夜御哉「君が…神羅になった藍羽聖君だね」
貴真賀中央大学の理工学部特別研究室へとやって来た聖を出迎えたのは、田貫夜御哉だった。
聖「田貫教授。あなたがこの神話ドライバーとやらの製作者だったんですね」
夜御哉「ん?俺のこと知ってんのかい?」
聖「それなりに有名ですよ。少なくともこの大学内では」
夜御哉「ああ、そういや君はここの学生だったっけ」
聖「ええ…だからこそ、驚きましたよ。この子達に聞いて、あなたの名が出た時は。あなたが狸のモノノケ…本名はイヌガミギョウブだと聞いた時はもっと驚きました」
清那「…!」
元々夜御哉のことを知っていた様子の聖は、素直にその素性や研究に驚きを示すが、すぐに態度を切り替えて夜御哉に詰め寄る。
夜御哉「それで、今日の用件は?」
聖「……あなたに聞きたい。何故こんな危険な物を製作し、そして彼女のような“子供”に渡したのですか?」
夜御哉「まあそんな怖い顔すんなよ。少し前の真黒君みてえだな、君は」
真黒「余計なことは言わなくていいんですよ、田貫教授。狸妖怪だからって口先だけで化かそうとしてたら信用失いますよ」
詰め寄ってくる聖を宥めようとする夜御哉に、流れ弾を喰らわされた真黒が呆れ顔でツッコミを入れる。
⭐︎⭐︎⭐︎
真黒「先生、気持ちは分かりますし、僕も同じ疑問を抱きましたけど…この人は別に悪いことはしてないんです」
聖「白石君…」
夜御哉「…ま、順を追って説明すっかね。まず、その神話ドライバーは元々、朱井家に伝わる“古き神”についての記述と、その力の一端が封じられた書だ」
聖「“古き神”…」
清那「もう名すらも伝わっていない、そんな忘却された神様のことです」
夜御哉「そう。そして、その書の力を使える状態にしてほしいと依頼されたのがこの俺、というわけだ」
聖「成る程…」
清那の注釈を聞きながら、夜御哉の説明を理解する聖。
夜御哉「ここからが大事なんだが…俺は確かにそれをある程度扱えるようにはした。機械化、という手段を用いてな」
聖「それが、この神話ドライバー…」
夜御哉「そうだ。しかし、だ。いくら扱えるようにしたと言っても、例え忘却されてその書に刻まれた伝承を失いつつある神の力だとしても、それでも神は神だ。その力を人が使うのはどうしてもリスクが伴う。故に…そのドライバーを用いることは、命に関わりかねない危険な行為となる」
清那「…とはいえ、それは普通の人の話で…私なら耐えうる可能性があるんです」
聖「え?そうなのかい?」
清那「はい。寧ろ、普通の人なら死んでしまいかねないところも、特別な血筋の私なら使える可能性が高いんです。ですが…」
夜御哉「100%とはいかなくてね。申し訳ないのだが」
真黒「だから僕達としてはあんまり使ってほしくはないんです…まさか先生が使えるとは思いませんでしたけど」
聖「なるほど…なんとなく、理解が追いつきました」
夜御哉達からの説明を受けて、聖は自身の置かれた状況を理解する。
夜御哉「……さて、何故君が使えたのか。それが分からないとこちらとしても今後変身していいとも言えないからね。少し君の身体を調べさせてもらいたいのだが、いいかな?」
聖「検査ですか?」
夜御哉「ああ。そんなに身構えなくてもいいよ。別に血を採ったりしないし、ちょっと機械でスキャンするだけさ」
聖「それなら…分かりました」
夜御哉の提案に乗ることにした聖は、検査のために奥の部屋へ向かうのだった…。
⭐︎⭐︎⭐︎
夜御哉「検査結果が出たよ」
聖「早いですね!?」
真黒「まだ3分くらいしか経ってないけど…」
清那「流石教授ね」
すぐに検査結果が出たので聖達が驚いているのを横目に、夜御哉は検査結果のデータを読み込む。
夜御哉「ふむ…そういうことか」
聖「何か分かりましたか?」
