だ。その事実は変わらない。だからこそ…自分の罪から目を背けるために誰かを憎んだり…力を振るったりしないようにしていかないとな」

 

稲美「……ずっと、怖かったんです。…いつまでこうして暮らしていけるのかなって。…アイツ等のせいで…私達は誤った道を進んで、悪事を働かされた。…だから、モノノケを憎まないと…モノノケが全部悪いことにしないと……そう思ったんです」

 

都黎「…俺達は一人じゃない。共に過ごした仲間として…同じ罪を背負う者として、一緒に向き合っていこう。だから…こんな力に手を出すのは終わりにしよう」

 

稲美「……ごめんなさい」

 

 変身解除され、本心を語る稲美。

 同じ境遇故に、その恐怖に寄り添う都黎は共に自分達の罪に向き合っていこうと告げると、雷神アヤダマを回収する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「はああっ!!」

 

逢魔空亡「…無意味だ…そんな攻撃…!」

 

霊魂「それはどう…かな!はあっ!」

 

逢魔空亡「…くっ…我の防御を…超えただと…!?」

 

 妖魔は妖之流星刀と妖之弓剣で斬撃を叩き込むも、逢魔空亡はそれを黄金の障壁を集中展開することで防ごうとする。

 しかし、そこにクサナギガトリンガーを構えた霊魂の銃撃が追加されることで逢魔空亡の障壁は破壊され、攻撃が通る。

 

逢魔空亡「ならば…!」

 

妖魔「っ…これは…!」

 

霊魂「意識が…!」

 

逢魔空亡「ふん。並行世界と同じように…我々の傀儡となれ」

 

妖魔「……!」

 

 逢魔空亡は妖魔と霊魂に対し邪悪な波動を放つ。

 そして苦しむ二人にかつて並行世界の空亡が時雨にしたようにその意識を乗っ取ろうとしているのだと告げる。

 

妖魔「そんなのに…負けません!!はあっ!!」

 

霊魂「!…消えた……」

 

逢魔空亡「……やはり耐性が出来ていたか…!」

 

 意識を奪われそうになっていた妖魔だったが、それで負けじと奮起し、無双ゴールドマントを振るって黄金の光を放出し、逢魔空亡の波動を消し去る。

 その様を見て、逢魔空亡は空亡の乗っ取りに対する抵抗力が妖魔にあることを確信する。

 

妖魔「……“晴河時雨”に何度も同じ手は通用しません…!」

 

霊魂「流石だな。…さて、覚悟してもらおうか」

 

《占星之刻!》

《一・撃・必・殺!》

 

《無尽占星剛撃!》

 

霊魂「…時雨!」

 

妖魔「任せて!」

 

《加速之刻!》

《一・撃・必・殺!》

 

《無双加速剛撃!》

 

霊魂「ふっ!」

 

妖魔「はああ…!」

 

 妖魔と霊魂は同時に必殺技を発動する。

 そして霊魂はクサナギガトリンガーを宙に向けると、展開した陣に向かって撃ち込み、その間に青色のオーラを纏った妖魔が高速で逢魔空亡に接近する。

 

妖魔「はあーっ!!」

 

逢魔空亡「ぐっ…!」

 

妖魔「はっ!はあっ!!」

 

逢魔空亡「ぐあっ!」

 

霊魂「予測通りだ。はっ!」

 

逢魔空亡「!?うぐあああっ!!」

 

 妖魔は逢魔空亡に対し妖之流星刀と妖之弓剣で連続斬撃を叩き込んで空中に飛ばし、そこに時間差で霊魂の放った銃撃が降り注いで逢魔空亡を叩き落としつつ、更に追撃で妖之斧火縄による狙撃が貫く。

 

妖魔「……エピローグといきましょうか」

 

《究極之刻!》

 

霊魂「ああ。俺達が平和を守り抜く!」

 

《終局之刻!》

 

《一・撃・必・殺!》

 

逢魔空亡「馬鹿な…!」

 

《無双究極剛撃!》

 

《無尽終局剛撃!》

 

「「はあーっ!!」」

 

逢魔空亡「うっ…く…っ…ぐうあああああっ!!!」

 

 妖魔は右脚に金色のエネルギーを纏わせて白色の稲妻を迸らせ、霊魂は右脚に銀色のエネルギーを纏わせて水色の飛沫を渦巻かせると、同時に跳躍し、それぞれマントとローブをはためかせながら跳び蹴りを叩き込んで逢魔空亡を蹴り貫くことで爆散させる。

 

