今回は結構短めです!
#1
聖「変身禁止かぁ…」
時雨「…藍羽先生を死なせるわけにはいきませんから」
聖「分かっているよ。いい生徒を持てて幸せだと思うさ」
神話ドライバーを夜御哉に取り上げられ、神羅への変身を禁じられた聖。
そんな聖に対して時雨は聖を想うが故の行動と説明し、聖も理解を示す。
凪桜「そういえば、藍羽先生が神羅になった詳しい経緯ってどんな感じなの?」
調「最初の“仮面ライダー”なんですよね、確か」
咲穂「ざっくりとした概要くらいは少し前にお聞きしましたけれどね」
聖「…そうだね。君達も仮面ライダーに関わる者として、特に晴河君と暁君は白石君を知る者としても、知る権利はあるかな。…分かった、話そう。私が仮面ライダーとなった経緯を」
聖がいかにして“仮面ライダー”となったのか、その始まりの物語を聖はその口を開いて語り出す──。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「今日から教育実習でお世話になる藍羽聖です。宜しくお願いします」
時を遡ること三年前、聖は照羅巣高校へと教育実習でやって来ていた。
清那「藍羽先生、私達が先生に校内の案内しますね。私、これでも生徒会長ですし」
聖「えっと確か…朱井君と白石君、黄坂君…だっけ?」
清那「はい。合ってますよ」
一日の授業を終えて放課後になり、聖は人懐こい笑みを浮かべた清那から校内案内の申し出を受ける。
真黒「僕は生徒会でもなんでもないんだけどなぁ。……なんで僕まで…」
清那「良いじゃん、白石だって帰宅部で暇でしょ?」
真黒「それ関係ないような…」
澄香「…でも、私は二人と色々出来て嬉しい…」
真黒「……仕方ないか」
清那「なんか澄香ちゃんには優しくないー?」
真黒「気のせいだよ」
聖「仲が良いんだね」
清那に巻き込まれて付き合う羽目になったことを真黒がボヤいていると、澄香も肯定的な意見を見せたことで仕方なく真黒は諦める。
清那「はい!何せ白石とは中学時代から仲良しですし…澄香ちゃんとは高校からですけど、それでもとっても仲良しの友達です!」
澄香「えへへ…」
真黒「…ま、そうだね」
聖「良い友達を持ってるんだね。…よし、じゃあ三人に案内お願いしても良いかな?」
清那「お任せください!」
楽しそうに真黒や澄香との仲について語る清那を微笑ましげに見た聖は改めて清那、真黒、澄香の三人の案内で校内を巡る。
この時の出来事がきっかけとなり、聖はこの三人との関わりが深くなっていくのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「…父さん」
父親の写真を見て、聖は一人呟く。
聖「見ててくれよ。俺、絶対に父さんみたいな先生になってみせるから」
…俺の父は、教師だった。
交通事故で命を落としてしまい、今は帰らぬ人となってしまったけれど…
生徒のことを第一に想う良い教師だったと聞いていた。
昔は父が忙しくて自分に構ってくれないことへの反発心から反抗的に接していたこともあったけれど…諦めずに俺と接し続けてくれた父のお陰で、俺は父と和解することが出来た。
そして…俺はいつしか父に憧れを抱くようになった。
父のように、生徒達を教え、導き、そして守れる先生になりたい。そう思っていた。
問題のある生徒にも諦めずに向き合い、ボロボロになっても分かりあうことを止めようとはしない。
そんな父は口癖のように言っていた、大人とは、教師とは、子供を教え、導き、守るものなのだと。
だからこそ、大人がしっかり子供に向き合って、その声を聞く必要があるのだと。
その教えを実践出来るような教師に…俺はなりたかった。
⭐︎⭐︎⭐︎
聖「大分慣れてきたな。…立派な先生になるためにも…もっと頑張んないとなぁ。…ん?今のって…黄坂君…?」
教育実習に来て数日、仕事を終え帰路に就いた聖は、路地裏に入っていく澄香の姿を見つけ、時間が時間だったこともあり気になって跡を追う。そして、一度は見失いながらも、聞こえた物音を頼りに辿り着いたそこで目にしたものは…。
聖「見失っちゃったかな…。ん?今の物音は…。!あれは…えっ!?」
清那「はっ!」
「グオオオッ…!」
真黒「やっぱり…決定打にはならないか」
清那「こうなったら…」
真黒「!駄目だよ。それを使えば死ぬ可能性があるんでしょ!?」
澄香「そ、そうだよ…!」
清那「けど、手強いよ。…ライジュウは」
ライジュウ「人間の癖に俺様に盾突きおって…!丸焼きにしてやる!」
清那の作り出した陣から放たれた妖力弾がライジュウを攻撃するが、大したダメージを与えることは叶わず、ライジュウは怒り心頭の様子を見せる。
それを前に清那はボロボロになった燻んだ金色の古い本の上から銀色の無骨な機械が装着され、正面にモニターが設置されている謎のデバイスを取り出して使おうとするが、真黒と澄香から止められてしまう。
清那「…四の五の言ってる余裕はなさそう。やっぱり私が…!」
聖「っ…駄目だよ」ヒョイ
清那「えっ!?」
真黒「なっ…藍羽先生…?」
澄香「な、なんでここに…!?」
ライジュウ「今度は誰だぁ…?」
思わず飛び出した聖が清那の手から謎のデバイスを取り上げると、その場にいた他の人物達は乱入者の存在に驚く。
清那「ちょ、藍羽先生!それ返してください!それがないとアイツを倒せないんですけど!?」
聖「……その役目は、私がやるよ。生徒に命は懸けさせられない」
真黒「!?神話ドライバーを…装着した…!」
澄香「えっ…だ、大丈夫ですか!?先生!?」
聖「…何も問題はないよ。それに、使い方も頭に入って来た。…便利だね、これ」
なんとか謎のデバイス…神話ドライバーを取り返そうとする清那だったが、聖はそれを制止すると、清那の動作の見よう見まねで神話ドライバーを装着する。
そして、その機能により使い方を理解した聖は神祝之御札を右手で取り出すと、構える。
《第一段階解放》
聖「…変身!」
《神格装着…ヘンゲ
System of Mythology.