夜御哉「ああ。どうやら聖、君の身体は極端に妖気伝導率が低いようだ」
聖「妖気…伝導率?」
清那「…成る程、それなら……」
真黒「今ので理解出来たんだ…」
夜御哉「妖気伝導率、というのはどれだけ妖気を通しやすいか、ということ。普通、妖気伝導率が高い方がこういった事象へのコントロール力も高くなるのだが…君の場合は普通の人と比べても0.1%ほどしか妖気伝導率がないから、神話ドライバーの強力な力も身体に影響を及ぼさなかった…と考えられる」
聖「な、なるほど…私の身体は妖気を通しにくいのか…」
夜御哉によって、聖の身体が妖気を通しにくいことが判明し、それこそが神話ドライバーを使えたわけなのだと結論付けられる。
聖「色々とありがとうございました」
夜御哉「気にするな。君のことは気に入ったし…取り敢えず、これからも支援はするさ。いくら特殊体質でも、無茶は禁物だしね。少しでも負担を減らせるように」
聖「ありがとうございます」
聖は夜御哉に礼を言い、研究室を後にする。
清那「多少は大丈夫そうで安心しました」
真黒「まあ、だからって不用意に変身はしない方がいいと思いますけどね」
澄香「確かに…教授も無茶は禁物って言ってましたしね」
聖「善処するよ」
照羅巣地区の辺りまで戻って来た聖達は、そんな会話を交わしながら解散しようとしていたが、そこに悲鳴が響く。
何事かと四人が急いでそちらへ向かうと、そこには巨大な羽虫のような姿のモノノケが人を襲う様子があった。
「た、助けて…!」
???「ヒヒヒ…!お前さん、中々美味しい血を持ってそうだなぁ…」
聖「止めろっ!」
???「うぎゃっ!?」
清那「あれは…多分“ショウケラ”ね。虫のモノノケだし」
澄香「む、虫苦手…」
真黒「…僕の後ろにいな」
澄香「ありがと…」
清那「…何いちゃついてるの」
真黒「いちゃついてないよ」
清那「ふーん…?」
真黒「……いちゃついてないって」
澄香「ほ、本当ですよ…!」
清那「澄香ちゃんがそういうならそうね」
真黒「僕との信用の差よ…」
聖「早く逃げてください!」
「は、はいっ!」
ショウケラを蹴り飛ばした聖に言われ、襲われていた女性は逃げ出す。
一方、虫が苦手という澄香に自身の後ろに隠れるよう真黒が伝えると、それを見た清那にいちゃついていると誤解されてしまう。
聖「相変わらず仲良さそうだね、君達は」
《第一段階解放》
ショウケラ「お前誰だよ!俺の邪魔するんじゃねえ!」
聖「悪いけどそうもいかないかな。…変身!」
《神格装着…ヘンゲ
System of Mythology.
神羅…Liberation.》
ショウケラ相手に対峙した聖は、神羅へと変身し、殴りかかる。
神羅「はあああっ!!」
ショウケラ「くっ…この!」
神羅「ふっ、はああっ!」
ショウケラ「ぬああっ!!」
ショウケラは鉤爪のついた腕を振り回して抵抗するが、神羅は腕で受け止め、膝蹴りでショウケラを追い詰める。
ショウケラ「くうう…ならば、逃走あるのみ!」
神羅「待てっ!」
清那「逃げた…!」
真黒「空飛ばれると追うのが面倒だな…」
澄香「うっ…飛ぶ虫は無理かも…」
真黒「えっ……仕方ない、ここで待とう。朱井さん、後は任せた」
清那「仕方ないなぁ。澄香ちゃんのこと、よろしくね」
澄香「なんかごめんね…白石君」
真黒「まあ、仕方ないよ。結構キモかったし…」
飛び去ったショウケラを追おうとするも、見た目があまりにも気持ち悪すぎたが故か、澄香が難色を示し、真黒が付き添いで残ることに。
⭐︎⭐︎⭐︎
神羅「走って追いかけるのは…無理だな…!」
清那「あ、先生いた」
神羅「朱井君」
清那「アレどうしよっか」
神羅「走ってだと無理そうだからねえ…」
夜御哉「それなら、バイクを使ってみるのはどうかね」