妖魔「ん?……!一体何が…!?」

 

霊魂「空亡の力が…どこかに向かっている…?」

 

 妖魔と霊魂によって倒された逢魔空亡。

 その残骸から大量に禍々しいオーラが浮かび上がると、どこかへ飛び去っていく。

 

空亡T「うああ…!」

 

空亡T「うぅ…」

 

妖魔「これは……」

 

霊魂「…厄介なことになったかもね」

 

 逢魔空亡が倒されたにも関わらず目の前に湧き出た空亡トルーパーに、妖魔と霊魂は嫌な予感を覚える。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「こっちか…?…っ!…なんだ、昏時君か……」

 

都黎「!真黒さん。…来てくれたんですね」

 

真黒「まあね。桃原さんは…」

 

雪音「あら、お二人もここまでいらっしゃったんですね」

 

イバラキドウジ「……」

 

 空亡のアジトを進む真黒は都黎とばったり出くわす。

 お互い咄嗟にオンミョウブラストチェンジャーと闇夜月を構えるも、仲間と分かり武器を下ろす。

 そんなやりとりをしていたところに雪音とイバラキドウジの二人も合流する。

 

都黎「雪音か。…そっちは……」

 

真黒「君がイバラキドウジか。力を貸してくれるのかい?」

 

イバラキドウジ「まあ…そんなとこ」

 

雪音「イバラキドウジさんの能力でここまで入って来たんです」

 

 空間転移能力を駆使して来たというイバラキドウジ。

 仮にも敵だった相手と協力するのはむず痒かったのか、素っ気なく返す。

 

雹介「よくここまで来れたねぇ」

 

真黒「ヌラリヒョン……!」

 

イバラキドウジ「!…まさか、ヌラリヒョン様まで……」

 

雹介「お探しの彼女はそこだよ」

 

雪音「!夢華さん…!」

 

雹介「だが…タダで返すわけにもいかない。……私にもツキが巡って来たようだからねえ…!」

 

 四人の前に現れた雹介。

 近くで囚われている夢華の場所を明かすと、空亡の力の残骸を取り込み出す。

 

イバラキドウジ「!…空亡の力が流れ込んでる…!?」

 

都黎「何!?」

 

ヌラリヒョン「君は…シュテンドウジの腹心だったか。仮面ライダー達に与するとはね。…どういう感情の動きか…中々興味深いけど…まあ良い。この空亡の力、君達に味合わせてあげよう」

 

 空亡の力を得たことで、雹介は全身が黒色と赤色に染まり、目玉のような模様が全身に無数に現れた異形の姿…ヌラリヒョン・虚に変貌する。

 

真黒「……だったら、僕が黄泉の国に送り返してやる」

 

都黎「俺も一緒に戦いますよ。真黒さん」

 

真黒「都黎君…。うん、ありがとう。力、借りるよ」

 

都黎「雪音!イバラキドウジ!夢華を頼んだ!」

 

雪音「……分かりました!」

 

イバラキドウジ「……仕方ないか」

 

 ヌラリヒョン・虚に対し、真黒が一歩進み出るが、そんな真黒に並ぶように都黎も一歩進み出て、雪音とイバラキドウジが夢華の救出に向かう。

 

ヌラリヒョン「ふむ…では、君達の力を見せてもらおうかな」

 

真黒「……お望み通りにしてあげるよ…!」

 

都黎「!真黒さん…それ…」

 

真黒「生半可な覚悟じゃ…勝てなさそうだからね」

 

都黎「……死なないでくださいよ」

 

《百鬼夜行!》

《装填!》

 

真黒「……賭けには勝つつもりだけどね」

 

《不知火!》

《装填…》

 

「「変身!!」」

 

《憑依装着!変化!

 

月華祭典!百鬼夜行ヨロイ!》

 

《支配装着…変化…!

 

白炎懸命…不知火ヨロイ!》

 

「「はああっ!!」」

 

 都黎と真黒は同時に暗夜 百鬼夜行ヨロイと禍炎 不知火ヨロイに変身すると、それぞれ闇夜月とオンミョウブラストチェンジャーを構えてヌラリヒョン・虚に向かっていく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

雪音「夢華さん!」

 

夢華「!雪ち…」

 

雪音「助けに来ました」

 

夢華「…ありがと、ごめんね。忙しい時に」

 

雪音「問題ありませんよ。イバラキドウジさんは見つかりましたし、力まで貸してくれたんです」

 

イバラキドウジ「……」

 

夢華「!…そっか。凄いね、雪ち」

 

