仮面ライダー妖魔 番外編   作:玲音考人

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#4

 

真黒「すっかり冷え込んできたなぁ…」

 

 冬の気配が近づきつつある12月頭のある日、真黒は寒さを感じ取りつつ、商店街を歩いていた。

 

「福引、よろしければご参加くださいね」

 

真黒「はぁ」

 

 商店街にある書店に立ち寄った真黒は、そこで福引券を貰う。

 

真黒「…ま、折角だし使うか」

 

 捨てるのも勿体無いと、真黒は帰り道に福引に寄っていく。

 

「お!二等賞のクリスマス限定プラネタリウムのペアチケットが出ました!」

 

真黒「…ええ……」

 

 思いもよらずプラネタリウムのチケットを得た真黒は、その扱いに困ってしまう。

 

真黒「どうしたものか…」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

澄香「へぇ、それでプラネタリウムのチケットを…」

 

真黒「そう。といっても僕は行くつもりもないし、黄坂さんにあげるよ」

 

澄香「えっ?ええっ!?悪いよ!」

 

真黒「ほら、朱井さんとでも行ってきたら?朱井さん、確かプラネタリウム好きだったはずだし」

 

澄香「清那ちゃんと?…だったら、尚のこと貰えないよ」

 

真黒「?それはまたどうして」

 

 翌る日の放課後、チケットの扱いに困った真黒は澄香にあげて、清那とでも行ってくるよう促すが、澄香はそれを拒む。

 

澄香「白石君が清那ちゃんと行ってきた方がいいよ」

 

真黒「え?僕と朱井さん?だってこれクリスマスシーズン限定のやつだよ?」

 

澄香「だからこそだよ!二人の仲を深めるいい機会になるし!」

 

真黒「深めるって…別に僕と朱井さんはそんなんじゃ…」

 

澄香「今更誤魔化さなくていいよ。これでもこの三年間で二人のことは分かってきたつもりだよ」

 

 澄香は真黒と清那の仲を後押ししようという思いから真黒と清那の二人でデートしてくるよう伝えるが、真黒はごにょごにょと困った様子を見せる。

 

澄香「私達ももうすぐ卒業だし、そろそろ区切りを付けた方がいいんじゃないかな」

 

真黒「うっ…それはまあ…そうかもしれないけど……」

 

澄香「余計なお世話かもしれないけどさ。私は二人には幸せになって欲しいから」

 

真黒「……分かったよ。そこまで言われて引くのも黄坂さんに悪いか」

 

澄香「……別に私のことは気にしなくていいのに…」

 

真黒「ん?」

 

澄香「何でもない。…頑張ってね」

 

真黒「…分かったよ。まあ…いずれケリをつけるべきことだったしね。…じゃ、朱井さんとこ行ってくる」

 

澄香「うん!」

 

 なんとか真黒を丸め込み、送り出した澄香は、教室に残り佇むと、深く息を吐く。

 

澄香「…はぁ。………これで、良かったんだよね」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

真黒「お、いた」

 

清那「ん?あれ?白石?どしたの。珍しいね」

 

 真黒がやってきたのは照羅巣高校の生徒会室。

 そこでは清那が一人書類を確認していた。

 

真黒「ちょっと用があって。この時間なら生徒会は終わってても、まだ残ってるかと思ってさ」

 

清那「ま、生徒の意見を見てたしね。…何かあったの?」

 

 生徒からの意見に目を通していた清那は、珍しい来訪者に目を丸くする。

 そんな清那を前に、真黒は一度深呼吸をして心を落ち着かせる。

 

真黒「別にそんなに緊急の用ではないんだけど……朱井さんってクリスマスの辺りでどこか空いてる?」

 

清那「クリスマス?多分空いてると思うけど…」

 

真黒「良かった。これ、良かったら一緒に行かない?」

 

清那「これ、プラネタリウム?」

 

真黒「うん。好きでしょ?プラネタリウム」

 

清那「そうだけど…どうしたのこれ」

 

真黒「偶然福引で引いてさ。腐らせるのも勿体ないし…折角だから行かない?」

 

清那「そっか。いいね。楽しみにしてる!」

 

真黒「!…なら良かった」

 

 ひとまず清那が自身の誘いに乗ってくれたことに、真黒は安堵する。

 

