神羅となり、清那達に協力することとなった聖は、清那達と共に街で暴れるモノノケ達を退治する日々を送っていた。
聖「やあ、待たせたね」
清那「藍羽先生」
真黒「僕達もさっき着いたばかりです」
澄香「藍羽先生こそ…教育実習が終わってもわざわざ照羅巣まで来てくれてありがとうございます」
清那達と出会ってから、既に三ヶ月ほどが経過し、この頃にはすっかり打ち解けていた。
教育実習の期間はもう終了したが、それでも聖は足繁く照羅巣の方まで通っていた。
お決まりとなった喫茶店にて、聖は清那達と合流する。
真黒「そういえば、この間ネットで見かけたのですが…どうやら先生、最近噂になってるみたいですよ」
聖「えっ?」
真黒は聖に話を切り出しながらスマホの画面を見せる。
そこにはSNSアプリにされたとある投稿が写されていた。
聖「仮面…ライダー…?」
清那「白石、これってもしかして…」
真黒「うん。神羅のことだと思う」
澄香「そっか…皆は神羅なんて名前知らないわけだもんね」
聖「仮面ライダー…か」
表示された投稿に書かれていたのは「仮面ライダー」の文字。
バイクに乗って戦う仮面の戦士だから仮面ライダー。きっと、この街を人知れず怪物から守ってくれているヒーローなのだろう。
そう書かれた投稿だった。
真黒「街の人達にも大分認知されてきてるみたいですね」
聖「…そのようだね」
清那「あっ、藍羽先生なんか嬉しそう!」
聖「へっ!?い、いや別に…?人気になりたくてやってたわけじゃないし…」
真黒「そこで照れ隠ししてどうするんですか」
澄香「いいじゃないですか、仮面ライダー。仮面ライダー神羅、ってことですよね」
聖「…仮面ライダー神羅、か。なら、その肩書きに恥じぬよう頑張らなくちゃだね」
仮面ライダーという肩書きを付けてもらえたことが嬉しかったのか、笑みを隠しきれてない聖だったが、その肩書きに相応しくあれるよう気合を入れ直すのだった。
⭐︎⭐︎⭐︎
澄香「…SNSといえばなんですけど……」
聖「何かあったのかい?」
澄香「実は最近、気になる投稿を見つけまして…」
聖「ふむ…」
清那「…呪われたトンネル…?ここって街外れの寂れたトンネルだよね?不便だし家もない辺りだし今はあんまり使われてはずだけど…」
真黒「最近ここを訪れた人間が次々と不慮の事故に遭って怪我したり亡くなったりしている…いかにもって感じだね」
澄香「それがどうやら、本当みたいなんです」
聖「そうなのかい?」
澄香が見せた投稿は、呪われたトンネル、というものについての投稿だった。
その内容は、友人がある心霊スポットだという照羅巣地区内のあるトンネルを訪れた人間が不幸になっているというものだった。
清那「本当ならモノノケがいるにしろいないにしろどっちみち呪いを払う必要がありそうだし、行ってみよう」
真黒「…大丈夫なの?」
清那「大丈夫大丈夫。この護符を持っておけば大概の呪いは弾き返せるし…先生は神祝之御札を持ってるからどのみち効かないだろうからね」
澄香「それなら良かった…」
行ったら呪われるというトンネルに向かうことに決めた清那に、身の安全について問う真黒だったが、清那の持つ護符を渡され、これを持っていれば平気だろうと伝えられる。
清那「あ、そうだ白石」
真黒「?」
清那「これ、白石が使って」
真黒「スマホ…?」
清那「ブンプクブラストフォンっていうんだって。開発途中のプロトタイプ版らしいけど、それ銃にもなるんだって」
真黒「へえ。でもなんで僕に?護身用なら黄坂さんにも渡した方がいいんじゃない?」
清那「まだ一個しか作ってないんだって。ゆくゆく機能も増やしたいらしいけど、そのブンプクブラストフォンは一応通信機能が付いてるだけらしいし。それなら澄香ちゃんに渡すより白石に渡して、澄香ちゃんを守ってもらった方がいいでしょ?」
真黒「それもそうか」
清那は真黒にプロトタイプ版のブンプクブラストフォンを渡し、その意図についても説明する。
澄香「確かに私に渡されても撃てないかもしれないです…。うう…役立たずでごめんなさい」
真黒「そんなことないって。黄坂さんがいて助かることも沢山あるよ」
清那「そうそう!呪いのトンネルを見つけてくれたのも澄香ちゃんだし!」
澄香「二人とも…ありがとう」
聖「ふふっ、本当に仲良しだね。…さて、そろそろ向かおうか。日が沈む前にね」
「「「はい!」」」
微笑ましげなやり取りを繰り広げていた聖はその仲の良さを尊く感じつつ、目的地に向かうよう促す。
⭐︎⭐︎⭐︎
清那「ここだよね」
澄香「うん。ここで合ってる」
真黒「さて…行きましょうか」
聖「気を付けて行こうか」