雪音「…別に、私は大したことはしてませんよ。彼が自分で決断したことですから」

 

夢華「……イバラキドウジ君。ありがとう。…この間会ったけど、私は桃原夢華。よろしくね」

 

イバラキドウジ「……よろしく」

 

雪音「…今、昏時君と白石さんが空亡の力を取り込んだヌラリヒョンと戦ってるんです」

 

夢華「!なんかよく分からないことになってるけど…助けに行かないとね」

 

イバラキドウジ「!……コイツら…空亡の手下か…!」

 

雪音「…まずはここを切り抜けないと…ですかね」

 

 夢華を拘束から解放した三人は都黎と真黒に加勢に向かおうとするも、目の前に何体もの空亡トルーパーが出現し、襲いかかる。

 

雪音「数が多いですね…!」

 

夢華「助けられて早々ピンチだったりする?これ」

 

凪桜「はああっ!…大丈夫?」

 

雪音「凪桜さん!」

 

凪桜「時雨先輩に頼み込まれて、雪音先輩とイバラキドウジのサポートをしてくれって」

 

夢華「さっすが晴っち」

 

イバラキドウジ「……その…」

 

凪桜「……イバラキドウジ。あなたが時雨先輩にしたことは簡単には許せないけど…本人が許してるし、私も許すよ。…夢華先輩を助けるのに力も貸してくれたし。…だから、チャラってことで」

 

イバラキドウジ「……君達、本当に大物集団だなぁ…」

 

 空亡トルーパーをブラストモードのブンプクブラストフォンで撃ち抜きながら現れたのは凪桜。

 恋人である時雨を傷付けられたことも、当の本人が許していることから自分も許すという凪桜の言葉を聞き、イバラキドウジはその優しさに感服する。

 

夢華「都黎達も心配だけど…まずはここを切り抜けないとだね!」

 

《キュウビ!》

 

雪音「ですね。いきましょう、夢華さん、凪桜さん」

 

《ユキオンナ!》

 

凪桜「うん。…速攻で蹴散らす」

 

《伊邪那美…!》

 

《インストール!》

 

《装填…》

 

「「「変身!」」」

 

《デンシソウチャク!ヘンゲ!》

 

《支配装着…変化…!》

 

《幻影Illusion!キュウビヨロイ!》

 

《凍結Blizzard!ユキオンナヨロイ!》

 

《冥界姫君…伊邪那美ヨロイ…!》

 

 夢華、雪音、凪桜の三人は並び立ち、同時に仮面ライダー夢幻 キュウビヨロイ、仮面ライダー氷雪 ユキオンナヨロイ、仮面ライダー黄泉 伊邪那美ヨロイへと変身を果たす。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

「く、来るな…!」

 

空亡T「…ふん」

 

「ヒッ…」

 

賢昇「オラアッ!」

 

空亡T「ぐっ…!」

 

賢昇「…大丈夫か?早く逃げろ!」

 

「あ、ありがとうございます…!ほら、いくぞ!」

 

「う、うん。…ありがとうございます…」

 

賢昇「…さて、お前は俺様がぶっ潰してやるよ」

 

聖「私も力を貸すよ」

 

賢昇「藍羽先生。…頼もしい援軍だな」

 

 空亡トルーパーの一撃が逃げ遅れた男女二人に当たろうかというところで駆け付けた賢昇が空亡トルーパーを蹴り飛ばし、二人を逃す。

 そして賢昇がいざ戦わんとしたところで聖が合流し、二人は空亡トルーパーと対峙する。

 

《鬼神!》

 

《最終段階解放!》

《伊邪那岐!》

 

《装填!》

 

《インストール!》

 

《ワーニング!ワーニング!アウェイクニング!》

 

「「変身!」」

 

《憑依装着!変化!

 

鬼面紅蓮!鬼神ヨロイ!》

 

《神格装着!ヘンゲ!

 

天界君主!仮面ライダー神羅!伊邪那岐ヨロイ!》

 

 賢昇は仮面ライダー幽冥 鬼神ヨロイへ、聖は仮面ライダー神羅 伊邪那岐ヨロイへと変身を果たし、空亡トルーパーへと向かっていく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

オンミョウP3「はああ…!」

 

オンミョウP2「ふっ!」

 

空亡T「小癪な…!」

 

 オンミョウトルーパー(紫)の三人は銃撃で空亡トルーパー達を牽制しつつ、少しずつその数を削っていた。

 

オンミョウP1「……数も減ってきたし、今がチャンスかな。玲!双葉!決めるよ!」

 