清那「いつにする?折角だしクリスマス当日とか?白石の誕生日でもあるわけだし」

 

真黒「んー…まあ別にどこでも良いけど…」

 

清那「あ、ごめん…私無神経だったかも。やっぱり今のナシで!」

 

 日程を決める際に、清那は折角ならと真黒の誕生日でもあるらしいクリスマス当日…12月25日にしようと提案するが、かつてあったとある出来事を思い出し、自身の無遠慮を詫びる。

 

真黒「いや、気にしなくていいよ。嫌な思い出より…僕の誕生日とか、朱井さんとのデートとか、そういう楽しい思い出で埋めた方が……きっと良いからさ」

 

清那「…そっか。…ん!?デート!?な、何言って白石…」

 

真黒「フッ、いつも揶揄われてるからね。偶には仕返しだよ。じゃ、また明日」

 

清那「あっ!ちょっと…もうっ。……デートなんて、一体何言ってるんだか…」

 

 清那の謝罪に対し、気にする必要はないと言ってフォローはしつつも、日頃のお返しに揶揄ってその場を立ち去っていく真黒。

 一人残された清那は、そんな真黒の発言に文句を言いつつも、その頬は緩んでいたのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

聖「……」

 

「どうしたんだ?聖、最近やたらボーッとしてね?」

 

聖「なんか…身体が重くて…」

 

「風邪かー?感染すなよー」

 

聖「おーう」

 

 大学にて、ダラっとだらけた様子でいる聖は、内心その身の重さを不思議に思っていた。

 

聖(……ここ最近、なんか妙に身体が重い…。一体なんなんだろうか。……そういえば、夜御哉さんに呼ばれてるんだった…行かなきゃ…)

 

 夜御哉との用があったことを思い出した聖は、ノロノロと身体を起こすと、そのまま貴真賀中央大学内の理工学部特別研究室へ向かう。

 その道中、聖はすれ違った男子学生と肩がぶつかってしまう。

 

聖「すみません」

 

「……フン」

 

聖「…?何だったんだ?」

 

 謝罪した聖に対し、ギロリと睨むような視線を向け、さっさと歩き去って行く学生を不思議がる聖。

 聖がぶつかった、その学生の名は淀川一茶。彼が後に、布留杜市を争いの渦に巻き込む主犯の一人となることを、今はまだ誰も知らない…。

 

聖「失礼します」

 

夜御哉「お、来たか聖」

 

聖「今日はどうしたんですか?定期メンテナンスはこの間やりましたし」

 

夜御哉「今日はお前さんにこれを渡したくてな」

 

聖「刀…ですか?」

 

夜御哉「こいつは闇夜月。元々は人の命を喰らう妖刀だったのだが…夜行アヤダマを組み込んで力を制御できるようにしたものだ」

 

 夜御哉は機械的な外見の不思議な日本刀…闇夜月を取り出すと、聖に見せる。

 

聖「神羅の新しい武器ってわけですか」

 

夜御哉「そういうことだ。因みに、こいつ単体でも戦闘形態へなることも出来るぞ。仮に暗夜丸と呼んでいるが…まあ神羅があるなら神羅で十分だな」

 

聖「成る程…。そういうことならありがたくいただきます」

 

夜御哉「是非役立ててくれ」

 

聖「ええ」

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

「ヌエ様」

 

 どこかの場所、そこには頭は猿、胴体は狸、手足は虎、尾は蛇となっている異形のモノノケがいた。そのモノノケ…“ヌエ”は偉そうでふてぶてしい態度で、自身に声を掛けた者を見やる。

 

ヌエ「どうした?イワナボウズ」

 

イワナボウズ「準備が整いました」

 

ヌエ「…そうか。遂にか…!」

 

 岩魚の頭を持つ袈裟を纏ったモノノケ“イワナボウズ”は、ヌエへと何やら情報を報告していた。

 

ヌエ「長かったな」

 

イワナボウズ「申し訳ございません。どうもあの仮面ライダーとやらのせいであの娘の成長が遅まっていたようでして…」

 

ヌエ「まあ良い。そうなるとあの仮面ライダー共…本格的に邪魔だな…。よし、ここは俺様直々に叩き潰してやろうかね」

 

イワナボウズ「…ヌエ様。ここは一つ、拙僧にお任せいただけないでしょうか」

 