神羅「成る程!ってうわっ!?え、いつからいました?」
夜御哉「今来たところさ。これ、使いたまえ」
神羅「バイク…?」
夜御哉「元々神羅のサポートメカとして作ったツクモガミのバイク…その名もツクモブースターさ」
神羅「成る程…なら、ご厚意に甘えさせてもらいます」
夜御哉から託されたツクモブースターに跨ると、神羅はそのハンドルを握り、発進させる。
ショウケラ「フッ…撒けたみたいだな…」
神羅「それはどうかな?」
ショウケラ「ぬああっ!?」
神羅「なんとか追いついたな。ツクモブースター様々だ」
高架下の道路付近にて、神羅の姿が見えなくなったことで安心していたショウケラだったが、高架上の道路から降ってくるようにして現れた神羅にツクモブースターで轢き潰されそうになり、慌てて回避する。
ショウケラ「う、うわあああっ!!来るなああ!!」
神羅「くっ…また気色の悪い攻撃を…!」
追い詰められたショウケラは身体中から大量の羽虫を放出して神羅に纏わり付かせる。
神羅「なら…コイツでいこう」
《第二段階解放》
《Judgment.》
神羅「ふん…はああっ!!」
神羅は羽虫を振り払いつつ、神祝之御札を一回神話ドライバーの表面に翳す。
そして、両手から大量の赤黒いエネルギー弾を連射することで羽虫達を消しとばして一掃する。
ショウケラ「なにぃっ!?」
神羅「逃がさないよ」
ショウケラ「クソッ…捕まってたまるかよ…!」
神羅「…王手を取らせてもらうよ」
《第三段階解放》
ショウケラ「く、来るなあああ!!」
《Punishment.》
神羅「はっ!ふん!」
神羅はツクモブースターに乗ってショウケラを追跡し、ある程度接近したところで神祝之御札を二度神話ドライバーに翳す。
そして、左手から生成された赤黒いエネルギー弾を放り投げるも、ショウケラには届かず、そのまま空高くへと飛んでいく。
ショウケラ「馬鹿め!どこ狙ってやがる!」
神羅「…残念。これは本命じゃないよ。はっ!からの…はあーっ!!」
ショウケラ「!?」
神羅「トドメだ!!」
ショウケラ「マズっ…うぎゃあああああっ!!!」
神羅「ほっ…と。これで終わりさ」
神羅を煽るショウケラだったが、対する神羅はその真意は別にあることを語りつつ、ツクモブースターを踏み台にして軽く跳躍し、それに合わせてツクモブースターはウィリー走行へと切り替える。
そして、上向きになったツクモブースターのタイヤを使って再度跳躍した神羅はタイヤに弾き出されるようにして飛び出したこともありかなりの高高度へと到達し、丁度その位置に来ていたエネルギー弾をショウケラ目掛け蹴り飛ばす。
完全に不意を突かれて反応が遅れたショウケラにエネルギー弾が直撃し、その肉体を打ち砕く。
清那「はぁ…はぁ…藍羽先生が勝った…。?あれ?アヤダマに出来ない…やっぱり毎回上手くいくわけじゃないかー」
聖「ふぅ、なんとか勝てたね」
清那「ですね。お疲れ様です!」
真黒「どうやら勝ったみたいですね」
澄香「うぅ…良かった…」
聖「ああ、田貫教授のお陰だよ」
ショウケラを撃破し、変身を解いた聖の元へ清那が駆け付け、ショウケラをアヤダマにしようとするが失敗してしまう。
そして、それに少し遅れつつも真黒と澄香も合流する。
聖「…そうだ、君達に伝えておきたかったのだけれど…これからは、私も一緒に戦うよ」
清那「!」
真黒「藍羽先生…」
聖「君達だけに危険な真似をさせたくないからね。私にも正式に協力させてほしいんだ」
清那「勿論、大歓迎ですよ」
澄香「…ありがたいです!」
真黒「けど、先生も無茶はしないでくださいね」
聖「分かってるよ。…これからもよろしくね」
正式に清那達に助力を申し出た聖。無事に清那達にも受け入れられ、本格的に仲間として共に戦うこととなるのだった…。