オンミョウP2「…了解!」

 

オンミョウP3「りょ、了解です!」

 

《オンミョウチャージ!》

 

「「「はあーっ!!」」」

 

《オンミョウブラスト!》

 

空亡T「くっ…」

 

空亡T「うぐあああっ!!」

 

 オンミョウトルーパー(紫)の三人は一斉に紫色のレーザービームを放つことで残る空亡トルーパーを一掃する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

幽冥「オラッ!ダァッ!」

 

空亡T「ぐあっ!」

 

空亡T「くっ…!」

 

神羅「はっ!はああっ!!」

 

空亡T「うあっ!」

 

空亡T「ぐっ!」

 

 幽冥は紅蓮爆砕を振り回して空亡トルーパー達を殴り飛ばしていき、神羅は黄金の波動を纏った拳や蹴りで空亡トルーパー達を打ち据える。

 

《超過段階解放!》

 

神羅「纏めて倒す!」

 

《天界パニッシュメント!》

 

神羅「はあっ!!…降谷君!今だよ!」

 

幽冥「OK先生!」

 

《煉獄之刻!

 

鬼面爆炎!鬼神ヨロイ!煉獄!》

 

幽冥「滾ってきたところで…!」

 

《一・撃・必・殺!》

 

幽冥「豪華絢爛に決めるぜ!」

 

《鬼面焔撃!》

 

幽冥「うおりゃあああっ!!」

 

 神羅が黄金の重力波を放って空亡トルーパー達を空中で纏めて縛り上げ、そこに紅蓮爆砕を変換したマグマのようなエネルギーを右脚に集約させた幽冥が跳び蹴りを放つことで纏めて打ち砕く。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

空亡T「ふん…!」

 

イバラキドウジ「!」

 

氷雪「させませんよ」

 

イバラキドウジ「……ありがと」

 

氷雪「どういたしまして。…私にとってはもう、あなたも仲間ですから。傷付けさせはしませんよ」

 

黄泉「ふっ!…流石雪音先輩。カッコいいことを言う」

 

夢幻「たあっ!雪ちが大きくなって私は嬉しいよ…」

 

氷雪「凪桜さんはともかく、夢華さんは何のポジションで話してるんですか…」

 

 イバラキドウジに攻撃を仕掛ける空亡トルーパーだったが、背後から氷雪がレーザーガンモードのアヤカシレーザーアタッカーから冷凍光線を放って凍り付かせることでそれを阻止する。

 そしてそんな氷雪の言動を終滅之薙刀で空亡トルーパーを薙ぎ払いつつ黄泉はカッコいいと評し、続けて夢幻がレーザーブレードモードのアヤカシレーザーアタッカーで空亡トルーパーを斬り裂きつつ大袈裟に感激したような様子を見せ、氷雪に呆れられる。

 

黄泉「二人とも、エピローグといこう」

 

《姑獲鳥!》

《装填…一撃…必殺!》

 

氷雪「そうですね…!」

 

夢幻「いっくよー!」

 

《インストール!》

《スペシャルムーブ!》

 

氷雪「私達は諦めません。人とモノノケの共存を…絶対に!そのためにも…」

 

夢幻「あなた達空亡にはご退場願おうかな!」

 

黄泉「じゃあ、そういうわけだから…さよなら」

 

《大翼薙撃…!》

 

《凍結シュートフィニッシュ!》

 

《幻影スラッシュフィニッシュ!》

 

「「「はあーっ!!!」」」

 

 黄泉は黒いオーラを纏わせた終滅之薙刀を二連続で振るうことで大量の羽根状のエネルギー弾を飛ばし、氷雪はアヤカシレーザーアタッカーから強力なブリザードを吹き付け、夢幻は九本の幻影で出来たアヤカシレーザーアタッカーを飛ばすことでそれぞれ一斉に空亡トルーパー達を攻撃し、殲滅する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

妖魔「…何が起きてるのか分からないけど…取り敢えず倒さない…と!」

 

霊魂「そうだな。…まあ、あっちはきっと都黎達がどうにかしてくれるはず…!」

 

 妖魔と霊魂は状況が分からないながらも空亡トルーパー達を次々に撃破して回っていた。

 

《龍!》

《装填!》

 

《大蛇!》

《装填!》

 

《一・撃・必・殺!》

 

《登竜剣撃!》

 

妖魔「はああっ!!」

 

《蛇行銃撃!》

 

霊魂「ふっ…!」

 