ヌエ「ほう?」

 

イワナボウズ「あんな連中…ヌエ様のお手を煩わせるほどのものでもございませぬよ」

 

ヌエ「成る程…良いだろう。ならばお前に任せよう、イワナボウズ」

 

イワナボウズ「仰せのままに…」

 

 聖達を狙う暗雲は、すぐ傍へと迫っていた…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

澄香「そっか!白石君、ちゃんと清那ちゃんを誘ったんだ」

 

清那「う、うん…。というか澄香ちゃん、知ってたんだ」

 

澄香「あ、あはは…最初は私と清那ちゃんで行ってきたら?なんて白石君が言ってきたものだったから、清那ちゃんと行ってきなよって言ったんだ」

 

清那「…成る程、白石らしいや」

 

 澄香に真黒とプラネタリウムに行くことになったことを話していた清那。

 その中で、自身を誘うまでの舞台裏を知る。

 

清那「そ、それでお願いがあるんだけど…」

 

澄香「うん。どうしたの?」

 

清那「あの、ね…その…白石に向けた誕生日プレゼント、一緒に選んでほしいなって」

 

澄香「!うん!行こう!是非行こう!今行こうよ!!」

 

清那「えっ、ちょっ!?澄香ちゃん〜!?」

 

澄香「任せてね!一目で白石君が骨抜きになっちゃうくらいのプレゼントを選んであげるから!」

 

清那「ほ、骨抜きって…何選ぼうとしてるの…!?ちょっと待ってって〜!」

 

 しどろもどろになりながらもプレゼント選びに付き合ってほしいことを伝えた清那の姿に、澄香は萌え的な感情を覚えつつ、一気にヒートアップした勢いのまま、清那を引っ張って行ってしまう。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

聖「へえ、それで朱井君とデートに行くことになったんだ」

 

真黒「……デートなんて大したものじゃないですけど…」

 

聖「ま、恋愛も青春だからね。人に迷惑をかけたりしない分には好きにしたらいいと思うよ」

 

真黒「……まあ、そうですね」

 

 聖に清那と出かけることになったことを話したらしい真黒と、自分にとって本当の教え子のように可愛がっている二人の仲が進展するかもしれないことに素直に喜びを示す聖。

 

イワナボウズ「…仮面ライダー神羅は…貴様だな」

 

聖「…お前は」

 

イワナボウズ「拙僧はイワナボウズ…。主の命により…貴様の命を頂戴しに来た」

 

真黒「!…お前…まさかヌエの手下か…!」

 

イワナボウズ「いかにも…拙僧こそがヌエ様の懐刀だ」

 

 現れたイワナボウズは、自身がヌエの手のものだと明かすと、手に持った錫杖を構える。

 

聖「…成る程、上等じゃないか」

 

《第一段階解放》

 

聖「変身」

 

《神格装着…ヘンゲ

 

System of Mythology.

 

神羅…Liberation.》

 

イワナボウズ「いざ…尋常に参ろうか」

 

 聖は神羅へと変身し、それを見たイワナボウズは錫杖を振るって魚型のエネルギー弾を射出する。

 

神羅「はっ!おっと…反撃だ!」

 

イワナボウズ「ふっ」

 

真黒「!先生!後ろ!」

 

神羅「え?なっ!?ぐあっ!」

 

 放たれた二連続の魚型エネルギー弾を回避し、そのまま距離を詰めようとした神羅だったが、イワナボウズによって操作された魚型エネルギー弾は宙を泳いで方向転換し、神羅を追尾して攻撃する。

 

神羅「成る程…!」

 

イワナボウズ「…まだ終わらぬぞ」

 

神羅「!くっ…はっ!ふっ…うあああっ!」

 

イワナボウズ「なんだ、思っていたより…弱いな」

 

神羅「くっ…!これでは間に合わない…!」

 

 イワナボウズの放つ連続の魚型エネルギー弾を神羅は避けつつ弾き飛ばしていくが、対応しきれずに喰らってしまう。

 

イワナボウズ「ほれ、どうした?この程度序の口だぞ」

 

神羅「なら…!」

 

イワナボウズ「ふんっ!」

 

神羅「なっ…しまった!」

 

イワナボウズ「拾わせもせぬよ」

 