神羅…Liberation.》
身体の動きに導かれるままに神話ドライバーを操作した聖は白色の神主の衣装を模したような装甲に包まれながらも、どこか燻んで汚れのある見た目になり、複眼は黒色に煌めく戦士…神羅へと変身を遂げる。
清那「藍羽先生が神羅に…!?」
真黒「一体どうなっているんだ…」
澄香「か、身体に何か異変とかないですか?」
神羅「…特に問題はなさそうだけどね」
ライジュウ「何なんだよさっきからよ…!まあ良い!この俺が人を喰らう邪魔をするなら…まずはお前等から人焼きにしてやる!」
神羅「ふんっ!…成る程、朱井君達が倒そうとするわけだ。そんな非道、
ライジュウ「ぐっ…このヤロォ…!」
神羅は清那達からの心配に対して問題はなさそうだと返すと、ライジュウの目的を知り遠慮なく拳を叩き込む。
清那「…ありえない。そもそもなんで普通の人間の藍羽先生が変身出来てるの…?」
真黒「一体何が起こってるんだろう…」
ライジュウ「邪魔すんなああ!」
神羅「っ…お断りだ!はあっ!」
ライジュウ「ぐあっ!」
ライジュウは稲妻を放出して神羅に攻撃するが、神羅はそれを受けながら前進して横蹴りを打ち込んでライジュウを蹴り飛ばす。
ライジュウ「調子に乗るなァァ!!」
神羅「ぐっ…!」
清那「だったら…朱井式浄化術・清浄弾!はっ!」
ライジュウ「ぐっ!?貴様…!」
激昂したライジュウの放つ稲妻によってダメージを受ける神羅だったが、清那が生み出した陣から放たれた清らかなる妖気弾によって、ライジュウにダメージを与え、神羅を援護する。
神羅「ふんっ!」
ライジュウ「ぐぬああっ!」
神羅「…助かったよ、朱井君」
清那「いえ、大したことはしてないですよ」
神羅「さて…王手を取らせてもらおう」
《第二段階解放》
《Judgment.》
神羅「はああっ!!」
ライジュウ「ぐぬああああ…こんな、こんなはずではあああっ!!」
清那「…ほっと…よし、封印完了」
神羅は神祝之御札を一度神話ドライバーへと翳し、そのまま赤黒い波動を帯びた拳を連続で叩き込むことでライジュウを撃破する。
そして、爆散したライジュウに対し、清那が印を結ぶことで山吹色のアヤダマに変えて封印を施す。
聖「…それで、この状況は一体なんなんだい?…説明してくれると助かるんだけれど」
戦いを終えた神羅は、変身を解除し、清那達に詳しい説明を求める。
清那「…ここまで来たら、教えるしかないですよね。さっきのはモノノケ、所謂“妖怪”です」
聖「妖怪…モノノケ…」
清那「はい。古来より、モノノケはこの世界に存在してきました。多くはひっそりと暮らしたり、人間社会に溶け込んだりしているようですが…中には人間に危害を加えようとする者達もいます」
聖「それが…さっきのモノノケかい?」
真黒「ええ。どうも最近、この街に人間に敵対的なモノノケの一団がやって来たみたいなんです」
清那「以来、人が襲われたりするようになったのですが…それに対抗しうる力が、その神話ドライバーだったんです」
聖「これか…」
街に迫る危機について説明しつつ、清那は聖が装着したままの神話ドライバーを指差す。
清那「はい。…朱井家は代々、陰陽師の家系なんです。一応、その筋では有名な方でして。…そして、その神話ドライバーは一族に伝わる力を持った書をとある研究者によって使えるようにしたものだったんです」
真黒「それで、モノノケに対抗するためにそのドライバーを使おうとしてたんです。ただ、聞いてた話じゃ、朱井さんほどの才能の持ち主でも下手すればコントロールに失敗して死にかねない代物を、普通の人間である藍羽先生が使えたのかは分からないのですが…」
事情を説明しつつも、聖が変身出来たことに対しては清那達も理由が分からないようで、首を傾げる。
聖「成る程…。それで君がこれを…。なら、これを作った人に会わせてくれないだろうか?」
話を聞いた聖は一つの提案を清那達にする。
そして…この出来事こそが、彼等の運命を動かしていくこととなるのだった…。