 妖魔と霊魂は背中合わせに立つと、それぞれ広範囲を一刀両断する稲妻の一閃と広範囲を縦横無尽に駆け巡る激流の弾丸を放つことで二人を囲む空亡トルーパー達を撃滅する。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

暗夜「はああっ!」

 

禍炎「ふっ!」

 

ヌラリヒョン「っと…なら、こうだ!」

 

暗夜「通用…するか!」

 

禍炎「手強いけど…負けはしない…!」

 

ヌラリヒョン「へえ…!」

 

 外へと場所を変えつつヌラリヒョン・虚との戦いを続けていた暗夜と禍炎。

 ヌラリヒョン・虚は同時に放たれた拳を受けて後退しつつ、空から雨のように黄色のレーザー光線を放つが、暗夜は闇のバリアで飲み込み、禍炎は全身を白炎に変えてすり抜けさせることでそれぞれ対処する。

 

禍炎「はあっ!」

 

ヌラリヒョン「くっ…だが、その程度の攻撃では…私は倒せんよ」

 

禍炎「昏時君!」

 

ヌラリヒョン「!」

 

《河童!》

《天邪鬼!》

《海坊主!》

 

暗夜「はああっ!!」

 

ヌラリヒョン「ぐあっ!!」

 

 禍炎が白炎の剣で斬りかかると、ヌラリヒョン・虚は仕込み杖の刀身で受け止め、余裕を見せる。

 しかし、そこに闇を通じて背後に回っていた暗夜が現れ、河童アヤダマと天邪鬼アヤダマ、海坊主アヤダマの能力で腕力を強化して強烈なストレートパンチを浴びせることでヌラリヒョン・虚を殴り飛ばす。

 

ヌラリヒョン「……中々やるじゃないか。しかし、何が君達をそこまで駆り立てているんだい?罪を重ねて来た君達は今更ヒーローになどなれやしない。…そうだろう?」

 

暗夜「だったら何だ」

 

ヌラリヒョン「!」

 

禍炎「確かに僕達は反人間連合に与してしまった…けど、だからこそ…こうして戦うんだよ」

 

暗夜「ヒーローなんて名乗るつもりはないが……アイツの創り上げるハッピーエンドを守り抜く、それが俺にとっての戦いだ!」

 

禍炎「この命を懸けて戦ってでも諦めたくない未来があるんだ。だから…いつまでもお前なんかに振り回されてやらないってこと!はあっ!!」

 

《オンミョウブラスト!》

 

ヌラリヒョン「く…!」

 

暗夜「はああっ!!」

 

《秘剣・暗黒剣舞!》

 

ヌラリヒョン「ぐあっ!!」

 

 ヌラリヒョン・虚は罪を犯したことを口にすることで揺さぶりをかけようとするも、既に乗り越えた二人はその言葉を跳ね除ける。

 そして禍炎はオンミョウブラストチェンジャーから白炎の弾丸を放ってヌラリヒョン・虚を怯ませ、その隙に暗夜は闇を纏わせた闇夜月による斬撃を浴びせる。

 

ヌラリヒョン「くく…そうか。もはやこの程度の揺さぶりも無意味…なら、正面から捻じ伏せるまで…!」

 

暗夜「捩じ伏せられるのはお前だ…!」

 

《雷神!》

《アヤダマ一閃!》

 

禍炎「もうあんたには負けない!」

 

《風神!》

《アヤダマバレット!》

 

「「はあっ!!」」

 

ヌラリヒョン「…!くっ…うぐあっ!!」

 

 ヌラリヒョン・虚は凄まじい勢いの鉄砲水を発射するが、暗夜は闇夜月から雷の斬撃を、禍炎はオンミョウブラストチェンジャーから風の弾丸を同時に放つことで打ち破り、ヌラリヒョン・虚を後退させる。

 

《一・撃・必・殺!》

 

《一撃…必殺!》

 

暗夜「この一撃で終わらせる…!」

 

禍炎「ヌラリヒョン…あんたとの因縁もこれで終わりだ…!」

 

ヌラリヒョン「…まさか、ここまでとはねえ…!けど、最後まで足掻かせてもらおうかな!」

 

《月華剛撃!》

 

《白炎滅撃…!》

 

「「はああーっ!!!」」

 

ヌラリヒョン「ぐっ…く…うぐあああああっ!!!」

 

 暗夜と禍炎は並び立つと、暗夜は闇のエネルギーと金色のオーラを右脚に集め、禍炎は白い炎と赤色のオーラを左脚に纏わせる。

 そして同時に跳躍し、強力な跳び蹴りを繰り出すと、ヌラリヒョン・虚の“悪足掻き”と称して緑色の疾風に乗せて何発も放たれた爆発する陣を正面から打ち破りつつ、その勢いのままヌラリヒョン・虚を蹴り抜く。