神羅「くっ…うあああっ!!…この状況を打ち破るには…そうだ、アレなら…!」

 

 神羅は必殺技を発動して状況を打開しようと神祝之御札を構えるが、高速で放たれた魚型エネルギー弾によって不意を突かれ弾き落とされてしまい、咄嗟に拾おうとするも連続で魚型エネルギー弾に襲われてしまう。

 しかし、床に転がされながらも何か逆転の一手を思いつく。

 

真黒「厄介だな…なら!」

 

イワナボウズ「ふん!」

 

真黒「っ!」

 

イワナボウズ「小坊主よ…命が惜しければ余計な気は起こさないことだ」

 

真黒「ふっ…そうみたい。けど、もう遅いよ」

 

イワナボウズ「──!」

 

神羅「はあっ!!」

 

イワナボウズ「くっ…刀だと…!」

 

神羅「これなら魚を出す時間もないだろ!…にしても、助かったとはいえまた無茶な真似して…!」

 

真黒「そいつの目的は先生っぽかったのと、どうも武人肌っぽい性格だと思ったので」

 

イワナボウズ「小坊主が…!」

 

 見かねた真黒はブンプクブラストフォンを向けるも、イワナボウズの放つ魚攻撃によってブンプクブラストフォンを取り落とす。

 しかし、その隙を突いた神羅が闇夜月を取り出しつつ距離を詰めて接近戦に持ち込む。

 

神羅「はっ!ふん!はああっ!!一気に畳みかける!」

 

イワナボウズ「くっ…小童めが…!」

 

 神羅は闇夜月による連続斬撃を繰り出し、イワナボウズを着実に追い詰めていく。

 

イワナボウズ「ならば…ふんっ!!」

 

神羅「最早…見切った!」

 

イワナボウズ「何…!」

 

 反撃しようと試みるイワナボウズは魚型エネルギー弾を放つも、神羅は闇夜月を振るって両断し、その勢いを止めない。

 

《神剣・暗闇演舞!》

 

神羅「王手だ!はあああっ!!」

 

イワナボウズ「負けてたまるものか…!ふんっ!!」

 

 神羅は闇夜月の鍔を3回転させて強い闇のオーラを纏わせると、魚型エネルギーを纏わせた錫杖を構え向かってきたイワナボウズへすれ違いざまに斬撃を放つ。

 僅かな静寂の後、イワナボウズが声を上げる。

 

イワナボウズ「…拙僧が……負けるとは。うぬああああっ!!」

 

神羅「……」

 

真黒「なんとか勝てましたね」

 

聖「…ああ。手強い相手だった。…それにしても、奴はヌエの懐刀と言っていたけれど…そんな奴がやって来たってことは…」

 

真黒「……ヌエが動き出すのも時間の問題、かもしれませんね」

 

 敗北を認め、爆散するイワナボウズ。

 それを確認して、変身を解いた聖は、真黒と共にヌエが動き出す予兆を感じ取る。

 

真黒「それにしても、ヌエは一体何を考えているのでしょうか…」

 

聖「イマイチ掴みきれないのが、歯痒いところだね」

 

 ヌエの目的の底知れなさに、聖と真黒は警戒感を高めるのだった…。

 

⭐︎⭐︎⭐︎

 

清那「大丈夫かな…」

 

澄香「ふふっ、大丈夫だよ。きっと白石君も喜んでくれるし、清那ちゃんにメロメロ間違いなしだよ!それに、あのネックレスも似合いそうだしね」

 

清那「メロメロって…。けど……喜んでくれると良いな」

 

 ショッピングモールから出て来た清那は、ラッピングされた箱に入った真黒へのプレゼントを見つめ、その中身である鴉の羽根を模した銀色のネックレスを思い浮かべながらやや弱気な言葉を漏らすが、澄香の励ましもあり真黒とのプラネタリウムへの期待に胸を躍らせる。

 …そしてその一方で、ヌエは不敵な笑い声を漏らしていた。

 

ヌエ「……ふふふ…イワナボウズもやられるとは…想像以上のようだな、仮面ライダーってのは。さて、そんじゃまあ、俺の出番か。……しっかし、陰陽師の名門・朱井家の稀代の天才娘ってのは…一体どんな味がすんだろうなぁ…。楽しみで仕方ない…くははははっ!!」

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