呪われているというトンネルへやって来た聖達は、警戒しながらもその中へと足を踏み込む。
薄暗い空間四人分の靴音だけが響く。
「……」フッ
澄香「…?」
真黒「どうしたの?」
澄香「今何かいたような…」
清那「本当!?」
聖「私は気付かなかったな…」
薄暗い闇の中、澄香のみが蠢く何かの気配に気付くも、すぐにその気配は消えてしまう。
「………」
澄香「!」
「……」フッ
澄香「…いない……」
真黒「!…」
《グリップコネクト!ブラストモード!》
澄香「……?」
真黒「危ない!!」
澄香「きゃっ!」
???「ぬあっ!!」
再び気配を感じて澄香は振り返るも、やはりそこには誰にもいない。
しかし、そんな澄香の様子を見た真黒は周囲を素早く見渡しながらブンプクブラストフォンをブラストモードへと変えると、次の瞬間に澄香の死角から飛び出た影から澄香を守るために澄香の体を抱き寄せて自身と位置を入れ替えつつブンプクブラストフォンで撃ち抜く。
???「この野郎…邪魔しやがって…!」
真黒「成る程…こうやって一人ずつ狙ってこうってことか」
聖「思ったより直接的に来たな…」
清那「アレは…イヌガミね」
澄香「い、イヌガミ?田貫教授と関係あるのかな?」
清那「いや、あっちはイヌガミギョウブ、こっちはイヌガミ。また別物だよ」
イヌガミ「クソッ…呪いも効かねえし一人ずつ消してやろうと思ったのによお!」
呪いのトンネル、その正体は犬のような姿をし、両腕が犬の頭となったモノノケ・イヌガミが居着いているトンネルだった。
聖「何故人々を襲って、呪ったりした」
イヌガミ「あ?上からの命令だよかったりぃな。さっさとテメェら消して…今度こそ完遂してやる!」
聖「おっと…悪いけど、そうはいかないな」
《第一段階解放》
イヌガミ「ああ?」
聖「変身」
《神格装着…ヘンゲ
System of Mythology.
神羅…Liberation.》
聖達を始末しようと襲いかかるイヌガミの攻撃をひらりと回避しつつ、聖は神羅へと変身する。
イヌガミ「テメェは…そうか、テメェが噂の神羅か!」
神羅「どうやら俺も…少しは名が売れてきたようだな。…そうだ。俺が…仮面ライダー神羅だ!」
イヌガミ「だったら!テメェを倒して名を上げてやるよ!」
神羅「くっ…」
イヌガミは神羅目掛けて両腕の犬の頭から呪いのエネルギーを凝縮した青白いエネルギー弾を連射して神羅を攻撃する。
イヌガミ「どうした?口だけかぁ?」
神羅「あのエネルギー弾…かなりの連射性能…しかも当たるとどうも動きが鈍くなる」
清那「…!そうか、あれは呪いのエネルギーなんだ!先生は神羅の力で守られているとはいえ、何発も受ければ影響されてしまう」
真黒「それで動きが鈍ってるのか」
澄香「ど、どうしよう、動きが鈍くなったらますます攻撃喰らっちゃうよ…」
清那「…動けさえすれば反撃の機はある…けど、そのためにはまずこの流れを断ち切らないと」
呪いのエネルギー弾を喰らって動きが鈍くなり、それによって更に呪いのエネルギー弾を喰らってしまうという悪循環に陥った神羅は、じわじわと追い詰められる。
イヌガミ「ヒャハハハ!どうだ?苦しいだろ??」
神羅「この…程度……どうってことない!」
イヌガミ「…そうかいそうかい。なら…増やしてやるまでよ!」
神羅「つっ…あああ!!」
真黒「っ…。!そうだ、朱井さん」
清那「え、何!?」
真黒「僕達でイヌガミを妨害すれば呪い攻撃を止められるんじゃないかな」
清那「!そっか。隙がないなら…作ればいいってね!」
真黒「そういうこと!」
清那「一発じゃあんまり時間を稼げない。二人で同時に撃とう」
真黒「了解。カウントは僕がするよ」
清那「分かった!朱井式浄化術…」
真黒「3…2…1…0!」
清那「清浄弾!はっ!」
イヌガミ「ぐっ…なんだぁ?」
神羅「二人とも…」
澄香「先生!今です!」
神羅「ああ!」
清那と真黒が同時に放った攻撃によってイヌガミは怯み、神羅はその隙に呪いのオーラから抜け出す。
《雷獣!》
神羅「夜御哉さんが追加してくれた新機能を試させてもらおう」
《Possession…雷獣》
イヌガミ「何だ…!?」
真黒「藍羽先生の腕が…」
澄香「アレって…ライジュウの…だよね」
清那「成る程…一時的にモノノケの力を再現して、融合しているのね…」
神羅は神話ドライバーに雷獣アヤダマを装填すると、その右腕がライジュウのものに変化した神羅 雷獣憑身へとその姿を変える。
イヌガミ「ふん…姿が変わったからってなんだ…!」
神羅「…もう、通用しないな」
イヌガミ「!?速い…!はっ!」
神羅「こっちだ!」
イヌガミ「なっ!?ぐぬああっ!!」