 

雹介「……やるじゃないか。まさか君達がここまで強くなるとは…。くくく…最後に中々、面白いものが見れた…!」

 

都黎「……終わったんですかね」

 

真黒「……きっとね」

 

 ダメージから人間態に戻った雹介はどこか満足げに笑うと、そのまま灰に還って消えていく。

 そしてその様を見届けた二人は変身を解き、事態の収集を悟る。

 

夢華「…都黎」

 

都黎「!夢華…無事だったか。……良かった」

 

真黒「……邪魔しちゃ悪いし、僕は退散するかな」

 

都黎「あっ、真黒さん。一つお願いしてもいいですか?」

 

真黒「?…良いけど、何かあるのかい?」

 

都黎「その、夢華と一緒に連れてってほしい所があるんです」

 

夢華「私と…?」

 

真黒「ふむ。分かった。どこかな?」

 

都黎「ここなんですけど…」

 

真黒「…了解。それじゃあ、二人とも…行くよ?」

 

都黎「はい」

 

夢華「えっと、はい」

 

真黒「ほっ…と。はい、到着」

 

 都黎と真黒の元にやって来た夢華。

 二人の間に話があることを察した真黒は立ち去ろうとするが、都黎の頼みである場所へと二人を連れていく。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

夢華「ここって…」

 

都黎「この公園、覚えてるか?」

 

夢華「そりゃあ、忘れないよ…。ここ、前に都黎が私に謝ってきた時の公園でしょ?」

 

都黎「…ああ」

 

真黒「…そういうことか。それじゃ、またね」

 

都黎「…ありがとうございます」

 

夢華「ありがとうございます!」

 

真黒「どういたしまして。じゃあ、あとは二人でゆっくり話すといいよ」

 

 都黎が行きたいと言ったのは、かつて都黎が仲間に入ってすぐの頃、自身の行いを夢華に謝罪した照羅巣高校近くの公園だった。

 そんな二人の様子に、真黒は優しい笑みを浮かべると、再び蒼炎に身を包んで姿を消す。

 

都黎「悪かった」

 

夢華「ごめん!」

 

「「…え?」」

 

都黎「被ったな」

 

夢華「被っちゃったね。…私、都黎が勇気を出して伝えてくれたはずなのに、あんなこと言って…本当にごめん!」

 

都黎「…俺の方こそ、夢華の気持ちを考えられてなかった。……俺はズレてるらしいから、多分きっと、これからもおかしなことを言って夢華を困らせたり、怒らせたりしてしまうと思う。……それでも、それ以上に俺は…俺が夢華を幸せにしたいんだ。…だから、こんな俺だけど、一緒にいてくれないか?」

 

夢華「……都黎の方こそ、良いの?…私、我儘だし、結構悪い子だよ?…都黎の好意だって、素直に受け止められないような、そんな人間だよ?」

 

都黎「そうだな。確かに夢華は悪いところだってあるだろう。それでも…それは俺だって同じだし、俺は悪いところも、良いところも全部ひっくるめて、夢華を好きになったんだ。だから、夢華が良い。夢華じゃないと…嫌なんだ」

 

夢華「そっか。……そっか。…だったら、私も覚悟決めないとね。……不束者ですが、よろしくお願いします」

 

 お互いの過ちを謝り、そして想いを伝え合った都黎と夢華は、紆余曲折を経ながらも結ばれたのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「……良かったじゃん」

 

清那「あ、白石こんな所にいた。……盗み聞きなんて、趣味が悪いんじゃない?」

 

真黒「…ちょっと気になっちゃってね。……まあ、帰ろっか…──」

 

 都黎と夢華の顛末を見届けた真黒。

 優しい笑みで二人の門出を祝うと、そこに清那がやってくる。

 盗み聞きを冗談混じりに咎める清那に、真黒は軽く返しつつ歩み寄ろうとするが、次の瞬間真黒の視界は大きく揺れ、暗転する。

 

清那「!?白石?白石!どうしたの…!?」

 

真黒「あれ…?…何でだろ、力が入らなくて…朱井さんの顔…見たら…気が抜けちゃったかな……」

 

清那「白石!?白石!!」

 

 突然地面に倒れた真黒に駆け寄る清那。

 立ちあがろうとするも力が入らないと語る真黒だったが、そのままその瞼を閉じ、伸ばした手も力無く地面へと落ちていく…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

──数日後

 

清那「……」

 

 やや暗い表情で花束を抱えて清那は歩いていた。

 

真黒「……んん…」

 

バサッ

 

清那「……白石?」

 

真黒「ここは…病院…?」

 

清那「白石!良かった…目が覚めたんだ…!」

 

麗那「姉さん、気持ちは分かりますが…病院なので…ううっ…!」

 

澄香「そ、そうだよ清那ちゃん…!気持ちは…ぐすっ…分かるけど…っ!」

 

 清那がやって来た場所、そこは時雨が入院していた病院だった。

 その中の一つの病室に寝かされていた真黒は、小さく声を漏らしつつも目を覚ます。

 そして、その様を見て病室の前で花束を落とした清那は慌てて駆け寄ろうとするが、傍で様子を見ていた澄香と麗那に止められるが、二人も想いが溢れて涙声に変わってしまう。

 

真黒「……そっか、じゃあ…僕は人間の身体に戻ったんですね」

 

夜御哉「うむ。…しかし随分な無茶をしたな、真黒君。まさか禁書ドライバーを持ち出すとは…」

 

真黒「うっ…すみません…」

 

夜御哉「まあ、その様子じゃあ三人にたっぷり怒られたあとだろうし、俺からはこれ以上は言わないでおこう」

 

聖「…そうですね。そういえば、人間に戻ったんなら、もう仮面ライダーには変身出来ないようになったんですか?」

 

夜御哉「いや、一度モノノケとなったが故か、今の真黒君は焚書ドライバーにも適応しているし、不知火アヤダマを使えば禁書ドライバーも使えるだろうな」

 

真黒「…賭けではあったんですけど、戦う力を失うわけにもいかないので…上手くいってよかったです」

 

 目を覚ましたことを聞いて聖共々駆け付けた夜御哉から、真黒は人間の身体に戻ったことを聞き、同時に仮面ライダーに変身する力が残っていることに安堵する。

 

麗那「真黒兄さん…」

 

澄香「まあ、白石君らしいけど…」

 

清那「……だね」

 

真黒「えっ、もしかして僕呆れられてる…?」

 

 九死に一生を得たというのに戦えるかどうかを気にしている真黒に呆れる三人に、真黒はちょっと焦った様子を見せる。

 

時雨「あ!本当に白石さんが目を覚ましてる!」

 

真黒「晴河君…」

 

凪桜「私達もいるよ」

 

咲穂「これで漸く一件落着、ですかね」

 

調「きっとそうだよ。…でも、この人数だと病室も狭いね…」

 

 そんな話をしていると、時雨、凪桜、咲穂、調の四人が病室を訪れる。

 

凪桜「そうだ、それなら今度皆でパーティーとかやろうよ。時雨先輩と真黒さんの退院祝いとか、都黎達のカップル成立記念とか、イバラキドウジとの和解記念とか」

 

真黒「良いね」

 

時雨「僕も賛成。……そう考えると、色々あったなぁ…」

 

 病室に何人も集まったことで手狭になってしまったことを考えて、凪桜は今度改めて皆でパーティーすることを提案し、時雨や真黒はそれに賛成するのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

汰月「……無事に終わって何よりだな」

 

星海「ですね。…さ!恋人になって初のデート、楽しみますよ!」

 

汰月「…そうだな」

 

 汰月と星海は初めてのデートに津久代の海辺を選び、共に歩んでいた。

 

アリス「けーんーしょーうっ!!」

 

賢昇「うわっ!…ビックリした…アリスか。……お前ここのところしょっちゅうここに来てるけど大丈夫なのか?」

 

アリス「勿論!正式にお父様とお母様に認めてもらえたんだし!もう我慢はしないよ!」

 

賢昇「…お手柔らかに頼むぜ」

 

 アリスは賢昇の元を訪れ、折角両親のことも説得出来たのだからこれまで我慢してきた分賢昇と共にいたいという本心を明かす。

 

玲「…だから、モノノケの体格に合わせられる新しい机とか用意した方が良いんじゃない?」

 

竜司「…確かに」

 

瑠璃子「お、やってるね」

 

稲美「……私達も前を向いて進んでいく時が来たってことですよね…きっと」

 

双葉「き、きっとそうですよ…!」

 

 世模継学院高校の生徒会室にて、人とモノノケが共存する場所としての学校作りについて議論を重ねる後輩達の様子を、遊びに来た瑠璃子が微笑ましげに眺める。

 

イバラキドウジ「……」

 

雪音「似合ってますよ!」

 