イヌガミは呪いのエネルギー弾を放って神羅を攻撃しようとするが、稲妻を纏った神羅は高速移動で全てを回避する。
そして、動揺しつつも再度攻撃しようとイヌガミだったが、今度は撃とうとしたところを電撃が迸る爪による一撃を浴びせられ、そのまま退けられる。
イヌガミ「なら…あのガキ達を!」
真黒「っ…!」
澄香「!」
清那「!白石!?マズい…!」
一転して追い詰められたイヌガミは、清那達を狙おうとし、それに気付いた真黒は清那と澄香を庇うように前へ出て、清那は結界を展開しようとする。
神羅「させるか…!」
《第二段階解放》
《Judgment.》
神羅「はあああっ!!」
イヌガミ「何っ!?」
真黒「ふぅ…良かった…」
清那「良くないよ!…助けてくれようとしたのは嬉しいけどさ、だからって白石が傷ついたりしたら……」
澄香「そうだよ、あんな無茶な真似しないでほしい…」
真黒「ご、ごめん」
神羅が爪から放った電撃波がイヌガミの放つ呪いのエネルギー弾を全て撃ち落としたことで真黒達は助かるが、自己犠牲に走ろうとした真黒の行動を二人は守ろうとしてくれたことには感謝しつつも咎める。
神羅「ふんっ!」
イヌガミ「つあっ!!」
神羅「俺の生徒に手は出させない!」
《第三段階解放》
《Punishment.》
神羅「はああああ!!」
イヌガミ「っ!?く、来るなぁ!!」
神羅「これで…王手だッ!!」
イヌガミ「うぐああああっ!!!」
爪による連撃でイヌガミを追い詰めていくと、神羅は全身に稲妻を纏い、より加速してトンネル内の壁を蹴りつつ目にも留まらぬ速さでイヌガミに接近し、すれ違いざまに高圧電流を纏った爪による斬撃を叩き込み、イヌガミにトドメを刺す。
清那「よっ…と、あ、今回は上手くいった」
真黒「ライジュウ以来か…」
神羅に倒されたイヌガミを、清那は薄灰色のアヤダマに変える。
聖「すまない。私が未熟なばかりに危険な目に遭わせてしまった…」
真黒「気にしてませんよ」
清那「そうですよ!それに、助けてくれたのも藍羽先生だったし!」
澄香「お陰で誰も怪我せずに済みました…」
聖「…ありがとう。君達は本当に優しいね」
真黒「普通ですよ」
清那「そうそう、普通ですって!さ、そろそろ帰りましょっか」
澄香「もう外真っ暗…」
聖「そうだね。帰ろう」
清那達を危険な目に遭わせてしまったことから少し負い目を感じていた聖だったが、三人の励ましからその優しさを感じ取り、気持ちを切り替える。
イヌガミ『上からの命令だよかったりぃな』
聖「…そういえば、イヌガミが言っていた“上”っていうのは一体誰なんだろうか」
清那「多分…ヌエのことだと思います」
聖「…ヌエ?」
清那「ええ。…数年前からこの街で暗躍しているモノノケの一派を束ねる隊長…みたいなものです」
澄香「ヌエは反人間連合っていう人間に敵対的なモノノケの集団の大幹部…五行の“木”だと、田貫教授から聞きました」
聖「…成る程。手強い相手が待っていそうだね」
真黒「……連中の計画を阻止するのが、僕の目的なんです。…反人間連合だけは、アイツ等だけは…絶対に許せませんから」
聖「白石君…?」
イヌガミの言葉を思い出し、その意味を問う聖に、清那達は反人間連合とヌエについての話を教える。
その中で反人間連合に強い敵意を見せる真黒に、聖は何かを感じ取る。
真黒「…あ、ごめんなさい。ちょっと、気が立ってました。……僕は、反人間連合を憎んでるんです。アイツ等のせいで…僕は大切な家族と友達を喪ったんです。だから、僕はアイツ等を…絶対に許さない。それだけの話です」
清那「白石…」
澄香「……」
聖「そうか…。なら、やっぱり私も一緒に戦うよ。それが…私の出来ること、やるべきことだからね」
真黒「!…復讐なんて良くないとか、そういう風に言われるかと思ってました」
聖「まあ、良いことかと言われるとあまりそうは言えないけどさ。でも…白石君にとってどれだけ重みのあることなのか、それが少しでも伝わったからさ。…なら、やめさせたりするより、一緒に戦うことが、君のためになるんじゃないかと思ったんだ」
真黒「……ありがとうございます」
清那「そーそー、白石には先生だけじゃなくて、私達も付いてるんだから!」
澄香「そうだよ。私も…頑張る!」
真黒「二人とも…ありがと」
清那「よし!それじゃあ気を取り直して帰ろ〜!」
自身にとって反人間連合がどれほど憎い存在なのか明かした真黒に、聖は共に戦う意志を伝える。
そして、清那と澄香も真黒と共に戦うと伝え、そんな優しさに触れた真黒は心からの笑顔でそれに応える。
また一つ、絆を深めた四人は、共に帰路へ就くのだった…。