イバラキドウジ「だあー!もう!僕は着せ替え人形じゃないんだぞ!」

 

雪音「ええー、イバラキドウジさん、小柄で可愛らしいから色んな服が似合うと思ったのですが……」

 

イバラキドウジ「小柄って言ったな!?人が気にしてることを…!僕は昔からチビって言われるのが嫌いなんだ!」

 

雪音「馬鹿にする意味はないですよ!?…ただ可愛らしいな、と。私、幼い頃から弟が欲しかったんですよね…」

 

イバラキドウジ「弟!?可愛いは僕にとっては褒め言葉じゃないんだよ!大体、弟と言うけど…こう見えても僕は君より遥かに年上だし……どうせなら、カッコいいとかのほうが…」

 

雪音「?」

 

イバラキドウジ「なっ…何でもない!!」

 

 雪音の屋敷にて、何故か色んな服を着せられていたイバラキドウジは暫く我慢していたものの、我慢しきれずツッコミを入れだす。

 しかし、なんだかんだと雪音と過ごすことに満更でもない様子を見せる。

 

都黎「これが…プリンアラモード…!」

 

夢華「ん〜。このチョコパフェも美味しいよ。はい、あーん。なんちゃって──」

 

都黎「あむ。…確かに美味いな!」

 

夢華「っ〜〜!」

 

都黎「えっ、何だ……何かマズいことしたか…。あっ、そうだ。夢華も食べるか…?」

 

夢華「えっ?…それは…その……い、いただきます…」

 

都黎「どうだ?美味しいだろう?」

 

夢華「……味分かんなかった」

 

都黎「えっ。…まさか、味覚障害か…?風邪でも引いたのか…!?」

 

夢華「あー!違う違う!すこぶる元気だよ!」

 

 水族館にて交わした約束を果たし、都黎と夢華は一緒にスイーツを食べに喫茶店へやって来ていた。

 都黎はプリンアラモードに舌鼓を打つが、そんな中からかい半分で夢華が差し出したチョコレートパフェを躊躇なく食べたことで夢華は赤面し、そんな夢華に何の気なしにプリンアラモードを差し出し返す。

 そうして二人はイチャイチャと時間を過ごしていく。

 

時雨「……ふふっ」

 

リュウジン「どうした?時雨」

 

時雨「リュウジンさん。……きっと、これからも僕達には色んなことがあると思うんです」

 

リュウジン「……そうだな」

 

時雨「けど、こうやって。一つずつ乗り越えて…絶対いつか最高のハッピーエンドに辿り着けるって。なんか今、無性にそう思えたんです」

 

リュウジン「そうだな。…ま、お前には我がついてる。大船に乗ったつもりでいるといい!」

 

凪桜「…リュウジンの大船…トカゲ基準じゃあ大した大きさなさそう…」

 

リュウジン「誰が!トカゲだー!」

 

時雨「リュウジンさん、病室では静かに…!」

 

リュウジン「うぐっ…」

 

凪桜「ぷぷ、怒られてる」

 

リュウジン「元を正せば凪桜のせいだろう…!」

 

時雨「あはは…凪桜ちゃんも、程々にね」

 

凪桜「はーい」

 

リュウジン「時雨…凪桜には甘くないか…?」

 

時雨「えっ!?…いや、そんなことは…」

 

リュウジン「我は相棒だぞ!?もうちょっと扱いが良くてもいいんじゃないか!?」

 

凪桜「でも時雨先輩の彼女は私だから」

 

「「ぐぬぬ…!」」

 

時雨「結局いつも通り…。まあ、それが一番かな…」

 

 かくして、また新たな戦いを乗り越えた時雨達。

 仮面ライダー達の物語はまだまだ続いていくのだった…。

 

To Be Continued…




Vシネマ後編をご覧いただいた皆様、ありがとうございます。
ようやくここまで来ました。
本編の完結から早くも5ヶ月以上が経ちましたが、個人的にはこれで漸く妖魔の物語がひと段落、という心境です。
語りたいことは色々とありますが、結構なボリュームになっているので、一旦それは後日に回すとします。
本筋の部分は一旦終わりましたが、3月にはファイナルステージで告知した通り凪桜、雪音、夢華の三人を主役に据えたスピンオフ「仮面ライダー黄泉&氷雪&夢幻 百花繚乱!最強の女子会!」をお届けする予定ですので、是非ともお楽しみに!
内容自体は今回の話の後日談となります!
それでは、改めましてここまで妖魔の物語を見届けてくださり、大変ありがとうございます!
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